JP6314627B2 - 反射防止膜、及びそれを有する光学部品 - Google Patents

反射防止膜、及びそれを有する光学部品 Download PDF

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Description

本発明はテレビカメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、車載カメラ、顕微鏡、望遠鏡等に使用される可視域の光に対する反射防止膜、及びこの反射防止膜を有する光学部品に関する。
写真用カメラや放送用カメラ等に広く用いられている高性能なズームレンズは、多層枚からなるレンズ群の鏡等構成を有している。一般的にこのようなズームレンズは10〜40枚程度のレンズで構成される。これらレンズ等の光学部品の表面には、基板の屈折率と異なる大小の屈折率を持った誘電体膜を組み合せ、各誘電体膜の膜厚が中心波長λに対して、1/2λや1/4λであるような干渉効果を利用した多層膜による反射防止処理が施されている。
近年、このような反射防止膜の反射率低減の要望が大きくなっており、可視域400〜700 nmの反射率が0.02〜0.05%に低減された反射防止膜が既に知られている。
例えば、特開2007-94150号(特許文献1)は、可視域400〜700 nmの反射防止効果を高める目的で、屈折率1.85〜2.45の高屈折率膜と屈折率1.30〜1.65の低屈折率膜を基板上に4層又は5層形成し、屈折率1.05〜1.30の超低屈折率膜を最表面に形成した5層又は6層構成の反射防止膜を開示している。特許文献1は、屈折率1.95の基板に対して、波長400〜700 nmにおける反射率が0.02%程度の6層構成の反射防止膜を例示している。
特開2009-8901号(特許文献2)は、可視域430〜670 nmの反射防止効果を高める目的で、屈折率NH≧2の高屈折率膜と屈折率NM≦1.70の低屈折率膜を7層〜9層形成し、屈折率NL≦1.30の超低屈折率膜を最表面に形成した8層〜10層構成の反射防止膜を開示している。特許文献2は、屈折率1.519の基板に対して、波長400〜700 nmにおける反射率が0.03%程度の10層構成の反射防止膜を例示している。
特開2013-250295号(特許文献3)は、可視から赤外域400〜1600 nmの反射防止効果を高める目的で、高屈折率膜を1、3、5、7、9、11層に、低屈折率膜を2、4、6、8、10層に形成し、屈折率1.2〜1.29の超低屈折率膜を最表面に形成した12層構成の反射防止膜を開示している。特許文献3は、屈折率1.70と1.81の基板に対して、波長400〜1600 nmにおける反射率が1.0%程度の12層構成の反射防止膜を例示しており、この反射防止膜は、可視域400〜700 nmにおいて1.0%程度の反射率を示す。
しかしながら、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載された反射防止膜は、撮影画面内に強い光源が入らない限りは良好な光学性能が保たれるが、撮影画面内に強い光源が入る場合には可視域のフレアやゴーストが発生してコントラストの低下を招くという問題を有しており、さらなる改良が望まれている。
特開2007-94150号公報 特開2009-8901号公報 特開2013-250295号公報
従って、本発明の目的は、11層で反射率の低い反射防止膜を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、高屈折率膜と、前記高屈折率膜より低い屈折率を有する低屈折率膜とを交互に10層積層し、その上にさらに、前記低屈折率膜よりさらに低い屈折率を有する超低屈折率膜を積層してなる反射防止膜が、可視域400〜700 nmの反射率が0.01%以下の反射防止性能を有することを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の反射防止膜は、基板上に、第1層〜第11層を順に積層してなる可視域波長400〜700 nmに対する反射防止膜であって、
第1層〜第10層は、高屈折率膜と、前記高屈折率膜より低い屈折率を有する低屈折率膜とを交互に積層してなり、第11層は、前記低屈折率膜よりさらに低い屈折率を有する超低屈折率膜を積層してなることを特徴とする。
第1層は低屈折率膜で構成するのが好ましい。
前記基板の屈折率は1.43〜2.1であり、前記低屈折率膜の屈折率は1.37〜1.51であり、前記高屈折率膜の屈折率は1.9〜2.5であるのが好ましい。
第1層の屈折率が1.37〜1.51及び光学膜厚が4〜90 nmであり、
第2層の屈折率が1.9〜2.5及び光学膜厚が4〜130 nmであり、
第3層の屈折率が1.37〜1.51及び光学膜厚が20〜120 nmであり、
第4層の屈折率が1.9〜2.5及び光学膜厚が30〜100 nmであり、
第5層の屈折率が1.37〜1.51及び光学膜厚が20〜70 nmであり、
第6層の屈折率が1.9〜2.5及び光学膜厚が80〜160 nmであり、
第7層の屈折率が1.37〜1.51及び光学膜厚が4〜40 nmであり、
