JPWO2004070436A1 - 低反射処理物品の製造方法、低反射層形成用溶液および低反射処理物品 - Google Patents
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Abstract
(1)平均粒子径40〜1000nmの非凝集シリカ微粒子、平均粒子径が10〜100nmの中空状非凝集シリカ微粒子および平均一次粒径が10〜100nmの鎖状凝集シリカ微粒子の少なくとも一種からなるシリカ微粒子、(2)加水分解可能なケイ素化合物、水、前記ケイ素化合物の加水分解触媒及び溶媒を含有するバインダー液を混合して反応させ前記ケイ素化合物を加水分解し、ついで(3)シラノール基の縮合を促進する硬化触媒を添加して得られる低反射層形成用溶液を樹脂基材上に被覆し、室温又は室温〜「基材が損なわれない温度」(熱可塑性樹脂では変形温度、硬化性樹脂では分解温度以下)で反応硬化させてシリカ微粒子およびバインダーを、固形分重量比で30:70〜95:5の割合でそれぞれ含有する低反射層を形成させる低反射処理物品の製造方法である。
Description
本発明は、ディスプレイ(ノート型パソコン、モニター、PDP、PDA)の最表面、タッチパネルモニターの最表面、携帯電話窓、ピックアップレンズ、光学レンズ、眼鏡レンズ、光学フィルター、光学部品の端面、車両用透明部品(ヘッドライトカバー、窓)、車両用不透明部品(インスツルメントパネル表面)、メーターカバー、建築用窓、ショーウインドウ、太陽電池用透明基板、太陽熱温水器用透明板、光学透明部品などの低反射性の合成樹脂物品の製造方法、低反射層形成用溶液(以後、「低反射層液」という。)および低反射処理物品に関するものである。
透明基体の可視光反射率の低減には、透明基体上に膜を付与することによる低反射化が広く知られている。特に、ガラス板上への成膜に二層以上の膜を積層して、光の干渉作用を利用して低反射化を実現する方法としては、例えば、特開平4−357134号公報には、透明ガラス基板の少なくとも片側表面に透明ガラス面側から第一層目として屈折率がn1=1.8〜1.9で、かつ膜厚が700〜900オングストロームである薄膜層を被覆し、次いで第一層目薄膜上に、第二層目として屈折率がn2=1.4〜1.5で、かつ膜厚が1100〜1300オングストロームである薄膜層を被覆積層してなり、さらに前記表面の垂直線となす入射角が50度〜70度の間で入射する膜面側の可視光に対し、前記薄膜被覆積層面における反射率を4.5〜6.5%低減せしめて成ることを特徴とする二層膜構成の車両用反射低減透明ガラス板が開示されている。また、特開平4−357135号公報には三層膜からなる低反射層を施したガラス板が提案されている。
一方、ガラス基板上に一層の膜を設けて反射を低減する方法としては、例えば特開昭63−193101号公報には、ガラス体の表面上に、SiO2の微粒子を添加したSi(OR)4(Rはアルキル基)のアルコール溶液を塗布した後に乾燥し、ガラス体表面上にSiO2微粒子及びこれを被覆するSiO2薄膜を付着させてなる反射防止膜が開示されている。
特開昭62−17044号公報には、5〜100nmの粒径を有するコロイダルシリカにテトラエトキシシランのような金属アルコレートを、コロイダルシリカ1モルに対して金属アルコレート1モルの割合で混合し、アルコールなどの有機溶媒に溶解した混合液を加水分解し、部分縮合させたゾル溶液を光学素子表面にコーティングし、熱処理した反射防止膜が開示されている。
また、特開平11−292568号公報には、鎖状のシリカ微粒子およびそれに対し5〜30重量%のシリカを含有する、110〜250nmの厚みの低反射層を被覆した可視光低反射ガラスが開示されている。
これらの一層の低屈折率層による低反射層は、Optical Engineering Vol.21 No.6、(1982)Page 1039に記載されているように、反射率の入射角依存性が小さいこと、反射率の波長依存性が小さいことにより、低反射の波長領域が広いことが知られている。
さらに、特開2001−278637号公報には平均粒子径40〜1000nmの非凝集シリカ微粒子および平均一次粒子径10〜100nmの鎖状凝集シリカ微粒子の少なくとも一方からなる原料微粒子、加水分解可能な金属化合物、水および溶媒を混合し、そして前記加水分解可能な金属化合物を前記微粒子存在下で加水分解して得られた低反射液をガラス基材へ塗布し、熱処理した低反射ガラスが開示されている。
これら一層の低屈折率層による低反射層は、Optical Engineerring Vol.21 No.6,(1982)P1039に記載されているように、反射率の入射角度依存性が小さいこと、反射率の波長依存性が小さいことにより、低反射の波長領域が広いことが知られている。
反射率を低減させる方式としては、上述の塗布方法、蒸着法などが挙げられるが、特に蒸着法(物理的蒸着、化学的蒸着)では、さまざまな膜材料、膜構成、二層以上の薄膜層の積層による反射防止膜が提案されている。
上記従来技術には以下のような問題点がある。
(1)透明基材に低反射層を被覆する場合に、低温加熱で被膜の硬化重合反応が進みにくく、3次元の重合構造がとれないため、得られた被膜の磨耗強度が小さい。
(2)透明樹脂基材に低反射層処理をした場合には十分な磨耗強度が出ず、また、外圧に対し低反射層が変形することで磨耗強度が低下する。低反射層用の基材としてガラス基材を用いる場合は、ガラスの剛性で変形を抑えているが、樹脂基材を用いる場合は樹脂自体の硬度が低いため、ガラス基材と同様の強度が得られないためである。
(3)透明樹脂基材には耐熱性がないので、前記低反射層強度を確保するための高温処理をすることができない。
本発明の課題は樹脂基材に対して処理した場合、実用レベルの膜磨耗強度が得られる可視光または赤外光に対する低反射層を形成する低反射処理物品の製造方法、低反射層液および低反射処理物品を提供することである。
一方、ガラス基板上に一層の膜を設けて反射を低減する方法としては、例えば特開昭63−193101号公報には、ガラス体の表面上に、SiO2の微粒子を添加したSi(OR)4(Rはアルキル基)のアルコール溶液を塗布した後に乾燥し、ガラス体表面上にSiO2微粒子及びこれを被覆するSiO2薄膜を付着させてなる反射防止膜が開示されている。
特開昭62−17044号公報には、5〜100nmの粒径を有するコロイダルシリカにテトラエトキシシランのような金属アルコレートを、コロイダルシリカ1モルに対して金属アルコレート1モルの割合で混合し、アルコールなどの有機溶媒に溶解した混合液を加水分解し、部分縮合させたゾル溶液を光学素子表面にコーティングし、熱処理した反射防止膜が開示されている。
また、特開平11−292568号公報には、鎖状のシリカ微粒子およびそれに対し5〜30重量%のシリカを含有する、110〜250nmの厚みの低反射層を被覆した可視光低反射ガラスが開示されている。
これらの一層の低屈折率層による低反射層は、Optical Engineering Vol.21 No.6、(1982)Page 1039に記載されているように、反射率の入射角依存性が小さいこと、反射率の波長依存性が小さいことにより、低反射の波長領域が広いことが知られている。
さらに、特開2001−278637号公報には平均粒子径40〜1000nmの非凝集シリカ微粒子および平均一次粒子径10〜100nmの鎖状凝集シリカ微粒子の少なくとも一方からなる原料微粒子、加水分解可能な金属化合物、水および溶媒を混合し、そして前記加水分解可能な金属化合物を前記微粒子存在下で加水分解して得られた低反射液をガラス基材へ塗布し、熱処理した低反射ガラスが開示されている。
これら一層の低屈折率層による低反射層は、Optical Engineerring Vol.21 No.6,(1982)P1039に記載されているように、反射率の入射角度依存性が小さいこと、反射率の波長依存性が小さいことにより、低反射の波長領域が広いことが知られている。
反射率を低減させる方式としては、上述の塗布方法、蒸着法などが挙げられるが、特に蒸着法(物理的蒸着、化学的蒸着)では、さまざまな膜材料、膜構成、二層以上の薄膜層の積層による反射防止膜が提案されている。
上記従来技術には以下のような問題点がある。
(1)透明基材に低反射層を被覆する場合に、低温加熱で被膜の硬化重合反応が進みにくく、3次元の重合構造がとれないため、得られた被膜の磨耗強度が小さい。
(2)透明樹脂基材に低反射層処理をした場合には十分な磨耗強度が出ず、また、外圧に対し低反射層が変形することで磨耗強度が低下する。低反射層用の基材としてガラス基材を用いる場合は、ガラスの剛性で変形を抑えているが、樹脂基材を用いる場合は樹脂自体の硬度が低いため、ガラス基材と同様の強度が得られないためである。
(3)透明樹脂基材には耐熱性がないので、前記低反射層強度を確保するための高温処理をすることができない。
本発明の課題は樹脂基材に対して処理した場合、実用レベルの膜磨耗強度が得られる可視光または赤外光に対する低反射層を形成する低反射処理物品の製造方法、低反射層液および低反射処理物品を提供することである。
本発明は、(1)平均粒子径40〜1000nmの非凝集シリカ微粒子、平均粒子径10〜100nmの中空状非凝集シリカ微粒子および平均一次粒径10〜100nmの鎖状凝集シリカ微粒子の少なくとも一種からなるシリカ微粒子、(2)加水分解可能なケイ素化合物、水、前記ケイ素化合物の加水分解触媒及び溶媒を含有するバインダー液を混合して反応させ前記ケイ素化合物を加水分解し、ついで(3)シラノール基の縮合を促進する硬化触媒を添加して得られる低反射層液を樹脂基材上に被覆し、室温又は室温〜「基材が損なわれない温度」(熱可塑性樹脂では変形温度、硬化性樹脂では分解温度以下)で反応硬化させて、シリカ微粒子およびバインダーを固形分重量比で30:70〜95:5の割合でそれぞれ含有する低反射層を形成させる低反射処理物品の製造方法である。
本発明の低反射処理物品の製造方法により、硬化時の重合効率が上がり、低温でも3次元的な重合ができ、磨耗強度が改善できる。また、一部有機物が残ることで可とう性が得られる。
また、加水分解可能なケイ素化合物をあらかじめオリゴマー化したバインダーを使用した場合には、微粒子共存下で加水分解することで、微粒子とバインダー、バインダー同士の絡まり、また更なる高分子化が進み、より硬化時の重合が効率的に行える。
更に、必要に応じ、前記低反射層液に界面活性剤あるいは加水分解したフッ化シラン、有機系の導電材料を添加した場合も、低温加熱による有機物分解を抑制でき、その特性を低下させることなく付与できる。
さらに目的に応じて、樹脂基材と低反射層の間に、両材料に接着可能な中間層や剛性・硬度に優れるハードコート層、あるいは防眩性を付与する防眩層を成膜し、低反射層の磨耗強度を更に改善することができる。
また、必要に応じて、樹脂基材表面を親水化処理し、基材表面に−COOH、−OH、>C=Oを導入した後で、上記処理を行うことで各種付着性が得られにくい基材に対しても適応できる。
本発明の基本構造は下記の通りである。
構造1:樹脂基材(シート・フィルムを含む)/低反射層
構造2:樹脂基材/中間層/低反射層
構造3:樹脂基材/ハードコート層/低反射層
構造4:樹脂基材/防眩層/低反射層
構造5:樹脂基材/中間層/ハードコート層又は防眩層/低反射層
構造6:樹脂基材/構造1〜5のいずれかの下地層/低反射層(含加水分解フッ化シラン)
構造7:樹脂基材/構造1〜5のいずれかの下地層/低反射層(含導電材料)
構造8:樹脂基材/構造1〜5のいずれかの下地層/低反射層/撥水層
構造1は、樹脂基材の表面に直接低反射層を設けている。
構造2は、樹脂基材の表面に中間層を設け、その上に低反射層を積層している。
中間層は、低反射層と同様の方法で塗布される。膜厚は、1〜10μmが好ましい。
構造3は樹脂基材と低反射層との間にハードコート層を設け、基材の剛性、表面硬度を改善し、更に低反射層との2〜3次元重合させることで膜強度を構造1、2より改善している。
ハードコート層は、低反射層と同様の方法で塗布できる。硬化は後述するが硬化触媒で調整でき、ハードコートaは活性エネルギー線による硬化、ハードコートbは熱硬化により、それぞれ得られる。ハードコート層の膜厚は、塗布目的に応じて0.1〜30μmが好ましく、0.1〜20μmがより好ましい。
構造4は、構造3のハードコート中に0.05〜20μmの金属または無機化合物の微粒子を添加し、塗布硬化したサンプルの構造は、シリカ微粒子の表面がバインダーで覆われており、膜の厚み方向の断面から見て、厚み方向に1つの微粒子が均一に存在するか、または2から5個の微粒子が積み重なっており、更にシリカ微粒子の直径の半分以上がハードコート(バインダー)中に埋まっている構造を有している。また、この構造4は構造3と同じ条件で成膜できる。
構造5は、構造2と3又は構造2と4を組み合わせたものである。
構造6、7は、低反射層液にフルオロシラン、又は導電性有機成分を添加したものである。
構造8は、低反射層表面に反応性、又は非反応性の官能基を有し、フッ素を構造中に含有した撥水層を積層したものである。
なお、上記構造6〜8の「構造1〜5のいずれかの下地層」とは構造1〜5の樹脂基材と低反射層の間にあるいずれかの層をいう。
以下各層の詳細を記載した。
1.低反射層
(1)平均粒子径40〜1000nmの非凝集シリカ微粒子、平均粒子径が10〜100nmの中空状非凝集シリカ微粒子および平均一次粒径が10〜100nmの鎖状凝集シリカ微粒子の少なくとも一種からなるシリカ微粒子、(2)加水分解可能なケイ素化合物、水、前記ケイ素化合物の加水分解触媒及び溶媒を含有するバインダー液を混合して反応させ、ついで(3)シラノール基の縮合を促進する硬化触媒を添加して得られる低反射層液を1〜5のいずれかの下地層上に被覆し、室温又は室温〜「基材が損なわれない温度」(熱可塑性樹脂では変形温度、硬化性樹脂では分解温度以下)で反応硬化させて、シリカ微粒子およびバインダーを固形分重量比で30:70〜95:5の割合でそれぞれ含有する低反射層を形成させる。
本発明において用いられる原料微粒子であるシリカ微粒子はいかなる製法で作られたものでも良く、ゾルゲル法によりシリコンアルコキシドをアンモニア等の塩基性触媒下で反応させて合成されたシリカ微粒子や、珪酸ソーダなどを原料としたコロイダルシリカ、気相で合成されるヒュームドシリカなどが例示される。
シリカ微粒子の粒径により、得られる低反射層の構造は大きく変化する。シリカ微粒子の粒径が小さ過ぎると、低反射層内の粒子間に生成する空孔の大きさが小さくなって毛管力が増し、付着した汚れが取れにくくなったり、空気中の水分や有機物が徐々に前記空孔に入り込むため膜の屈折率が変化し、反射率が経時的に上昇する。更に、膜内の空孔率が小さくなり見かけ上の屈折率が上昇する。
また、シリカ微粒子同士およびシリカ微粒子と樹脂基材との接着に用いられるバインダーの量は後述のようにその上限が定められているので、シリカ微粒子の粒径が小さ過ぎると、微粒子の表面積が相対的に大きくなり、その表面と反応するバインダー量が不足することになり、結果として膜の密着力が弱くなる。また、シリカ微粒子径(一次粒径)が小さ過ぎると、形成される膜表面の凹凸粗さの値または膜内部空隙率(シリカ微粒子の間の空間でバインダーが埋められていない空間の、膜体積に対する割合)は小さくなり見かけの屈折率は上昇する。
従って、(1)低反射層の汚れを取れやすくするために、(2)膜強度を高めるために、そして(3)見かけの屈折率を、低反射層が被覆される樹脂基材の屈折率(1.4〜1.8)の平方根値(約1.18〜1.34)に近くなるように下げるために、シリカ微粒子(屈折率約1.45)の一次粒径の平均値が40nm以上であることが望ましく、50nm以上であることがより好ましい。またシリカ微粒子の粒径が大きすぎると、光の散乱が激しくなり、また樹脂基材との密着性も弱くなる。
透視性が要求される用途、すなわち、ヘイズ率が低いこと、例えば1%以下のヘイズ率が望まれる用途、例えば車両、建築の窓では、シリカ微粒子の平均粒径は500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましい。最も好ましいシリカ微粒子の平均粒径は、50〜200nmであり、さらには70〜160nmが最も良い。
一方、透視性を必要とせず、しかもそれほど強い膜強度を必要としない用途、例えば、太陽電池用の樹脂基板では、反射率を下げることにより透過率を上げることが重要である。また、前記樹脂基板に近接して設けるシリコン膜内での太陽光の吸収効率を上げるためには、シリコン膜に入射した太陽光のシリコン膜中での光路長を長くすることが有利となる。
低反射層を通過する光は直進透過光と拡散透過光に分けることができ、直進透過光の量に対する拡散透過光の量が増大するとヘイズ率が増大する。全光線透過率が同一(従って反射率が同一)である低反射層で比較した場合、上記の光路長を長くするには、低反射層を通過した後の光のうち、拡散透過光の量が大きくなるような低反射層、すなわちヘイズ率が大きい低反射層、例えば10〜80%のヘイズ率を有する低反射層が好ましい。この大きなヘイズ率の低反射層には、100nm〜1000nmの平均粒径を有するシリカ微粒子を使用することが好ましい。
シリカ微粒子として微粒子内部に空間を保有する中空状シリカ微粒子を用いることによって、低反射層の品質をさらに高めることができる。シリカ微粒子が微粒子内部に空間を保有することによって、シリカ微粒子の屈折率を低下させることができて、屈折率を維持した状態で、低反射層内にシリカ微粒子を体積的に高い充填率で含有させることができる。そして、微粒子間の空隙が減少し、微粒子間の空隙によって引き起される低反射層が汚れる問題、低反射層に水分や有機物が入り込む問題が軽減でき、低反射層が緻密になることから、膜の強度も向上する。微粒子内に空間を保有することによって、中空状シリカ微粒子はその屈折率が低下するので、空間を保有しないシリカ微粒子に比して、粒径を細かくして充填率を高めることができる。中空状シリカ微粒子の好ましい粒径は10〜100nmである。
原料微粒子としてのシリカ微粒子の平均粒径は、1万倍〜5万倍の透過電子顕微鏡により、その平面的視野の中で実際に一次粒子(凝集して鎖状二次粒子を形成している場合は個々の一次粒子)の直径(長径および短径の平均値)を実測し、下記式による微粒子個数(n=100)の数平均した値dとして定義する。
従って、この測定値は、コロイダルシリカなどで表示されているBET法による粒子径とは異なる。シリカ微粒子の真球度は各微粒子の長軸長さと短軸長さの比を100個平均した値で表す。また、微粒子の粒度分布を表す、微粒子粒径の標準偏差は上記直径から下記の数式2および数式3により求める。なお各式においてn=100である。
シリカ微粒子の真球度が1.0〜1.2であれば、微粒子の充填度を高めた低反射層が形成されて膜の機械的強度が高くなるので好ましい。より好ましい真球度は1.0〜1.1である。また、粒径の揃ったシリカ微粒子を使用した方が、微粒子間の空隙を大きくすることができるので、膜の見かけの屈折率が下がり、反射率を低くできる。従ってシリカ微粒子の粒度分布を表すその粒径の標準偏差は1.0〜1.5であることが好ましく、より好ましくは1.0〜1.3、さらに好ましくは1.0〜1.1である。
シリカ微粒子は、分散媒に分散させたシリカ微粒子分散液が取り扱いやすく好適である。分散媒としては、水、アルコール類、セロソルブ類、グリコール類などがあり、これら分散媒に分散させたシリカ微粒子分散液が市販されている。また、シリカ微粒子粉末をこれら分散媒に分散させて使用しても良い。
微粒子が複数個凝集して凝集微粒子(二次微粒子)を形成する場合、その凝集微粒子を構成する個々の微粒子(一次微粒子)の平均粒径を平均一次粒径と定義する。
微粒子が枝分かれしない鎖状または枝分かれした鎖状に凝集した微粒子の集合体(鎖状凝集微粒子)であれば、膜形成時に各微粒子がその凝集状態を維持したまま固定されるので膜がかさ高くなり、形成される膜表面の凹凸粗さの値および膜内部空隙率は、その鎖状凝集微粒子の平均一次粒径と同一の平均粒径を有する非凝集シリカ微粒子の場合に比して、大きくなる。
従って、鎖状凝集シリカ微粒子としては、40nm未満の平均一次粒径を有するものであってもよく、10〜100nmの平均一次粒径を有する鎖状凝集シリカ微粒子が使用される。そして鎖状凝集シリカ微粒子は平均長さ(L)が60〜500nmであり、平均粒径(d)に対する平均長さ(L)の比(L/d)が3〜20であることが好ましい。また、シリカ微粒子の表面はバインダーで覆われており、膜の厚み方向の断面から見て、厚み方向に1つの微粒子が均一に存在するか、または2から5個の微粒子が積み重なっている。
バインダー原料となる加水分解可能なケイ素化合物としてはケイ化アルコキシドが膜の強度や化学的安定性などから好適である。ケイ化アルコキシドの中で、シリコンテトラアルコキシド、特にメトキシド、エトキシド、プロポキシドおよびブトキシドが好ましく用いられる。特にバインダー成分の含有量を多くした膜では、バインダー成分の屈折率が反射率に影響を与えることになるので、屈折率の小さいシリコンテトラアルコキシドのオリゴマーが最も好適である。前記オリゴマーを用いるためにはコーティング液(低反射液)をpH1〜5に調整することで行う。
また、バインダー成分はケイ化アルコキシドの中から複数混合したものを使用しても構わない。ケイ化アルコキシド以外でも、加水分解によりSi(OH)4の反応生成物が得られれば限定されず、例えば、ケイ素のハロゲン化物や、イソシアネート基、アシルオキシ基、アミノキシル基などを有するケイ素化合物が例示される。
本発明におけるバインダーの具体例としては、加水分解可能な下記(1)式で表される(A)アルコキシシランまたは下記(2)式で表される(B)シラン化合物、およびそのオリゴマーを1種類または複数種類含むことが望ましい。
前記加水分解可能なケイ素化合物としての(A)アルコキシシランは下記式(1)で表される。
R4O−((R4O)2−Si−O)n−R4 (1)
(ここで、R4は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、n=1〜20であり、縮合体の構造としては鎖状構造、分岐状構造、環状構造を含む)
また、前記(B)シラン化合物は(2)式で表される。
R1 aR2 bSi(OR3)4−a−b (2)
ここで、R1は炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基もしくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数5〜8のメタクリロキシアルキル基、炭素原子数2〜10のウレイドアルキレン基、グリシジルオキシ基で置換されたアルキル基で片末端にアルキル基を有するアルキレングリコール基、芳香族ウレイドアルキレン基、芳香族アルキレン基またはメルカプトアルキレン基であり、R2は炭素原子数1〜6のアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基であり、R3は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アシル基またはアルキルアシル基であり、a=1,2または3であり、b=0,1または2であり、a+bは1,2または3である。
上記(A)アルコキシシランまたは/および(B)シラン化合物に、さらに下記式(3)で表現される(C)フルオロアルキルシランを添加して使用することができる。
R5 cR6 dSi(OR7)4−c−d (3)
ここで、R5は炭素原子数1〜12のフッ化アルキル基であり、R6は炭素原子数1〜6のアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基であり、R7は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基またはアシル基であり、c=1,2または3であり、d=0,1または2である。但し、c+d=1,2または3である。
低反射層を形成するシリカ微粒子とバインダーの固形分重量比は30:70〜95:5の範囲である。バインダーの量がこの範囲よりも多いと、微粒子がバインダーに埋まり、微粒子による凹凸粗さ値または膜内の空隙率が小さくなるので反射防止効果が小さくなる。また、バインダー量がこれよりも少ないと、微粒子とガラス基材間及び微粒子間の密着力が低下し、膜の機械的強度が弱くなる。反射率と膜強度とのバランスを考えれば、シリカ微粒子とバインダーの固体分重量比は、より好ましくは50:50〜85:15である。バインダーはシリカ微粒子の全表面に被覆されていることが好ましく、その被覆厚みは1〜100nmでかつ前記シリカ微粒子の平均粒径の2〜9%であることが好ましい。
低反射層を形成するためのコーティング液の調製は、シリカ微粒子の存在下で加水分解可能なケイ素化合物の加水分解を行うことによりなされ、それにより得られる膜の機械的強度が格段に向上する。シリカ微粒子の存在下で前記ケイ素化合物を加水分解する本発明の場合には、加水分解により生じた生成物と微粒子表面に存在するシラノールとの縮合反応が加水分解とほぼ同時に起こり、従って(1)シリカ微粒子表面の反応性がバインダー成分との縮合反応により向上し、(2)さらにその縮合反応が進むことによりシリカ微粒子表面がバインダーで被覆されていくので、バインダーがシリカ微粒子と樹脂基材との接着性向上に有効に利用される。
他方、もしシリカ微粒子が存在しない状態で前記ケイ素化合物の加水分解を行うと、加水分解生成物同士での縮合反応によりバインダー成分は高分子化する。この高分子化したバインダー成分とシリカ微粒子を混合してコーティング液の調製を行った場合には、(1)バインダー成分とシリカ微粒子間の縮合反応はほとんど生じないので、シリカ微粒子表面の反応性は乏しく、そして(2)シリカ微粒子表面がほとんどバインダーで被覆されていない。従って、樹脂基材とシリカ微粒子との接着性をバインダーとシリカ微粒子の接着性と同様に高めようとすると、より多くのバインダー成分を必要とする。
本発明において、低反射層のためのコーティング液は、シリカ微粒子、加水分解可能なケイ素化合物、加水分解のための触媒、シラノール基の縮合を促進する硬化触媒、水および溶媒を混合して、加水分解させる。例えば室温で1時間〜24時間攪拌して反応させるか、室温よりも高い温度、例えば40℃〜80℃で10分〜50分攪拌して反応させることができる。得られたコーティング液は、その後コーティング方法に応じて適当な溶媒で希釈しても構わない。
加水分解の触媒としては、酸触媒が最も有効であり、塩酸や硝酸などの鉱酸や酢酸などが例示される。酸触媒では、加水分解可能なケイ素化合物、例えばケイ化アルコキシドの加水分解反応の速度に比して縮重合反応速度が小さく、加水分解反応生成物であるM(OH)nを多量に生成させて、これがバインダーとして有効に作用するので好ましい。塩基性触媒では、加水分解反応の速度に比して縮重合反応速度が大きいので、金属アルコキシドは微粒子状の反応生成物となったり、もともと存在しているシリカ微粒子の粒径成長に使用され、その結果、金属アルコキシドのバインダーとしての作用が小さくなる。触媒の含有量はバインダーとなるケイ素化合物に対してモル比で0.001〜4であることが好ましい。
本発明のバインダー成分であるケイ素化合物の硬化時の反応は、部分的に加水分解したシラン化合物のシラノール基同士の縮合反応(シリカ微粒子表面のシラノール基も関与する)が主であり、縮合反応することで硬化し、塗膜としても緻密性が上がり、外部からの応力に対して強度が上がる。この反応を効率的に促進させるのが硬化触媒である。
前記シラノール基の縮合を促進させる硬化触媒としては、例えばキレート化合物、脂肪酸塩、第1級〜第3級アミン、ポリアルキレンアミン、スルフォン酸塩、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸アンモニウム等を挙げることができる。またこれらの化合物と有機メルカプタンやメルカプトアルキレンシランを併用することもできる。
キレート化合物としては、中心金属が例えばAl、Zr、Co、Zn、Sn、Mn、V、Cu、Ce、Cr、Ru、Ga、Cd、Feであり、配位化合物が例えばアセチルアセトン、ジ−n−ブトキシド−モノ−エチルアセテート、ジ−n−ブトキシド−モノ−メチルアセテート、メチルエチルケトオキシム、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、アセトオキシムを挙げることができる。
また、脂肪酸塩としては、例えば2−エチル−ヘキシル酸、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、酢酸、セバシン酸、ドデカン二酸、プロピオン酸、ブラシル酸、イソブチル酸、シトラコン酸、ジエチレンアミン四酢酸などのような脂肪酸の金属塩を挙げることができる。
これらのキレート化合物および脂肪酸塩のより具体的化合物としては、例えば酢酸ナトリウムのようなカルボン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、アルミニウムアセチルアセトンのようなアセチルアセトンの金属塩およびアンモニウム塩、エチルアセトアセテートの金属塩、およびアセチルアセトンとエチルアセトアセテートが配位した金属塩を挙げることができる。
