JP2008096701A - 光学物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な反射防止効果および耐久性を有する親水性の光学物品を提供すること。
【解決手段】光学物品は、基板上に有機系反射防止層を有し、前記有機系反射防止層は、基板側から中屈折率層(nd:1.55〜1.6)、高屈折率層(nd:1.61〜1.75)および低屈折率層(nd:1.3〜1.4)の3層からなり、前記高屈折率層は、アナターゼ型結晶構造を有する酸化チタンを含有する組成物により形成され、前記低屈折率層は、内部空洞を有するシリカ系微粒子を含有する組成物により形成される。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面を高度に親水化することにより、曇りや水滴形成の生じにくい光学物品に関する。
眼鏡レンズ、窓ガラス、鏡等の光学物品は寒冷時に曇ることが多い。これは、レンズ等の表面が露点以下の温度であると雰囲気中の湿分が凝縮して表面に結露するためである。その結果、レンズやガラスのような透明物品では透視像が歪んで透視性が低下し、鏡では反射像が乱される。
このような曇りの発生に対して、従来用いられている簡便な防曇方法は、ポリエチレングリコールのような親水性化合物を含んだ防曇性組成物を表面に塗布することである。しかし、この種の防曇性被膜はあくまで一時的なもので、水洗や物理的接触によって容易に取り除かれ、早期に効果が失われる。
そこで、基材の表面にポリマー層を設け、この層に紫外線を照射した後アルカリ水溶液により処理することにより高密度の酸性基を生成し、これによりポリマー層の表面を親水性にすることからなる鏡の防曇方法が開示されている(特許文献1)。さらに、光活性な触媒を用いてレンズやガラス自体に親水性を持たせることも提案されている(例えば、特許文献2)。この技術によれば、酸化チタンを含有する光触媒性コーティングにより被覆された透明部材に光を照射して光触媒を光励起することにより、光触媒性コーティングの表面を超親水化でき、空気中の湿分や湯気が結露しても、凝縮水は個々の水滴を形成することなく一様な水膜になるので、表面には光散乱性の曇りは発生しない。また、窓ガラスや車両用バックミラーや車両用風防ガラスや眼鏡レンズやヘルメットのシールドが降雨や水しぶきを浴びても、表面に付着した水滴は速やかに一様な水膜に広がるので、離散した水滴が形成されない。
実開平3-129357号公報 WO96/29375号公報
しかしながら、特許文献1に記載された防曇方法においては、表面に付着する汚染物質により時間が経つにつれて表面は親水性を失い、防曇性能が次第に失われため実用性に乏しい。
一方、特許文献2に記載された光触媒性コーティングは、長期間に渡ってその親水性(防曇性)が維持される点は優れているものの、レンズのように表面の反射防止特性が重要視される分野では問題のあることがわかってきた。すなわち、表面層に高屈折率の酸化チタンを含有させるため、反射率が必然的に高くなり反射防止効果が十分得られない。また、反射防止効果を向上させるため、最表面に低屈折率層を設けると、前記した酸化チタン配合層の親水性が発揮できない。さらに、酸化チタン配合層の光活性のために、当該層と接する低屈折率層の界面部分が酸化分解され、低屈折率層がいわゆる膜剥がれを起こしてしまう。
そこで、本発明の目的は、十分な反射防止効果および耐久性を有する親水性の光学物品を提供することにある。
本発明者らは、前記した光触媒含有層が必ずしも最表面になくとも、最表層が透過性の
ある層であれば、最表層に親水性が発揮されることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明の光学物品は、基板上に有機系反射防止層を有する光学物品であって、前記有機系反射防止層は、基板側から中屈折率層(nd:1.55〜1.6)、高屈折率層(nd:1.61〜1.75)および低屈折率層(nd:1.3〜1.4)の3層からなり、前記高屈折率層は、アナターゼ型結晶構造を有する酸化チタンを含有する組成物により形成され、前記低屈折率層は、内部空洞を有するシリカ系微粒子を含有する組成物により形成されることを特徴とする。
本発明の光学物品によれば、有機系反射防止層を構成する3層が各々前記した屈折率を有するため、優れた反射防止効果を発揮する。さらに、アナターゼ型結晶構造を有する酸化チタンを含有する組成物により形成された高屈折率層は太陽光線等の光を受けて活性化し、最表面層である低屈折率層の表面が親水化する。それ故、防曇性やセルフクリーニング性に優れた光学物品を提供できる。
本発明では、前記中屈折率層は、Zr酸化物、Sn酸化物およびルチル型結晶構造を有する酸化チタンから選ばれる単独酸化物ゾルまたは複合酸化物ゾルを含有する組成物により形成されることが好ましい。
この発明によれば、所定の金属酸化物ゾルを含有する組成物を用いるので、安定して中屈折率層を形成することができる。特に、屈折率、透明性、分散安定性等の点からルチル型結晶構造を有する酸化チタンを含有する酸化物ゾルが好ましい。
