JP2008203596A - プラスチックレンズの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】浸漬法を用いて形成される被膜層のレベリング性の向上を図ることにより、干渉縞の発生を低減したプラスチックレンズの製造方法、およびプラスチックレンズを提供する。
【解決手段】プラスチックレンズの製造方法は、プラスチックレンズ基材上に浸漬法を用いて塗布されるハードコート層用コーティング液が、25℃における粘度が3000mm2/sec〜6000mm2/secの範囲のジメチルポリシロキサンを主骨格とするシリコーン系界面活性剤を含むコーティング組成物よりなり、ハードコート層用コーティング液が相対湿度が、20%〜80%に調整された塗装雰囲気下でプラスチックレンズ基材上に塗布される。これにより、ハードコート層のレベリング性が向上する(図1参照)。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラスチックレンズの製造方法に関し、特に浸漬法を用いて被膜層を形成するプラスチックレンズの製造方法に関する。
プラスチックレンズは、ガラスレンズに比べて軽量であり、成形性、加工性、染色性等にも優れ、しかも割れ難く安全性も高いため眼鏡レンズ分野において急速に普及してきている。しかしながら、プラスチックレンズはガラスレンズに比べて傷が付き易いため、一般的に、プラスチックレンズ基材の表面にハードコート層を形成して、表面硬度を向上させている。また、表面反射によるゴーストや、ちらつきを低減する目的でハードコート層の表面に反射防止層が形成される。
ハードコート層およびプライマー層等の被膜層(コーティング層)は、一般に、スピンコート法またはディッピング法(浸漬法)等の湿式法を用いてコーティング液を塗布した後に、硬化されて形成される。また、近年、反射防止層においても、プラスチックレンズ素材の高屈折率化に伴う素材自体の耐熱性の低下傾向に対応して、プラスチックレンズ基材の熱膨張変形に追随して曇りやクラック等が発生し難い、湿式法よる有機系反射防止層を形成するようになってきている。なお、湿式法は、真空装置等の大型の設備は不要であり、簡便に被膜層を形成することができるメリットも有する。
これらコーティング層を、湿式法を用いてプラスチックレンズ基材上に形成する際に、コーティング液がシランカップリング剤を含有し、コーティング液の水分含有量を0.1重量%〜20重量%の範囲に保つとともに、コーティング液を入れた浸漬槽が載置される環境雰囲気の相対湿度を0%〜30%の範囲に保つことにより、液寿命を延ばすことが可能なディッピング方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−239561号公報
しかしながら、プラスチックレンズ基材上に浸漬法を用いてコーティング層を形成する場合には、コーティング液の液寿命(ポットライフ)の他に、プラスチックレンズ基材と形成されるコーティング層の屈折率差、あるいはコーティング層の膜厚分布差等により干渉縞(後述する図3参照)が発生し易いという課題が存在する。また、浸漬法においてプラスチックレンズ基材をコーティング液中から引き上げる際、プラスチックレンズ基材の形状、プラスチックレンズ基材を支持している治具および機械体等の影響により、コーティング液面が振動することがあり、その振動が形成されるコーティング層の膜厚を不規則に乱すことにより、干渉縞が認識し易くなるといった課題があった。
そこで本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、浸漬法(ディッピング法)を用いて形成される被膜層(コーティング層)のレベリング性の向上を図ることにより、干渉縞の発生を低減したプラスチックレンズの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のプラスチックレンズの製造方法は、コーティング液中に浸漬および引上げを行うことによりプラスチックレンズ基材上に被膜層を塗布形成する浸漬法を用いたプラスチックレンズの製造方法において、前記コーティング液が、25℃における粘度が3000mm2/sec〜6000mm2/secの範囲のシリコーン系界面活性剤を含み、かつ、前記プラスチックレンズ基材上に前記コーティング液を塗布形成する際の環境雰囲気が、相対湿度20%〜80%の範囲であることを特徴とする。
