JP6379456B2 - 光学素子 - Google Patents
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Description
前記基板の屈折率が1.6〜1.9、
前記第1層の屈折率が1.37〜1.57、
前記第2層の屈折率が1.75〜2.5、
前記第3層の屈折率が1.37〜1.57、及び
前記第4層の屈折率が1.18〜1.32の範囲にあり、
前記第4層がシリカエアロゲルからなる4層構成の反射防止膜であって、
前記第1層〜第3層がAl2O3を含有しない層であることを特徴とする。
前記基板の屈折率が1.6〜1.9、
前記第1層の屈折率が1.75〜2.5、
前記第2層の屈折率が1.37〜1.57、
前記第3層の屈折率が1.75〜2.5、及び
前記第4層の屈折率が1.18〜1.32の範囲にあり、
前記第4層がシリカエアロゲルからなる4層構成の反射防止膜であって、
前記第1層〜第3層がAl2O3を含有しない層であることを特徴とする。
波長550 nmの光において、
前記基板の屈折率が1.6〜1.9、
前記第1層の屈折率が1.37〜1.57、
前記第2層の屈折率が1.75〜2.5、
前記第3層の屈折率が1.37〜1.57、及び
前記第4層の屈折率が1.18〜1.32の範囲にあり、
前記第4層がシリカエアロゲルからなる4層構成の反射防止膜を有し、
前記第1層〜第3層がAl2O3を含有しない層であることを特徴とする。
波長550 nmの光において、
前記基板の屈折率が1.6〜1.9、
前記第1層の屈折率が1.75〜2.5、
前記第2層の屈折率が1.37〜1.57、
前記第3層の屈折率が1.75〜2.5、及び
前記第4層の屈折率が1.18〜1.32の範囲にあり、
前記第4層がシリカエアロゲルからなる4層構成の反射防止膜を有し、
前記第1層〜第3層がAl2O3を含有しない層であることを特徴とする。
D1(θt) = D10 × (cosθt)α ・・・(1)
D2(θt) = D20 × (cosθt)β ・・・(2)
D3(θt) = D30 × (cosθt)γ ・・・(3)
(ただしD10、D20及びD30は、それぞれ前記レンズ基板の中心部における前記第1層、第2層及び第3層の光学膜厚を示し、α、β及びγは、それぞれ独立に0〜1の範囲の数値である。) により表されるのが好ましい。
(1)層構成
図1は、基板2と、前記基板2上に第1層3a、第2層3b、第4層3d及び第4層3dを順に設けてなる4層構成の反射防止膜3とからなる光学素子1を示す。前記反射防止膜3は、波長550 nmの光において屈折率が1.6〜1.9にある前記基板2に対して、以下の2種類の構成を有するのが好ましい。
反射防止膜3の第一の構成は、波長550 nmの光において、前記第1層3aの屈折率が1.37〜1.57、前記第2層3bの屈折率が1.75〜2.5、前記第3層3cの屈折率が1.37〜1.57、及び前記第4層3dの屈折率が1.18〜1.32の範囲にある。第1層〜第3層の屈折率をこのような構成とすることにより、Al2O3(屈折率1.64)を使用しなくても屈折率が1.6〜1.9にある前記基板2に対して優れた反射防止性を発揮することが可能になる。
反射防止膜3の第二の構成は、波長550 nmの光において、前記第1層3aの屈折率が1.75〜2.5、前記第2層3bの屈折率が1.37〜1.57、前記第3層3cの屈折率が1.75〜2.5、及び前記第4層3dの屈折率が1.18〜1.32の範囲にある。第1層〜第3層の屈折率をこのような構成とすることにより、Al2O3(屈折率1.64)を使用しなくても屈折率が1.6〜1.9にある前記基板2に対して優れた反射防止性を発揮することが可能になる。
本発明の反射防止膜は、波長550 nmの光において、1.6〜1.9の範囲に屈折率を有する基板に適用することができる。このような範囲に屈折率を有する基板を用いた場合、可視光の波長帯域において良好な反射防止性能を有する光学素子を得ることができる。基板の材料としては、BaSF2(屈折率:1.6684)、SF5(屈折率:1.6771)、LaF2(屈折率:1.7475)、LaSF09(屈折率:1.8197)、LaSF01(屈折率:1.7897)、LaSF016(屈折率:1.7758)、LAK7(屈折率:1.654)、LAK14(屈折率:1.6995)等の光学ガラスが挙げられる。基板の形状は、平板であっても、レンズ状であっても良い。
図2は、レンズ有効径Dとレンズ曲率半径Rとの比D/Rが0.1≦D/R≦2であるレンズ基板21と、前記レンズ基板21上に第1層31a、第2層31b、第4層31d及び第4層31dを順に設けてなる反射防止膜31とからなる光学素子11を示す。前記反射防止膜31は、波長550 nmの光において屈折率が1.6〜1.9にある前記レンズ基板21に対して、以下の2種類の構成を有するのが好ましい。
