JP2011070077A - 定着ユニット、画像形成システムおよび定着方法 - Google Patents

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聖 大屋
Takayuki Mori
孝之 盛
Masami Suehiro
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Abstract

【課題】シート上のトナーの定着力を向上する。
【解決手段】画像形成システム1では、樹脂を含む粒子が揮発性の溶媒に分散された液体トナーによりシート9の被転写面91上にトナー画像が形成される。定着ユニット6は、被転写面91上のトナー画像を裏面92側から加熱する予備定着部63を備え、予備定着部63を通過したシート9は、本定着部60の本体部61の内部空間613へと移動する。内部空間613では液体トナーの粒子が溶融する温度の雰囲気が形成されており、被転写面91上の粒子が溶融されてシート9上に定着される。これにより、被転写面91上にて液体トナーの溶媒が残存することが防止され、シート9上のトナーの定着力を向上することが実現される。
【選択図】図1

Description

本発明は、シート上に形成されたトナー画像を当該シートに定着させる技術、および、シート上に画像を形成する画像形成システムに関する。
従来より、電子写真方式の印刷装置が用いられており、このような印刷装置では、感光体上に形成されたトナー画像を印刷媒体に転写し、印刷媒体上のトナー画像を印刷媒体に定着させることにより印刷物が作製される。例えば、特許文献1では、エッチング耐性を有する湿式トナー(液体トナー)により感光ドラムの外周面上に形成されたトナー画像を、感光ドラムと対象物の被転写面との間に転写電圧を作用させて行う静電転写により対象物の導電層上に転写し、転写されたトナー画像を対象物上に定着させることによりレジストパターンを形成する手法が開示されている。また、特許文献1では、レジストパターンが形成された対象物に対してエッチングを行うことにより、対象物上に配線パターンを形成する技術も開示されている。
特開2008−270398号公報
ところで、液体トナーでは、揮発性の溶媒に粒子が分散されており、液体トナーにより形成されたトナー画像を対象物であるシート上に定着させる際には、当該粒子が溶融する温度の雰囲気中にシートが配置される。この場合、液体トナーの表面の粒子が先に溶融するため、液体トナーの内部、特に、液体トナーとシートとの接触面近傍における溶媒が揮発しにくくなる。これにより、溶媒が接触面近傍にて残存する状態が生じてしまい、定着後におけるシート上のトナーの定着力(付着力)が低下してしまって、トナーがはがれやすくなるなどの不都合が生じてしまう。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、シート上のトナーの定着力を向上することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、シート上に形成されたトナー画像を前記シートに定着させる定着ユニットであって、樹脂を含む粒子が揮発性の溶媒に分散された液体トナーによりシートの一の主面上に形成されたトナー画像を他の主面側から加熱する予備定着部と、前記粒子が溶融する温度の雰囲気を形成し、前記予備定着部を通過した前記シートを前記雰囲気中に配置することにより、前記液体トナーの前記粒子を溶融させて前記シート上に定着させる本定着部とを備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の定着ユニットであって、前記シートが長尺であり、前記予備定着部が、長手方向に移動する前記シートの前記他の主面と当接して前記シートの移動方向を変更する外周面を有するとともに、前記外周面が加熱されるローラを備える。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の定着ユニットであって、前記本定着部が、前記シートが通過する空間を形成する本体部と、前記本体部内に温風を供給する温風供給部とを備え、前記定着ユニットが、前記本体部内の前記温風を前記ローラへと導く手段をさらに備え、前記温風により前記ローラが加熱される。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の定着ユニットであって、前記本定着部が、前記シートが通過する空間を形成する本体部と、前記本体部内に温風を供給する温風供給部とを備え、前記本体部が、前記シートが通過する上部開口および下部開口を有し、前記上部開口の上方に前記ローラが配置されることにより、前記ローラが前記上部開口から流出する前記温風により加熱される。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の定着ユニットであって、前記シートの前記一の主面が前記溶媒に対して非浸透性を有する。
