JP2001201289A - 熱交換器用アルミニウムフィン材 - Google Patents

熱交換器用アルミニウムフィン材

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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹種系処理材の特徴である低臭気を維持
しつつ、汚染物付着時の親水持続性に優れた熱交換器用
アルミニウムフィン材の提供を課題とする。 【解決手段】 熱交換器用アルミニウムフィン15は、
アルミニウムよりなる基板16上に、(a)第1層とし
て、無機酸化物又は有機―無機複合化合物のいずれか1
種からなる耐食皮膜17を形成し、さらにその上に、
(b)第2層として、ポリアクリル酸又はポリアクリル
酸塩の中のいずれか1種の100質量部に対して、分子
内にヒドロキシル基を有する水溶性樹脂を1〜100質
量部含有する200℃以上で焼き付けられた厚さ0.1
乃至10μmの親水性皮膜18を形成し、さらにその上
に、(c)第3層として、分子内にヒドロキシル基を有
する厚さ0.1乃至10μmの水溶性樹脂皮膜19を形
成して、構成されている。を解決手段とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、その表面に塗膜が
形成されたアルミニウム(本明細書においてはアルミニ
ウム合金を含むものとする)からなる熱交換器用フィン
材、殊に汚染物付着時の親水持続性に優れ、又フィンに
加工する際に金型と粘着する粘着不具合が発生しにく
く、ルームエアコンなどの熱交換器のフィンの用途など
に好適な熱交換器用アルミニウムフィン材に関する。
【0002】
【従来の技術】熱交換器はルームエアコン、パッケージ
エアコン、冷凍ショーケース、冷蔵庫、オイルクーラー
及びラジエータ等を代表として種々の分野に利用されて
いる。これらの熱交換器において、ルームエアコン及び
パケージエアコン等の熱交換器用フィンには熱伝導性及
び加工性が優れることからアルミニウムが使用されてい
る。
【0003】この熱交換器用フィン材の表面には、腐食
発生防止を目的としてそのフィンに防食処理が施されて
いる。又、冷房運転時の凝縮水がフィン間に留まること
を防止するため、粒状水滴の落下性を高める撥水性向上
のための表面処理、又は水膜状水滴の落下性を高める親
水性向上のための表面処理がフィン表面に施されてい
る。
【0004】親水性を高める表面処理をアルミニウム材
表面に施すと、このアルミニウム材からなるフィンに付
着した水滴の接触角を小さくすることができる。図1は
平面状の水滴の接触角を示す模式図、図2は熱交換器の
熱交換部を示す模式図(斜視図)である。図1に示すよ
うに、接触角θとは水滴2の表面において平面1から立
ちあがった点Aにおける水滴2の接線22と平面1がな
す角度をいい、接触角θが低いほど水膜(水滴)が薄く
なり、親水性が良好となる。図2に示すような熱交換器
の熱交換部においては、フィン3を貫くように通ってい
る銅管4の中を矢印で示す方向に冷媒が流れるため、フ
ィン3の表面には水滴が結露するが、親水性が良好な場
合はこの水滴の落下性が良好となる。その結果、フィン
3に付着した水滴や水膜によって送風時の抵抗が高くな
ることを防止でき、優れた熱交換器特性を得ることがで
きる。
【0005】図3(a)乃至図3(c)はフィン表面の
水滴付着状態を示す模式図である。図3(a)におい
て、下向きの矢印の長さは一定時間に水滴が落下する距
離に比例する。図3(a)に示すように、フィン5の親
水性が良好な場合は水滴6の接触角が小さいので、水滴
6はフィン5に沿って容易に落下する。その結果、水滴
6が送風を遮ることがないので、送風抵抗が小さくな
る。一方親水性が劣るフィンからなる熱交換器では、図
3(b)に示すように、水滴8の接触角が大きいため水
滴8がフィン7に留まったり、図3(c)に示すように
水滴11がフィン9とこのフィン9に隣接するフィン1
0との両者に接触して留まったりする(以下この状態を
ブリッジと称する)ために、水滴が送風を遮り、送風抵
抗が著しく増加する。
【0006】ところで、フィン材の親水性を向上させる
表面処理の方法としては以下に示す方法がある。例え
ば、水溶性有機高分子物質と珪酸塩化合物との混合皮膜
をアルミニウム材表面に設ける方法(特公平3−774
40号公報参照)、熱硬化性樹脂にシリカ微粒子を分散
させた皮膜をアルミニウム材に塗布する方法(特開平3
−269072号公報参照)がある。
【0007】しかし、前記した珪酸塩を使用する処理の
