JP2011083689A - 撥水性金属塗装材 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的容易な方法によって、高撥水性で長期に亘って撥水性が維持可能で、かつ、塗膜密着性に優れた金属塗装材を提供する。
【解決手段】金属材と、その少なくとも一方の面に形成され親水性微粒子を含有する有機樹脂からなる下地塗膜と、その上に形成された撥水性仕上げ塗膜とを備え、仕上げ塗膜が1.5〜5.0μmの算術平均粗さと10〜50μmの輪郭曲線要素の平均長さを有し、下地塗膜の有機樹脂が、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂の1種以上であり、下地塗膜の付着量が0.5〜10.0g/mであり、微粒子が二酸化ケイ素であり、二酸化ケイ素微粒子の平均粒径がこれが存在しない部分の下地塗膜厚より大きく、且つ、3〜12μmであり、下地塗膜中の二酸化ケイ素微粒子の含有量が有機樹脂との総量100重量部に対して5〜50重量部である撥水性金属塗装材。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属材の表面に撥水性を発現させ、かつ、密着性に優れた塗膜を形成させた金属塗装材に関する。
近年、材料表面に撥水性の表面を形成する技術が多く発表されているが、これらの多くは、撥水性組成物を用いて材料表面に撥水性の被膜を形成させる技術である。特許文献1には、フルオロオレフィンと反応性シリコーンとを必須成分とするシリコーン含有フッ素系共重合体又はそれを含む組成物を用いて、基材上に硬化反応を経て形成される塗膜が記載されている。この塗膜では、X線光電子分光法により測定した塗膜表面に存在するSi原子数が2〜30atomic%であるか、又は該存在Si原子に加えてF原子数が2〜32atomic%であることが記載されているが、接触角が110°未満であり撥水性として不十分であった。
本発明者らは、撥水性に優れる金属塗装材を見出している(特許文献2)。この金属塗装材は、二酸化ケイ素微粒子(A)を含む有機樹脂からなる下地被膜が形成され、該下地被膜の上に撥水性を示す仕上げ被膜が形成された金属塗装材である。撥水性に優れるという好ましい性質を有しているが、更に高度な撥水性を保持し、長期に亘って撥水性が維持可能な金属塗装材が望まれていた。
特開2006−167490号公報 特開2009−012238号公報
そこで、本発明者らは従来技術における問題点に鑑み、比較的容易な方法によって、高撥水性で長期に亘って撥水性が維持可能で、かつ、塗膜密着性に優れた金属塗装材を提供することを目的とする。
本発明は請求項1において、金属材と、その少なくとも一方の表面に形成され親水性の微粒子を含有する有機樹脂からなる下地塗膜と、当該下地塗膜の上に形成された撥水性の仕上げ塗膜とを備え、前記仕上げ塗膜が1.5〜5.0μmの算術平均粗さ(Ra)及び10〜50μmの輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)を有し、前記下地塗膜の有機樹脂を、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂から成る群から選択される1種以上とし、前記金属材に対する下地塗膜の付着量を0.5〜10.0g/mとし、前記微粒子を二酸化ケイ素からなるものとし、この二酸化ケイ素微粒子の平均粒径を当該二酸化ケイ素微粒子が存在しない部分における下地塗膜厚より大きくし、且つ、3〜12μmとし、下地塗膜中における二酸化ケイ素微粒子の含有量を有機樹脂と二酸化ケイ素微粒子との総量100重量部に対して5〜50重量部としたことを特徴とする撥水性金属塗装材とした。
本発明は請求項2において、前記仕上げ塗膜を、フッ素系樹脂及びシリコーン系樹脂の1種以上からなるものとし、前記下地塗膜に対する仕上げ塗膜の付着量を0.1〜3.0g/mとした。
本発明により、簡単に、しかも安価に金属材表面に、高撥水性で長期に亘って撥水性が維持可能であり、かつ、優れた塗膜密着性を有する塗膜を提供することができる。
本発明に係る金属塗装材の構成を示す模式図である。 本発明に係る金属塗装材における仕上げ塗膜の表面形状を示す模式図である。 本発明に係る金属塗装材における仕上げ塗膜表面に、水滴が乗った状態を示す模式図である。 仕上げ塗膜の凹部内面に水滴が接する状態を示す模式図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。図1に、本発明の金属塗装材の構成を模式的に示す。金属塗装材1は、金属材2と、その少なくとも一方の表面(図では一方の表面)に形成された下地塗膜3と、下地塗膜3の上に形成された撥水性を有する仕上げ塗膜4とを備える。下地塗膜3は、親水性を有する微粒子5を含有する有機樹脂からなる。撥水性、密着性等の効果を高めるために、下地塗膜3と撥水性を示す仕上げ塗膜4との二重構造とする。この仕上げ塗膜4は、1.5〜5.0μmの算術平均粗さ(Ra)及び10〜50μmの輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)という特定の表面粗度を有することを特徴とする。
