JP2015130435A - 配線パターン形成装置および配線パターン形成方法並びに配線基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】感光体ドラム上の静電潜像を壁形成粒子Pからなる現像剤で現像して配線壁パターン像を形成し、これを基材101上に転写して、配線壁105を形成する。インクジェット印刷により、配線壁105に囲まれた配線予定経路に沿って液状の接着剤103を塗布した後、重ねて液状の配線材料を塗布して乾燥させる。前記接着剤103と配線壁105の表面との接触角が、接着剤103と基材101との接触角よりも大きくなるように、前記配線壁105の配線経路に面した部分の表面粗さが設定されている。
【選択図】図3
Description
このようなサブトラクティブ法における不都合を解消する製造方法として、近年、配線材料として金属ナノ粒子を含有する液状体をインクジェット法などの選択的塗布技術を用いて基板上に塗布して直接配線パターンを形成する、いわゆるプリンティッドエレクトロニクスが注目されている。
ところが、このようなインクジェット法による印刷(以下、「インクジェット印刷」という。)によれば、配線材料を含有する液状体を噴射して基材に直接配線パターンを描画して形成する際に、基材の材料と配線材料との接着性、親和性が必ずしも十分でない場合があり、形成された配線パターンの一部が基材から剥離するおそれがある。
また、接着剤の素材も完全に絶縁性を有するものを使用する必要があり、材料の選択の範囲が狭くなる。
接着剤が不規則に濡れ広がると、本来塗布すべき配線パターンの位置に接着剤が塗布されない箇所(塗りムラ)が生じる可能性があり、接着効果が低下して製品としての信頼性を確保する上で望ましくない。
ここで、前記壁は、粒子材料同士を結合して形成されていることを特徴とする。
前記粒子材料は、平均粒径が1μm〜10μmの粒子材料からなることが好ましい。
また、前記壁の表面と前記液状の接着剤との接触角が、90°よりも大きいことが好ましい。
また、前記面状部材は、基板であって、前記塗布手段は、先に接着剤を配線予定経路に沿って塗布してから配線材料を塗布することを特徴とする。
ここで、前記中間支持体は、無担状のベルトであって、前記配線パターン転写手段におる基板への転写位置より回転走行方向下流側であって、前記壁形成手段による壁形成位置までの間において前記ベルトの表面を清掃する清掃手段を備えることを特徴とする。
また、このような方法により配線パターンが形成された配線基板は、製造コストを抑えることができると共に、配線パターンの剥離などが生じにくい信頼性の高い製品となる。
<第1実施の形態>
1.配線基板
まず、図1(a)〜(c)に基づき、本実施の形態における配線パターン形成装置を用いて製造された配線基板100の構造について説明する。
図1(b)は、図1(a)の配線パターン102のうち1本の配線におけるX−X線矢視断面図を示すものである。
後述するように、配線経路壁105は、所定の平均粒子径の粒子を電子写真方式で基材101上に転写した後、加熱して融着させることにより形成される。
配線経路壁105の幅w1 : 50μm〜200μm
配線経路壁105の高さ(厚み)h: 5μm〜30μm
一対の配線経路壁105で挟まれた配線予定経路の幅w2
: 50μm〜1000μm
接着剤層103の厚みt1: 0.01μm〜5μm
配線材料層104の厚みt2: 1μm〜5μm
なお、上記寸法はあくまでも一例であって、目的の配線基板の種類に応じて適宜変更可能である(他の実施の形態においても同様)。
配線経路壁105の高さhは、接着剤103の濡れ広がりを防止するという観点から接着剤103の厚みt1より大きい(h>t1)のが望ましく、また、完成品の見栄えや電子部品の端子の接合という観点から、接着剤103の厚みt1と配線材料104の厚みt2との和以下(h≦t1+t2)であるのが望ましい。
2.配線パターン形成装置の構成
図2は、本発明に第1実施の形態における配線パターン形成装置1の構成を示す概略図である。