(i)第一の構成
反射防止膜31の第一の構成は、波長550 nmの光において、前記第1層31aの屈折率が1.37〜1.57、前記第2層31bの屈折率が1.75〜2.5、前記第3層31cの屈折率が1.37〜1.57、及び前記第4層31dの屈折率が1.18〜1.32の範囲にある。第1層〜第3層の屈折率をこのような構成とすることにより、Al2O3(屈折率1.64)を使用しなくても屈折率が1.6〜1.9にある前記基板2に対して優れた反射防止性を発揮することが可能になる。
D1(θt)= D10 × (cosθt)α ・・・(1)
D2(θt)= D20 × (cosθt)β ・・・(2)
D3(θt) = D30 × (cosθt)γ ・・・(3)
(ただしD10、D20及びD30は、それぞれ前記レンズ基板の中心部における前記第1層、第2層及び第3層の光学膜厚を示し、α、β及びγは、それぞれ独立に0〜1の範囲の数値である。) により表されるのが好ましい。α、β及びγは、さらに好ましくはそれぞれ独立に0.5〜0.95の範囲であり、最も好ましくはそれぞれ独立に0.6〜0.9の範囲である。
反射防止膜31の第一の構成は、波長550 nmの光において、前記第1層31aの屈折率が1.75〜2.5、前記第2層31bの屈折率が1.37〜1.57、前記第3層31dの屈折率が1.75〜2.5、及び前記第4層31dの屈折率が1.18〜1.32の範囲にある。第1層〜第3層の屈折率をこのような構成とすることにより、Al2O3(屈折率1.64)を使用しなくても屈折率が1.6〜1.9にある前記基板2に対して優れた反射防止性を発揮することが可能になる。
レンズ基板は、レンズ有効径Dとレンズ曲率半径Rとの比D/Rが0.1≦D/R≦2である。レンズ有効径Dは、図5に示すように、光学素子として使用したときに有効に使用できる最大径であり、曲率半径Rはレンズ曲面を球に近似したときの半径である。比D/Rが0.1〜2の範囲にあるレンズ基板を用いた場合、本発明の効果がより発揮される。またレンズ基板の最大基板傾斜角が30〜65°、好ましくは30〜60°の範囲にあるときに、本発明の効果がより発揮される。
本発明の光学素子は、400〜700 nmの可視光帯域において、最大反射率が6 %以下の反射防止特性を有する。本発明の光学部品は、テレビカメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、車載カメラ、顕微鏡、望遠鏡等の光学機器に搭載されるレンズ、プリズム、回折素子等に好適である。特に反射防止膜を最大基板傾斜角が30°以上のレンズ基板に形成してなる光学素子は、レンズ周辺部においても良好な反射防止特性を有するため、超広角レンズ、光ディスクのピックアップレンズ等に好適である。
(1) 第1層、第2層及び第3層の形成方法
反射防止膜の第1層、第2層及び第3層は、乾式プロセスで形成する。乾式プロセスとしては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法、熱CVD、プラズマCVD、光CVD等の化学蒸着法等が挙げられる。必要に応じてこれらの方法を組み合わせて用いても良い。特に製造コスト、加工精度の面において真空蒸着法が好ましい。
反射防止膜の第4層は、ゾル−ゲル法により形成するのが好ましい。ゾル-ゲル法によってシリカエアロゲルからなる超低屈折率膜を形成することにより、真空蒸着で汎用的に用いられる低屈折率材料のMgF2(n=1.39)より低い屈折率を得ることができ、これまでに実現が困難であった広帯域でかつ広角(広い入射角範囲)の超低反射率の反射防止膜を得ることができる。
(a) アルコキシシラン
第一の酸性ゾル用のアルコキシシランはテトラアルコキシシランのモノマー又はオリゴマー(縮重合物)が好ましい。4官能のアルコキシシランを用いた場合、比較的大きな粒径を有するコロイド状シリカ粒子のゾルを得ることができる。テトラアルコキシシランは、Si(OR)4[Rは炭素数1〜5のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、又は炭素数1〜4のアシル基(アセチル等)]により表されるものが好ましい。テトラアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジエトキシジメトキシシラン等が挙げられる。中でもテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランが好ましい。本発明の効果を阻害しない範囲で、テトラアルコキシシランに少量の3官能以下のアルコキシシランを配合しても良い。
