JP2005195625A - 反射防止膜及び反射防止膜を有する光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 大きな入射角度の光に対しても優れた反射防止特性を有する反射防止膜及びかかる反射防止膜を有する光学素子を提供する。
【解決手段】 基材1の表面11に形成され、複数の層からなる反射防止膜2であって、基材2及び各層の屈折率は基材1から順に小さくなっており、各層とその隣の層及び基材1とそれに接触する層21との屈折率差が0.02〜0.5であり、各層の厚さが30〜200 nmである反射防止膜、及びかかる反射防止膜を有する光学素子。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基材の表面に形成される反射防止膜に関し、特に光ピックアップ装置や半導体装置に用いる大きな開口数(NA)を有するレンズに好適な反射防止膜及び係る反射防止膜を有する光学素子に関する。
光ピックアップ装置や半導体装置の対物レンズの表面には、入射光を効率よく透過させるために反射防止膜がコーティングされている。例えば単層の反射防止膜は、反射防止膜表面での反射光と、反射防止膜とレンズの境界での反射光との光路差が波長の1/2の奇数倍となってこれらの光が干渉により打ち消し合う厚さになるように設計される。一般的にはレンズの中心(光線入射角度が0°)付近で反射防止効果が最大となるような膜厚に設計する場合が多く、このように設計された反射防止膜の反射率は、入射光が反射防止膜に垂直となる領域で最小値を示す。対物レンズは、集光すべき光がその表面の中心に垂直(光線入射角度が0°)に入射するように配置される。しかしながら対物レンズのレンズ面は曲面であるため、垂直入射の条件をほぼ満たすのは光軸周辺の極めて限られた範囲のみである。このためレンズ周辺部では、光線入射角度が大きいので単層反射防止膜の設計条件から大きくずれてしまい、入射光の反射率が高い。
一方、多層反射防止膜は複数の層からなり、各層の界面で生じた反射光と、各層に入射する光とが干渉によって相殺し合うように設計されている。特願平9-335909号(特許文献1)は、基材側に導電性光吸収膜が形成され、この上に高屈折率透明膜と低屈折率透明膜がこの順で交互にそれぞれ複数層形成された反射防止膜を記載している。高屈折率透明膜及び低屈折率透明膜の好ましい厚さは、基材側から順に15〜30 nm(高屈折率層)、15〜30 nm(低屈折率層)、10〜314 nm(高屈折率層)、60〜120 nm(低屈折率層)であると記載されている。このように異なる厚さの層を有する反射防止膜は、広い波長範囲で反射光と入射光との干渉を起こす。従って対物レンズの表面に形成すると、光軸周辺からある程度離れた位置でも反射防止効果が得られる。
しかしながら光ピックアップ装置等の対物レンズは、大きな開口数を有し、レンズ周辺部の光線入射角度が60°以上であるので、特許文献1のように異なる厚さの層からなる反射防止膜を有していても、周辺部では有効な反射防止効果を示すことができない。さらにレンズ等の曲面に反射防止膜を形成すると、レンズ周辺部の光学膜厚はレンズ中心部に比較して小さくなる傾向があり、レンズ中心を基準に膜厚設計すると、レンズ周辺部における反射防止膜の膜厚は設計膜厚から大きくずれてしまうという問題もある。反射防止特性は膜厚に大きく依存するため、設計膜厚からずれていると有効な反射防止効果を示すことができない。従って、レンズ周辺部においては、光線入射角度が大きい上に設計膜厚からのずれも大きく、十分な反射防止効果を得られない。
特願平9-335909号公報
従って、本発明の目的は、大きな入射角度の光に対しても優れた反射防止特性を有し、かつ反射防止特性の膜厚依存性の小さい反射防止膜、及び係る反射防止膜を有する光学素子を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、複数の層からなる反射防止膜であって、各層の屈折率が基材から順に徐々に小さくなっているものは、優れた反射防止特性を有することを発見し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の反射防止膜は基材の表面に形成され、複数の層からなる反射防止膜であって、前記基材及び各層の屈折率は前記基材から順に小さくなっており、前記層とその隣の層及び前記基材とそれに接触する層との屈折率差が0.02〜0.5であり、各層の厚さが30〜200 nmであることを特徴とする。
