JP6877866B2 - 反射防止膜を有する光学部材及びその反射防止膜の製造方法 - Google Patents

反射防止膜を有する光学部材及びその反射防止膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、3層構成の反射防止膜を有する光学部材、及び前記3層構成の反射防止膜を製造する方法に関する。
写真用カメラや放送用カメラ等に広く用いられている高性能な単焦点レンズやズームレンズは、多数枚からなるレンズ群の鏡筒構成を有している。一般的にこれらのレンズは5〜40枚程度のレンズで構成される。また、レンズの中には広角レンズのように画角の広い像を対象とするものもあり、このような広角レンズの周辺部では光の入射角度も大きくなる。また光学設計上、有効径に対して曲率半径が小さいレンズ面を有するレンズを光路中に含む場合もよくある。これらレンズ等の光学部品の表面には、互いに異なる屈折率をもった誘電体膜を組合せ、各誘電体膜の膜厚を中心波長λに対して、1/2λや1/4λであるような干渉効果を利用した多層膜による反射防止処理が施されている。
特開平10-319209号(特許文献1)は、基板上に、湿式プロセス又は乾式プロセスにより第一材料の第一反射防止層を形成する段階と、湿式プロセスで第一反射防止層を覆う第二材料の第二反射防止層を形成する段階とを有する反射防止膜の製造方法を開示しており、このような方法により得られる反射防止膜は、層数が少なく、かつ高性能(広い反射防止波長帯域、低い反射率、及び広い角度特性)であり、特に紫外域で高い反射防止効果を発揮すると記載している。さらに引用文献1は、前記第一反射防止層の下に付加的に湿式又は乾式プロセスで反射防止層を一層以上形成してもよいこと、前記乾式プロセスが真空蒸着、スパッタリング、及びCVDから選ばれること、及び前記湿式プロセスがゾル−ゲルプロセスを含むことを記載しており、具体的に、乾式プロセスにより形成したSiO2からなる第一層と、ゾル−ゲル法により形成したSiO2多孔質体からなる第二層とからなる2層構成の反射防止膜を記載している。しかしながら、この2層構成の反射防止膜は、最外層(第二層)の屈折率が1.20〜1.35と比較的高いため、近年の高性能なレンズに使用した場合、実用に耐えるほどの十分な反射防止性能を有しているとは言えない。
特開平10-227902号(特許文献2)は、基材側から高屈折率層及び低屈折率層の順に積層された2層のフッ素樹脂層を少なくとも有し、350〜1350 nmの波長範囲で99.5% 以上の透過率を示す広帯域反射防止膜を開示しており、この広帯域反射防止膜は、比較的高い入射角度の可視光に対しても高い反射防止性能を示すと記載している。特許文献2は、例えば60°の入射角度の光に対する視感反射率は約1.6%であると記載している。しかしながら、この反射防止膜はフッ素樹脂からなるものであるので、十分な機械的強度を有しておらず、実用に耐えないという問題がある。
特開2006-227596号(特許文献3)及び特開2006-215542号(特許文献4)は、基材の表面に順に形成された緻密層及びシリカエアロゲルからなる多孔質層からなり、屈折率が基材からシリカエアロゲル層まで順に小さくなっている反射防止膜を提案している。このシリカエアロゲル層は、(i)ゾル状又はゲル状の酸化珪素を有機修飾剤と反応させて有機修飾ゾル又は有機修飾ゲルとし、(ii) 有機修飾ゾル又は有機修飾ゲルをゾル状にしたものを緻密層表面にコーティングし、得られた有機修飾シリカゲル層にスプリングバック現象を生じさせ、有機修飾シリカエアロゲル層にし、(iii) 有機修飾シリカエアロゲル層を熱処理して有機修飾基を除去することにより形成する。シリカエアロゲル層の屈折率は1.20程度と小さく、シリカエアロゲル層を有する反射防止膜は幅広い波長範囲で優れた反射防止特性を有する。またシリカエアロゲル層はゾル−ゲル法により作製できることから、コストパフォーマンスにも優れている。しかしながら、シリカエアロゲル層は機械的強度及び基材に対する密着性が弱いため耐擦傷性が十分とはいえない。
特開2009-237551号(特許文献5)は、基材の表面に順に形成された緻密層及びメソポーラスシリカ多孔質膜からなり、屈折率が基材からメソポーラスシリカ多孔質膜層まで順に小さくなっている反射防止膜及びその製造方法を開示している。しかしながら、特許文献5に記載の製造方法は、界面活性剤の除去並びに膜の密着性及び機械的強度を向上させるために500℃以上での焼成工程が必要であり、融解又は変形する恐れのある樹脂製のレンズ又は樹脂を含むレンズ(例えば、光学ガラスに特殊透明樹脂を接合させてなるハイブリッドレンズ)を基材として用いることはできない。
また特許文献3〜5に記載の反射防止膜は、乾式プロセスにより形成された膜を第1層に有しているため、特に曲率が大きいレンズでは、前記乾式プロセスにより形成された膜の厚さが周辺部にいくほど薄くなり、レンズ周辺部での反射防止特性が悪化するという問題がある。
特開2012-215790号(特許文献6)は、基材上に設けられる中間層と、当該中間層の表面に設けられる低屈折率層とから成る光学的二層構造を有し、前記低屈折率層は中空シリカがバインダにより結着された層であり、その屈折率(n1)は1.15以上1.24以下であり、前記中間層の屈折率(n2)は、基材の屈折率をn(sub)とした場合、式(1):
n1×[n(sub)]0.5×0.930≦n2≦n1×[n(sub)]0.5×0.985
の関係を満たす反射防止膜を開示している。特許文献6は、この反射防止膜の製造において、低屈折率層を形成する際に溶媒を揮発及び膜を硬化させるために90〜200℃で熱処理を行うのが好ましく、この温度範囲で行う熱処理であれば、基材の熱膨張変形を防止することができると記載している。例えば、実施例1〜10では、中空シリカとアクリル樹脂とを含む塗工液を塗布し、溶媒の揮発及び膜の硬化のため、90℃120秒でのプレベーキング及び150℃1時間のポストベーキングを行った例を記載している。しかしながら、特許文献6に記載の反射防止膜は、溶媒の揮発及び膜の硬化を行うために、このような高い温度での熱処理が必要であることから、比較的融点の低い樹脂基板に適用することはできない。
特開平10-319209号公報 特開平10-227902号公報 特開2006-227596号公報 特開2006-215542号公報 特開2009-237551号公報 特開2012-215790号公報
従って、本発明の第1の目的は、90℃以上の高温処理を含む成膜工程が適用できないような比較的融点が低い樹脂製のレンズ基板であっても、優れた機械的強度及び密着性を有する反射防止膜及びそれを有する光学部材を提供することである。