アルコキシシランに有機溶媒、塩基性触媒及び水を添加することにより、加水分解及び縮重合が進行する。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、ブタノール等のアルコールが好ましく、メタノール又はエタノールがより好ましい。塩基性触媒としては、アンモニア、アミン、NaOH又はKOHが好ましい。好ましいアミンは、アルコールアミン又はアルキルアミン(メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、n-ブチルアミン、n-プロピルアミン等)である。
得られたアルカリ性ゾルに酸性触媒、並びに必要に応じて水及び有機溶媒を添加し、酸性状態で加水分解及び縮重合をさらに進行させる。酸性触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、酢酸等が挙げられる。有機溶媒は上記と同じものを使用できる。第一の酸性ゾルにおいて酸性触媒/塩基性触媒のモル比は1.1〜10が好ましく、1.5〜5がより好ましく、2〜4が最も好ましい。酸性触媒/塩基性触媒のモル比が1.1未満であると、酸性触媒による重合が十分に進行しない。一方10を超えると触媒効果は飽和する。有機溶媒/アルコキシシランのモル比及び水/アルコキシシランのモル比は上記と同じで良い。酸性触媒を含有するゾルは10〜90℃で約15分〜24時間静置又はゆっくり撹拌して熟成するのが好ましい。熟成により加水分解及び縮重合が進行し、第一の酸性ゾルが生成する。
(a) アルコキシシラン
第二の酸性ゾル用のアルコキシシランはSi(OR1)x(R2)4-x[xは2〜4の整数である。]により表される2〜4官能のものでよい。R1は炭素数1〜5のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、又は炭素数1〜4のアシル基(アセチル等)が好ましい。R2は炭素数1〜10の有機基が好ましく、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、デシル、フェニル、ビニル、アリル等の炭化水素基、及びγ-クロロプロピル、CF3CH2-、CF3CH2CH2-、C2F5CH2CH2-、C3F7CH2CH2CH2-、CF3OCH2CH2CH2-、C2F5OCH2CH2CH2-、C3F7OCH2CH2CH2-、(CF3)2CHOCH2CH2CH2-、C4F9CH2OCH2CH2CH2-、3-(パーフルオロシクロヘキシルオキシ)プロピル、H(CF2)4CH2OCH2CH2CH2-、H(CF2)4CH2CH2CH2-、γ-グリシドキシプロピル、γ-メルカプトプロピル、3,4-エポキシシクロヘキシルエチル、γ-メタクリロイルオキシプロピル等の置換炭化水素基が挙げられる。
アルコキシシランのモノマー又はオリゴマー(縮重合物)に有機溶媒、酸性触媒及び水を添加することにより、加水分解及び縮重合が進行する。有機溶媒及び酸性触媒は第一の酸性ゾルを調製する工程で説明したものと同じものを使用できる。酸性触媒/アルコキシシランのモル比は、1×10-4〜1が好ましく、1×10-4〜3×10-2がより好ましく、3×10-4〜1×10-2が最も好ましい。有機溶媒/アルコキシシランのモル比及び水/アルコキシシランのモル比は、第一の酸性ゾルを調製する工程で説明した比と同様で良い。
第一の酸性ゾル及び第二の酸性ゾルを混合し、1〜30℃で約1分〜6時間ゆっくり撹拌するのが好ましい。必要に応じて混合物を80℃以下で加熱しても良い。第一の酸性ゾルと第二の酸性ゾルとの固形分質量比は5〜90であるのが好ましく、5〜80であるのがより好ましい。固形分質量比が5未満又は90超であると、シリカエアロゲル膜の耐擦傷性が低下する。
(a) 塗布
混合ゾルを第1層及び第2層を形成したレンズ基板の表面に塗布する。塗布方法としては、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、印刷法等が挙げられる。レンズのような三次元構造物に塗布する場合、スピンコート法又はディッピング法が好ましく、特にスピンコート法が好ましい。得られるゲルの物理膜厚は、例えばスピンコート法における基板回転速度の調整、混合ゾルの濃度の調整等により制御することができる。スピンコート法における基板の回転速度は1,000〜15,000 rpm程度が好ましい。
塗布膜の乾燥条件は基板の耐熱性に応じて適宜選択する。縮重合反応を促進するために、水の沸点未満の温度で15分〜24時間熱処理した後、100〜200℃の温度で15分〜24時間熱処理しても良い。熱処理することによりシリカエアロゲル膜は高い耐擦傷性を発揮する。
