JP7385364B2 - 光学部材、光学部材の製造方法、光学機器、及び撮像装置 - Google Patents

光学部材、光学部材の製造方法、光学機器、及び撮像装置 Download PDF

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Description

本発明は、光学部材、光学部材の製造方法、光学機器、及び撮像装置に関する。具体的には、表面に酸化物の微細凹凸構造を有する光学部材及び光学部材の製造方法、ならびに光学部材を備えた光学機器及び撮像装置に関する。
ガラス眼鏡、光学レンズ、太陽電池パネル、ブラウン管、フィルター、ディスプレーパネルなどでは、表面の光散乱や反射の低減が求められている。
これを実現するための一つの方法として、屈折率や膜厚を制御した単層又は多層の反射防止膜が用いられている。このような反射防止膜を用いる場合、膜の反射防止性能が波長と入射角度に応じて変化することが知られており、幅広い波長領域と入射角度に対する高性能反射防止性能を実現することは難しいことが知られている。
一方、従来からガラスの表面に微細な凹凸を形成させて、反射防止機能を付与することが知られている。特に波長以下の微細化が出来れば、広い入射角度範囲において高い反射防止機能が期待される。このような微細化の手段として、ガラス表面への化学的エッチングや機械的粗面加工等が提案されている。しかし、化学エッチングと機械的加工は、可視光範囲の波長以下の微細化が難しく、特に透明性が必要とされる用途においては反射防止性能を有するものにはまだ至っていない。
一方、微細加工装置を用いる以外の方法として、アルミナ系化合物であるベーマイトを基材上に成長させて反射防止効果を得ることが知られている。この方法では、真空成膜法あるいは液相法(ゾルゲル法)により前駆体膜を成膜した後、乾燥又は焼成して酸化アルミニウムの膜を作製する。その後、作製した酸化アルミニウムの膜を水蒸気処理あるいは温水に浸漬処理することにより、表層をベーマイト化して微細構造を形成して反射防止膜を作製している。
特開2012-255927号公報
光学部材用の基材である多くの高屈折率ガラスには、水や湿気に弱いアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化ホウ素等の酸化物成分が含まれている。反射防止膜形成用の基材として、これらのガラスを適用する場合、空気中の水や湿気が反射防止膜を形成した基材の表面まで入り込んでしまい、基材に含まれるアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化ホウ素等が放出され、基材の表面又は基材と反射防止膜との界面が曇ったり、白化したりしてしまう。また、光学特性が経時と共に変動する問題も指摘されている。
そこで、特許文献1において、微細凹凸構造からなる反射防止膜を形成する基材としてのガラス表面に、耐水性塗膜を被覆することが提案されている。しかし、耐水性塗膜は、通常、撥水性を持っており、光学有効面に適用した場合、水滴を形成し易くなり、高湿環境下では、曇り易くなり視認性が低下する問題がある。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、支持層である酸化物層上に凹凸構造を有する膜を基材表面に有した部材、及びその製造方法に関するものである。特に酸化物層表面の凹凸構造が安定化し、耐久性及び防曇性に優れた酸化物層を備える光学用の部材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る光学部材は、基材と、該基材の表面に設けられた反射防止用の膜と、を有する光学用の部材であって、前記膜は、支持層と、該支持層上に設けられた複数の突起と、を有し、前記突起、及び、前記支持層は、いずれもフッ素を含有した酸化アルミニウムからなり、前記突起のフッ素含有率よりも前記支持層のフッ素含有率の方が大きいことを特徴とする。
本発明によれば、耐久性が向上する効果を奏する。
本発明の実施形態に係る光学部材の一例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る撮像装置の一例である、一眼レフデジタルカメラの構成図である。 図3(a)は、本発明の実施形態に係る撮像装置の一例である、ネットワークカメラの外観図であり、図3(b)は、図3(a)に示したネットワークカメラの分解斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る光学部材の一例を示す断面図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係る光学部材5は、基材1と、支持層上に微細な複数の突起2を有する反射防止膜3を有している。また、反射防止膜3は、フッ素を含有した酸化アルミニウムである。更に、反射防止膜3は、基材1と突起2との間に支持層4を有する。