さらに、上記第1級〜第3級アミンとしては、脂肪族アミン、芳香族アミン、アミノシラン等が好ましい。その例としては、ポリメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビスヘキサメチレントリアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジメチルアミノプロピルアミン、アミノエチルエタノールアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、N−アミノメチルピペラジン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メタキシレンジアミン、テトラクロロパラキシレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4’−メチレンジアニリン、ジアミノジフェニルスルフォン、ベンジジン、トルイジン、ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−チオジアニリン、4,4’−ビス(o−トルイジン)ジアニシジン、o−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、メチレンビス(o−クロロアニリン)、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルフォン、2,6−ジアミノピリジン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、4−メトキシ−6−メチル−m−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、テトラメチルグアニジン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロパン、N,N’−ジメチルピペラジン、N,N’−ビス[(2−ヒドロキシ)プロピル]ピペラジン、N−メチルモルホリン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン、ピラジン、キノリン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチロール)フェノール、N−メチルピペラジン、ピロリジン、モルホリン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランおよびγ−アミノプロピルメチルジエトキシシランを挙げることができる。
硬化触媒は低反射層液の硬化後に残る重量の0.001〜10重量%の範囲で添加される。
上記バインダー成分であるケイ素化合物の加水分解に必要な水の添加量は、ケイ素化合物に対してモル比で0.1〜100が良い。水添加量がモル比で0.1より少ないと、ケイ素化合物の加水分解の促進が充分でなく、またモル比で100より多いと、液の安定性が低下する傾向になり好ましくない(ただしモル比はモノマー換算(オリゴマーの場合))。
上記溶媒は、実質的に上記ケイ素化合物を溶解すれば基本的に何でも良いが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピルセロソルブ類などのセロソルブ類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類が最も好ましい。上記溶媒に溶解させるケイ素化合物の濃度があまり高すぎると、分散させるシリカ微粒子の量も関係するが、膜中の上記微粒子の間に十分な空隙を生じさせることができなくなるので、20重量%以下とすることが好ましく、1〜20重量%の濃度が好ましい。
上記コーティング液を樹脂基材に塗布し、室温に置くかまたは加熱することにより、前記ケイ素属化合物加水分解物の脱水縮合反応、揮発成分の気化・燃焼が行われて、樹脂基材上に90nm〜350nmの平均厚みの低反射層が形成される。
また、低反射層の密着性、膜の強度、微粒子の固定能を上げるためには、バインダーとシリカ微粒子が2〜3次元重合し、その層が、基材あるいは下地層と相互作用することが必要となる。特開2001−278637号公報記載の発明では200℃以上の温度で上記2〜3次元重合を達成しているが、本発明では硬化触媒を選択することで低温(室温〜160℃)でも効率的に重合反応が生じることが特徴の一つである。
上記塗布の方法は、公知の技術を用いればよく、特に限定されないが、スピンコーター、ロールコーター、スプレーコーター、カーテンコーター等の装置を用いる方法や、浸漬引き上げ法(ディップコーティング法)、流し塗り法(フローコーティング法)などの方法や、スクリーン印刷、グラビア印刷、曲面印刷などの各種印刷法が用いられる。特に高沸点溶媒を必要とするようなコーティング方法、例えばフレキソ印刷やグラビア印刷などの印刷法では、グリコール類は有効な溶媒であり、理由は定かでないが、グリコール類は微粒子の凝集を抑制し、ヘイズの少ない低反射層を作製するには好都合な溶媒である。コーティング液中に含まれるグリコールの重量比率は5%以上80%以下で添加すると良い。
樹脂基材によっては、上記コーティング液をはじくなどして均一に塗布できない場合があるが、これは基材表面の洗浄や表面改質を行うことで改善できる。洗浄や表面改質の方法としては、アルコール、アセトン、ヘキサンなどの有機溶媒による脱脂洗浄、アルカリや酸による洗浄、研磨剤により表面を研磨する方法、超音波洗浄、紫外線照射処理、紫外線オゾン処理、プラズマ処理などが挙げられる。
塗布後の加熱処理は、シリカ微粒子およびバインダーからなる膜と樹脂基材の密着性を上げるのに有効な方法である。処理温度としては室温以上で樹脂基材が損なわれない温度、例えば室温〜160℃、加熱時間は数秒から数時間が好ましい。より好ましくは、70〜130℃で2分〜1時間である。
本発明の低反射層は樹脂基材の一方表面または両表面に形成される。樹脂基材の両表面が空気、気体のような屈折率が1に近い媒体に面して使用される場合は、この膜を樹脂基材の両表面に形成させる方が高い反射防止効果が得られる。
しかし、樹脂基材の一方表面が樹脂基材の屈折率に近い屈折率を有する媒体に面して使用される場合、例えば樹脂板と1枚のガラス板がその間にポリビニルブチラールのような透明樹脂層を介して接合される合わせ透明板では、樹脂板と透明樹脂層との界面での可視光反射は無視することができるので、低反射層は、透明樹脂層に面する樹脂板表面には形成させずに、樹脂板の外側表面のみに形成させるだけで十分である。
2.ハードコート層
ハードコート液は、シリコン−アクリル系紫外線硬化型ハードコート(ハードコート液a)と熱硬化型ハードコート液(ハードコート液b)が使用される。
熱硬化型ハードコート液(ハードコート液b)としては、下記(4)の(D)アルコキシシランおよび(E)コロイダルシリカを含有する。
(D)アルコキシシランは下記式(4)で表される。
R8 aR9 bSi(OR10)4−a−b (4)
ここで、R8は炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基もしくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数5〜8のメタクリロキシアルキル基、炭素原子数2〜10のウレイドアルキレン基、グリシジルオキシ基で置換されたアルキル基で片末端にアルキル基を有するアルキレングリコール基、芳香族ウレイドアルキレン基、芳香族アルキレン基またはメルカプトアルキレン基であり、R9は炭素原子数1〜6のアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基であり、R10は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アシル基またはアルキルアシル基であり、a=1、2または3であり、b=0、1または2であり、a+b=1,2または3である。
(E)コロイダルシリカとしては、5〜100nmの粒径を有するものが用いられる。
熱硬化型ハードコート液は(D)アルコキシシラン100重量部に対して(E)コロイダルシリカを5〜100重量部含有する。
前記ハードコート液bはさらに加水分解触媒、硬化触媒および溶媒を含有する。前記ハードコート液a、bは、後述のように防眩性を付与するために必要に応じ、0.05〜10μmの平均粒径を有する微粒子を含むことができる。
3.中間層
ハードコート層の接着性または低反射層の接着性向上のために中間層を設けることができる。中間層のための塗布液としては次のものが挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートの重合体および有機珪素化合物を含有する中間層塗布液であり、前記アルキル(メタ)アクリレートの重合体はアルキル(メタ)アクリレートのホモポリマーであり、前記有機珪素化合物は下記式(5)
R11 nSi(R12)4−n (5)
ここで、R11はメタクリロキシ基、アクリロキシ基、ビニル基、アリール基、アミノ基から選ばれる官能基を有する有機官能基であり、R12はアルコキシル基、アセトキシル基及び塩素から選ばれる1種もしくは複数の加水分解基であり、nは1,2または3で表される有機珪素化合物である。また、前記有機珪素化合物は(メタ)アクリル基を有するアルコキシシランである。
また、場合により前記アルキル(メタ)アクリレートの重合体に代えてアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル単量体とアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーを用いてもよい。アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル単量体の配合比はアルキル(メタ)アクリレートの重合体(またはコポリマー)100重量部に対して1〜70重量部であり、好ましくは2〜40重量部である。前記中間層塗布液は、溶媒および、さらに、一部または全部をアルキルエーテル化したメチロールメラミンを含有し、また場合により、紫外線吸収剤および塗布性改善のための界面活性剤の少なくとも一方を含有する。紫外線吸収剤を含有させることにより可視域での透過率を下げることなく紫外線透過率を低くすることができる。
4.防眩層
本発明で得られる低反射処理物品に防眩性を与えるために、0.05μm(50nm)〜10μmの平均粒径を有する微粒子をハードコート層または中間層に含有させることができる。
平均粒径0.05μm〜10μmの微粒子としては金属または無機化合物からなる微粒子が好ましく用いられる。その微粒子のより好ましい平均粒径は2〜10μmであり、さらに好ましい平均粒径は4〜8μmである。前記微粒子の添加により特にディスプレイ用途では、周囲の光の映り込みを低減でき画像表示が鮮明になる。
金属または無機化合物からなる前記防眩性付与微粒子の材質としては、例えばSi,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,In,Ti,Mgやその酸化物、それらの複合酸化物、あるいはCaCO3,BaSO4等を挙げることができる。これらは1種または2種以上組合せて使用することができる。これらのうち、SiO2が最も好ましい。
これらの防眩性付与微粒子は、溶媒への分散性を高めるため有機シラン化合物や、有機化合物で表面改質して用いることができる。有機シラン化合物としては、コロイダルシリカの表面改質のために例示した有機シラン化合物、とりわけ単官能シランが好ましく用いられる。
これらの防眩性付与微粒子は球状あるいは球状に近いほど好ましく、また中実粒子であっても多孔質粒子であってもよい。またその屈折率は前記微粒子を除いた残余のハードコート液の光硬化物の屈折率と同じか小さい方が好ましい。こうすることにより膜厚ムラによる干渉ムラが低減され易くなる。
5.基材樹脂およびその表面の親水化処理
樹脂基材は板、フィルム、シートを形成する合成樹脂製の基材であればよく、合成樹脂の種類などには限定がないが、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状オレフィン含有樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、スチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂等の透明な合成樹脂が好ましく用いられる。
合成樹脂の表面は親水化処理して被覆層の接着性を挙げる必要があるが、基本的に樹脂表面を親水化できる処理ならなんでも良い。例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理、オゾン水洗浄、有機過酸化物処理などの表面を酸化する処理が用いられる。この工程を行う事で密着性が特に改善できる。更に、表面の有機物汚れを除去できる。
目標とする樹脂の表面状態としては、水滴接触角を60°以下の状態にする必要があり、この状態をXPSで表面の元素組成を見ると、親水処理前に比べて酸素量が多く、その酸素は水酸基、カルボニル基、カルボキシル基の形で樹脂表面近傍にのみ導入されている。これらの官能基が被膜との結合部位となる事で、密着性の良好な被膜が形成できる。この時の樹脂表面での酸素と炭素比(O/C)が0.08以上であれば、さらに密着性が良好な被膜を形成可能である。
また、特殊な樹脂として、スチレン・メチルメタアクリレート共重合体樹脂がある。このスチレン・メチルメタアクリレート共重合体樹脂はポリスチレンの良成形性、低吸水率、高屈折率とポリメタクリル酸メチル(アクリル樹脂)の高透明性、耐候性、高硬度等両方の特徴を兼ね備えた樹脂である。スチレンとメチルメタクリレートの共重合比率
しかし、このスチレン・メチルメタアクリレート共重合体樹脂基材の表面処理をする場合は、スチレンの特性を含んでいるため、通常の表面処理液では被膜の付着性が得られないという欠点がある。
そこで、スチレン・メチルメタクリレート樹脂基材をベンジルアルコールのようなベンゼン環と水酸基を構造中に持つ溶媒を含む表面処理液を塗布することで、本発明の低反射層の被膜の付着性を良くすることができる。
このとき、熱硬化ハードコート層用の塗布液、UV硬化型ハードコート層用の塗布液、中間層用の塗布液、低反射層用の塗布液中にベンジルアルコールまたはそれに類似の構造をもつ物質を溶媒の一部または全部として、通常は溶媒への添加剤として含ませることが、硬化前の各層の密着性を保つために望ましい。
ベンジルアルコールまたはこれに類似の構造をもつ溶媒としては、ベンゼン環と水酸基を構造中に持つ物質が挙げられ、下記溶媒が挙げられる。
ベンジルアルコール、p−ニトロベンジルアルコール、p−ヒドロキシフェネチルアルコール、2−フェノキシエタノール、ジメチルベンジルカルビノール、β−フェニルエチルアルコール、フェノール、2−アミノ−4−クロロフェノール、アミノフェノール(o、m、p)、安息香酸、アントラニル酸、イソフタル酸、p−エチルフェノール、p−オキシ安息香酸メチル、p−オクチルフェノール、カテコール、キレノール酸、グアヤコール、グエトール、クレゾール、サリチル酸、2,6−ジクロロ−4−アミノフェノール、2,4−ジニトロフェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,3,5−トリメチルハイドロキノン、p−ヒドロキシ安息香酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸メチルエステル、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、ヒドロキシプロピオフェノン、ヒドロキシベンズアルデヒト、2−t−ブチルヒドロキノン、p−t−ブチルフェノール、フロログリシノール、レゾルシン、イソオイゲノール、エチルバニリン、オイゲノール、ケイ皮アルコール、サリチル酸メチル、テルピネオール、バニリン
また、前記ベンジルアルコールまたはこれに類似の構造をもつ溶媒量が、液全体の重量100重量部に対し、20重量部から0.01重量部の割合で含まれる表面処理液が、基材との付着性および表面処理液の安定性から望ましい。
また、上記基本組成に追加して、屈折率調整剤としてn=1.40以下の化合物を低反射層液に添加する。具体的にはシランカップリング剤等で表面処理されたフッ化ケイ素化合物あるいは未処理フッ化ケイ素化合物、あるいは溶媒中に分散されたフッ化ケイ素化合物を、低反射液の固形分100重量部に対し、フッ化ケイ素化合物の固形分の重量比率で0.1〜110重量部の比率で添加する。
他に屈折率調整剤として使用できるフッ素化合物は、MgF2(n=1.38)、Na2AlF6(n=1.38)、CaF2(n=1.20−1.30)である。
本発明の低反射樹脂物品を、例えば、自動車用途に使用する場合には、低反射層を被覆した樹脂基材は、更にその表面に撥水性被膜または防曇性被膜を被覆することができる。撥水性被膜を被覆することにより撥水性能が得られ、また汚れが付着した場合、更に汚れ除去性も改善できる。本発明の低反射層の上に撥水性被膜を被覆することにより得られる撥水性は、無処理の樹脂基材表面を同じ撥水剤で処理した場合に比して優れた撥水性を示す。また防曇性被膜を被覆することにより防曇性能が得られ、また汚れが付着した場合、汚れ除去性も改善できる。
樹脂基材の両表面に低反射層を被覆し、その上に撥水性被膜を被覆してもよく、樹脂基材の片側表面に低反射層を被覆し、低反射層および無処理樹脂基材表面の両方、またはその一方の上に撥水性被膜を被覆してもよい。
同様に樹脂基材の両表面に低反射層を被覆し、その上に防曇性被膜を被覆してもよく、樹脂基材の片側表面に低反射層を被覆し、低反射層および無処理の樹脂基材表面の両方またはその一方の上に防曇性被膜を被覆してもよい。
また、樹脂基材の両側表面に低反射層が被覆され、片側の前記膜の表面(車内側、屋内側)に防曇性被膜が被覆され、他方側の前記層膜面(車外側、屋外側)に撥水性被膜が被覆されていることが好ましく、また、樹脂基材の片側表面(車内側、屋内側)のみに低反射層が被覆され、前記膜の表面に防曇性被膜が被覆され、前記樹脂基材の他方側表面(車外側、屋外側)に、撥水性被膜が被覆されていることが好ましい。低反射層の上に、上記防曇性被膜、撥水性被膜が被覆されても、反射率はほとんど変化せず低い反射率が保たれる。
本発明の低反射樹脂物品は、透視性・視認性や車内反射像の映り込み防止が特に必要な自動車、鉄道などの車両の窓;建築用窓、ショーウインドウ、画像表示装置の前面樹脂基板、または光学樹脂部品;太陽熱温水器の前面樹脂基板;太陽電池パネルの前面樹脂基板、太陽電池基板用樹脂基板のような太陽電池用樹脂基板等に用いられる。
また、さらに、ディスプレイ(ノート型パソコン、モニター、PDP、PDA)の最表面、タッチパネルモニターの最表面、携帯電話窓、ピックアップレンズ、光学レンズ、眼鏡レンズ、光学フィルター、光学部品の端面、車両用透明部品(ヘッドライトカバー、窓)、車両用不透明部品(インスツルメントパネル表面)、メーターカバーなどに用いることができる。
また、本発明のコーティング液を樹脂基材に直接塗布しても低反射物品が得られるが、ガラス基材などの各種基材に本発明の低反射層を被覆した透明又は不透明の樹脂製のシート又はフィルムを貼り付けるなどして低反射物品を得ることもできる。
本発明の低反射処理物品の製造方法により、硬化時の重合効率が上がり、低温でも3次元的な重合ができ、磨耗強度が改善できる。また、一部有機物が残ることで可とう性が得られる。
また、加水分解可能なケイ素化合物をあらかじめオリゴマー化したバインダーを使用した場合には、微粒子共存下で加水分解することで、微粒子とバインダー、バインダー同士の絡まり、また更なる高分子化が進み、より硬化時の重合が効率的に行える。
更に、必要に応じ、前記低反射層液に界面活性剤あるいは加水分解したフッ化シラン、有機系の導電材料を添加した場合も、低温加熱による有機物分解を抑制でき、その特性を低下させることなく付与できる。
さらに目的に応じて、樹脂基材と低反射層の間に、両材料に接着可能な中間層や剛性・硬度に優れるハードコート層、あるいは防眩性を付与する防眩層を成膜し、低反射層の磨耗強度を更に改善することができる。
また、必要に応じて、樹脂基材表面を親水化処理し、基材表面に−COOH、−OH、>C=Oを導入した後で、上記処理を行うことで各種付着性が得られにくい基材に対しても適応できる。
本発明の基本構造は下記の通りである。
構造1:樹脂基材(シート・フィルムを含む)/低反射層
構造2:樹脂基材/中間層/低反射層
構造3:樹脂基材/ハードコート層/低反射層
構造4:樹脂基材/防眩層/低反射層
構造5:樹脂基材/中間層/ハードコート層又は防眩層/低反射層
構造6:樹脂基材/構造1〜5のいずれかの下地層/低反射層(含加水分解フッ化シラン)
構造7:樹脂基材/構造1〜5のいずれかの下地層/低反射層(含導電材料)
構造8:樹脂基材/構造1〜5のいずれかの下地層/低反射層/撥水層
構造1は、樹脂基材の表面に直接低反射層を設けている。
構造2は、樹脂基材の表面に中間層を設け、その上に低反射層を積層している。
中間層は、低反射層と同様の方法で塗布される。膜厚は、1〜10μmが好ましい。
構造3は樹脂基材と低反射層との間にハードコート層を設け、基材の剛性、表面硬度を改善し、更に低反射層との2〜3次元重合させることで膜強度を構造1、2より改善している。
ハードコート層は、低反射層と同様の方法で塗布できる。硬化は後述するが硬化触媒で調整でき、ハードコートaは活性エネルギー線による硬化、ハードコートbは熱硬化により、それぞれ得られる。ハードコート層の膜厚は、塗布目的に応じて0.1〜30μmが好ましく、0.1〜20μmがより好ましい。
構造4は、構造3のハードコート中に0.05〜20μmの金属または無機化合物の微粒子を添加し、塗布硬化したサンプルの構造は、シリカ微粒子の表面がバインダーで覆われており、膜の厚み方向の断面から見て、厚み方向に1つの微粒子が均一に存在するか、または2から5個の微粒子が積み重なっており、更にシリカ微粒子の直径の半分以上がハードコート(バインダー)中に埋まっている構造を有している。また、この構造4は構造3と同じ条件で成膜できる。
構造5は、構造2と3又は構造2と4を組み合わせたものである。
構造6、7は、低反射層液にフルオロシラン、又は導電性有機成分を添加したものである。
構造8は、低反射層表面に反応性、又は非反応性の官能基を有し、フッ素を構造中に含有した撥水層を積層したものである。
なお、上記構造6〜8の「構造1〜5のいずれかの下地層」とは構造1〜5の樹脂基材と低反射層の間にあるいずれかの層をいう。
以下各層の詳細を記載した。
1.低反射層
(1)平均粒子径40〜1000nmの非凝集シリカ微粒子、平均粒子径が10〜100nmの中空状非凝集シリカ微粒子および平均一次粒径が10〜100nmの鎖状凝集シリカ微粒子の少なくとも一種からなるシリカ微粒子、(2)加水分解可能なケイ素化合物、水、前記ケイ素化合物の加水分解触媒及び溶媒を含有するバインダー液を混合して反応させ、ついで(3)シラノール基の縮合を促進する硬化触媒を添加して得られる低反射層液を1〜5のいずれかの下地層上に被覆し、室温又は室温〜「基材が損なわれない温度」(熱可塑性樹脂では変形温度、硬化性樹脂では分解温度以下)で反応硬化させて、シリカ微粒子およびバインダーを固形分重量比で30:70〜95:5の割合でそれぞれ含有する低反射層を形成させる。
本発明において用いられる原料微粒子であるシリカ微粒子はいかなる製法で作られたものでも良く、ゾルゲル法によりシリコンアルコキシドをアンモニア等の塩基性触媒下で反応させて合成されたシリカ微粒子や、珪酸ソーダなどを原料としたコロイダルシリカ、気相で合成されるヒュームドシリカなどが例示される。
シリカ微粒子の粒径により、得られる低反射層の構造は大きく変化する。シリカ微粒子の粒径が小さ過ぎると、低反射層内の粒子間に生成する空孔の大きさが小さくなって毛管力が増し、付着した汚れが取れにくくなったり、空気中の水分や有機物が徐々に前記空孔に入り込むため膜の屈折率が変化し、反射率が経時的に上昇する。更に、膜内の空孔率が小さくなり見かけ上の屈折率が上昇する。
また、シリカ微粒子同士およびシリカ微粒子と樹脂基材との接着に用いられるバインダーの量は後述のようにその上限が定められているので、シリカ微粒子の粒径が小さ過ぎると、微粒子の表面積が相対的に大きくなり、その表面と反応するバインダー量が不足することになり、結果として膜の密着力が弱くなる。また、シリカ微粒子径(一次粒径)が小さ過ぎると、形成される膜表面の凹凸粗さの値または膜内部空隙率(シリカ微粒子の間の空間でバインダーが埋められていない空間の、膜体積に対する割合)は小さくなり見かけの屈折率は上昇する。
従って、(1)低反射層の汚れを取れやすくするために、(2)膜強度を高めるために、そして(3)見かけの屈折率を、低反射層が被覆される樹脂基材の屈折率(1.4〜1.8)の平方根値(約1.18〜1.34)に近くなるように下げるために、シリカ微粒子(屈折率約1.45)の一次粒径の平均値が40nm以上であることが望ましく、50nm以上であることがより好ましい。またシリカ微粒子の粒径が大きすぎると、光の散乱が激しくなり、また樹脂基材との密着性も弱くなる。
透視性が要求される用途、すなわち、ヘイズ率が低いこと、例えば1%以下のヘイズ率が望まれる用途、例えば車両、建築の窓では、シリカ微粒子の平均粒径は500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましい。最も好ましいシリカ微粒子の平均粒径は、50〜200nmであり、さらには70〜160nmが最も良い。
一方、透視性を必要とせず、しかもそれほど強い膜強度を必要としない用途、例えば、太陽電池用の樹脂基板では、反射率を下げることにより透過率を上げることが重要である。また、前記樹脂基板に近接して設けるシリコン膜内での太陽光の吸収効率を上げるためには、シリコン膜に入射した太陽光のシリコン膜中での光路長を長くすることが有利となる。
低反射層を通過する光は直進透過光と拡散透過光に分けることができ、直進透過光の量に対する拡散透過光の量が増大するとヘイズ率が増大する。全光線透過率が同一(従って反射率が同一)である低反射層で比較した場合、上記の光路長を長くするには、低反射層を通過した後の光のうち、拡散透過光の量が大きくなるような低反射層、すなわちヘイズ率が大きい低反射層、例えば10〜80%のヘイズ率を有する低反射層が好ましい。この大きなヘイズ率の低反射層には、100nm〜1000nmの平均粒径を有するシリカ微粒子を使用することが好ましい。
シリカ微粒子として微粒子内部に空間を保有する中空状シリカ微粒子を用いることによって、低反射層の品質をさらに高めることができる。シリカ微粒子が微粒子内部に空間を保有することによって、シリカ微粒子の屈折率を低下させることができて、屈折率を維持した状態で、低反射層内にシリカ微粒子を体積的に高い充填率で含有させることができる。そして、微粒子間の空隙が減少し、微粒子間の空隙によって引き起される低反射層が汚れる問題、低反射層に水分や有機物が入り込む問題が軽減でき、低反射層が緻密になることから、膜の強度も向上する。微粒子内に空間を保有することによって、中空状シリカ微粒子はその屈折率が低下するので、空間を保有しないシリカ微粒子に比して、粒径を細かくして充填率を高めることができる。中空状シリカ微粒子の好ましい粒径は10〜100nmである。
原料微粒子としてのシリカ微粒子の平均粒径は、1万倍〜5万倍の透過電子顕微鏡により、その平面的視野の中で実際に一次粒子(凝集して鎖状二次粒子を形成している場合は個々の一次粒子)の直径(長径および短径の平均値)を実測し、下記式による微粒子個数(n=100)の数平均した値dとして定義する。
従って、この測定値は、コロイダルシリカなどで表示されているBET法による粒子径とは異なる。シリカ微粒子の真球度は各微粒子の長軸長さと短軸長さの比を100個平均した値で表す。また、微粒子の粒度分布を表す、微粒子粒径の標準偏差は上記直径から下記の数式2および数式3により求める。なお各式においてn=100である。
シリカ微粒子は、分散媒に分散させたシリカ微粒子分散液が取り扱いやすく好適である。分散媒としては、水、アルコール類、セロソルブ類、グリコール類などがあり、これら分散媒に分散させたシリカ微粒子分散液が市販されている。また、シリカ微粒子粉末をこれら分散媒に分散させて使用しても良い。
微粒子が複数個凝集して凝集微粒子(二次微粒子)を形成する場合、その凝集微粒子を構成する個々の微粒子(一次微粒子)の平均粒径を平均一次粒径と定義する。
微粒子が枝分かれしない鎖状または枝分かれした鎖状に凝集した微粒子の集合体(鎖状凝集微粒子)であれば、膜形成時に各微粒子がその凝集状態を維持したまま固定されるので膜がかさ高くなり、形成される膜表面の凹凸粗さの値および膜内部空隙率は、その鎖状凝集微粒子の平均一次粒径と同一の平均粒径を有する非凝集シリカ微粒子の場合に比して、大きくなる。
従って、鎖状凝集シリカ微粒子としては、40nm未満の平均一次粒径を有するものであってもよく、10〜100nmの平均一次粒径を有する鎖状凝集シリカ微粒子が使用される。そして鎖状凝集シリカ微粒子は平均長さ(L)が60〜500nmであり、平均粒径(d)に対する平均長さ(L)の比(L/d)が3〜20であることが好ましい。また、シリカ微粒子の表面はバインダーで覆われており、膜の厚み方向の断面から見て、厚み方向に1つの微粒子が均一に存在するか、または2から5個の微粒子が積み重なっている。
バインダー原料となる加水分解可能なケイ素化合物としてはケイ化アルコキシドが膜の強度や化学的安定性などから好適である。ケイ化アルコキシドの中で、シリコンテトラアルコキシド、特にメトキシド、エトキシド、プロポキシドおよびブトキシドが好ましく用いられる。特にバインダー成分の含有量を多くした膜では、バインダー成分の屈折率が反射率に影響を与えることになるので、屈折率の小さいシリコンテトラアルコキシドのオリゴマーが最も好適である。前記オリゴマーを用いるためにはコーティング液(低反射液)をpH1〜5に調整することで行う。
また、バインダー成分はケイ化アルコキシドの中から複数混合したものを使用しても構わない。ケイ化アルコキシド以外でも、加水分解によりSi(OH)4の反応生成物が得られれば限定されず、例えば、ケイ素のハロゲン化物や、イソシアネート基、アシルオキシ基、アミノキシル基などを有するケイ素化合物が例示される。
本発明におけるバインダーの具体例としては、加水分解可能な下記(1)式で表される(A)アルコキシシランまたは下記(2)式で表される(B)シラン化合物、およびそのオリゴマーを1種類または複数種類含むことが望ましい。
前記加水分解可能なケイ素化合物としての(A)アルコキシシランは下記式(1)で表される。
R4O−((R4O)2−Si−O)n−R4 (1)
(ここで、R4は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、n=1〜20であり、縮合体の構造としては鎖状構造、分岐状構造、環状構造を含む)
また、前記(B)シラン化合物は(2)式で表される。