入射媒質側の表面層は多孔質層であるのが好ましい。前記多孔質層は二酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウムからなるのが好ましい。
本発明の光学素子はレンズと、前記レンズの表面に形成される反射防止膜とを有し、反射防止膜は複数の層からなり、レンズ及び各層の屈折率はレンズから順に小さくなっており、反射防止膜の層とその隣の層及びレンズとそれに接触する層との屈折率差が0.02〜0.5であり、各層の厚さが30〜200 nmであることを特徴とする。
本発明の反射防止膜は基材の表面に形成され、複数の層からなるもので、前記基材及び各層の屈折率は前記基材から順に徐々に小さくなっている。具体的には隣接する層間の屈折率差、及び基材とそれに接触する層との屈折率差は0.02〜0.5であり、各層の厚さは30〜200 nmである。このため、巨視的にみると基材から入射媒質にかけて屈折率が滑らかに減少しており、各層の界面において光線を反射し難い。このような反射防止膜の反射率は光学膜厚依存性が小さく、光学膜厚を増減させても反射率の変化は小さい。また大きな光線入射角度の光に対しても優れた反射防止特性を有することができる。
本発明の光学素子は、レンズ表面に本発明の反射防止膜を有している。このため開口数の大きなレンズであっても周辺部における反射防止特性に優れており、光ピックアップ等の対物レンズに好適である。
[1] 反射防止膜を有する光学素子
図1は反射防止膜を有する光学素子を示す。この光学素子はレンズ1と、レンズ1の表面11に形成された反射防止膜2とからなる。図中の反射防止膜2は、実際より厚く描かれている。図1に示す例では反射防止膜2は四層構成であるが、本発明はこれに限定されず、二層、三層及び五層以上の薄層を有するものを含む。
レンズ1の表面11に第一層21が形成されており、その上に第二層22、第三層23及び第四層24がこの順に形成されている。第一層21、第二層22及び第三層23は緻密層であるが、第四層24は多孔質層である。第四層24は入射媒質aに接触しているので、第四層24の細孔には入射媒質aが入りこんでいる。各層の厚さはレンズ1の中心110で最大であり、周辺部12にかけて徐々に小さくなっている。本明細書中、レンズ1の周辺部12は、レンズ1の有効径をRとすると、中心軸からの距離が2R/5〜R/2の部分を示す。反射防止膜2の厚さも、周辺部12にかけて徐々に小さくなっている。
反射防止膜2の光学膜厚は基板傾斜角度θに依存する。基板傾斜角度θは、図3に示すように、レンズ1の中心110に接する面Foと、表面11上の点tに接する面Fとのなす角度を示す。基板傾斜角度θにおける反射防止膜2の光学膜厚D(θ)は、下記式(1)
D(θ)= D0・(cosθ)x ・・・(1)
(ただし、θは基板傾斜角度を示し、D0はレンズの中心における反射防止膜2の光学膜厚を示し、Xは0以上3以下の定数を示し、0°<θ90°である。)により表すことができる。光学膜厚D(θ)はθの増加に伴って小さくなる。Xは反射防止膜2の成膜条件(成膜方法、成膜材料、成膜装置等)に依存する定数である。なお光線Lが平行光の場合、レンズ表面11への入射角度は基板傾斜角度θに等しい。
図4は、基板傾斜角度θと反射防止膜2の膜厚比D(θ)/D0との関係の一例を示す。この反射防止膜2は、レンズ径約4mm、曲率半径約2mmのレンズ1表面に、真空蒸着法(真空度1×10-6 Torr、真空蒸着4分)により、フッ化マグネシウムからなる反射防止膜2を形成したものである。このグラフは、(cosθm)0.7に近似される。
図2は反射防止膜2の光学膜厚と屈折率との関係を概略的に示す。レンズ1の中心110における各層の光学膜厚dはほぼ等しい。各層の光学膜厚dは、30〜200 nmである。屈折率はレンズ1で最大であり、入射媒質aで最小であり、第一層21から第四層24にかけて順に小さくなっている。各層の間、第一層21とレンズ1との間、及び第四層24と入射媒質aとの間の屈折率差rはほぼ等しく、それぞれ0.02〜0.5である。このため光学膜厚に対する屈折率の変化は階段状であり、かつ直線に概略近似できる程度の滑らかさを有する。このようにレンズ1から入射媒質aにかけての光学膜厚に対する屈折率の変化が滑らかであるので、巨視的にみるとレンズ1から入射媒質aにかけて屈折率が徐々に減少している状態であり、各層の界面において入射光の反射が起こり難い。従って反射防止膜2が優れた反射防止効果を示すことができる。構成層の数にもよるが、中心110における反射防止膜2の光学膜厚Dは100〜1000 nm程度であるのが好ましい。