請求項6に記載の発明は、シート上に画像を形成する画像形成システムであって、シート上にトナー画像を形成する画像形成装置と、前記シート上のトナー画像を前記シートに定着させる請求項1ないし5のいずれかに記載の定着ユニットとを備える。
請求項7に記載の発明は、シート上に形成されたトナー画像を前記シートに定着させる定着方法であって、樹脂を含む粒子が揮発性の溶媒に分散された液体トナーによりシートの一の主面上に形成されたトナー画像を他の主面側から加熱する工程と、前記粒子が溶融する温度の雰囲気中に前記シートを配置することにより、前記液体トナーの前記粒子を溶融させて前記シート上に定着させる工程とを備える。
本発明によれば、シート上のトナーの定着力(付着力)を向上することができる。
また、請求項2の発明では、シート上の液体トナーを他の主面側から容易に、かつ、効率よく加熱することができ、請求項3および4の発明では、定着ユニットにおけるエネルギー効率を向上することができる。
画像形成システムの構成を示す図である。 本体部の平面図である。 シート上に画像を形成する処理の流れを示す図である。 シート上の液体トナーを抽象的に示す図である。 シート上の液体トナーを抽象的に示す図である。 比較例に係るシート上の液体トナーを抽象的に示す図である。 定着ユニットの他の例を示す図である。 定着ユニットのさらに他の例を示す図である。 定着ユニットのさらに他の例を示す図である。
図1は、本発明の一の実施の形態に係る画像形成システム1の構成を示す図である。図1中のX方向およびY方向は互いに垂直かつ水平な方向となっており、Z方向はX方向およびY方向に垂直な方向(鉛直方向)となっている。
図1の画像形成システム1は、例えば厚さが数十マイクロメートル(μm)である長尺のシート9上に画像を形成するものであり、シート9は、樹脂(例えば、ポリイミド)にて形成されるとともに可撓性を有するフィルムである絶縁性基材93、および、絶縁性基材93の一の主面全体に形成されるとともに、比抵抗が10−6Ω・cm以上10Ω・cm以下の導電層94(例えば、銅箔(Cu))を有する。本実施の形態では、シート9の導電層94の表面91(後述するように、感光ドラム31上のトナー画像が転写されるシート9の一の主面であり、以下、「被転写面91」という。)上にトナー画像が形成され、当該トナー画像を導電層94上に定着させてレジストパターンが形成される。レジストパターンが形成されたシート9では、後続の工程にて、導電層94のレジストパターンから露出している部位(すなわち、トナー画像により被覆されていない部位)にエッチング液を付与することにより当該部位が絶縁性基材93上から除去され、その後、シート9上からレジストパターン(すなわち、トナー画像)を除去することにより、シート9上に銅による配線パターンが形成される。これにより、複数のフレキシブル回路基板が連続したシート状部材である回路基板シートが作製される。
図1に示すように、画像形成システム1は、電子写真方式にてシート9上にトナー画像を形成する画像形成装置11、シート9の被転写面91に形成されたトナー画像を被転写面91に定着させる定着ユニット6、および、画像形成装置11の下方にてシート9を(+Y)方向に移動するとともに、定着ユニット6の後述する本定着部60の近傍にて(−Z)方向に移動する移動機構2を備える。
画像形成装置11は、電子写真方式にて感光ドラム31上にトナー画像を形成するプロセスユニット3、当該トナー画像上から感光ドラム31の外周面に所定の電位を付与する第1電位付与部4、および、シート9に接触して被転写面91に所定の電位を付与する第2電位付与部5を備える。以下の説明では、第1電位付与部4により感光ドラム31に付与される電位を「第1電位」といい、第2電位付与部5により被転写面91に付与される電位を「第2電位」という。
プロセスユニット3は、減速機を介してモータ(図示省略)に接続される直径250mmの感光ドラム31を備え、感光ドラム31は、図1中のX方向に平行な回転軸310を中心として図1中における時計回りに回転する。感光ドラム31は、アルミニウム等の金属により形成されるとともに回転軸310を中心とするドラム本体311を有し、ドラム本体311は電気的に接地される。