R1 aR2 bSi(OR3)4−a−b (2)
ここで、R1は炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基もしくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数5〜8のメタクリロキシアルキル基、炭素原子数2〜10のウレイドアルキレン基、グリシジルオキシ基で置換されたアルキル基で片末端にアルキル基を有するアルキレングリコール基、芳香族ウレイドアルキレン基、芳香族アルキレン基またはメルカプトアルキレン基であり、R2は炭素原子数1〜6のアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基であり、R3は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アシル基またはアルキルアシル基であり、a=1,2または3であり、b=0,1または2であり、a+bは1,2または3である。
上記(A)アルコキシシランまたは/および(B)シラン化合物に、さらに下記式(3)で表現される(C)フルオロアルキルシランを添加して使用することができる。
R5 cR6 dSi(OR7)4−c−d (3)
ここで、R5は炭素原子数1〜12のフッ化アルキル基であり、R6は炭素原子数1〜6のアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基であり、R7は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基またはアシル基であり、c=1,2または3であり、d=0,1または2である。但し、c+d=1,2または3である。
低反射層を形成するシリカ微粒子とバインダーの固形分重量比は30:70〜95:5の範囲である。バインダーの量がこの範囲よりも多いと、微粒子がバインダーに埋まり、微粒子による凹凸粗さ値または膜内の空隙率が小さくなるので反射防止効果が小さくなる。また、バインダー量がこれよりも少ないと、微粒子とガラス基材間及び微粒子間の密着力が低下し、膜の機械的強度が弱くなる。反射率と膜強度とのバランスを考えれば、シリカ微粒子とバインダーの固体分重量比は、より好ましくは50:50〜85:15である。バインダーはシリカ微粒子の全表面に被覆されていることが好ましく、その被覆厚みは1〜100nmでかつ前記シリカ微粒子の平均粒径の2〜9%であることが好ましい。
低反射層を形成するためのコーティング液の調製は、シリカ微粒子の存在下で加水分解可能なケイ素化合物の加水分解を行うことによりなされ、それにより得られる膜の機械的強度が格段に向上する。シリカ微粒子の存在下で前記ケイ素化合物を加水分解する本発明の場合には、加水分解により生じた生成物と微粒子表面に存在するシラノールとの縮合反応が加水分解とほぼ同時に起こり、従って(1)シリカ微粒子表面の反応性がバインダー成分との縮合反応により向上し、(2)さらにその縮合反応が進むことによりシリカ微粒子表面がバインダーで被覆されていくので、バインダーがシリカ微粒子と樹脂基材との接着性向上に有効に利用される。
他方、もしシリカ微粒子が存在しない状態で前記ケイ素化合物の加水分解を行うと、加水分解生成物同士での縮合反応によりバインダー成分は高分子化する。この高分子化したバインダー成分とシリカ微粒子を混合してコーティング液の調製を行った場合には、(1)バインダー成分とシリカ微粒子間の縮合反応はほとんど生じないので、シリカ微粒子表面の反応性は乏しく、そして(2)シリカ微粒子表面がほとんどバインダーで被覆されていない。従って、樹脂基材とシリカ微粒子との接着性をバインダーとシリカ微粒子の接着性と同様に高めようとすると、より多くのバインダー成分を必要とする。
本発明において、低反射層のためのコーティング液は、シリカ微粒子、加水分解可能なケイ素化合物、加水分解のための触媒、シラノール基の縮合を促進する硬化触媒、水および溶媒を混合して、加水分解させる。例えば室温で1時間〜24時間攪拌して反応させるか、室温よりも高い温度、例えば40℃〜80℃で10分〜50分攪拌して反応させることができる。得られたコーティング液は、その後コーティング方法に応じて適当な溶媒で希釈しても構わない。
加水分解の触媒としては、酸触媒が最も有効であり、塩酸や硝酸などの鉱酸や酢酸などが例示される。酸触媒では、加水分解可能なケイ素化合物、例えばケイ化アルコキシドの加水分解反応の速度に比して縮重合反応速度が小さく、加水分解反応生成物であるM(OH)nを多量に生成させて、これがバインダーとして有効に作用するので好ましい。塩基性触媒では、加水分解反応の速度に比して縮重合反応速度が大きいので、金属アルコキシドは微粒子状の反応生成物となったり、もともと存在しているシリカ微粒子の粒径成長に使用され、その結果、金属アルコキシドのバインダーとしての作用が小さくなる。触媒の含有量はバインダーとなるケイ素化合物に対してモル比で0.001〜4であることが好ましい。
本発明のバインダー成分であるケイ素化合物の硬化時の反応は、部分的に加水分解したシラン化合物のシラノール基同士の縮合反応(シリカ微粒子表面のシラノール基も関与する)が主であり、縮合反応することで硬化し、塗膜としても緻密性が上がり、外部からの応力に対して強度が上がる。この反応を効率的に促進させるのが硬化触媒である。
前記シラノール基の縮合を促進させる硬化触媒としては、例えばキレート化合物、脂肪酸塩、第1級〜第3級アミン、ポリアルキレンアミン、スルフォン酸塩、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸アンモニウム等を挙げることができる。またこれらの化合物と有機メルカプタンやメルカプトアルキレンシランを併用することもできる。
キレート化合物としては、中心金属が例えばAl、Zr、Co、Zn、Sn、Mn、V、Cu、Ce、Cr、Ru、Ga、Cd、Feであり、配位化合物が例えばアセチルアセトン、ジ−n−ブトキシド−モノ−エチルアセテート、ジ−n−ブトキシド−モノ−メチルアセテート、メチルエチルケトオキシム、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、アセトオキシムを挙げることができる。
また、脂肪酸塩としては、例えば2−エチル−ヘキシル酸、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、酢酸、セバシン酸、ドデカン二酸、プロピオン酸、ブラシル酸、イソブチル酸、シトラコン酸、ジエチレンアミン四酢酸などのような脂肪酸の金属塩を挙げることができる。
これらのキレート化合物および脂肪酸塩のより具体的化合物としては、例えば酢酸ナトリウムのようなカルボン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、アルミニウムアセチルアセトンのようなアセチルアセトンの金属塩およびアンモニウム塩、エチルアセトアセテートの金属塩、およびアセチルアセトンとエチルアセトアセテートが配位した金属塩を挙げることができる。
さらに、上記第1級〜第3級アミンとしては、脂肪族アミン、芳香族アミン、アミノシラン等が好ましい。その例としては、ポリメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビスヘキサメチレントリアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジメチルアミノプロピルアミン、アミノエチルエタノールアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、N−アミノメチルピペラジン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メタキシレンジアミン、テトラクロロパラキシレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4’−メチレンジアニリン、ジアミノジフェニルスルフォン、ベンジジン、トルイジン、ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−チオジアニリン、4,4’−ビス(o−トルイジン)ジアニシジン、o−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、メチレンビス(o−クロロアニリン)、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルフォン、2,6−ジアミノピリジン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、4−メトキシ−6−メチル−m−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、テトラメチルグアニジン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロパン、N,N’−ジメチルピペラジン、N,N’−ビス[(2−ヒドロキシ)プロピル]ピペラジン、N−メチルモルホリン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン、ピラジン、キノリン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチロール)フェノール、N−メチルピペラジン、ピロリジン、モルホリン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランおよびγ−アミノプロピルメチルジエトキシシランを挙げることができる。
硬化触媒は低反射層液の硬化後に残る重量の0.001〜10重量%の範囲で添加される。
上記バインダー成分であるケイ素化合物の加水分解に必要な水の添加量は、ケイ素化合物に対してモル比で0.1〜100が良い。水添加量がモル比で0.1より少ないと、ケイ素化合物の加水分解の促進が充分でなく、またモル比で100より多いと、液の安定性が低下する傾向になり好ましくない(ただしモル比はモノマー換算(オリゴマーの場合))。
上記溶媒は、実質的に上記ケイ素化合物を溶解すれば基本的に何でも良いが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピルセロソルブ類などのセロソルブ類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類が最も好ましい。上記溶媒に溶解させるケイ素化合物の濃度があまり高すぎると、分散させるシリカ微粒子の量も関係するが、膜中の上記微粒子の間に十分な空隙を生じさせることができなくなるので、20重量%以下とすることが好ましく、1〜20重量%の濃度が好ましい。
上記コーティング液を樹脂基材に塗布し、室温に置くかまたは加熱することにより、前記ケイ素属化合物加水分解物の脱水縮合反応、揮発成分の気化・燃焼が行われて、樹脂基材上に90nm〜350nmの平均厚みの低反射層が形成される。
また、低反射層の密着性、膜の強度、微粒子の固定能を上げるためには、バインダーとシリカ微粒子が2〜3次元重合し、その層が、基材あるいは下地層と相互作用することが必要となる。特開2001−278637号公報記載の発明では200℃以上の温度で上記2〜3次元重合を達成しているが、本発明では硬化触媒を選択することで低温(室温〜160℃)でも効率的に重合反応が生じることが特徴の一つである。
上記塗布の方法は、公知の技術を用いればよく、特に限定されないが、スピンコーター、ロールコーター、スプレーコーター、カーテンコーター等の装置を用いる方法や、浸漬引き上げ法(ディップコーティング法)、流し塗り法(フローコーティング法)などの方法や、スクリーン印刷、グラビア印刷、曲面印刷などの各種印刷法が用いられる。特に高沸点溶媒を必要とするようなコーティング方法、例えばフレキソ印刷やグラビア印刷などの印刷法では、グリコール類は有効な溶媒であり、理由は定かでないが、グリコール類は微粒子の凝集を抑制し、ヘイズの少ない低反射層を作製するには好都合な溶媒である。コーティング液中に含まれるグリコールの重量比率は5%以上80%以下で添加すると良い。
樹脂基材によっては、上記コーティング液をはじくなどして均一に塗布できない場合があるが、これは基材表面の洗浄や表面改質を行うことで改善できる。洗浄や表面改質の方法としては、アルコール、アセトン、ヘキサンなどの有機溶媒による脱脂洗浄、アルカリや酸による洗浄、研磨剤により表面を研磨する方法、超音波洗浄、紫外線照射処理、紫外線オゾン処理、プラズマ処理などが挙げられる。
塗布後の加熱処理は、シリカ微粒子およびバインダーからなる膜と樹脂基材の密着性を上げるのに有効な方法である。処理温度としては室温以上で樹脂基材が損なわれない温度、例えば室温〜160℃、加熱時間は数秒から数時間が好ましい。より好ましくは、70〜130℃で2分〜1時間である。
本発明の低反射層は樹脂基材の一方表面または両表面に形成される。樹脂基材の両表面が空気、気体のような屈折率が1に近い媒体に面して使用される場合は、この膜を樹脂基材の両表面に形成させる方が高い反射防止効果が得られる。
しかし、樹脂基材の一方表面が樹脂基材の屈折率に近い屈折率を有する媒体に面して使用される場合、例えば樹脂板と1枚のガラス板がその間にポリビニルブチラールのような透明樹脂層を介して接合される合わせ透明板では、樹脂板と透明樹脂層との界面での可視光反射は無視することができるので、低反射層は、透明樹脂層に面する樹脂板表面には形成させずに、樹脂板の外側表面のみに形成させるだけで十分である。
2.ハードコート層
ハードコート液は、シリコン−アクリル系紫外線硬化型ハードコート(ハードコート液a)と熱硬化型ハードコート液(ハードコート液b)が使用される。
熱硬化型ハードコート液(ハードコート液b)としては、下記(4)の(D)アルコキシシランおよび(E)コロイダルシリカを含有する。
(D)アルコキシシランは下記式(4)で表される。
R8 aR9 bSi(OR10)4−a−b (4)
ここで、R8は炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基もしくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数5〜8のメタクリロキシアルキル基、炭素原子数2〜10のウレイドアルキレン基、グリシジルオキシ基で置換されたアルキル基で片末端にアルキル基を有するアルキレングリコール基、芳香族ウレイドアルキレン基、芳香族アルキレン基またはメルカプトアルキレン基であり、R9は炭素原子数1〜6のアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基であり、R10は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アシル基またはアルキルアシル基であり、a=1、2または3であり、b=0、1または2であり、a+b=1,2または3である。
(E)コロイダルシリカとしては、5〜100nmの粒径を有するものが用いられる。
熱硬化型ハードコート液は(D)アルコキシシラン100重量部に対して(E)コロイダルシリカを5〜100重量部含有する。
前記ハードコート液bはさらに加水分解触媒、硬化触媒および溶媒を含有する。前記ハードコート液a、bは、後述のように防眩性を付与するために必要に応じ、0.05〜10μmの平均粒径を有する微粒子を含むことができる。
3.中間層
ハードコート層の接着性または低反射層の接着性向上のために中間層を設けることができる。中間層のための塗布液としては次のものが挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートの重合体および有機珪素化合物を含有する中間層塗布液であり、前記アルキル(メタ)アクリレートの重合体はアルキル(メタ)アクリレートのホモポリマーであり、前記有機珪素化合物は下記式(5)
R11 nSi(R12)4−n (5)
ここで、R11はメタクリロキシ基、アクリロキシ基、ビニル基、アリール基、アミノ基から選ばれる官能基を有する有機官能基であり、R12はアルコキシル基、アセトキシル基及び塩素から選ばれる1種もしくは複数の加水分解基であり、nは1,2または3で表される有機珪素化合物である。また、前記有機珪素化合物は(メタ)アクリル基を有するアルコキシシランである。
また、場合により前記アルキル(メタ)アクリレートの重合体に代えてアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル単量体とアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーを用いてもよい。アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル単量体の配合比はアルキル(メタ)アクリレートの重合体(またはコポリマー)100重量部に対して1〜70重量部であり、好ましくは2〜40重量部である。前記中間層塗布液は、溶媒および、さらに、一部または全部をアルキルエーテル化したメチロールメラミンを含有し、また場合により、紫外線吸収剤および塗布性改善のための界面活性剤の少なくとも一方を含有する。紫外線吸収剤を含有させることにより可視域での透過率を下げることなく紫外線透過率を低くすることができる。
4.防眩層
本発明で得られる低反射処理物品に防眩性を与えるために、0.05μm(50nm)〜10μmの平均粒径を有する微粒子をハードコート層または中間層に含有させることができる。
平均粒径0.05μm〜10μmの微粒子としては金属または無機化合物からなる微粒子が好ましく用いられる。その微粒子のより好ましい平均粒径は2〜10μmであり、さらに好ましい平均粒径は4〜8μmである。前記微粒子の添加により特にディスプレイ用途では、周囲の光の映り込みを低減でき画像表示が鮮明になる。
金属または無機化合物からなる前記防眩性付与微粒子の材質としては、例えばSi,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,In,Ti,Mgやその酸化物、それらの複合酸化物、あるいはCaCO3,BaSO4等を挙げることができる。これらは1種または2種以上組合せて使用することができる。これらのうち、SiO2が最も好ましい。
これらの防眩性付与微粒子は、溶媒への分散性を高めるため有機シラン化合物や、有機化合物で表面改質して用いることができる。有機シラン化合物としては、コロイダルシリカの表面改質のために例示した有機シラン化合物、とりわけ単官能シランが好ましく用いられる。
これらの防眩性付与微粒子は球状あるいは球状に近いほど好ましく、また中実粒子であっても多孔質粒子であってもよい。またその屈折率は前記微粒子を除いた残余のハードコート液の光硬化物の屈折率と同じか小さい方が好ましい。こうすることにより膜厚ムラによる干渉ムラが低減され易くなる。
5.基材樹脂およびその表面の親水化処理
樹脂基材は板、フィルム、シートを形成する合成樹脂製の基材であればよく、合成樹脂の種類などには限定がないが、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状オレフィン含有樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、スチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂等の透明な合成樹脂が好ましく用いられる。
合成樹脂の表面は親水化処理して被覆層の接着性を挙げる必要があるが、基本的に樹脂表面を親水化できる処理ならなんでも良い。例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理、オゾン水洗浄、有機過酸化物処理などの表面を酸化する処理が用いられる。この工程を行う事で密着性が特に改善できる。更に、表面の有機物汚れを除去できる。
目標とする樹脂の表面状態としては、水滴接触角を60°以下の状態にする必要があり、この状態をXPSで表面の元素組成を見ると、親水処理前に比べて酸素量が多く、その酸素は水酸基、カルボニル基、カルボキシル基の形で樹脂表面近傍にのみ導入されている。これらの官能基が被膜との結合部位となる事で、密着性の良好な被膜が形成できる。この時の樹脂表面での酸素と炭素比(O/C)が0.08以上であれば、さらに密着性が良好な被膜を形成可能である。
また、特殊な樹脂として、スチレン・メチルメタアクリレート共重合体樹脂がある。このスチレン・メチルメタアクリレート共重合体樹脂はポリスチレンの良成形性、低吸水率、高屈折率とポリメタクリル酸メチル(アクリル樹脂)の高透明性、耐候性、高硬度等両方の特徴を兼ね備えた樹脂である。スチレンとメチルメタクリレートの共重合比率
しかし、このスチレン・メチルメタアクリレート共重合体樹脂基材の表面処理をする場合は、スチレンの特性を含んでいるため、通常の表面処理液では被膜の付着性が得られないという欠点がある。
そこで、スチレン・メチルメタクリレート樹脂基材をベンジルアルコールのようなベンゼン環と水酸基を構造中に持つ溶媒を含む表面処理液を塗布することで、本発明の低反射層の被膜の付着性を良くすることができる。
このとき、熱硬化ハードコート層用の塗布液、UV硬化型ハードコート層用の塗布液、中間層用の塗布液、低反射層用の塗布液中にベンジルアルコールまたはそれに類似の構造をもつ物質を溶媒の一部または全部として、通常は溶媒への添加剤として含ませることが、硬化前の各層の密着性を保つために望ましい。
ベンジルアルコールまたはこれに類似の構造をもつ溶媒としては、ベンゼン環と水酸基を構造中に持つ物質が挙げられ、下記溶媒が挙げられる。
ベンジルアルコール、p−ニトロベンジルアルコール、p−ヒドロキシフェネチルアルコール、2−フェノキシエタノール、ジメチルベンジルカルビノール、β−フェニルエチルアルコール、フェノール、2−アミノ−4−クロロフェノール、アミノフェノール(o、m、p)、安息香酸、アントラニル酸、イソフタル酸、p−エチルフェノール、p−オキシ安息香酸メチル、p−オクチルフェノール、カテコール、キレノール酸、グアヤコール、グエトール、クレゾール、サリチル酸、2,6−ジクロロ−4−アミノフェノール、2,4−ジニトロフェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,3,5−トリメチルハイドロキノン、p−ヒドロキシ安息香酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸メチルエステル、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、ヒドロキシプロピオフェノン、ヒドロキシベンズアルデヒト、2−t−ブチルヒドロキノン、p−t−ブチルフェノール、フロログリシノール、レゾルシン、イソオイゲノール、エチルバニリン、オイゲノール、ケイ皮アルコール、サリチル酸メチル、テルピネオール、バニリン
また、前記ベンジルアルコールまたはこれに類似の構造をもつ溶媒量が、液全体の重量100重量部に対し、20重量部から0.01重量部の割合で含まれる表面処理液が、基材との付着性および表面処理液の安定性から望ましい。
また、上記基本組成に追加して、屈折率調整剤としてn=1.40以下の化合物を低反射層液に添加する。具体的にはシランカップリング剤等で表面処理されたフッ化ケイ素化合物あるいは未処理フッ化ケイ素化合物、あるいは溶媒中に分散されたフッ化ケイ素化合物を、低反射液の固形分100重量部に対し、フッ化ケイ素化合物の固形分の重量比率で0.1〜110重量部の比率で添加する。
他に屈折率調整剤として使用できるフッ素化合物は、MgF2(n=1.38)、Na2AlF6(n=1.38)、CaF2(n=1.20−1.30)である。
本発明の低反射樹脂物品を、例えば、自動車用途に使用する場合には、低反射層を被覆した樹脂基材は、更にその表面に撥水性被膜または防曇性被膜を被覆することができる。撥水性被膜を被覆することにより撥水性能が得られ、また汚れが付着した場合、更に汚れ除去性も改善できる。本発明の低反射層の上に撥水性被膜を被覆することにより得られる撥水性は、無処理の樹脂基材表面を同じ撥水剤で処理した場合に比して優れた撥水性を示す。また防曇性被膜を被覆することにより防曇性能が得られ、また汚れが付着した場合、汚れ除去性も改善できる。
樹脂基材の両表面に低反射層を被覆し、その上に撥水性被膜を被覆してもよく、樹脂基材の片側表面に低反射層を被覆し、低反射層および無処理樹脂基材表面の両方、またはその一方の上に撥水性被膜を被覆してもよい。
同様に樹脂基材の両表面に低反射層を被覆し、その上に防曇性被膜を被覆してもよく、樹脂基材の片側表面に低反射層を被覆し、低反射層および無処理の樹脂基材表面の両方またはその一方の上に防曇性被膜を被覆してもよい。
また、樹脂基材の両側表面に低反射層が被覆され、片側の前記膜の表面(車内側、屋内側)に防曇性被膜が被覆され、他方側の前記層膜面(車外側、屋外側)に撥水性被膜が被覆されていることが好ましく、また、樹脂基材の片側表面(車内側、屋内側)のみに低反射層が被覆され、前記膜の表面に防曇性被膜が被覆され、前記樹脂基材の他方側表面(車外側、屋外側)に、撥水性被膜が被覆されていることが好ましい。低反射層の上に、上記防曇性被膜、撥水性被膜が被覆されても、反射率はほとんど変化せず低い反射率が保たれる。
本発明の低反射樹脂物品は、透視性・視認性や車内反射像の映り込み防止が特に必要な自動車、鉄道などの車両の窓;建築用窓、ショーウインドウ、画像表示装置の前面樹脂基板、または光学樹脂部品;太陽熱温水器の前面樹脂基板;太陽電池パネルの前面樹脂基板、太陽電池基板用樹脂基板のような太陽電池用樹脂基板等に用いられる。
また、さらに、ディスプレイ(ノート型パソコン、モニター、PDP、PDA)の最表面、タッチパネルモニターの最表面、携帯電話窓、ピックアップレンズ、光学レンズ、眼鏡レンズ、光学フィルター、光学部品の端面、車両用透明部品(ヘッドライトカバー、窓)、車両用不透明部品(インスツルメントパネル表面)、メーターカバーなどに用いることができる。
また、本発明のコーティング液を樹脂基材に直接塗布しても低反射物品が得られるが、ガラス基材などの各種基材に本発明の低反射層を被覆した透明又は不透明の樹脂製のシート又はフィルムを貼り付けるなどして低反射物品を得ることもできる。
以下、本発明の各実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されることはない。以下の実施例及び比較例において、光学特性はJIS−R3106により、下記の方法により付着性試験、耐擦傷性、接触角、光学特性(可視光線反射率、可視光線透過率、350nmの透過率、ヘイズ率)を調べた。
(a)付着性試験:
碁盤目試験JIS K5400に準拠して行った。すなわち、ニチバン(株)製のセロハンテープを被膜上に貼り付けた後に、勢い良く引き剥がす方法で、耐湿試験前(初期)と耐湿試験(50℃、95%RHの槽内に10日間)後の被膜の密着性(易接着性)および耐透湿性を評価し、ハードコート被膜の100個のます目のうち剥がれたます目の数によって次の基準で判定した。
剥がれたます目の数 0−−−−−−「剥離なし」
剥がれたます目の数 1〜5−−−−「極一部で剥離」
剥がれたます目の数 6〜50−−−「部分的に剥離」
剥がれたます目の数 51〜99−−「剥離大」
剥がれたます目の数 100−−−−「全面剥離」
(b)耐擦傷性(キズ付き性):
綿布を250/cm2荷重で10回往復して試料の表面を擦って、キズ付きかたを目視で判定した。判定基準は以下の4段階で行った。
1…基材まで傷が達しており、透過光で多数の傷が見える。
2…反射光で5本以上の傷があり、透過光で見ても傷が数本見える。
3…反射光で低反射層を見た場合に5本以上傷が見える。
4…反射光で数本傷が見える。
5…傷が全く見えない。
(c)接触角測定:0.1ccの純水滴との接触角を測定した。接触角が大きいほど防汚性が高いことを表している。
(d)光学特性測定:JIS R3212に準拠して可視光線反射率(%)及び透過率(%)を測定し、JIS K7105−1981に準拠して350nmの波長光の透過率(%)及びヘイズ値(曇価)を測定した。
1.UV硬化型ハードコート液の処理
1−1 UV硬化型ハードコート液1
入手可能な紫外線硬化型ハードコート液として、MP−1175UV(SDC Coatigs.Inc.製)を入手し、テストを実施した。
上記ハードコート液を、硬化後の膜厚が3〜5μmになるように、スピナー法により塗布し、その後、120W/cmの出力の紫外線ランプにより、総紫外線照射エネルギーが 約800(mJ/cm2)になるように約10秒間照射し、塗布膜を硬化した。
硬化後の膜厚は表面粗さ計(サーフコム110B/株式会社東京精密製)で測定した。総紫外線照射エネルギー値は積算光量計(型式:UIT−102 ウシオ電機株式会社製)で測定した。
1−2 UV硬化型ハードコート液2(防眩性付与)
MP−1175UV(SDC Coatigs.Inc.製)100gに平均粒子径が6μmのシリカ微粒子を0.8g添加し、撹拌し均質に分散させた。
バーコーターで、硬化時の膜厚が4μmになるように塗布し、120W/cmの出力の紫外線ランプにより、総紫外線照射エネルギーが300(mJ/cm2)になるように約10秒間照射し、塗布膜を硬化した。
2.熱硬化型ハードコート液の処理
2−1.熱硬化型ハードコート液1
シリカ微粒子分散液(平均粒子径50nm、粒径の標準偏差1.4、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分20%、日産化学工業(株)製スノーテックスOL)150g、メチルトリメトキシシラン183gを反応させた後、イソプロピルアルコール508g、n−ブタノール140g、酢酸18g、酢酸ナトリウム1gを添加し、撹拌させ均一にした後、塗膜の外観改善(レベリング)剤であるペインタッド32(ダウ・コーニング・アジア社製)を0.1g添加し、撹拌させ熱硬化型のハードコート液1を得た。
2−2.熱硬化型ハードコート液2(熱硬化型ハードコート液へのベンジルアルコールの添加)