ここで、ルチル型結晶構造を有する酸化チタンは、アナターゼ型酸化チタンよりラジカルの生成量が極めて少ない。それ故、ルチル型結晶構造の酸化チタンを配合したほうが耐候性や耐光性に優れており、結果として耐候性や耐光性に優れたプラスチックレンズが得られる。
本発明では、前記した中屈折率層、高屈折率層および低屈折率層を形成する組成物の少なくともいずれかに加水分解可能な有機ケイ素化合物が含まれることが好ましい。
この発明によれば、有機ケイ素化合物が加水分解されることにより強固なバインダー層として機能する。ここで、有機ケイ素化合物として好ましいのは下記式(1)で示す有機シラン化合物である。
Si(OR (1)
(式中、ORは、加水分解性基であり、互いに同一でも異なっていてもよい。)
テトラアルコキシシランを加水分解すると有機基を含まないシロキサン結合からなる無機ポリマーとなるのでバインダー樹脂としての強度面からも、また、高屈折率層で発生したラジカルに対する耐久性の面からも好ましい。
なお、有機ケイ素化合物としては、下記式(2)で示す有機シラン化合物を混合して用いてもよい。
SiX 3−n (2)
(式中、Rは、重合可能な反応基を有する有機基であり、Rは炭素数1〜6の炭化水素基であり、Xは加水分解性基であり、nは0または1である。)
本発明の光学物品は、眼鏡レンズ、カメラレンズ、望遠鏡用レンズ、顕微鏡用レンズ、ステッパー用集光レンズ等のプラスチックレンズとして好適に使用できる。
以下、本発明の光学物品について実施形態を詳細に説明する。本実施形態の光学物品は眼鏡用のプラスチックレンズである。
本実施形態のプラスチックレンズは、プラスチックレンズ基板(以下、「レンズ基板」ともいう)と3層からなる有機系反射防止層とで構成されるが、プラスチックレンズ基板
表面に形成されたプライマー層と、このプライマー層の上面に形成されたハードコート層と、このハードコート層の上面に形成された3層からなる有機系反射防止層とを有する構成としても良い。以下、これら各層について説明する。なお、プライマー層とハードコート層をも含めてレンズ基板という場合もある。
(1.レンズ基板)
レンズ基板の材質は、特に限定されないが、(メタ)アクリル樹脂をはじめとして、スチレン樹脂、カーボネート樹脂、アリル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)などのアリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との反応で得られたウレタン樹脂、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を硬化して得られる透明樹脂等を例示することができる。これらの樹脂のうち、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を硬化して得られる透明樹脂が高屈折率のレンズ基材用として好ましい。イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂を用いたレンズ基板の具体例として、例えばセイコースーパーソブリン(セイコーエプソン株式会社製、商品名、屈折率1.67)や、セイコースーパールーシャス(セイコーエプソン株式会社製、商品名、屈折率1.60)を例示することができる。また分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を硬化して得られる透明樹脂を用いた例として、例えばセイコープレステージ(セイコーエプソン株式会社製、商品名、屈折率1.74)を例示することができる。
(2.プライマー層)
プライマー層は、レンズ基板の最表面に形成され、レンズ基板と後述するハードコート層双方の界面に存在して、レンズ基板とハードコート層双方への密着性を発揮する性質を有し、表面処理膜全体の耐久性を向上させる役割を担う。さらに外部からの衝撃吸収層としての性質も併せ持ち、耐衝撃性を向上させる性質も有する。
このようなプライマー層としては、極性を有する有機樹脂ポリマーと、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子(単独酸化物あるいは複合酸化物)とを含む組成物を用いて形成されることが好ましい。
有機樹脂ポリマーは、レンズ基板とハードコート層の双方に密着性を発現する。金属酸化物微粒子は、フィラーとしてプライマー層の架橋密度向上に作用して、耐水性、耐候性や耐光性の向上を図ることができる。上記有機樹脂ポリマーとしては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等の各種樹脂を使用することが可能である。この内、硫黄原子を含むレンズ基板に対する密着性とフィラーとなる金属酸化物微粒子の分散性の点から、ポリエステル樹脂を好ましく用いることができる。
