JPH09133493A - 熱交換器用アルミニウム部材及びその製造方法 - Google Patents

熱交換器用アルミニウム部材及びその製造方法

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JPH09133493A
JPH09133493A JP31611795A JP31611795A JPH09133493A JP H09133493 A JPH09133493 A JP H09133493A JP 31611795 A JP31611795 A JP 31611795A JP 31611795 A JP31611795 A JP 31611795A JP H09133493 A JPH09133493 A JP H09133493A
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真紀 櫻井
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    • F28HEAT EXCHANGE IN GENERAL
    • F28FDETAILS OF HEAT-EXCHANGE AND HEAT-TRANSFER APPARATUS, OF GENERAL APPLICATION
    • F28F13/00Arrangements for modifying heat-transfer, e.g. increasing, decreasing
    • F28F13/18Arrangements for modifying heat-transfer, e.g. increasing, decreasing by applying coatings, e.g. radiation-absorbing, radiation-reflecting; by surface treatment, e.g. polishing

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面全体に均一で優れた撥水性を有すると共
に、着霜を防止することができる熱交換器用アルミニウ
ム部材及びその製造方法を提供する。 【解決手段】アルミニウム基材をLi、Na、K、M
g、Ca、Sr、Ba、La及びCeからなる群から選
択されたいずれかの元素を含む塩類、塩化物並びに水酸
化物からなる群から選択された1種以上の化合物を含有
する水溶液に浸漬して膜厚が0.1μm以上の化学処理
皮膜を形成する。その後、前記皮膜の表面に撥水性塗料
を0.1乃至20mg/dm2塗布して撥水性皮膜を形
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷暖房兼用タイプのル
ームエアコン等に組み込まれる熱交換器用フィンとして
好適の熱交換器用アルミニウム部材及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】通常、ルームエアコンの熱交換器用フィ
ン材として、主にアルミニウム材(以下、アルミニウム
合金材も含む)が使用されている。これは、アルミニウ
ム材が熱伝導性及び成形性の点で優れているからであ
る。この種のフィン材には、腐食を防止するために防食
処理が施されており、それと同時に冷房運転時に結露し
た水がフィン間に溜まり通風抵抗が大きくなることを抑
制するために、フィン材に表面処理を施して親水性を付
与し、フィン表面の水濡れ性を向上させている。
【0003】近年、冷暖房兼用型のルームエアコンが増
加しているが、この種のルームエアコンに使用されてい
るヒートポンプ型の熱交換器では、夏期において室内器
が蒸発器となり、室外器が凝縮器となる。一方、冬期に
は室内器が凝縮器となり、室外器が蒸発器となる。この
ような冷暖房兼用のルームエアコンにおいては、冬期に
外気温度が低い場合に室内で暖房運転すると、室外器に
設けられた熱交換器のフィン表面で凝縮した水分が氷結
して霜が発生しやすくなる。特に、親水性が付与された