(基材)
本発明において使用される基材としては、レンズの如き成形品やフィルムを用いることができる。基材としては、透明性及び成形性の点から、ガラスを用いることが好ましい。
アルカリ金属、アルカリ土類金属、ホウ素等を含む光学ガラスを基材とする場合、表面に微細凹凸構造を有する酸化物層を用いれば、該酸化物層は、高い反射防止機能を持つ反射防止膜として機能する。
屈折率が1.4以上1.9以下の範囲では、数多くのガラスを選択できるために、幅広い高性能反射防止機能の光学レンズが可能になる。代表的な光学ガラス基材の具体例として、バリウムフリント、バリウムクラウン、ホウ硅クラウン、ランタンフリント、ランタンクラウンのガラスを挙げることができる。
また、本発明において使用される基材として、ガラス以外にも、プラスチック等を用いることができる。
基材を構成するプラスチックの代表的なものとしては、ポリエステル、トリアセチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルの如き熱可塑性樹脂;不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、架橋型ポリウレタン、架橋型のアクリル樹脂、架橋型の飽和ポリエステル樹脂の如き熱硬化性樹脂が挙げられる。
(反射防止膜)
本発明に係る反射防止膜は、表面に微細な複数の突起を有し、フッ素を含有している。反射防止膜内のフッ素含有率は特に限定されるものではないが、1モル%以上10モル%以下であることが好ましい。反射防止膜内のフッ素含有率が1%未満である場合、フッ素の耐水効果不足で高温高湿耐久に不利である。また、反射防止膜内のフッ素含有率が10%以上である場合、耐水効果は十分にあるものの、反射防止膜のガラス基材からの膜剥離が発生しやすくなる。
フッ素は表面エネルギーが非常に小さいことから、フッ素含有率が大き過ぎると膜と基材との密着性を落とす要因となる。従って、反射防止膜内のフッ素含有率が上記の範囲である場合、反射防止膜内の耐久性が良好であり、かつ親水性も十分に維持できる。
フッ素含有率は、XPS分析により検出することができる。また、断面STEM及びEDXの分析手法を組み合わせて検証することができる。例えば、XPS分析により膜厚方向に掘りみながらモル比を計測し、断面STEM及びEDXにより2層の場所を特定した状態で構成元素の定性的な大小関係を調べることができる。
反射防止膜は、見かけの屈折率が厚さ方向に変化していることが好ましい。すなわち、反射防止膜の表面から基材方向に向かって、屈折率が変化していることが好ましい。
また、反射防止膜は、酸化アルミニウム固有の屈折率より低い見かけの屈折率を有することが好ましい。
反射防止膜がこのような構成を有することにより、より良好な反射防止性能を発揮できる。
反射防止膜は、平均表面粗さの値Ra’が、15nm以上100nm以下であることが好ましく、18nm以上25nm以下がより好ましい。平均表面粗さの値Ra’が、15nm未満であると反射防止性能が低下する。平均表面粗さの値Ra’が100nmより大きいと反射防止膜における散乱が大きくなる傾向がある。また、反射防止膜の表面積比Srは、1.2以上3.5以下であることが好ましい。
反射防止膜の平均表面粗さの値Ra’は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて測定可能である。すなわち、平均表面粗さRa’値(nm)は、JIS B 0601で定義されている中心線平均粗さRaを、測定面に対し適用し、三次元に拡張したもので、「基準面から測定面までの偏差の絶対値を平均した値」と表現し、下記式(1)で与えられる。
Figure 0007385364000001
Ra’:平均表面粗さ(nm)、
:測定面が理想的にフラットであるとした時の面積、すなわち|XR-XL|×|YT-YB|、F(X,Y):測定点(X,Y)における高さ、XはX座標、YはY座標、
からX:測定面のX座標の範囲、
からY:測定面のY座標の範囲、
:基準面(測定面内の平均)の高さ。
また、反射防止膜の表面積比Srは、下記式(2)で求められる。
Sr=S/S 式(2)
〔S:測定面が理想的にフラットであるときの面積。S:実際の測定面の表面積。〕
なお、実際の測定面の表面積は次のようにして求める。先ず、測定面を最も近接した3つのデータ点(A,B,C)より成る微小三角形に分割し、次いで各微小三角形の面積△Sを、ベクトル積を用いて下記式(3)により求める。
△S(△ABC)=[s(s-AB)(s-BC)(s-AC)]×0.5 式(3)