本発明の第2の目的は、最大基板傾斜角度が30°以上の大きな曲率を有するレンズ基板であっても、中心部及び周辺部(基板傾斜角度が大きな部分)の両方において、斜め入射の光線に対し優れた反射防止性能を有する反射防止膜及びそれを有する光学部材を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、基板の上に、SiO2及び/又はシラン系カップリング剤を含む緻密膜からなる第1層、並びに湿式プロセスで形成されたシリカエアロゲル膜からなる第2層及び第3層により構成される反射防止膜は、90℃以下の成膜プロセスで形成した場合でも、実用に耐えうる優れた機械的強度及び密着性を有することを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の、基板と、前記基板上に第1層〜第3層の順に設けられた3層構成の反射防止膜とからなる光学部材は、
前記第1層がSiO2及び/又はシラン系カップリング剤を含む緻密膜からなり、
前記第2層及び第3層がシリカエアロゲル膜からなり、
波長550 nmの光において、
前記基板の屈折率が1.6以下であり、
前記第3層の屈折率が1.15〜1.32の範囲であり、
前記基板、第1層、第2層及び第3層の屈折率が、この順に低くなっていることを特徴とする。
前記基板は樹脂からなる又は樹脂を含んでなるのが好ましい。
前記第1層は、前記基板と前記第2層との密着性を向上させる効果を有するのが好ましい。
前記第3層の屈折率は1.15〜1.25の範囲であるのが好ましい。
前記基板は30°以上の最大基板傾斜角を有するレンズ基板であるのが好ましい。
前記レンズ基板の最大基板傾斜角は30〜65°の範囲にあるのが好ましい。
前記レンズ基板の任意の基板傾斜角θtにおける前記第1層の光学膜厚D1(θt)、前記第2層の光学膜厚D2(θt)、及び前記第3層の光学膜厚D3(θt)は、
それぞれ下記式(1)、式(2)及び式(3):
D1(θt)=D10×(cosθt)α・・・(1)
D2(θt)=D20×(cosθt)β・・・(2)
D3(θt)=D30×(cosθt)γ・・・(3)
(ただしD10、D20及びD30は、それぞれ前記レンズ基板の中心部における前記第1層、第2層及び第3層の光学膜厚を表し、α及びβ、γは、それぞれ独立に-2.0〜2.0の範囲の数値である。) により表されるのが好ましい。
前記第1層の膜厚は、前記レンズ基板の中心部から周辺部に行くに従って薄くなっていてもよい。
前記第1層〜第3層の膜厚は、前記レンズ基板の基板傾斜角によらず一定、又はレンズ基板中心部より周辺部に行くに従って厚くなっているのが好ましい。
前記レンズ基板の有効径Dと曲率半径Rとの比D/Rは0.1〜2の範囲にあるのが好ましい。
基板上に、SiO2及び/又はシラン系カップリング剤を含む緻密層からなる第1層、シリカエアロゲルからなる第2層及び第3層が順に積層され、波長550 nmの光における前記基板の屈折率が1.6以下、及び前記第3層の屈折率が1.15〜1.32の範囲であり、前記基板、第1層、第2層及び第3層の屈折率が、この順に低くなっている3層構成の反射防止膜を製造する本発明の方法は、
前記第1層を乾式プロセス又は湿式プロセスで形成する工程、並びに前記第2層及び第3層を湿式プロセスで形成する工程を有し、
前記第1層〜第3層を形成する工程をいずれも90℃以下で行うことを特徴とする。
前記第1層を形成する工程が真空蒸着法又はゾル-ゲル法からなり、前記第2層及び第3層を形成する工程がゾル-ゲル法からなるのが好ましい。
本発明の光学部材は、反射防止膜の形成を90℃以下の成膜プロセスで行うことができるので、比較的融点が低い樹脂製のレンズ基板にも、適用が可能であり、優れた反射防止性能を付与することができる。
本発明の光学部材は、最大基板傾斜角が30°以上のレンズ基板であっても、広い波長域で優れた反射防止性能を有するので、特に超広角レンズ、有効径に対して曲率半径が小さいレンズ面を含むレンズ系、光ディスクのピックアップレンズ等に好適である。
本発明の光学部材の一例を示す模式断面図である。 本発明の光学部材の他の一例を示す模式断面図である。 光学部材の基板傾斜角を説明するための模式断面図である。 光学部材のレンズ有効径及びレンズ曲率半径を説明するための模式断面図である。 光学部材の光線入射角を説明するための模式断面図である。 実施例1の光学部材の構成を示す模式断面図である。 実施例1の光学部材の(a)レンズ中心部、及び(b)レンズ周辺部(基板傾斜角度が50°の部分)における反射防止特性を示すグラフである。 実施例2の光学部材の(a)レンズ中心部、及び(b)レンズ周辺部(基板傾斜角度が50°の部分)における反射防止特性を示すグラフである。 真空蒸着により反射防止膜を形成する装置の一例を示す模式図である。
[1] 光学部材
(A)第1の態様
図1は、基板2と、前記基板2上に第1層3a、第2層3b及び第3層3cを順に設けてなる3層構成の反射防止膜3とからなる光学部材1を示す。反射防止膜3は、第1層3aがSiO2及び/又はシラン系カップリング剤を含む緻密膜からなり、第2層3b及び第3層3cがシリカエアロゲル膜からなる。波長550 nmの光において、基板2の屈折率は1.6以下であり、第3層3cの屈折率は1.15〜1.32の範囲であり、前記基板2、第1層3a、第2層3c及び第3層3cの屈折率は、この順に低くなっている。なお、図1は反射防止膜3の層構成をわかりやすくするために、各層を厚さ方向に拡大して示したものである。また、本明細書における屈折率は、特に規定のない場合は波長550 nmの光における値である。
第1層3a、第2層3b及び第3層3cはいずれも90℃以下の成膜プロセスで形成された膜からなるのが好ましい。
(1)反射防止膜
第1層は、SiO2及び/又はシラン系カップリング剤を含む緻密膜からなり、乾式プロセス又は湿式プロセスで形成されるのが好ましい。波長550 nmの光において、第1層の屈折率は、基板の屈折率よりも低く、第2層の屈折率よりも高いことが必要であり、1.37〜1.57の範囲が好ましく、1.37〜1.53の範囲がより好ましく、1.37〜1.51の範囲が最も好ましい。第1層の光学膜厚は、1〜100 nmであるのが好ましく、2〜50 nmであるのがより好ましい。前記乾式プロセスとしては真空蒸着法が好ましく、前記湿式プロセスとしてはゾル-ゲル法を含むのが好ましい。SiO2からなる緻密膜を形成する場合は乾式プロセスが好ましく、シラン系カップリング剤を含む緻密膜を形成する場合は湿式プロセスが好ましい。