これによれば、本来、プラスチックレンズ基材上に浸漬法を用いて塗布されるコーティング液の塗膜は、コーティング液中から引き上げる方向に対応する鉛直方向の塗布面上部が相対的に薄くなり、逆に塗布面下部が相対的に厚くなる傾向にあるが、コーティング液が、25℃における粘度が3000mm2/sec〜6000mm2/secの範囲のシリコーン系界面活性剤を含むコーティング組成物よりなり、かつ、プラスチックレンズ基材にコーティング液を塗布する塗装雰囲気の相対湿度が20%〜80%の範囲であることにより、塗膜のレベリング性が向上するとともに、コーティング液の蒸散を抑制して粘度が上昇するのを防ぎ、コーティング液が流動し易い状態に持続して、プラスチックレンズ基材上に形成される被膜層の膜厚分布差を低減することができる。また、プラスチックレンズ基材をコーティング液中から引き上げる際、プラスチックレンズ基材の形状、プラスチックレンズ基材を支持している治具および機械体等の影響により、コーティング液面が振動し、その振動が形成されるコーティング層の膜厚を不規則に乱すことがあっても、塗膜が高いレベリング性を発揮して、膜厚分布を均一に近づける作用を有することから、干渉縞の発生を著しく低減することができる。
また、本発明に係るプラスチックレンズの製造方法は、前記シリコーン系界面活性剤は、下記に示す一般式(1)で表されるジメチルポリシロキサンを主骨格とするシリコーン界面活性剤であることが好ましい。
式中、Xはポリエーテル、ポリグリセリン、硫酸塩、リン酸塩等の親水性置換基を示す。
これによれば、プラスチックレンズ基材上に浸漬法を用いて塗布されるコーティング液に含まれるシリコーン界面活性剤が、前記一般式(1)で表されるジメチルポリシロキサンを主骨格とするシリコーン系界面活性剤であることにより、主骨格であるジメチルポリシロキサンの分子量を制御したり、親水基Xに高分子量体や極性の高い置換基等を導入することで、25℃における粘度が3000mm2/sec〜6000mm2/secの範囲のレベリング調整剤を容易に得ることができる。また、シリコーン系界面活性剤はシランカップリング剤等のコーティング成分と相溶性に優れ、被膜層中においてもブリードアウトせずに安定性が高いことから、透明で外観の良好な被膜層を形成することができる。
また、本発明に係るプラスチックレンズの製造方法は、前記シリコーン系界面活性剤は、前記コーティング液中に10ppm〜2000ppmの範囲で含有されることが好ましい。前記レベリング調整剤をコーティング組成物全量に対して、10〜2000ppm添加することが好ましい。
これによれば、シリコーン系界面活性剤(レベリング調整剤)をコーティング組成物全量に対して、10ppm〜2000ppmの範囲で添加されることによって、塗膜のレベリング性が向上し、プラスチックレンズ基材上に形成される被膜層の膜厚分布差を低減することができる。また、プラスチックレンズ基材をコーティング液中から引き上げる際に発生する液面およびプラスチックレンズ基材の揺れに起因するレンズ面の微小領域における層の膜厚分布差を抑制することができる。10ppm未満ではレベリング性能が発揮されず、2000ppmを超えるとコーティング組成物との相溶性が低下して、被膜に曇りや白濁が生じることがある。
また、本発明に係るプラスチックレンズの製造方法は、前記プラスチックレンズ基材上に形成される前記被膜層が、プライマー層、ハードコート層、有機系反射防止層の少なくとも1層であることが好ましい。
これによれば、プラスチックレンズ基材上に湿式法を用いて形成されるプライマー層、ハードコート層および反射防止層等の被膜層は、塗膜のレベリング性の向上による膜厚分布差の低減効果が大きく、干渉縞の発生をより低減することができる。
以下、本発明のプラスチックレンズの製造方法の実施形態を説明する。
本実施形態のプラスチックレンズは、プラスチックレンズ基材と、プラスチックレンズ基材表面に形成されたハードコート層と、ハードコート層の上面に形成された有機系反射防止層とを有する。
以下、プラスチックレンズ基材、ハードコート層および有機系反射防止層(以後、反射防止層と表す)について説明する。
[プラスチックレンズ基材]
プラスチックレンズ基材(以後、レンズ基材と表す)の材質としては、プラスチック樹脂であれば特に限定されないが、レンズ基材表面のハードコート層上に形成される有機薄膜よりなる反射防止層との屈折率差を得るために、屈折率が1.60以上のレンズ素材が好ましい。屈折率1.60以上のレンズ素材としては、チオウレタン系プラスチック、エピスルフィド系プラスチック等が挙げられる。