〔但し、AB、BC及びACは各辺の長さである。sは、0.5×(AB+BC+AC)で定義される。〕
△Sの総和によって表面積Sが求まり、反射防止膜の表面積比Srが求められる。
(突起)
反射防止膜の表面の突起は、酸化アルミニウムを主成分として形成されていることが好ましい。例えば、突起は、アルミニウムの酸化物又は水酸化物又はそれらの水和物の結晶から形成される。これらの中で、突起がベーマイトであることがより好ましい。本明細書では、アルミニウムの酸化物若しくは水酸化物又はそれらの水和物を「酸化アルミニウム」と記載する。
図1において、突起2を有する反射防止膜3の層厚は、20nm以上1000nm以下であることが好ましく、50nm以上1000nm以下であることがより好ましい。突起2を有する反射防止膜3の厚みが20nm未満の場合には機械的強度が低下し、1000nmより大きい場合には反射防止性能が低下する。
突起2は、太さが5nm以上50nm以下であることが好ましい。本発明において、突起の太さとは、突起の高さの半分の高さにおける幅の値を「突起の太さ」と定義する。突起の太さは、SEMによる光学部材の断面の写真で、100本の突起の太さの平均値から求める。
(支持層)
本発明の光学部材は、基材1と突起2との間に、突起を支持する支持層4を有する。支持層4は、厚さが10nm以上200nm以下であることが好ましい。支持層4は、多孔質であることが好ましい。
支持層4の構成元素は、例えば、XPS分析から検出することができ、Al、O、Fが好ましい。AlとOのモル比は、おおよそ1:2程度であることが好ましく、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムの状態で存在していることが好ましい。
本実施形態では、微細凹凸を形成する場合、支持層4として多孔質層が付随的に形成される。多孔質層は水分を吸湿できるため、水滴形成を抑制する効果があることが一般的に知られており、支持層が多孔質であると防曇性の効果が高まる。
(光学部材の製造方法)
本発明の光学部材の製造方法は、基材及び反射防止膜を有する光学部材の製造方法に関する。本発明の光学部材の製造方法は、基材表面に、フッ素を含有したアルミニウムを主成分とする層を形成する前駆体膜形成工程と、前駆体膜を温度60℃乃至100℃の温水又は温度60℃乃至100℃の水系媒体で処理して、表面に微細な複数の突起を有する反射防止膜を生成する工程と、を有することを特徴とする。
(前駆体膜を形成する工程)
前駆体膜を形成する工程は、基材の表面に、フッ素とアルミニウムを含む層を形成する。具体的には、アルミニウムを主成分とする原料とフッ素を主成分とする原料を同時に基材に真空成膜する。
アルミニウムを主成分とする原料としては、金属アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム等が挙げられる。
フッ素を主成分とする原料として、フッ素樹脂として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン)等が挙げられる。
真空成膜法としては、スパッタ法、蒸着法等が挙げられる。成膜時には、アルミニウムを主成分とする原料とフッ素を主成分とする原料を各々制御して同時に成膜する方法や、アルミニウムを主成分とする原料とフッ素を主成分とする原料とを予め混合しておいたものを用いて成膜する方法がある。また、前駆体膜の成膜前又は成膜後に、更にアルミニウムを主成分とする原料を真空成膜してもよい。
(反射防止膜を生成する工程)
反射防止膜を生成する工程は、前駆体膜を温度60℃以上乃至100℃以下の温水又は温度60℃以上乃至100℃以下の水系媒体で処理して、表面に微細な複数の突起を有する反射防止膜を生成する。
前駆体膜を水系媒体で処理する方法としては、基材を温水に浸漬する方法、又は温水を流水もしくは霧状にして前駆体膜に接触させる方法が挙げられる。
反射防止膜は、酸化アルミニウムを主成分とする結晶から形成されている結晶層と多孔質酸化アルミニウムの支持層から形成されていることが好ましい。
また、突起及び支持層内はフッ素を含有しており、支持層のフッ素含有率の方が突起のフッ素含有率よりもが多い。このようなフッ素含有率とすることで、支持層の耐水性を高めるとともに突起の親水性を維持することができるため、反射防止膜の高温高湿環境下でのガラス由来の耐久性が向上すると同時に、親水性を維持することができ防曇性の効果が高まる。
(光学部材の適用例)
本発明に係る光学部材の適用として、光学機器及び撮像装置について説明する。本発明の光学機器は、筐体と、筐体内に複数のレンズからなる光学系とを備えるものであり、例えば、双眼鏡、顕微鏡、半導体露光装置、交換レンズ等、本発明の光学部材を含む光学系を備える機器のことをいう。あるいは本発明の光学部材を通過した光によって画像を生成する機器のことをいう。