一方、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子としては、光活性のないルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを用いることが耐光性の観点から好ましい。この金属酸化物微粒子の平均粒径は、1〜200nmが好ましく、より好ましくは5〜30nmを用いる。
プライマー層形成用組成物(コーティング液)の塗布にあたっては、レンズ基板とプライマー被膜の密着性の向上を目的として、レンズ基板の表面を予めアルカリ処理、酸処理、界面活性剤処理、無機あるいは有機の微粒子による剥離/研磨処理、プラズマ処理を行うことが効果的である。また、コーティング液の塗布/硬化方法としては、ディッピング法(浸漬法)、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法、あるいは、フローコート法等によりコーティング液を塗布した後、40〜200℃の温度で数時間加熱/乾
燥することにより、プライマー層を形成できる。
また、プライマー層の膜厚は、0.01〜50μm、特に0.1〜30μmの範囲が好ましい。プライマー層が薄すぎると耐水性や耐衝撃性などの基本性能が実現できず、逆に厚すぎると、表面の平滑性が損なわれたり、光学的歪や白濁、曇りなどの外観欠点を発生する場合がある。なお、プライマー層の屈折率は、干渉縞の発生を避けるため、レンズ基板の屈折率に合わせることが好ましい。
(3.ハードコート層)
ハードコート層は、レンズ基板表面に形成されたプライマー層上に形成される。ハードコート層は、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子(単独酸化物あるいは複合酸化物)と、下記式(2)で示される有機ケイ素化合物とを含む組成物を用いて形成されることが好ましい。
SiX 3−n (2)
(式中、Rは、重合可能な反応基を有する有機基であり、Rは炭素数1〜6の炭化水素基であり、Xは加水分解基であり、nは0または1である。)
酸化チタンとしては、プライマー層と同様に、光活性のないルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを用いることが耐光性の観点より好ましい。
式(1)で示される有機ケイ素化合物は、いわゆるシランカップリング剤であり、ハードコート層のバインダー樹脂としての役割を果たす。式(2)中、Rは、重合可能な反応基を有する有機基であり、炭素数は2以上である。Rはビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基、1−メチルビニル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基等の重合可能な反応基を有する。また、Xは、加水分解可能な官能基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等のアルコキシ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲン基、アシルオキシ基等があげられる。Rは、炭素数1〜6の一価炭化水素基を表すが、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基等を例示することができる。良好な耐擦傷性を得るには、メチル基が好ましい。
有機ケイ素化合物としては、具体的には、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、アリルトリアルコキシシラン、アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリアルコキシシラン、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン等があげられる。これらの有機ケイ素化合物は、2種類以上を混合して用いてもよい。
そして、ハードコート層形成用組成物(コーティング液)を製造する際には、金属酸化物微粒子が分散したゾルと、有機ケイ素化合物とを混合することが好ましい。金属酸化物微粒子の配合量は、ハードコート層の硬度や、屈折率等により決定されるものであるが、コーティング液中の固形分の5〜80質量%、特に10〜60質量%であることが好ましい。配合量が少なすぎると、ハードコート層の耐磨耗性が不十分となり、配合量が多すぎると、ハードコート層にクラックが生じることがある。また、ハードコート層を染色する場合には、染色性が低下する場合もある。
なお、ハードコート層には、他に多官能性エポキシ化合物を含有することが非常に有用である。多官能性エポキシ化合物は、プライマー層に対するハードコート層の密着性を向上させるとともに−、ハードコート層の耐水性およびプラスチックレンズとしての耐衝撃性を向上させることができる。多官能性エポキシ化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪
族エポキシ化合物、イソホロンジオールジグリシジルエーテル、ビス−2,2−ヒドロキシシクロヘキシルプロパンジグリシジルエーテル等の脂環族エポキシ化合物、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物等が挙げられる。