第8層の屈折率が1.9〜2.5及び光学膜厚が50〜190 nmであり、
第9層の屈折率が1.37〜1.51及び光学膜厚が40〜140 nmであり、
第10層の屈折率が1.9〜2.5及び光学膜厚が4〜50 nmであり、
第11層の屈折率が1.05〜1.3及び光学膜厚が130〜150 nmであるのが好ましい。
前記低屈折率膜はMgF2、SiO2、SiO2とAl2O3の混合物、フッ素樹脂からなる群から選ばれた材料からなる膜であり、
前記高屈折率膜はTiO2、Nb2O5、TiO2とNb2O5の混合物、Ta2O5、ZrO2、HfO2、CeO2、La2O3、ZnO、SnO2、In2O3、ZnS、In2O3とSnO2の混合物、ZnOとAl2O3の混合物、ZnOとGa2O3の混合物、TiO2とLa2O3の混合物からなる群から選ばれた材料からなる膜であり、
前記超低屈折率膜はMgF2、SiO2、Al2O3及びフッ素樹脂からなる群から選ばれた材料からなるナノ多孔質膜又はナノ粒子膜であるのが好ましい。
前記第1層の屈折率が前記基板の屈折率より低いのが好ましい。
本発明の光学部品は、前記反射防止膜を有することを特徴とする。
本発明の反射防止膜は、11層で低反射率を発揮するので、撮影画面内に強い光源が入る場合でも可視光のフレアやゴーストが発生せず、コントラストの高い良好な光学性能を達成できる。
基板上に形成された本発明の反射防止膜の一例を模式的に示す断面図である。 実施例1の反射防止膜の5°入射分光反射率を示すグラフである。 実施例2の反射防止膜の5°入射分光反射率を示すグラフである。 実施例3の反射防止膜の5°入射分光反射率を示すグラフである。 実施例4の反射防止膜の5°入射分光反射率を示すグラフである。 実施例5の反射防止膜の5°入射分光反射率を示すグラフである。 実施例6の反射防止膜の5°入射分光反射率を示すグラフである。 実施例7の反射防止膜の5°入射分光反射率を示すグラフである。 実施例8の反射防止膜の5°入射分光反射率を示すグラフである。 実施例9の反射防止膜の5°入射分光反射率を示すグラフである。 実施例10の反射防止膜の5°入射分光反射率を示すグラフである。 実施例11の反射防止膜の5°入射分光反射率を示すグラフである。 実施例12の反射防止膜の5°入射分光反射率を示すグラフである。 比較例1の反射防止膜の5°入射分光反射率を示すグラフである。 比較例2の反射防止膜の5°入射分光反射率を示すグラフである。 実施例及び比較例で用いた膜材料の波長350〜750 nmの屈折率分散を示すグラフである。 比較例3の反射防止膜1及び2の5°入射分光反射率を示すグラフである。 比較例3の反射防止膜2の5°入射分光反射率を示すグラフである。
[1]反射防止膜
(1)構成
本発明の反射防止膜は、図1に示すように、所定の屈折率及び光学膜厚[屈折率(n)×物理膜厚(d)]を有する第1層101から第11層111までの薄膜を基板3の表面に積層してなる。第1層〜第10層は、高屈折率膜と、前記高屈折率膜より低い屈折率を有する低屈折率膜とが交互に積層され、第11層は、前記低屈折率膜よりさらに低い屈折率を有する超低屈折率膜である。前記第1層〜第10層は、第1層を低屈折率膜で構成する、すなわち基数層を低屈折率膜で構成し、偶数層を高屈折率膜で構成するのが好ましい。さらに、第1層の屈折率が、前記基板の屈折率より低いのが好ましい。
第1層の屈折率を低屈折率膜で構成し、さらに基板の屈折率より低く設定することにより、可視域の波長400〜700 nmにおける反射率(入射角0〜10°)をより大きく低減させることができる。特に屈折率の高い基板の反射率を低減する効果が大きい。屈折率の高い基板の場合、基板そのもの(未コートの)の反射率が高いので、屈折率が低い基板より反射率を下げるのが難しい。例えば、屈折率が高い2.00ぐらいの基板を用いた場合、第1層として、屈折率1.9〜2.5の高屈折率膜を付与しても、大きな干渉効果が得られず、高い反射防止効果が得られない。そのため、屈折率の高い基板では、第1層を低屈折率膜で構成する方が高い反射防止効果が得られ有利である。
本発明の反射防止膜は、さらに好ましくは、波長400〜700 nmの間にある任意の波長において、屈折率が1.43〜2.1の基板上に、基板表面から順に、
屈折率が1.37〜1.51であり、光学膜厚が4〜90 nmの第1層101、
屈折率が1.9〜2.5であり、光学膜厚が4〜130 nmの第2層102、
屈折率が1.37〜1.51であり、光学膜厚が20〜120 nmの第3層103、
屈折率が1.9〜2.5であり、光学膜厚が30〜100 nmの第4層104、
屈折率が1.37〜1.51であり、光学膜厚が20〜70 nmの第5層105、
屈折率が1.9〜2.5であり、光学膜厚が80〜160 nmの第6層106、
屈折率が1.37〜1.51であり、光学膜厚が4〜40 nmの第7層107、
屈折率が1.9〜2.5であり、光学膜厚が50〜190 nmの第8層108、
屈折率が1.37〜1.51であり、光学膜厚が40〜140 nmの第9層109、
屈折率が1.9〜2.5であり、光学膜厚が4〜50 nmの第10層110、及び
屈折率が1.05〜1.3であり、光学膜厚が130〜150 nmの第11層111を積層してなる。