光学膜厚dが30〜200 nmの範囲でなかったり、屈折率差rが0.02〜0.5の範囲でなかったりすると、各層の光学膜厚に対する屈折率の変化が滑らかでない。このため、界面における反射率が大きくなってしまう。例えば第二層22の光学膜厚dが30 nm未満であると、第二層22によって得られる効果が小さ過ぎるので、第一層21の屈折率から第三層23に屈折率に急激に変化したのと変わらなくなってしまう。第二層22の光学膜厚dが200 nm超であると、第二層22による干渉が可視域に生じ、反射防止効果を損なうので好ましくない。
各層の材料は、レンズ1の屈折率より小さく入射媒質aの屈折率より大きな屈折率を有するものの中から選択することができる。ただし、隣接する層の屈折率差rは0.02〜0.5となるようにする必要がある。例えばレンズ1がランタンクラウンガラス(LaKガラス)からなり、入射媒質aが空気の場合、レンズ1の屈折率は1.72であって、入射媒質aの屈折率は1であるので、各層の材料は1.02〜1.7の屈折率を有するものから選択する。このような材料としてはフッ化カルシウム、フッ化イットリウム、フッ化ネオジウム、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化セリウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、クライオライト、チオライト及びこれらの混合物が挙げられる。
具体的には、第一層21として酸化アルミニウム(屈折率1.64)からなる層、第二層22として酸化ケイ素(屈折率1.46)からなる層、第三層23としてフッ化マグネシウム(屈折率1.38)からなる層を形成するのが好ましい。第四層24としては、酸化ケイ素からなる多孔質層が適用可能である。気孔率にもよるが、酸化ケイ素からなる多孔質層の屈折率は1.2程度である。酸化ケイ素からなる多孔質層の場合、気孔率は0.34〜0.57であるのが好ましい。気孔率が0.34未満であると、屈折率が大き過ぎて入射媒質aの屈折率との差が大き過ぎる。気孔率が0.57超であると、機械的強度が小さすぎる。
反射防止膜2の反射防止特性は光学膜厚に依存性し難い。本明細書中、「反射防止特性」は反射率及び透過率を示し、「優れた反射防止特性を有する」は小さな反射率及び大きな光透過率を有することを示す。反射防止特性の膜厚依存性が小さいと、周辺部12においても優れた反射防止特性を示すことができる。また反射防止膜2を成膜する際に、光学膜厚D0を精密に制御する必要が無いので好ましい。例えば反射防止膜2の光学膜厚D0を±50%ずらした場合、レンズ1の中心110における反射率の変動は2%未満であり、光透過率の変動も2%未満である。
反射防止膜2の反射防止特性は光線入射角度にも依存性し難い。このためレンズ1の大きな基板傾斜角度θを有する部分においても、優れた反射防止特性を示す。基板傾斜角度(θ)0°である中心110における反射率に対して、基板傾斜角度(θ)65°の位置における反射率の増加は6%未満である。
反射防止膜2は広い波長範囲の光に対して優れた反射防止特性を示す。具体的には設計波長〜±200 nmの波長の光を照射しても、反射率は設計波長の反射率+2%程度の範囲に入る。
レンズ周辺部12は大きな基板傾斜角度θを有し、かつ周辺部12に形成する反射防止膜2は中心110より小さい光学膜厚であるものの、上述のとおり反射防止膜2の反射防止特性は光学膜厚及び光線入射角度に対する小さな依存性を有するので、周辺部12においても優れた反射防止特性を有する。従って反射防止膜2を有する光学素子は、レンズ1の周辺部12においても比較的光線を反射し難い。このような光学素子は素子全体として多くの光量を透過させるものであるので、素子全体として優れた反射防止特性を有すると言える。
[2] 反射防止膜の製造方法
反射防止膜2の各層を形成する方法は特に限定されず、一般的な方法によって作製することができる。例えば蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法、熱CVD、プラズマCVD、光CVD等の化学蒸着法、ゾル−ゲルコート液を使ったディッピング法、スピン法、スプレー法等が挙げられる。
(1) 緻密層