フィン材が使用されている場合は、フィン表面の水濡れ
性が良好であるため、フィン表面に霜が発生しやすい。
室外器のフィン表面に霜が発生すると、霜によりフィン
間が塞がれてしまうため、通風抵抗が増加し、暖房能力
が低下してしまう。
【0004】そこで、フィン表面に撥水性を付与するこ
とにより、フィンの表面上で凝縮した水滴を大きくなる
前に落下させ、フィンの水切れ性及び着霜防止性を向上
させる方法が考えられる。しかし、フィン材に撥水性を
付与する場合、撥水性塗料(平滑面に塗布されて皮膜が
形成された場合の接触角が90°以上の塗料)を塗布す
るものの、一般的に撥水性塗料単体の皮膜を形成するの
みでは、十分な撥水性を得ることができず、また着霜を
防止することができないという難点がある。
【0005】これに対して、薬品処理によりフィン材の
表面に直接凹凸を形成し、これを下地として撥水性の皮
膜を形成する方法(特開平3−45894号公報)、フ
ィンの表面にフッ素系の特殊な皮膜を形成する方法(特
開平3−30939号、特開平3−44485号公
報)、フィン材の表面にフッ素系の特殊な皮膜を形成し
た後、この皮膜表面を粗面化して撥水性をより一層向上
させる方法(特開平3−45893号公報)及び塗料に
微粒子を配合しこの塗料で皮膜を形成することにより撥
水性を向上させる方法(特公平3−244680号公
報)等が提案されている。
【0006】なお、接触角とは、図1に示すように、水
滴1の表面が部材表面2と接触している点から接線3を
引いた場合に、この接線3と部材表面2とのなす角度θ
1をいい、接触角θ1が大きいほど(最大θ1=180
°)水滴1が部材表面2に付着する面積が小さくなるた
め、水滴1が部材表面2に付着し難いといえる。また、
部材表面の粗面化と接触角との関係について、一般に接
触角が90°以上である部材表面では、その表面を粗面
化するに伴い見かけの接触角が大きくなる。一方、接触
角が90°未満の部材表面では、その表面の粗面化に伴
い接触角が低下することが知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
方法では、以下のような難点がある。即ち、薬品処理に
よりフィン材に凹凸を形成した後、撥水性皮膜を形成す
る方法では、薬品処理によるエッチングによってフィン
材の板厚が減少し、板厚の制御が困難となる。加えて、
フィン材の表面にセラミックコーティングして下地皮膜
を形成した後、この下地皮膜の表面に撥水性皮膜を形成
するが、前記下地皮膜は融着皮膜であるため、前記フィ
ン材と前記下地皮膜との間には化学的結合がなく、前記
撥水性皮膜が前記フィン材から剥離しやすくなってしま
う。
【0008】また、フッ素系の特殊な皮膜を形成する方
法では、プラズマ重合等の方法を使用する必要があり、
製造設備を導入するために、莫大な費用が必要となる。
このため、製造コストが上昇し製品価格が高くなってし
まう。加えて、フッ素系の特殊な皮膜を形成するために
は、バッチ処理が必要であるため、生産性が低く実際に
使用することは困難である。
【0009】更に、フィン材の表面にフッ素系の撥水性
皮膜を形成した後、この皮膜表面を粗面化する方法で
は、撥水性皮膜の厚さと皮膜表面の突起高さとの和が
0.2μm以上、且つ(突起高さ/突起底部の直径)が
0.1以上必要であり、このような突起を機械加工によ
って設けると、前記皮膜に強い力が作用し皮膜が剥がれ
てしまう。このため、前記皮膜が剥がれた部分では極め
て撥水性が低下し、その結果撥水性が均一な皮膜を形成
することは極めて困難である。
【0010】更にまた、塗料に微粒子を配合しこの塗料
で皮膜を形成する方法では、微粒子を均一に分散させる
ことが困難であり、また場合によっては微粒子の沈殿が
生じるため、均一な塗膜形成が困難である。このため、
撥水性が均一なフィン材を得ることができない。加え
て、微粒子は塗膜内での結合力が弱く、微粒子を塗膜中
に保持するために、樹脂バインダー成分を増加させるこ
とが必要となるが、樹脂バインダー成分が増加すると、
塗膜の撥水性が低下してしまう。
