JP2009012238A - 金属塗装材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム等の金属材の少なくとも一方の表面に、有機または無機の微粒子(A)を含む有機樹脂からなる下地被膜とその上に撥水性を示す仕上げ被膜を形成した金属塗装材である。そして微粒子(A)の平均粒径は有機樹脂下地被膜の膜厚より1.5倍以上大きくする。
さらに微粒子(A)に加えて、微粒子(A)の平均粒径の1/4以下の平均粒径の微粒子(B)を用いる。また微粒子(A)を含む下地被膜の上に微粒子(B)を含む下地被膜を形成したものも含まれる。
下地被膜、仕上げ被膜は塗料を塗布し、乾燥等することにより形成する。
【選択図】なし
Description
最近の空調機用熱交換器は、軽量化のために、熱効率の向上とコンパクト化が要求され、フィン間隔をでき得る限り狭くする設計が取り入れられてきた。空調機用熱交換器は、冷房運転中に空気中の水分がアルミニウムフィンの表面に凝縮水となって付着する。金属材料の表面は、一般に親水性に乏しいため、この凝縮水はフィン表面に半円形もしくはフィン間にブリッジ状になって存在することになる。これはフィン間の空気の流れを妨げ、通風抵抗を増大させ、熱交換効率を著しく低下させる原因となっていた。熱交換器の熱効率を向上させるには、フィン表面の凝縮水を迅速に排除することが必要である。
この解決法として、(1)アルミニウム合金フィン表面に高親水性被膜を形成し、凝縮水を薄い水膜として流下せしめる、(2)アルミニウム合金フィン表面に撥水性被膜を形成し、凝縮水を表面に付着させないようにする、ことが考えられる。
しかしながら、室内機では、親水性被膜にて満足することは出来たが、冬季の室外機では結霧水が氷結して霜となり、暖房性能を低下させるという問題点があったことから、撥水性被膜の提案があったが、まだ満足するものではなかった。
その他シリコーン系あるいはフッ素系撥水被膜に無機充填材を含有させたもの(特許文献2及び3参照)、電着塗料にシリカまたはチタニアを葡萄の房状にして含有させた撥水被膜があるが(特許文献4参照)、特許文献2及び3の技術では撥水被膜中の粒子が脱落しやすく、特許文献4の技術では十分な撥水性がなかったり、製法が複雑である問題がある。
(1)金属材の少なくとも一方の表面に、有機または無機の微粒子(A)を含む有機樹脂からなる下地被膜が形成され、該下地被膜の上に撥水性を示す仕上げ被膜が形成され、前記微粒子(A)の平均粒径は前記有機樹脂下地被膜の膜厚より1.5倍以上大きいことを特徴とする撥水性金属塗装材。
(2)金属材の少なくとも一方の表面に、有機または無機の微粒子(A)及び該微粒子(A)の1/4以下の平均粒径をもつ有機または無機の微粒子(B)を含む有機樹脂からなる下地被膜が形成され、微粒子(A)の表面には微粒子(B)の少なくとも一部が付着しており、下地被膜の上に撥水性を示す仕上げ被膜が形成され、微粒子(A)の平均粒径は前記有機樹脂下地被膜の膜厚より1.5倍以上大きく、微粒子(B)の平均粒径は仕上げ被膜の厚さより大きいことを特徴とする撥水性金属塗装材。
(3)金属材の少なくとも一方の表面に、有機または無機の微粒子(A)を含む有機樹脂からなる下地層が形成され、該下地層の上に前記微粒子(A)の1/4以下の平均粒径をもつ有機または無機の微粒子(B)を含む有機樹脂からなる下地被膜が形成され、微粒子(A)の表面には微粒子(B)の少なくとも一部が付着しており、前記下地被膜の上に撥水性を示す仕上げ被膜が形成され、微粒子(A)の平均粒径は前記有機樹脂下地被膜の合計の膜厚より1.5倍以上大きく、微粒子(B)の平均粒径は仕上げ被膜の厚さより大きいことを特徴とする撥水性金属塗装材。
(5)有機樹脂下地被膜の膜厚が、0.5〜10μmである上記(1)〜(4)のいずれかに記載の撥水性金属塗装材。
(6)微粒子(A)の平均粒径が、有機樹脂下地被膜の膜厚の1.5倍以上15μm以下である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の撥水性金属塗装材。
(7)前記下地被膜中において有機樹脂100質量部に対し、微粒子Aを3.5〜20質量部含有し、微粒子Bを0.4〜3.5質量部含有することを特徴とする上記(2)〜(6)のいずれかに記載の撥水性金属塗装材。