シリカエアロゲル膜をアルカリで処理することにより耐擦傷性がより向上する。アルカリ処理は、アルカリ溶液を塗布、又はアンモニア雰囲気中に放置することにより行うのが好ましい。アルカリ溶液の溶媒はアルカリに応じて適宜選択でき、水、アルコール等が好ましい。アルカリ溶液の濃度は、1×10-4〜20Nが好ましく、1×10-3〜15Nがより好ましい。
アルカリ処理後のシリカエアロゲル膜は、必要に応じて洗浄する。洗浄は、水及び/又はアルコールに浸漬する方法、シャワーする方法、又はこれらの組合せにより行うのが好ましい。浸漬しながら超音波処理してもよい。洗浄の温度は1〜40℃が好ましく、時間は0.2〜15分が好ましい。シリカエアロゲル膜1 cm2当たり0.01〜1,000 mLの水及び/又はアルコールで洗浄するのが好ましい。洗浄後のシリカエアロゲル膜は、50〜200℃の温度で15分〜24時間乾燥するのが好ましい。アルコールとしてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましい。
塗布後、アルカリ処理後、又は洗浄後のシリカエアロゲル膜に、高湿度条件下で湿度処理を施す。湿度処理により、未反応のアルコキシシランの加水分解、及びシラノール基の縮重合反応が進行すると考えられ、シリカエアロゲル膜の機械的強度が向上するとともに、成膜後の時間経過による屈折率の変動が抑制される。
LaSF010ガラス平板(屈折率:1.839)の表面に、SiO2からなる第1層(屈折率:1.469)、Ta2O5+Y2O3+Pr6O11からなる第2層(屈折率:2.055)、SiO2からなる第3層(屈折率:1.469)及びシリカエアロゲルからなる第4層(屈折率:1.250)を、表1に示す光学膜厚となるように形成し、試料a〜gを作製した。試料a〜gは、図2に示すような最大基板傾斜角が大きいレンズ基板に、第1層、第2層及び第3層をその膜厚がレンズ基板の中心部から周辺部に行くに従って薄くなるように形成し、第4層を一定の膜厚で形成してなる光学素子の各基板傾斜角における反射防止性能を評価するための試料であり、それぞれ前記レンズ基板の基板傾斜角0°、10°、20°、30°、40°、50°及び60°の各部分に相当する厚みで第1層、第2層、第3層及び第4層をガラス平板上に形成したものである。
D1(θt) = D10 × (cosθt)α ・・・(1)
D2(θt) = D20 × (cosθt)β ・・・(2)
D3(θt) = D30 × (cosθt)γ ・・・(3)
(ただしD10。D20は及びD30は、それぞれ基板傾斜角0°における第1層、第2層及び第3層の光学膜厚であり、α、β及びγは全て0.7である。) で求めた値である。
(1)第1層、第2層及び第3層の形成
LaSF010ガラス平板の表面に、SiO2からなる第1層、Ta2O5+Y2O3+Pr6O11からなる第2層、及びSiO2からなる第3層を、表1に示す光学膜厚となるように、図16に示す装置を用いて電子ビーム式の真空蒸着法により形成した。
(i)第一の酸性ゾルの調製
テトラエトキシシラン17.05 gとメタノール69.13 gとを混合した後、アンモニア水溶液(3 N)3.88 gを加えて室温で15時間撹拌し、アルカリ性ゾルを調製した。このアルカリ性ゾル40.01 gに、メタノール2.50 gと塩酸(12 N)1.71 gとを添加して室温で30分間撹拌し、第一の酸性ゾル(固形分:4.94質量%)を調製した。
室温でテトラエトキシシラン30 mlと、エタノール30 mlと、水2.4 mlとを混合した後、塩酸(1 N) 0.1 mlを加え、60℃ で90分間撹拌し、第二の酸性ゾル(固形分:14.8質量%)を調製した。
第一の酸性ゾルと第二の酸性ゾルとの固形分質量比が67.1となるように、第一の酸性ゾルの全量に第二の酸性ゾル0.22 gを添加し、室温で5分間攪拌して混合ゾルを調製した。
先に形成した第1層、第2層及び第3層の上に、得られた混合ゾルをスピンコート法により塗布し、80℃で0.5時間乾燥した後、180℃で0.5時間焼成した。冷却した基板上に0.1 Nの水酸化ナトリウム水溶液をスピンコートで塗布し、120℃で0.5時間乾燥した。
LaSF010ガラス平板(屈折率:1.839)の表面に、Al2O3からなる第1層(屈折率:1.640)、SiO2からなる第2層(屈折率:1.469)及びシリカエアロゲルからなる第3層(屈折率:1.250)を、表2に示す光学膜厚となるように形成し、試料a〜gを作製した。なお第1層及び第2層は、実施例1の第1層〜第3層と同様に真空蒸着法により形成し、第3層は実施例1の第4層と同様にゾル-ゲル方により形成した。これらの試料は、第1層、第2層、第3層の順に徐々に屈折率が低くなるように設計された従来の反射防止膜によって構成されたものである。