なお、本実施の形態では、基材101として、PET(ポリエチレンテレフタラート)やPI(ポリイミド)などの樹脂からなる厚さ20μm〜500μmのシートが使用されている。
(1)基材搬送部
基材搬送部40は、シート状の基材101を巻回した基材ロール41から、基材101を引き出し、これを不図示の駆動モータにより回転駆動される巻取りロール42で巻き取りながら、基材101を矢印A方向に搬送させる。
その制御方法として、例えば、基材101の搬送速度を直接検出して、これが一定速度になるようにフィードバック制御して駆動モータの回転速度を制御する方法が考えられる。
また、巻取りロール42の半径を、レーザー式距離計などを用いて周期的に取得し、半径の増加に応じて回転速度を減じるように制御してもよい。
(2−1)配線経路壁形成部10の構成
配線経路壁形成部10は、電子写真方式の画像形成の手法を用いて、基材101上に形成すべき配線の経路(以下、「配線予定経路」という。)の両側に粒子材料を転写させて配線経路壁105を形成する(図1(b)参照)。
感光体ドラム11の周面は、クリーニング部12により表面の残留物を除去された後、帯電器13により一様に帯電させ、露光装置14により感光体ドラム11の周面を露光走査して、配線経路壁105を形成すべきパターンの静電潜像を形成する。
露光装置14は、後述する制御部50(図5参照)の配線経路壁パターン用画像データ生成部55で生成される配線経路壁パターン形成用の画像データに基づいて、選択的に光を照射して感光体ドラム11表面を露光走査する。
現像装置15は、帯電した撥液性を有する粒子(以下、「壁形成粒子」)Pを感光体ドラム11の周面に供給し、感光体ドラム11の静電潜像を現像して配線経路壁のパターン像を形成する。
現像ローラー151は、回転可能の非磁性のスリーブと、スリーブに内蔵され、回転しないように固定された磁石(マグネットローラー:不図示)とを備える。スリーブが回転することによって、磁性を有するキャリア粒子と、キャリア粒子に付着した壁形成粒子Pとが感光体ドラム11との対向部(現像位置)に搬送される。
壁形成粒子Pによる、感光体ドラム11上の静電潜像の現像は、現像ローラー151に適当な現像バイアス電圧を印加することにより行われる。これにより、現像ローラー151と感光体ドラム11の静電潜像との間に電位差が生じ、この電位差に基づいて壁形成粒子Pが感光体ドラム11側に移動し、感光体ドラム11上の静電潜像が壁形成粒子Pによって顕像化される。
所望の現像量を得るため及びリークなどの不具合を発生させないようにするために、現像バイアス電圧はバイアス調整機構によって適宜調整可能としておくのが望ましい。また、現像バイアス電圧に交流電圧(サイン波、矩形波、三角波及びそれらの組み合わせ)を重畳させてもよい。これにより、高精細な現像が可能となる。
そして、キャリア粒子を用いた場合と同様に、現像ローラー151に現像バイアス電圧を印加し、現像バイアス電圧と静電潜像との間の電位差によって壁形成粒子Pを感光体ドラム11に移動させ、感光体ドラム11上の静電潜像を壁形成粒子Pで現像するようにしてもよい。
この転写ローラー16には、転写用電源161により壁形成粒子Pの帯電極性と逆極性の電圧が印加され、感光体ドラム11と転写ローラー16との間を基材101が搬送されていく際に、転写ローラー16に前記転写電圧が印加され、感光体ドラム11に形成された壁形成粒子Pからなるパターン(以下、「配線経路壁パターン」という。)が基材101に転写される。
クリーニング部12は、感光体ドラム11の周面に圧接されたクリーニングブレードであって、感光体ドラム11表面に残留する未転写の壁形成粒子Pを感光体ドラム11から除去して不図示の回収ボックスに回収する。
粒子固定装置18は、基材101に対向する面が開口したハウジング182内にハロゲンヒーター181を収納してなり、基材101に転写された壁形成粒子Pの配線経路壁パターンを所定の温度で加熱し、基材101上に溶融固定させる。
粒子固定装置18の光源としては、上記ハロゲンヒーターの他、フラッシュランプなどを用いることができる。