第1層がSiO2及び/又はシラン系カップリング剤を含む緻密膜からなることにより、基板と第2層(シリカエアロゲル膜)との間の密着性が向上する。第1層の密着性を向上させる前記効果により、反射防止膜を形成する全てのプロセスを90℃以下で行った場合でも、機械的強度の高い反射防止膜を有する光学部材を得ることができる。第1層は、特にシラン系カップリング剤を含む緻密膜からなるのが好ましい。
第2層は、シリカエアロゲル膜からなり、湿式プロセスで形成されるのが好ましい。第2層の屈折率は、波長550 nmの光において、第1層の屈折率よりも低く第3層の屈折率よりも高いことが必要であり、1.30〜1.50の範囲が好ましく、1.35〜1.45の範囲がより好ましく、1.37〜1.42の範囲が最も好ましい。第2層の光学膜厚は、50〜150 nmであるのが好ましく、100〜140 nmであるのがさらに好ましい。前記湿式プロセスは、ゾル−ゲル法を含むのが好ましい。
第3層は、シリカエアロゲル膜からなり、湿式プロセスで形成されるのが好ましい。第3層の屈折率は、波長550 nmの光において、1.15〜1.32の範囲であり、第2層の屈折率よりも低いことが必要である。第3層の屈折率は1.15〜1.30の範囲であるのが好ましく、1.15〜1.28であるのがより好ましく、1.15〜1.25であるのが最も好ましい。第3層の光学膜厚は90〜170 nmであるのが好ましく、100〜150 nmであるのがより好ましい。最外層にこのような低い屈折率を有する層を設けることにより、優れた反射防止効果を発揮する。前記湿式プロセスは、ゾル−ゲル法を含むのが好ましい。
第2層及び第3層を構成するシリカエアロゲル膜は、0.005〜0.2μmの細孔径を有する多孔膜であるのが好ましく、その平均細孔径は0.001〜0.1μmであるのが好ましい。前記シリカエアロゲル膜の空隙率は30〜90%であるのが好ましい。
反射防止膜に耐水性及び耐久性を付与するために、末端が有機修飾されたシリカからなるシリカエアロゲルを用いてもよい。また、シリカエアロゲル膜からなる第3層の上に撥水撥油性を有するフッ素樹脂系膜を設けても良い。
(2)基板
本発明の光学部材は、波長550 nmの光において、1.6以下の屈折率を有する基板を用いる。基板の屈折率は、1.6〜1.9の範囲であるのが好ましい。このような範囲に屈折率を有する基板に前記反射防止膜を形成することにより、可視光の波長帯域において良好な反射防止性能を有する光学部材を得ることができる。基板は樹脂からなる又は樹脂を含んでなるのが好ましい。前記樹脂としては融点が150℃以下のものが好ましく、具体的には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、鎖状又は環状のポリオレフィン等が挙げられる。基板の形状は、平板であっても、レンズ状であっても良い。樹脂を含んでなる基板として、光学ガラスに透明樹脂を接合させてなるハイブリッドレンズ等が挙げられる。なおハイブリッドレンズの場合、反射防止膜が形成される面の基板材料が前記の屈折率範囲であればよい。
(B)第2の態様
光学部材の第1の態様において、基板として最大基板傾斜角は30°以上であるレンズ状の基板(レンズ基板)を用いた構成の第2の態様について説明する。
図2は、レンズ基板21と、前記レンズ基板21上に第1層31a、第2層31b及び第3層31cを順に設けてなる反射防止膜31とからなる光学部材11を示す。第2の態様の光学部材11は、基板として最大基板傾斜角が30°以上であるレンズ基板21を用いた態様であり、第1層31a、第2層31b及び第3層31cからなる反射防止膜31の構成は、以下に述べる点を除いて基本的に同様である。従って、第1の態様に対して異なる点について詳細に説明する。
レンズ基板の最大基板傾斜角は30°以上であるのが好ましく、30〜65°の範囲にあるのがより好ましく、30〜60°の範囲にあるのがさらに好ましい。ここで基板傾斜角とは、図3に示すように、レンズの中心を通り光軸に平行な軸Cに対して、レンズ表面の任意の点における法線のなす角(θt)であり、レンズ中心部では0°であり、レンズの周辺部ほど通常大きな値となる。なお、図2及び図3は反射防止膜31の層構成をわかりやすくするために、各層を厚さ方向に拡大して示したものである。
レンズ基板21は、レンズ有効径Dとレンズ曲率半径Rとの比D/Rが0.1〜2の範囲にあるのが好ましい。レンズ有効径Dは、図4に示すように、光学部材として使用したときに有効に使用できる最大径であり、曲率半径Rはレンズ曲面を球に近似したときの半径である。比D/Rが0.1〜2の範囲にあるレンズ基板を用いた場合、本発明の効果がより発揮される。
またレンズ表面の任意の点における光線入射角(θi)は、その点における法線と光線とのなす角度であり、例えば、レンズ中心(基板傾斜角0°の点)においては、図4(a)中のθiで示す角度であり、基板傾斜角θtの部分においては、図4(b)中のθiで示す角度である。
レンズ基板の任意の基板傾斜角θtにおける第1層の光学膜厚D1(θt)、第2層の光学膜厚D2(θt)、及び第3層の光学膜厚D3(θt)は、それぞれ下記式(1)、式(2)及び式(3):
D1(θt)=D10×(cosθt)α・・・(1)、
D2(θt)=D20×(cosθt)β・・・(2)、及び
D3(θt)=D30×(cosθt)γ・・・(3)
(ただしD10、D20及びD30は、それぞれ前記レンズ基板の中心部における前記第1層、第2層及び第3層の光学膜厚を表し、α及びβ、γは、それぞれ独立に-2.0〜2.0の範囲の数値である。) により表されるのが好ましい。α及びβ、γは、さらに好ましくはそれぞれ独立に-1.3〜1.3の範囲であり、最も好ましくはそれぞれ独立に-0.5〜1.2の範囲である。
第1層31aの光学膜厚は、図2に示すように、前記レンズ基板21の中心部から周辺部に行くに従って薄くなっていてもよい。第2層31b及び第3層31cの光学膜厚は、前記レンズ基板21の基板傾斜角によらず一定、又はレンズ中心部より周辺部が厚いのが好ましい。このように第1層31aを周辺部に行くに従って薄く形成することにより、基板傾斜角度によらずに良好な反射防止効果が得られるとともに、その傾斜角での光線入射角度の影響を受けにくい反射防止膜が得られる。特に、30°以上の最大基板傾斜角を有するレンズ基板を用いた場合により有効である。
反射防止膜の別の構成として、第1層31a、第2層31b及び第3層31cの光学膜厚が、前記レンズ基板の基板傾斜角によらず一定、又はレンズ基板中心部より周辺部に行くに従って厚くなっていている場合が挙げられる。