A.金属材
本発明に用いる金属材には、アルミニウムやその他の金属を用いることができるが、塗膜密着性、加工性、耐食性等の観点からアルミニウム材が好ましい。更に、アルミニウム材に耐食性皮膜を形成したものも用いることができる。耐食性皮膜としては、化成処理皮膜、陽極酸化皮膜、ベーマイト皮膜等が挙げられ、いずれの耐食性皮膜を用いてもよい。耐食性、密着性、経済性の観点から、化成処理皮膜を用いるのが好ましい。
化成処理皮膜としては、クロム系、ジルコニウム系の化成処理皮膜が用いられるが、耐食性、塗膜密着性の観点からクロム系の化成処理皮膜が好ましい。化成処理皮膜の形成方法としては、塗布型、電解型、反応型の化成処理方法等が用いられるが、いずれの方法を用いてもよい。乾燥温度も任意である。上記化成処理皮膜の形成方法のうち、成形性、塗膜密着性、耐食性に優れたりん酸クロメート法、塗布型クロメート法によるものが好ましい。これらの皮膜量はCr及びZr元素換算で2〜50mg/mが好ましい。化成処理皮膜量がCr及びZr元素換算で2mg/m未満では、十分な耐食性と塗膜密着性が得られない場合がある。また、50mg/mを超えても耐食性や塗膜密着性の効果が飽和し経済性に欠ける。好ましい皮膜量はCr及びZr元素換算で5〜30mg/mである。
B.下地塗膜
本発明に用いる下地塗膜は、水性塗料や溶剤性塗料から形成される。塗料の塗布方法についても、本発明における範囲内のものであれば特に制限はない。
下地塗膜は、金属材の少なくとも一方の表面に形成され、親水性を有する微粒子を含有する有機樹脂からなる。親水性微粒子は有機樹脂の間において良好な分散性を示すので均一な表面形状が与えられ、下地塗膜自体の表面形状を容易に調整することができる。このように調整された下地塗膜の表面形状は、下地塗膜上に形成された撥水性仕上げ塗膜の表面形状に反映され、仕上げ塗膜表面において特定の表面形状の形成が達成される。
B−1.有機樹脂
本発明における下地塗膜の有機樹脂としては、一般的な塗料に使用される樹脂を用いることができる。また、水性塗料としても溶剤性としてもよい。有機樹脂としては、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂が挙げられる。これらは、仕上げ塗膜との密着性、可撓性、耐水性、耐食性をバランスよく取れるので、成形加工として用いる樹脂としては好適である。その中でも、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂が仕上げ塗膜との密着性に特に優れているので、撥水性の持続性が優れ、下地塗膜としては最も適している。
エポキシ系樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF等のビスフェノール類、単環2価フェノール類(レゾルシノール、ピロカテコール、ハイドロキノン等)、1,5−ヒドロキシナフタレン等の多核フェノール類、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、フェノール−ジシクロペンタジエン共重合体等の2〜10価の縮合多核フェノール類とエピクロルヒドリンとをアルカリ触媒の存在化に縮合させて得られたもの等が用いられる。エポキシ当量は、塗膜の可撓性の観点から2,000〜20,000であるのが好ましい。
また、エポキシ系樹脂として上記ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ基又は水酸基に、脱水ヒマシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸などの植物油脂肪酸もしくはビスフェノールAなどの変性剤を反応せしめた変性エポキシ樹脂等も使用することができる。
水性塗料としては、上記のエポキシ系樹脂をエステル化法、グラフト法、直接法によって自己乳化性エポキシ樹脂としたものを用いることができる。溶剤性塗料としては、上記のエポキシ樹脂をトルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等エステル系溶剤の1種又は2種以上の混合溶剤に溶解させたものを用いることをできる。また、本発明においては、一般にフェノキシ系樹脂と呼ばれる高分子量ビスフェノール型エポキシ樹脂を使用することもできる。