以上の処理によって、配線経路壁105を有する配線経路壁パターンが基材101の表面に形成される(図3(1)参照)。
(2−2)現像剤について
(i)壁形成粒子
現像装置15内に補充される現像剤のうち、壁形成粒子Pは、接着剤103との撥液性を確保するため、平均粒径が1μm〜10μmの範囲が好ましく、より好ましくは、電界に対する応答性及び安全性の観点から6μm程度である。また、壁形成粒子の形状は、円形度が0.8以上の球状であるのが好ましい。
このように平均粒子径を、1μm〜10μm、円形度が0.8以上の球状とすれば、配線経路壁105の表面の粗さ(算術平均粗さ)を、Ra0.13μm〜Ra5μmの範囲内とすることができる。これにより、後述するように配線経路壁105と液状の接着剤103との接触角を大きくして濡れ広がりを効果的に抑制することができる。
このような大きさと形状を有する疎水性の壁形成粒子Pの製造方法としては、例えば、次の(a)〜(g)のような各種の方法が適用される。
(a)重量平均分子量が400000、数平均分子量が8000のビスフェノール系ポリエステルを温度200℃で混練し、ジェットミルで粉砕し気流分級機で分級して、平均粒径6μmの粒子を得る。この粒子に日本ニューマチック社製サフュージョンシステムで300°Cで処理を行う。
(b)重量平均分子量が500000、数平均分子量が10000のスチレン・ブチルメタクリレート・メタクリレート共重合体樹脂を使って(a)と同様の方法で壁形成粒子Pを得る。なお、荷電制御剤としてのコロイダルシリカの添加量は3%とする。
(d)ダイキンエ業社製「ルブロンL5」に平均粒径60nmのアミノシランカップリング処理したシリカを3%処理して壁形成粒子Pを得る。アミノシランカップリング処理するのはPTFEの過剰な負荷電性を抑えるためである。
(g)重量平均分子量が200000、数平均分子量が10000のビスフェノール系ポリエステル樹脂を、25%のメタノールを混合した酢酸エチル溶液に溶解し、20%溶液を調合する。この溶液を、6kVの電圧をかけたノズルから200℃の熱風中に噴射し、6μmの均―粒径の粒子を得る。得られた粒子に平均粒径60nmの疎水化処理したコロイダルシリカ1%を奈良機械社製ハイブリダイザーで打ち込み処理して壁形成粒子Pを得る。
(ii)キャリア粒子
使用するキャリア粒子としては、円形度が0.9以上の磁性を有する粒子であるのが好ましい。キャリア粒子が磁性を有すると、磁力を利用した粒子搬送が可能となる。キャリア粒子の平均粒径は10μm〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは、帯電性及び磁力の観点から30μm程度である。
(3)接着剤塗布部
次いで、接着剤塗布部20によって基材101上に接着剤パターンを形成する。
接着剤塗布部20は、インクジェット装置21と加熱装置22とを有し、インクジェット装置21は、基材101の幅方向とほぼ同じ長さを有して図面の奥手方向に伸びる、ピエゾ方式のインクジェットヘッドを備え、配線パターンの画像データに基づき描画することにより、配線経路壁105で囲まれた領域に液状の接着剤103が噴出され塗布されていく(図3(2)参照)。
上述のように配線経路壁105は、壁形成粒子Pからなり、その粒子形状が配線経路壁105の表面に露出し、当該粒子径に応じた微小な凹凸が形成され、その表面粗さがRa0.13μm〜Ra5μmとなるように調整されている。
一般に、表面に微小な凹凸形状を有すると、Cassieモードにより、配線経路壁105と接着剤103との接触角が大きくなることが知られている。
このように配線経路壁105の表面をCassieモードを惹起する凹凸形状(表面粗さ)にすることにより、配線経路壁105表面と接着剤103との接触角を、基材101と接着剤103との接触角よりも大きくでき、接着剤103の基材101との濡れ性が、接着剤103の配線経路壁105に対する濡れ性よりも相対的に高くなる(以下では、このような濡れ性の相対的な差異を「ウエッティングコントラスト(親撥効果)」という。)。これにより、液状の接着剤103が配線経路壁105に挟まれた配線予定経路内で精度よく塗布される。