場合には、親水性は良好なものの、硬質なシリカを含む
ため、フィンの成形加工時における工具摩耗が大きくな
る。又、冷房の運転開始時において水ガラス特有の微弱
な異臭が発生してしまう。更に、シリカ微粒子を含む樹
脂による処理は、臭気の発生は少ないものの工具摩耗が
大きく、又、表面に付着する水滴の接触角が大きくなり
親水性が低下してしまう。
【0008】又、アルミニウム材の表面にアクリル樹脂
層及びセルロース樹脂層を順次形成し、親水性及び耐食
性を高める方法(特開平4−316837号公報参
照)、親水性有機化合物にメラミン樹脂、尿素樹脂又は
ベンゾグアナミン樹脂の有機硬化剤とを添加し親水性皮
膜を形成する方法(特公平5−15176号公報参照)
もある。
【0009】これらの処理方法では、工具摩耗が少な
く、臭気発生が殆どないという特性を有するものの、冷
房運転と暖房運転を交互に繰り返すと、フィン表面に付
着した水滴の接触角が大きくなり親水性が低下してしま
う。又、前記特開平4−316837号公報に開示され
た技術のように、界面活性剤を使用する場合には、泡立
ちなどによる品質むら及び生産性の低下等の問題が生じ
る。又、長期の使用で界面活性剤が溶出した場合には、
親水性が著しく低下してしまう。更に、熱交換器用フィ
ン材に被覆して使用された場合には、結露水又はその結
露水により溶出した成分のために、プラスチック製ドレ
ンパンの表面の変質及びひび割れの問題を引き起こすこ
ともある。
【0010】そこで、カルボキシメチルセルロース樹脂
にポリアクリル酸、N−メチロールアクリルアミド、ポ
リエチレンオキサイドを添加した混合皮膜を設ける方法
(特開平6−322552号公報参照)、ポリグルタミ
ン酸及び塩基性化合物を必須成分として、必要に応じて
水性樹脂を含有する皮膜を形成する方法(特開平7−1
02189号公報参照)、アルミニウム材の上に溶解性
パラメータが互いに異なる水溶性樹脂を2種以上混合
し、表面が微細に粗面化された樹脂系皮膜を形成し、水
滴の接触角を小さく維持する方法(特開平7−2700
92号公報参照)、表面を微細に粗面化させ接触角を小
さくする方法(特開平7−270092号公報参照)、
分子量が規定されたエポキシ系架橋剤とポリビニル系樹
脂との混合物により表面に微細な孔を有する親水性皮膜
を形成する方法(特開平9−26288号公報参照)が
提案されている。
【0011】これらの技術によれば、珪酸塩化合物系の
処理を施したものと同様の優れた親水性を得ることがで
きる。特に、特開平7−270092号公報および特開
平9−26288号公報に開示された技術においては、
樹脂皮膜により表面形態が微細なすりガラス状に粗面化
されているので、親水性が優れ従来の珪酸塩化合物系の
処理を施したフィン材の問題点であった工具摩耗及び臭
気の問題も殆どない。又、親水性の持続性を向上した点
では画期的である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年汚
染物が付着した場合の親水性の持続性が重要になってき
た。エアコン等が使用される環境には様々な室内浮遊物
質があり、これがフィン表面に付着して親水性を大きく
劣化させる場合が頻発している。ここでいう汚染物と
は、例えばフタル酸ジイソオクチル(DOP)などの可
塑剤、パルミチン酸、ステアリン酸、パラフィン類など
のプラスチック用滑剤などが挙げられる。これらの汚染
物が付着した場合は前記の何れの表面処理が施されたフ
ィンにおいても親水性が大きく劣化しやすい。実際、一
般家屋のエアコンの熱交換器においてもブリッジが生成
している事例が多数確認されていて、この滞留した水滴
が室内に飛散するという現象(以下、水飛び現象とい
う)を引き起こすため問題である。このような汚染物に
よる親水性劣化は、親水性の劣化が水滴の接触角の増大
とは必ずしも対応しない。例えば、汚染物がない部分に
おける接触角が40°であってもブリッジが生成する場
合もあれば、接触角が70°でも図3(b)に示す状態
に留まっていることがある。このような現象は汚染物付
着時に発生する特有の現象である。
【0013】本発明は、前記の従来技術の問題点に鑑み
てなされたものであって、樹種系処理材の特徴である低
臭気を維持しつつ、汚染物付着時の親水性の持続性(以
下、親水持続性と称する)に優れた熱交換器用アルミニ
ウムフィン材の提供を課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決した本
発明の態様は、アルミニウムよりなる基板上に、(a)
第1層として、無機酸化物又は有機―無機複合化合物の