シリカ微粒子分散液(平均粒子径50nm、粒径の標準偏差1.4、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分20%、日産化学工業(株)製スノーテックスOL)150g、メチルトリメトキシシラン183gを反応させた後、イソプロピルアルコール508g、ノルマルブタノール140g、酢酸18g、酢酸ナトリウム1gを添加し、撹拌させ均一にした後、前記ペインタッド32(ダウ・コーニング・アジア社製)を0.1g添加して撹拌させ、その後ベンジルアルコールを10g添加(液重量に対して5重量%)して撹拌させ熱硬化型のハードコート液を得た。
3.中間層液の処理
3−1.中間層液1
エチルセロソルブ400g、メタクリル酸エチル160g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン40gの混合物を、窒素雰囲気下で75℃に保ちつつ、ベンゾイルパーオキサイド1gを加え、エチルセロソルブ200gに溶かした溶液を2時間かけて加え、さらに6時間、75℃に保つ。その後、エチルセロソルブ1400g、過塩素酸アンモニウムの10%の水溶液を2g、紫外線吸収剤として2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン100g、塗膜の外観改善(レベリング)剤であるペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を0.2g添加し、撹拌させて熱硬化型の中間層液を得た。
3−2.中間層液2(中間層液へのベンジルアルコールの添加)
エチルセロソルブ400g、メタクリル酸エチル160g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン40gの混合物を、窒素雰囲気下で75℃に保ちつつ、ベンゾイルパーオキサイド1gを加え、エチルセロソルブ200gに溶かした溶液を2時間かけて加え、さらに6時間、75℃に保つ。その後、エチルセロソルブ1400g、過塩素酸アンモニウムの10%の水溶液を2g、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン100g、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を0.2g添加し撹拌させ、その後ベンジルアルコールを200g添加して撹拌させ、熱硬化型の中間層液を得た。
4.低反射層液の処理
4−1.低反射層液1
シリカ微粒子分散液(平均粒子径50nm、粒径の標準偏差1.4、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分20%、日産化学工業(株)製スノーテックスOL)38gを撹拌しながら、水12g、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシラン8.7gを添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置して反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒として酢酸ナトリウムを添加し、撹拌して液を均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液1を得た。
4−2.低反射層液2
シリカ微粒子分散液(平均粒子径50nm、粒径の標準偏差1.4、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分20%、日産化学工業(株)製スノーテックスOL)38gを撹拌しながら、水12g、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート40」(平均重合度n=5、コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒として酢酸ナトリウムを添加し、撹拌して液を均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液2を得た。
4−3.低反射層液3
シリカ微粒子分散液(平均粒子径70nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分40%、日産化学工業(株)製スノーテックスYL)19gを撹拌しながら、水31g、エチルセロソルブ20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート48」(平均重合度n=8、コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒として酢酸ナトリウムを添加し、撹拌し均一にする。その後、導電性界面活性剤としてFZ−2105(日本ユニカー(株)製)を4g添加し、低反射層液3を得た。
4−4.低反射層液4
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート48」(平均重合度n=8、コルコート(株)製)5.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒として酢酸ナトリウムを添加し、撹拌し均一にする。その後、導電性界面活性剤としてFZ−2105(日本ユニカー(株)製)を4g添加し、低反射層液4を得た。
4−5.低反射層液5
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃硝酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート40」(コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液5を得た。
4−6.低反射層液6
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート40」(コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、撥水付与成分としてパーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン1.1gを添加し、2時間撹拌し、その後24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液6を得た。
4−7.低反射層液7
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)40gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラメトキシシランとテトラエトキシシランの共重合オリゴマー(EMS−485、平均重合度n=8、シリケートの官能基がメトキシ基50%、エトキシ基50%の複合になっている。コルコート(株)製)11g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液7を得た。
4−8.低反射層液8
中空シリカ分散ゾル(平均粒子径33nm、固形分20%、触媒化成工業(株)製ELCOM V−8203)35gを攪拌しながら、水6gを添加し、次いでテトラメトキシシランのオリゴマー「MSH4」(不揮発成分21%、三菱化学(株)製)73gを添加し、1時間攪拌させた後、24時間静置して反応させた。その後、イソプロピルアルコール840gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、攪拌して液を均一にし、低反射層液8を得た。
4−9.低反射層液9
中空シリカ分散ゾル(平均粒子径33nm、固形分20%、触媒化成工業(株)製ELCOM V−8203)65gを攪拌しながら、水3gを添加し、次いでテトラメトキシシランのオリゴマー「MSH4」(不揮発成分21g、三菱化学(株)製)36gを添加し、1時間攪拌させた後、24時間静置して反応させた。その後、イソプロピルアルコール840gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、攪拌して液を均一にし、低反射層液9を得た。
4−10.低反射層10
鎖状凝集シリカ微粒子分散液(平均一次粒子径25nm、平均長さ100nm、固形分15%、日産化学工業(株)製 スノーテックスOUP)56gを撹拌しながら、エタノール20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシラン5.2g添加し、2時間撹拌させた後24時間静置し反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液10を得た。
4−11.低反射層液11(モノマー+硬化触媒なし)
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃硝酸1gを添加し、次いで、エチルシリケート28(テトラエトキシシランの商品名/コルコート(株)製)8.6g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液11を得た。
4−12.低反射層液12(低反射層液5へのベンジルアルコールの添加)
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃硝酸1gを添加し、次いで、エチルシリケート40(コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、その後ベンジルアルコールを2.4g添加し、撹拌させ、低反射層液12を得た。
4−13.低反射層液13(低反射層液8の変形)
鎖状凝集シリカ微粒子分散液(平均一次粒子径25nm、平均長さ100nm、
固形分15%、日産化学工業(株)製 スノーテックスOUP)56gを撹拌しながら、エタノール20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシラン5.2g添加し、2時間撹拌させた後、その後24時間静置し、反応させた。その後、膜の屈折率を減少させるための粉末状のフッ化カルシウム5.0gを添加し、均一分散させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し希釈した後、硬化触媒として過塩素酸マグネシウムを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液13を得た。
4−14.低反射層液14(低反射層液8の変形)
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃硝酸1gを添加し、次いで、エチルシリケート40(コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、膜の屈折率を減少させるための粉末状のフッ化カルシウム10.0gを添加し、均一分散させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し希釈した後、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液14を得た。
前記低反射層液1〜14をスピンコートにより塗布し、所定時間80〜120℃で15分〜30分間加熱させ、得られた低反射層(膜厚110nm)の反射率を測定した。
5.撥水処理液
パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン1gにプロピレングリコールモノメチルエーテルを99g添加し、撹拌させながら、純水を0.5g添加し、更に酢酸を1g添加し、液が透明になるまで撹拌させた。その後、エタノールを900g添加し、撹拌させ、撥水処理液を作製した。
処理方法は、綿布に数ミリリットル染み込ませ、その布で表面に擦り込み、余剰分を除去することで撥水処理面を得た。
6.用いた樹脂基材
(1)ポリメチルメタクリレート(PMMA)(商品名:アクリライト 三菱レイヨン(株)製 可視光線透過率=92.5% 可視光線反射率=7.0%)
(2)ポリカーボネート(PC)(商品名:ポリカエース 品番:ECK−100 筒中プラスチック工業(株)製 可視光線透過率=88% 可視光線反射率=8.3%)
(3)シクロオレフィンポリマー(COP)(商品名:ZEONOR 品番:1600 日本ゼオン(株)製 可視光線透過率=92% 可視光線反射率=7.5%)なお、COPについて次のような親水化処理を行った。信光電気計装(株)製のコロナ放電表面改質装置「コロナマスター」PS−1M型を用いて出力が最高約14000ボルトの可変電圧、約15kHzの周波数のコロナ放電処理を毎秒20mmの速度で実施した。COP基材表面の水滴接触角は親水化処理前では90度であったが、処理後の表面の水滴接触角は45度であった。
(4)スチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂(商標名:MS600,新日鐵化学(株)製)
上記の低反射層液1〜14、熱硬化型ハードコート液1〜2および中間層液1〜2の塗布後の加熱の温度および時間は使用する樹脂基材の種類に応じて次の表1に記載の通りに設定した。
(a)付着性試験:
碁盤目試験JIS K5400に準拠して行った。すなわち、ニチバン(株)製のセロハンテープを被膜上に貼り付けた後に、勢い良く引き剥がす方法で、耐湿試験前(初期)と耐湿試験(50℃、95%RHの槽内に10日間)後の被膜の密着性(易接着性)および耐透湿性を評価し、ハードコート被膜の100個のます目のうち剥がれたます目の数によって次の基準で判定した。
剥がれたます目の数 0−−−−−−「剥離なし」
剥がれたます目の数 1〜5−−−−「極一部で剥離」
剥がれたます目の数 6〜50−−−「部分的に剥離」
剥がれたます目の数 51〜99−−「剥離大」
剥がれたます目の数 100−−−−「全面剥離」
(b)耐擦傷性(キズ付き性):
綿布を250/cm2荷重で10回往復して試料の表面を擦って、キズ付きかたを目視で判定した。判定基準は以下の4段階で行った。
1…基材まで傷が達しており、透過光で多数の傷が見える。
2…反射光で5本以上の傷があり、透過光で見ても傷が数本見える。
3…反射光で低反射層を見た場合に5本以上傷が見える。
4…反射光で数本傷が見える。
5…傷が全く見えない。
(c)接触角測定:0.1ccの純水滴との接触角を測定した。接触角が大きいほど防汚性が高いことを表している。
(d)光学特性測定:JIS R3212に準拠して可視光線反射率(%)及び透過率(%)を測定し、JIS K7105−1981に準拠して350nmの波長光の透過率(%)及びヘイズ値(曇価)を測定した。
1.UV硬化型ハードコート液の処理
1−1 UV硬化型ハードコート液1
入手可能な紫外線硬化型ハードコート液として、MP−1175UV(SDC Coatigs.Inc.製)を入手し、テストを実施した。
上記ハードコート液を、硬化後の膜厚が3〜5μmになるように、スピナー法により塗布し、その後、120W/cmの出力の紫外線ランプにより、総紫外線照射エネルギーが 約800(mJ/cm2)になるように約10秒間照射し、塗布膜を硬化した。
硬化後の膜厚は表面粗さ計(サーフコム110B/株式会社東京精密製)で測定した。総紫外線照射エネルギー値は積算光量計(型式:UIT−102 ウシオ電機株式会社製)で測定した。
1−2 UV硬化型ハードコート液2(防眩性付与)
MP−1175UV(SDC Coatigs.Inc.製)100gに平均粒子径が6μmのシリカ微粒子を0.8g添加し、撹拌し均質に分散させた。
バーコーターで、硬化時の膜厚が4μmになるように塗布し、120W/cmの出力の紫外線ランプにより、総紫外線照射エネルギーが300(mJ/cm2)になるように約10秒間照射し、塗布膜を硬化した。
2.熱硬化型ハードコート液の処理
2−1.熱硬化型ハードコート液1
シリカ微粒子分散液(平均粒子径50nm、粒径の標準偏差1.4、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分20%、日産化学工業(株)製スノーテックスOL)150g、メチルトリメトキシシラン183gを反応させた後、イソプロピルアルコール508g、n−ブタノール140g、酢酸18g、酢酸ナトリウム1gを添加し、撹拌させ均一にした後、塗膜の外観改善(レベリング)剤であるペインタッド32(ダウ・コーニング・アジア社製)を0.1g添加し、撹拌させ熱硬化型のハードコート液1を得た。
2−2.熱硬化型ハードコート液2(熱硬化型ハードコート液へのベンジルアルコールの添加)
シリカ微粒子分散液(平均粒子径50nm、粒径の標準偏差1.4、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分20%、日産化学工業(株)製スノーテックスOL)150g、メチルトリメトキシシラン183gを反応させた後、イソプロピルアルコール508g、ノルマルブタノール140g、酢酸18g、酢酸ナトリウム1gを添加し、撹拌させ均一にした後、前記ペインタッド32(ダウ・コーニング・アジア社製)を0.1g添加して撹拌させ、その後ベンジルアルコールを10g添加(液重量に対して5重量%)して撹拌させ熱硬化型のハードコート液を得た。
3.中間層液の処理
3−1.中間層液1
エチルセロソルブ400g、メタクリル酸エチル160g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン40gの混合物を、窒素雰囲気下で75℃に保ちつつ、ベンゾイルパーオキサイド1gを加え、エチルセロソルブ200gに溶かした溶液を2時間かけて加え、さらに6時間、75℃に保つ。その後、エチルセロソルブ1400g、過塩素酸アンモニウムの10%の水溶液を2g、紫外線吸収剤として2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン100g、塗膜の外観改善(レベリング)剤であるペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を0.2g添加し、撹拌させて熱硬化型の中間層液を得た。
3−2.中間層液2(中間層液へのベンジルアルコールの添加)
エチルセロソルブ400g、メタクリル酸エチル160g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン40gの混合物を、窒素雰囲気下で75℃に保ちつつ、ベンゾイルパーオキサイド1gを加え、エチルセロソルブ200gに溶かした溶液を2時間かけて加え、さらに6時間、75℃に保つ。その後、エチルセロソルブ1400g、過塩素酸アンモニウムの10%の水溶液を2g、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン100g、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を0.2g添加し撹拌させ、その後ベンジルアルコールを200g添加して撹拌させ、熱硬化型の中間層液を得た。
4.低反射層液の処理
4−1.低反射層液1
シリカ微粒子分散液(平均粒子径50nm、粒径の標準偏差1.4、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分20%、日産化学工業(株)製スノーテックスOL)38gを撹拌しながら、水12g、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシラン8.7gを添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置して反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒として酢酸ナトリウムを添加し、撹拌して液を均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液1を得た。
4−2.低反射層液2
シリカ微粒子分散液(平均粒子径50nm、粒径の標準偏差1.4、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分20%、日産化学工業(株)製スノーテックスOL)38gを撹拌しながら、水12g、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート40」(平均重合度n=5、コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒として酢酸ナトリウムを添加し、撹拌して液を均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液2を得た。
4−3.低反射層液3
シリカ微粒子分散液(平均粒子径70nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分40%、日産化学工業(株)製スノーテックスYL)19gを撹拌しながら、水31g、エチルセロソルブ20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート48」(平均重合度n=8、コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒として酢酸ナトリウムを添加し、撹拌し均一にする。その後、導電性界面活性剤としてFZ−2105(日本ユニカー(株)製)を4g添加し、低反射層液3を得た。
4−4.低反射層液4
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート48」(平均重合度n=8、コルコート(株)製)5.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒として酢酸ナトリウムを添加し、撹拌し均一にする。その後、導電性界面活性剤としてFZ−2105(日本ユニカー(株)製)を4g添加し、低反射層液4を得た。
4−5.低反射層液5
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃硝酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート40」(コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液5を得た。
4−6.低反射層液6
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート40」(コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、撥水付与成分としてパーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン1.1gを添加し、2時間撹拌し、その後24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液6を得た。
4−7.低反射層液7
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)40gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラメトキシシランとテトラエトキシシランの共重合オリゴマー(EMS−485、平均重合度n=8、シリケートの官能基がメトキシ基50%、エトキシ基50%の複合になっている。コルコート(株)製)11g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液7を得た。
4−8.低反射層液8
中空シリカ分散ゾル(平均粒子径33nm、固形分20%、触媒化成工業(株)製ELCOM V−8203)35gを攪拌しながら、水6gを添加し、次いでテトラメトキシシランのオリゴマー「MSH4」(不揮発成分21%、三菱化学(株)製)73gを添加し、1時間攪拌させた後、24時間静置して反応させた。その後、イソプロピルアルコール840gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、攪拌して液を均一にし、低反射層液8を得た。
4−9.低反射層液9
中空シリカ分散ゾル(平均粒子径33nm、固形分20%、触媒化成工業(株)製ELCOM V−8203)65gを攪拌しながら、水3gを添加し、次いでテトラメトキシシランのオリゴマー「MSH4」(不揮発成分21g、三菱化学(株)製)36gを添加し、1時間攪拌させた後、24時間静置して反応させた。その後、イソプロピルアルコール840gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、攪拌して液を均一にし、低反射層液9を得た。
4−10.低反射層10
鎖状凝集シリカ微粒子分散液(平均一次粒子径25nm、平均長さ100nm、固形分15%、日産化学工業(株)製 スノーテックスOUP)56gを撹拌しながら、エタノール20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシラン5.2g添加し、2時間撹拌させた後24時間静置し反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液10を得た。
4−11.低反射層液11(モノマー+硬化触媒なし)
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃硝酸1gを添加し、次いで、エチルシリケート28(テトラエトキシシランの商品名/コルコート(株)製)8.6g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液11を得た。
4−12.低反射層液12(低反射層液5へのベンジルアルコールの添加)
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃硝酸1gを添加し、次いで、エチルシリケート40(コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、その後ベンジルアルコールを2.4g添加し、撹拌させ、低反射層液12を得た。
4−13.低反射層液13(低反射層液8の変形)
鎖状凝集シリカ微粒子分散液(平均一次粒子径25nm、平均長さ100nm、
固形分15%、日産化学工業(株)製 スノーテックスOUP)56gを撹拌しながら、エタノール20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシラン5.2g添加し、2時間撹拌させた後、その後24時間静置し、反応させた。その後、膜の屈折率を減少させるための粉末状のフッ化カルシウム5.0gを添加し、均一分散させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し希釈した後、硬化触媒として過塩素酸マグネシウムを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液13を得た。
4−14.低反射層液14(低反射層液8の変形)
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃硝酸1gを添加し、次いで、エチルシリケート40(コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、膜の屈折率を減少させるための粉末状のフッ化カルシウム10.0gを添加し、均一分散させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し希釈した後、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液14を得た。
前記低反射層液1〜14をスピンコートにより塗布し、所定時間80〜120℃で15分〜30分間加熱させ、得られた低反射層(膜厚110nm)の反射率を測定した。
5.撥水処理液
パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン1gにプロピレングリコールモノメチルエーテルを99g添加し、撹拌させながら、純水を0.5g添加し、更に酢酸を1g添加し、液が透明になるまで撹拌させた。その後、エタノールを900g添加し、撹拌させ、撥水処理液を作製した。
処理方法は、綿布に数ミリリットル染み込ませ、その布で表面に擦り込み、余剰分を除去することで撥水処理面を得た。
6.用いた樹脂基材
(1)ポリメチルメタクリレート(PMMA)(商品名:アクリライト 三菱レイヨン(株)製 可視光線透過率=92.5% 可視光線反射率=7.0%)
(2)ポリカーボネート(PC)(商品名:ポリカエース 品番:ECK−100 筒中プラスチック工業(株)製 可視光線透過率=88% 可視光線反射率=8.3%)
(3)シクロオレフィンポリマー(COP)(商品名:ZEONOR 品番:1600 日本ゼオン(株)製 可視光線透過率=92% 可視光線反射率=7.5%)なお、COPについて次のような親水化処理を行った。信光電気計装(株)製のコロナ放電表面改質装置「コロナマスター」PS−1M型を用いて出力が最高約14000ボルトの可変電圧、約15kHzの周波数のコロナ放電処理を毎秒20mmの速度で実施した。COP基材表面の水滴接触角は親水化処理前では90度であったが、処理後の表面の水滴接触角は45度であった。
(4)スチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂(商標名:MS600,新日鐵化学(株)製)
上記の低反射層液1〜14、熱硬化型ハードコート液1〜2および中間層液1〜2の塗布後の加熱の温度および時間は使用する樹脂基材の種類に応じて次の表1に記載の通りに設定した。
前記低反射層液1を樹脂基材PMMA(表面処理なし)の両面に塗布し、80℃の電気炉に30分間入れることにより、平均膜厚が110nmの低反射層が被覆された樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