いずれにしても、接着剤103の上面が平坦でなくなるので、その上に重ねて配線材料の層を形成したときに、その表面も平坦でなくなり、この基板に搭載する部品との接続不良などが生じるおそれがあり望ましくない。
これにより、配線パターン形成装置1における接着剤塗布部20におけるインクジェット印刷の位置精度が、それほど高くなくても、配線経路壁105で囲まれた領域内に平坦に塗布することができ、よりコストダウンが図れる。
接着剤103と配線経路壁105との撥液性を高めるためには、配線経路壁105表面の凹凸が細かいほどよく、少なくとも、接着剤103が、基材101に1回に塗布されて濡れ広がる面積の平均直径よりも、凹凸の平均ピッチ(本実施の形態の場合「平均粒子径」に相当)が小さい必要がある。
また、Cassieモードにおいては、液体の表面エネルギーだけでなく、液状の接着剤103の粘性も重要な要素となる。粘性が高ければ、凹凸内に接着剤103が入り込むまでに時間がかかるためである。したがって、液状の接着剤103の粘度としては、5mPa・s以上であって、インクジェット印刷可能な粘度以下であるのが望ましい。
具体的に、接着剤103の配線経路壁105に対する接触角を90°より大きくするには、例えば、壁形成粒子PとしてPTFE粒子を用いて、接着剤103の溶媒として水を用いた場合、接着剤103の濃度を調整して表面エネルギーを30J/m2以上とすればよい。
また、液状の接着剤103の基材101に対する接触角は、90°未満であり、好ましくは10°未満であるようにすればよい。
接着剤103と基材101との濡れ性は、材料ごとに異なるが、接着剤103の表面に対して、コロナ放電もしくはエキシマレーザーを照射するなどの表面処理を行うことにより、高い濡れ性を確保することができる。
具体的に、接着剤103の基材101に対する接触角を90°より小さくするには、例えば、基材101の材料としてポリイミドやポリエチレンを用いた場合には、接着剤103の溶媒として水を用い、その濃度を調整して表面エネルギーを50J/m2以下とすればよい。
塗布された接着剤103は完全に固まらせる必要はなく、次の配線塗布部30において塗布される液状の配線材料と混じらず、かつ、インクジェットによる配線材料の着弾により変形しない程度で固まればよい。
もし、接着剤103が、紫外線硬化性のものであれば、加熱装置22の代わりに紫外線ランプ装置が使用される。
(4)配線塗布部
接着剤塗布部20の基材101搬送方向下流側には配線塗布部30が配置されている。
一方、配線経路壁105との境界部分に着弾した配線材料の液滴1041は、Cassieモードにより配線経路壁105表面にはじかれて弾かれて、親液性のある接着剤103の表面に引き込まれる。したがって、配線用の液滴1041の着弾位置が多少ずれても、配線材料は配線経路壁105で囲まれた領域に必ず移動するので、着弾位置の精度がそれほど高くないインクジェット装置を使用しても、微細なインクパターンを安定して形成でき、コストダウンに資する。
本実施の形態で使用する配線用インクとしては、液状の電子機能材料(導電体、抵抗体、半導体)であるのが好ましい。このような液状の電気機能材料としては、金、銀、銅、白金、アルミニウム、ニッケル、銅−ニッケル、ニッケルークロムなどの金属ナノ粒子を溶媒に分散させたものが例示される。
具体的に、配線材料104の接着剤103に対する接触角を90°より小さくするには、接着剤103の溶剤として水を用いた場合には、金属ナノ粒子を分散させるインクの溶媒として、エチレングリコールと水を用い、その濃度を調整して表面エネルギーを50J/m2以下とすればよい。
次に、配線経路壁105に囲まれた領域に塗布された液状の配線材料104は、加熱装置32によって乾燥及び焼成され、配線材料104と親和性の高い接着剤103を介して基材101に固定される。この加熱装置32は、加熱装置22と同様な構成でもよく、下方が開放したハウジング322内にハロゲンランプ321が収納されてなる。