いずれか1種からなる耐食皮膜を形成し、さらにその上
に、(b)第2層として、ポリアクリル酸又はポリアク
リル酸塩の中のいずれか1種の100質量部に対して、
分子内にヒドロキシル基を有する水溶性樹脂を1〜10
0質量部含有する200℃以上で焼き付けられた厚さ
0.1乃至10μmの親水性皮膜を形成し、さらにその
上に、(c)第3層として、分子内にヒドロキシル基を
有する厚さ0.1乃至10μmの水溶性樹脂皮膜を形成
したこと、を特徴とするアルミニウムフィン材である。
【0015】(作用)本発明においては、熱交換器用フ
ィン材の表面に耐食皮膜が形成されているので、フィン
材の耐食性を向上させることができる。又、耐食皮膜の
上に前記のような樹脂皮膜を2層設けることで、汚染物
付着時の親水持続性が向上するとともに、珪酸塩系処理
皮膜が形成された場合のような臭気や大きな工具摩耗な
どが発生することがない。なお、さらに詳細な作用や数
値限定理由については、発明の実施の形態の説明の中で
後記する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態について
詳細に説明する。図4は本発明の熱交換器用アルミニウ
ムフィンの断面を模式的に示した断面図である。本発明
の熱交換器用アルミニウムフィン15は、図4に示すよ
うに、アルミニウムよりなる基板16上に、(a)第1
層として、無機酸化物又は有機―無機複合化合物のいず
れか1種からなる耐食皮膜17を形成し、さらにその上
に、(b)第2層として、ポリアクリル酸又はポリアク
リル酸塩の中のいずれか1種の100質量部に対して、
分子内にヒドロキシル基を有する水溶性樹脂を1〜10
0質量部含有する200℃以上で焼き付けられた厚さ
0.1乃至10μmの親水性皮膜18を形成し、さらに
その上に、(c)第3層として、分子内にヒドロキシル
基を有する厚さ0.1乃至10μmの水溶性樹脂皮膜1
9を形成して、構成されている。
【0017】(第1層)本発明において、アルミニウム
材16の表面に形成する耐食皮膜17は、クロメート皮
膜又はジルコニウム系皮膜などの無機酸化物からなる皮
膜を使用する。クロメート皮膜としては、例えば、リン
酸クロメート皮膜及びクロム酸クロメート皮膜を使用す
ることができ、アルミニウム材などの表面に樹脂分を添
加した塗布型のクロメート処理を施してもよい。一方、
ジルコニウム系皮膜は、反応型のジルコニウム系化成処
理又は塗布型のジルコニウム処理によって形成すること
ができる。なお、この塗布型のジルコニウム処理により
アクリルージルコニウム複合皮膜を形成することができ
る。
【0018】この耐食皮膜17の被着量は、耐食性が得
られる範囲であれば特に制限されるものではないが、被
着量が多すぎると加工性が低下する。従って、耐食皮膜
の被着量は、Cr及びZrなどの無機金属換算値とし
て、10〜60mg/m2であることが好ましい。
【0019】(第2層)耐食皮膜17の上に形成される
第1の親水性樹脂皮膜18の内容は、本発明の根幹に関
わるものであり、以下に詳細に説明する。ポリアクリル
酸若しくはポリアクリル酸塩(具体的には、ナトリウム
塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩)(以下ポリアク
リル酸類と称とする)は、200℃以上で焼き付けられ
ると水不溶性の樹脂皮膜となるが、これには親水性がな
い。このポリアクリル酸類は、元来、塗装皮膜のバイン
ダー樹脂として密着性を付与させたり耐水性を付与させ
たりする目的に使われる。このポリアクリル酸類にヒド
ロキシル基を有する水溶性樹脂を1種又は2種以上の混
合物として添加して、200℃以上で焼き付けすること
で強固な密着性のある親水皮膜層18が形成される。こ
れは、ポリアクリル酸類が元来密着性向上効果の高いこ
とに加えて、ヒドロキシル基とカルボキシル基との脱水
縮合反応によるエステル化が部分的に同時に起こること
でより強固になることによる。このように密着性が高い
皮膜とすることで、ヒドロキシル基を含有する水溶性樹
脂の流出が抑制され親水持続性を付与することができる
ことに加えて、前記のような汚染物が固着しにくく親水
持続性が劣化しにくいことが見出された。この皮膜は水
滴の接触角が30°前後であり、通常の親水性の考え方
では取り分けて良好とはいい難いが、後記する実施例に
示す風洞実機汚染試験において、従来の表面処理に対す
る明らかな優位性がみいだされるものである。ここで用
いられる水溶性樹脂としてはヒドロキシル基を有する水