【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、表面全体に均一で優れた撥水性を有すると
共に、着霜を防止することができる熱交換器用アルミニ
ウム部材及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る熱交換器用
アルミニウム部材は、アルミニウム基材の表面に膜厚が
0.1μm以上で形成された化学処理皮膜と、前記化学
処理皮膜の表面に皮膜量が0.1乃至20mg/dm2
で形成されている撥水性皮膜とを有し、前記化学処理皮
膜はその最表面に薄板状の結晶が相互に交差して析出し
ていることを特徴とする。また、前記結晶は平面上にお
ける相互間の平均距離が10μm以下であることが好ま
しい。更に、前記アルミニウム基材の表面は粗面化され
ていることが好ましい。
【0013】本発明に係る熱交換器用アルミニウム部材
の製造方法は、アルミニウム基材をLi、Na、K、M
g、Ca、Sr、Ba、La及びCeからなる群から選
択されたいずれかの元素を含む塩類、塩化物並びに水酸
化物からなる群から選択された1種以上の化合物を含有
する水溶液に浸漬して膜厚が0.1μm以上の化学処理
皮膜を形成する工程と、前記皮膜の表面に撥水性塗料を
0.1乃至20mg/dm2塗布して撥水性皮膜を形成
する工程とを有することを特徴とする。また、前記アル
ミニウム基材に前記水溶液を噴霧又は塗布してもよい。
更に、前記塩類は炭酸塩、重炭酸塩又は硫酸塩であるこ
とが好ましい。
【0014】
【作用】本願発明者等は、表面全体に均一で優れた撥水
性を有すると共に、着霜を防止することができる熱交換
器用アルミニウム部材及びその製造方法を開発すべく、
種々の実験研究を行った。その結果、アルミニウム基材
の表面に薬品処理等によって直接凹凸を形成して粗面化
するのではなく、最表面に薄板状の結晶が相互に交差し
て析出して微細な凹凸が形成されている化学処理皮膜を
アルミニウム基材の表面に形成し、前記化学処理皮膜の
表面に撥水性の塗料を塗布して撥水皮膜を形成すること
により、撥水性及び着霜防止性が優れたアルミニウム部
材を得ることができることを見い出した。
【0015】先ず、本発明における化学処理皮膜につい
て説明する。化学処理皮膜はアルミニウム基材の表面に
撥水性皮膜を形成する前に、その下地処理として形成さ
れる皮膜である。この化学処理皮膜は次のようにして形
成される。即ち、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、
Ba、La及びCeからなる群から選択されたいずれか
の元素を含む塩類、塩化物並びに水酸化物からなる群か
ら選択された1種以上の化合物を含有する水溶液(以
下、「処理水溶液」という)にアルミニウム基材を浸漬
したり、前記処理水溶液をアルミニウム基材の表面に噴
霧又は塗布することによって、前記基材表面に化学処理
皮膜が形成される。
【0016】図4は、硫酸マグネシウム及び炭酸水素ナ
トリウムを含有する処理水溶液にアルミニウム基材を浸
漬し、この基材の表面に形成された化学処理皮膜におけ
る最表面の結晶組織を示す顕微鏡写真(加速度電圧:1
5KV、倍率:20000倍、作動焦点距離:24m
m)である。図4の顕微鏡写真に示すように、化学処理
皮膜の最表面には、薄板状の結晶が相互に交差した形状
で析出する。このような結晶の微細な凹凸によってアル
ミニウム基材には粗面化効果が生じる。即ち、微細な凹
凸を有する化学処理皮膜が表面に形成されたアルミニウ
ム基材に、撥水性の塗料を塗布して撥水皮膜が形成され
ると、撥水性が向上すると共に、着霜防止性が優れたア
ルミニウム部材を得ることができる。
【0017】化学処理皮膜の厚さ:0.1μm以上 化学処理皮膜の厚さは、アルミニウム部材の撥水性に影
響を与える。即ち、化学処理皮膜の厚さが0.1μm未
満であると、アルミニウム基材の被覆が不十分な箇所が
生じ微細な凹凸が形成されない場合がある。このため、
化学処理皮膜の表面に撥水性皮膜を形成しても、撥水性
が不均一となり、その結果アルミニウム部材の撥水性を