チオウレタン系プラスチックの具体例としては、ポリイソシアネート化合物およびポリチオール化合物が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリック型ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,5−ビス(イソシアネートメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアネートメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3,8−ビス(イソシアネートメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]−デカン、3,9−ビス(イソシアネートメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]−デカン、4,8−ビス(イソシアネートメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]−デカン、4,9−ビス(イソシアネートメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]−デカン、ダイマー酸ジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物およびそれらの化合物のアロファネート変性体、ビュレット変性体、イソシアヌレート変性体等が挙げられる。これらの化合物は、単独または2種以上を混合して用いることができる。
ポリチオール化合物としては、例えば、4−メルカプトメチル−3,6−ジチオ−1,8−オクタンジチオール、ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトプロピオネート)、4,8or4,7or5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9トリチアウンデカン等が挙げられる。
一方、エピスルフィド系プラスチックとしては、エピスルフィド基を1分子中に少なくとも1個以上有する化合物を含む組成物が挙げられる。
エピスルフィド基を1分子中に少なくとも1個以上有する化合物の具体例としては、既存のエポキシ化合物のエポキシ基の一部あるいは全部の酸素を硫黄で置き換えることによって得られるエピスルフィド化合物が挙げられる。
プラスチックレンズの高屈折率化と高アッベ数化のためにはエピスルフィド基以外にも、分子中に硫黄原子を含有する化合物が好ましい。
その具体例としては、ビス−(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィド、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、ビス−(β−エピチオプロピル)スルフィド、1,3および1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン等が挙げられる。
また、エピスルフィド系プラスチックは、エピスルフィド基と反応可能な官能基を有する化合物、あるいは1分子中にエピスルフィド基と反応可能な官能基1個以上と他の単独重合可能な官能基1個以上を有する化合物、これらの単独重合可能な官能基を1分子中に1個以上有する化合物、さらにはエピスルフィド基と反応可能でかつ単独重合も可能な官能基を1分子中に1個以上有する化合物、加えて単体の硫黄を添加して重合硬化することにより、得られるレンズ基材の光学性能や物理特性等を向上することが可能である。
これらの具体例としては、エポキシ基、多価カルボン酸基、メタクリル基、アクリル基、アリル基、ビニル基、芳香族ビニル基、水酸基、メルカプト基等の官能基を有する化合物である。なお、これらの化合物は単独または2種以上を混合して使用することができる。
エピスルフィド基を1分子中に少なくとも1個以上有する化合物を主成分として含む重合性組成物の重合硬化に際しては、1種類以上の硬化触媒の存在下で重合硬化を行い、レンズ基材を製造することができる。
また、チオウレタン系プラスチックおよびエピスルフィド系プラスチックの化合物には、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等を添加することができる。
紫外線吸収剤の具体例としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート紫外線吸収剤等が挙げられる。酸化防止剤や光安定剤の具体例としては、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等を挙げることができる。さらに、必要に応じて内部離型剤、油溶染料、分散染料、顔料、各種重合触媒等を添加することができる。