(実施例2〜10、28、29)
実施例1において使用した低反射層液1に代えて、表2に示すように低反射層液2〜10、12〜14を用いた以外は実施例1と同様にして低反射層が被覆された樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
(実施例11、15)
前記熱硬化型ハードコート液1を樹脂基材PMMA(表面処理なし)の両面に塗布し、80℃の電気炉に2時間入れてハードコート層(第1層)を形成し、ついでこのハードコート層の上に低反射層液5を塗布し、80℃の電気炉に30分間入れることにより、平均膜厚が110nmの低反射層(第2層)が被覆された樹脂板が得られた(実施例11)。この樹脂板の表面を撥水処理した(実施例15)。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
(実施例12〜14、20、21、23〜26)
実施例11において使用した樹脂基材、第1層用液および第2層用液に代えて、それぞれ表2に示す基材(PMMA、PC、COP、MS600)、第1層用液(UV硬化型ハードコート液1,2,中間層液1、2)および第2層用液(低反射層液4〜6、8、9)を用いた以外は実施例1と同様にして低反射層が被覆された樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
(実施例19、22)
前記中間層液1を樹脂基材PC(実施例19)またはCOP(実施例22)の両面に塗布し、110℃の電気炉に30分間入れて中間層(第1層)を形成し、ついでこの中間層の上に熱硬化型ハードコート液1を塗布し、120℃の電気炉に1時間入れてハードコート層(第2層)を形成し、ついでこのハードコート層の上に低反射液5を塗布し、120℃の電気炉に15分間入れて低反射層(第3層)を形成した樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
(実施例2〜10、28、29)
実施例1において使用した低反射層液1に代えて、表2に示すように低反射層液2〜10、12〜14を用いた以外は実施例1と同様にして低反射層が被覆された樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
(実施例11、15)
前記熱硬化型ハードコート液1を樹脂基材PMMA(表面処理なし)の両面に塗布し、80℃の電気炉に2時間入れてハードコート層(第1層)を形成し、ついでこのハードコート層の上に低反射層液5を塗布し、80℃の電気炉に30分間入れることにより、平均膜厚が110nmの低反射層(第2層)が被覆された樹脂板が得られた(実施例11)。この樹脂板の表面を撥水処理した(実施例15)。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
(実施例12〜14、20、21、23〜26)
実施例11において使用した樹脂基材、第1層用液および第2層用液に代えて、それぞれ表2に示す基材(PMMA、PC、COP、MS600)、第1層用液(UV硬化型ハードコート液1,2,中間層液1、2)および第2層用液(低反射層液4〜6、8、9)を用いた以外は実施例1と同様にして低反射層が被覆された樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
(実施例19、22)
前記中間層液1を樹脂基材PC(実施例19)またはCOP(実施例22)の両面に塗布し、110℃の電気炉に30分間入れて中間層(第1層)を形成し、ついでこの中間層の上に熱硬化型ハードコート液1を塗布し、120℃の電気炉に1時間入れてハードコート層(第2層)を形成し、ついでこのハードコート層の上に低反射液5を塗布し、120℃の電気炉に15分間入れて低反射層(第3層)を形成した樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
実施例1において使用した樹脂基材および低反射層液に代えて、それぞれMS600および低反射層液12を用いた以外は実施例1と同様にして低反射層が被覆された樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2および表3に示す。
(比較例1)
実施例1において使用した低反射層液1に代えて、表2に示すように低反射層液11を用いた以外は実施例1と同様にして低反射層が被覆された樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
表2及び表3から、実施例1〜29で得られた低反射層被覆樹脂板はいずれも付着性試験で「剥離なし」であり、また、0.8〜1.6%の低い可視光線反射率および3以上の耐擦傷性を有し、優れた反射防止性能および優れた耐擦傷性を有することがわかる。またさらに、実施例6、12、15,18で得られた低反射層被覆樹脂板は110〜115度の水滴接触角を有しており、優れた防汚性、撥水性を示した。また実施例24で得られた低反射層被覆樹脂板は1.0%の可視光線反射率および10%のヘーズ率を有しており、優れた防眩性を示した。また実施例17で得られた低反射層被覆樹脂板は111度の水滴接触角、1.0%の可視光線反射率および10%のヘーズ率を有しており、優れた撥水性および防眩性を示した。
また、低反射層液に中空状非凝集シリカ微粒子を使用した実施例8、9、13、14はヘーズ率が0.2%と散乱光の少ない鏡が得られた。また、低反射層液に鎖状凝集シリカ微粒子を使用した実施例10で得られた低反射層被覆樹脂板は1.0%の低い可視光線反射率を有しており、優れた反射防止性能を示した。
更に屈折率を減少させるための屈折率調整剤を低反射層液に添加した実施例29で得られた低反射層被覆樹脂板は0.9%の低い可視光線反射率を有しており、優れた反射防止性能を示した。また屈折率を減少させるための屈折率調整剤および鎖状凝集シリカ微粒子を低反射層液に添加した実施例28で得られた低反射層被覆樹脂板は0.8%の低い可視光線反射率を有しており、優れた反射防止性能を示した。また実施例21で得られた低反射層被覆樹脂板は導電性を有していた。
(比較例1)
実施例1において使用した低反射層液1に代えて、表2に示すように低反射層液11を用いた以外は実施例1と同様にして低反射層が被覆された樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
表2及び表3から、実施例1〜29で得られた低反射層被覆樹脂板はいずれも付着性試験で「剥離なし」であり、また、0.8〜1.6%の低い可視光線反射率および3以上の耐擦傷性を有し、優れた反射防止性能および優れた耐擦傷性を有することがわかる。またさらに、実施例6、12、15,18で得られた低反射層被覆樹脂板は110〜115度の水滴接触角を有しており、優れた防汚性、撥水性を示した。また実施例24で得られた低反射層被覆樹脂板は1.0%の可視光線反射率および10%のヘーズ率を有しており、優れた防眩性を示した。また実施例17で得られた低反射層被覆樹脂板は111度の水滴接触角、1.0%の可視光線反射率および10%のヘーズ率を有しており、優れた撥水性および防眩性を示した。
また、低反射層液に中空状非凝集シリカ微粒子を使用した実施例8、9、13、14はヘーズ率が0.2%と散乱光の少ない鏡が得られた。また、低反射層液に鎖状凝集シリカ微粒子を使用した実施例10で得られた低反射層被覆樹脂板は1.0%の低い可視光線反射率を有しており、優れた反射防止性能を示した。
更に屈折率を減少させるための屈折率調整剤を低反射層液に添加した実施例29で得られた低反射層被覆樹脂板は0.9%の低い可視光線反射率を有しており、優れた反射防止性能を示した。また屈折率を減少させるための屈折率調整剤および鎖状凝集シリカ微粒子を低反射層液に添加した実施例28で得られた低反射層被覆樹脂板は0.8%の低い可視光線反射率を有しており、優れた反射防止性能を示した。また実施例21で得られた低反射層被覆樹脂板は導電性を有していた。
本発明によれば、シリカ微粒子存在下で加水分解可能なケイ素化合物を加水分解して得られるコーティグ液を使用し、そして、比較的大きなシリカ微粒子を使用するか、または、中空状のシリカ微粒子を使用するか、あるいはシリカ微粒子と前記バインダーを特定の割合で使用することにより、格段に低い反射率および高い膜強度が得られ、反射率の経時変化もない。
また、本発明によるとコーティグ液に硬化触媒を添加したことで、低温で2〜3次元重合が可能となり、容易に低反射層を被覆した樹脂基材が得られる。
また、硬化触媒添加と微粒子共存下でのバインダー用のケイ素化合物の加水分解、及び予めオリゴマー化した前記ケイ素化合物を使用しているため、高い膜強度が得られる。
本発明の低反射膜は常温または低温で得られるため、樹脂基材上に容易に被覆でき、しかも機能性有機材料の導入が容易となる。
また、微粒子添加による表面凹凸付与、フッ化ケイ素化合物の導入および塗膜最表面への撥水層処理により塗膜表面自由エネルギーが低下し、防眩性、撥水性、汚れ難い、汚れが落ち易いなどの特性が付与できる。
また、ハードコート層を基材と低反射層の間に設けると樹脂基材に処理した場合でも高い表面硬度が得られる。
また、本発明によるとコーティグ液に硬化触媒を添加したことで、低温で2〜3次元重合が可能となり、容易に低反射層を被覆した樹脂基材が得られる。
また、硬化触媒添加と微粒子共存下でのバインダー用のケイ素化合物の加水分解、及び予めオリゴマー化した前記ケイ素化合物を使用しているため、高い膜強度が得られる。
本発明の低反射膜は常温または低温で得られるため、樹脂基材上に容易に被覆でき、しかも機能性有機材料の導入が容易となる。
また、微粒子添加による表面凹凸付与、フッ化ケイ素化合物の導入および塗膜最表面への撥水層処理により塗膜表面自由エネルギーが低下し、防眩性、撥水性、汚れ難い、汚れが落ち易いなどの特性が付与できる。
また、ハードコート層を基材と低反射層の間に設けると樹脂基材に処理した場合でも高い表面硬度が得られる。
本発明は、ディスプレイ(ノート型パソコン、モニター、PDP、PDA)の最表面、タッチパネルモニターの最表面、携帯電話窓、ピックアップレンズ、光学レンズ、眼鏡レンズ、光学フィルター、光学部品の端面、車両用透明部品(ヘッドライトカバー、窓)、車両用不透明部品(インスツルメントパネル表面)、メーターカバー、建築用窓、ショーウインドウ、太陽電池用透明基板、太陽熱温水器用透明板、光学透明部品などの低反射性の合成樹脂物品の製造方法、低反射層形成用溶液(以後、「低反射層液」という。)および低反射処理物品に関するものである。
透明基体の可視光反射率の低減には、透明基体上に膜を付与することによる低反射化が広く知られている。特に、ガラス板上への成膜に二層以上の膜を積層して、光の干渉作用を利用して低反射化を実現する方法としては、例えば、特開平4−357134号公報には、透明ガラス基板の少なくとも片側表面に透明ガラス面側から第一層目として屈折率がn1=1.8〜1.9で、かつ膜厚が700〜900オングストロームである薄膜層を被覆し、次いで第一層目薄膜上に、第二層目として屈折率がn2=1.4〜1.5で、かつ膜厚が1100〜1300オングストロームである薄膜層を被覆積層してなり、さらに前記表面の垂直線となす入射角が50度〜70度の間で入射する膜面側の可視光に対し、前記薄膜被覆積層面における反射率を4.5〜6.5%低減せしめて成ることを特徴とする二層膜構成の車両用反射低減透明ガラス板が開示されている。また、特開平4−357135号公報には三層膜からなる低反射層を施したガラス板が提案されている。
一方、ガラス基板上に一層の膜を設けて反射を低減する方法としては、例えば特開昭63−193101号公報には、ガラス体の表面上に、SiO2の微粒子を添加したSi(OR)4(Rはアルキル基)のアルコール溶液を塗布した後に乾燥し、ガラス体表面上にSiO2微粒子及びこれを被覆するSiO2薄膜を付着させてなる反射防止膜が開示されている。
特開昭62−17044号公報には、5〜100nmの粒径を有するコロイダルシリカにテトラエトキシシランのような金属アルコレートを、コロイダルシリカ1モルに対して金属アルコレート1モルの割合で混合し、アルコールなどの有機溶媒に溶解した混合液を加水分解し、部分縮合させたゾル溶液を光学素子表面にコーティングし、熱処理した反射防止膜が開示されている。
また、特開平11−292568号公報には、鎖状のシリカ微粒子およびそれに対し5〜30重量%のシリカを含有する、110〜250nmの厚みの低反射層を被覆した可視光低反射ガラスが開示されている。
これらの一層の低屈折率層による低反射層は、Optical Engineering Vol.21 No.6、(1982)Page 1039に記載されているように、反射率の入射角依存性が小さいこと、反射率の波長依存性が小さいことにより、低反射の波長領域が広いことが知られている。
これらの一層の低屈折率層による低反射層は、Optical Engineering Vol.21 No.6、(1982)Page 1039に記載されているように、反射率の入射角依存性が小さいこと、反射率の波長依存性が小さいことにより、低反射の波長領域が広いことが知られている。
さらに、特開2001−278637号公報には平均粒子径40〜1000nmの非凝集シリカ微粒子および平均一次粒子径10〜100nmの鎖状凝集シリカ微粒子の少なくとも一方からなる原料微粒子、加水分解可能な金属化合物、水および溶媒を混合し、そして前記加水分解可能な金属化合物を前記微粒子存在下で加水分解して得られた低反射液をガラス基材へ塗布し、熱処理した低反射ガラスが開示されている。
これら一層の低屈折率層による低反射層は、Optical Engineerring Vol.21 No.6,(1982) P1039に記載されているように、反射率の入射角度依存性が小さいこと、反射率の波長依存性が小さいことにより、低反射の波長領域が広いことが知られている。
これら一層の低屈折率層による低反射層は、Optical Engineerring Vol.21 No.6,(1982) P1039に記載されているように、反射率の入射角度依存性が小さいこと、反射率の波長依存性が小さいことにより、低反射の波長領域が広いことが知られている。
反射率を低減させる方式としては、上述の塗布方法、蒸着法などが挙げられるが、特に蒸着法(物理的蒸着、化学的蒸着)では、さまざまな膜材料、膜構成、二層以上の薄膜層の積層による反射防止膜が提案されている。
上記従来技術には以下のような問題点がある。
(1)透明基材に低反射層を被覆する場合に、低温加熱で被膜の硬化重合反応が進みにくく、3次元の重合構造がとれないため、得られた被膜の磨耗強度が小さい。
(2)透明樹脂基材に低反射層処理をした場合には十分な磨耗強度が出ず、また、外圧に対し低反射層が変形することで磨耗強度が低下する。低反射層用の基材としてガラス基材を用いる場合は、ガラスの剛性で変形を抑えているが、樹脂基材を用いる場合は樹脂自体の硬度が低いため、ガラス基材と同様の強度が得られないためである。
(3)透明樹脂基材には耐熱性がないので、前記低反射層強度を確保するための高温処理をすることができない。
(1)透明基材に低反射層を被覆する場合に、低温加熱で被膜の硬化重合反応が進みにくく、3次元の重合構造がとれないため、得られた被膜の磨耗強度が小さい。
(2)透明樹脂基材に低反射層処理をした場合には十分な磨耗強度が出ず、また、外圧に対し低反射層が変形することで磨耗強度が低下する。低反射層用の基材としてガラス基材を用いる場合は、ガラスの剛性で変形を抑えているが、樹脂基材を用いる場合は樹脂自体の硬度が低いため、ガラス基材と同様の強度が得られないためである。
(3)透明樹脂基材には耐熱性がないので、前記低反射層強度を確保するための高温処理をすることができない。
本発明の課題は樹脂基材に対して処理した場合、実用レベルの膜磨耗強度が得られる可視光または赤外光に対する低反射層を形成する低反射処理物品の製造方法、低反射層液および低反射処理物品を提供することである。
本発明は、(1)平均粒子径40〜1000nmの非凝集シリカ微粒子、平均粒子径10〜100nmの中空状非凝集シリカ微粒子および平均一次粒径10〜100nmの鎖状凝集シリカ微粒子の少なくとも一種からなるシリカ微粒子、(2)加水分解可能なケイ素化合物、水、前記ケイ素化合物の加水分解触媒及び溶媒を含有するバインダー液を混合して反応させ前記ケイ素化合物を加水分解し、ついで(3)シラノール基の縮合を促進する硬化触媒を添加して得られる低反射層液を樹脂基材上に被覆し、室温又は室温〜「基材が損なわれない温度」(熱可塑性樹脂では変形温度、硬化性樹脂では分解温度以下)で反応硬化させて、シリカ微粒子およびバインダーを固形分重量比で30:70〜95:5の割合でそれぞれ含有する低反射層を形成させる低反射処理物品の製造方法である。
本発明の低反射処理物品の製造方法により、硬化時の重合効率が上がり、低温でも3次元的な重合ができ、磨耗強度が改善できる。また、一部有機物が残ることで可とう性が得られる。
本発明の低反射処理物品の製造方法により、硬化時の重合効率が上がり、低温でも3次元的な重合ができ、磨耗強度が改善できる。また、一部有機物が残ることで可とう性が得られる。
また、加水分解可能なケイ素化合物をあらかじめオリゴマー化したバインダーを使用した場合には、微粒子共存下で加水分解することで、微粒子とバインダー、バインダー同士の絡まり、また更なる高分子化が進み、より硬化時の重合が効率的に行える。
更に、必要に応じ、前記低反射層液に界面活性剤あるいは加水分解したフッ化シラン、有機系の導電材料を添加した場合も、低温加熱による有機物分解を抑制でき、その特性を低下させることなく付与できる。
さらに目的に応じて、樹脂基材と低反射層の間に、両材料に接着可能な中間層や剛性・硬度に優れるハードコート層、あるいは防眩性を付与する防眩層を成膜し、低反射層の磨耗強度を更に改善することができる。
また、必要に応じて、樹脂基材表面を親水化処理し、基材表面に−COOH、−OH、>C=Oを導入した後で、上記処理を行うことで各種付着性が得られにくい基材に対しても適応できる。
本発明の基本構造は下記の通りである。
構造1:樹脂基材(シート・フィルムを含む)/低反射層
構造2:樹脂基材/中間層/低反射層
構造3:樹脂基材/ハードコート層/低反射層
構造4:樹脂基材/防眩層/低反射層
構造5:樹脂基材/中間層/ハードコート層又は防眩層/低反射層
構造6:樹脂基材/構造1〜5のいずれかの下地層/低反射層(含加水分解フッ化シラン)
構造7:樹脂基材/構造1〜5のいずれかの下地層/低反射層(含導電材料)
構造8:樹脂基材/構造1〜5のいずれかの下地層/低反射層/撥水層
構造1:樹脂基材(シート・フィルムを含む)/低反射層
構造2:樹脂基材/中間層/低反射層
構造3:樹脂基材/ハードコート層/低反射層
構造4:樹脂基材/防眩層/低反射層
構造5:樹脂基材/中間層/ハードコート層又は防眩層/低反射層
構造6:樹脂基材/構造1〜5のいずれかの下地層/低反射層(含加水分解フッ化シラン)
構造7:樹脂基材/構造1〜5のいずれかの下地層/低反射層(含導電材料)
構造8:樹脂基材/構造1〜5のいずれかの下地層/低反射層/撥水層
構造1は、樹脂基材の表面に直接低反射層を設けている。
構造2は、樹脂基材の表面に中間層を設け、その上に低反射層を積層している。中間層は、低反射層と同様の方法で塗布される。膜厚は、1〜10μmが好ましい。
構造3は樹脂基材と低反射層との間にハードコート層を設け、基材の剛性、表面硬度を改善し、更に低反射層との2〜3次元重合させることで膜強度を構造1、2より改善している。
ハードコート層は、低反射層と同様の方法で塗布できる。硬化は後述するが硬化触媒で調整でき、ハードコートaは活性エネルギー線による硬化、ハードコートbは熱硬化により、それぞれ得られる。ハードコート層の膜厚は、塗布目的に応じて0.1〜30μmが好ましく、0.1〜20μmがより好ましい。
構造4は、構造3のハードコート中に0.05〜20μmの金属または無機化合物の微粒子を添加し、塗布硬化したサンプルの構造は、シリカ微粒子の表面がバインダーで覆われており、膜の厚み方向の断面から見て、厚み方向に1つの微粒子が均一に存在するか、または2から5個の微粒子が積み重なっており、更にシリカ微粒子の直径の半分以上がハードコート(バインダー)中に埋まっている構造を有している。また、この構造4は構造3と同じ条件で成膜できる。
構造5は、構造2と3又は構造2と4を組み合わせたものである。
構造6、7は、低反射層液にフルオロシラン、又は導電性有機成分を添加したものである。
構造8は、低反射層表面に反応性、又は非反応性の官能基を有し、フッ素を構造中に含有した撥水層を積層したものである。
なお、上記構造6〜8の「構造1〜5のいずれかの下地層」とは構造1〜5の樹脂基材と低反射層の間にあるいずれかの層をいう。
構造2は、樹脂基材の表面に中間層を設け、その上に低反射層を積層している。中間層は、低反射層と同様の方法で塗布される。膜厚は、1〜10μmが好ましい。
構造3は樹脂基材と低反射層との間にハードコート層を設け、基材の剛性、表面硬度を改善し、更に低反射層との2〜3次元重合させることで膜強度を構造1、2より改善している。
ハードコート層は、低反射層と同様の方法で塗布できる。硬化は後述するが硬化触媒で調整でき、ハードコートaは活性エネルギー線による硬化、ハードコートbは熱硬化により、それぞれ得られる。ハードコート層の膜厚は、塗布目的に応じて0.1〜30μmが好ましく、0.1〜20μmがより好ましい。
構造4は、構造3のハードコート中に0.05〜20μmの金属または無機化合物の微粒子を添加し、塗布硬化したサンプルの構造は、シリカ微粒子の表面がバインダーで覆われており、膜の厚み方向の断面から見て、厚み方向に1つの微粒子が均一に存在するか、または2から5個の微粒子が積み重なっており、更にシリカ微粒子の直径の半分以上がハードコート(バインダー)中に埋まっている構造を有している。また、この構造4は構造3と同じ条件で成膜できる。
構造5は、構造2と3又は構造2と4を組み合わせたものである。
構造6、7は、低反射層液にフルオロシラン、又は導電性有機成分を添加したものである。
構造8は、低反射層表面に反応性、又は非反応性の官能基を有し、フッ素を構造中に含有した撥水層を積層したものである。
なお、上記構造6〜8の「構造1〜5のいずれかの下地層」とは構造1〜5の樹脂基材と低反射層の間にあるいずれかの層をいう。
以下各層の詳細を記載した。
1.低反射層
(1)平均粒子径40〜1000nmの非凝集シリカ微粒子、平均粒子径が10〜100nmの中空状非凝集シリカ微粒子および平均一次粒径が10〜100nmの鎖状凝集シリカ微粒子の少なくとも一種からなるシリカ微粒子、(2)加水分解可能なケイ素化合物、水、前記ケイ素化合物の加水分解触媒及び溶媒を含有するバインダー液を混合して反応させ、ついで(3)シラノール基の縮合を促進する硬化触媒を添加して得られる低反射層液を1〜5のいずれかの下地層上に被覆し、室温又は室温〜「基材が損なわれない温度」(熱可塑性樹脂では変形温度、硬化性樹脂では分解温度以下)で反応硬化させて、シリカ微粒子およびバインダーを固形分重量比で30:70〜95:5の割合でそれぞれ含有する低反射層を形成させる。
1.低反射層
(1)平均粒子径40〜1000nmの非凝集シリカ微粒子、平均粒子径が10〜100nmの中空状非凝集シリカ微粒子および平均一次粒径が10〜100nmの鎖状凝集シリカ微粒子の少なくとも一種からなるシリカ微粒子、(2)加水分解可能なケイ素化合物、水、前記ケイ素化合物の加水分解触媒及び溶媒を含有するバインダー液を混合して反応させ、ついで(3)シラノール基の縮合を促進する硬化触媒を添加して得られる低反射層液を1〜5のいずれかの下地層上に被覆し、室温又は室温〜「基材が損なわれない温度」(熱可塑性樹脂では変形温度、硬化性樹脂では分解温度以下)で反応硬化させて、シリカ微粒子およびバインダーを固形分重量比で30:70〜95:5の割合でそれぞれ含有する低反射層を形成させる。
本発明において用いられる原料微粒子であるシリカ微粒子はいかなる製法で作られたものでも良く、ゾルゲル法によりシリコンアルコキシドをアンモニア等の塩基性触媒下で反応させて合成されたシリカ微粒子や、珪酸ソーダなどを原料としたコロイダルシリカ、気相で合成されるヒュームドシリカなどが例示される。
シリカ微粒子の粒径により、得られる低反射層の構造は大きく変化する。シリカ微粒子の粒径が小さ過ぎると、低反射層内の粒子間に生成する空孔の大きさが小さくなって毛管力が増し、付着した汚れが取れにくくなったり、空気中の水分や有機物が徐々に前記空孔に入り込むため膜の屈折率が変化し、反射率が経時的に上昇する。更に、膜内の空孔率が小さくなり見かけ上の屈折率が上昇する。
また、シリカ微粒子同士およびシリカ微粒子と樹脂基材との接着に用いられるバインダーの量は後述のようにその上限が定められているので、シリカ微粒子の粒径が小さ過ぎると、微粒子の表面積が相対的に大きくなり、その表面と反応するバインダー量が不足することになり、結果として膜の密着力が弱くなる。また、シリカ微粒子径(一次粒径)が小さ過ぎると、形成される膜表面の凹凸粗さの値または膜内部空隙率(シリカ微粒子の間の空間でバインダーが埋められていない空間の、膜体積に対する割合)は小さくなり見かけの屈折率は上昇する。
従って、(1)低反射層の汚れを取れやすくするために、(2)膜強度を高めるために、そして(3)見かけの屈折率を、低反射層が被覆される樹脂基材の屈折率(1.4〜1.8)の平方根値(約1.18〜1.34)に近くなるように下げるために、シリカ微粒子(屈折率約1.45)の一次粒径の平均値が40nm以上であることが望ましく、50nm以上であることがより好ましい。またシリカ微粒子の粒径が大きすぎると、光の散乱が激しくなり、また樹脂基材との密着性も弱くなる。
透視性が要求される用途、すなわち、ヘイズ率が低いこと、例えば1%以下のヘイズ率が望まれる用途、例えば車両、建築の窓では、シリカ微粒子の平均粒径は500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましい。最も好ましいシリカ微粒子の平均粒径は、50〜200nmであり、さらには70〜160nmが最も良い。
一方、透視性を必要とせず、しかもそれほど強い膜強度を必要としない用途、例えば、太陽電池用の樹脂基板では、反射率を下げることにより透過率を上げることが重要である。また、前記樹脂基板に近接して設けるシリコン膜内での太陽光の吸収効率を上げるためには、シリコン膜に入射した太陽光のシリコン膜中での光路長を長くすることが有利となる。
低反射層を通過する光は直進透過光と拡散透過光に分けることができ、直進透過光の量に対する拡散透過光の量が増大するとヘイズ率が増大する。全光線透過率が同一(従って反射率が同一)である低反射層で比較した場合、上記の光路長を長くするには、低反射層を通過した後の光のうち、拡散透過光の量が大きくなるような低反射層、すなわちヘイズ率が大きい低反射層、例えば10〜80%のヘイズ率を有する低反射層が好ましい。この大きなヘイズ率の低反射層には、100nm〜1000nmの平均粒径を有するシリカ微粒子を使用することが好ましい。
シリカ微粒子として微粒子内部に空間を保有する中空状シリカ微粒子を用いることによって、低反射層の品質をさらに高めることができる。シリカ微粒子が微粒子内部に空間を保有することによって、シリカ微粒子の屈折率を低下させることができて、屈折率を維持した状態で、低反射層内にシリカ微粒子を体積的に高い充填率で含有させることができる。そして、微粒子間の空隙が減少し、微粒子間の空隙によって引き起される低反射層が汚れる問題、低反射層に水分や有機物が入り込む問題が軽減でき、低反射層が緻密になることから、膜の強度も向上する。微粒子内に空間を保有することによって、中空状シリカ微粒子はその屈折率が低下するので、空間を保有しないシリカ微粒子に比して、粒径を細かくして充填率を高めることができる。中空状シリカ微粒子の好ましい粒径は10〜100nmである。
原料微粒子としてのシリカ微粒子の平均粒径は、1万倍〜5万倍の透過電子顕微鏡により、その平面的視野の中で実際に一次粒子(凝集して鎖状二次粒子を形成している場合は個々の一次粒子)の直径(長径および短径の平均値)を実測し、下記式による微粒子個数(n=100)の数平均した値dとして定義する。
従って、この測定値は、コロイダルシリカなどで表示されているBET法による粒子径とは異なる。シリカ微粒子の真球度は各微粒子の長軸長さと短軸長さの比を100個平均した値で表す。また、微粒子の粒度分布を表す、微粒子粒径の標準偏差は上記直径から下記の数式2および数式3により求める。なお各式においてn=100である。
シリカ微粒子の真球度が1.0〜1.2であれば、微粒子の充填度を高めた低反射層が形成されて膜の機械的強度が高くなるので好ましい。より好ましい真球度は1.0〜1.1である。また、粒径の揃ったシリカ微粒子を使用した方が、微粒子間の空隙を大きくすることができるので、膜の見かけの屈折率が下がり、反射率を低くできる。従ってシリカ微粒子の粒度分布を表すその粒径の標準偏差は1.0〜1.5であることが好ましく、より好ましくは1.0〜1.3、さらに好ましくは1.0〜1.1である。
シリカ微粒子は、分散媒に分散させたシリカ微粒子分散液が取り扱いやすく好適である。分散媒としては、水、アルコール類、セロソルブ類、グリコール類などがあり、これら分散媒に分散させたシリカ微粒子分散液が市販されている。また、シリカ微粒子粉末をこれら分散媒に分散させて使用しても良い。
微粒子が複数個凝集して凝集微粒子(二次微粒子)を形成する場合、その凝集微粒子を構成する個々の微粒子(一次微粒子)の平均粒径を平均一次粒径と定義する。
微粒子が枝分かれしない鎖状または枝分かれした鎖状に凝集した微粒子の集合体(鎖状凝集微粒子)であれば、膜形成時に各微粒子がその凝集状態を維持したまま固定されるので膜がかさ高くなり、形成される膜表面の凹凸粗さの値および膜内部空隙率は、その鎖状凝集微粒子の平均一次粒径と同一の平均粒径を有する非凝集シリカ微粒子の場合に比して、大きくなる。
微粒子が枝分かれしない鎖状または枝分かれした鎖状に凝集した微粒子の集合体(鎖状凝集微粒子)であれば、膜形成時に各微粒子がその凝集状態を維持したまま固定されるので膜がかさ高くなり、形成される膜表面の凹凸粗さの値および膜内部空隙率は、その鎖状凝集微粒子の平均一次粒径と同一の平均粒径を有する非凝集シリカ微粒子の場合に比して、大きくなる。