これらのエポキシ系樹脂の中でも、工業的汎用性及び耐食性が良好である点から、特にビスフェノール類を反応させて得られるエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等が好適に用いられ、1種のみを単独で使用しても、2種以上の混合物として使用しても良い。工業的汎用性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、公知の多塩基酸と多価アルコールの重縮合反応であるエステル化反応から製造されるポリエステル系樹脂を用いることができる。
前記の多塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸等の芳香族二塩基酸類、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族二塩基酸類、また(無水)コハク酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ハイミック酸等の脂肪族二塩基酸類が挙げられる。
前記の多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、キシレングリコール等の脂肪族二価アルコール、バーサチック酸グリシジルエステル等の二価アルコール相当化合物が挙げられる。また、三価以上の多価アルコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
これら多価アルコールは、塗膜の硬度と可撓性とを勘案して単独又は二種以上を適宜選択すれば良い。
ポリエステル系樹脂は、5000〜25000、好ましくは6000〜20000の数平均分子量を有するものが好適に用いられる。数平均分子量が5000未満の場合には、加工性を塗膜に付与することができない場合があり、数平均分子量が25000を超えると、塗膜形成が困難となる場合がある。また、ポリエステル系樹脂は、5〜30mgKOH/gの水酸基価を有するものが好適に用いられる。水酸基価が5mgKOH/g未満では、耐食性の低下を招く場合があり、水酸基価が30mgKOH/gを超えると、硬化密度は向上するものの、塗膜が硬くなり加工性が低下する場合がある。更に、ポリエステル系樹脂は、40〜120℃、好ましくは50〜110℃のガラス転移温度(Tg)を有するものが好適に用いられる。Tgが40℃未満では、加工性は優れるものの塗膜硬度の低下を招く場合があり、Tgが120℃を超えると、塗膜の伸びが不足することで加工性が低下する場合がある。
ポリエステル系樹脂を用いて水性塗料を調製するには、ポリエステル樹脂や硬化剤を水混和性有機溶剤に溶解させてから、水と混合して水混和性有機溶剤を含有する水性媒体中に分散させる方法等が用いられる。ポリエステル系樹脂を用いて溶剤性塗料を調製するには、前記のポリエステル樹脂をメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、酢酸エチル、酢酸ブチル、石油エーテル、石油ナフサ等の1種又は2種以上の混合溶剤に溶解させる方法等が用いられる。
アクリル系樹脂としては、α、βモノエチレン系不飽和単量体と、これに共重合可能な単量体から形成される樹脂が用いられる。α、βモノエチレン系不飽和単量体としては、例えばアクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸nブチル、アクリル酸2エチルへキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸2エチルブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸3エトキシプロピル等)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸nへキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸デシルオクチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2メチルへキシル、メタクリル酸3メトキシブチルなど)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルケトン、ビニルトルエン及びスチレンが挙げられる。
α、βモノエチレン系不飽和単量体と共重合し得る単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、エチレン、トルエン、プロピレン、アクリルアミド、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸2ヒドリキシエチル、メタクリル酸2ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、Nメチロールアクリルアミドが挙げられ、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等を用いることもできる。