レンズ基材の製造方法としては、特に限定されることなく、一般にレンズ基材の製造に用いられている方法を用いることができる。
例えば、テープモールド法による注型重合法を用いた場合には、レンズの一方の面を成形する成形型と、レンズの他方の面を成形する成形型とを所定の間隔に対向配置し、2個の成形型の外周側面に粘着テープが巻き回された成形用モールド内に、原料組成物を注入した後、重合硬化されてレンズ基材が完成する。
なお、製造されるレンズが眼鏡レンズの場合の2個の成形型は、外径寸法が50mm〜80mm程度の略同一の平面視円形のガラスよりなる。また、成形面には、球面、回転対称非球面、トーリック面、累進面、あるいはこれらを合成した曲面等の形状が形成されている。
[ハードコート層]
ハードコート層は、バインダー成分としての有機珪素化合物と、フィラー成分としての無機酸化物微粒子と、レベリング調整剤とを含有したコーティング組成物を用いて、レンズ基材表面に形成される。
ハードコート層には、干渉縞を抑制する目的で、高屈折率のレンズ基材と同程度の高い屈折率と、コーティング層の高いレベリング性が要求される。
先ず、バインダー成分としての有機珪素化合物について説明する。バインダー成分としての有機珪素化合物は、レンズ基材と後述する反射防止層の双方に密着性を発現する性質を有する。有機珪素化合物は、下記に示す一般式(2)で表される化合物が用いられる。
12SiX1 3-n…(2)
式中、R1は重合可能な反応基を有する有機基であり、R2は炭素数1〜6の炭化水素基であり、X1は加水分解可能な官能基であり、nは0(ゼロ)または1である。
重合可能な反応基を有する有機基(R1)の具体例としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基、1−メチルビニル基、エポキシ基、エピスルフィド基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基等が挙げられる。炭素数1〜6の炭化水素基(R2)の具体例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ビニル基、フェニル基等が挙げられる。また、加水分解可能な官能基(X1)の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等のアルコキシ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲン基、アシルオキシ基等が挙げられる。
一般式(2)で表される有機珪素化合物の具体例としては、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、アリルトリアルコキシシラン、アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルジアルコキシメチルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリアルコキシシラン、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジアルコキシシラン等を例示することができる。
これらの有機珪素化合物は、2種以上を混合して用いてもよい。また、加水分解を行ってから用いるのが好ましい。
次に、フィラー成分としての無機酸化物微粒子について説明する。
フィラー成分としての無機酸化物微粒子は、ハードコート層の屈折率を発現するとともに、架橋密度向上に作用して、耐擦傷性を付与することができる。
無機酸化物微粒子としては、Si、Al、Ti、Sn、Sb、Ta、Ce、La、Fe、Zn、W、Zr、In等の金属酸化物を用いることができる。また、無機酸化物微粒子は、金属酸化物と他の無機酸化物との複合酸化物であってもよく、前記金属酸化物とSi、Al、Sn、Sb、Ta、Ce、La、Fe、Zn、W、Zr、In等の無機酸化物とが複合した複合酸化物微粒子を使用することができる。
このうち、無機酸化物微粒子としては、酸化チタンを含有する複合酸化物微粒子を好ましく用いることができる。酸化チタンを含有する複合酸化物微粒子は、酸化チタンと酸化スズ、または酸化チタン、酸化スズおよび酸化珪素からなる複合酸化物の核粒子の表面を、酸化珪素と酸化ジルコニウム及び/又は酸化アルミニウムからなる複合酸化物の被覆層で被覆したものを用いることができる。