さらに、波長400〜700 nmにおいて良好な反射防止効果を得るためには、波長587.56 nmにおいて、
第1層の屈折率は好ましくは1.38〜1.50、光学膜厚は好ましくは5〜89 nmであり、
第2層の屈折率は好ましくは1.91〜2.49、光学膜厚は好ましくは5〜129 nmであり、
第3層の屈折率は好ましくは1.38〜1.50、光学膜厚は好ましくは21〜119 nmであり、
第4層の屈折率は好ましくは1.91〜2.49、光学膜厚は好ましくは31〜99 nmであり、
第5層の屈折率は好ましくは1.38〜1.50、光学膜厚は好ましくは21〜69 nmであり、
第6層の屈折率は好ましくは1.91〜2.49、光学膜厚は好ましくは81〜159 nmであり、
第7層の屈折率は好ましくは1.38〜1.50、光学膜厚は好ましくは5〜39 nmであり、
第8層の屈折率は好ましくは1.91〜2.49、光学膜厚は好ましくは51〜189 nmであり、
第9層の屈折率は好ましくは1.38〜1.50、光学膜厚は好ましくは41〜139 nmであり、
第10層の屈折率は好ましくは1.91〜2.49、光学膜厚は好ましくは5〜49 nmであり、
第11層の屈折率は好ましくは1.06〜1.29、光学膜厚は好ましくは131〜149 nmである。
(2)材料
前記屈折率1.37〜1.51の層を構成する低屈折率膜は、MgF2、SiO2、SiO2とAl2O3の混合物、フッ素樹脂からなる群から選ばれた材料からなる膜である。フッ素樹脂としては、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、三フッ化塩化メチレン樹脂(PCTFE)、フッ化ビニル樹脂(PVF)、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン樹脂などが利用できる。
前記屈折率1.9〜2.5の層を構成する高屈折率膜は、TiO2、Nb2O5、TiO2とNb2O5の混合物、Ta2O5、ZrO2、HfO2、CeO2、La2O3、ZnO、SnO2、In2O3、ZnS、In2O3とSnO2の混合物、ZnOとAl2O3の混合物、ZnOとGa2O3の混合物、TiO2とLa2O3の混合物からなる群から選ばれた材料からなる膜である。
前記屈折率1.05〜1.3の層を構成する超低屈折率膜は、MgF2、SiO2、Al2O3及びフッ素樹脂からなる群から選ばれた材料からなナノ多孔質膜又はナノ粒子膜である。ナノ多孔質膜又はナノ粒子膜としては、国際公開第2002/018982号に記載のフッ化マグネシウム等の微粒子を含むゾル溶液を用いて得られる多孔質膜、国際公開第2006/030848号に記載のMgF2粒子と、MgF2粒子間に存在する非晶質酸化ケイ素系バインダーとを備えるMgF2多孔質光学薄膜、特開2006-3562号、特開2006-215542号、特開2007-94150号(特許文献1)、特開2008-225210号及び特開2008-233403号に記載のシリカエアロゲル膜、「ジャーナル・オブ・ゾルゲル・サイエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Sol-Gel Science and Technology)」,2000年,第18巻,219〜224頁に記載のナノポーラスシリカ膜等が挙げられる。
11層はシリカを主成分とするナノポーラス膜であるのが好ましく、特に前記シリカエアロゲル膜、又は前記ナノポーラスシリカ膜からなるのが好ましい。シリカエアロゲル膜又はナノポーラスシリカ膜からなる層は低い屈折率を有するため、この層を基材から一番遠い位置に設けることにより、優れた反射防止機能を発揮することができる。多孔質層の細孔径は0.005〜0.2μmであるのが好ましく、空孔率は20〜60%であるのが好ましい。
(3) 基板
基板3は、波長400〜700 nmのある波長において屈折率が1.43〜2.1であり、好ましくは1.435〜2.005である。屈折率がこのような値の基板3を用いて反射防止膜を形成することにより、前記波長領域において光学性能を良好に改善することができる。
基板3の材料としては、BaSF2、SF5、LaF2、LaSF09、LaSF01、LaSF016、LAK7、LAK14等の光学ガラスやルミセラ(登録商標)等のセラミックスが挙げられる。
[2]製造方法
(1) 第1層〜第10層の形成方法
反射防止膜の第1層〜第10層は、物理成膜法で形成するのが好ましい。物理成膜法としては、例えば、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などが挙げられる。中でも特に製造コスト、加工精度の面においてスパッタリング法が好ましい。
(2) 第11層の形成方法