上記アクリル系樹脂を1種用いても、又は、異なる種類のアクリル樹脂を2種以上用いてもよい。
ウレタン系樹脂としては、分子中にウレタン結合を有するものであれば良く、主にイソシアネート化合物とポリオール類又はポリエーテルとの反応により形成されるものである。具体的には、イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4‘ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルプロパン1−メチル2−イソシアノ4−カルバメート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネートなどであり、ポリオール類、ポリエーテルの例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエーテルトリオールなどが用いられる。上記ウレタン系樹脂を1種用いても、又は、異なる種類のウレタン系樹脂を2種以上用いてもよい。
B−2.親水性微粒子
本発明における下地塗膜中に含有される親水性微粒子としては、親水性二酸化ケイ素微粒子が用いられる。親水性二酸化ケイ素微粒子の平均粒径は、当該微粒子が存在しない部分における下地塗膜厚より大きい。塗膜表面の凹凸の効果を高めるためである。また、親水性二酸化ケイ素微粒子の平均粒径は、3〜12μmである。平均粒径は、より好ましくは5〜10μmである。平均粒径が3μm未満であると、仕上げ塗膜における所定の表面形状を達成することが困難となる。一方、12μmを超えると二酸化ケイ素微粒子の下地塗膜中での保持性に欠け、塗装時の安定性が困難となって塗膜密着性が不十分となる。平均粒径は、散乱式粒度分布計にて測定されるものである。粒度分布は正規分布と近似し、平均粒径として求めた。親水性二酸化ケイ素微粒子は、公知の二酸化ケイ素粉末製造方法、例えば、乾式法、湿式法等によって製造されたものであってもよい。
本発明に用いられる二酸化ケイ素微粒子は、その表面に親水性が付与されることによって、下地塗膜の有機樹脂との濡れ性が向上し、下地塗膜形成時に均一に分散することができ、二酸化ケイ素微粒子同士の凝集を抑制することができる。その結果、下地塗膜の凹凸が効果的に形成されることが可能となる。親水性二酸化ケイ素微粒子としては、表面に親水性を積極的に付与されたもの、例えば、表面にシラノール基(Si−OH)やカルボキシル基などの官能基が導入されたものを用いることができる。これに代わって、疎水処理等の表面処理が施されていない一般的に使用される二酸化ケイ素微粒子を用いることもできる。このように、本発明でいう「親水性」には、使用する二酸化ケイ素微粒子が本来的に有しているものも含む。
親水性二酸化ケイ素微粒子としては非晶質なものが好ましく、熱分解法で製造されたものであっても、沈殿法で製造されたものであってもよい。熱分解法シリカ(二酸化ケイ素微粒子)は、水素及び酸素の存在下で四塩化ケイ素(SiCl)を1000℃で連続的に炎熱分解することにより得られる。沈殿法シリカは、アルカリ金属シリケート、好ましくはナトリウムシリケートの溶液を酸と反応させることにより得られる。なお、疎水性を有している二酸化ケイ素微粒子としてはテトラエトキシシラン(TEOS)とフェニルトリエトキシシラン(PTEOS)とを組み合わせたもの等がある。このような疎水性二酸化ケイ素微粒子の表面に、シラノール基(Si−OH)やカルボキシル基などの官能基を導入することによって親水性とすることもできる。
多孔性の親水性二酸化ケイ素微粒子は、仕上げ塗膜に反映される表面の凹凸形状、耐食性、塗膜密着性をバランスよく取れるので、下地塗膜へ添加するとより高度な撥水性を得ることができる。このような二酸化ケイ素微粒子の多孔性としては、吸油量が50〜350ml/100g、好ましくは100〜320ml/100gのものが好適に用いられる。吸油量が50ml/100g未満であると、二酸化ケイ素微粒子を含有しても微小な表面形状を達成する効果が少なくなり、吸油量が350ml/100gを超えると塗料の流動性が低下して塗装作業性が安定しない。ここで吸油量とは、JIS
K5101に準拠して測定されるものをいう。吸油量は、二酸化ケイ素微粒子の粒径や特性によって変化し、通常、粒子径が小さいほど吸油量が大きくなる。小さな粒子の吸油量を減少させるには、粒子をワックス等でコーティングする方法等が挙げられる。