十分に向上させることができない。従って、化学処理皮
膜の厚さは0.1μm以上とする。
【0018】なお、化学処理皮膜の厚さの上限は特に限
定されないが、3μmを超えて前記皮膜を形成すると、
その形成時間に長時間を要する。このため、化学処理皮
膜の上限厚さは3μm程度であることが好ましい。但
し、耐食性がより一層必要である場合には、形成時間を
長くすることによって容易に皮膜を厚くすることができ
る。
【0019】結晶間の平均距離:10μm以下 化学処理皮膜の最表面に析出する薄板状の結晶間の平均
距離は、アルミニウム部材の撥水性、特に転落角に影響
を与える。即ち、前記結晶間の平均距離が10μmより
長いと、結晶による微細な凹凸が撥水性皮膜の撥水性を
十分に向上させることができず、特に転落角が大きくな
り、部材表面に付着した水滴が落下しにくくなる。従っ
て、化学処理皮膜の最表面に析出する結晶間の平均距離
は10μm以下とする。好ましくは0.05乃至0.5
μmである。
【0020】なお、転落角とは、図2に示すように、部
材表面2に水滴1が付着している場合に、この部材の端
部を支点として水平面と部材表面2とのなす角度を次第
に大きくし水滴が落下するときの角度θ2をいう。
【0021】以上のように、化学処理皮膜はアルミニウ
ム基材を処理水溶液に浸漬等することにより、前記基材
の表面に形成することができるため、撥水性を有するア
ルミニウム部材の製造工程を簡便化することができる。
また、化学処理皮膜は基材の表面と化学的に結合するた
め、密着性がより一層高くなる。更に、化学処理皮膜は
耐食性をも有するため、基材の表面に形成されることに
より、撥水性以外に耐食性も優れたアルミニウム部材を
得ることができる。
【0022】次に、撥水性皮膜について説明する。アル
ミニウム部材の表面の撥水性を向上させるために、アル
ミニウム基材の表面に形成された前述の化学処理皮膜の
表面に撥水性塗料を塗布し、焼き付けて撥水性皮膜を形
成する。このときの撥水性の塗料には、平滑面に形成さ
れた撥水性皮膜の接触角が90°以上であればよい。こ
れは、接触角が90°未満であると、表面に微細凹凸を
有する化学処理皮膜において、その表面に撥水性皮膜を
形成しても接触角が低下してしまうからである。
【0023】平滑面に形成された撥水性皮膜の接触角が
90°以上となる撥水性の塗料として、フッ素系の塗
料、例えば四フッ化エチレン、又は四フッ化エチレンと
エチレンとの共重合体等を含有する塗料があり、またシ
リコン系の撥水塗料又は疎水基であるメチル基(−CH
3)を有する化合物を含有する塗料、更に下記化学式1
に示すパーフルオロアルキル基を有する撥水性塗料等が
ある。
【0024】
【化1】((−CF2−)n−CF3
【0025】これらの塗料をアルミニウム基材の表面に
形成された化学処理皮膜の表面に塗布する方法として、
例えばスプレー塗装、浸漬塗装、ロールコート、バーコ
ート又は刷毛塗り等があり、これらの方法以外であって
も、撥水性皮膜を形成できる方法であればどのような方
法を使用してもよい。
【0026】撥水性皮膜の皮膜量:0.1乃至20mg
/dm2 また、撥水性皮膜の皮膜量が0.1mg/dm2未満で
あると、化学処理皮膜を十分に被覆することができず、
撥水性不良の箇所が生じてしまう。このため、アルミニ
ウム部材の表面において均一な撥水性を得ることができ
ない。一方、撥水性皮膜の皮膜量が20mg/dm2
超えると、下地の化学処理皮膜の粗面化効果を十分に享
受することができなくなり、アルミニウム部材の撥水性
及び着霜防止性を向上させることができない。従って、
撥水性皮膜の皮膜量は0.1乃至20mg/dm2とす
る。
【0027】次に、アルミニウム基材について説明す
る。本発明におけるアルミニウム基材には、アルミニウ
ム単体の他、アルミニウムが90重量%以上であるアル
ミニウム合金であってもよい。このアルミニウム基材の
表面には、脱脂、ショットブラスト、スパッタエッチン
グ、ブラシ加工、電解又は浸漬エッチング等によって清
浄化処理が施される。この清浄化処理と同時に前記基材