(c)反射防止特性
本発明の光学部材は、400〜700 nmの可視光帯域において、最大反射率が0.24〜0.3%以下の反射防止特性を有する。本発明の光学部品は、テレビカメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、車載カメラ、顕微鏡、望遠鏡等の光学機器に搭載されるレンズ、プリズム、回折素子等に好適である。特に反射防止膜を最大基板傾斜角が30°以上のレンズ基板に形成してなる光学部材は、レンズ周辺部においても良好な反射防止特性を有するため、超広角レンズ、光ディスクのピックアップレンズ等に好適である。
[2]製造方法
基板上に、SiO2及び/又はシラン系カップリング剤を含む緻密層からなる第1層、シリカエアロゲルからなる第2層及び第3層が順に積層され、波長550 nmの光における前記基板の屈折率が1.6以下、及び前記第3層の屈折率が1.15〜1.32の範囲であり、前記基板、第1層、第2層及び第3層の屈折率が、この順に低くなっている3層構成の反射防止膜を製造する方法は、
前記第1層を乾式プロセス又は湿式プロセスで形成する工程、並びに前記第2層及び第3層を湿式プロセスで形成する工程を有し、
前記第1層〜第3層を形成する工程をいずれも90℃以下で行うことを特徴とする。このように製造工程を90℃以下で行うことにより、基板が90℃を超える温度にさらされることがないため、比較的融点の低い樹脂を基板として用いた場合であっても本発明の反射防止膜を形成することが可能となる。
(1) 第1層の形成方法
反射防止膜の第1層は、SiO2及び/又はシラン系カップリング剤を含む緻密層からなる層であり、乾式プロセス又は湿式プロセスで形成する。乾式プロセスとしては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法、熱CVD、プラズマCVD、光CVD等の化学蒸着法等が挙げられる。必要に応じてこれらの方法を組み合わせて用いても良い。特に製造コスト、加工精度の面において真空蒸着法が好ましい。湿式プロセスとしてはゾル-ゲル法を含むのが好ましい。特に、SiO2のみを含む緻密層は乾式プロセスで形成するのが好ましく、シラン系カップリング剤を含む緻密層は湿式プロセスで形成するのが好ましい。
真空蒸着法としては、抵抗過熱式、電子ビーム式等が挙げられるが、以下に電子ビーム式による真空蒸着法に関して説明する。電子ビーム式真空蒸着装置130は、図9に示すように、真空チャンバー131内に、複数の基板100を内側表面に裁置する回転自在の回転ラック132と、蒸着材137を設置するためのルツボ136を有する蒸着源133と、電子ビーム照射器138と、ヒーター139と、真空ポンプ140に接続した真空ポンプ接続口135とを具備する。反射防止膜の成膜は、真空チャンバー131内を減圧しながら蒸着材137の蒸気を基板100の表面に蒸着することにより行う。基板100は表面が蒸着源133側に向くように回転ラック132に設置し、蒸着材137はルツボ136に載置する。真空ポンプ接続口135に接続された真空ポンプ140により真空チャンバー131内を減圧し、蒸着材137は電子ビーム照射器138からの電子ビームの照射で加熱し蒸発させる。均一な蒸着膜を形成するため、基板100をヒーター139により加熱しながら、回転ラック132を回転軸134により回転させる。
レンズ基板に前記真空蒸着装置で蒸着する場合、通常レンズ中心部からレンズ周辺部に行くに従って膜厚が薄くなるが、レンズ基板の設置位置、蒸着源133の位置、電子ビームの照射強さ、真空度等を調節することにより、レンズ基板の中心部から周辺部にかけての層の厚さをある程度調節することができる。
真空蒸着法において、初期の真空度は、例えば、1.0×10-6〜1.0×10-5 Torrであるのが好ましい。真空度がこの範囲外であると蒸着に時間がかかり製造効率を悪化させたり、蒸着が不十分となり成膜が完成しなかったりする。蒸着中の基板100の温度は、基板の耐熱性や蒸着速度に応じて適宜決めることができるが、例えば、60〜90℃であるのが好ましい。
第1層を湿式プロセスで形成する場合、例えばゾル−ゲル法によって得られたSiO2を含む塗布液をディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、印刷法等の方法により塗布して形成するのが好ましい。またシラン系カップリング剤を含む緻密層は、シランカップリング剤の溶液を前記方法により塗布して形成するのが好ましい。シラン系カップリング剤を含む緻密層を形成する場合は、シラン系カップリング剤のみを塗布して形成しても良いし、SiO2とシラン系カップリング剤とを含む溶液を塗布して形成しても良い。
(2) 第2層及び第3層の形成方法
反射防止膜の第2層及び第3層は、シリカエアロゲルからなり、湿式プロセスで形成する。湿式プロセスとしてはゾル-ゲル法を含むのが好ましい。シリカエアロゲルからなる超低屈折率膜をゾル-ゲル法によって形成することにより、真空蒸着で汎用的に用いられる低屈折率材料のMgF2(n=1.39)より低い屈折率を得ることができ、これまでに実現が困難であった広帯域でかつ広角(広い入射角範囲)の超低反射率の反射防止膜を得ることができる。
例えば、レンズ基板に第2層及び第3層として真空蒸着でMgF2層を形成した場合、第2層及び第3層も第1層と同様、レンズ周辺部に行くほど膜厚が薄くなる。このため、基板傾斜角が大きいレンズ周辺部においては、第1層〜第3層の各膜厚が全て薄くなってしまい、良好な反射防止性能が得られなくなる。
ゾル−ゲル法としては、既存の方法を適用することができるが、特に好ましくは、(i)アルコキシシランを塩基性触媒下で加水分解及び縮重合して調製したアルカリ性ゾルに、さらに酸性溶液を添加してメジアン径100 nm以下の第一の酸性ゾルを得る工程、(ii)アルコキシシランを酸性触媒下で加水分解及び縮重合してメジアン径10 nm以下の第二の酸性ゾルを得る工程、(iii)前記第一及び第二の酸性ゾルを混合する工程、(iv)得られた混合ゾルを、第1層及び第2層を形成したレンズ基板上に塗布し、乾燥する工程、(v)アルカリ処理工程、(vi)洗浄工程、及び(vii)湿度処理工程により第3層のシリカエアロゲル層を形成するのが好ましい。
(i) 第一の酸性ゾルを調製する工程
(a) アルコキシシラン