(9)仕上げ被膜が、フッ素系、シリコーン系の中から選ばれる1種以上である上記(1)〜(8)のいずれかに記載の撥水性金属塗装材。
(10)金属がアルミニウムまたはその合金である上記(1)〜(9)のいずれかに記載の撥水性金属塗装材。
(11)金属材の少なくとも一方の表面に、有機または無機の微粒子(A)または微粒子(A)及び該微粒子(A)の1/4以下の平均粒径をもつ有機または無機の微粒子(B)を含む有機樹脂塗料を塗布し、乾燥または焼き付け工程により下地被膜を形成し、該下地被膜上に撥水性塗料を塗布し、乾燥または焼き付け工程により仕上げ被膜を形成する方法であって、微粒子(A)の平均粒径は有機樹脂の膜厚より1.5倍以上大きく、微粒子(B)の平均粒径は仕上げ被膜の厚さより大きいことを特徴とする撥水性金属塗装材の製造方法。
(12)金属材の少なくとも一方の表面に、有機または無機の微粒子(A)を含む有機樹脂塗料を塗布し、乾燥または焼き付け工程により第1の下地膜を形成し、該下地膜の上に前記微粒子(A)の1/4以下の平均粒径をもつ有機または無機の微粒子(B)を含む有機樹脂塗料を塗布し、乾燥または焼き付け工程により第2の下地被膜を形成し、第2の下地被膜の上に撥水性塗料を塗布し、乾燥または焼き付け工程により仕上げ被膜を形成する方法であって、微粒子(A)の平均粒径は前記有機樹脂の合計の厚さより1.5倍以上大きく、微粒子(B)の平均粒径は仕上げ被膜の厚さより大きいことを特徴とする撥水性金属塗装材の製造方法。
本発明の金属塗装材は金属材の少なくとも一方の表面に特定の粒子を含む有機樹脂からなる下地被膜を形成し、その上に撥水性の仕上げ被膜を形成したものである。
金属材はアルミニウムやその他の金属に適用可能であるが、特にアルミニウム材が好ましい。
板材等の撥水性は、一般的に板材表面と相関があり、表面積が増加するに従い、撥水性も増加することが知られている。そこで、板表面の表面積を増加する方法としては、撥水性被膜そのものに凹凸を付け、表面積を増やす方法があるが、撥水性被膜に凹凸をつけることが困難である。よって、本発明では、微粒子によって微細な凹凸を下地被膜に形成し、その表面に撥水性である仕上げ被膜を形成することにより、撥水性を保持した被膜を形成することを可能としたものである。
また本発明では撥水効果を高めるために微粒子(A)に微粒子(B)を加えたものを用いる。微粒子(B)は平均粒径が微粒子(A)の平均粒径の1/4以下である。微粒子(B)はその少なくとも一部は微粒子(A)の表面に付着し、微粒子の表面積を高めることができる。微粒子(B)の平均粒径が微粒子Aの平均粒径の1/4より大きいと、微粒子Aの周囲に付着させた場合、脱落しやすくなり、微粒子Aの周りについても、表面効果を出さないので、撥水性の向上効果が下がる。微粒子(B)により小さな凹凸を形成することにより、着霜の起点となる凸部が多くなり、霜が充分に発達する前に取り除かれることになる。
微粒子(B)は仕上げ膜の表面より上に出ていることが、表面積を高める上で効果があり、したがって微粒子(B)は平均粒径は仕上げ膜の厚さより大きくする。
微粒子の種類としては、けい酸塩、金属酸化物、珪藻土、ガラス、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン・メラミン系樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン系樹脂、フッ素系樹脂の中から選ばれる1種以上から構成されていることが好ましい。その中でも、被膜への付着性、形状効果等の点から、無機系ではシリカ、アルミナ、有機系はアクリル系が好ましい。
下地被膜の有機樹脂部分の膜厚は、0.5〜10μmが好ましい。膜厚が0.5μm未満であると、微粒子(A)を保持が難しく、10μmより厚いと、効果が飽和し、不経済である。
仕上げ塗膜の種類としては、一般的な撥水性被膜を処理することで構わない。その中でも、撥水性処理としては、フッ素系、シリコーン系のものが、撥水性、密着性とも良好であるので、好ましい。
そして、本発明の親水性被覆用下地樹脂組成物を種々の硬質材料の表面に塗布する方法については、特に制限はない。