さらに、ハードコート層に硬化触媒を添加してもよい。硬化触媒としては、例えば、過塩素酸、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸マグネシウム等の過塩素酸類、Cu(II)、Zn(II)、Co(II)、Ni(II)、Be(II)、Ce(III)、Ta(III)、Ti(III)、Mn(III)、La(III)、Cr(III)、V(III)、Co(III)、Fe(III)、Al(III)、Ce(IV)、Zr(IV)、V(IV)等を中心金属原子とするアセチルアセトナート、アミン、グリシン等のアミノ酸、ルイス酸、有機酸金属塩等が挙げられる。
このようにして得られるコーティング液は、必要に応じ、溶剤で希釈して用いることができる。溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族類等の溶剤が用いられる。また、必要に応じて、少量の金属キレート化合物、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散染料、油溶染料、顔料、フォトクロミック化合物、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール系等の耐光耐熱安定剤等を添加し、コーティング液の塗布性、硬化速度および硬化後の被膜性能を改良することもできる。
また、コーティング液の塗布・硬化方法としては、ディッピング法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法、あるいは、フローコート法によりコーティング液を塗布した後、40〜200℃の温度で数時間加熱乾燥することにより、ハードコート被膜を形成する。なお、ハードコート層の膜厚は、0.05〜30μmであることが好ましい。膜厚が0.05μm未満では、基本性能が実現できない。また、膜厚が30μmを越えると表面の平滑性が損なわれたり、光学歪みが発生してしまう場合がある。なお、ハードコート層の屈折率は、干渉縞の発生を避けるため、レンズ基板、プライマー層の屈折率に合わせることが好ましい。
(4.有機系反射防止層)
本実施形態における有機系反射防止層は、ハードコート層上に形成される3層の有機薄膜から構成される。この3層の有機薄膜は、基板側(ハードコート層側)から中屈折率層(nd:1.55〜1.6)、高屈折率層(nd:1.61〜1.75)および低屈折率層(nd:1.3〜1.4)の3層からなっている。
以下、各層について具体的に説明する。
(4-1.中屈折率層)
中屈折率層は、Zr酸化物、Sn酸化物およびルチル型結晶構造を有する酸化チタンから選ばれる単独酸化物ゾルまたは複合酸化物ゾル、さらに加水分解可能な有機ケイ素化合物を含有する組成物により形成される。
特に、屈折率、透明性、分散安定性等の点からルチル型結晶構造を有する酸化チタンを含有する複合酸化物ゾルが好ましい。
ここで、ルチル型結晶構造を有する酸化チタンは、アナターゼ型酸化チタンよりラジカルの生成量が極めて少ない。それ故、ルチル型結晶構造の酸化チタンを配合したほうが耐候性や耐光性に優れている。
前記した単独酸化物ゾルあるいは複合酸化物ゾルは、平均粒径1〜200nmの金属酸化物微粒子から形成されることが好ましい。また、金属酸化物微粒子の種類や配合量は、目的とする硬度や屈折率等により決定されるものであるが、配合量は中屈折率層形成用組成物中の固形分の5〜80質量%、特に10〜50質量%の範囲であることが望ましい。配合量が少なすぎると、中屈折率層の耐摩耗性が不十分となる場合がある。一方、配合量
が多すぎると、中屈折率層にクラックが生じる場合がある。
有機ケイ素化合物として好ましいのは下記式(1)で示す有機シラン化合物(四官能シランカップリング剤)である。
Si(OR (1)
(式中、Rは、加水分解性基であり、互いに同一でも異なっていてもよい。)
式(1)で示される四官能シランカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラアリロキシシラン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシル)シラン等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上を混合して使用してもよい。
このような四官能シランカップリング剤を加水分解すると有機基を含まないシロキサン結合からなる無機ポリマーとなるのでバインダー樹脂としての強度面からも、また、高屈折率層で発生したラジカルに対する耐久性の面からも好ましい。なお、前記したハードコート層で用いられる有機ケイ素化合物を混合して使用してもよい。
このような中屈折率層は、屈折率を所定の範囲(nd:1.55〜1.6)とすることで反射防止特性の向上に寄与する。さらに、後述する高屈折率層で生成したラジカルがハードコート層や基板に移動することを防ぐ遮蔽層として機能する。