また、酸化チタンとしては、アナターゼ型の結晶構造を有する酸化チタンを用いることも可能であるが、屈折率、透明性、耐光性、安定性等の観点からルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する複合酸化物微粒子を用いるのが好ましい。この複合酸化物微粒子は、耐光性に優れている上、アナターゼ型に比べて屈折率が高いために、ハードコート層中での使用量を減らして、代わりに密着性に寄与する樹脂成分を増量することができる。
無機酸化物微粒子の平均粒径は1nm〜200nm程度が好ましい。平均粒径が1nm未満であると、レンズ基材上にハードコート層を形成するための乾燥過程で、粒子同士がブリッジ化して均一に収縮しなくなり、さらにはその収縮率も低下して、充分な膜硬度が得られなくなる。一方、平均粒径が200nmを超えると、ハードコート層が白色化し、レンズの用途には適さなくなる。
また、無機酸化物微粒子は、例えば水、アルコール、もしくはその他の有機溶媒にコロイド状に分散させた分散媒を用いるのが好ましい。この場合には、無機酸化物微粒子の分散安定性を高めるために、無機酸化物粒子の表面を有機珪素化合物またはアミン系化合物で処理することが好ましい。
有機珪素化合物としては、単官能性シラン、二官能性シラン、三官能性シラン、四官能性シラン等が例示できる。アミン系化合物としては、アンモニア、エチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン等のアルキルアミン、ベンジルアミン等のアラルキルアミン、ピペリジン等の脂環式アミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが例示できる。
これらの有機珪素化合物またはアミン化合物の添加量は、無機酸化物微粒子の重量に対して1重量%〜15重量%程度の範囲であることが好ましい。
無機酸化物微粒子の具体例としては、酸化チタンおよび酸化スズ、または酸化チタン、酸化スズおよび酸化珪素からなるルチル型の結晶構造を有する複合酸化物の核粒子の表面を、酸化珪素と酸化ジルコニウム及び/又は酸化アルミニウムからなる複合酸化物の被覆層で被覆した平均粒径8nm〜10nmの無機酸化物微粒子を含むコーティング用の分散ゾル(触媒化成工業(株)製、オプトレイク)等を挙げることができる。
無機酸化物微粒子の配合量は、目的とする硬度や屈折率等により決定されるものであるが、コーティング組成物中の固形分の5重量%〜80重量%であることが好ましく、10重量%〜50重量%であることがより好ましい。配合量が少なすぎると、ハードコート層の耐摩耗性が不十分となる場合がある。一方、配合量が多すぎると、ハードコート層にクラックが生じる場合がある。
次に、レベリング調整剤について説明する。
レベリング調整剤は、レンズ基材の表面に成膜して形成されるコーティング被膜のレベリング性(平坦性)を向上し、膜厚分布差を低減する機能を有する。レベリング調整剤のうち、疎水性部分がシリコーン樹脂からなり、この末端及び/又は側鎖に親水性基が導入されたシリコーン系界面活性剤が好ましい。
レベリング調整剤としてのシリコーン系界面活性剤は、下記に示す一般式(1)で表されるジメチルポリシロキサンを主骨格とするシリコーン系界面活性剤が用いられる。
式中、Xはポリエーテル、ポリグリセリン、硫酸塩、リン酸塩等の親水性置換基を示す。
一般式(1)で表されるジメチルポリシロキサンを主骨格とするシリコーン界面活性剤の具体例としては、下記の一般式(3)で表されるジメチルポリシロキサン、一般式(4)または一般式(5)で表されるメチルフェニルポリシロキサン、一般式(6)で表されるポリエーテル変性ポリシロキサン等が挙げられる。
(CH33SiO[(CH32SiO]nSi(CH33…(3)
式中、nは1以上の整数。
(CH33SiO[(CH32SiO]n[(C652SiO]mSi(CH33…(5)
式中、nおよびmは1以上の整数。
式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または水酸基を示し、nおよびmは1以上の整数、kおよびlは0〜50の整数を示す。
前記一般式(1)および一般式(3)〜一般式(6)で表されるシリコーン系界面活性剤(レベリング調整剤)は、25℃における粘度が3000mm2/sec〜6000mm2/secの範囲のものが好ましく用いられる。粘度が3000mm2/sec未満では、後述するコーティング組成物を浸漬法により塗布する場合において、レンズ基材をコーティング液中から引き上げる際に、コーティング面に残留する量よりも貯留されたコーティング液に流出する量が多くなり、膜厚ムラを均一化する有効成分量が不足する。これにより干渉縞が発生し易い。一方、粘度が6000mm2/secを超える場合には、コーティング液中での相溶性に劣り、塗膜が白濁することがある。