の表面が粗面化されると、撥水性がより一層向上し、こ
れに伴い着霜防止性もより一層向上する。
【0028】なお、本発明に係るアルミニウム部材は、
主として熱交換器用のフィン材として使用されるが、熱
交換器以外の用途で着霜防止性、水切れ性及び水はじき
性(撥水性)が必要とされる箇所に適用することもでき
る。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例について、本発明の特
許請求の範囲から外れる比較例と比較して説明する。
【0030】第1実施例 本実施例においては、脱脂処理を施したアルミニウム板
(JIS 1100H26、板厚:0.12mm、縦×
横:10cm×20cm)を下記表1に示す種々の塩類
を含有する処理水溶液中に浸漬することにより、前記ア
ルミニウム板の表面に化学処理皮膜(以下、「下地皮
膜」という)を形成した。その後、このアルミニウム板
にパーフロロアルキルシラン系塗料をバーコーター#4
で塗布し、100℃の温度で10分間焼き付け処理を施
して撥水皮膜を形成した。
【0031】下記表1に処理水溶液に含有されていた塩
類等、下地皮膜の厚さ、下地皮膜表面の微細な凹凸の有
無及び撥水皮膜量を示す。
【0032】
【表1】
【0033】このようにして撥水皮膜が形成されたアル
ミニウム板に1.8μリットルの水滴を滴下し、接触角
及び転落角を測定した。また、密着性に関しては、前記
アルミニウム板にセロハンテープを貼り付け、引き剥が
した(テープ剥離試験)後の接触角及び転落角について
測定した。その結果を下記表2に示す。なお、総合評価
では、接触角が160°以上、且つ転落角が20°以下
の場合、接触角が160°以上ではあるが、転落角が2
0°を超える場合、及び接触角が155°以下、且つ転
落角が90°(転落しない)である場合を夫々優良、良
好、不良と評価し、夫々「◎」、「○」及び「×」で示
す。なお、90°超とは90°でも水滴が落下しない場
合をいう。
【0034】
【表2】
【0035】上記表2に示すように、実施例No1〜4
については、いずれも接触角が160°以上となり、従
来の撥水性塗料によって形成されていた皮膜の接触角
(120°程度)に比べて優れており、転落角について
もいずれも30°以下となり、水滴の転落性が優れてい
ることがわかる。また、テープ剥離試験後の接触角及び
転落角は試験前と殆ど変わらず、密着性が良好であるこ
とがわかる。
【0036】一方、比較例No1〜4については、下地
皮膜の厚さが0.1μm未満と薄く、局部的にアルミニ
ウム板の被覆が不十分である箇所が存在していた。この
ため、接触角がいずれも150°以下となり、また転落
角が90°でも水滴が落下せず、良好な撥水性を得るこ
とができなかった。
【0037】また、比較例No5〜7については、本発
明の特許請求の範囲に規定されていない元素の塩類の水
溶液を使用して下地皮膜を形成したため、前記皮膜の表
面には微細な薄板状の結晶が析出しなかった。このた
め、これらの皮膜を下地皮膜として撥水性皮膜を形成し
ても、十分な撥水性を得ることができなかった。
【0038】第2実施例 本実施例においては、脱脂処理を施したアルミニウム板
(JIS 1100H26、板厚:0.12mm、縦×
横:10cm×20cm)を下記表3に示す種々の塩類
を含有する処理水溶液中に浸漬することにより、前記ア
ルミニウム板の表面に下地皮膜を形成した。その後、こ
のアルミニウム板にパーフロロアルキルシラン系塗料を
塗布し、100℃の温度で10分間焼き付け処理を施し
て種々の膜厚の撥水皮膜を形成した。
【0039】下記表3に処理水溶液に含有されていた塩
類等、下地皮膜の厚さ、下地皮膜の表面に析出した薄板
状結晶間の平均距離及び撥水皮膜量を示す。なお、本発
明の特許請求の範囲に規定された撥水皮膜を有する本実
施例のアルミニウム板について、各撥水皮膜の形成条件
が上記第1実施例と同一であるため、以下において同一
の番号(実施例No1〜4)を使用して説明する。
【0040】
【表3】
【0041】上記表3に示す条件により撥水性皮膜が形
