JP5506566B2 - 熱交換器用アルミニウムフィン及び熱交換器 - Google Patents
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従来から、上記プレートフィンには、軽量で熱伝導性及び加工性に優れていることからアルミニウムが使用されている。
次いで、この得られたプレートフィンを積層した後に、組み付け孔の内部に、別途作製した伝熱管を挿通させる。
次に、伝熱管をアルミニウムプレートフィンに拡管固着し、ヘアピン曲げ加工を施した側と反対側の伝熱管端部にUベンド管をろう付け加工する工程を経て、熱交換器が作製される。
(1)アルミニウム合金フィン表面に高親水性被膜を形成し、凝縮水を薄い水膜として流下させる。
(2)アルミニウム合金フィン表面に撥水性被膜を形成し、凝縮水を早期に排除して表面に残りにくいようにする。
例えば、特許文献1には、シリコーン系または、フッ素系樹脂化合物からなる溶液と、前記溶液中の固形分に対する比率が10〜40重量%であり、比表面積が50m2/g以上、かつ平均粒子径4μm以下でさらに表面に疎水化処理を施した無機微粒子とからなる撥水性コーティング組成物が開示されている。
特許文献2には、シリコーン系樹脂化合物からなる溶液及び分子中に少なくとも2種の官能基を有する樹脂改質剤及び粒径が4μm以下であり、前記溶液中の固形分に対する構成比率が5〜60重量%である無機微粒子とからなる撥水性コーティング用組成物が開示されている。
特許文献5には、金属材の少なくとも一方の表面に、有機または無機の微粒子(A)を含む有機樹脂からなる下地被膜が形成され、該下地被膜の上に撥水性を示す仕上げ被膜が形成され、前記微粒子(A)の平均粒径は前記有機樹脂下地被膜の膜厚より1.5倍以上大きいことを特徴とする撥水性金属塗装材が開示されている。
例えば、特許文献1、2に記載の技術では、撥水性被膜中の粒子が脱落しやすいという問題がある。特許文献3についても、特許文献1、2と同様、アルミナ等の粒子が脱落しやすいという問題がある。特許文献4の技術は、疎水性シリカが皮膜表面に露出した状態にある必要があり、やはり疎水シリカが脱落しやすいという問題がある。
さらに、近年、熱交換器の軽量化や熱効率の向上、さらにはコンパクト化等の要請に応えるために、アルミニウムフィンの間隔をますます狭くする設計が取り入れられている。このようなフィン間隔の狭いクロスフィンチューブ型熱交換器においては、特許文献1〜5に開示されている撥水性塗膜を塗布したアルミニウムフィン材では、水の接触角が大きいため、より小さい凝縮水でもフィン間に凝縮水のブリッジを形成し、通風抵抗を増大させるうえ、着霜も早い。
上記塗膜のうち、最外層の塗膜に含有される成分は、固形分質量%で、パーフルオロアルキル基を含むフッ素樹脂をA、アミノ樹脂をBとしたとき、
A+B≧95%
A≧1%、B≧1%
であることを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィンにある(請求項1)。
上記フィンは、第1の発明の熱交換器用アルミニウムフィンを用いて形成され、
上記フィンの積層ピッチが、2mm以下であることを特徴とする熱交換器にある(請求項4)。
一方、アミノ樹脂は、基本的に親水性であるが、パーフルオロアルキル基を含むフッ素樹脂に適正量を含有させると、塗膜の密着性を強度を高める他に、水滴接触角の顕著な低下なしに(=撥水性の顕著な低下なしに)効果的に難着霜性を向上させることが見出されたのである。親水性のアミノ樹脂の添加により、パーフルオロアルキル基の撥水部分が塗膜表面に配向し、撥水効果を高めるものとも考えられる。
また、従来技術にあるような、アルミナ等の粒子を含有させることも可能であるが、この含有量が多すぎると、脱落し易いという問題があり好ましくない。
A<15%の場合には、AとBとを混合した後、塗装までの間に塗料の一部が固化し易く、板面に均一に塗装することが困難となるおそれがあり、塗装性に劣るおそれがある。
上記アミノ樹脂の一例としては、メラミン樹脂を挙げることができる。
本例の熱交換器用アルミニウムフィン1は、図1に示すごとく、アルミニウムよりなる基板10と、該基板10の表面に形成した1層の撥水性の塗膜2からなる。なお、後述する試料No.6については、図2に示すごとく、撥水性の塗膜2と基板10との間に、耐食性の下塗り塗膜3を形成し、2層構造の塗膜とした。なお、基板10と塗膜2または塗膜3との間には、後述する試料No.6以外において、リン酸クロメートよりなる化成被膜4が形成されている。
本例では、フッ素樹脂は、パーフルオロアルキル基を含むもので、具体的には旭硝子製AG−E060を使用した。アミノ樹脂は、具体的にはメラミン樹脂(DIC製ベッカミンJ101)を使用した。
また、比較例としての試料No.8は、最外層の塗膜が、アミノ樹脂を100%含有するものであり、パーフルオロアルキル基を含むフッ素樹脂を含んでいない。
また、比較例としての試料No.9は、上記フッ素樹脂及びアミノ樹脂を含有するが、そのほかにシリコーン樹脂を12%含有し、上記A+B=88%である。