従って、鎖状凝集シリカ微粒子としては、40nm未満の平均一次粒径を有するものであってもよく、10〜100nmの平均一次粒径を有する鎖状凝集シリカ微粒子が使用される。そして鎖状凝集シリカ微粒子は平均長さ(L)が60〜500nmであり、平均粒径(d)に対する平均長さ(L)の比(L/d)が3〜20であることが好ましい。また、シリカ微粒子の表面はバインダーで覆われており、膜の厚み方向の断面から見て、厚み方向に1つの微粒子が均一に存在するか、または2から5個の微粒子が積み重なっている。
バインダー原料となる加水分解可能なケイ素化合物としてはケイ化アルコキシドが膜の強度や化学的安定性などから好適である。ケイ化アルコキシドの中で、シリコンテトラアルコキシド、特にメトキシド、エトキシド、プロポキシドおよびブトキシドが好ましく用いられる。特にバインダー成分の含有量を多くした膜では、バインダー成分の屈折率が反射率に影響を与えることになるので、屈折率の小さいシリコンテトラアルコキシドのオリゴマーが最も好適である。前記オリゴマーを用いるためにはコーティング液(低反射液)をpH1〜5に調整することで行う。
また、バインダー成分はケイ化アルコキシドの中から複数混合したものを使用しても構わない。ケイ化アルコキシド以外でも、加水分解によりSi(OH)4の反応生成物が得られれば限定されず、例えば、ケイ素のハロゲン化物や、イソシアネート基、アシルオキシ基、アミノキシル基などを有するケイ素化合物が例示される。
本発明におけるバインダーの具体例としては、加水分解可能な下記(1)式で表される(A)アルコキシシランまたは下記(2)式で表される(B)シラン化合物、およびそのオリゴマーを1種類または複数種類含むことが望ましい。
前記加水分解可能なケイ素化合物としての(A)アルコキシシランは下記式(1)で表される。
R4O−((R4O)2−Si−O)n−R4 (1)
(ここで、R4は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、n=1〜20であり、縮合体の構造としては鎖状構造、分岐状構造、環状構造を含む)
R4O−((R4O)2−Si−O)n−R4 (1)
(ここで、R4は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、n=1〜20であり、縮合体の構造としては鎖状構造、分岐状構造、環状構造を含む)
また、前記(B)シラン化合物は(2)式で表される。
R1 aR2 bSi(OR3)4-a-b (2)
ここで、R1は炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基もしくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数5〜8のメタクリロキシアルキル基、炭素原子数2〜10のウレイドアルキレン基、グリシジルオキシ基で置換されたアルキル基で片末端にアルキル基を有するアルキレングリコール基、芳香族ウレイドアルキレン基、芳香族アルキレン基またはメルカプトアルキレン基であり、R2は炭素原子数1〜6のアルキル基、アリ−ル基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリ−ル基であり、R3は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アシル基またはアルキルアシル基であり、a=1,2または3であり、b=0,1または2であり、a+bは1,2または3である。
R1 aR2 bSi(OR3)4-a-b (2)
ここで、R1は炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基もしくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数5〜8のメタクリロキシアルキル基、炭素原子数2〜10のウレイドアルキレン基、グリシジルオキシ基で置換されたアルキル基で片末端にアルキル基を有するアルキレングリコール基、芳香族ウレイドアルキレン基、芳香族アルキレン基またはメルカプトアルキレン基であり、R2は炭素原子数1〜6のアルキル基、アリ−ル基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリ−ル基であり、R3は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アシル基またはアルキルアシル基であり、a=1,2または3であり、b=0,1または2であり、a+bは1,2または3である。
上記(A)アルコキシシランまたは/および(B)シラン化合物に、さらに下記式(3)で表現される(C)フルオロアルキルシランを添加して使用することができる。
R5 cR6 dSi(OR7)4-c-d (3)
ここで、R5は炭素原子数1〜12のフッ化アルキル基であり、R6は炭素原子数1〜6のアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基であり、R7は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基またはアシル基であり、c=1,2または3であり、d=0,1または2である。但し、c+d=1,2または3である。
R5 cR6 dSi(OR7)4-c-d (3)
ここで、R5は炭素原子数1〜12のフッ化アルキル基であり、R6は炭素原子数1〜6のアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基であり、R7は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基またはアシル基であり、c=1,2または3であり、d=0,1または2である。但し、c+d=1,2または3である。
低反射層を形成するシリカ微粒子とバインダーの固形分重量比は30:70〜95:5の範囲である。バインダーの量がこの範囲よりも多いと、微粒子がバインダーに埋まり、微粒子による凹凸粗さ値または膜内の空隙率が小さくなるので反射防止効果が小さくなる。また、バインダー量がこれよりも少ないと、微粒子とガラス基材間及び微粒子間の密着力が低下し、膜の機械的強度が弱くなる。反射率と膜強度とのバランスを考えれば、シリカ微粒子とバインダーの固体分重量比は、より好ましくは50:50〜85:15である。バインダーはシリカ微粒子の全表面に被覆されていることが好ましく、その被覆厚みは1〜100nmでかつ前記シリカ微粒子の平均粒径の2〜9%であることが好ましい。
低反射層を形成するためのコーティング液の調製は、シリカ微粒子の存在下で加水分解可能なケイ素化合物の加水分解を行うことによりなされ、それにより得られる膜の機械的強度が格段に向上する。シリカ微粒子の存在下で前記ケイ素化合物を加水分解する本発明の場合には、加水分解により生じた生成物と微粒子表面に存在するシラノールとの縮合反応が加水分解とほぼ同時に起こり、従って(1)シリカ微粒子表面の反応性がバインダー成分との縮合反応により向上し、(2)さらにその縮合反応が進むことによりシリカ微粒子表面がバインダーで被覆されていくので、バインダーがシリカ微粒子と樹脂基材との接着性向上に有効に利用される。
他方、もしシリカ微粒子が存在しない状態で前記ケイ素化合物の加水分解を行うと、加水分解生成物同士での縮合反応によりバインダー成分は高分子化する。この高分子化したバインダー成分とシリカ微粒子を混合してコーティング液の調製を行った場合には、(1)バインダー成分とシリカ微粒子間の縮合反応はほとんど生じないので、シリカ微粒子表面の反応性は乏しく、そして(2)シリカ微粒子表面がほとんどバインダーで被覆されていない。従って、樹脂基材とシリカ微粒子との接着性をバインダーとシリカ微粒子の接着性と同様に高めようとすると、より多くのバインダー成分を必要とする。
本発明において、低反射層のためのコーティング液は、シリカ微粒子、加水分解可能なケイ素化合物、加水分解のための触媒、シラノール基の縮合を促進する硬化触媒、水および溶媒を混合して、加水分解させる。例えば室温で1時間〜24時間攪拌して反応させるか、室温よりも高い温度、例えば40℃〜80℃で10分〜50分攪拌して反応させることができる。得られたコーティング液は、その後コーティング方法に応じて適当な溶媒で希釈しても構わない。
加水分解の触媒としては、酸触媒が最も有効であり、塩酸や硝酸などの鉱酸や酢酸などが例示される。酸触媒では、加水分解可能なケイ素化合物、例えばケイ化アルコキシドの加水分解反応の速度に比して縮重合反応速度が小さく、加水分解反応生成物であるM(OH)nを多量に生成させて、これがバインダーとして有効に作用するので好ましい。塩基性触媒では、加水分解反応の速度に比して縮重合反応速度が大きいので、金属アルコキシドは微粒子状の反応生成物となったり、もともと存在しているシリカ微粒子の粒径成長に使用され、その結果、金属アルコキシドのバインダーとしての作用が小さくなる。触媒の含有量はバインダーとなるケイ素化合物に対してモル比で0.001〜4であることが好ましい。
本発明のバインダー成分であるケイ素化合物の硬化時の反応は、部分的に加水分解したシラン化合物のシラノール基同士の縮合反応(シリカ微粒子表面のシラノール基も関与する)が主であり、縮合反応することで硬化し、塗膜としても緻密性が上がり、外部からの応力に対して強度が上がる。この反応を効率的に促進させるのが硬化触媒である。
前記シラノール基の縮合を促進させる硬化触媒としては、例えばキレート化合物、脂肪酸塩、第1級〜第3級アミン、ポリアルキレンアミン、スルフォン酸塩、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸アンモニウム等を挙げることができる。またこれらの化合物と有機メルカプタンやメルカプトアルキレンシランを併用することもできる。
キレート化合物としては、中心金属が例えばAl、Zr、Co、Zn、Sn、Mn、V、Cu、Ce、Cr、Ru、Ga、Cd、Feであり、配位化合物が例えばアセチルアセトン、ジ−n−ブトキシド−モノ−エチルアセテート、ジ−n−ブトキシド−モノ−メチルアセテート、メチルエチルケトオキシム、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、アセトオキシムを挙げることができる。
また、脂肪酸塩としては、例えば2−エチル−ヘキシル酸、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、酢酸、セバシン酸、ドデカン二酸、プロピオン酸、ブラシル酸、イソブチル酸、シトラコン酸、ジエチレンアミン四酢酸などのような脂肪酸の金属塩を挙げることができる。
これらのキレート化合物および脂肪酸塩のより具体的化合物としては、例えば酢酸ナトリウムのようなカルボン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、アルミニウムアセチルアセトンのようなアセチルアセトンの金属塩およびアンモニウム塩、エチルアセトアセテートの金属塩、およびアセチルアセトンとエチルアセトアセテートが配位した金属塩を挙げることができる。
さらに、上記第1級〜第3級アミンとしては、脂肪族アミン、芳香族アミン、アミノシラン等が好ましい。その例としては、ポリメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビスヘキサメチレントリアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジメチルアミノプロピルアミン、アミノエチルエタノールアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、N−アミノメチルピペラジン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メタキシレンジアミン、テトラクロロパラキシレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4'−メチレンジアニリン、ジアミノジフェニルスルフォン、ベンジジン、トルイジン、ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−チオジアニリン、4,4'−ビス(o−トルイジン)ジアニシジン、o−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、メチレンビス(o−クロロアニリン)、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルフォン、2,6−ジアミノピリジン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、4−メトキシ−6−メチル−m−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、N,N,N',N'−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、テトラメチルグアニジン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロパン、N,N'−ジメチルピペラジン、N,N'−ビス[(2−ヒドロキシ)プロピル]ピペラジン、N−メチルモルホリン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン、ピラジン、キノリン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチロール)フェノール、N−メチルピペラジン、ピロリジン、モルホリン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランおよびγ−アミノプロピルメチルジエトキシシランを挙げることができる。
硬化触媒は低反射層液の硬化後に残る重量の0.001〜10重量%の範囲で添加される。
上記バインダー成分であるケイ素化合物の加水分解に必要な水の添加量は、ケイ素化合物に対してモル比で0.1〜100が良い。水添加量がモル比で0.1より少ないと、ケイ素化合物の加水分解の促進が充分でなく、またモル比で100より多いと、液の安定性が低下する傾向になり好ましくない(ただしモル比はモノマー換算(オリゴマーの場合))。
上記溶媒は、実質的に上記ケイ素化合物を溶解すれば基本的に何でも良いが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピルセロソルブ類などのセロソルブ類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類が最も好ましい。上記溶媒に溶解させるケイ素化合物の濃度があまり高すぎると、分散させるシリカ微粒子の量も関係するが、膜中の上記微粒子の間に十分な空隙を生じさせることができなくなるので、20重量%以下とすることが好ましく、1〜20重量%の濃度が好ましい。
上記コーティング液を樹脂基材に塗布し、室温に置くかまたは加熱することにより、前記ケイ素属化合物加水分解物の脱水縮合反応、揮発成分の気化・燃焼が行われて、樹脂基材上に90nm〜350nmの平均厚みの低反射層が形成される。
また、低反射層の密着性、膜の強度、微粒子の固定能を上げるためには、バインダーとシリカ微粒子が2〜3次元重合し、その層が、基材あるいは下地層と相互作用することが必要となる。特開2001−278637号公報記載の発明では200℃以上の温度で上記2〜3次元重合を達成しているが、本発明では硬化触媒を選択することで低温(室温〜160℃)でも効率的に重合反応が生じることが特徴の一つである。
上記塗布の方法は、公知の技術を用いればよく、特に限定されないが、スピンコーター、ロールコーター、スプレーコーター、カーテンコーター等の装置を用いる方法や、浸漬引き上げ法(ディップコーティング法)、流し塗り法(フローコーティング法)などの方法や、スクリーン印刷、グラビア印刷、曲面印刷などの各種印刷法が用いられる。特に高沸点溶媒を必要とするようなコーティング方法、例えばフレキソ印刷やグラビア印刷などの印刷法では、グリコール類は有効な溶媒であり、理由は定かでないが、グリコール類は微粒子の凝集を抑制し、ヘイズの少ない低反射層を作製するには好都合な溶媒である。コーティング液中に含まれるグリコールの重量比率は5%以上80%以下で添加すると良い。
樹脂基材によっては、上記コーティング液をはじくなどして均一に塗布できない場合があるが、これは基材表面の洗浄や表面改質を行うことで改善できる。洗浄や表面改質の方法としては、アルコール、アセトン、ヘキサンなどの有機溶媒による脱脂洗浄、アルカリや酸による洗浄、研磨剤により表面を研磨する方法、超音波洗浄、紫外線照射処理、紫外線オゾン処理、プラズマ処理などが挙げられる。
塗布後の加熱処理は、シリカ微粒子およびバインダーからなる膜と樹脂基材の密着性を上げるのに有効な方法である。処理温度としては室温以上で樹脂基材が損なわれない温度、例えば室温〜160℃、加熱時間は数秒から数時間が好ましい。より好ましくは、70〜130℃で2分〜1時間である。
本発明の低反射層は樹脂基材の一方表面または両表面に形成される。樹脂基材の両表面が空気、気体のような屈折率が1に近い媒体に面して使用される場合は、この膜を樹脂基材の両表面に形成させる方が高い反射防止効果が得られる。
しかし、樹脂基材の一方表面が樹脂基材の屈折率に近い屈折率を有する媒体に面して使用される場合、例えば樹脂板と1枚のガラス板がその間にポリビニルブチラールのような透明樹脂層を介して接合される合わせ透明板では、樹脂板と透明樹脂層との界面での可視光反射は無視することができるので、低反射層は、透明樹脂層に面する樹脂板表面には形成させずに、樹脂板の外側表面のみに形成させるだけで十分である。
2.ハードコート層
ハードコート液は、シリコン−アクリル系紫外線硬化型ハードコート(ハードコート液a)と熱硬化型ハードコート液(ハードコート液b)が使用される。
熱硬化型ハードコート液(ハードコート液b)としては、下記(4)の(D)アルコキシシランおよび(E)コロイダルシリカを含有する。
ハードコート液は、シリコン−アクリル系紫外線硬化型ハードコート(ハードコート液a)と熱硬化型ハードコート液(ハードコート液b)が使用される。
熱硬化型ハードコート液(ハードコート液b)としては、下記(4)の(D)アルコキシシランおよび(E)コロイダルシリカを含有する。
(D)アルコキシシランは下記式(4)で表される。
R8 aR9 bSi(OR10)4-a-b (4)
ここで、R8は炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基もしくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数5〜8のメタクリロキシアルキル基、炭素原子数2〜10のウレイドアルキレン基、グリシジルオキシ基で置換されたアルキル基で片末端にアルキル基を有するアルキレングリコール基、芳香族ウレイドアルキレン基、芳香族アルキレン基またはメルカプトアルキレン基であり、R9は炭素原子数1〜6のアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基であり、R10は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アシル基またはアルキルアシル基であり、a=1、2または3であり、b=0、1または2であり、a+b=1,2または3である。
R8 aR9 bSi(OR10)4-a-b (4)
ここで、R8は炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基もしくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数5〜8のメタクリロキシアルキル基、炭素原子数2〜10のウレイドアルキレン基、グリシジルオキシ基で置換されたアルキル基で片末端にアルキル基を有するアルキレングリコール基、芳香族ウレイドアルキレン基、芳香族アルキレン基またはメルカプトアルキレン基であり、R9は炭素原子数1〜6のアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基であり、R10は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アシル基またはアルキルアシル基であり、a=1、2または3であり、b=0、1または2であり、a+b=1,2または3である。
(E)コロイダルシリカとしては、5〜100nmの粒径を有するものが用いられる。
熱硬化型ハードコート液は(D)アルコキシシラン100重量部に対して(E)コロイダルシリカを5〜100重量部含有する。
熱硬化型ハードコート液は(D)アルコキシシラン100重量部に対して(E)コロイダルシリカを5〜100重量部含有する。
前記ハードコート液bはさらに加水分解触媒、硬化触媒および溶媒を含有する。前記ハードコート液a、bは、後述のように防眩性を付与するために必要に応じ、0.05〜10μmの平均粒径を有する微粒子を含むことができる。
3.中間層
ハードコート層の接着性または低反射層の接着性向上のために中間層を設けることができる。中間層のための塗布液としては次のものが挙げられる。
アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートの重合体および有機珪素化合物を含有する中間層塗布液であり、前記アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートの重合体はアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートのホモポリマーであり、前記有機珪素化合物は下記式(5)
R11 nSi(R12)4-n (5)
ここで、R11はメタクリロキシ基、アクリロキシ基、ビニル基、アリール基、アミノ基から選ばれる官能基を有する有機官能基であり、R12はアルコキシル基、アセトキシル基及び塩素から選ばれる1種もしくは複数の加水分解基であり、nは1,2または3で表される有機珪素化合物である。また、前記有機珪素化合物はアクリル基またはメタクリル基を有するアルコキシシランである。
ハードコート層の接着性または低反射層の接着性向上のために中間層を設けることができる。中間層のための塗布液としては次のものが挙げられる。
アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートの重合体および有機珪素化合物を含有する中間層塗布液であり、前記アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートの重合体はアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートのホモポリマーであり、前記有機珪素化合物は下記式(5)
R11 nSi(R12)4-n (5)
ここで、R11はメタクリロキシ基、アクリロキシ基、ビニル基、アリール基、アミノ基から選ばれる官能基を有する有機官能基であり、R12はアルコキシル基、アセトキシル基及び塩素から選ばれる1種もしくは複数の加水分解基であり、nは1,2または3で表される有機珪素化合物である。また、前記有機珪素化合物はアクリル基またはメタクリル基を有するアルコキシシランである。
また、場合により前記アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートの重合体に代えて、アルコキシシリル基を有するアクリルまたはメタクリル単量体とアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートとのコポリマーを用いてもよい。アルコキシシリル基を有するアクリルまたはメタクリル単量体の配合比はアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートの重合体(またはコポリマー)100重量部に対して1〜70重量部であり、好ましくは2〜40重量部である。前記中間層塗布液は、溶媒および、さらに、一部または全部をアルキルエーテル化したメチロールメラミンを含有し、また場合により、紫外線吸収剤および塗布性改善のための界面活性剤の少なくとも一方を含有する。紫外線吸収剤を含有させることにより可視域での透過率を下げることなく紫外線透過率を低くすることができる。
4.防眩層
本発明で得られる低反射処理物品に防眩性を与えるために、0.05μm(50nm)〜10μmの平均粒径を有する微粒子をハードコート層または中間層に含有させることができる。
本発明で得られる低反射処理物品に防眩性を与えるために、0.05μm(50nm)〜10μmの平均粒径を有する微粒子をハードコート層または中間層に含有させることができる。
平均粒径0.05μm〜10μmの微粒子としては金属または無機化合物からなる微粒子が好ましく用いられる。その微粒子のより好ましい平均粒径は2〜10μmであり、さらに好ましい平均粒径は4〜8μmである。前記微粒子の添加により特にディスプレイ用途では、周囲の光の映り込みを低減でき画像表示が鮮明になる。
金属または無機化合物からなる前記防眩性付与微粒子の材質としては、例えばSi,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,In,Ti,Mgやその酸化物、それらの複合酸化物、あるいはCaCO3,BaSO4等を挙げることができる。これらは1種または2種以上組合せて使用することができる。これらのうち、SiO2が最も好ましい。
これらの防眩性付与微粒子は、溶媒への分散性を高めるため有機シラン化合物や、有機化合物で表面改質して用いることができる。有機シラン化合物としては、コロイダルシリカの表面改質のために例示した有機シラン化合物、とりわけ単官能シランが好ましく用いられる。
これらの防眩性付与微粒子は球状あるいは球状に近いほど好ましく、また中実粒子であっても多孔質粒子であってもよい。またその屈折率は前記微粒子を除いた残余のハードコート液の光硬化物の屈折率と同じか小さい方が好ましい。こうすることにより膜厚ムラによる干渉ムラが低減され易くなる。
5.基材樹脂およびその表面の親水化処理
樹脂基材は板、フィルム、シートを形成する合成樹脂製の基材であればよく、合成樹脂の種類などには限定がないが、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状オレフィン含有樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、スチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂等の透明な合成樹脂が好ましく用いられる。
樹脂基材は板、フィルム、シートを形成する合成樹脂製の基材であればよく、合成樹脂の種類などには限定がないが、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状オレフィン含有樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、スチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂等の透明な合成樹脂が好ましく用いられる。
合成樹脂の表面は親水化処理して被覆層の接着性を挙げる必要があるが、基本的に樹脂表面を親水化できる処理ならなんでも良い。例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理、オゾン水洗浄、有機過酸化物処理などの表面を酸化する処理が用いられる。この工程を行う事で密着性が特に改善できる。更に、表面の有機物汚れを除去できる。
目標とする樹脂の表面状態としては、水滴接触角を60°以下の状態にする必要があり、この状態をXPSで表面の元素組成を見ると、親水処理前に比べて酸素量が多く、その酸素は水酸基、カルボニル基、カルボキシル基の形で樹脂表面近傍にのみ導入されている。これらの官能基が被膜との結合部位となる事で、密着性の良好な被膜が形成できる。この時の樹脂表面での酸素と炭素比(O/C)
が0.08以上であれば、さらに密着性が良好な被膜を形成可能である。
が0.08以上であれば、さらに密着性が良好な被膜を形成可能である。
また、特殊な樹脂として、スチレン・メチルメタアクリレート共重合体樹脂がある。このスチレン・メチルメタアクリレート共重合体樹脂はポリスチレンの良成形性、低吸水率、高屈折率とポリメタクリル酸メチル(アクリル樹脂)の高透明性、耐候性、高硬度等両方の特徴を兼ね備えた樹脂である。
しかし、このスチレン・メチルメタアクリレート共重合体樹脂基材の表面処理をする場合は、スチレンの特性を含んでいるため、通常の表面処理液では被膜の付着性が得られないという欠点がある。
そこで、スチレン・メチルメタクリレート樹脂基材にベンジルアルコールのようなベンゼン環と水酸基を構造中に持つ溶媒を含む表面処理液を塗布することで、本発明の低反射層の被膜の付着性を良くすることができる。
このとき、熱硬化ハードコート層用の塗布液、UV硬化型ハードコート層用の塗布液、中間層用の塗布液、低反射層用の塗布液中にベンジルアルコールまたはそれに類似の構造をもつ物質を溶媒の一部または全部として、通常は溶媒への添加剤として含ませることが、硬化前の各層の密着性を保つために望ましい。
ベンジルアルコールまたはこれに類似の構造をもつ溶媒としては、ベンゼン環と水酸基を構造中に持つ物質が挙げられ、下記溶媒が挙げられる。