成されたアルミニウム板について、上述した第1実施例
と同様にして接触角及び転落角を測定し、その結果を下
記表4に示す。なお、実施例No1〜4の結果について
は、上記表2に示す結果と同一であるため、下記表4で
は比較例No8〜15のみを示す。
【0042】
【表4】
【0043】比較例No8〜11については、撥水皮膜
量が所定量より少ない場合であり、一方比較例No12
及び13については、撥水皮膜量が所定量より多い場合
である。このため、上記表4に示すように、接触角がい
ずれも150°以下となり、また転落角が90°でも水
滴が落下せず、良好な撥水性を得ることができなかっ
た。
【0044】また、比較例No14及び15は結晶間の
平均距離が10μm以上の場合であり、前述の比較例と
同様に良好な撥水性を得ることができなかった。
【0045】本実施例では着霜防止性を評価するため
に、各アルミニウム板の着霜時間を測定した。
【0046】図3は、着霜時間を測定するために使用し
た試験装置を示す模式図である。この試験装置には、冷
媒を貯蔵する冷水タンク11が設けられている。この冷
水タンク11には循環ポンプ12が連結されており、こ
の循環ポンプ12が配管14aを介してアルミニウム容
器13に冷媒を供給している。そして、アルミニウム容
器13から流出した冷媒は配管14bを介して冷水タン
ク11に流入する。
【0047】このような試験装置を使用し、上述のアル
ミニウム板の供試板10をその処理面が外側となるよう
にアルミニウム容器13の外面に貼り付けた。そして、
冷媒の温度を−10℃に保持しつつアルミニウム容器1
3に冷媒を供給した。このときの雰囲気は、湿度計の乾
球温度及び湿球温度を夫々2℃及び1℃とした。
【0048】このようにして供試板10を冷却し、冷却
開始から供試板10の全面が霜で覆われるまでの時間を
測定した。その結果を下記表5に示す。評価では、供試
板の全面着霜時間が120分を超える場合、100分以
上120分以下の場合、60分以上100分未満の場合
及び60分未満の場合を夫々優良、良好、やや不良、不
良と評価し、夫々「◎」、「○」、「△」及び「×」で
示す。
【0049】
【表5】
【0050】上記表5に示すように、実施例No1〜4
については、いずれも着霜時間が120分以上となり、
優れた着霜防止性を有することがわかる。
【0051】一方、比較例No8〜11については、撥
水性皮膜量が所定量より少なく、厚さが均一な皮膜を形
成することができなかった。このため、着霜時間が短
く、いずれも30分以下で供試板の全面が霜で覆われ
た。
【0052】また、比較例No12及び13は撥水性皮
膜量が所定量より多い場合であり、比較例No14及び
15は結晶間距離が10μmより大きい場合である。こ
れらはいずれも実施例に比べて着霜時間が短くなった。
【0053】第3実施例 本実施例においては、脱脂処理を施したアルミニウム板
のJIS 1100H26板、A5083圧延板及びA
6N01押出板に表面処理又は表面加工を施した後、こ
れらをリチウムを含有する塩類水溶液に20分間浸漬し
て下地皮膜を形成した。このときの下地皮膜の厚さを3
μm、析出結晶間の平均距離を0.3μmとした。その
後、バーコーターを使用し各アルミニウム板の表面に下
記表6に示す各種塗料を塗布して、厚さ2μmの撥水性
皮膜を形成した。
【0054】
【表6】
【0055】上述のようにして製造した各供試板におい
て、撥水皮膜の形成に使用した塗料、供試板の材料及び
供試板の下地処理を下記表7に示す。
【0056】
【表7】
【0057】上記表7に示す各供試板の接触角、転落角
及び着霜時間について測定した結果を下記表8に示す。
【0058】
【表8】
【0059】上記表8に示すように、実施例No5〜1
6については、接触角が160°以上、転落角が10°
以下、着霜時間が120分以上と、いずれも優れた撥水
性及び着霜防止性を得ることができた。
【0060】一方、比較例No16については、親水性
塗料によって皮膜が形成されたため、接触角が30°
で、転落角が40°程度であるものの、着霜時間が15