ドラム本体311の外周面には、例えば、フタロシアニン顔料を有する単層型有機感光体(以下、単に「感光体312」という。)が一様に塗布される(または、蒸着される)。なお、感光ドラム31の直径は250mmには限定されないが、好ましくは200mm以上400mm以下とされる。また、感光体312は、フタロシアニン顔料を有する単層型有機感光体以外に、例えば、アモルファスシリコン等の無機感光体により形成されてもよい。
プロセスユニット3は、また、感光ドラム31の(+Z)側において感光ドラム31に対向して設けられて感光体312を帯電させる帯電器32、画像形成用の光を出射して感光体312の外周面に静電潜像を形成する潜像形成部33、揮発性の溶媒(例えばイソパラフィン系の絶縁性のキャリア液)に樹脂を含む粒子が分散された液体トナーにより感光体312上の静電潜像を現像して感光体312の外周面上にトナー画像を形成する現像部34、感光体312の表面をクリーニングするクリーナ35、および、光を出射して感光体312を除電する除電器36を備える。
プロセスユニット3では、帯電器32から感光ドラム31の回転方向(すなわち、図1中の時計回り)に沿って潜像形成部33、現像部34、クリーナ35および除電器36が、感光ドラム31の周囲に配置されており、現像部34には、現像液である液体トナーを供給するトナー供給部(図示省略)が接続されている。また、画像形成装置11では、第1電位付与部4も、現像部34とクリーナ35との間において感光ドラム31の周囲に配置されている。
第1電位付与部4は、コロナ放電によりイオンを発生させ、当該イオンを感光体312に付与することにより感光体312を帯電させるコロナ帯電機構であり、本実施の形態では、第1電位付与部4としてスコロトロンが利用されて感光体312に第1電位が付与される。また、プロセスユニット3の帯電器32も、第1電位付与部4と同様に、コロナ放電により感光体312を帯電させるコロナ帯電機構である。
第2電位付与部5は2つの接触子51を備え、接触子51は、導電性材料にて形成されるブラシ(例えば、カーボンブラシや導電性毛ブラシ)を有する。各接触子51は図示省略の支持部材により支持されており、シート9の導電性の被転写面91に直接当接する。各接触子51の電極は電気的に接地されているため、シート9の被転写面91も電気的に接地される。換言すれば、第2電位付与部5の接触子51により、シート9の被転写面91に接地電位である第2電位が付与される。
画像形成装置11では、感光ドラム31の(−Z)側において、移動機構2により感光ドラム31に対向して移動するシート9の被転写面91が、第1電位付与部4とクリーナ35との間にて感光ドラム31の外周面に最も接近する。そして、第1電位付与部4および第2電位付与部5による電位の付与により、感光ドラム31とシート9とが最も接近する位置において、感光ドラム31とシート9の被転写面91との間に所定の転写電圧が作用し、感光ドラム31の外周面上のトナー画像がシート9の被転写面91上に転写される。以下の説明では、感光ドラム31の外周面とシート9の被転写面91とが最も接近する位置を「転写位置」と呼ぶ。転写位置は、プロセスユニット3に対して相対的に固定された位置となる。画像形成装置11では、第1電位付与部4および第2電位付与部5が、転写位置において感光ドラム31とシート9の被転写面91との間に所定の転写電圧を作用させてトナー画像をシート9に転写するトナー画像転写部となっている。
定着ユニット6は、液体トナーにより被転写面91上に形成されたトナー画像を被転写面91とは反対側の主面(以下、「裏面」という。)92から加熱する予備定着部63、および、被転写面91上の液体トナー中の粒子を溶融させてシート9上に定着させる本定着部60を備える。定着ユニット6は、移動機構2によるシート9の移動方向において上記転写位置よりも下流側(すなわち、シート9の各部位が転写位置よりも後に通過する位置)に配置されており、予備定着部63は、転写位置から(+Y)方向へと移動するシート9の移動方向を(−Z)方向に変更するローラ631を有する。
本定着部60は本体部61を有し、本体部61の内部には、(−Z)方向に移動するシート9が通過する空間(以下、「内部空間」という。)613が形成される。また、本体部61には、供給管621および排出管622を介して温風供給部62が接続され、内部空間613には温風供給部62から供給管621を介して温風が供給され、液体トナーに含まれる粒子が溶融する温度の雰囲気が形成される。また、排出管622内は減圧されており、内部空間613内の温風は排出管622を介して強制的に排出され、温風供給部62にて再度加熱される。これにより、温風供給部62にて温風が効率よく生成される。画像形成システム1では、予備定着部63を通過したシート9が、内部空間613内の温風の雰囲気中に配置されることにより、液体トナーの粒子が溶融してシート9の被転写面91上に定着され、レジストパターンとなる。