蒸着法を例にとって、緻密層の製造方法を説明する。図5に示す蒸着装置30は、真空チャンバ31内にレンズホルダ32と、蒸発源33とを具備する。レンズホルダ32は回転するようになっている。レンズ1に反射防止膜2を成膜するには、まず表面11が蒸発源33側になるように、レンズ1をレンズホルダ32に設置し、蒸着材37を蒸発源33に載置する。真空ポンプ接続口35に接続された真空ポンプ(図示せず)により真空チャンバ31内を減圧にした後、蒸発源33により蒸着材37を加熱する。蒸着材37は加熱により蒸発し、レンズ1表面11に蒸着する。蒸着時間、加熱温度等を適宜設定することにより、所望の厚さを有する層を形成することができる。例えば酸化アルミニウムからなる第一層21をレンズ1の表面11に形成する場合、レンズ中心110における光学膜厚D0を100〜130 nmとするには、蒸着時間を4〜5分程度とすればよい。
第二層22を成膜するには、第一層21を成膜した後、別の蒸着材37’を蒸発源33に載置して再度真空チャンバ31内を減圧にし、蒸着材37’を加熱して第一層21上に蒸着する。この方法と同様にして、第三層23を第二層22上に形成することができる。
(2) 多孔質層
入射媒質a側の表面層として多孔質層を形成する場合、多孔質層の製造方法は特に限定されず、一般的な方法を用いることができる。例えば(a) 緻密な表面層を形成した後でスパッタリング等により多孔質にする方法や、(b) 表面層の材料と可溶性材料との混合物からなる緻密な混合物層を形成した後で、可溶性材料を溶解させることにより多孔質にする方法が挙げられる。(a) 緻密な表面層をスパッタリングする方法については、特開平7-150356号等に詳細に記載されている。以下、(b) 混合物層を形成した後で可溶性材料を溶解させる方法を具体的に説明する。
表面層の材料と可溶性材料との混合物を蒸着材37として蒸発源33に載置し、これを蒸着することによって基材の表面に混合物層を形成する。可溶性材料は水溶性のものが好ましく、表面層の材料は水への溶解度が小さいものが好ましい。表面層材料/可溶性材料の元素比により、形成する多孔質層の気孔率が決まる。表面層材料/可溶性材料の元素比が小さいほど気孔率は大きく、屈折率は小さくなる。実用的な表面層材料/可溶性材料の元素比は0.28〜1.86程度である。表面層材料としては酸化ケイ素、酸化アルミニウム及びこれらの混合物が好ましい。可溶性材料の具体例としては塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、フッ化ナトリウム、塩化マグネシウムが挙げられる。
次に混合物層を水又は水溶液に浸漬すると、水及び/又は水溶液中に可溶性材料が溶け出し、可溶性材料があったところには気孔が形成する。これにより表面層が多孔質となる。可溶性材料が溶解し、表面層材料は実質的に溶解しない温度の水又は水溶液を使用するのが好ましい。表面層材料が酸化ケイ素で、可溶性材料が塩化ナトリウムの場合、25〜75℃の水を用いるのが好ましい。
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
(i) 反射防止膜の作製
図5に示す成膜装置を使用してLaK10ガラスからなるレンズ(波長405 nmにおける屈折率:1.72)の表面に反射防止膜を形成した。レンズ1の表面11が蒸発源33側になるように、レンズ1をレンズホルダ32に設置した。酸化アルミニウム(屈折率1.64)を蒸発源33に載置して加熱することにより、基板2の表面に酸化アルミニウムを蒸着し、光学膜厚110 nmの酸化アルミニウム層を形成した。次いで光学膜厚110 nmの酸化ケイ素(屈折率1.46)層、光学膜厚110 nmのフッ化マグネシウム(屈折率1.38)層をこの順に形成した。
二つの蒸発源33,33にそれぞれ酸化ケイ素と塩化ナトリウムとを裁置し、これらを同時に4分間加熱することにより、光学膜厚110 nmの酸化ケイ素・塩化ナトリウム混合物層を形成した。酸化ケイ素・塩化ナトリウム混合物層の元素比(酸化ケイ素/塩化ナトリウム)は0.75であった。酸化ケイ素・塩化ナトリウム混合物層を有する光学素子を55℃の温水に60分間浸漬したところ、混合物層中の塩化ナトリウムが熱水に溶け出した。これにより、酸化ケイ素からなる多孔質層が得られた。多孔質層の屈折率は1.2であり、気孔率は57%であった。
(ii) 分光反射率の測定
得られた反射防止膜の分光反射率を、レンズ1の基板傾斜角度θが5°の位置で測定した。結果を図6に◆で示す。この反射防止膜の分光反射率(基板傾斜角度5°)は350〜750 nmの波長範囲で1%以下であった。
(iii) 種々の光学膜厚を有する反射防止膜の作製