第11層のナノ多孔質膜又はナノ粒子膜は、国際公開第2002/018982号、国際公開第2006/030848号、特開2006-3562号、特開2006-215542号、特開2007-94150号(特許文献1)、特開2008-225210号、特開2008-233403号、「ジャーナル・オブ・ゾルゲル・サイエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Sol-Gel Science and Technology)」,2000年,第18巻,219〜224頁等に記載の方法により得ることができる。シリカを主成分とする多孔質層は、湿式法により形成するのが好ましく、特にゾル-ゲル法が好ましい。すなわち、アルコキシシラン等のシリカ骨格形成化合物からなる湿潤ゲルを、必要に応じて有機修飾し、バインダーとして紫外線硬化性の樹脂を混合し、得られた塗工液を塗布、乾燥及び焼成することにより形成する。以下に、「ジャーナル・オブ・ゾルゲル・サイエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Sol-Gel Science and Technology)」,2000年,第18巻,219〜224頁に記載のアルカリ及び酸を用いた2段階反応によるナノポーラスシリカ膜の形成方法について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
2段階反応によるナノポーラスシリカ膜の形成は、(i)アルコキシシランを塩基性触媒下で加水分解及び縮重合して調製したアルカリ性ゾルに、さらに酸性触媒を添加して第一のゾルを得る工程、(ii) 第一のゾルにアルコキシシランと水の混合物を添加し、さらに加水分解及び縮重合を進め第二のゾルを調製する工程、(iii)得られた第二のゾルを基板上に塗布及び乾燥(熱処理)する工程、(iv)アルカリ処理工程、及び(vi)洗浄工程により行う。
(i) 第一のゾルを調製する工程
(a) アルコキシシラン
第一のゾルを生成するためのアルコキシシランはテトラアルコキシシランのモノマー又はオリゴマー(縮重合物)が好ましい。4官能のアルコキシシランを用いた場合、比較的大きな粒径を有するコロイド状シリカ粒子のゾルを得ることができる。テトラアルコキシシランは、Si(OR)4[Rは炭素数1〜5のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、又は炭素数1〜4のアシル基(アセチル等)]により表されるものが好ましい。テトラアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジエトキシジメトキシシラン等が挙げられる。中でもテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランが好ましい。本発明の効果を阻害しない範囲で、テトラアルコキシシランに少量の3官能以下のアルコキシシランを配合しても良い。
(b) 塩基性触媒の存在下での加水分解及び縮重合
アルコキシシランに有機溶媒、塩基性触媒及び水を添加することにより、加水分解及び縮重合が進行する。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、ブタノール等のアルコールが好ましく、メタノール又はエタノールがより好ましい。塩基性触媒としては、アンモニア、アミン、NaOH又はKOHが好ましい。好ましいアミンは、アルコールアミン又はアルキルアミン(メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、n-ブチルアミン、n-プロピルアミン等)である。
有機溶媒とアルコキシシランとの量比は、アルコキシシランの濃度がSiO2換算で0.1〜10質量%(シリカ濃度)となるように設定するのが好ましい。シリカ濃度が10質量%超であると、得られるゾル中のシリカ粒子の粒径は大きくなり過ぎる。一方シリカ濃度が0.1未満であると、得られるゾル中のシリカ粒子の粒径は小さくなり過ぎる。なお有機溶媒/アルコキシシランのモル比としては5×102〜5×104の範囲が好ましい。
塩基性触媒/アルコキシシランのモル比は1×10-4〜1にするのが好ましく、1×10-4〜0.8にするのがより好ましく、3×10-4〜0.5にするのが特に好ましい。塩基性触媒/アルコキシシランのモル比が1×10-4未満であると、アルコキシシランの加水分解反応が十分に起こらない。一方モル比が1を超えて塩基を添加しても触媒効果は飽和する。
水/アルコキシシランのモル比は1〜40が好ましい。水/アルコキシシランのモル比が40超であると、加水分解反応が速く進行し過ぎるため反応の制御が難しく、均一なシリカエアロゲル膜が得られにくくなる。一方1未満であると、アルコキシシランの加水分解が十分に起こらない。
塩基性触媒及び水を含有するアルコキシシランの溶液は、15〜25℃で約30分〜10時間静置又はゆっくり撹拌することにより熟成させるのが好ましい。熟成により加水分解及び縮重合が進行し、アルカリ性ゾルが生成する。アルカリ性ゾルは、コロイド状シリカ粒子の分散液の他、コロイド状シリカ粒子がクラスター状に凝集した分散液も含む。
(c) 酸性触媒の存在下での加水分解及び縮重合
得られたアルカリ性ゾルに酸性触媒、並びに必要に応じて水及び有機溶媒を添加し、pHを約1まで下げ、酸性状態で加水分解及び縮重合をさらに進行させる。酸性触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、酢酸等が挙げられる。有機溶媒は上記と同じものを使用できる。有機溶媒/アルコキシシランのモル比及び水/アルコキシシランのモル比は上記と同じで良い。酸性触媒を含有するゾルは10〜90℃で約15分〜24時間静置又はゆっくり撹拌して熟成するのが好ましい。熟成により加水分解及び縮重合が進行し、第一のゾルが生成する。