図2は、本体部61の平面図である。本体部61はZ方向に移動するシート9が通過する上部開口611および下部開口612(図1参照)を有する。本体部61の(+Z)側の面上において、シート9の(+Y)側にはX方向に長い板状の補助部材614が設けられ、上部開口611においてシート9の被転写面91側((+Y)側)の部位の大部分が閉塞される。本体部61の内部空間613内の温風の一部は熱対流により上部開口611の裏面92側の部位から流出して、裏面92に沿って上方へと移動する。図1に示すように、予備定着部63のローラ631は、本体部61の上方((+Z)側)かつシート9の裏面92側に配置されており、温風の上昇流によりローラ631の外周面が加熱されることとなる。このように、本定着部60の本体部61は、予備定着部63のローラ631を加熱する加熱源ともなっている。
図1の移動機構2は、トナー画像が転写される前のロール状のシート9を保持するとともにシート9を転写位置へと供給するシート供給部201、転写位置においてシート9を裏面92側から支持するとともに定着ユニット6へと導く転写ローラ202、および、定着ユニット6の下流側に設けられるとともに既述のローラ631により(−Z)方向へと移動するシート9の移動方向を(+Y)方向に変更するローラ203を備える。また、移動機構2によるシート9の移動方向においてローラ203よりも下流側には、定着ユニット6によりトナー画像が定着されたシート9を巻き取って回収するシート回収部(図示省略)が設けられる。本実施の形態では、移動機構2によるシート9の移動速度は、毎分約2m〜3mとされる。
実際には、定着ユニット6とシート回収部との間には、エッチング装置やレジスト除去装置が設けられており、レジストパターンが形成されたシート9の部位はエッチング装置およびレジスト除去装置を順に通過する。エッチング装置では、導電層94のレジストパターンから露出している部位(すなわち、トナー画像により被覆されていない部位)にエッチング液を付与することにより当該部位が絶縁性基材93上から除去され、レジスト除去装置では、シート9上からレジストパターン(すなわち、トナー画像)が除去され、シート9上に銅による配線パターンが形成される。
図3は、画像形成システム1がシート9上に画像を形成する処理の流れを示す図である。なお、図3中のステップS11〜S15は感光体312の一部に注目した処理の流れを示しており、感光体312全体に対しては実際にはこれらのステップは時間的にほぼ並行して行われる。また、ステップS16,S17はシート9の一部に注目した処理の流れを示しており、実際には、これらのステップがシート9の連続する部位に対して時間的に連続して行われる。
図1に示す画像形成装置11では、まず、感光ドラム31が回転軸310を中心として図1中における時計回りに一定の回転速度にて回転を開始するとともに、移動機構2においてシート供給部201およびシート回収部がそれぞれ反時計回りに回転することにより、シート9の長手方向への移動が一定の速度にて開始される。プロセスユニット3では感光ドラム31の回転により、回転軸310を中心とする環状部材である感光ドラム31が、周囲に配置された各周辺構成(すなわち、帯電器32、潜像形成部33、現像部34、第1電位付与部4、クリーナ35および除電器36)に対して外周面に沿って連続的に循環移動し、これらの周辺構成による感光体312に対する処理が開始される。
帯電器32では、対向する位置へと到達する感光体312の一部(以下、「対象部位」と呼ぶ。)に電荷が順次付与され、対象部位の表面を、例えば、+700V(ボルト)にて一様に帯電させる(ステップS11)。帯電後の対象部位は潜像形成部33の光の照射位置へと連続的に移動する。
潜像形成部33は、所定の波長の光を出射する複数の発光ダイオード(LED)が配列されたLEDアレイを光源として有する。潜像形成部33には、シート9の被転写面91上に形成されるトナー画像の画像データが入力され、画像データに応じて画像形成用の光が感光体312に向けて出射される。感光体312の対象部位において光が照射された部位では、表面の電荷が感光体312内に移動することにより、表面電位が+100Vまで低減される。また、光が照射されない部位は帯電状態がそのまま維持されるため、感光体312の表面には電荷の分布による画像(すなわち、静電潜像)が形成される(ステップS12)。潜像形成部33の光源は、必ずしもLEDである必要はなく、例えば、半導体レーザや、ランプと液晶シャッタとを組み合わせたものであってもよい。