下地塗膜中における親水性微粒子の含有量は、有機樹脂と二酸化ケイ素微粒子との総量100重量部に対して5〜50重量部とする。好ましくは20〜40重量部である。5重量部未満であると、仕上げ塗膜に反映される表面形状の効果が小さく、十分な撥水性効果が得られない。50重量部を超えると、下地塗膜における二酸化ケイ素微粒子の量が多過ぎて、下地塗膜の金属材及び仕上げ塗膜に対する密着性を保つことが困難になる。
金属材に対する下地塗膜の付着量は、0.5〜10g/mである。下地塗膜の付着量が0.5g/m未満であると、下地塗膜の厚さに対する二酸化ケイ素微粒子の粒径の比が大きくなり過ぎて二酸化ケイ素微粒子を下地塗膜中に保持するのが困難となる。その結果、塗膜密着性に欠けることになる。10g/mを超えると、下地塗膜が厚くなるため、二酸化ケイ素微粒子の粒径に対する下地塗膜の厚さの比が大きくなり、仕上げ塗膜に反映される下地塗膜表面の凹凸の効果が減じ、十分な撥水性効果が得られない。
下地塗膜を形成する塗料に顔料又は染料を含有させることにより、意匠性を付与することができる。顔料又は染料は、塗料分野で汎用に使用されているものであれば特に限定されない。顔料としては、酸化クロム、硫化カドミウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、黄鉛、酸化鉄、カーボンブラック等の無機顔料、アゾ系、ジアゾ系、縮合アゾ系、チオインジゴ系、インダンスロン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ベンゾイミダゾール系、ペリレン系、ペリノン系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラピリジン系、ジオキサジン系等の有機顔料が挙げられる。また、染料としては直接染料や反応染料、酸性染料、カチオン染料、バット染料、媒染染料等が挙げられる。上記の顔料又は染料は、単独もしくは2種類以上が含有されていても差し支えない。
下地塗膜の塗料には、上記樹脂成分、親水性微粒子成分及び顔料や染料成分以外に、必要に応じて、硬化触媒、レベリング剤等の通常塗料に用いられる各種添加剤を配合することができる。なお、塗料として水性塗料、溶剤性塗料のいずれを用いる場合でも、塗装作業性の観点から、塗料粘度が10〜400秒(フォードカップNo.4/室温)とするのが好ましく、この観点から有機樹脂や親水性微粒子等の含有量が適宜決定される。
C.仕上げ塗膜
本発明では、金属塗装材の表面に撥水性の仕上げ塗膜を形成し、この撥水性塗膜の表面を特定の表面形状とすることによって、高撥水性で、かつ、長期に亘って撥水性が維持可能な金属塗装材が得られる。そして、このような特定の表面形状は、金属材と仕上げ塗膜との間に形成される下地塗膜の表面形状を調整することによって、その表面形状が仕上げ塗膜表面に反映されることによって達成される。
本発明に用いる仕上げ塗膜も、水性塗料や溶剤性塗料から形成される。塗料の塗布方法についても、本発明における範囲内のものであれば特に制限はない。
C−1.仕上げ塗膜の表面形状と撥水性との関係
図2に模式的に示すように、仕上げ塗膜の表面形状として、一定の算術平均粗さRa及び輪郭曲線要素の平均長さRSmを有するものを考える。図2において、3は下地塗膜、4は仕上げ塗膜、6は凸部であり、7は凸部間の凹部であり、8は仕上げ塗膜表面である。凸部6の算術平均粗さがRaで、凸部同士の間隔である凹部7の長さが輪郭曲線要素の平均長さはRSmとなる。
このような仕上げ塗膜の撥水性は、接触角の大きさで評価される。図3に示すように、水滴9が仕上げ塗膜4、ならびに、水滴9と仕上げ塗膜4との間に介在する空気からなる凹部7のように、接触角が異なる二つの物質の面に接して支えられている場合に、塗膜表面8における水滴の接触角はCassieの次式で求められる。すなわち、
cosθ=A1cosθ1+A2cosθ2
となる。ここで、θは仕上げ塗膜表面8における水滴9の接触角、θ1は仕上げ塗膜4に対する水滴9の接触角、θ2は凹部7である空気に対する水滴9の接触角、A1は仕上げ塗膜4の水滴9と接している表面積の全塗膜表面に占める表面積率であり、A2は水滴9と仕上げ塗膜4との間に介在する凹部7が全塗膜表面に占める表面積率を表わす。
別個の測定により、θ1は約110°、θ2は約180°として得られ、仕上げ塗膜4に比べて凹部7に対する水滴9の接触角は大きい。したがって、水滴9と仕上げ塗膜4との間に介在する凹部7が水滴9と接している表面積を多くすれば、仕上げ塗膜表面8の接触角が大きくなり、高い撥水性が得られる。しかしながら、空気が水滴と接する表面積を増やすために凸部6の間隔を広げると、図4に示すように、水滴9の自重により凹部7の底部方向への変形が大きくなり、凹部7の内面に水滴9が接するほど変形が進むと、かえって水滴9が仕上げ塗膜4と接する表面積が増えて接触角θが小さくなり撥水性が低下することとなる。