配線材料104の溶剤として、熱硬化性のものを使用すれば、乾燥・焼成を速くすることができる。また、配線材料104の溶剤として、紫外線硬化性のものを使用すれば、硬化手段として紫外線ランプ装置が使用される。
以上のようにして、配線パターンが形成された基材101は、巻き取り部42でロール状に巻き取られる。このロール状の基材101は、後の切断工程において、引き出されながら切断装置(不図示)にて所定サイズの基板に切断され配線基板の製品として出荷される。
(5)制御部
図5は、配線パターン形成装置1における制御部50の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、制御部50は、CPU(Central Processing Unit)51、通信I/F(インターフェース)52、RAM(Random Access Memory)53、ROM(Read Only Memory)54、配線経路壁パターン用画像データ生成部55、画像メモリ56からなる。
また、CPU51は、通信I/F52により、LANなどの通信ネットワークを介して他のPC端末から配線パターンの画像データを受付ける。この配線パターンの画像データは、公知の配線パターン生成のアプリケーションを用いてPC端末で作成されるものである。
以上のようにして生成された配線経路壁パターン用画像データは、受信した配線パターンの画像データと共に画像メモリ56内に格納される。
(6)配線基板製造方法のまとめ
図6は、本第1実施の形態において実施される配線基板の製造方法の手順を簡単にまとめたフローチャートである。
さらに、配線塗布部30により、配線経路壁105に挟まれた経路(配線予定経路)に沿って、接着剤103に重ねて配線材料104を塗布する(配線パターン形成工程)(ステップS13)。
もっとも、すでに所定サイズに切断された基材を搬送ベルトで搬送しながら、その表面に配線経路壁形成工程、接着剤塗布工程、配線材料塗布工程を経て配線パターンを形成するような場合には、ステップS14における基板切断工程は省略される。
第1実施の形態では、ロール状に巻回された基材101を引き出しながら搬送して直接基材101上に配線パターン形成を形成するようにしたが、この第2実施の形態では、一旦面状の支持部材(転写ベルト)の表面に配線パターンを形成してから、基材101に転写するように構成している点が異なる。
(1)転写ベルト部
本実施の形態では、第1実施の形態における基材搬送部40の代わりに、転写ベルト部70が配設されている。転写ベルト部70は、無端状の転写ベルト(中間支持体)73を第1ローラー71と第2ローラー72により水平方向に張架し、それらのローラーのうち、例えば、第2ローラー72が不図示の駆動源により時計回りに回転駆動され、転写ベルト73の上側の走行面が矢印A方向に移動するように構成されている。
転写ベルト73の配線パターンが形成される面には、コロナ放電照射などにより親水処理されているのがより望ましい。
(2)配線経路壁形成部および配線塗布部
まず、配線経路壁形成部10により、転写ベルト73表面に配線経路壁パターンを形成する。配線経路壁形成部10の構成並びに使用される壁形成粒子Pの条件も第1実施の形態と同様であり、Cassieモードにより強い撥液性を有する。
配線経路壁105がCassieモードを惹起する表面形状を有するため、配線材料104と配線経路壁105との接触角が、塗布面である転写ベルト73との接触角よりも相対的に大きくなっており、配線材料104を配線経路壁105内に整然と塗布することができる。すなわち、配線経路壁105で囲まれた転写ベルト73の表面に着弾した配線用インクは、表面張力によってそれぞれ連続して転写ベルト73との高い密着性を有しながら拡がる。
ここでも、ウェットコンストラクトを大きくすればするほど、上記の効果が顕著になるのはいうまでもなく、配線材料104の配線経路壁105に対する接触角が90°より大きく、且つ配線材料104の転写ベルト73に対する接触角が90°より小さくなるようにするのが望ましい。