感光ドラム31において静電潜像が形成された部分(対象部位)は現像部34に対向する位置へと移動する。現像部34では、現像ローラ341が現像バイアス電源343に接続されており、現像バイアス電源343により、+500Vの電位が付与されている。そして、現像ローラ341と静電潜像との間のバイアス電圧により、液体トナー中においてプラスに帯電している粒子(すなわち、液体トナーの溶媒中に分散されるとともに感光体312の表面と同じ極性に帯電している粒子)が溶媒と共に静電潜像に付与される(ステップS13)。本実施の形態では、粒子として、粒径が0.1μm以上2μm以下(より好ましくは、0.1μm以上0.5μm以下)のものが使用される。粒子の主成分は酢酸ビニル(C)である。
感光体312の表面と同じ極性であるプラスに帯電している粒子は、感光体312上の対象部位において、潜像形成部33により表面電位が低減された部位にのみ付着し、これにより、静電潜像が現像される。すなわち、感光体312の外周面上の対象部位に、粒子による転写前のトナー画像が形成される。実際には、粒子の周囲には液体トナーの溶媒も存在している。
現像部34では、対象部位上の不要な液体トナーは、現像ローラ341の(−Z)側(すなわち、感光ドラム31の循環移動の下流側)に位置するスキージローラ342により掻き取られて現像部34へと戻される。スキージローラ342はスキージ用電源344に接続されており、スキージ用電源344により、+500Vの電位が付与されている。そして、スキージローラ342が図1中の時計回りに回転して液体トナーを掻き取ることにより、感光体312上の余剰の液体トナー(すなわち、潜像形成部33により表面電位が低減された部位上に過剰に付与された液体トナー、および、表面電位が低減されなかった部位であるバックグラウンド上に付与された液体トナー)が回収される。
次に、感光ドラム31の循環移動において転写位置よりも手前に配置された第1電位付与部4により、感光体312上に現像されたトナー画像上から、感光体312の外周面に液体トナー中の粒子の帯電極性と同じ極性であるプラスの第1電位が付与される(ステップS14)。これにより、感光体312の外周面の対象部位全体が、帯電器32による帯電と同程度、または、絶対値において大きい電位(本実施の形態では、約+800V)まで帯電する。なお、対象部位では、粒子の付着領域における電位と非付着領域における電位とが僅かに異なっているが、この程度の電位差は後述する粒子の転写にはほとんど影響しない。また、当該電位差は、第1電位付与部4による第1電位の付与時間を長くすることにより解消される。
図1に示す第1電位付与部4による第1電位の付与が終了すると、感光ドラム31の対象部位は、感光ドラム31の回転に同期して移動するシート9の被転写面91に最も接近する転写位置へと到達し、転写位置では対象部位は感光ドラム31の回転速度に応じた速度(すなわち、感光ドラム31の外周面の回転軸310に垂直な断面における接線方向の速度)にて正確に(+Y)方向へと移動する。また、シート9は、移動機構2により、転写位置における感光体312の対象部位と同じ速度にて、対象部位の進行方向と同じ(+Y)方向を移動方向として移動する。これにより、転写位置の極近傍においてシート9(の対象部位に対向する部位)の位置が対象部位に対して相対的に固定される。
このとき、シート9は、転写位置の(+Y)側および(−Y)側にそれぞれ配置される第2電位付与部5の2つの接触子51を介して電気的に接地されており(換言すれば、第2電位付与部5により、シート9の被転写面91に接地電位が付与されており)、転写位置におけるシート9の被転写面91と感光体312の対象部位との間に所定の転写電圧が作用する。すなわち、対象部位から被転写面91へと向かう電界が発生し、感光体312からシート9の被転写面91へと向かう方向の力が粒子に作用する。これにより、感光体312の対象部位上に付着したプラスに帯電したトナー画像が、シート9の被転写面91に順次転写される(ステップS15)。