また、本発明の撮像装置とは、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等のカメラシステムや、携帯電話機等の本発明の光学部材を通過した光を受光する撮像素子を備える電子機器のことをいう。なお、電子機器に搭載されるモジュール状の形態、例えばカメラモジュールを撮像装置とする場合もある。
図2は、本発明の撮像装置の好適な実施形態の一例であり、本発明の光学機器の一例であるレンズ鏡筒(交換レンズ)が結合された一眼レフデジタルカメラの構成を示している。図2に示したデジタルカメラ200において、カメラ本体202と光学機器であるレンズ鏡筒201とが結合されているが、レンズ鏡筒201はカメラ本体202に対して着脱可能ないわゆる交換レンズである。
被写体からの光は、レンズ鏡筒201の筐体220内の撮影光学系の光軸上に配置された複数のレンズ203、205などからなる光学系を通過し、撮像素子210に受光される。本発明の光学部材は、例えばレンズ203、205に用いることができる。
ここで、レンズ205は内筒204によって支持されて、フォーカシングやズーミングのためにレンズ鏡筒201の外筒に対して可動支持されている。
撮影前の観察期間では、被写体からの光は、カメラ本体202の筐体221内の主ミラー207により反射され、プリズム211を透過後、ファインダレンズ212を通して撮影者に撮影画像が映し出される。主ミラー207は、例えばハーフミラーとなっており、主ミラー207を透過した光はサブミラー208によりAF(オートフォーカス)ユニット213の方向に反射され、例えばこの反射光は測距に使用される。また、主ミラー207は主ミラーホルダ240に接着などによって装着、支持されている。不図示の駆動機構を介して、撮影時には主ミラー207とサブミラー208を光路外に移動させ、シャッタ209を開き、撮像素子210にレンズ鏡筒201から入射した撮影光像を結像させる。また、絞り206は、開口面積を変更することにより撮影時の明るさや焦点深度を変更できるよう構成される。
図3は、本発明の撮像装置の好適な実施形態の一例である、ネットワークカメラの構成を示している。図3(a)は、ネットワークカメラ300の外観図であり、図3(b)は、図3(a)に示したネットワークカメラ300の分解斜視図である。なお、本実施形態では、ネットワークカメラ300の一例として、外部の画像監視センター等のサーバ(監視装置)と無線又は有線により通信可能に接続されてサーバ側で撮像画像を監視する画像監視システムを構成するネットワークカメラ300を例示するが、本発明の適用先はこれに限定されない。
本実施形態のネットワークカメラ300は、図3に示すように、上カバー303、下カバー302、及びドーム状のカバー301(以下、ドームカバー301という)によって形成される外装カバーの内部に撮像ユニット320が設けられている。撮像ユニット320は、複数のレンズからなる光学系(不図示)と該光学系を通過した光を受光する撮像素子(不図示)を有している。ドームカバー301は、撮像ユニット320の撮影可能範囲の正面側(被写体側)に配置されて撮像ユニット320に含まれる光学系(不図示)を保護する略半球状の透明部材である。本発明に係る反射防止膜は、ドームカバー301に設けられていてもよいし、撮像ユニット320に含まれる光学系(不図示)を構成するレンズの少なくとも一つに設けられていてもよい。光学系(不図示)を構成するレンズの少なくとも一つに設けられている場合は、最も外側(撮像素子から最も遠いレンズ)に設けられていると、より本発明の効果を得ることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。各実施例及び各比較例で得られた、表面に突起を有する光学膜について、下記の方法で評価を行った。
(1)高温高湿耐久性の評価
反射防止膜を表層に形成した基材を、温度60℃、且つ、湿度90%の環境に投入保持し、投入前後の反射率の変化を評価する。反射率は、顕微分光測定機(USPM-RU、オリンパス製)を用い、400nmから700nmの範囲の入射角0°時の反射率測定を行い、各波長で最も変化の大きい値を変化量とした。耐久性の判定については、変化量0.3%以内であれば判定をAとした。変化量が0.3%より大きくとも比較例より変化量が小さければ判定をBとした。
(2)接触角の評価
接触角計(DMs-401、協和界面化学製)を用い、反射防止膜の接触角を測定した。判定については、接触角が20°以内であれば判定をAとした。
(3)フッ素の含有率の測定