第一の酸性ゾル用のアルコキシシランはテトラアルコキシシランのモノマー又はオリゴマー(縮重合物)が好ましい。4官能のアルコキシシランを用いた場合、比較的大きな粒径を有するコロイド状シリカ粒子のゾルを得ることができる。テトラアルコキシシランは、Si(OR)4[Rは炭素数1〜5のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、又は炭素数1〜4のアシル基(アセチル等)]により表されるものが好ましい。テトラアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジエトキシジメトキシシラン等が挙げられる。中でもテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランが好ましい。本発明の効果を阻害しない範囲で、テトラアルコキシシランに少量の3官能以下のアルコキシシランを配合しても良い。
(b) 塩基性触媒の存在下での加水分解及び縮重合
アルコキシシランに有機溶媒、塩基性触媒及び水を添加することにより、加水分解及び縮重合が進行する。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、ブタノール等のアルコールが好ましく、メタノール又はエタノールがより好ましい。塩基性触媒としては、アンモニア、アミン、NaOH又はKOHが好ましい。好ましいアミンは、アルコールアミン又はアルキルアミン(メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、n-ブチルアミン、n-プロピルアミン等)である。
有機溶媒とアルコキシシランとの量比は、アルコキシシランの濃度がSiO2換算で0.1〜10質量%(シリカ濃度)となるように設定するのが好ましい。シリカ濃度が10質量%超であると、得られるゾル中のシリカ粒子の粒径は大きくなり過ぎる。一方シリカ濃度が0.1未満であると、得られるゾル中のシリカ粒子の粒径は小さくなり過ぎる。なお有機溶媒/アルコキシシランのモル比としては1〜104の範囲が好ましい。
塩基性触媒/アルコキシシランのモル比は1×10-4〜1にするのが好ましく、1×10-4〜0.8にするのがより好ましく、3×10-4〜0.5にするのが特に好ましい。塩基性触媒/アルコキシシランのモル比が1×10-4未満であると、アルコキシシランの加水分解反応が十分に起こらない。一方モル比が1を超えて塩基を添加しても触媒効果は飽和する。
水/アルコキシシランのモル比は0.1〜30が好ましい。水/アルコキシシランのモル比が30超であると、加水分解反応が速く進行し過ぎるため反応の制御が難しく、均一なシリカエアロゲル膜が得られにくくなる。一方0.1未満であると、アルコキシシランの加水分解が十分に起こらない。
塩基性触媒及び水を含有するアルコキシシランの溶液は、10〜90℃で約10〜60時間静置又はゆっくり撹拌することにより熟成するのが好ましい。熟成により加水分解及び縮重合が進行し、シリカゾルが生成する。シリカゾルは、コロイド状シリカ粒子の分散液の他、コロイド状シリカ粒子がクラスター状に凝集した分散液も含む。
(c) 酸性触媒の存在下での加水分解及び縮重合
得られたアルカリ性ゾルに酸性触媒、並びに必要に応じて水及び有機溶媒を添加し、酸性状態で加水分解及び縮重合をさらに進行させる。酸性触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、酢酸等が挙げられる。有機溶媒は上記と同じものを使用できる。第一の酸性ゾルにおいて酸性触媒/塩基性触媒のモル比は1.1〜10が好ましく、1.5〜5がより好ましく、2〜4が最も好ましい。酸性触媒/塩基性触媒のモル比が1.1未満であると、酸性触媒による重合が十分に進行しない。一方10を超えると触媒効果は飽和する。有機溶媒/アルコキシシランのモル比及び水/アルコキシシランのモル比は上記と同じで良い。酸性触媒を含有するゾルは10〜90℃で約15分〜24時間静置又はゆっくり撹拌して熟成するのが好ましい。熟成により加水分解及び縮重合が進行し、第一の酸性ゾルが生成する。
第一の酸性ゾル中のシリカ粒子のメジアン径は100 nm以下であり、好ましくは10〜50 nmである。メジアン径は動的光散乱法により測定する。
(ii) 第二の酸性ゾルを調製する工程
(a) アルコキシシラン
第二の酸性ゾル用のアルコキシシランはSi(OR1)x(R2)4-x[xは2〜4の整数である。]により表される2〜4官能のものでよい。R1は炭素数1〜5のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、又は炭素数1〜4のアシル基(アセチル等)が好ましい。R2は炭素数1〜10の有機基が好ましく、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、デシル、フェニル、ビニル、アリル等の炭化水素基、及びγ-クロロプロピル、CF3CH2-、CF3CH2CH2-、C2F5CH2CH2-、C3F7CH2CH2CH2-、CF3OCH2CH2CH2-、C2F5OCH2CH2CH2-、C3F7OCH2CH2CH2-、(CF3)2CHOCH2CH2CH2-、C4F9CH2OCH2CH2CH2-、3-(パーフルオロシクロヘキシルオキシ)プロピル、H(CF2)4CH2OCH2CH2CH2-、H(CF2)4CH2CH2CH2-、γ-グリシドキシプロピル、γ-メルカプトプロピル、3,4-エポキシシクロヘキシルエチル、γ-メタクリロイルオキシプロピル等の置換炭化水素基が挙げられる。
2官能のアルコキシシランの具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジメチルジアルコキシシランが挙げられる。3官能のアルコキシシランの具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のメチルトリアルコキシシラン、及びフェニルトリエトキシシラン等のフェニルトリアルコキシシランが挙げられる。4官能のアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジエトキシジメトキシシラン等が挙げられる。アルコキシシランは3官能以上が好ましく、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランがより好ましい。
(b) 酸性触媒の存在下での加水分解及び縮重合
アルコキシシランのモノマー又はオリゴマー(縮重合物)に有機溶媒、酸性触媒及び水を添加することにより、加水分解及び縮重合が進行する。有機溶媒及び酸性触媒は第一の酸性ゾルを調製する工程で説明したものと同じものを使用できる。酸性触媒/アルコキシシランのモル比は、1×10-4〜1が好ましく、1×10-4〜3×10-2がより好ましく、3×10-4〜1×10-2が最も好ましい。有機溶媒/アルコキシシランのモル比及び水/アルコキシシランのモル比は、第一の酸性ゾルを調製する工程で説明した比と同様で良い。