液体トナーの転写後の感光体312の対象部位は、図1に示すクリーナ35の位置へと続けて移動し、クリーナ35により対象部位に残留した液体トナー(すなわち、シート9に転写されなかった液体トナー)等の不要物が除去されて感光体312の表面がクリーニングされ、感光体312が機械的に初期状態に戻される。そして、ランプとフィルタとの組合せ、あるいは、LED等を有する除電器36により光が照射されて感光体312が除電され、電気的に初期状態に戻される。
上述のように、ステップS11〜S15の処理は感光体312上の対応する部位に対してほぼ並行して行われ、転写位置へと順次到達するシート9の連続する部位に対して連続的に処理が行われる。このため、感光体312の外周面上のトナー画像全体が転写位置においてシート9上に転写され、これが繰り返されることにより、最終的に複数のフレキシブル回路基板となるシート9上に、複数のフレキシブル回路基板の配線パターンに対応するトナー画像が形成される。
画像形成システム1では、トナー画像が形成されたシート9の部位は予備定着部63へと移動し、裏面92がローラ631の外周面に当接してシート9の移動方向が(−Z)方向に変更される。このとき、ローラ631の外周面が本体部61の上部開口611から流出する温風により加熱されていることにより、シート9の裏面92がローラ631により直接的に加熱される。これにより、シート9の被転写面91上のトナー画像が裏面92側から加熱される(ステップS16)。
図4および図5は、シート9上の液体トナーを抽象的に示す図であり、図4は転写後かつ予備定着部63による加熱前の液体トナーを示し、図5は予備定着部63による加熱直後(かつ本定着部60に到達前)の液体トナーを示している。既述のように、液体トナー8では、樹脂を含む粒子81が揮発性の溶媒82に分散されており、予備定着部63により液体トナー8がシート9の裏面92側から加熱されることにより、液体トナー8中にて被転写面91近傍の溶媒82は揮発して除去されるとともに、被転写面91近傍の粒子81は溶融が開始された状態(予備定着またはプリ定着と捉えることもできる。)となる。図5では、溶融が開始された部分を平行斜線を付して示している(後述の図6において同様)。
図1の予備定着部63を通過して(−Z)方向に移動するシート9の部位は、いずれの部材とも接触することなく、定着ユニット6の本体部61内を通過することにより、被転写面91および被転写面91上のトナー画像が加熱される。これにより、シート9上の液体トナーが全体的に加熱され、粒子が溶融して互いに連結するとともに、溶媒が揮発してシート9上から除去される。そして、溶融した粒子が本体部61の外部にて凝固して、被転写面91に定着(本定着)され、レジストパターンとなる(ステップS17)。以下の説明では、被転写面91上に定着した粒子(の集合)も「トナー」と呼ぶ。
後続の工程では、レジストパターンが形成されたシート9において、導電層94のレジストパターンから露出している部位(すなわち、トナー画像により被覆されていない部位)にエッチング液を付与することにより当該部位が絶縁性基材93上から除去され、その後、シート9上からレジストパターン(すなわち、トナー画像)が除去され、シート9上に銅による配線パターンが形成される。
ここで、予備定着部63を省略した比較例の定着ユニットを想定した場合、本定着部60において、図4に示すシート9上の液体トナー8が表面から加熱されるため、図6に示すように、液体トナー8の表面から粒子81の溶融が開始される。この場合、被転写面91近傍の溶媒82(特に、液体トナー8の表面から離れた位置の溶媒82)の周囲が、粒子が溶融した部位により取り囲まれ、およそ密閉された状態となる。また、導電層94の表面である被転写面91は溶媒82に対する非浸透性を有するため、溶媒82が逃げ道を失って、そのままの状態で残存してしまう。このように溶媒82が残存した液体トナー8では、粒子81は溶融しても、固まりにくく、シート9との密着力が弱く、また隣り合う粒子81同士の密着力も弱くなる。従って、液体トナー8の定着力(付着力)が弱くなり、結果的に、定着後におけるトナーでは、シート9との間の定着力(付着力)が低下してしまう。
これに対し、図1の定着ユニット6では、液体トナー8により被転写面91上に形成されたトナー画像が予備定着部63により裏面92側から加熱され、被転写面91近傍の粒子81の溶融が開始される。その後、シート9が本定着部60へと搬送され、液体トナー8の全体の粒子81が溶融されてシート上に定着される。これにより、被転写面91上にて溶媒82が残存することが防止され、シート9上のトナーの定着力を向上することが実現される。