溶性樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば
カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルア
ルコール、ポリエチレンオキサイドなどが挙げられる。
また、これらの樹脂は、単独で用いても、2種以上を混
合して用いてもよい。
【0020】このとき、配合比率としては、ポリアクリ
ル酸類100質量部に対して、分子内にヒドロキシル基
を有する水溶性樹脂の合計が1〜100質量部の範囲で
なければならず、又200℃以上で焼き付けられなけれ
ばならない。これは水溶性樹脂の量が100質量部を超
えて多すぎたり、200℃以下で焼き付けられると皮膜
の流出成分が増大し、また汚染物も固着しやすくなるた
めである。又、水溶性樹脂の量が1質量部未満と少なす
ぎると親水性が全く得られなくなってしまうためであ
る。焼き付け温度の上限については特に限定されるもの
ではないが、実際には300℃超えの高温で焼き付ける
と皮膜の熱分解が生じて黄変色を起こすなどの不具合を
生じやすくなるので、300℃以下であるのが実用的で
ある。
【0021】なお、前記第2層の皮膜厚としては、0.
1μm以上でなければ親水性が得られない。皮膜厚の上
限としては、その機能の点からは特に制限れるものでは
ないが、塗装時の塗工性を考えると10μm以下である
ことが望ましい。
【0022】(第3層)第1の親水性皮膜18の上に形
成される水溶性樹脂皮膜は、分子内にヒドロキシル基を
有する水溶性樹脂からなる水溶性樹脂皮膜を0.1μm
以上の厚さに形成させたものである。この水溶性樹脂皮
膜は下層皮膜であるポリアクリル酸類と反応するので、
冷房運転時に生成するドレン水によって殆ど流出するも
のの僅かに残存するため、汚染物付着時の親水持続性を
向上させる効果をより高める作用がある。また、下層の
ポリアクリル酸の含有量が多い皮膜においては、粘着性
が高いので、アルミニウム材をコイル形状にした時に板
同士が粘着する不具合、さらにはフィンに加工する際に
金型と粘着する不具合などが生じやすくなるため、水溶
性樹脂被膜によって被覆しておく必要が生じる。ここで
用いられる水溶性樹脂としてはヒドロキシル基を有する
水溶性樹脂であれば特に限定されるものではなく、例え
ばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニル
アルコール、ポリエチレンオキサイドなどが挙げあれ
る。又、これらの樹脂は単独で用いても、2種以上を混
合して用いてもよい。ただし、ポリビニルアルコールを
用いる際には、溶出しやすい部分ケン化タイプ(ケン化
度80%以下)が望ましい。
【0023】なお、前記第3層の皮膜厚としては0.1
μm以上である必要があり、0.1μm未満であると、
前記のような粘着不具合が発生するとともに汚染物付着
時の親水持続性の向上の効果が半減する。皮膜厚の上限
としては、特に定められるものではないが、塗装時の塗
工性を考えると10μm以下であることが望ましい。
【0024】(実施例)以下本発明の実施例について、
特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説
明する。 (耐食皮膜(第1層)の形成)先ず、板厚が0.110
mmであるJIS A1100 H22のアルミニウム
板材の表面に、下記表1に示す耐食皮膜(第1層)を形
成した。なお、下記表1における耐食皮膜のうち、A2
及びA3の塗布型処理においては、バーコーターを使用
して皮膜原料を塗装し、200℃で20秒間焼き付け処
理をすることにより皮膜を形成した。そして、A1及び
A2のクロメート処理においては、その被着量をCr換
算値で20mg/m2とし、A3のジルコニウム処理に
おいては、その被着量をZr換算値で40mg/m2
した。
【0025】
【表1】
【0026】(親水性樹脂皮膜(第2層)の形成)次
に、下記表2に示す親水性樹脂皮膜(第2層)を積層し
た。なお下記表2における親水性樹脂皮膜のうち、B1
〜B3が本発明の特許請求の範囲に該当する処理内容で
あり、B4〜B7はこれに該当しないものである。これ
らはいずれもバーコーターを使用して皮膜原料を塗装
し、後記する表5に示す温度で20秒間焼き付けること
により皮膜を形成した。
【0027】
【表2】
【0028】(水溶性樹脂皮膜(第3層)の形成)次
に、下記表3に示す水溶性樹脂からなる水溶性皮膜(第
3層)を積層した。なお、下記表3における水溶性樹脂
皮膜は、すべてバーコーターを使用して皮膜原料を塗装
し、150℃で20秒間焼き付け処理することにより皮