分と、実施例に比べ着霜防止性が極めて劣っていた。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
アルミニウム基材の表面に、最表面に薄板状の結晶が相
互に交差して析出する化学処理皮膜を形成し、この皮膜
の表面に所定量の撥水性皮膜を形成するので、撥水性及
び着霜防止性が優れたアルミニウム部材を得ることがで
きる。
【0062】また、アルミニウム基材と撥水性皮膜との
間に化学処理皮膜を形成しているので、アルミニウム部
材の耐食性を向上させることができ、更に、化学処理皮
膜がアルミニウム基材の表面と化学的に結合するため、
この化学処理皮膜の表面に形成された撥水性皮膜とアル
ミニウム基材との密着性をより一層高くすることができ
る。
【0063】更にまた、アルミニウム基材の表面を粗面
化することにより、アルミニウム部材の撥水性及び着霜
防止性をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】接触角を示す模式図である。
【図2】転落角を示す模式図である。
【図3】着霜時間を測定するために使用した試験装置を
示す模式図である。
【図4】硫酸Mg及び炭酸水素Naを含有する処理水溶
液にアルミニウム基材を浸漬し、この基材の表面に形成
された化学処理皮膜における最表面の結晶組織を示す顕
微鏡写真である。
【符号の説明】
1;水滴 2;部材表面 10;供試板(アルミニウム板) 11;冷水タンク 12;循環ポンプ 13;アルミニウム容器 14a,14b;配管

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム基材の表面に膜厚が0.1
    μm以上で形成された化学処理皮膜と、前記化学処理皮
    膜の表面に皮膜量が0.1乃至20mg/dm2で形成
    されている撥水性皮膜とを有し、前記化学処理皮膜はそ
    の最表面に薄板状の結晶が相互に交差して析出している
    ことを特徴とする熱交換器用アルミニウム部材。
  2. 【請求項2】 前記結晶は平面上における相互間の平均
    距離が10μm以下であることを特徴とする請求項1に
    記載の熱交換器用アルミニウム部材。
  3. 【請求項3】 前記アルミニウム基材の表面は粗面化さ
    れていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交
    換器用アルミニウム部材。
  4. 【請求項4】 アルミニウム基材をLi、Na、K、M
    g、Ca、Sr、Ba、La及びCeからなる群から選
    択されたいずれかの元素を含む塩類、塩化物並びに水酸
    化物からなる群から選択された1種以上の化合物を含有
    する水溶液に浸漬して膜厚が0.1μm以上の化学処理
    皮膜を形成する工程と、前記皮膜の表面に撥水性塗料を
    0.1乃至20mg/dm2塗布して撥水性皮膜を形成
    する工程とを有することを特徴とする熱交換器用アルミ
    ニウム部材の製造方法。
  5. 【請求項5】 アルミニウム基材の表面にLi、Na、
    K、Mg、Ca、Sr、Ba、La及びCeからなる群
    から選択されたいずれかの元素を含む塩類、塩化物並び
    に水酸化物からなる群から選択された1種以上の化合物
    を含有する水溶液を噴霧又は塗布して膜厚が0.1μm
    以上の化学処理皮膜を形成する工程と、前記皮膜の表面
    に撥水性塗料を0.1乃至20mg/dm2塗布して撥
    水性皮膜を形成する工程とを有することを特徴とする熱
    交換器用アルミニウム部材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記塩類は炭酸塩、重炭酸塩又は硫酸塩
    であることを特徴とする請求項4又は5に記載の熱交換
    器用アルミニウム部材の製造方法。
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