(4-2.高屈折率層)
高屈折率層は、アナターゼ型酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子と有機ケイ素化合物とを含んだ組成物から形成される。
ここで、アナターゼ型結晶構造を有する酸化チタンを含有する組成物により形成された高屈折率層は太陽光線等の光を受けて活性化し、最表面層である低屈折率層表面の親水化に寄与する。
このような親水化の機構は必ずしも明確ではないが、高屈折率層に含まれるアナターゼ型結晶構造を有する酸化チタンが光照射を受けて活性化したことにより、OH等のラジカルが発生し、これが後述するポーラスな低屈折率層を通り抜けて最表面に移動するためと推定される。また、ラジカルは、速やかに低屈折率層を通って拡散していくため、高屈折率層との界面にラジカルが滞留することがなく、界面が酸化分解されることによる膜剥がれが生じない。さらに、基板側に位置する中屈折率層がいわゆる遮蔽層として機能するため、OHラジカルが基板に到達して基板樹脂と反応を起こすことを防止できる。
アナターゼ型酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子の種類や配合量は、目的とする硬度や屈折率(nd:1.61〜1.75)等により決定されるものであるが、配合量は高屈折率層形成用組成物中の固形分の5〜80質量%、特に10〜50質量%の範囲であることが望ましい。配合量が少なすぎると高屈折率層の耐摩耗性が不十分となる場合がある。一方、配合量が多すぎると、高屈折率層にクラックが生じる場合がある。
有機ケイ素化合物については、前記した中屈折率層やハードコート層で用いられる有機ケイ素化合物が好適に用いられる。
(4-3.低屈折率層)
低屈折率層は、有機系反射防止層の中で最外層(大気側)に位置し、内部空洞を有するシリカ系微粒子(以下、「中空シリカ系微粒子」ともいう)と、有機ケイ素化合物とを含んだ組成物から形成される。
ここで、中空シリカ系微粒子を用いるのは、内部空洞内にシリカよりも屈折率が低い気体または溶媒が包含されることによって、空洞のないシリカ系微粒子に比べてより屈折率が低減し、低屈折率層の低屈折率化が達成されるからである。さらに、前記した高屈折率層で発生したラジカルがこの空洞を経由することで移動が容易となり、ラジカルがすみや
かに表面に到達することができる。それ故、最表面層である低屈折率層表面が親水化する。
内部空洞を有するシリカ系微粒子は、特開2001−233611号公報に記載されている方法等で製造することができるが、本発明では、平均粒径が10〜100nmの範囲にあり、かつ屈折率が1.16〜1.39の範囲にあるものを使用することが望ましい。粒子の平均粒径が10nm未満になると、粒子内部の空隙率が小さくなって、所望の低屈折率が得られなくなる。また、平均粒径が100nmを超えると、低屈折率層のヘイズが増加するので好ましくない。
なお、平均粒径10〜100nm、屈折率1.16〜1.39の中空シリカ系微粒子を含む分散ゾルが市販されている(例えば、触媒化成工業(株)製、スルーリア、およびレキューム)。
有機ケイ素化合物については、前記した中・高屈折率層やハードコート層で用いられる有機ケイ素化合物が好適に用いられる。
なお、前記した各層を形成するための組成物中には、有機系反射防止層の耐擦傷性(耐摩耗性)向上のために、分子中に1個以上のエポキシ基を含有するエポキシ基含有有機化合物を含むことが好ましい。このようなエポキシ基含有有機化合物としては、例えば、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、前記した各層の形成に用いられる組成物には、シリコーン系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系などの樹脂を併用してもよい。このうち特に、プラスチックレンズとしての耐熱性、耐薬品性、耐擦傷性、などの諸特性を考慮した場合は、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂を含むことが好ましく、この際に、表面硬度の向上や、屈折率の調整のため、微粒子状無機物(金属酸化物微粒子)などを添加することも可能である。添加する微粒子状無機物としては、コロイド状に分散したゾルなどが挙げられる。なお、低屈折率層の低屈折率化という観点からは、フッ化マグネシウムゾル、フッ化カルシウムゾルなどが挙げられる。
このような各屈折率層を形成するための組成物には、必要に応じて、少量の硬化触媒(レンズ基板製造用重合触媒)や、光重合開始剤、酸発生剤、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン・ヒンダートフェノール等の光安定剤、分散染料・油溶染料・蛍光染料・顔料等を添加し、各層形成用組成物(コーティング液)の塗布性の向上や、重合硬化後の被膜性能を改良することができる。
有機系反射防止層は、各屈折率層とも上述した組成物(コーティング液)を用いて、湿式法によりハードコート層上に各々所定の屈折率を持った有機薄膜として好適に形成することができる。