ベンジルアルコール、p−ニトロベンジルアルコール、p−ヒドロキシフェネチルアルコール、2−フェノキシエタノール、ジメチルベンジルカルビノール、β―フェニルエチルアルコール、フェノール、2−アミノー4−クロロフェノール、アミノフェノール(o、m、p)、安息香酸、アントラニル酸、イソフタル酸、p−エチルフェノール、p−オキシ安息香酸メチル、p−オクチルフェノール、カテコール、キレノール酸、グアヤコール、グエトール、クレゾール、サリチル酸、2,6−ジクロロー4−アミノフェノール、2,4−ジニトロフェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,3,5−トリメチルハイドロキノン、p−ヒドロキシ安息香酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸メチルエステル、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、ヒドロキシプロピオフェノン、ヒドロキシベンズアルデヒト、2−t−ブチルヒドロキノン、p−t−ブチルフェノール、フロログリシノール、レゾルシン、イソオイゲノール、エチルバニリン、オイゲノール、ケイ皮アルコール、サリチル酸メチル、テルピネオール、バニリン。
ベンジルアルコール、p−ニトロベンジルアルコール、p−ヒドロキシフェネチルアルコール、2−フェノキシエタノール、ジメチルベンジルカルビノール、β―フェニルエチルアルコール、フェノール、2−アミノー4−クロロフェノール、アミノフェノール(o、m、p)、安息香酸、アントラニル酸、イソフタル酸、p−エチルフェノール、p−オキシ安息香酸メチル、p−オクチルフェノール、カテコール、キレノール酸、グアヤコール、グエトール、クレゾール、サリチル酸、2,6−ジクロロー4−アミノフェノール、2,4−ジニトロフェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,3,5−トリメチルハイドロキノン、p−ヒドロキシ安息香酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸メチルエステル、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、ヒドロキシプロピオフェノン、ヒドロキシベンズアルデヒト、2−t−ブチルヒドロキノン、p−t−ブチルフェノール、フロログリシノール、レゾルシン、イソオイゲノール、エチルバニリン、オイゲノール、ケイ皮アルコール、サリチル酸メチル、テルピネオール、バニリン。
また、前記ベンジルアルコールまたはこれに類似の構造をもつ溶媒量が、液全体の重量100重量部に対し、20重量部から0.01重量部の割合で含まれる表面処理液が、基材との付着性および表面処理液の安定性から望ましい。
また、上記基本組成に追加して、屈折率調整剤としてn=1.40以下の化合物を低反射層液に添加する。具体的にはシランカップリング剤等で表面処理されたフッ化ケイ素化合物あるいは未処理フッ化ケイ素化合物、あるいは溶媒中に分散されたフッ化ケイ素化合物を、低反射液の固形分100重量部に対し、フッ化ケイ素化合物の固形分の重量比率で0.1〜110重量部の比率で添加する。
他に屈折率調整剤として使用できるフッ素化合物は、MgF2(n=1.38)、Na2AlF6(n=1.38)、CaF2(n=1.20−1.30)である。
他に屈折率調整剤として使用できるフッ素化合物は、MgF2(n=1.38)、Na2AlF6(n=1.38)、CaF2(n=1.20−1.30)である。
本発明の低反射樹脂物品を、例えば、自動車用途に使用する場合には、低反射層を被覆した樹脂基材は、更にその表面に撥水性被膜または防曇性被膜を被覆することができる。撥水性被膜を被覆することにより撥水性能が得られ、また汚れが付着した場合、更に汚れ除去性も改善できる。本発明の低反射層の上に撥水性被膜を被覆することにより得られる撥水性は、無処理の樹脂基材表面を同じ撥水剤で処理した場合に比して優れた撥水性を示す。また防曇性被膜を被覆することにより防曇性能が得られ、また汚れが付着した場合、汚れ除去性も改善できる。
樹脂基材の両表面に低反射層を被覆し、その上に撥水性被膜を被覆してもよく、樹脂基材の片側表面に低反射層を被覆し、低反射層および無処理樹脂基材表面の両方、またはその一方の上に撥水性被膜を被覆してもよい。
同様に樹脂基材の両表面に低反射層を被覆し、その上に防曇性被膜を被覆してもよく、樹脂基材の片側表面に低反射層を被覆し、低反射層および無処理の樹脂基材表面の両方またはその一方の上に防曇性被膜を被覆してもよい。
また、樹脂基材の両側表面に低反射層が被覆され、片側の前記膜の表面(車内側、屋内側)に防曇性被膜が被覆され、他方側の前記層膜面(車外側、屋外側)に撥水性被膜が被覆されていることが好ましく、また、樹脂基材の片側表面(車内側、屋内側)のみに低反射層が被覆され、前記膜の表面に防曇性被膜が被覆され、前記樹脂基材の他方側表面(車外側、屋外側)に、撥水性被膜が被覆されていることが好ましい。低反射層の上に、上記防曇性被膜、撥水性被膜が被覆されても、反射率はほとんど変化せず低い反射率が保たれる。
本発明の低反射樹脂物品は、透視性・視認性や車内反射像の映り込み防止が特に必要な自動車、鉄道などの車両の窓;建築用窓、ショーウインドウ、画像表示装置の前面樹脂基板、または光学樹脂部品;太陽熱温水器の前面樹脂基板;太陽電池パネルの前面樹脂基板、太陽電池基板用樹脂基板のような太陽電池用樹脂基板等に用いられる。
また、さらに、ディスプレイ(ノート型パソコン、モニター、PDP、PDA)の最表面、タッチパネルモニターの最表面、携帯電話窓、ピックアップレンズ、光学レンズ、眼鏡レンズ、光学フィルター、光学部品の端面、車両用透明部品(ヘッドライトカバー、窓)、車両用不透明部品(インスツルメントパネル表面)、メーターカバーなどに用いることができる。
また、本発明のコーティング液を樹脂基材に直接塗布しても低反射物品が得られるが、ガラス基材などの各種基材に本発明の低反射層を被覆した透明又は不透明の樹脂製のシート又はフィルムを貼り付けるなどして低反射物品を得ることもできる。
また、さらに、ディスプレイ(ノート型パソコン、モニター、PDP、PDA)の最表面、タッチパネルモニターの最表面、携帯電話窓、ピックアップレンズ、光学レンズ、眼鏡レンズ、光学フィルター、光学部品の端面、車両用透明部品(ヘッドライトカバー、窓)、車両用不透明部品(インスツルメントパネル表面)、メーターカバーなどに用いることができる。
また、本発明のコーティング液を樹脂基材に直接塗布しても低反射物品が得られるが、ガラス基材などの各種基材に本発明の低反射層を被覆した透明又は不透明の樹脂製のシート又はフィルムを貼り付けるなどして低反射物品を得ることもできる。
以下、本発明の各実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されることはない。以下の実施例及び比較例において、光学特性はJIS-R3106により、下記の方法により付着性試験、耐擦傷性、接触角、光学特性(可視光線反射率、可視光線透過率、350nmの透過率、ヘイズ率)を調べた。
(a)付着性試験:
碁盤目試験JIS K5400に準拠して行った。すなわち、ニチバン(株)製のセロハンテープを被膜上に貼り付けた後に、勢い良く引き剥がす方法で、耐湿試験前(初期)と耐湿試験(50℃、95%RHの槽内に10日間)後の被膜の密着性(易接着性)および耐透湿性を評価し、ハードコート被膜の100個のます目のうち剥がれたます目の数によって次の基準で判定した。
剥がれたます目の数 0−−−−−−「剥離なし」
剥がれたます目の数 1〜5−−−−「極一部で剥離」
剥がれたます目の数 6〜50−−−「部分的に剥離」
剥がれたます目の数 51〜99−−「剥離大」
剥がれたます目の数 100−−−−「全面剥離」
(b)耐擦傷性(キズ付き性):
綿布を250g/cm2荷重で10回往復して試料の表面を擦って、キズ付きかたを目視で判定した。判定基準は以下の4段階で行った。
1…基材まで傷が達しており、透過光で多数の傷が見える。
2…反射光で5本以上の傷があり、透過光で見ても傷が数本見える。
3…反射光で低反射層を見た場合に5本以上傷が見える。
4…反射光で数本傷が見える。
5…傷が全く見えない。
(c)接触角測定:0.1ccの純水滴との接触角を測定した。接触角が大きいほど防汚性が高いことを表している。
(d)光学特性測定:JIS R3212に準拠して可視光線反射率(%)及び透過率(%)を測定し、JIS K7105−1981に準拠して350nmの波長光の透過率(%)及びヘイズ値(曇価)を測定した。
碁盤目試験JIS K5400に準拠して行った。すなわち、ニチバン(株)製のセロハンテープを被膜上に貼り付けた後に、勢い良く引き剥がす方法で、耐湿試験前(初期)と耐湿試験(50℃、95%RHの槽内に10日間)後の被膜の密着性(易接着性)および耐透湿性を評価し、ハードコート被膜の100個のます目のうち剥がれたます目の数によって次の基準で判定した。
剥がれたます目の数 0−−−−−−「剥離なし」
剥がれたます目の数 1〜5−−−−「極一部で剥離」
剥がれたます目の数 6〜50−−−「部分的に剥離」
剥がれたます目の数 51〜99−−「剥離大」
剥がれたます目の数 100−−−−「全面剥離」
(b)耐擦傷性(キズ付き性):
綿布を250g/cm2荷重で10回往復して試料の表面を擦って、キズ付きかたを目視で判定した。判定基準は以下の4段階で行った。
1…基材まで傷が達しており、透過光で多数の傷が見える。
2…反射光で5本以上の傷があり、透過光で見ても傷が数本見える。
3…反射光で低反射層を見た場合に5本以上傷が見える。
4…反射光で数本傷が見える。
5…傷が全く見えない。
(c)接触角測定:0.1ccの純水滴との接触角を測定した。接触角が大きいほど防汚性が高いことを表している。
(d)光学特性測定:JIS R3212に準拠して可視光線反射率(%)及び透過率(%)を測定し、JIS K7105−1981に準拠して350nmの波長光の透過率(%)及びヘイズ値(曇価)を測定した。
1.UV硬化型ハードコート液の処理
1−1 UV硬化型ハードコート液1
入手可能な紫外線硬化型ハードコート液として、MP−1175UV(SDC Coatigs.Inc.製)を入手し、テストを実施した。
上記ハードコート液を、硬化後の膜厚が3〜5μmになるように、スピナー法により塗布し、その後、120W/cmの出力の紫外線ランプにより、総紫外線照射エネルギーが 約800(mJ/cm2)になるように約10秒間照射し、塗布膜を硬化した。
硬化後の膜厚は表面粗さ計(サーフコム110B/株式会社東京精密製)で測定した。総紫外線照射エネルギー値は積算光量計(型式:UIT−102 ウシオ電機株式会社製)で測定した。
1−1 UV硬化型ハードコート液1
入手可能な紫外線硬化型ハードコート液として、MP−1175UV(SDC Coatigs.Inc.製)を入手し、テストを実施した。
上記ハードコート液を、硬化後の膜厚が3〜5μmになるように、スピナー法により塗布し、その後、120W/cmの出力の紫外線ランプにより、総紫外線照射エネルギーが 約800(mJ/cm2)になるように約10秒間照射し、塗布膜を硬化した。
硬化後の膜厚は表面粗さ計(サーフコム110B/株式会社東京精密製)で測定した。総紫外線照射エネルギー値は積算光量計(型式:UIT−102 ウシオ電機株式会社製)で測定した。
1−2 UV硬化型ハードコート液2(防眩性付与)
MP−1175UV(SDC Coatigs.Inc.製)100gに平均粒子径が6μmのシリカ微粒子を0.8g添加し、撹拌し均質に分散させた。
バーコーターで、硬化時の膜厚が4μmになるように塗布し、120W/cmの出力の紫外線ランプにより、総紫外線照射エネルギーが300(mJ/cm2)になるように約10秒間照射し、塗布膜を硬化した。
MP−1175UV(SDC Coatigs.Inc.製)100gに平均粒子径が6μmのシリカ微粒子を0.8g添加し、撹拌し均質に分散させた。
バーコーターで、硬化時の膜厚が4μmになるように塗布し、120W/cmの出力の紫外線ランプにより、総紫外線照射エネルギーが300(mJ/cm2)になるように約10秒間照射し、塗布膜を硬化した。
2.熱硬化型ハードコート液の処理
2−1.熱硬化型ハードコート液1
シリカ微粒子分散液(平均粒子径50nm、粒径の標準偏差1.4、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分20%、日産化学工業(株)製スノーテックスOL)150g、メチルトリメトキシシラン183gを反応させた後、イソプロピルアルコール508g、n−ブタノール140g、酢酸18g、酢酸ナトリウム1gを添加し、撹拌させ均一にした後、塗膜の外観改善(レベリング)剤であるペインタッド32(ダウ・コーニング・アジア社製)を0.1g添加し、撹拌させ熱硬化型のハードコート液1を得た。
2−1.熱硬化型ハードコート液1
シリカ微粒子分散液(平均粒子径50nm、粒径の標準偏差1.4、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分20%、日産化学工業(株)製スノーテックスOL)150g、メチルトリメトキシシラン183gを反応させた後、イソプロピルアルコール508g、n−ブタノール140g、酢酸18g、酢酸ナトリウム1gを添加し、撹拌させ均一にした後、塗膜の外観改善(レベリング)剤であるペインタッド32(ダウ・コーニング・アジア社製)を0.1g添加し、撹拌させ熱硬化型のハードコート液1を得た。
2−2.熱硬化型ハードコート液2(熱硬化型ハードコート液へのベンジルアルコールの添加)
シリカ微粒子分散液(平均粒子径50nm、粒径の標準偏差1.4、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分20%、日産化学工業(株)製スノーテックスOL)150g、メチルトリメトキシシラン183gを反応させた後、イソプロピルアルコール508g、ノルマルブタノール140g、酢酸18g、酢酸ナトリウム1gを添加し、撹拌させ均一にした後、前記ペインタッド32(ダウ・コーニング・アジア社製)を0.1g添加して撹拌させ、その後ベンジルアルコールを10g添加(液重量に対して5重量%)して撹拌させ熱硬化型のハードコート液を得た。
シリカ微粒子分散液(平均粒子径50nm、粒径の標準偏差1.4、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分20%、日産化学工業(株)製スノーテックスOL)150g、メチルトリメトキシシラン183gを反応させた後、イソプロピルアルコール508g、ノルマルブタノール140g、酢酸18g、酢酸ナトリウム1gを添加し、撹拌させ均一にした後、前記ペインタッド32(ダウ・コーニング・アジア社製)を0.1g添加して撹拌させ、その後ベンジルアルコールを10g添加(液重量に対して5重量%)して撹拌させ熱硬化型のハードコート液を得た。
3.中間層液の処理
3−1.中間層液1
エチルセロソルブ400g、メタクリル酸エチル160g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン40gの混合物を、窒素雰囲気下で75℃に保ちつつ、ベンゾイルパーオキサイド1gを加え、エチルセロソルブ200gに溶かした溶液を2時間かけて加え、さらに6時間、75℃に保つ。その後、エチルセロソルブ1400g、過塩素酸アンモニウムの10%の水溶液を2g、紫外線吸収剤として2,2’−ジヒドロキシー4−メトキシベンゾフェノン100g、塗膜の外観改善(レベリング)剤であるペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を0.2g添加し、撹拌させて熱硬化型の中間層液を得た。
3−1.中間層液1
エチルセロソルブ400g、メタクリル酸エチル160g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン40gの混合物を、窒素雰囲気下で75℃に保ちつつ、ベンゾイルパーオキサイド1gを加え、エチルセロソルブ200gに溶かした溶液を2時間かけて加え、さらに6時間、75℃に保つ。その後、エチルセロソルブ1400g、過塩素酸アンモニウムの10%の水溶液を2g、紫外線吸収剤として2,2’−ジヒドロキシー4−メトキシベンゾフェノン100g、塗膜の外観改善(レベリング)剤であるペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を0.2g添加し、撹拌させて熱硬化型の中間層液を得た。
3−2.中間層液2(中間層液へのベンジルアルコールの添加)
エチルセロソルブ400g、メタクリル酸エチル160g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン40gの混合物を、窒素雰囲気下で75℃に保ちつつ、ベンゾイルパーオキサイド1gを加え、エチルセロソルブ200gに溶かした溶液を2時間かけて加え、さらに6時間、75℃に保つ。その後、エチルセロソルブ1400g、過塩素酸アンモニウムの10%の水溶液を2g、2,2’−ジヒドロキシー4−メトキシベンゾフェノン100g、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を0.2g添加し撹拌させ、その後ベンジルアルコールを200g添加して撹拌させ、熱硬化型の中間層液を得た。
エチルセロソルブ400g、メタクリル酸エチル160g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン40gの混合物を、窒素雰囲気下で75℃に保ちつつ、ベンゾイルパーオキサイド1gを加え、エチルセロソルブ200gに溶かした溶液を2時間かけて加え、さらに6時間、75℃に保つ。その後、エチルセロソルブ1400g、過塩素酸アンモニウムの10%の水溶液を2g、2,2’−ジヒドロキシー4−メトキシベンゾフェノン100g、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を0.2g添加し撹拌させ、その後ベンジルアルコールを200g添加して撹拌させ、熱硬化型の中間層液を得た。
4.低反射層液の処理
4−1.低反射層液1
シリカ微粒子分散液(平均粒子径50nm、粒径の標準偏差1.4、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分20%、日産化学工業(株)製スノーテックスOL)38gを撹拌しながら、水12g、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシラン8.7gを添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置して反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒として酢酸ナトリウムを添加し、撹拌して液を均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液1を得た。
4−1.低反射層液1
シリカ微粒子分散液(平均粒子径50nm、粒径の標準偏差1.4、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分20%、日産化学工業(株)製スノーテックスOL)38gを撹拌しながら、水12g、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシラン8.7gを添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置して反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒として酢酸ナトリウムを添加し、撹拌して液を均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液1を得た。
4−2.低反射層液2
シリカ微粒子分散液(平均粒子径50nm、粒径の標準偏差1.4、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分20%、日産化学工業(株)製スノーテックスOL)38gを撹拌しながら、水12g、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート40」(平均重合度n=5、コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒として酢酸ナトリウムを添加し、撹拌して液を均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液2を得た。
シリカ微粒子分散液(平均粒子径50nm、粒径の標準偏差1.4、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分20%、日産化学工業(株)製スノーテックスOL)38gを撹拌しながら、水12g、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート40」(平均重合度n=5、コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒として酢酸ナトリウムを添加し、撹拌して液を均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液2を得た。
4−3.低反射層液3
シリカ微粒子分散液(平均粒子径70nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分40%、日産化学工業(株)製スノーテックスYL)19gを撹拌しながら、水31g、エチルセロソルブ20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート48」(平均重合度n=8、コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒として酢酸ナトリウムを添加し、撹拌し均一にする。その後、導電性界面活性剤としてFZ−2105(日本ユニカー(株)製)を4g添加し、低反射層液3を得た。
シリカ微粒子分散液(平均粒子径70nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.1、固形分40%、日産化学工業(株)製スノーテックスYL)19gを撹拌しながら、水31g、エチルセロソルブ20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート48」(平均重合度n=8、コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒として酢酸ナトリウムを添加し、撹拌し均一にする。その後、導電性界面活性剤としてFZ−2105(日本ユニカー(株)製)を4g添加し、低反射層液3を得た。
4−4.低反射層液4
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート48」(平均重合度n=8、コルコート(株)製)5.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒として酢酸ナトリウムを添加し、撹拌し均一にする。その後、導電性界面活性剤としてFZ−2105(日本ユニカー(株)製)を4g添加し、低反射層液4を得た。
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート48」(平均重合度n=8、コルコート(株)製)5.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒として酢酸ナトリウムを添加し、撹拌し均一にする。その後、導電性界面活性剤としてFZ−2105(日本ユニカー(株)製)を4g添加し、低反射層液4を得た。
4−5.低反射層液5
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃硝酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート40」(コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液5を得た。
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃硝酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート40」(コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液5を得た。
4−6.低反射層液6
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート40」(コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、撥水付与成分としてパーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン1.1gを添加し、2時間撹拌し、その後24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液6を得た。
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシランのオリゴマー「エチルシリケート40」(コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、撥水付与成分としてパーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン1.1gを添加し、2時間撹拌し、その後24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液6を得た。
4−7.低反射層液7
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)40gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラメトキシシランとテトラエトキシシランの共重合オリゴマー(EMS−485、平均重合度n=8、シリケートの官能基がメトキシ基50%、エトキシ基50%の複合になっている。コルコート(株)製)11g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液7を得た。
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)40gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラメトキシシランとテトラエトキシシランの共重合オリゴマー(EMS−485、平均重合度n=8、シリケートの官能基がメトキシ基50%、エトキシ基50%の複合になっている。コルコート(株)製)11g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液7を得た。
4−8.低反射層液8
中空シリカ分散ゾル(平均粒子径33nm、固形分20%、触媒化成工業(株)製ELCOM V−8203)35gを攪拌しながら、水6gを添加し、次いでテトラメトキシシランのオリゴマー「MSH4」(不揮発成分21%、三菱化学(株)製)73gを添加し、1時間攪拌させた後、24時間静置して反応させた。その後、イソプロピルアルコール840gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、攪拌して液を均一にし、低反射層液8を得た。
中空シリカ分散ゾル(平均粒子径33nm、固形分20%、触媒化成工業(株)製ELCOM V−8203)35gを攪拌しながら、水6gを添加し、次いでテトラメトキシシランのオリゴマー「MSH4」(不揮発成分21%、三菱化学(株)製)73gを添加し、1時間攪拌させた後、24時間静置して反応させた。その後、イソプロピルアルコール840gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、攪拌して液を均一にし、低反射層液8を得た。
4−9.低反射層液9
中空シリカ分散ゾル(平均粒子径33nm、固形分20%、触媒化成工業(株)製ELCOM V−8203)65gを攪拌しながら、水3gを添加し、次いでテトラメトキシシランのオリゴマー「MSH4」(不揮発成分21g、三菱化学(株)製)36gを添加し、1時間攪拌させた後、24時間静置して反応させた。その後、イソプロピルアルコール840gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、攪拌して液を均一にし、低反射層液9を得た。
中空シリカ分散ゾル(平均粒子径33nm、固形分20%、触媒化成工業(株)製ELCOM V−8203)65gを攪拌しながら、水3gを添加し、次いでテトラメトキシシランのオリゴマー「MSH4」(不揮発成分21g、三菱化学(株)製)36gを添加し、1時間攪拌させた後、24時間静置して反応させた。その後、イソプロピルアルコール840gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、攪拌して液を均一にし、低反射層液9を得た。
4−10.低反射層10
鎖状凝集シリカ微粒子分散液(平均一次粒子径25nm、平均長さ100nm、固形分15%、日産化学工業(株)製 スノーテックスOUP)56gを撹拌しながら、エタノール20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシラン5.2g添加し、2時間撹拌させた後24時間静置し反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液10を得た。
鎖状凝集シリカ微粒子分散液(平均一次粒子径25nm、平均長さ100nm、固形分15%、日産化学工業(株)製 スノーテックスOUP)56gを撹拌しながら、エタノール20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシラン5.2g添加し、2時間撹拌させた後24時間静置し反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液10を得た。