酸性触媒及び水を含有するアルコキシシランの溶液は、10〜90℃で約30分〜60時間静置又はゆっくり撹拌することにより熟成するのが好ましい。熟成により加水分解及び縮重合が進行し、第二の酸性ゾルが生成する。熟成時間が60時間を超えると、ゾル中のシリカ粒子のメジアン径が大きくなり過ぎる。
得られる第二の酸性ゾル中のコロイド状シリカ粒子は、第一の酸性ゾルに比べて小さなメジアン径を有する。第二の酸性ゾル中のコロイド状シリカ粒子のメジアン径は10 nm以下であり、好ましくは1〜5 nmである。第一の酸性ゾル中のシリカ粒子と第二の酸性ゾル中のシリカ粒子とのメジアン径比は5〜50であるのが好ましく、5〜35であるのがより好ましい。メジアン径比が5未満又は50超であると、シリカエアロゲル膜の耐擦傷性が低下する。
(iii) 混合ゾルを調製する工程
第一の酸性ゾル及び第二の酸性ゾルを混合し、1〜30℃で約1分〜6時間ゆっくり撹拌するのが好ましい。必要に応じて混合物を80℃以下で加熱しても良い。第一の酸性ゾルと第二の酸性ゾルとの固形分質量比は5〜90であるのが好ましく、5〜80であるのがより好ましい。固形分質量比が5未満又は90超であると、シリカエアロゲル膜の耐擦傷性が低下する。
(iv) 塗布及び乾燥工程
(a) 塗布
混合ゾルを第1層及び第2層を形成したレンズ基板の表面に塗布する。塗布方法としては、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、印刷法等が挙げられる。レンズのような三次元構造物に塗布する場合、スピンコート法又はディッピング法が好ましく、特にスピンコート法が好ましい。得られるゲルの物理膜厚は、例えばスピンコート法における基板回転速度の調整、混合ゾルの濃度の調整等により制御することができる。スピンコート法における基板の回転速度は1,000〜15,000 rpm程度が好ましい。
混合ゾルの濃度及び流動性を調整し塗布適性を高めるため、分散媒として前記有機溶媒を加えても良い。塗布時の混合ゾル中のシリカの濃度は0.1〜20質量%が好ましい。必要に応じて、混合ゾルを超音波処理しても良い。超音波処理によってコロイド粒子の凝集を防止できる。超音波の周波数は10〜30 kHzが好ましく、出力は300〜900 Wが好ましく、処理時間は5〜120分間が好ましい。
(b) 乾燥
塗布膜の乾燥条件は基板の耐熱性に応じて適宜選択する。縮重合反応を促進するために、水の沸点未満の温度で15分〜24時間熱処理した後、100〜200℃の温度で15分〜24時間熱処理しても良い。熱処理することによりシリカエアロゲル膜は高い耐擦傷性を発揮する。
(v) アルカリ処理工程
シリカエアロゲル膜をアルカリで処理することにより耐擦傷性がより向上する。アルカリ処理は、アルカリ溶液を塗布、又はアンモニア雰囲気中に放置することにより行うのが好ましい。アルカリ溶液の溶媒はアルカリに応じて適宜選択でき、水、アルコール等が好ましい。アルカリ溶液の濃度は、1×10-4〜20Nが好ましく、1×10-3〜15Nがより好ましい。
前記アルカリとして、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機アルカリ;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の無機アルカリ塩;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n-プロピルアミン、ジ-n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、ジ-n-ブチルアミン、n-アミルアミン、n-ヘキシルアミン、ラウリルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アニリン、メチルアニリン、エチルアニリン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、ピリジン、イミダゾール、グアニジン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、コリン等の有機アルカリ;蟻酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、蟻酸モノメチルアミン、酢酸ジメチルアミン、酢酸アニリン、乳酸ピリジン、グアニジノ酢酸等の有機酸アルカリ塩等を用いることができる。
アルカリ溶液の塗布によりアルカリ処理する場合、シリカエアロゲル膜1cm2当たり10〜200 mL塗布するのが好ましい。塗布はシリカエアロゲル膜を塗布する場合と同様の方法ででき、スピンコート法が好ましい。スピンコート法における基板回転速度は、1,000〜15,000 rpm程度にするのが好ましい。アルカリ溶液を塗布後の膜は、好ましくは1〜40℃、より好ましくは10〜30℃で保存する。保存時間は、0.1〜10時間が好ましく、0.2〜1時間がより好ましい。
アンモニア雰囲気中に放置してアルカリ処理する場合、1×10-1〜1×105 Paのアンモニアガス分圧中で処理するのが好ましい。処理温度は、1〜40℃が好ましく、10〜30℃がより好ましい。処理時間は、1〜170時間が好ましく、5〜80時間がより好ましい。
必要に応じて、アルカリ処理したシリカエアロゲル膜は乾燥する。乾燥は、50〜200℃の温度で15分〜24時間行うのが好ましい。
(vi) 洗浄工程
アルカリ処理後のシリカエアロゲル膜は、必要に応じて洗浄する。洗浄は、水及び/又はアルコールに浸漬する方法、シャワーする方法、又はこれらの組合せにより行うのが好ましい。浸漬しながら超音波処理してもよい。洗浄の温度は1〜40℃が好ましく、時間は0.2〜15分が好ましい。シリカエアロゲル膜1 cm2当たり0.01〜1,000 mLの水及び/又はアルコールで洗浄するのが好ましい。洗浄後のシリカエアロゲル膜は、50〜200℃の温度で15分〜24時間乾燥するのが好ましい。アルコールとしてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましい。
(vii)湿度処理工程
塗布後、アルカリ処理後、又は洗浄後のシリカエアロゲル膜に、高湿度条件下で湿度処理を施す。湿度処理により、未反応のアルコキシシランの加水分解、及びシラノール基の縮重合反応が進行すると考えられ、シリカエアロゲル膜の機械的強度が向上するとともに、成膜後の時間経過による屈折率の変動が抑制される。