試料No.6については、耐食性の塗膜3となるエポキシ樹脂塗料を、浸漬法により塗装し、170℃に20分間保持する条件で焼き付けた。耐食性の塗膜3の厚さは1.0μmに設定した。塗膜3の上層には、上記と同様の条件により最外層の塗膜2を塗装した。
本例で用いる熱交換器6は、図3に示すごとく、上記熱交換器用アルミニウムフィン1よりなる多数のプレートフィンと、これらを貫通させた伝熱管61とを組み合わせたクロスフィンチューブタイプのものである。
次いで、この得られたプレートフィンを積層した後に、組み付け孔の内部に、別途作製した伝熱管61を挿通させる。
次に、伝熱管61をフィン1に拡管固着し、ヘアピン曲げ加工を施した側と反対側の伝熱管端部にUベンド管62をろう付け加工する工程を経て、熱交換器6が作製される。
各部のサイズは、フィン1の幅Wは25.4mm、長さLは294mm、フィンの積層ピッチPは1.4mm、熱交換器6全体の幅Dは300mmとした。
得られた熱交換器6は、脱脂のため140℃で20分加熱した。
脱脂後の熱交換器全体を塗料に浸漬する浸漬法を用いて、フィン1の表面を塗装した。塗装条件は、上述した平板状のサンプルの場合と同じにした。
各試料につき、上述した平板状のサンプルを用いて、水滴接触角の評価を行った。
評価方法は、図4に示すごとく、フィン表面に2μlの純水を滴下し、その水滴8と塗膜2の表面との接触角αを測定するというものである。
評価結果は表2に示す。
各試料つき、上述した熱交換器を用いて、難着霜性の評価を行った。
評価は、雰囲気温度(乾球温度)が2℃、湿球温度が1℃の環境下に上記熱交換器を設置し、伝熱管内に、20kg/hrの流量で−5℃の冷媒91を流し、流通させる風の入り口風速を1.5m/secとするという運転条件で行った。そして、風92の通風抵抗を、熱交換器の入り側と出側での差圧によって測定し、その値が500Paになるまでの運転時間にて評価した。通風抵抗が500Paになるまでの運転時間が、比較のために別途準備した無塗装材を用いた熱交換器(アルミニウム基板表面を露出させ、一切塗膜等を形成していないフィン)よりも30分以上延びたものを(◎)、20分以上30分未満延びたものを(○)とし、◎と○を合格、20分未満のものを不合格(×)とした。評価結果は表2に示す。
各試料につき、上述した平板状のサンプルを用いて、塗膜密着性の評価を行った。
具体的には、塗装2の表面を上にした状態で設置したサンプル上に、日本製紙クレシア(株)製キムワイプを先端重量が0.9kgのハンマー先端に8枚重ねて巻きつけたものを置き、塗膜2の表面を摺動させ、アルミニウム板が露出したときの摺動回数で比較した。摺動回数が5回以上を合格(○)、5回未満を不合格(×)とした。
評価結果を表2に示す。
一方、比較例の試料No.7は、最外層の塗膜2の成分としてアミノ樹脂が含有されておらず、難着霜性が良好でなかった。
比較例の試料No.8は、最外層の塗膜2の成分としてフッ素樹脂が含有されておらず、難着霜性が良好でなかった。
比較例の試料No.9は、最外層の塗膜2の成分としてフッ素樹脂とアミノ樹脂の合計量(A+B)が少なく、難着霜性が良好でなかった。
特に、試料No.1〜6は、難着霜性の他、密着性、塗装性とも良好であった。一方、試料No.10、11は、A<15%であり、塗装性が良好でなかった。試料No.12及び13は、B<10%であり、密着性が良好でなかった。
10 基板
2 最外層の塗膜
6 熱交換器
Claims (4)
- アルミニウムよりなる基板と、該基板の表面に形成した1層もしくは複層の塗膜からなる熱交換器用アルミニウムフィンであって、
上記塗膜のうち、最外層の塗膜に含有される成分は、固形分質量%で、パーフルオロアルキル基を含むフッ素樹脂をA、アミノ樹脂をBとしたとき、
A+B≧95%、
A≧1%、B≧1%、
であることを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン。 - 請求項1に記載の熱交換器用アルミニウムフィンにおいて、
さらに、A≧15%、B≧10%、
であることを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン。 - 請求項1又は2に記載の熱交換器用アルミニウムフィンにおいて、上記最外層の塗膜は、水滴接触角が90°〜150°であることを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン。
- アルミニウムからなるフィンを多数積層し、該フィンに設けられた円筒状のカラー部内に挿入配設することにより上記伝熱管と多数の上記フィンとを一体的に組み付けてなるクロスフィンチューブからなる熱交換器であって、
上記フィンは、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器用アルミニウムフィンを用いて形成され、
上記フィンの積層ピッチが、2mm以下であることを特徴とする熱交換器。
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