膜を形成した。
【0029】
【表3】
【0030】前記表1〜表3のそれぞれに示した第1
層、第2層及び第3層の組み合わせにより形成された皮
膜の汚染物付着時の親水性及び粘着不具合等の特性を調
査した。汚染物付着時の親水性は、下記表4及び図2に
示した風洞実機汚染試験の運転サイクルを、汚染物質と
して特にフタル酸ジイソオクチル、パルミチン酸、パラ
フィン及びヘキサデカノールの等量混合物を用いて10
サイクル運転した場合の結果を観察して、サイクル後の
フィンの親水性を、図3(a)に示すものを記号A、図
3(b)に示すものを記号B、図3(c)に示すものを
記号Cで表した。又、粘着不具合については、同種の塗
装をした板同士を重ねて50℃に加熱し、980Paで
1分加圧した場合の粘着発生有無について評価し、粘着
不具合なしを記号○で、粘着不具合発生を記号×で表し
た。
【0031】
【表4】
【0032】前記の調査結果を下記表5に示した。
【0033】
【表5】
【0034】表5から下記のことがいえる。実施例はい
ずれも本発明の特許請求の範囲に入る条件のものであ
り、汚染物付着時もいずれも良好な親水性を示してお
り、アクリル酸類特有の粘着不具合も発生しなかった。
比較例1は第2層の焼き付け温度が本発明の下限値より
も低かった場合、又比較例2は第2層の皮膜厚が本発明
の下限値よりも薄かった場合であり、これらは汚染物付
着時の親水性が劣化している。又、比較例3,8は第3
層が本発明の下限値よりも薄かった場合、又は第3層が
ない場合であり、これらの場合は粘着不具合が発生する
とともに、汚染物付着時の親水性も若干劣化している。
比較例4,5はポリアクリル酸と水溶性樹脂の配合比率
が請求項1からはずれている場合であり、これらの場
合、汚染物付着時の親水性は著しく劣化する。比較例6
は特開平7−270092号公報に開示の発明に基づく
処理であり、又、比較例7は特公平3−77440号公
報に開示の発明に基づく処理である。これらの処理では
汚染物付着時の親水性が大きく劣化している。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、樹種系処理材の特徴で
ある低臭気を維持しつつ、汚染物付着時の親水持続性に
優れた熱交換器用アルミニウムフィン材の提供が可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 平面上の水滴の接触角を示す模式図であ
る。
【図2】 熱交換器の熱交換部を示す模式図(斜視
図)である。
【図3】 (a)乃至(c)はフィン表面の水滴付着
状態を示す模式図である。
【図4】 本発明の熱交換器用アルミニウムフィンの
断面を模式的に示した断面図である。
【図5】 風洞実機汚染試験装置を示す模式図(側断
面図)である。
【符号の説明】
1 平面 2 水滴 3 フィン 4 銅管 5 フィン 6 水滴 7 フィン 8 水滴 9 フィン 10 フィン 11 水滴 15 熱交換器用アルミニウムフィン材 16 基板 17 耐食皮膜(第1層) 18 親水性皮膜(第2層) 18 水溶性樹脂皮膜(第3層) 22 接線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 高宏 栃木県真岡市鬼怒ケ丘15番地 株式会社神 戸製鋼所真岡製造所内 Fターム(参考) 4K026 AA09 AA22 BA06 BA07 BA12 BB02 BB08 CA18 CA20 CA26 DA02 EB08 EB11 4K044 AA06 AB02 BA12 BA15 BA21 BB04 BC02 BC05 CA16 CA53 CA62

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムよりなる基板上に、
    (a)第1層として、無機酸化物又は有機―無機複合化
    合物のいずれか1種からなる耐食皮膜を形成し、さらに
    その上に、(b)第2層として、ポリアクリル酸又はポ
    リアクリル酸塩の中のいずれか1種の100質量部に対
    して、分子内にヒドロキシル基を有する水溶性樹脂を1
    〜100質量部含有する200℃以上で焼き付けられた
    厚さ0.1乃至10μmの親水性皮膜を形成し、さらに
    その上に、(c)第3層として、分子内にヒドロキシル
    基を有する厚さ0.1乃至10μmの水溶性樹脂皮膜を
    形成したこと、を特徴とするアルミニウムフィン材。
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