第一のゾル中のシリカ粒子のメジアン径は100 nm以下であり、好ましくは10〜50 nmである。メジアン径は動的光散乱法により測定する。
(ii) 第二のゾルを調製する工程
(a) アルコキシシラン
第一のゾルにアルコキシシラン及び水の混合物を添加し、加水分解及び縮重合をさらに進行させ、第二のゾルを調製する。アルコキシシランとしてはSi(OR1)x(R2)4-x[xは2〜4の整数である。]により表される2〜4官能のものを用いるのが好ましい。R1は炭素数1〜5のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、又は炭素数1〜4のアシル基(アセチル等)が好ましい。R2は炭素数1〜10の有機基が好ましく、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、デシル、フェニル、ビニル、アリル等の炭化水素基、及びγ-クロロプロピル、CF3CH2-、CF3CH2CH2-、C2F5CH2CH2-、C3F7CH2CH2CH2-、CF3OCH2CH2CH2-、C2F5OCH2CH2CH2-、C3F7OCH2CH2CH2-、(CF3)2CHOCH2CH2CH2-、C4F9CH2OCH2CH2CH2-、3-(パーフルオロシクロヘキシルオキシ)プロピル、H(CF2)4CH2OCH2CH2CH2-、H(CF2)4CH2CH2CH2-、γ-グリシドキシプロピル、γ-メルカプトプロピル、3,4-エポキシシクロヘキシルエチル、γ-メタクリロイルオキシプロピル等の置換炭化水素基が挙げられる。
2官能のアルコキシシランの具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジメチルジアルコキシシランが挙げられる。3官能のアルコキシシランの具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のメチルトリアルコキシシラン、及びフェニルトリエトキシシラン等のフェニルトリアルコキシシランが挙げられる。4官能のアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジエトキシジメトキシシラン等が挙げられる。アルコキシシランは3官能以上が好ましく、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランがより好ましい。
水/アルコキシシランのモル比は、1〜5が好ましい。アルコキシシラン及び水の混合物を第一のゾルに添加後、15〜25℃で約1〜20日間静置又ゆっくり撹拌することにより熟成させる。熟成により加水分解及び縮重合がさらに進行し、第二のゾルが生成する。熟成時間が20日を超えると、ゾル中のシリカ粒子のメジアン径が大きくなり過ぎる。
第二のゾル中のコロイド状シリカ粒子のメジアン径は1〜100 nmであり、好ましくは10〜50 nmである。
(iii) 塗布及び乾燥工程
(a) 塗布
第二のゾルを基材の表面に塗布する方法としては、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、印刷法等が挙げられる。レンズのような三次元構造物に塗布する場合、ディッピング法が好ましい。ディッピング法における引き上げ速度は約0.1〜3 mm/秒であるのが好ましい。
第二のゾルの濃度及び流動性を調整し塗布適性を高めるため、分散媒として前記有機溶媒を加えても良い。塗布時の第二のゾル中のシリカの濃度は0.1〜20質量%が好ましい。必要に応じて、第二のゾルを超音波処理しても良い。超音波処理によってコロイド粒子の凝集を防止できる。超音波の周波数は10〜30 kHzが好ましく、出力は300〜900 Wが好ましく、処理時間は5〜120分間が好ましい。
(b) 乾燥(熱処理)
塗布膜の乾燥条件は基材の耐熱性に応じて適宜選択する。縮重合反応を促進するために、水の沸点未満の温度で15分〜24時間熱処理した後、100〜200℃の温度で15分〜24時間熱処理しても良い。熱処理することによりナノポーラスシリカ膜は高い耐擦傷性を発揮する。
(iv) アルカリ処理工程
ナノポーラスシリカ膜をアルカリで処理することにより耐擦傷性がいっそう向上する。アルカリ処理は、アルカリ溶液を塗布、又はアンモニア雰囲気中に放置することにより行うのが好ましい。アルカリ溶液の溶媒はアルカリに応じて適宜選択でき、水、アルコール等が好ましい。アルカリ溶液の濃度は、1×10-4〜20 Nが好ましく、1×10-3〜15 Nがより好ましい。