加熱温度としては、液状の配線材料104に含有される金属ナノ粒子が溶融し膜化する温度以上であって基材101や接着剤103が溶融もしくは燃焼する温度未満である。
(3)接着剤塗布部
次いで、接着剤塗布部20’によって基材101上に接着剤パターンを形成する。
接着剤塗布部20’は、インクジェット装置21のみで加熱装置を具備していない。次段の転写部60における転写工程で硬化させて基材101上に転写させるためである。
接着剤塗布部20’において配線パターンの画像データに基づき配線経路壁パターンを描画することにより、配線経路壁105で囲まれた領域内に配線材料104の層に重ねるようにして接着剤103が噴出され塗布されていく。
なお、本実施の形態でもウェッッティングコンストラクトを大きくすればするほど、上記の効果が顕著になるのはいうまでもなく、接着剤103の配線経路壁105に対する接触角が90°より大きく、かつ基材101に対する接触角が90°未満であり、より好ましくは10°未満とするのが望ましい。これらの所望の接触角は、第1実施の形態で説明したのと同様にして、配線経路壁105の表面における微小な凹凸の有無(表面粗さ)や材質の選択などにより容易に得ることができる。
図7に戻り、転写ベルト73上に形成された配線パターンは、転写部60にて基材101に転写される。
基材101として紫外線を透過する材料が使用されており、転写部60は、基材ロール61から引き出した基材101の表面に、配線パターンの接着剤103の層を接触させ、基材101の裏(転写ベルト73と反対側)から紫外線ランプ装置63により紫外線を照射することにより、転写ベルト73を透過した紫外線により接着剤103が硬化して基材101表面に接着し、配線パターンを基材101に転写させた後、巻取りロール62で巻き取るように構成されている。
接着剤103は、配線経路壁105に対して撥液性を有するため、配線経路壁105表面にほとんど付着しておらず、転写部60における転写工程では、配線経路壁105は転写ベルト73側に残存し、例えば、シリコンゴム製のクリーニングブレードを備えたクリーニング装置74により除去され、不図示の回収ボックスに回収されるようになっている。
あるいは、転写ベルト73を無端状にしないで、使い捨てにすれば、クリーニング装置は不要となる。
(5)配線基板製造方法のまとめ
図8は、本実施の形態において実施される配線基板の製造方法の手順を簡単にまとめたものである。
その後、接着剤塗布部20’により、配線経路壁105に挟まれた経路(配線予定経路)に沿って、接着剤103を配線材料104に重ねるようにして塗布する(接着剤塗布工程)(ステップS23)。
最後に、基材101を所定のサイズに切断して製品とする(基板切断工程)(ステップS25)。
本実施の形態でも、すでに所定サイズに切断された基材を搬送ベルトで搬送しながら、その表面に配線経路壁形成工程、接着剤塗布工程、配線材料塗布工程を経て配線パターンを形成するような場合には、ステップS25における基板切断工程は省略される。
(各素材の条件)
接着剤のインク :カチオン重合型紫外線硬化インクジェットインク
配線用インク :Novacentrix社製水系酸化銅ナノインク「ICI-003」
インクジェット装置 :コニカミノルタ社製ピエゾ方式インクジェットシステ
ム「KM512LNX」
壁形成粒子P :上記第1実施の形態(2−2)(i)の(a)の製法によ
り製造した粒子
転写ベルト :厚さ100μmのPETフィルムで作成したベルト
基材 :厚さ200μmのフィルム状ガラス
上記の条件の下、転写ベルト73上に壁形成粒子Pで幅w1(図1(b))が200μmの配線経路壁105を形成した後、配線経路壁105で囲まれた領域に、液滴量42plの配線用インクを吐出した後、紫外線ランプにより乾燥/焼成して配線材料のパターンを作成した。
その後、転写位置で、転写ベルト73上の接着剤パターンと基材101を接触させて、紫外線照射装置63により紫外線を照射して、接着剤を硬化させ、基材101に配線パターンを転写して接着させた。