被膜を形成する塗布方法としては、例えば、ロールスクイズ法、ケミコーター法、ロールコーター法、エアナイフ法、浸漬法、スプレー法、静電塗装法等があげられ、乾燥は一般的な加熱法、誘電加熱法などにより行うことができる。これらの方法のうち被膜の均一性、生産性からロールコーター法が好ましい。そして、ロールコーター法としては、塗布量管理に便利なグラビアロールを用いる方法や、厚塗りするのに便利なナチュラルコート方式や、塗布面を綺麗に仕上げるのに有利なリバースコート方式等を採用することができる。
塗装における焼付け温度が150℃未満や焼付け時間が1秒未満であると、被膜が十分に形成されず、塗膜密着性や耐食性の低下が顕著になる。反対に焼付け温度が300℃を超えたり、焼付け時間が60秒を超えたりすると、変色や塗膜密着性の低下などを生じて、製品上問題となる。
仕上げ被膜の形成方法は、上記の方法にて形成した下地被膜アルミニウム塗装材に撥水性組成物を塗布し、乾燥又は焼付けを行い、その表面に撥水性被膜を形成することにより得られる。
〔実施例〕
実施例及び比較例の製造方法は以下のようにした。
各実施例及び比較例の樹脂について、アルミニウム合金板(1100−H24材、0.100mm厚さ)を弱アルカリ脱脂、水洗、乾燥後、有機樹脂塗料をロールコーターにて塗布し、所定の到達板表面温度(PMT)、時間で焼付けし、所定の被膜量の下地被覆アルミニウム合金板を得た。得られた下地被覆アルミニウム合金板に各撥水性処理剤をロールコーターにて塗布・焼付けし、撥水性被覆アルミニウム合金板を得た。下地被膜の焼き付け条件は240℃、20秒で、撥水性被膜の焼き付け条件は80℃、60秒である。得られた撥水性被覆アルミニウム合金板について、撥水性、塗膜密着性、除霜性を以下の方法で測定した。
表1に示す塗料のエポキシ系樹脂は、ビスフェノールAエポキシ樹脂にアクリル樹脂を付与させたエステル型エポキシ樹脂であり、重量平均分子量は、約3,800である。
フッ素系樹脂は、フルロテクノロジ社製フロロサーフFS−3030TH−2.0である。
実施例2は、微粒子A及びBを含有した塗料を塗布・焼付けし、その後、撥水性処理剤をロールコーターにて塗布・焼付けした。
実施例3〜15は、微粒子Aを含有した塗料を塗布・焼付けした後、微粒子Bを含有した塗料を塗布・焼付けし、その下地被覆アルミニウム合金板に撥水性処理剤を塗布・焼付けした。
比較例1は、下地処理を行っていないアルミニウム合金板に撥水性処理剤を塗布・焼付けした。
比較例2は、微粒子を含んでいない塗料を塗布・焼付けした後、撥水性処理剤を塗布・焼付けした。
比較例3は、粒径が小さい微粒子Aを含む塗料を塗布・焼付けした後、撥水性処理剤を塗布・焼付けした。
比較例4は、微粒子Aを含有した塗料を塗布・焼付けした後、微粒子Bを含有した塗料を塗布・焼付けした下地被覆アルミニウム合金板を用いた。
ゴニオメーターで純水の接触角を測定した。
◎ :接触角が130°以上
○ :接触角が100°以上、130未満
△ :接触角が80゜以上、100゜未満
× :接触角が80°未満
〔塗膜密着性〕
JIS H4001における付着性試験を用い、碁盤目におけるテープ剥離後の残存個数を測定した。
〔除霜性〕
雰囲気を10℃×RH60%の恒温槽中に、-10℃に冷やしたサンプルを設置し、表面の着霜状況を目視にて観察した。
● :着霜 無し
△ :一部着霜 有り
× :着霜 有り
実施例1は、微粒子Bを含まない、微粒子Aのみの下地被膜、本実施例2は、微粒子A、微粒子Bを混在した1層の被膜によって形成された下地被膜、実施例7は、微粒子Aの添加量が少なく、実施例9は、微粒子Bの添加量が少なかったため、微細な凸部が形成できず、一部に霜を発生させたが、ほぼ性能を満足することができた。その中でも、実施例3〜6、8、10〜15は、いずれの性能を充分満足した。
しかしながら、比較例1は撥水性被膜だけの材料、比較例2は微粒子を含まない下地被膜に仕上げ皮膜を形成した材料、比較例3は粒径が小さすぎた微粒子を含有した下地被膜に仕上被膜を形成した材料、比較例4は、微粒子A、Bを含んだ下地被膜を形成した材料であったが、仕上被膜を形成しなかったため、充分な凹凸を形成できず、撥水性、除霜性とも満足することができなかった。
最近の空調機用熱交換器である軽量化、熱効率の向上のためコンパクトで、フィン間隔をでき得る限り狭く設計された熱交換器にも用いることができる。
Claims (12)