前記アルカリとして、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機アルカリ;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の無機アルカリ塩;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n-プロピルアミン、ジ-n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、ジ-n-ブチルアミン、n-アミルアミン、n-ヘキシルアミン、ラウリルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アニリン、メチルアニリン、エチルアニリン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、ピリジン、イミダゾール、グアニジン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、コリン等の有機アルカリ;蟻酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、蟻酸モノメチルアミン、酢酸ジメチルアミン、酢酸アニリン、乳酸ピリジン、グアニジノ酢酸等の有機酸アルカリ塩等を用いることができる。
アルカリ溶液の塗布によりアルカリ処理する場合、ナノポーラスシリカ膜1cm2当たり10〜200 mL塗布するのが好ましい。塗布はナノポーラスシリカ膜を塗布する場合と同様の方法ででき、スピンコート法が好ましい。スピンコート法における基材回転速度は、1,000〜15,000 rpm程度にするのが好ましい。アルカリ溶液を塗布後の膜は、好ましくは1〜40℃、より好ましくは10〜30℃で保存する。保存時間は、0.1〜10時間が好ましく、0.2〜1時間がより好ましい。
アンモニア雰囲気中に放置してアルカリ処理する場合、1×10-1〜1×105 Paのアンモニアガス分圧中で処理するのが好ましい。処理温度は、1〜40℃が好ましく、10〜30℃がより好ましい。処理時間は、1〜170時間が好ましく、5〜80時間がより好ましい。
必要に応じて、アルカリ処理したナノポーラスシリカ膜を乾燥する。乾燥は、100〜200℃の温度で15分〜24時間行うのが好ましい。
(v) 洗浄工程
アルカリ処理後のナノポーラスシリカ膜は、必要に応じて洗浄してもよい。洗浄は、水及び/又はアルコールに浸漬する方法、シャワーする方法、又はこれらの組み合わせにより行うのが好ましい。浸漬しながら超音波処理してもよい。洗浄の温度は1〜40℃が好ましく、時間は0.2〜15分が好ましい。ナノポーラスシリカ膜1 cm2当たり0.01〜1,000 mLの水及び/又はアルコールで洗浄するのが好ましい。洗浄後のナノポーラスシリカ膜は、100〜200℃の温度で15分〜24時間乾燥するのが好ましい。アルコールとしてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましい。
[3]光学部品
本発明の反射防止膜を前述の基板に施すことにより、400〜700 nmの可視光帯域において、反射率が約0.01%以下の反射防止効果を有する光学部品が得られる。本発明の光学部品は、テレビカメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、車載カメラ、顕微鏡、望遠鏡等の光学機器に搭載されるレンズ、プリズム、回折素子等に好適である。特にカメラの交換レンズに好適である。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
S-FPL53基板(株式会社オハラ製、nd=1.440)上に、表1に示す構成で、第1層〜第10層として、波長587.56 nmにおいて屈折率1.481のSiO2膜と屈折率2.455のTiO2膜とを交互にスパッタリング法により形成し、第11層として波長587.56 nmにおいて屈折率1.150のシリカエアロゲル膜をゾルゲル法により形成し、反射防止膜を作製した。この反射防止膜の5°入射分光反射率を図2に示す。
Figure 0006314627
実施例2
S-LAL10基板(株式会社オハラ製、nd=1.720)上に、表2に示す構成で、第1層〜第10層として、波長587.56 nmにおいて屈折率1.481のSiO2膜と屈折率2.455のTiO2膜とを交互にスパッタリング法により形成し、第11層として波長587.56 nmにおいて屈折率1.150のシリカエアロゲル膜をゾルゲル法により形成し、反射防止膜を作製した。この反射防止膜の5°入射分光反射率を図3に示す。
Figure 0006314627
実施例3
TAFD40基板(HOYA株式会社製、nd=2.000)上に、表3に示す構成で、第1層〜第10層として、波長587.56 nmにおいて屈折率1.481のSiO2膜と屈折率2.455のTiO2膜とを交互にスパッタリング法により形成し、第11層として波長587.56 nmにおいて屈折率1.150のシリカエアロゲル膜をゾルゲル法により形成し、反射防止膜を作製した。この反射防止膜の5°入射分光反射率を図4に示す。
Figure 0006314627
実施例4
S-FPL53基板(株式会社オハラ製、nd=1.440)上に、表4に示す構成で、第1層〜第10層として、波長587.56 nmにおいて屈折率1.481のSiO2膜と屈折率2.455のTiO2膜とを交互にスパッタリング法により形成し、第11層として波長587.56 nmにおいて屈折率1.200のシリカエアロゲル膜をゾルゲル法により形成し、反射防止膜を作製した。この反射防止膜の5°入射分光反射率を図5に示す。