<変形例>
(1)図12は、第1実施の形態に係る配線パターン形成装置の変形例を示す概略図である。
図1の配線パターン形成装置1とは、配線経路壁形成部10における、配線経路壁のパターン作像の工程が異なっている。
この配線経路壁パターン作像部19では、回転自在の無端状の中間転写ベルト(粒子担持体)191を用いると共に、中間転写ベルト191を挟んで現像ローラー151と対向する位置に、紙面と垂直な方向に複数の電極を等ピッチで配置してなる電極アレイ193が配設される。
電極アレイ193の複数の電極の特定の電極に、電極アレイ駆動部194によって壁形成粒子Pの帯電極性と反対極性の所定の電圧を印加すると、現像装置15の現像ローラー151から帯電状態の壁形成粒子Pがクーロン力により飛翔して、中間転写ベルト191の上記電圧を印加した電極に対応する位置に付着する。
中間転写ベルト191に形成された配線壁パターン像は、中間転写ベルト191の回転に伴って、転写ローラー16とのニップ部(転写ニップ)まで移動し、第1実施の形態と同様にして基材101上に転写される。この際、中間転写ベルト191の内側に接触する支持ローラー195(導電性)を接地することにより、安定して転写しやすくなる。
それ以降の工程は、第1実施の形態と同じなので説明を省略する。
なお、基材101への転写効率を100%近くまで高めることができれば、中間転写ベルト191のクリーニング工程を省くことができる。転写効率を高めるには、転写位置において、壁形成粒子Pと中間転写ベルト191との間に働く付着力よりも大きな転写力を壁形成粒子Pに与えればよい。
(2)上記実施の形態では、配線経路壁形成部10において、静電潜像の現像方法として乾式現像方法を採用したが、湿式現像方法を採用しても構わない。
第1実施の形態において、湿式現像法が用いられた場合には、感光体ドラム11に形成された壁形成粒子Pによるパターンは、基材101に転写された後、乾燥装置(加熱装置)において加熱してキャリア液を蒸発除去される。この乾燥工程では、キャリア液を完全に除去する必要はない。それ以後の工程は、第1実施の形態と同じである。
しかし、優れたバリアブル・オンデマンド性を得る観点からはインクジェット装置が望ましい。
これらの液状体で基材101上にパターンを形成することによって、例えば、導電体でパターンを形成することにより、プリント配線基板や、メンブレンスイッチあるいはディスプレィなどの電子機器の電極、RFID(Radio Frequency Identification )のアンテナ部が製造可能である。また、半導体でパターンを形成することにより、TFT半導体や圧電素子、発電素子として利用可能である。さらには、抵抗体のパターンは、上記材料を組み合わせて回路基板などを作成する際に絶縁部や、歪みゲージ部として形成される。
しかし、配線経路壁105の形成方法はこれだけに限らず、例えば、紫外線硬化樹脂を配線壁パターンに沿って基材上にパターニングしたあとに、加熱し、その熱膨張により表面に微小なシワもしくはヒビを発生させるような方法も考えられる。
上記各実施の形態および変形例は、実施が可能な限り、組み合わせても構わない。
10 配線経路壁形成部
11 感光体ドラム
13 帯電器
14 露光装置
15 現像装置
16 転写ローラー
18 粒子固定装置
19 配線経路壁パターン作像部
20 接着剤塗布部
21 インクジェット装置
22 加熱装置
30 配線塗布部
31 インクジェット装置
32 加熱装置
40 基材搬送部
41 基材ロール
42 巻取りロール
50 制御部
55 配線経路壁パターン生成部
60 再転写部
61 基材ロール
62 巻取りロール
63 紫外線照射装置63
70 転写ベルト部
71 第1ローラー
72 第2ローラー
73 転写ベルト
101 基材
102 配線パターン
103 接着剤
104 配線材料
105 配線経路壁
191 中間転写ベルト
193 電極アレイ
194 電極アレイ駆動部
P 壁形成粒子
Claims (12)
- 面状部材の表面に配線パターンを形成する配線パターン形成装置であって、