レベリング調整剤(シリコーン系界面活性剤)の具体例としては、東レ・ダウコーニング(株)製(旧、日本ユニカー(株)製)のFZ−2164が挙げられる。
また、シリコーン系界面活性剤(レベリング調整剤)は、コーティング組成物全量に対して、10ppm〜2000ppm添加することが好ましい。添加量が10ppm未満では膜厚ムラを均一化する有効成分量が不足し、十分なレベリング性能が発揮されず、2000ppmを超えるとコーティング液中での相溶性に劣り、塗膜が白濁することがある。
ハードコート層を形成するコーティング組成物には、有機珪素化合物、無機酸化物微粒子、レベリング調整剤の他に、多官能性エポキシ化合物を含有することが有用である。多官能性エポキシ化合物を含むことでハードコート層の耐水性を向上させるとともに、レンズ基材との密着性をより安定化することができる。
ハードコート層の耐水性については、後述するハードコート層の上面に有機薄膜よりなる反射防止膜(有機系反射防止膜)が形成されると、反射防止膜の膜厚が薄く、しかも内部空洞を有するシリカ系粒子が含まれることで、反射防止膜が水分を通すために、ハードコート層に耐水性が求められる。
多官能性エポキシ化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ノナプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールヒドロキシヒバリン酸エステルのジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールジグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートのジグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートのトリグリシジルエーテル、等の脂肪族エポキシ化合物、イソホロンジオールジグリシジルエーテル、ビス−2,2−ヒドロキシシクロヘキシルプロパンジグリシジルエーテル等の脂環族エポキシ化合物、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、オルトフタル酸ジグリシジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物等が挙げられる。
このうち、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートのトリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物を好ましく用いることができる。
さらに、コーティング組成物には、硬化触媒を添加することができる。硬化触媒としては、過塩素酸、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸マグネシウム等の過塩素酸類、Cu(II)、Zn(II)、Co(II)、Ni(II)、Be(II)、Ce(III)、Ta(III)、Ti(III)、Mn(III)、La(III)、Cr(III)、V(III)、Co(III)、Fe(III)、Al(III)、Ce(IV)、Zr(IV)、V(IV)等を中心金属原子とするアセチルアセトナート、アミン、グリシン等のアミノ酸、ルイス酸、有機酸金属塩等が挙げられる。
このうち好ましい硬化触媒としては、過塩素酸マグネシウム、Al(III)、Fe(III)を中心金属原子とするアセチルアセトナートが挙げられる。特に、Fe(III)を中心金属原子とするアセチルアセナートを使用することがより好ましい。
硬化触媒の添加量は、ハードコート液の固形分の0.01重量%〜5.0重量%の範囲内が望ましい。
このようなコーティング用組成物は、水または有機溶剤に希釈してハードコート層を形成するハードコート層用コーティング液として用いられる。有機溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類等が挙げられる。