- 金属材の少なくとも一方の表面に、有機または無機の微粒子(A)を含む有機樹脂からなる下地被膜が形成され、該下地被膜の上に撥水性を示す仕上げ被膜が形成され、前記微粒子(A)の平均粒径は前記有機樹脂下地被膜の膜厚より1.5倍以上大きいことを特徴とする撥水性金属塗装材。
- 金属材の少なくとも一方の表面に、有機または無機の微粒子(A)及び該微粒子(A)の1/4以下の平均粒径をもつ有機または無機の微粒子(B)を含む有機樹脂からなる下地被膜が形成され、微粒子(A)の表面には微粒子(B)の少なくとも一部が付着しており、下地被膜の上に撥水性を示す仕上げ被膜が形成され、微粒子(A)の平均粒径は前記有機樹脂下地被膜の膜厚より1.5倍以上大きく、微粒子(B)の平均粒径は仕上げ被膜の厚さより大きいことを特徴とする撥水性金属塗装材。
- 金属材の少なくとも一方の表面に、有機または無機の微粒子(A)を含む有機樹脂からなる下地層が形成され、該下地層の上に前記微粒子(A)の1/4以下の平均粒径をもつ有機または無機の微粒子(B)を含む有機樹脂からなる下地被膜が形成され、微粒子(A)の表面には微粒子(B)の少なくとも一部が付着しており、前記下地被膜の上に撥水性を示す仕上げ被膜が形成され、微粒子(A)の平均粒径は前記有機樹脂下地被膜の合計の膜厚より1.5倍以上大きく、微粒子(B)の平均粒径は仕上げ被膜の厚さより大きいことを特徴とする撥水性金属塗装材。
- 有機または無機の微粒子(A)及び(B)が、けい酸塩、金属酸化物、珪藻土、ガラス、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン・メラミン系樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン系樹脂、フッ素系樹脂の中から選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の撥水性金属塗装材。
- 有機樹脂下地被膜の膜厚が、0.5〜10μmである請求項1〜4のいずれかに記載の撥水性金属塗装材。
- 微粒子(A)の平均粒径が、有機樹脂下地被膜の膜厚の1.5倍以上15μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の撥水性金属塗装材。
- 前記下地被膜中において有機樹脂100質量部に対し、微粒子Aを3.5〜20質量部含有し、微粒子Bを0.4〜3.5質量部含有することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の撥水性金属塗装材。
- 有機樹脂が、エポキシ系樹脂である請求項1〜7のいずれかに記載の撥水性金属塗装材。
- 仕上げ被膜が、フッ素系、シリコーン系の中から選ばれる1種以上である請求項1〜8のいずれかに記載の撥水性金属塗装材。
- 金属がアルミニウムまたはその合金である請求項1〜9のいずれかに記載の撥水性金属塗装材。
- 金属材の少なくとも一方の表面に、有機または無機の微粒子(A)または微粒子(A)及び該微粒子(A)の1/4以下の平均粒径をもつ有機または無機の微粒子(B)を含む有機樹脂塗料を塗布し、乾燥または焼き付け工程により下地被膜を形成し、該下地被膜上に撥水性塗料を塗布し、乾燥または焼き付け工程により仕上げ被膜を形成する方法であって、微粒子(A)の平均粒径は有機樹脂の膜厚より1.5倍以上大きく、微粒子(B)の平均粒径は仕上げ被膜の厚さより大きいことを特徴とする撥水性金属塗装材の製造方法。
- 金属材の少なくとも一方の表面に、有機または無機の微粒子(A)を含む有機樹脂塗料を塗布し、乾燥または焼き付け工程により第1の下地膜を形成し、該下地膜の上に前記微粒子(A)の1/4以下の平均粒径をもつ有機または無機の微粒子(B)を含む有機樹脂塗料を塗布し、乾燥または焼き付け工程により第2の下地被膜を形成し、第2の下地被膜の上に撥水性塗料を塗布し、乾燥または焼き付け工程により仕上げ被膜を形成する方法であって、微粒子(A)の平均粒径は前記有機樹脂の合計の厚さより1.5倍以上大きく、微粒子(B)の平均粒径は仕上げ被膜の厚さより大きいことを特徴とする撥水性金属塗装材の製造方法。
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