面状部材表面の、配線パターンが形成されるべき配線予定経路を囲むように壁を形成する壁形成手段と、
前記壁に囲まれた配線予定経路に沿って、液状の配線材料および液状の接着剤のいずれか一方を先に塗布した後、他方を重ねて塗布する塗布手段と、
を備え、
前記液状の接着剤と壁の表面との接触角が、前記液状の接着剤と、この接着剤が塗布されるべき配線予定経路における被塗布面との接触角よりも大きくなるように、前記壁の少なくとも配線経路に面した部分の表面粗さが設定されている
ことを特徴とする配線パターン形成装置。 - 前記壁は、粒子材料同士を結合して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の配線パターン形成装置。
- 前記壁形成手段は、
粒子材料担持体と、
前記粒子材料担持体に、前記壁を形成すべき位置を示す壁形成パターンの静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像に、帯電させた粒子材料を供給して現像する現像手段と、
前記現像された粒子材料のパターンを感光体から前記面状部材に転写する粒子材料転写手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の配線パターン形成装置。 - 前記粒子材料担持体は、感光回転体であって、
前記静電潜像形成手段は、前記感光回転体の感光面を露光走査して静電潜像を形成する構成である
ことを特徴とする請求項3に記載の配線パターン形成装置。 - 前記粒子材料は、平均粒径が1μm〜10μmの粒子材料からなる
ことを特徴とする請求項3または4に記載の配線パターン形成装置。 - 前記壁の表面と前記液状の接着剤との接触角が、90°よりも大きい
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の配線パターン形成装置。 - 前記液状の配線材料と壁の表面との接触角が、前記液状の配線材料と、この配線材料が塗布されるべき配線予定経路における被塗布面との接触角よりも大きいこと
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の配線パターン形成装置。 - 前記面状部材は、基板であって、前記塗布手段は、先に接着剤を配線予定経路に沿って塗布してから配線材料を塗布する
ことを特徴とする請求項1から7までのいずれかに記載の配線パターン形成装置。 - 前記面状部材は、中間支持体であって、前記塗布手段は、前記中間支持体上の配線予定経路に沿って先に配線材料を塗布してから接着剤を塗布し、
前記中間支持体に形成された配線パターンを、前記接着剤を介して基板上に転写する配線パターン転写手段を備える
ことを特徴とする請求項1から8までのいずれかに記載の配線パターン形成装置。 - 前記中間支持体は、無担状のベルトであって、前記配線パターン転写手段におる基板への転写位置より回転走行方向下流側であって、前記壁形成手段による壁形成位置までの間において前記ベルトの表面を清掃する清掃手段を備える
ことを特徴とする記載9に記載の配線パターン形成装置。 - 面状部材の表面に配線パターンを形成する配線パターン形成方法であって、
面状部材表面の、配線パターンが形成されるべき配線予定経路を囲むように壁を形成する壁形成工程と、
前記壁に囲まれた配線予定経路に沿って、液状の配線材料および液状の接着剤のいずれか一方を先に塗布した後、他方を重ねて塗布する塗布工程と、
含み、
前記液状の接着剤と壁の表面との接触角が、前記液状の接着剤と、この接着剤が塗布されるべき配線予定経路における被塗布面との接触角よりも大きくなるように、前記壁の少なくとも配線経路に面した部分の表面粗さが設定されている
ことを特徴とする配線パターン形成方法。 - 請求項11の配線パターン形成方法によって基板上に配線パターンが形成されてなることを特徴とする配線基板。
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