湿度処理は、温度35℃以上、相対湿度70%以上の環境に1時間以上保存することにより行う。処理の湿度が70%RH未満では前記の効果が十分に得られない。湿度は75%RH以上であるのが好ましく、80%RH以上であるのがさらに好ましく、90%RH以上であるのが最も好ましい。処理温度は、35〜90℃であるのが好ましく、40〜80℃であるのがさらに好ましく、50〜80℃であるのが最も好ましい。処理温度が35℃未満の場合、前記の効果が十分に得られず、90℃超にしても効果は飽和してしまう。処理時間は、温度条件及び湿度条件にもよるが、1時間以上行うことにより前記効果が得られる。好ましくは5〜120時間であり、さらに好ましくは5〜48時間である。処理時間が120時間超では効果は飽和する。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
[1] 光学部材の作製
実施例1
図6に示すような、ハイブリッドレンズ基板22(球面ガラスレンズ22aの表面にアクリルレート樹脂22bで非球面を形成してなる基板)上に、3層構成の反射防止膜31(第1層31a、第2層31b及び第3層31c)を成膜してなる光学部材11(表1に記載の構成)を以下に示す方法により作製した。
(1)基板の作製
球面ガラスレンズの基板と、所望の形状(非球面)の金型との間隙に、光硬化性樹脂(アクリルレート樹脂)を注入し、光照射して前記樹脂を硬化させた後、前記金型から光硬化性樹脂を離型することにより、球面ガラスレンズ基板の表面にアクリルレート樹脂(屈折率:nd=1.535)で非球面が形成されたハイブリッドレンズ基板(最大基板傾斜角度:53.8°、レンズ有効径:43.1 mm、曲率半径:27.3 mm)を作製した。なお曲率半径は、前記非球面を球に近似して求めた値である。
(2)反射防止膜の形成
(a)第1層の形成
アクリルレート樹脂の表面に、表1に示す構成になるように、真空蒸着法(乾式プロセス)でSiO2膜を形成した。このときの基板加熱温度(設定温度)は100℃であり、真空チャンバー内の基板付近の温度は60〜80℃程度であった。従って、基板の温度は実質的に80℃以下であった。
(b)第2層の形成
(i)第一の酸性ゾルの調製
テトラエトキシシラン17.05 gとメタノール69.13 gとを混合した後、アンモニア水溶液(3 N)3.88 gを加えて室温で15時間撹拌し、アルカリ性ゾルを調製した。このアルカリ性ゾル40.01 gに、メタノール2.50 gと塩酸(12 N)1.71 gとを添加して室温で30分間撹拌し、第一の酸性ゾル(固形分:4.94質量%)を調製した。
(ii)第二の酸性ゾルの調製
室温でテトラエトキシシラン30 mlと、エタノール30 mlと、水2.4 mlとを混合した後、塩酸(1 N) 0.1 mlを加え、60℃で90分間撹拌し、第二の酸性ゾル(固形分:14.8質量%)を調製した。
(iii)混合ゾルの調製
第一の酸性ゾルと第二の酸性ゾルとの固形分質量比が67.1となるように、第一の酸性ゾルの全量に第二の酸性ゾル0.22 gを添加し、室温で5分間攪拌して混合ゾルを調製した。
(iv)塗布及びアリカリ処理
得られた混合ゾルを、表1に示す構成になるように、前記第1層の上にスピンコート法により塗布し、塗布直後に0.3 Nのナトリウムメトキシドメタノール溶液をスピンコートでさらに塗布した。これらのスピンコート塗布はどちらも室温(25℃)で実施した。塗布後の試料を60℃及び90%RHの恒温恒湿下に30分間静置し乾燥させた。室温まで冷却した基板を水で十分に洗浄した。
(c)第3層の形成
第2層の形成に用いたものと同じ混合ゾルを、表1に示す構成になるように、前記第2層の上にスピンコート法により塗布し、塗布直後に0.3 Nのナトリウムメトキシドメタノール溶液をスピンコートでさらに塗布した。これらのスピンコート塗布はどちらも室温(25℃)で実施した。塗布後の試料を60℃及び90%RHの恒温恒湿下に24時間静置し乾燥させた。室温まで冷却した基板上にナトリウムメトキシドメタノール溶液を室温でスピンコート塗布し、さらに60℃及び90%の恒温恒湿下に30分間静置した。室温まで冷却した基板を水で十分に洗浄した。
得られた反射防止膜の各層の屈折率、物理膜厚及び光学膜厚を表1に示す。なお屈折率及び物理膜厚の測定には、レンズ反射率測定機(型番:USPM-RU、オリンパス株式会社製)を使用した。
基板傾斜角θtに対する第1層の光学膜厚D1(θt)、第2層の光学膜厚D2(θt)及び第3層の光学膜厚D3(θt)は、それぞれ下記式(1.1)、式(1.2)及び式(1.3):
D1(θt)=D10×(cosθt)α・・・(1.1)、
D2(θt)=D20×(cosθt)β・・・(1.2)及び
D3(θt)=D30×(cosθt)γ・・・(1.3)
(ただしD10、D20及びD30は、それぞれ前記レンズ基板の中心部における前記第1層、第2層及び第3層の光学膜厚を表し、α、β及びγは、全て-2.0〜2.0の範囲に入っていた。)でほぼ表すことができた。
Figure 0006877866
注(1):基板傾斜角度50°の箇所
実施例2
実施例1で作製したハイブリッドレンズ基板を用いて、以下に示すように3層構成の反射防止膜を成膜してなる光学部材(表2に記載の構成)を作製した。
(1)反射防止膜の形成
(a)第1層の形成
紫外線硬化性のシラン系カップリング剤(信越化学工業株式会社製KBM-5103)をスピンコートで塗布し、紫外線を照射して硬化させて第1層を形成した。
(b)第2層の形成
膜厚を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして第2層を形成した。
(c)第3層の形成
実施例1と同様にして第3層を形成した。
得られた反射防止膜の各層の屈折率、物理膜厚及び光学膜厚を表2に示す。なお屈折率及び物理膜厚の測定は、実施例1と同様にして行った。基板傾斜角θtに対する第1層の光学膜厚D1(θt)、第2層の光学膜厚D2(θt)及び第3層の光学膜厚D3(θt)は、それぞれ下記式(2.1)、式(2.2)及び式(2.3):
D1(θt)=D10×(cosθt)α・・・(2.1)、
D2(θt)=D20×(cosθt)β・・・(2.2)及び
D3(θt)=D30×(cosθt)γ・・・(2.3)
(ただしD10、D20及びD30は、それぞれ前記レンズ基板の中心部における前記第1層、第2層及び第3層の光学膜厚を表し、α、β及びγは、全て-2.0〜2.0の範囲に入っていた。)でほぼ表すことができた。
Figure 0006877866
注(1):基板傾斜角度50°の箇所
[2] 光学部材の評価