さらに、コーティング液には、必要に応じて少量の金属キレート化合物、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ヒンダートアミンやヒンダートフェノール等の光安定剤、分散染料、油溶染料、蛍光染料、顔料等を添加し、コーティング液の塗布性の向上や、硬化後の被膜性能を改良することができる。
このハードコート層用コーティング液は、浸漬法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法およびフローコート法を用いてレンズ基材表面に塗布することができるが、本実施形態においては浸漬法が用いられる。
浸漬法を用いたハードコート層用コーティング液の塗布は、相対湿度が20%〜80%に調整した塗装雰囲気下で行われる。より好ましくは相対湿度が30%〜50%に調整した塗装雰囲気下である。相対湿度が調整された塗装雰囲気は、例えば、作業エリア、作業ブースまたは作業ボックス内を湿度管理することで得られる。
本来、浸漬法を用いて塗布される塗膜は、ディッピング方向(引き上げ方向)に対応する鉛直方向の塗布面上部が相対的に薄くなり、逆に塗布面下部が相対的に厚くなる傾向にあるが、塗装雰囲気の相対湿度が20%未満の場合には、レンズ基材表面の上部と下部に形成される塗膜に大きな膜厚差を生じ、形成されるハードコート層に干渉縞が発生する。これは、コーティング液中の有機溶剤が低粘度、低沸点である場合、コーティング液中から引き上げ直後に蒸散して、コーティング液の粘度が早期に上昇して引き上げ直後の比較的早いタイミングで膜厚が形成されてしまい、レベリング性能が十分に発揮されないことによる。すなわち、塗装雰囲気の相対湿度が20%以上の場合には、コーティング液の粘度が流動し易い状態に持続される。
一方、相対湿度80%以上の塗装雰囲気ではコーティング液の吸水量が増加するため、液特性の変質を生じ、ポットライフが短くなる原因となる。また、形成された塗膜に水分が吸収され易くなり、白濁やくもりを発生する場合がある。
そして、コーティング液が塗布された後、40℃〜200℃の温度で数時間程度加熱して、塗布されたコーティング液を乾燥することにより、ハードコート層を形成することができる。
なお、好ましいハードコート層の膜厚は、0.5μm〜4μm程度である。また、コーティング用組成物(コーティング液)の塗布にあたっては、レンズ基材とハードコート層の密着性の向上を目的として、予めレンズ基材の表面を前処理するのが好ましい。前処理は、アルカリ処理、酸処理、界面活性剤処理、無機あるいは有機の微粒子による剥離/研磨処理、プラズマ処理等を用いることができる。
[反射防止層]
反射防止層は、ハードコート層との屈折率差が0.10以上で、かつ50nm〜150nmの膜厚の有機薄膜よりなる低屈折率層が、ハードコート層上に形成される。
反射防止層は、バインダー成分としての有機珪素化合物と、微粒子状無機物とを含有したコーティング組成物を用いて、レンズ基材表面に形成されたハードコート層上に形成される。
バインダー成分としての有機珪素化合物は、前述のハードコート層を形成するコーティング組成物に用いた前記一般式(2)で表される化合物が用いられる。
微粒子状無機物は、表面硬度の向上、および屈折率の調整のために添加される。微粒子状無機物は、微粒子状無機物を例えば水、アルコール系またはその他の有機溶媒からなる分散媒にコロイド状に分散させたゾルが用いられる。
ゾルの具体例としては、シリカゾル、フッ化マグネシウムゾル、フッ化カルシウムゾル等が挙げられる。このうち、シリカゾルを好ましく用いることができる。
シリカゾルは、シリカ系微粒子をコロイド状に分散したゾルである。シリカ系微粒子は、内部に空洞または空隙が形成されているものを用いるのが好ましい。シリカ系微粒子内の空洞内にシリカよりも屈折率が低い気体または溶媒が包含されることによって、空洞の存在しないシリカ系微粒子に比べて屈折率がより低減し、反射防止層の低屈折率化が達成される。
内部に空洞を有するシリカ系微粒子は、既存の方法等で製造することができるが、平均粒径が20nm〜150nmの範囲にあり、かつ屈折率が1.16〜1.39の範囲にあるものを使用するのが望ましい。粒子の平均粒径が20nm未満になると、粒子内部の空隙率が小さくなって、所望の低屈折率が得られなくなる。また、平均粒径が150nmを超えると、有機薄膜のヘーズが増加するので好ましくない。
この中空シリカ微粒子を含む分散ゾルの具体例として、中空シリカ含有イソプロパノール分散ゾル(触媒化成工業(株)製)が挙げられる。
また、反射防止層を形成するコーティング用組成物には、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等の各種樹脂や、これらの樹脂原料となるメタアクリレート類、アクリレート類、エポキシ類、ビニル類等の各種モノマーを添加することができる。