また、予備定着部63において加熱されるローラ631を用いてシート9の裏面92の加熱が行われることにより、シート上の液体トナーを裏面92側から容易に、かつ、効率よく加熱することができる。さらに、ローラ631が本体部61の上部開口611の上方に配置され、上部開口611から外部へと流出する温風により加熱されることにより、ローラ631の加熱源を別途設ける場合に比べて、定着ユニット6のおけるエネルギー効率を向上することができる。
図7は定着ユニットの他の例を示す図であり、図1の定着ユニット6に対応する図である(後述の図8および図9において同様)。図7では、図1と同じ構成要素に同符号を付している。図7の定着ユニット6aでは、本体部61の上部に、Z方向に移動するシート9に平行な板部材64が設けられる。板部材64のX方向の幅は、本体部61の上部開口611のX方向の幅(図2参照)とほぼ同じ(または、当該幅以上)となっており、上部開口611から流出する温風は、シート9の裏面92と板部材64との間を通ってローラ631に到達する。このように、図7の定着ユニット6aでは、本体部61から流出する温風の大部分が板部材64によりローラ631へと導かれることにより、定着ユニット6のおけるエネルギー効率をさらに向上することができる。
図8は定着ユニットのさらに他の例を示す図である。図8の定着ユニット6bでは、予備定着部63のローラ631が中空とされる。また、温風供給部62の排出管622(図1参照)が省略されるとともに、本体部61の(−X)側の側面に開口が設けられ、当該開口から中空のローラ631の内部へと連続する温風導出管65が設けられる。さらに、上部開口611には、シート9の裏面92側にも、図2の補助部材614と同様の補助部材が設けられており、上部開口611からの温風の流出が制限される。以上により、本体部61の内部空間613の温風が温風導出管65によりローラ631内へと導かれ、ローラ631の加熱が行われる。これにより、シート9上のトナーの定着力を向上しつつ、定着ユニット6bのおけるエネルギー効率を向上することができる。なお、本体部61とローラ631とがヒートパイプ等により接続されることにより、本体部61における熱をローラ631に付与することも可能である。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
上記実施の形態では、本体部61にて液体トナーの定着に利用される温風により予備定着部63のローラ631が加熱されるが、ローラ631の加熱は専用の加熱源により行われてもよい。また、被転写面91上のトナー画像の裏面92側からの加熱は、他の手法により行われてもよく、例えば、図9に示すように、裏面92に対向する位置に加熱用の光照射部632が設けられ、光の照射によりトナー画像が裏面92側から加熱されてもよい。さらに、トナー画像が形成されたシート9の裏面92に向けて温風が噴射されて液体トナーが加熱されてもよい。このように、予備定着部63による液体トナーの裏面92側からの加熱は様々な手法により実現可能である。
図2に示す本体部61では、上部開口611の被転写面91側の部位を閉塞する補助部材614を設けることにより、予備定着部63のローラ631を上部開口611から流出する温風により積極的に、かつ、効率よく加熱することが実現されるが、ローラ631の加熱を適切に行うことが可能であるならば、補助部材614は省略されてもよい。
定着ユニット6は、溶媒に対して浸透性を有するシート上のトナー画像の定着に用いられてもよい。例えば、シート上に形成されるトナー画像の厚さが大きい(すなわち、液体トナーを厚く盛る)場合、溶媒のシートへの染み込み量には一定の限界があるため、本定着部60による本定着の前に、予備定着部63によりシートを裏面側から加熱することにより、被転写面上にて溶媒が残存することが防止され、トナーの定着力の向上が図られる。
一方で、溶媒が染み込まないシート9では、予備定着部63を省略した比較例の定着ユニットを通過した後に、被転写面91上に多くの溶媒が残存するため、予備定着部63による予備定着を行う上記手法は、被転写面91が溶媒に対して非浸透性を有するシート9、すなわち、溶媒がほとんど染み込まないシート9上のトナー画像の定着に特に適している。
図1の画像形成システム1の設計によっては、シート9の下面にトナー画像が形成されるとともに、ローラ631によりシート9の移動方向が(+Y)方向から(+Z)方向に変更され、ローラ631の上方に配置される本体部の下部開口からシート9が本体部内に進入し、上部開口から外部に排出されてもよい。この場合でも、図8の温風導出管65等を用いて本体部内の温風をローラ631へと導いて、ローラ631を加熱することが可能である。