4−11.低反射層液11(モノマー+硬化触媒なし)
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃硝酸1gを添加し、次いで、エチルシリケート28(テトラエトキシシランの商品名/コルコート(株)製)8.6g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液11を得た。
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃硝酸1gを添加し、次いで、エチルシリケート28(テトラエトキシシランの商品名/コルコート(株)製)8.6g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液11を得た。
4−12.低反射層液12(低反射層液5へのベンジルアルコールの添加)
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃硝酸1gを添加し、次いで、エチルシリケート40(コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、その後ベンジルアルコールを2.4g添加し、撹拌させ、低反射層液12を得た。
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃硝酸1gを添加し、次いで、エチルシリケート40(コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、その後ベンジルアルコールを2.4g添加し、撹拌させ、低反射層液12を得た。
4−13.低反射層液13(低反射層液10の変形)
鎖状凝集シリカ微粒子分散液(平均一次粒子径25nm、平均長さ100nm、 固形分15%、日産化学工業(株)製 スノーテックスOUP)56gを撹拌しながら、 エタノール20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシラン5.2g添加し、2時間撹拌させた後、その後24時間静置し、反応させた。その後、膜の屈折率を減少させるための粉末状のフッ化カルシウム5.0gを添加し、均一分散させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し希釈した後、硬化触媒として過塩素酸マグネシウムを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液13を得た。
鎖状凝集シリカ微粒子分散液(平均一次粒子径25nm、平均長さ100nm、 固形分15%、日産化学工業(株)製 スノーテックスOUP)56gを撹拌しながら、 エタノール20g、濃塩酸1gを添加し、次いで、テトラエトキシシラン5.2g添加し、2時間撹拌させた後、その後24時間静置し、反応させた。その後、膜の屈折率を減少させるための粉末状のフッ化カルシウム5.0gを添加し、均一分散させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し希釈した後、硬化触媒として過塩素酸マグネシウムを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液13を得た。
4−14.低反射層液14(低反射層液10の変形)
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃硝酸1gを添加し、次いで、エチルシリケート40(コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、膜の屈折率を減少させるための粉末状のフッ化カルシウム10.0gを添加し、均一分散させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し希釈した後、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液14を得た。
シリカ微粒子分散液(平均粒子径110nm、粒径の標準偏差1.3、長軸長さと短軸長さの比の平均値1.03、固形分15%、日本触媒(株)製 シーホスターKE−W10)50gを撹拌しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテル20g、濃硝酸1gを添加し、次いで、エチルシリケート40(コルコート(株)製)6.3g添加し、2時間撹拌させた後、24時間静置し、反応させた。その後、膜の屈折率を減少させるための粉末状のフッ化カルシウム10.0gを添加し、均一分散させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル164gを添加し希釈した後、更に硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトンを添加し、撹拌し均一にする。その後、前記ペインタッド19(ダウ・コーニング・アジア社製)を4g添加し、低反射層液14を得た。
前記低反射層液1〜14をスピンコートにより塗布し、所定時間80〜120℃で15分〜30分間加熱させ、得られた低反射層(膜厚110nm)の反射率を測定した。
5.撥水処理液
パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン1gにプロピレングリコールモノメチルエーテルを99g添加し、撹拌させながら、純水を0.5g添加し、更に酢酸を1g添加し、液が透明になるまで撹拌させた。その後、エタノールを900g添加し、撹拌させ、撥水処理液を作製した。
処理方法は、綿布に数ミリリットル染み込ませ、その布で表面に擦り込み、余剰分を除去することで撥水処理面を得た。
パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン1gにプロピレングリコールモノメチルエーテルを99g添加し、撹拌させながら、純水を0.5g添加し、更に酢酸を1g添加し、液が透明になるまで撹拌させた。その後、エタノールを900g添加し、撹拌させ、撥水処理液を作製した。
処理方法は、綿布に数ミリリットル染み込ませ、その布で表面に擦り込み、余剰分を除去することで撥水処理面を得た。
6.用いた樹脂基材
(1)ポリメチルメタクリレート(PMMA)(商品名:アクリライト 三菱レイヨン(株)製 可視光線透過率=92.5% 可視光線反射率=7.0%)
(2)ポリカーボネート(PC)(商品名:ポリカエース 品番:ECK−100 筒中プラスチック工業(株)製 可視光線透過率=88% 可視光線反射率=8.3%)
(3)シクロオレフィンポリマー(COP)(商品名:ZEONOR 品番:1600 日本ゼオン(株)製 可視光線透過率=92% 可視光線反射率=7.5%)なお、COPについて次のような親水化処理を行った。信光電気計装(株)製のコロナ放電表面改質装置「コロナマスター」PS−1M型を用いて出力が最高約14000ボルトの可変電圧、約15kHzの周波数のコロナ放電処理を毎秒20mmの速度で実施した。COP基材表面の水滴接触角は親水化処理前では90度であったが、処理後の表面の水滴接触角は45度であった。
(4)スチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂(商標名:MS600,新日鐵化学(株)製)
(1)ポリメチルメタクリレート(PMMA)(商品名:アクリライト 三菱レイヨン(株)製 可視光線透過率=92.5% 可視光線反射率=7.0%)
(2)ポリカーボネート(PC)(商品名:ポリカエース 品番:ECK−100 筒中プラスチック工業(株)製 可視光線透過率=88% 可視光線反射率=8.3%)
(3)シクロオレフィンポリマー(COP)(商品名:ZEONOR 品番:1600 日本ゼオン(株)製 可視光線透過率=92% 可視光線反射率=7.5%)なお、COPについて次のような親水化処理を行った。信光電気計装(株)製のコロナ放電表面改質装置「コロナマスター」PS−1M型を用いて出力が最高約14000ボルトの可変電圧、約15kHzの周波数のコロナ放電処理を毎秒20mmの速度で実施した。COP基材表面の水滴接触角は親水化処理前では90度であったが、処理後の表面の水滴接触角は45度であった。
(4)スチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂(商標名:MS600,新日鐵化学(株)製)
上記の低反射層液1〜14、熱硬化型ハードコート液1〜2および中間層液1〜2の塗布後の加熱の温度および時間は使用する樹脂基材の種類に応じて次の表1に記載の通りに設定した。
(表1)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
基材 低反射層液 熱硬化型 中間層液
1〜14 ハート゛コート液1〜2 1〜2
─────────────────────────
PMMA 80℃、30分 80℃、2時間 −
PC 120℃、15分 120℃、1時間 110℃、30分
COP 120℃、15分 120℃、15分 110℃、30分
MS600 80℃、30分 80℃、2時間 80℃、1時間
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基材 低反射層液 熱硬化型 中間層液
1〜14 ハート゛コート液1〜2 1〜2
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PMMA 80℃、30分 80℃、2時間 −
PC 120℃、15分 120℃、1時間 110℃、30分
COP 120℃、15分 120℃、15分 110℃、30分
MS600 80℃、30分 80℃、2時間 80℃、1時間
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実施例
(実施例1)
前記低反射層液1を樹脂基材PMMA(表面処理なし)の両面に塗布し、80℃の電気炉に30分間入れることにより、平均膜厚が110nmの低反射層が被覆された樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
(実施例1)
前記低反射層液1を樹脂基材PMMA(表面処理なし)の両面に塗布し、80℃の電気炉に30分間入れることにより、平均膜厚が110nmの低反射層が被覆された樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
(実施例2〜10、28、29)
実施例1において使用した低反射層液1に代えて、表2に示すように低反射層液2〜10、13、14を用いた以外は実施例1と同様にして低反射層が被覆された樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
実施例1において使用した低反射層液1に代えて、表2に示すように低反射層液2〜10、13、14を用いた以外は実施例1と同様にして低反射層が被覆された樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
(実施例11、15)
前記熱硬化型ハードコート液1を樹脂基材PMMA(表面処理なし)の両面に塗布し、80℃の電気炉に2時間入れてハードコート層(第1層)を形成し、ついでこのハードコート層の上に低反射層液5を塗布し、80℃の電気炉に30分間入れることにより、平均膜厚が110nmの低反射層(第2層)が被覆された樹脂板が得られた(実施例11)。この樹脂板の表面を撥水処理した(実施例15)。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
前記熱硬化型ハードコート液1を樹脂基材PMMA(表面処理なし)の両面に塗布し、80℃の電気炉に2時間入れてハードコート層(第1層)を形成し、ついでこのハードコート層の上に低反射層液5を塗布し、80℃の電気炉に30分間入れることにより、平均膜厚が110nmの低反射層(第2層)が被覆された樹脂板が得られた(実施例11)。この樹脂板の表面を撥水処理した(実施例15)。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
(実施例12〜14、20、21、23〜26)
実施例11において使用した樹脂基材、第1層用液および第2層用液に代えて、それぞれ表2に示す基材(PMMA、PC、COP、MS600)、第1層用液(UV硬化型ハードコート液1,2,中間層液1、2)および第2層用液(低反射層液4〜6、8、9)を用いた以外は実施例1と同様にして低反射層が被覆された樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
実施例11において使用した樹脂基材、第1層用液および第2層用液に代えて、それぞれ表2に示す基材(PMMA、PC、COP、MS600)、第1層用液(UV硬化型ハードコート液1,2,中間層液1、2)および第2層用液(低反射層液4〜6、8、9)を用いた以外は実施例1と同様にして低反射層が被覆された樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
(実施例19、22)
前記中間層液1を樹脂基材PC(実施例19)またはCOP(実施例22)の両面に塗布し、110℃の電気炉に30分間入れて中間層(第1層)を形成し、ついでこの中間層の上に熱硬化型ハードコート液1を塗布し、120℃の電気炉に1時間入れてハードコート層(第2層)を形成し、ついでこのハードコート層の上に低反射液5を塗布し、120℃の電気炉に15分間入れて低反射層(第3層)を形成した樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
前記中間層液1を樹脂基材PC(実施例19)またはCOP(実施例22)の両面に塗布し、110℃の電気炉に30分間入れて中間層(第1層)を形成し、ついでこの中間層の上に熱硬化型ハードコート液1を塗布し、120℃の電気炉に1時間入れてハードコート層(第2層)を形成し、ついでこのハードコート層の上に低反射液5を塗布し、120℃の電気炉に15分間入れて低反射層(第3層)を形成した樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
(実施例27)
実施例1において使用した樹脂基材および低反射層液に代えて、それぞれMS600および低反射層液12を用いた以外は実施例1と同様にして低反射層が被覆された樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2および表3に示す。
実施例1において使用した樹脂基材および低反射層液に代えて、それぞれMS600および低反射層液12を用いた以外は実施例1と同様にして低反射層が被覆された樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2および表3に示す。
(比較例1)
実施例1において使用した低反射層液1に代えて、表2に示すように低反射層液11を用いた以外は実施例1と同様にして低反射層が被覆された樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
実施例1において使用した低反射層液1に代えて、表2に示すように低反射層液11を用いた以外は実施例1と同様にして低反射層が被覆された樹脂板が得られた。得られた低反射層付き樹脂板の前記特性試験の結果を表2及び表3に示す。
表2及び表3から、実施例1〜29で得られた低反射層被覆樹脂板はいずれも付着性試験で「剥離なし」であり、また、0.8〜1.6%の低い可視光線反射率および3以上の耐擦傷性を有し、優れた反射防止性能および優れた耐擦傷性を有することがわかる。またさらに、実施例6、12、15,18で得られた低反射層被覆樹脂板は110〜115度の水滴接触角を有しており、優れた防汚性、撥水性を示した。また実施例24で得られた低反射層被覆樹脂板は1.0%の可視光線反射率および10%のヘーズ率を有しており、優れた防眩性を示した。また実施例17で得られた低反射層被覆樹脂板は111度の水滴接触角、1.0%の可視光線反射率および10%のヘーズ率を有しており、優れた撥水性および防眩性を示した。
また、低反射層液に中空状非凝集シリカ微粒子を使用した実施例8、9、13、14はへーズ率が0.2%と散乱光の少ない鏡が得られた。また、低反射層液に鎖状凝集シリカ微粒子を使用した実施例10で得られた低反射層被覆樹脂板は1.0%の低い可視光線反射率を有しており、優れた反射防止性能を示した。
更に屈折率を減少させるための屈折率調整剤を低反射層液に添加した実施例29で得られた低反射層被覆樹脂板は0.9%の低い可視光線反射率を有しており、優れた反射防止性能を示した。また屈折率を減少させるための屈折率調整剤および鎖状凝集シリカ微粒子を低反射層液に添加した実施例28で得られた低反射層被覆樹脂板は0.8%の低い可視光線反射率を有しており、優れた反射防止性能を示した。また実施例21で得られた低反射層被覆樹脂板は導電性を有していた。
本発明によれば、シリカ微粒子存在下で加水分解可能なケイ素化合物を加水分解して得られるコーティグ液を使用し、そして、比較的大きなシリカ微粒子を使用するか、または、中空状のシリカ微粒子を使用するか、あるいはシリカ微粒子と前記バインダーを特定の割合で使用することにより、格段に低い反射率および高い膜強度が得られ、反射率の経時変化もない。
また、本発明によるとコーティグ液に硬化触媒を添加したことで、低温で2〜3次元重合が可能となり、容易に低反射層を被覆した樹脂基材が得られる。
また、硬化触媒添加と微粒子共存下でのバインダー用のケイ素化合物の加水分解、及び予めオリゴマー化した前記ケイ素化合物を使用しているため、高い膜強度が得られる。
本発明の低反射膜は常温または低温で得られるため、樹脂基材上に容易に被覆でき、しかも機能性有機材料の導入が容易となる。
また、微粒子添加による表面凹凸付与、フッ化ケイ素化合物の導入および塗膜最表面への撥水層処理により塗膜表面自由エネルギーが低下し、防眩性、撥水性、汚れ難い、汚れが落ち易いなどの特性が付与できる。
また、ハードコート層を基材と低反射層の間に設けると樹脂基材に処理した場合でも高い表面硬度が得られる。
また、本発明によるとコーティグ液に硬化触媒を添加したことで、低温で2〜3次元重合が可能となり、容易に低反射層を被覆した樹脂基材が得られる。
また、硬化触媒添加と微粒子共存下でのバインダー用のケイ素化合物の加水分解、及び予めオリゴマー化した前記ケイ素化合物を使用しているため、高い膜強度が得られる。
本発明の低反射膜は常温または低温で得られるため、樹脂基材上に容易に被覆でき、しかも機能性有機材料の導入が容易となる。
また、微粒子添加による表面凹凸付与、フッ化ケイ素化合物の導入および塗膜最表面への撥水層処理により塗膜表面自由エネルギーが低下し、防眩性、撥水性、汚れ難い、汚れが落ち易いなどの特性が付与できる。
また、ハードコート層を基材と低反射層の間に設けると樹脂基材に処理した場合でも高い表面硬度が得られる。
Claims (18)
- (1)平均粒子径40〜1000nmの非凝集シリカ微粒子、平均粒子径が10〜100nmの中空状非凝集シリカ微粒子および平均一次粒径が10〜100nmの鎖状凝集シリカ微粒子の少なくとも一種からなるシリカ微粒子、(2)加水分解可能なケイ素化合物、水、前記ケイ素化合物の加水分解触媒及び溶媒を含有するバインダー液を混合して反応させ前記ケイ素化合物を加水分解し、ついで(3)シラノール基の縮合を促進する硬化触媒を添加して得られる低反射層液を樹脂基材上に被覆し、室温又は室温から基材が損なわれない温度(熱可塑性樹脂では変形温度、熱硬化性樹脂では分解温度以下)で反応硬化させてシリカ微粒子およびバインダーを、固形分重量比で30:70〜95:5の割合でそれぞれ含有する低反射層を形成させることを特徴とする低反射処理物品の製造方法。
- 前記硬化触媒が、キレート化合物、脂肪酸塩、第1級〜第3級アミン、ポリアルキレンアミン、スルフォン酸塩、過塩素酸マグネシウムおよび過塩素酸アンモニウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の低反射処理物品の製造方法。
- 前記加水分解可能なケイ素化合物は、あらかじめオリゴマー化している有機珪素化合物を少なくとも1種類含むことを特徴とする請求項1記載の低反射処理物品の製造方法。
- 前記加水分解可能なケイ素化合物は、下記式(1)で表される(A)アルコキシシラン
R4O−((R4O)2−Si−O)n−R4 (1)
(ここで、R4は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、n=1〜20であり、縮合体の構造としては鎖状構造、分岐状構造、環状構造を含む)、または
下記式(2)で表される(B)シラン化合物
R1 aR2 bSi(OR3)4−a−b (2)
(R1は炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基もしくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数5〜8のメタクリロキシアルキル基、炭素原子数2〜10のウレイドアルキレン基、グリシジルオキシ基で置換されたアルキル基で片末端にアルキル基を有するアルキレングリコール基、芳香族ウレイドアルキレン基、芳香族アルキレン基またはメルカプトアルキレン基であり、R2は炭素原子数1〜6のアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基であり、R3は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アシル基またはアルキルアシル基であり、a=1,2または3であり、b=0,1または2である。ただしa+b=1,2または3)、または、
上記(A)アルコキシシランまたは/および(B)シラン化合物にさらに添加される下記式(3)で表わされる(C)フルオロアルキルシラン
R5 cR6 dSi(OR7)4−c−d (3)
(R5は炭素原子数1〜12のフッ素アルキル基であり、R6は炭素原子数1〜6のアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基であり、R7は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基、アシル基であり、c=1,2または3であり、d=0,1または2である。但し、c+d=1,2または3)
であることを特徴とする請求項1記載の低反射処理物品の製造方法。 - 前記低反射層液中の非凝集シリカ微粒子および中空状非凝集シリカ微粒子は1.0〜1.2の長軸長さと短軸長さの比を有することを特徴とする請求項1記載の低反射処理物品の製造方法。
- 前記低反射層液中の非凝集シリカ微粒子および中空状非凝集シリカ微粒子は1.0〜1.5の一次粒径標準偏差を有することを特徴とする請求項1記載の低反射処理物品の製造方法。
- 前記低反射層液に、屈折率調整剤として屈折率が1.40以下の化合物を添加することを特徴とする請求項1記載の低反射処理物品の製造方法。
- 樹脂基材が透明性のスチレン・メチルメタアクリレート共重合体樹脂を構成成分の一つとする樹脂からなり、前記溶媒の全部または一部としてベンゼン環と水酸基を有する溶媒を用いることを特徴とする請求項1記載の低反射処理物品の製造方法。
- 前記溶媒が低反射層液100重量部に対し、0.01〜20重量部含まれる請求項8記載の低反射処理物品の製造方法。
- 前記低反射層液を樹脂基材上へ塗布する前に、樹脂基材と低反射層との間に、(1)UV硬化ハードコート層、(2)熱硬化型ハードコート層、(3)樹脂基材と低反射層の両方に接着可能な中間層、又は(4)防眩性を付与する防眩層の少なくとも一層を設けることを特徴とする請求項1記載の低反射処理物品の製造方法。
- 前記(1)UV硬化型ハードコート層は、シリコン−アクリル系紫外線硬化型ハードコート液から得られハードコート層であり、
前記(2)熱硬化性ハードコート層は下記式(4)の(D)アルコキシシランおよび(E)コロイダルシリカを含有する液から得られるハードコート層であり、
R8 aR9 bSi(OR10)4−a−b (4)
(R8は炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基もしくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数5〜8のメタクリロキシアルキル基、炭素原子数2〜10のウレイドアルキレン基、グリシジルオキシ基で置換されたアルキル基で片末端にアルキル基を有するアルキレングリコール基、芳香族ウレイドアルキレン基、芳香族アルキレン基またはメルカプトアルキレン基であり、R9は炭素原子数1〜6のアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基であり、R10は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アシル基またはアルキルアシル基であり、a=1、2または3であり、b=0、1または2であり、a+b=1,2または3)
前記(3)中間層は、アルキル(メタ)アクリレートの重合体またはアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル単量体とアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体に下記式(5)の有機珪素化合物を加えた中間層塗布液から得られる中間層であり、
R11 nSi(R12)4−n (5)
(R11はメタクリロキシ基、アクリロキシ基、ビニル基、アリール基、アミノ基から選ばれる官能基を有する有機官能基であり、R12はアルコキシル基、アセトキシル基及び塩素から選ばれる1種もしくは複数の加水分解基であり、nは1,2または3の整数で表される有機珪素化合物である。また、前記有機珪素化合物は(メタ)アクリル基を有するアルコキシシラン)
前記(4)防眩層は、平均粒径0.05μm〜10μmの金属または無機化合物を含む微粒子を前記(1)、(2)のハードコート層または(3)の中間層に含有させて得られる防眩層である
ことを特徴とする請求項10記載の低反射処理物品の製造方法。 - 樹脂基材の表面をあらかじめ親水化処理することを特徴とする請求項1記載の低反射処理物品の製造方法。
- 前記樹脂基材の表面親水化処理はコロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理、オゾン水洗浄又は有機過酸化物処理を含む樹脂基材表面の酸化処理により行われることを特徴とする請求項12記載の低反射処理物品の製造方法。
- 前記(1)UV硬化ハードコート層、(2)熱硬化型ハードコート層、(3)中間層又は(4)防眩層の少なくとも一層を形成させるための塗布液の溶媒の少なくとも一部としてベンゼン環と水酸基を有する溶媒を使用することを特徴とする請求項10記載の低反射処理物品の製造方法。
- (1)平均粒子径40〜1000nmの非凝集シリカ微粒子、平均粒子径が10〜100nmの中空状非凝集シリカ微粒子および平均一次粒径が10〜100nmの鎖状凝集シリカ微粒子の少なくとも一種からなるシリカ微粒子、(2)加水分解可能なケイ素化合物、(3)水、(4)加水分解触媒及び(5)溶媒を含有する液を反応させて前記ケイ素化合物を加水分解し、ついでケイ素化合物から生成するシラノール基の縮合を促進する硬化触媒を添加して得られる低反射層形成用溶液。
- 前記溶媒の全部または一部としてベンゼン環と水酸基を有する溶媒を用いる請求項15に記載の低反射層形成用溶液。
- 前記ケイ素化合物は、下記式(1)で表される(A)アルコキシシラン
R4O−((R4O)2−Si−O)n−R4 (1)
(ここで、R4は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、n=1〜20であり、縮合体の構造としては鎖状構造、分岐状構造、環状構造を含む)、または
下記式(2)で表される(B)シラン化合物
R1 aR2 bSi(OR3)4−a−b (2)
(R1は炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基もしくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数5〜8のメタクリロキシアルキル基、炭素原子数2〜10のウレイドアルキレン基、グリシジルオキシ基で置換されたアルキル基で片末端にアルキル基を有するアルキレングリコール基、芳香族ウレイドアルキレン基、芳香族アルキレン基またはメルカプトアルキレン基であり、R2は炭素原子数1〜6のアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基であり、R3は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アシル基またはアルキルアシル基であり、a=1,2または3であり、b=0,1または2である。ただしa+b=1,2または3)、または、
上記(A)アルコキシシランまたは/および(B)シラン化合物にさらに添加される下記式(3)で表わされる(C)フルオロアルキルシラン
R5 cR6 dSi(OR7)4−c−d (3)
(R5は炭素原子数1〜12のフッ素アルキル基であり、R6は炭素原子数1〜6のアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基であり、R7は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基、アシル基であり、c=1,2または3であり、d=0,1または2である。但し、c+d=1,2または3)
であることを特徴とする請求項15記載の低反射層形成用溶液。 - 請求項1の製造方法によって得られる低反射処理物品。
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