レンズ中心110における各層の光学膜厚をそれぞれ実施例1の(i)より24%及び48%だけ大きくした反射防止膜、並びに24%及び48%だけ小さくした反射防止膜を表面11上に作製した。反射防止膜に波長405 nmの光を照射し、基板傾斜角度θが5°、45°、55°及び65°の位置で反射率を測定した。結果を図7に示す。
比較例1
(i) 単層反射防止膜の作製
レンズ1の表面11上に、光学膜厚110 nmのフッ化マグネシウム層のみを形成した以外、実施例1の(i)及び(ii) と同様にして単層反射防止膜を作製し、分光反射率を測定した。結果を図6に○で示す。
(ii) 種々の光学膜厚を有する単層反射防止膜の作製
レンズ中心110における各層の光学膜厚をそれぞれ比較例1の(i)より24%及び48%だけ大きくした反射防止膜、並びに24%及び48%だけ小さくした反射防止膜を表面11上に作製した。この反射防止膜を有する光学素子を使用した以外実施例1の(iii)と同様にして、反射率を測定した。結果を図8に示す。
比較例2
(i) 四層構成反射防止膜の作製
レンズ1側から酸化ジルコニウム層(屈折率2.0)と、フッ化マグネシウム層(屈折率1.38)とをこの順で交互に計四層形成し、各層の光学膜厚をレンズ側から順に23 nm、30 nm、260 nm及び120 nmとした以外実施例1の(i)及び(ii) と同様にして、四層構成の反射防止膜を作製し、分光反射率を測定した。結果を図6に△で示す。
(ii) 種々の光学膜厚を有する四層構成反射防止膜の作製
比較例2の(i)で得られた光学素子を使用した以外実施例1の(iii)と同様にして、各光学膜厚を有する四層構成反射防止膜の作製し、反射率を測定した。結果を図9に示す。
比較例3
LaK10ガラスからなるレンズ(波長405 nmにおける屈折率:1.72)の分光反射率を基板傾斜角度θが5°の位置で測定した。結果を図6に×で示す。またレンズに波長405 nmの光を照射し、基板傾斜角度θが0°、45°、55°及び65°の位置で反射率を測定した。結果を図10に示す。
実施例1及び比較例1〜3から、本発明の反射防止膜は(a) 広い波長範囲で優れた反射防止特性を有すること、(b) 大きな入射角度の光に対しても小さな反射率を示すこと、及び(c) 光学膜厚を増減しても反射率の変化が小さいことが分かった。
本発明の反射防止膜の一例を示す断面図である。 本発明の反射防止膜の光学膜厚と屈折率との関係を示すグラフである。 図1のA部を示す拡大断面図である。 基板傾斜角度θと膜厚比D(θ)/D0との関係を示すグラフである。 反射防止膜を成膜する装置の一例を示す構成図である。 反射防止膜及び基板に照射した波長と分光反射率の関係を示すグラフである。 実施例1の反射防止膜の膜厚増減と反射率との関係を示すグラフである。 比較例1の反射防止膜の膜厚増減と反射率との関係を示すグラフである。 比較例2の反射防止膜の膜厚増減と反射率との関係を示すグラフである。 LaK10ガラスレンズにおける基板傾斜角度θと反射率との関係を示すグラフである。
符号の説明
1・・・レンズ
11・・・表面
110・・・中心
12・・・周辺部
2・・・反射防止膜
21・・・第一層
22・・・第二層
23・・・第三層
24・・・第四層

Claims (5)

  1. 基材の表面に形成され、複数の層からなる反射防止膜であって、前記基材及び各層の屈折率は前記基材から順に小さくなっており、前記層とその隣の層及び前記基材とそれに接触する層との屈折率差が0.02〜0.5であり、各層の厚さが30〜200 nmであることを特徴とする反射防止膜。
  2. 請求項1に記載の反射防止膜において、入射媒質側の表面層が多孔質層であることを特徴とする反射防止膜。
  3. 請求項2に記載の反射防止膜において、前記多孔質層が二酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウムからなることを特徴とする反射防止膜。
  4. レンズと、前記レンズの表面に形成された反射防止膜とからなる光学素子において、前記反射防止膜は複数の層からなり、前記レンズ及び各層の屈折率は前記レンズから順に小さくなっており、前記層とその隣の層及び前記レンズとそれに接触する層との屈折率差が0.02〜0.5であり、各層の厚さが30〜200 nmであることを特徴とする光学素子。
  5. 請求項4に記載の光学素子において、入射媒質側の表面層が多孔質層であることを特徴とする光学素子。
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