(1)反射防止特性の評価
実施例1の光学部材の反射防止特性を図7(a)及び図7(b)に、実施例2の光学部材の反射防止特性を図8(a)及び図8(b)に示す。図7(a)及び図8(a)はレンズ中心部における反射防止特性を示し、図7(b)及び図8(b)はレンズ周辺部(基板傾斜角度が50°の部分)における反射防止特性を示す。
実施例1及び2から、本発明の光学部材は、大きな基板傾斜角度(50°以上)を有するレンズ基板を用いた場合であっても、中心部及び周辺部でほとんど変わらず良好な反射防止性能を有していることが分かる。
(2)耐傷性の評価
反射防止膜の最表面のシリカエアロゲル膜を、1Kg/cm2の圧力をかけながら3600 mm/分の速度で20 mm×20 mmの不織布(商品名「スピックレンズワイパー」、小津産業株式会社製)で30回擦り、表面の傷を目視で確認し以下の基準で評価した。
<判定基準>
シリカエアロ膜に全く傷が付かなかった・・・○
シリカエアロ膜に傷は付いたが剥離しなかった・・・△
シリカエアロ膜が剥離した・・・×
結果を表3に示す。表3に示す結果から、実施例1及び2の光学部材は、90℃以下の成膜プロセスで形成した場合でも、優れた機械的強度及び密着性を有する反射防止膜を備えていることが分かった。
Figure 0006877866
1,11・・・光学部材
2・・・基板
21・・・レンズ基板
22・・・ハイブリッドレンズ基板
21a・・・球面ガラスレンズ基板
21b・・・アクリルレート樹脂
3,31・・・反射防止膜
3a,31a・・・第1層
3b,31b・・・第2層
3c,31c・・・第3層
100・・・基板
130・・・電子ビーム式真空蒸着装置
131・・・真空チャンバー
132・・・回転ラック
133・・・蒸着源
134・・・回転軸
135・・・真空ポンプ接続口
136・・・ルツボ
137・・・蒸着材
138・・・電子ビーム照射器
139・・・ヒーター
140・・・真空ポンプ

Claims (14)

  1. 基板と、前記基板上に第1層〜第3層の順に設けられた3層構成の反射防止膜とからなる光学部材であって、
    前記第1層がSiO2及び/又はシラン系カップリング剤を含む緻密膜からなり、
    前記第2層及び第3層がシリカエアロゲル膜からなり、
    前記第1層の物理膜厚が1.0〜13.7 nmの範囲であり、
    波長550 nmの光において、
    前記基板の屈折率が1.6以下であり、
    前記第2層の屈折率が1.37〜1.50の範囲であり、
    前記第3層の屈折率が1.15〜1.32の範囲であり、
    前記基板、第1層、第2層及び第3層の屈折率が、この順に低くなっていることを特徴とする光学部材。
  2. 請求項1に記載の光学部材において、前記基板が樹脂からなる又は樹脂を含んでなることを特徴とする光学部材。
  3. 請求項1又は2に記載の光学部材において、前記第1層が、前記基板と前記第2層との密着性を向上させる効果を有することを特徴とする光学部材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の光学部材において、前記第2層の屈折率が1.40〜1.50の範囲であることを特徴とする光学部材。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の光学部材において、前記第3層の屈折率が1.15〜1.25の範囲であることを特徴とする光学部材。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光学部材において、前記基板が30°以上の最大基板傾斜角を有するレンズ基板であることを特徴とする光学部材。
  7. 請求項6に記載の光学部材において、前記レンズ基板の最大基板傾斜角が30〜65°の範囲にあることを特徴とする光学部材。
  8. 請求項6又は7に記載の光学部材において、前記レンズ基板の任意の基板傾斜角θtにおける前記第1層の光学膜厚D1(θt)、前記第2層の光学膜厚D2(θt)、及び前記第3層の光学膜厚D3(θt)が、
    それぞれ下記式(1)、式(2)及び式(3):
    D1(θt)=D10×(cosθt)α・・・(1)
    D2(θt)=D20×(cosθt)β・・・(2)
    D3(θt)=D30×(cosθt)γ・・・(3)
    (ただしD10、D20及びD30は、それぞれ前記レンズ基板の中心部における前記第1層、第2層及び第3層の光学膜厚を表し、α及びβ、γは、それぞれ独立に-2.0〜2.0の範囲の数値である。) により表されることを特徴とする光学部材。
  9. 請求項6〜8のいずれかに記載の光学部材において、前記第1層の膜厚が、前記レンズ基板の中心部から周辺部に行くに従って薄くなっていることを特徴とする光学部材。
  10. 請求項6〜8のいずれかに記載の光学部材において、前記第1層〜第3層の膜厚が、前記レンズ基板の基板傾斜角によらず一定、又はレンズ基板中心部より周辺部に行くに従って厚くなっていることを特徴とする光学部材。
  11. 請求項6〜10のいずれかに記載の光学部材において、前記レンズ基板の有効径Dと曲率半径Rとの比D/Rが0.1〜2の範囲にあることを特徴とする光学部材。
  12. 基板上に、SiO2及び/又はシラン系カップリング剤を含む緻密層からなる第1層、シリカエアロゲルからなる第2層及び第3層が順に積層され、前記第1層の物理膜厚が1.0〜13.7 nmの範囲であり、波長550 nmの光における前記基板の屈折率が1.6以下、前記第2層の屈折率が1.37〜1.50の範囲、及び前記第3層の屈折率が1.15〜1.32の範囲であり、前記基板、第1層、第2層及び第3層の屈折率が、この順に低くなっている3層構成の反射防止膜を製造する方法であって、
    前記第1層を乾式プロセス又は湿式プロセスで形成する工程、並びに前記第2層及び第3層を湿式プロセスで形成する工程を有し、
    前記第1層〜第3層を形成する工程をいずれも90℃以下で行うことを特徴とする反射防止膜の製造方法。
  13. 請求項12に記載の反射防止膜の製造方法において、前記第2層の屈折率が1.40〜1.50の範囲であることを特徴とする反射防止膜の製造方法。
  14. 請求項12又は13に記載の反射防止膜の製造方法において、前記第1層を形成する工程が真空蒸着法又はゾル-ゲル法からなり、前記第2層及び第3層を形成する工程がゾル-ゲル法からなることを特徴とする反射防止膜の製造方法。
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