湿式法による有機系反射防止層の形成方法としては、ディッピング法(浸漬法)、スピンナー法、スプレー法、フロー法などの公知の方法を用いることができる。これらの形成方法のうちで、プラスチックレンズのような曲面形状に膜厚が50〜200nmの薄膜をムラなく形成することを考慮すると、ディッピング法、またはスピンナー法が好ましい。なお、ハードコート層上に有機系反射防止層を形成する際には、ハードコート層表面に前
処理を行うことが好ましい。この前処理の具体例としては、表面研磨、紫外線−オゾン洗浄、プラズマ処理等によりハードコート層表面を親水化(接触角θ=60°以下)する方法が有効である。
有機系反射防止層の具体的な形成方法は、各屈折率層とも基本的に同じであり、以下のような手順により行われる。まず、有機ケイ素化合物を有機溶剤で希釈し、その後必要に応じて水または薄い塩酸、酢酸等を添加して加水分解を行う。さらに、金属酸化物微粒子あるいは中空シリカ系微粒子を有機溶剤中にコロイド状に分散した系を添加する。その後、必要に応じ、硬化触媒、光重合開始剤、酸発生剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加し、十分に撹拌した後に各屈折率層形成用組成物(コーティング液)として用いる。
このとき、硬化後の固形分に対して、コーティング液を希釈する濃度は、好ましくは固形分濃度として0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。固形分濃度が15質量%を越えた場合には、ディッピング法で引き上げ速度を遅くしたり、スピンナー法で回転数を高くしても、所定の膜厚を得ることが困難であり、膜厚が必要以上に厚くなってしまう。また、固形分濃度が0.5質量%に満たない場合には、ディッピング法で引き上げ速度を早くしたり、スピンナー法で回転数を遅くしても、膜厚が必要よりも薄くなってしまい所定の膜厚を得ることが困難である。また、速度を速くし過ぎたり、回転数を遅くし過ぎると、レンズ基板上での塗りムラが大きくなりやすく、界面活性剤等の添加でも対応仕切れなくなってしまう。
コーティング液をレンズ基板に塗布後、熱または紫外線及びその併用によって硬化させ有機系反射防止層が得られるが、加熱処理によって硬化させることが好ましい。加熱処理の際の加熱温度は、コーティング液の組成、レンズ基板の耐熱性等を考慮して決定されるが、50〜200℃が好ましく、より好ましくは80〜140℃である。
高屈折率層と低屈折率層の差が0.1より小さいと反射防止効果が低下するので両層の屈折率差は0.15以上が好ましく、さらに好ましくは0.20以上とすることが好ましい。
得られる有機系反射防止層の膜厚は各屈折率層とも50〜200nmの範囲であることが好ましい。膜厚がこの範囲より厚すぎたり薄すぎると十分な反射防止効果が得られないおそれがある。
以上のような本実施形態のプラスチック眼鏡レンズは、最表面に位置する低屈折率層と次層の高屈折率層との組み合わせにより優れた反射防止効果を発揮する。そして、高屈折率層に含有されるアナターゼ型結晶構造を有する酸化チタンが太陽光線等の光を受けて活性化し、最表面層である低屈折率層表面の親水化を惹起するため、防曇性やセルフクリーニング性に優れている。しかも、レンズ基板側に位置する中屈折率層が遮蔽層として機能するため、光活性化によって高屈折率層に発生したラジカルが基板樹脂に到達して副反応を起こすことも防御できる。
次に、本発明の実施形態に基づく実施例および比較例を説明する。具体的には、以下に示す方法でプラスチック眼鏡レンズを製造して、親水性と反射特性について評価を行った。
(実施例1)
(1)レンズ基板
チオウレタン系のプラスチックレンズ基板(セイコーエプソン(株)製セイコースーパーソブリン、屈折率1.67)の表面に以下のようにしてプライマー層、ハードコート層を被覆したものを準備した。
(プライマー層を形成する工程)
プライマー層を塗布により形成するためのコーティング液P1を調製した。まず、メタノール626.2gと、市販の水性エマルジョンポリウレタン(日華化学(株)製、商品名「ネオステッカー700」、固形分濃度37重量%)221.8gとを混合した。その後、メタノール分散二酸化チタン−五酸化アンチモン−二酸化ケイ素複合微粒子ゾル(触媒化成工業(株)製、固形分濃度20重量%)309.6gと、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7604」)0.25gとを混合した。そして十分に攪拌して、プライマー層用の塗布液P1とした。
このコーティング液P1を、屈折率1.67のプラスチックレンズ基材(セイコーエプソン(株)製、商品名「セイコースーパーソブリン(SSV)」)上に、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)にて塗布し、100℃で20分間、加熱・硬化処理して、レンズ基材上に膜厚1.0μm、屈折率1.67のプライマー層を形成した。