上記実施の形態における本定着部60では、本体部61におけるシート9の搬入および搬出用の開口が縦向きに配置され、上下方向に移動するシート9に対して処理が行われるため、本定着部60の設置面積を小さくすることが可能となるが、搬入および搬出用の開口が横向きに配置され、水平方向に移動するシートが内部を通過することにより、液体トナーの粒子の定着が行われる本定着部が用いられてもよい。さらに、外部から加熱される2つの平行平板の間をシートが通過することにより、本定着が行われてもよい。このように、粒子が溶融する温度の雰囲気を形成し、シートを当該雰囲気中に配置することにより、液体トナーの粒子を溶融させてシート上に定着させるものであるならば、本定着部60の構成は様々に変更可能である。
画像形成装置は、電子写真方式以外の手法にてシート上にトナー画像を形成するものであってもよい。また、画像形成システム1は、回路基板シートの作製以外に、例えば、カラーフィルタの作製や、印刷用紙上への印刷等に用いられてもよく、シート9も、樹脂や銅箔以外の材料にて形成されるものであってもよい。さらに、画像形成システムの設計によっては、枚葉のシートが処理対象とされてもよい。
1 画像形成システム
6,6a,6b 定着ユニット
8 液体トナー
9 シート
11 画像形成装置
60 本定着部
61 本体部
62 温風供給部
63 予備定着部
64 板部材
65 温風導出管
81 粒子
82 溶媒
91 被転写面
92 裏面
611 上部開口
612 下部開口
613 内部空間
614 補助部材
631 ローラ
S16,S17 ステップ

Claims (7)

  1. シート上に形成されたトナー画像を前記シートに定着させる定着ユニットであって、
    樹脂を含む粒子が揮発性の溶媒に分散された液体トナーによりシートの一の主面上に形成されたトナー画像を他の主面側から加熱する予備定着部と、
    前記粒子が溶融する温度の雰囲気を形成し、前記予備定着部を通過した前記シートを前記雰囲気中に配置することにより、前記液体トナーの前記粒子を溶融させて前記シート上に定着させる本定着部と、
    を備えることを特徴とする定着ユニット。
  2. 請求項1に記載の定着ユニットであって、
    前記シートが長尺であり、
    前記予備定着部が、長手方向に移動する前記シートの前記他の主面と当接して前記シートの移動方向を変更する外周面を有するとともに、前記外周面が加熱されるローラを備えることを特徴とする定着ユニット。
  3. 請求項2に記載の定着ユニットであって、
    前記本定着部が、
    前記シートが通過する空間を形成する本体部と、
    前記本体部内に温風を供給する温風供給部と、
    を備え、
    前記定着ユニットが、
    前記本体部内の前記温風を前記ローラへと導く手段をさらに備え、
    前記温風により前記ローラが加熱されることを特徴とする定着ユニット。
  4. 請求項2に記載の定着ユニットであって、
    前記本定着部が、
    前記シートが通過する空間を形成する本体部と、
    前記本体部内に温風を供給する温風供給部と、
    を備え、
    前記本体部が、前記シートが通過する上部開口および下部開口を有し、
    前記上部開口の上方に前記ローラが配置されることにより、前記ローラが前記上部開口から流出する前記温風により加熱されることを特徴とする定着ユニット。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の定着ユニットであって、
    前記シートの前記一の主面が前記溶媒に対して非浸透性を有することを特徴とする定着ユニット。
  6. シート上に画像を形成する画像形成システムであって、
    シート上にトナー画像を形成する画像形成装置と、
    前記シート上のトナー画像を前記シートに定着させる請求項1ないし5のいずれかに記載の定着ユニットと、
    を備えることを特徴とする画像形成システム。
  7. シート上に形成されたトナー画像を前記シートに定着させる定着方法であって、
    樹脂を含む粒子が揮発性の溶媒に分散された液体トナーによりシートの一の主面上に形成されたトナー画像を他の主面側から加熱する工程と、
    前記粒子が溶融する温度の雰囲気中に前記シートを配置することにより、前記液体トナーの前記粒子を溶融させて前記シート上に定着させる工程と、
    を備えることを特徴とする定着方法。
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