Figure 0006314627
実施例5
S-LAL10基板(株式会社オハラ製、nd=1.720)上に、表5に示す構成で、第1層〜第10層として、波長587.56 nmにおいて屈折率1.481のSiO2膜と屈折率2.455のTiO2膜とを交互にスパッタリング法により形成し、第11層として波長587.56 nmにおいて屈折率1.1200のシリカエアロゲル膜をゾルゲル法により形成し、反射防止膜を作製した。この反射防止膜の5°入射分光反射率を図6に示す。
Figure 0006314627
実施例6
TAFD40基板(HOYA株式会社製、nd=2.000)上に、表6に示す構成で、第1層〜第10層として、波長587.56 nmにおいて屈折率1.481のSiO2膜と屈折率2.455のTiO2膜とを交互にスパッタリング法により形成し、第11層として波長587.56 nmにおいて屈折率1.200のシリカエアロゲル膜をゾルゲル法により形成し、反射防止膜を作製した。この反射防止膜の5°入射分光反射率を図7に示す。
Figure 0006314627
実施例7
S-FPL53基板(株式会社オハラ製、nd=1.440)上に、表7に示す構成で、第1層〜第10層として、波長587.56 nmにおいて屈折率1.481のSiO2膜と屈折率2.455のTiO2膜とを交互にスパッタリング法により形成し、第11層として波長587.56 nmにおいて屈折率1.100のシリカエアロゲル膜をゾルゲル法により形成し、反射防止膜を作製した。この反射防止膜の5°入射分光反射率を図8に示す。
Figure 0006314627
実施例8
S-LAL10基板(株式会社オハラ製、nd=1.720)上に、表8に示す構成で、第1層〜第10層として、波長587.56 nmにおいて屈折率1.481のSiO2膜と屈折率2.455のTiO2膜とを交互にスパッタリング法により形成し、第11層として波長587.56 nmにおいて屈折率1.100のシリカエアロゲル膜をゾルゲル法により形成し、反射防止膜を作製した。この反射防止膜の5°入射分光反射率を図9に示す。
Figure 0006314627
実施例9
TAFD40基板(HOYA株式会社製、nd=2.000)上に、表9に示す構成で、第1層〜第10層として、波長587.56 nmにおいて屈折率1.481のSiO2膜と屈折率2.455のTiO2膜とを交互にスパッタリング法により形成し、第11層として波長587.56 nmにおいて屈折率1.100のシリカエアロゲル膜をゾルゲル法により形成し、反射防止膜を作製した。この反射防止膜の5°入射分光反射率を図10に示す。
Figure 0006314627
実施例10
S-FPL53基板(株式会社オハラ製、nd=1.440)上に、表10に示す構成で、第1層〜第10層として、波長587.56 nmにおいて屈折率1.388のMgF2膜と屈折率1.936のHfO2膜とを交互に真空蒸着法により形成し、第11層として波長587.56 nmにおいて屈折率1.150のシリカエアロゲル膜をゾルゲル法により形成し、反射防止膜を作製した。この反射防止膜の5°入射分光反射率を図11に示す。
Figure 0006314627
実施例11
S-LAL10基板(株式会社オハラ製、nd=1.720)上に、表11に示す構成で、第1層〜第10層として、波長587.56 nmにおいて屈折率1.388のMgF2膜と屈折率1.936のHfO2膜とを交互に真空蒸着法により形成し、第11層として波長587.56 nmにおいて屈折率1.150のシリカエアロゲル膜をゾルゲル法により形成し、反射防止膜を作製した。この反射防止膜の5°入射分光反射率を図12に示す。
Figure 0006314627
実施例12
TAFD40基板(HOYA株式会社製、nd=2.000)上に、表12に示す構成で、第1層〜第10層として、波長587.56 nmにおいて屈折率1.388のMgF2膜と屈折率1.936のHfO2膜とを交互に真空蒸着法により形成し、第11層として波長587.56 nmにおいて屈折率1.150のシリカエアロゲル膜をゾルゲル法により形成し、反射防止膜を作製した。この反射防止膜の5°入射分光反射率を図13に示す。
Figure 0006314627
比較例1
特許文献1(特開2007-94150号)の実施例1を参考に、S-FPL53基板(株式会社オハラ製、nd=1.440)上に、表13に示す構成で、第1層〜第4層として、波長587.56 nmにおいて屈折率2.250のTa2O5膜と屈折率1.485のSiO2膜とを交互にイオンプレーティング法により形成し、第5層として波長587.56 nmにおいて屈折率1.150のシリカエアロゲル膜をゾルゲル法により形成し、反射防止膜を作製した。この反射防止膜の5°入射分光反射率を図14に示す。
Figure 0006314627
比較例2