(ハードコート層を形成する工程)
ハードコート層を塗布により形成するためのコーティング液HC1を調製した。まず、メタノール78gと、ブチルセロソルブ100.3gと、メタノール分散ルチル型酸化チタン複合ゾル(触媒化成工業(株)製、固形分濃度20重量%、商品名「オプトレイク1120Z」)1380.9gと、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン289.9gとを混合した。この混合液に、0.05N塩酸水溶液80.1gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後一昼夜熟成させた。この液に、過塩素酸マグネシウム4.4gと、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.6gと、ヒンダードアミン系光安定剤(三共(株)製、商品名「サノールLS−770」)2.3gとを添加した。さらに、4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、コーティング液HC1とした。
このコーティング液HC1を、浸漬法(引き上げ速度25cm/分)により、プライマー層が形成されたレンズ基材に塗布し、さらに、80℃で30分間、加熱・硬化処理し、さらに、120℃で180分間の加熱・硬化処理した。このようにしてプライマー層上に膜厚2.2μm、屈折率1.67のハードコート層を形成した。
(2)中屈折率層形成用組成物の調製
ステンレス製容器に、テトラメトキシシラン(TMS)を3.80質量部、メチルトリメトキシシラン(MTMS)を1.01質量部、および0.1規定塩酸水溶液を2.65質量部添加して、室温(25℃)で6時間攪拌を行い、得られたシラン加水分解物を一昼夜保管した。
次に、このシラン加水分解物にブチルセロソルブ(BuCe)77.24質量部を投入し、これにルチル型酸化チタン分散ゾル(触媒化成工業(株)製、商品名「オプトレイク1120Z 11RU−7・A8」)(固形分20質量%)を15.00質量部、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名L−7001)を0.3質量部加えて室温で6時間攪拌した後、一昼夜保管して、固形分濃度が5質量%である中屈折率層形成用組成物を調製した。
(3)高屈折率層形成用組成物の調製
前記した(2)中屈折率層形成用組成物の調製において、ルチル型酸化チタン分散ゾル(固形分20質量%)の代わりにアナターゼ型酸化チタン分散ゾル(触媒化成工業(株)製、商品名「オプトレイク1120Z U−25・A8」)(固形分20質量%)を用いた以外は、全く同様にして高屈折率層形成用組成物を調製した。
(4)低屈折率層形成用組成物の調製
前記した(2)中屈折率層形成用組成物の調製において、ルチル型酸化チタン分散ゾル
(固形分20質量%)の代わりにイソプロパノール分散中空シリカゾル(触媒化成工業(株)製、固形分濃度20質量%、平均一次粒子径35nm、外殻厚み8nm)を用いた以外は、全く同様にして低屈折率層形成用組成物を調製した。
(5)有機系反射防止層の形成
前記した(1)のレンズ基板の表面に以下のようにして3層(中屈折率層、高屈折率層および低屈折率層)からなる有機系反射防止層を形成した。
初めに、レンズ基板を(2)で調製した中屈折率層形成用組成物に浸漬し、引き上げ速度15cm/minで引き上げた後、80℃で20分間仮焼成し、レンズ基板表面に中屈折率層を形成した。この中屈折率層の屈折率は1.6、厚みは86nmであった。
次に、中屈折率層を形成後のレンズ基板を(3)で調製した高屈折率層形成用組成物に浸漬し、引き上げ速度30cm/minで引き上げた後、80℃で20分間仮焼成し、中屈折率層表面に高屈折率層を形成した。この高屈折率層の屈折率は1.67、厚みは165nmであった。
最後に、高屈折率層を形成後のレンズ基板を(4)で調製した低屈折率層形成用組成物に浸漬し、引き上げ速度17cm/minで引き上げた後、80℃で20分間仮焼成し、高屈折率層表面に低屈折率層を形成した。この低屈折率層の屈折率は1.39、厚みは99nmであった。
前記した3層を形成したレンズ基板に対し、110℃で60分間本焼成を行い、表面に有機系反射防止層が形成されたプラスチックレンズを得た。
(実施例2)
実施例1において、有機系反射防止層形成用の3種の組成物を以下のように調製した以外は、実施例1と同様にして表面に有機系反射防止層が形成されたプラスチックレンズを得た。
中屈折率層形成用組成物において、シラン化合物としてさらにテトラエトキシシラン(TEOS)を加えた以外は実施例1と同様にして中屈折率層形成用組成物を調製した。ただし、各成分の割合は、ルチル型酸化チタン分散ゾル(触媒化成工業(株)製、商品名「オプトレイク1120Z 11RU−7・A8」)(固形分20質量%)が10.00質量部、TMSが5.07質量部、MTMSが1.01質量部、TEOSが1.73質量部、BuCeが77.80質量部、0.1規定塩酸が4.09質量部、および界面活性剤L−7001が0.30質量部である。