C−2.算術平均粗さ(Ra)と輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)
本発明においては、算術平均粗さRa及び輪郭曲線要素の平均長さRSmを特定範囲に規定することにより、凹凸の高さと間隔を適切な範囲とすることで高撥水性を達成することを可能にした。
Raについては、1.5〜5.0μmに規定される。Raが1.5μm未満では、表面に付着した水滴を支える仕上げ塗膜凸部の高さが低くなり付着した水滴の一部が仕上げ塗膜凹部内面に接触する。その結果、仕上げ塗膜の接触面積が増加し仕上げ塗膜表面の接触角θが小さくなって撥水性が低下する。一方、Raが5.0μmを超えると、仕上げ塗膜表面の凹凸の差異が大きくなる。その結果、下地塗膜に含有される親水性微粒子の脱落等が発生し、製造に支障が生じる。
本発明における輪郭曲線要素の平均長さRSmは、表面平坦部及び表面粗部の幅を示す指標であり、RSmが小さくなると凹凸の間隔が狭くなることによって、水滴が仕上げ塗膜凹部内面に接触することなく、撥水性をより効果的に発揮すると考えられる。本発明では、RSmは10〜50μmに規定される。
仕上げ塗膜のRSmが10μm未満となる下地塗膜では、下地塗膜を形成する際に下地塗膜中の親水性微粒子同士が重なり、微粒子と有機樹脂との接触面積が減少して下地塗膜中に含有される微粒子を有機樹脂が保持できなくなり、下地塗膜から突き出した微粒子が脱落し易くなる。このように、仕上げ塗膜のRSmが10μm未満となる下地塗膜を製造することは困難である。一方、仕上げ塗膜のRSmが50μmを超えると、仕上げ塗膜上に存在する水滴に対して凹凸の間隔が広くなり、付着した水滴が仕上げ塗膜凹部内面に接触してしまい、接触角が小さくなって十分な撥水性を得ることができない。ここで、空気中に浮遊する雲等の水滴の大きさは、通常1〜10μmであり、塗装材表面に付着する結露水は、雲等と同様の空気中の水滴が凝集することで付着する。よって、結露水の大きさは空気中の水滴以上となることから、結露水は100〜1000μmの大きさを有するものとした。
上記のような仕上げ塗膜表面形状とするには、上述のように、金属材に対する下地塗膜の付着量、下地塗膜中の親水性微粒子の含有量、親水性微粒子の平均粒径を制御するとともに、下記に示すように、下地塗膜に対する仕上げ塗膜の付着量を制御することにより達成されることを本発明者らは見出した。
C−3.仕上げ塗膜の材質
本発明における撥水性を有する仕上げ塗膜としては、一般的な撥水性塗膜が用いられる。その中でも、シリコーン系塗膜、フッ素系塗膜及びこれらの混合物が、撥水性及び密着性を一層高めることができるので好ましい。シリコーン系塗膜としては、シリコンレジン樹脂、ジメチルシリコン樹脂等が用いられ、フッ素系塗膜としては、フルオロアルキル樹脂、四フッ化エチレン樹脂等が用いられる。
C−4.仕上げ塗膜の付着量
下地塗膜に対する仕上げ塗膜の付着量は、0.1〜3.0g/mとするのが好ましく、0.1〜1.0g/mとするのがより好ましい。仕上げ塗膜の付着量が0.1g/m未満であると、下地塗膜の表面を全て仕上げ塗膜で被覆することができず、撥水性を十分に確保することが困難となる。仕上げ塗膜の付着量が3g/mを超えると、下地塗膜における凹凸形状を埋めてしまい下地塗膜の表面粗度を仕上げ塗膜に反映することができず、撥水性の確保が困難となる。
下地塗膜と同様に、仕上げ塗膜の塗料には上記撥水性樹脂の他に各種添加剤を配合することができる。塗料として水性塗料、溶剤性塗料のいずれを用いてもよく、塗装作業性の観点から、塗料粘度が10〜400秒(フォードカップNo.4/室温)とするのが好ましく、この観点から撥水性樹脂の含有量が適宜決定される。
D.金属塗装材の製造方法
まず、金属材の少なくとも一方の表面に、化成処理皮膜等の耐食性皮膜を形成する。なお、耐食性皮膜を形成する前に、通常の、アルカリ脱脂処理とその後の水洗処理を行なうのが好ましい。次いで、耐食性皮膜の上に下地塗膜が形成される。下地塗膜を形成する方法は、親水性微粒子を含有する例えばエポキシ系樹脂を主成分する塗料を塗布した後、乾燥又は焼付けを行う。下地塗膜を形成する際に行う焼付け加熱条件については、焼付け温度(到達表面温度)は150℃以上が好ましく、更に好ましくは170〜300℃であり、焼付時間は1〜60秒で行うことが好ましい。
塗装における焼付け温度が150℃未満や焼付け時間が1秒未満であると、下地塗膜が十分に形成されず、塗膜密着性や耐食性の低下が顕著になる。焼付け温度が300℃を超えたり、焼付け時間が60秒を超えたりすると、変色や塗膜密着性の低下などを生じて、製品上問題となる。