X線光電分光分析(XPS、アルバック・ファイ製)による元素分析により測定した。反射防止膜内のフッ素の分布は、透過型電子顕微鏡(TEM、Tecnai F30 )を用いて、層断面に対してEDX分析を行うことで測定した。
(実施例1)
オハラ社製S-NBH53(nd=1.731)円盤状ガラス基板にスパッタ法によって、フッ素とアルミニウムを同時に成膜し前駆体膜を形成した。具体的には、アルゴン雰囲気1Paで行い、アルミニウムターゲットをDC200Wで、PTFEターゲットをRF40Wで、同時に10分間成膜した。その後、前駆体膜を温度75℃の温水に3時間浸漬することにより、円盤状ガラス基板上に酸化アルミニウムを主成分とする突起と支持層とを有する反射防止膜を形成し、光学部材を製造した。
(実施例2)
アルゴン雰囲気1Pa、アルミニウムターゲットをDC200W、PTFEターゲットをRF15Wとし、フッ素とアルミニウムを同時に8分間成膜し前駆体膜を形成した。また、前駆体膜を温水に浸漬する時間を2時間とした。それ以外は実施例1と同じ方法で反射防止膜を形成し、光学部材を製造した。
(実施例3)
アルゴン雰囲気1Pa、アルミニウムターゲットをDC200W、PTFEターゲットをRF70Wとし、フッ素とアルミニウムを同時に15分間成膜し前駆体膜を形成した。また、前駆体膜を温水に浸漬する時間を5時間とした。それ以外は実施例1と同じ方法で反射防止膜を形成し、光学部材を製造した。
(実施例4)
アルゴン雰囲気1Pa、アルミニウムターゲットのみをDC200Wで、2分間成膜した。その後、アルゴン雰囲気1Pa、アルミニウムターゲットをDC200W、PTFEターゲットをRF40Wで、フッ素とアルミニウムを同時に8分間成膜し、前駆体膜を形成した。また、前駆体膜を温水に浸漬する時間を3時間とした。それ以外は実施例1と同じ方法で反射防止膜を形成し、光学部材を製造した。
(実施例5)
アルゴン雰囲気1Pa、アルミニウムターゲットをDC200W、PTFEターゲットをRF40Wで、フッ素とアルミニウムを同時に8分間成膜した。さらに、アルゴン雰囲気1Paで、アルミニウムターゲットのみをDC200Wで、2分間成膜し、前駆体膜を形成した。また、前駆体膜を温水に浸漬する時間を3時間とした。それ以外は実施例1と同じ方法で反射防止膜を形成し、光学部材を製造した。
(実施例6)
アルゴン雰囲気1Pa、アルミニウムターゲットのみをDC200Wで、2分間成膜した。その後、アルゴン雰囲気1Pa、アルミニウムターゲットをDC200W、PTFEターゲットをRF40Wで、フッ素とアルミニウムを同時に8分間成膜し、さらに、アルゴン雰囲気1Paで、アルミニウムターゲットのみをDC200Wで、1分間成膜し、前駆体膜を形成した。また、前駆体膜を温水に浸漬する時間を3時間とした。それ以外は実施例1と同じ方法で反射防止膜を形成し、光学部材を製造した。
(実施例7)
アルゴン雰囲気1Pa、アルミニウムターゲットをDC200W、PTFEターゲットをRF10Wで、フッ素とアルミニウムを同時に7分間成膜し、前駆体膜を形成した。また、前駆体膜を温水に浸漬する時間を2時間とした。それ以外は実施例1と同じ方法で反射防止膜を形成し、光学部材を製造した。
(実施例8)
アルゴン雰囲気1Pa、アルミニウムターゲットをDC200W、PTFEターゲットをRF80Wで、フッ素とアルミニウムを同時に20分間成膜し、前駆体膜を形成した。また、前駆体膜を温度85℃の温水に5時間浸漬した。それ以外は実施例1と同じ方法で反射防止膜を形成し、光学部材を製造した。
(比較例)
オハラ社製S-NBH53(nd=1.731)円盤状ガラス基板にスパッタ法によって、アルミニウムを主成分とする前駆体膜を形成した。具体的には、アルゴン雰囲気1Paで行い、アルミニウムターゲットをDC200Wで、7分間成膜した。その後、前駆体膜を温度60℃の温水に2時間浸漬することにより、円盤状ガラス基板上に酸化アルミニウムの突起と支持層とを有する反射防止膜を形成し、光学部材を製造した。
(結果)
実施例1から実施例8、比較例で製造した光学膜(光学部材)の性能を評価した。評価結果を、表1に示す。
Figure 0007385364000002
表1に示したように、前駆体膜の膜構成において、実施例1、2、3、7、8は基材上にアルミニウム及びフッ素を含有する層であり、比較例は基材上にアルミニウムを主成分とするフッ素含有率が0モル%の層である。
実施例4は、基材上にアルミニウムを主成分とする層が10nmあり、その上層にアルミニウム及びフッ素を含有する層が55nmある。
実施例5は、基材上にアルミニウム及びフッ素を含有する層が55nmあり、その上層にアルミニウムを主成分とする層10nmがある。