高屈折率層形成用組成物において、シラン化合物としてさらにテトラエトキシシラン(TEOS)を加えた以外は実施例1と同様にして高屈折率層形成用組成物を調製した。ただし、各成分の割合は、アナターゼ型酸化チタン分散ゾル(触媒化成工業(株)製、商品名「オプトレイク1120Z U−25・A8」)(固形分20質量%)が13.75質量部、TMSが4.43質量部、MTMSが0.51質量部、TEOSが0.87質量部、BuCeが77.02質量部、0.1規定塩酸が3.12質量部、および界面活性剤L−7001が0.30質量部である。
低屈折率層形成用組成物において、シラン化合物をMTMSからTEOSに代えた以外は実施例1と同様にして低屈折率層形成用組成物を調製した。ただし、各成分の割合は、イソプロパノール分散中空シリカゾル(触媒化成工業(株)製、固形分濃度20質量%、平均一次粒子径35nm、外殻厚み8nm)が17.50質量部、TMSが1.90質量部、TEOSが2.60質量部、BuCeが75.54質量部、0.1規定塩酸が2.16質量部、および界面活性剤L−7001が0.30質量部である。
なお、中屈折率層の屈折率は1.55、厚みは89nmであり、高屈折率層の屈折率は1.66、厚みは166nmであり、低屈折率層の屈折率は1.35、厚みは102nmであった。
(比較例1)
実施例1における低屈折率層形成用組成物として、イソプロパノール分散中空シリカゾルの代わりにメタノール分散コロイダルシリカ(触媒化成工業(株)製 オスカル1132、固形分20質量%)を用いた以外は実施例1と同様にして、表面に有機系反射防止層が形成されたプラスチックレンズを得た。
(比較例2)
実施例1における高屈折率層形成用組成物として、アナターゼ型酸化チタン分散ゾル(固形分20質量%)の代わりにルチル型酸化チタン分散ゾル(固形分20質量%)を用いた以外は実施例1と同様にして、表面に有機系反射防止層が形成されたプラスチックレンズを得た。
(評価方法)
以上の実施例1、2、比較例1〜3により得られたプラスチックレンズの親水性と反射特性を以下に示す方法で評価した。結果を表1に示す。
(1)親水性
レンズを太陽光線に1時間暴露した後の接触角を測定し、以下の基準で評価した。
○:接触角が5°以下
△:接触角が5°を越え、10°以下
×:接触角が10°以上
(2)反射特性
レンズの反射率を日立分光光度計U−3500により5°反射で測定し、特定の波長範囲(400〜700nm)における平均値を算出した。
(結 果)
Figure 2008096701
表1の結果から、実施例1、2の眼鏡レンズは、いずれも接触角が非常に小さく、太陽光線によりレンズ表面に十分な親水性が生じていることがわかる。また、可視領域における反射率が0.95%、0.75%と低く反射防止効果にも優れていることがわかる。
一方、比較例1は、低屈折率層形成用組成物として中空でないシリカ系微粒子を用いているため、最表面にラジカルが透過しにくく、親水性が発揮できない。比較例2は、高屈折率層形成用組成物として、アナターゼ型酸化チタンではなく光活性のないルチル型酸化チタンを用いているため、同様に親水性がない。
本発明は、プラスチックレンズであれば制限なく適用することができる。光学部品としては、例えば、眼鏡レンズ、カメラレンズ、望遠鏡用レンズ、顕微鏡用レンズ、ステッパー用集光レンズ等の光学レンズを挙げることができる。

Claims (5)

  1. 基板上に有機系反射防止層を有する光学物品であって、
    前記有機系反射防止層は、基板側から中屈折率層(nd:1.55〜1.6)、高屈折率層(nd:1.61〜1.75)および低屈折率層(nd:1.3〜1.4)の3層からなり、
    前記高屈折率層は、アナターゼ型結晶構造を有する酸化チタンを含有する組成物により形成され、
    前記低屈折率層は、内部空洞を有するシリカ系微粒子を含有する組成物により形成されることを特徴とする光学物品。
  2. 請求項1に記載の光学物品において、
    前記中屈折率層は、Zr酸化物、Sn酸化物およびルチル型結晶構造を有する酸化チタンから選ばれる単独酸化物ゾルまたは複合酸化物ゾルを含有する組成物により形成されることを特徴とする光学物品。
  3. 請求項1または請求項2に記載の光学物品において、
    前記した中屈折率層、高屈折率層および低屈折率層を形成する組成物の少なくともいずれかに加水分解可能な有機ケイ素化合物が含まれることを特徴とする光学物品。
  4. 請求項3に記載の光学物品において、
    前記有機ケイ素化合物が下記式(1)で示されるアルコキシシランであることを特徴とする光学物品。
    Si(OR・・・(1)
    (式中、ORは、加水分解性基であり、互いに同一でも異なっていてもよい。)
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の光学物品がプラスチックレンズであることを特徴とする光学物品。
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