下地塗膜の塗布方法については、特に制限はない。塗布方法としては、例えば、ロールスクイズ法、ケミコーター法、ロールコーター法、エアナイフ法、浸漬法、スプレー法、静電塗装法等が挙げられ、乾燥は一般的な加熱法、誘電加熱法などにより行うことができる。これらの方法のうち塗膜の均一性、生産性からロールコーター法が好ましい。そして、ロールコーター法としては、塗布量管理に便利なグラビアロールを用いる方法や、厚塗りするのに便利なナチュラルコート方式や、塗布面の仕上げが良好な有利なリバースコート方式等を採用することができる。
次いで、下地塗膜の上に仕上げ塗膜が形成される。仕上げ塗膜を形成する方法は、フッ素系樹脂又はシリコーン系樹脂を主成分する塗料を塗布した後、乾燥又は焼付けを行う。焼付け加熱条件については、焼付け温度(到達表面温度)は80℃以上が好ましく、焼付時間は1〜60秒で行うことが好ましい。
塗装における焼付け温度が150℃未満や焼付け時間が1秒未満であると、仕上げ塗膜が十分に形成されず、塗膜密着性や耐食性の低下が顕著になる。焼付け温度が300℃を超えたり、焼付け時間が60秒を超えたりすると、変色や塗膜密着性の低下などを生じて、製品上問題となる。
下地塗膜及び仕上げ塗膜の付着量は、硫酸脱膜による塗膜質量試験法を用いて測定される。なお、下地塗膜の付着量は、有機樹脂及び親水性微粒子を合計した量である。
以下に実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
実施例1〜19及び比較例1〜13
金属材として、アルミニウム合金板(5052−H34材、0.500mm厚さ)を用いた。まず、このアルミニウム合金板の一方の表面に弱アルカリ脱脂処理を施して水洗した。次いで、水洗したアルミニウム合金板の表面に、通常の方法で、化成皮膜としてりん酸クロメート皮膜(金属Cr換算量で20mg/m)を形成した。次いで、この化成皮膜上に下地塗膜を形成する塗料をロールコーターにて塗布し、所定の到達板表面温度(PMT)と時間で焼付けし、所定の塗膜量を形成したアルミニウム合金板を得た。更に、下地塗膜上に撥水性仕上げ塗膜を形成する塗料をロールコーターにて塗布・焼付けし、仕上げ塗膜を形成し、撥水性アルミニウム塗装材を得た。下地塗膜の焼き付け条件は240℃で20秒間とし、仕上げ塗膜の焼付け条件は80℃で60秒間とした。
下地塗膜の塗料は溶媒として水を用いた水性塗料とし、有機樹脂の含有量は200g/リットルとし、親水性微粒子として二酸化ケイ素を所定量になるように適宜添加した。仕上げ塗膜の塗料も溶媒として水を用いた水性塗料とし、撥水性樹脂の含有量は200g/リットルとした。
表1〜3に用いた塗料の成分を示す。下地塗膜用塗料のエポキシ樹脂は、ビスフェノールAエポキシ樹脂にアクリル樹脂を付与したエステル型エポキシ系樹脂であり、重量平均分子量は、約3800であった。ポリエステル系樹脂は、多塩基酸:テレフタル酸+イソフタル酸、多価アルコール酸:エチレングリコールからなるポリエステル樹脂であり、数平均分子量が15000であった。アクリル系樹脂は、OH基価50で数平均分子量10000であるメタクリル酸メチルを主成分としたものを用いた。ウレタン系樹脂は、ポリエチレングリコールとヘキサメチレンジイソシアネートからなる数平均分子量20000のものを用いた。
撥水性の仕上げ塗膜として、フッ素系樹脂にはフルオロアルキル樹脂を、シリコーン系樹脂にはシリコンレジンを、エポキシ系樹脂には撥水性ではないビスフェノールAエポキシ樹脂にアクリル樹脂を付与したエステル型エポキシ系樹脂を用いた。
下地塗膜用塗料に添加した親水性微粒子の性状を、表4に示す。
Figure 2011083689
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作製した撥水性塗装アルミニウム合金板について、下地塗膜に添加した親水性微粒子の平均粒径、親水性微粒子が存在しない部分における下地塗膜厚、この下地塗膜厚に対する微粒子径の比、親水性微粒子の添加量(有機樹脂と二酸化ケイ素微粒子との総量100重量部に対する重量部として)、下地塗膜のアルミニウム合金板に対する付着量、ならびに、仕上げ塗膜の下地塗膜に対する付着量、表面形状としてのRa及びRSmについても表1〜3に示す。
作製した撥水性アルミニウム合金塗装板について、撥水性と塗膜密着性を以下の方法で測定した。
〔撥水性〕
撥水性は、初期のものと持続のものを評価した。
(初期撥水性)
作製したアルミニウム合金塗装板の純水(約1mm)の接触角を、ゴニオメーターによって測定した。
◎:接触角が150°以上
○:接触角が135°以上、150°未満
△:接触角が100゜以上、135゜未満
×:接触角が100°未満
◎及び○を合格とし、△及び×を不合格とした。
(持続撥水性)