特許文献1(特開2007-94150号)の実施例2を参考に、S-LAL7基板(株式会社オハラ製、nd=1.652)上に、表14に示す構成で、第1層〜第5層として、波長587.56 nmにおいて屈折率2.250のTa2O5膜と屈折率1.485のSiO2膜とを交互にイオンプレーティング法により形成し、第6層として波長587.56 nmにおいて屈折率1.150のシリカエアロゲル膜をゾルゲル法により形成し、反射防止膜を作製した。この反射防止膜の5°入射分光反射率を図15に示す。
Figure 0006314627
比較例1及び2の反射防止膜は、可視域400〜700 nmの光に対する5°入射の分光反射率が0.01%を越えているのに対し、本発明の実施例1〜12の反射防止膜は、可視域400〜700 nmの光に対する5°入射の分光反射率が0.01%以下であり、優れた低反射特性を有することが分かる。
実施例1〜12及び比較例1〜2で用いた材料の350〜750 nmの屈折率分散の代表値を図16に示す。シリカエアロゲルについては、波長350〜750 nmの屈折率分散が無視できるほど小さいので省略した。これらの屈折率分散から分かるように、屈折率は可視域の短波長側で高くなる傾向にある。なお図16における屈折率分散カーブは、その膜材料についての単層コーティング膜を実測した平均値を代表値としてプロットしたものである。
比較例3
特許文献3(特開2013−250295号)の12層構成の反射防止膜をさらに最適化することにより、可視域の波長400〜700 nmにおいて反射率が0.01%以下の反射防止膜が得られるかどうかを確認した。S-LAH53基板(株式会社オハラ製、nd=1.806)上に、特許文献3の実施例3と同じ層構成(表15の反射防止膜1)で、Ta2O5(屈折率2.22)、SiO2(屈折率1.45)、及び超低屈折率膜(屈折率1.25)からなる12層反射防止膜を構成した。その5°入射分光反射率の計算結果を図17-1に実線で示す。これに対して、波長390〜710 nmにおける反射率をできるだけ低くするように、各層の光学膜厚を傾斜勾配法によって最適化した12層反射防止膜(表15の反射防止膜2)を構成した。その5°入射分光反射率の計算結果を図17-1と図17-2に鎖線にて示す。
Figure 0006314627
図17-1及び図17-2から明らかなように、特許文献3(特開2013−250295号)の12層反射防止膜の光学膜厚を単純に調整し最適化しても、本含実施例のように波長400〜700 nmにて反射率0.01%以下の反射防止膜を得ることはできなかった。
1・・・反射防止膜
101・・・第1層
102・・・第2層
103・・・第3層
104・・・第4層
105・・・第5層
106・・・第6層
107・・・第7層
108・・・第8層
109・・・第9層
110・・・第10層
111・・・第11層
2・・・基板

Claims (4)

  1. 基板上に、第1層〜第11層を順に積層してなる可視域波長400〜700 nmに対する反射防止膜であって、
    媒質が空気であり、
    前記基板の屈折率が1.43〜2.1であり、
    第1層、第3層、第5層、第7層及び第9層は屈折率が1.37〜1.51の膜からなり、
    第2層、第4層、第6層、第8層及び第10層は屈折率が1.9〜2.5の膜からなり、
    第11層は屈折率が1.05〜1.3のナノ多孔質膜又はナノ粒子膜からなり、
    第1層の光学膜厚が4〜90 nmであり、
    第2層の光学膜厚が4〜130 nmであり、
    第3層の光学膜厚が20〜120 nmであり、
    第4層の光学膜厚が30〜100 nmであり、
    第5層の光学膜厚が20〜70 nmであり、
    第6層の光学膜厚が80〜160 nmであり、
    第7層の光学膜厚が4〜40 nmであり、
    第8層の光学膜厚が50〜190 nmであり、
    第9層の光学膜厚が40〜140 nmであり、
    第10層の光学膜厚が4〜50 nmであり、
    第11層の光学膜厚が130〜150 nmであることを特徴とする反射防止膜。
  2. 請求項1に記載の反射防止膜において、
    前記屈折率が1.37〜1.51の膜がMgF2、SiO2、SiO2とAl2O3の混合物、フッ素樹脂からなる群から選ばれた材料からなる膜であり、
    前記屈折率が1.9〜2.5の膜がTiO2、Nb2O5、TiO2とNb2O5の混合物、Ta2O5、ZrO2、HfO2、CeO2、La2O3、ZnO、SnO2、In2O3、ZnS、In2O3とSnO2の混合物、ZnOとAl2O3の混合物、ZnOとGa2O3の混合物、TiO2とLa2O3の混合物からなる群から選ばれた材料からなる膜であり、
    前記屈折率が1.05〜1.3の膜がMgF2、SiO2、Al2O3及びフッ素樹脂からなる群から選ばれた材料からなるナノ多孔質膜又はナノ粒子膜であることを特徴とする反射防止膜。
  3. 請求項1又は2に記載の反射防止膜において、前記第1層の屈折率が、前記基板の屈折率より低いことを特徴とする反射防止膜。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の反射防止膜を有することを特徴とする光学部品。
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