表3に示すように、7層構成の反射防止膜を有する光学素子を作製した。
LaSF010ガラス平板(屈折率:1.839)の表面に、表3に示すように、第1層〜第6層の順に、図16に示す装置を用いて電子ビーム式の真空蒸着法により形成した。蒸着は初期真空度1.2×10-5Torr 及び基板温度230℃の条件で行った。
第7層のシリカエアロゲル層は、光学膜厚を表3に示すように変更した以外実施例1の第3層と同様にして形成した。
実施例2に対して、反射防止膜の最上層(第7層)をシリカエアロゲル層の代わりに、真空蒸着法により作製したMgF2層に変更して光学素子を作製した。第7層は、他の層と同様、試料a〜gにかけて薄くなっている。
実施例1及び比較例1で得られた各試料a、d及びf(それぞれ基板傾斜角度0°、30°及び50°)を60℃及び90%RHの条件下で48時間保存して加速環境試験を行った。加速環境試験後の分光反射特性を前述と同様にして測定し、試験前のものと比較した。結果を図14(実施例1)及び図15(比較例1)に示す。
2・・・基板
21・・・レンズ基板
3,31・・・反射防止膜
3a,31a・・・第1層
3b,31b・・・第2層
3c,31c・・・第3層
3d,31d・・・第4層
100・・・基板
130・・・電子ビーム式真空蒸着装置
131・・・真空チャンバ
132・・・回転ラック
133・・・蒸着源
134・・・回転軸
135・・・真空ポンプ接続口
136・・・ルツボ
137・・・蒸着材
138・・・電子ビーム照射器
139・・・ヒーター
140・・・真空ポンプ
Claims (7)
- レンズ有効径Dとレンズ曲率半径Rとの比D/Rが0.1≦D/R≦2であり、基板傾斜角の最大値が30〜60°の間にあるレンズ基板上に、第1層〜第4層が順に形成されてなり、
波長550 nmの光において、
前記基板の屈折率が1.6〜1.9、
前記第1層の屈折率が1.37〜1.57、
前記第2層の屈折率が1.75〜2.5、
前記第3層の屈折率が1.37〜1.57、及び
前記第4層の屈折率が1.18〜1.32の範囲にあり、
前記第4層がシリカエアロゲルからなる4層構成の反射防止膜を有する光学素子であって、
前記第1層〜第3層がAl2O3を含有しない層であり、
前記第1層〜第3層の膜厚が、前記レンズ基板の中心部から周辺部に行くに従って薄くなっており、
前記レンズ基板の中心部において、
前記第1層の光学膜厚が38〜100 nmであり、
前記第2層の光学膜厚が24〜60 nmであり、
前記第3層の光学膜厚が68〜170 nmであり、
前記第4層の光学膜厚が90〜140 nmであることを特徴とする光学素子。 - 請求項1に記載の光学素子において、前記第4層が湿式プロセスで成膜したものであることを特徴とする光学素子。
- 請求項2に記載の光学素子において、前記湿式プロセスがゾル-ゲル法を含むことを特徴とする光学素子。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の光学素子において、前記第1層〜第3層が乾式プロセスで成膜したものであることを特徴とする光学素子。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の光学素子において、前記レンズ基板の任意の基板傾斜角θにおける第1層の光学膜厚D1(θt)、第2層の光学膜厚D2(θt)及び第3層の光学膜厚D3(θt)が、それぞれ下記式(1)、式(2)及び式(3):
D1(θt) = D10 × (cosθt)α ・・・(1)
D2(θt) = D20 × (cosθt)β ・・・(2)
D3(θt) = D30 × (cosθt)γ ・・・(3)
(ただしD1(θt)、D2(θt)及びD3(θt)は基板に垂直な方向の光学膜厚であり、D10、D20及びD30は、それぞれ前記レンズ基板の中心部における前記第1層、第2層及び第3層の基板に垂直な方向の光学膜厚を示し、α、β及びγは、それぞれ独立に0〜1の範囲の数値である。) により表されることを特徴とする光学素子。 - 請求項5に記載の光学素子において、α、β及びγが全て0.7であることを特徴とする光学素子。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の光学素子において、前記第4層の膜厚が、前記レンズ基板の基板傾斜角によらず一定であることを特徴とする光学素子。
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