作製したアルミニウム合金塗装板を純水に120時間浸漬した後における純水(約1mm)の接触角を、ゴニオメーターによって測定した。
◎:接触角が150°以上
○:接触角が135°以上、150未満
△:接触角が100゜以上、135゜未満
×:接触角が100°未満
◎及び○を合格とし、△及び×を不合格とした。
〔塗膜密着性〕
作製したアルミニウム合金塗装板についてJIS H4001に準拠した付着性試験を行ない、100個の碁盤目におけるテープ剥離後の残存個数を測定した。本発明における密着性とは、(1)金属材に対する下地塗膜の密着性、ならびに、(2)下地塗膜と仕上げ塗膜との相互の密着性をいい、本試験において(1)と(2)の両方が評価される。すなわち、(1)の方が(2)より低い場合には、下地塗膜が金属材から剥離し、(2)の方が(1)より低い場合には、下地塗膜が仕上げ塗膜から剥離する。
○:残存個数が90個以上、100個以下
△:残存個数が75個以上、90個未満
×:残存個数が75個未満
○及び△を合格とし、及び×を不合格とした。
表1及び2に示すように、実施例1〜19ではいずれも、初期撥水性及び持続撥水性、ならびに、塗膜密着性が合格であった。
比較例1では、下地塗膜を用いず仕上げ塗膜のみを用いたためRaが小さ過ぎて、撥水性を満足することができなかった。
比較例2では、仕上げ塗膜を用いず、かつ、親水性微粒子を含有しない下地塗膜を用いたためRaが小さ過ぎかつRSmが大き過ぎて、撥水性を満足することができなかった。
比較例3では、親水性微粒子を含有しない下地塗膜を用いたためRaが小さ過ぎかつRSmが大き過ぎて、撥水性を満足することができなかった。
比較例4では、下地塗膜に平均粒径が小さい二酸化ケイ素微粒子を添加したためRaが小さ過ぎて、撥水性を満足することができなかった。
比較例5では、有機樹脂に含有される微粒子の表面が粗水性であったため粒子同士が凝集してしまい、RSmが大き過ぎて撥水性を満たすことができなかった。
比較例6では、平均粒径が大きい二酸化ケイ素微粒子を含有したため、塗膜密着性を満足することができなかった。
比較例7では、二酸化ケイ素微粒子の添加量が少な過ぎたため、RSmが大き過ぎて、撥水性を満足することができなかった。
比較例8では、二酸化ケイ素微粒子の添加量が多過ぎたため、塗膜密着性を満足することができなかった。
比較例9では、下地塗膜厚より二酸化ケイ素微粒子の平均粒径が小さかったためRaが小さ過ぎかつRSmが大き過ぎて、撥水性を満足することができなかった。
比較例10では、下地塗膜の付着量が少な過ぎたため、塗膜密着性が満足できなかった。
比較例11では、下地塗膜の付着量が多過ぎたためRaが小さ過ぎて、撥水性を満足することができなかった。
比較例12では、二酸化ケイ素微粒子の平均粒径が大き過ぎ、かつ、下地塗膜の付着量も多過ぎたため、撥水性及び塗膜密着性を満足することができなかった。
比較例13では、仕上げ塗膜に撥水性を有しないエポキシ系樹脂を用いたため、撥水性を満足することができなかった。
本発明の金属塗装材は特定の表面凹凸を有しているため、撥水性が高く、これを長期に亘り持続でき、塗膜密着性にも優れる。よって、塗膜表面に接触する水を効率的に排除することができ、建築材料、家電製品、電気部品等に適用できる。
1……金属塗装材
2……金属材
3……下地塗膜
4……仕上げ塗膜
5……親水性微粒子
6……凸部
7……凹部
8……仕上げ塗膜表面
9……水滴

Claims (2)

  1. 金属材と、その少なくとも一方の表面に形成され親水性の微粒子を含有する有機樹脂からなる下地塗膜と、当該下地塗膜の上に形成された撥水性の仕上げ塗膜とを備え、前記仕上げ塗膜が1.5〜5.0μmの算術平均粗さ(Ra)及び10〜50μmの輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)を有し、前記下地塗膜の有機樹脂が、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂から成る群から選択される1種以上であり、前記金属材に対する下地塗膜の付着量が0.5〜10.0g/mであり、前記微粒子が二酸化ケイ素からなり、この二酸化ケイ素微粒子の平均粒径が当該二酸化ケイ素微粒子が存在しない部分における下地塗膜厚より大きく、且つ、3〜12μmであり、下地塗膜中における二酸化ケイ素微粒子の含有量が有機樹脂と二酸化ケイ素微粒子との総量100重量部に対して5〜50重量部であることを特徴とする撥水性金属塗装材。
  2. 前記仕上げ塗膜が、フッ素系樹脂及びシリコーン系樹脂の1種以上からなり、前記下地塗膜に対する仕上げ塗膜の付着量が0.1〜3.0g/mである、請求項1に記載の撥水性金属塗装材。
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