実施例6は、基材上にアルミニウムを主成分とする層5nmがあり、その上層にアルミニウム及びフッ素を含有する層が55nmあり、さらに上層にアルミニウムを主成分とする層5nmがある。
各前駆体のフッ素含有率はXPSによって分析を行った。
表1における反射防止膜のフッ素含有率はXPSにより分析を行った。また、層内膜厚方向のフッ素分布は断面TEM及びEDX分析で行っており、実施例1~8全てにおいて突起層より支持層の方がフッ素のEDX強度が大きかった。
実施例7は、光学特性(反射率)の変化量が0.4%であった。比較例よりは、光学特性(反射率)の変化量は少なかったが、変化量0.3%よりは変化量が大きかった。
実施例1から実施例8より、フッ素を含有していれば、フッ素を含有していない膜に比べて耐久性は向上することが分かった。また、含有率が1モル%以上あれば耐久性がより良好であることが分かった。
実施例3および実施例8において、いずれも耐久性(光学特性(反射率)の変化量)は、良好であったが、実施例8においては、耐久試験後に膜に剥離が見られたが実施例3は膜の剥離は見られなかった。このことから、含有率が10モル%以下であればより好ましい膜を得ることができることがわかった。
実施例3、実施例4及び実施例6は支持層の膜を厚膜化できることから、水の侵入を抑制する効果があり、より耐久性を向上できる。
実施例5及び実施例6は突起部へのフッ素の含有率を抑制できるため、より親水性を向上できる。
1…基材
2…突起
3…反射防止膜
4…支持層
5…光学部材

200…デジタルカメラ
201…レンズ鏡筒
202…カメラ本体
203,205…レンズ
204…内筒
206…絞り
207…主ミラー
208…サブミラー
209…シャッタ
210…撮像素子
211…プリズム
212…ファインダレンズ
213…AFユニット
220,221…筐体
240…主ミラーホルダ

300…ネットワークカメラ
301…ドームカバー
302…下カバー
303…上カバー
320…撮像ユニット

Claims (13)

  1. 基材と、該基材の表面に設けられた反射防止用の膜と、を有する光学用の部材であって、
    前記膜は、支持層と、該支持層上に設けられた複数の突起と、を有し、
    前記突起、及び、前記支持層は、いずれもフッ素を含有した酸化アルミニウムからなり、
    前記突起のフッ素含有率よりも前記支持層のフッ素含有率の方が大きいことを特徴とする部材。
  2. 前記支持層は、多孔質であることを特徴とする請求項1に記載の部材。
  3. 前記膜のフッ素含有率は1モル%以上10モル%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の部材。
  4. 前記膜の平均表面粗さRa’は、15nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の部材。
  5. 前記膜の表面積比Srは、1.2以上3.5以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の部材。
  6. 前記膜の厚さは、20nm以上1000nm以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の部材。
  7. 前記突起の太さは、5nm以上50nm以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の部材。
  8. 前記支持層の厚さは、10nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の部材。
  9. 前記基材はガラスである、請求項1乃至のいずれか一項に記載の部材。
  10. 筐体と、該筐体内に設けられた請求項1乃至のいずれか1項に記載の部材を含む光学系と、を備える光学機器。
  11. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の部材と、該部材を通過した光を受光する撮像素子と、を備えることを特徴とするカメラ。
  12. 光学部材の製造方法であって、
    アルミニウムを主成分とする原料とフッ素を主成分とする原料とを用いた真空成膜法により、アルミニウムとフッ素とを含有する反射防止用の膜を基材上に形成する工程と、
    前記膜を温度60℃以上乃至100℃以下の温水、又は温度60℃以上乃至100℃以下の水系媒体で処理する工程と、
    を含むことを特徴とする光学部材の製造方法。
  13. 前記膜の成膜前又は成膜後に、アルミニウムを主成分とする原料を更に前記基材上又は前記膜上に真空成膜することを特徴とする請求項12に記載の部材の製造方法。
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