このうち、屈折率を低減する目的から、フッ素含有の各種ポリマー、またはフッ素含有の各種モノマーを添加することが好ましい。フッ素含有ポリマーとしては、フッ素含有ビニルモノマーを重合して得られるポリマーが好ましく、さらに他の成分と共重合可能な官能基を有することが好ましい。フッ素含有モノマーとしては、フッ素含有シラン化合物が好ましい。
このようなコーティング用組成物は、水または有機溶剤に希釈して反射防止層を形成する反射防止層用コーティング液として用いられる。有機溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類等が挙げられる。さらに、コーティング液には、必要に応じて少量の硬化触媒、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ヒンダートアミン、ヒンダートフェノール等の光安定剤、分散染料、油溶染料、蛍光染料、顔料等を添加し、コーティング液の塗布性の向上や、硬化後の被膜性能を改良することができる。
有機薄膜からなる低屈折率の反射防止層は、ハードコート層上に湿式法を用いて、反射防止層用コーティング液が塗布された後、加熱処理して硬化されることによって得られる。
湿式法によるコーティング液の塗布方法としては、浸漬法、スピンコート法、スプレーコート法、フローコート法等を用いることができる。これらの塗布方法のうち、プラスチックレンズ(レンズ基材)の曲面形状に薄い塗膜をムラなく塗布することを考慮すると、スピンコート法を用いるのが好ましい。
また、加熱処理の温度は、コーティング用組成物の組成、およびレンズ基材の耐熱性等を考慮して決定されるが、50℃〜200℃が好ましく、より好ましくは80℃〜140℃である。
形成される反射防止層の好ましい膜厚は、50nm〜150nmの範囲である。反射防止層の屈折率にもよるが、この範囲より厚すぎても薄すぎても十分な反射防止効果が得られない。
なお、ハードコート層上に反射防止層を形成する際には、ハードコート層の表面を親水化する前処理を行うことが好ましい。前処理の具体例としては、表面研磨、紫外線オゾン洗浄、プラズマ処理等が挙げられる。
このようにして形成された有機薄膜からなる低屈折率の反射防止層の他に、周知の蒸着法やスパッタリング法等の乾式法で形成される無機薄膜を用いて反射防止層を形成することも可能である。但し、無機薄膜を用いた反射防止層では、下層に形成された有機被膜からなるハードコート層およびプラスチックレンズ基材との大きな熱膨張率差により耐熱性に課題を有するのに対して、有機薄膜を用いた反射防止層では、ハードコート層およびプラスチックレンズ基材との熱膨張率差が小さいことから、加熱による曇りやクラック、ハガレ等の発生が起こり難くなり、耐熱性に優れる。
次に、実施形態に基づく実施例、および比較例を説明する。
(実施例)
本実施例は、ハードコート層を形成するコーティング液に含まれるレベリング調整剤として、25℃における粘度が3000mm2/sec〜6000mm2/secの範囲のシリコーン系界面活性剤を用い、相対湿度が10%、20%、50%、80%、90%の各環境雰囲気下において、それぞれのレンズ基材表面に浸漬法を用いてコーティング液を塗布して、ハードコート層を形成した実施例である。上記粘度の範囲にあるシリコーン系界面活性剤の具体例として、東レ・ダウコーニング(株)製(旧、日本ユニカー(株)製)の商品名:FZ−2164を用いた。FZ−2164の25℃における粘度は、5000mm2/sec程度である。
(1)レンズ基材の作製
先ず、ビス−(β−エピチオプロピル)ジスルフィド90重量部に硫黄10重量部を加えて、温度100℃の窒素雰囲気下において、1時間程度攪拌した。そして冷却した後、触媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイド0.05重量部を混合して、均一液とした。そして、その均一液を0.5μmのPTFEフィルターで濾過して、プラスチックレンズ成形用の重合性組成物を得た。
得られた重合性組成物を、2個の成形型を用いてテープモールド法により作製された成形用モールド内に注入した後、オーブン内に投入して、略30℃から120℃程度に略20時間かけて昇温して重合硬化させ、外径寸法が略80mm、中心厚さ1.2mm、屈折率が1.76、アッベ数が33のレンズ基材を作製した。得られたレンズ基材は、透明で、かつ表面状態は良好であった。
(2)ハードコート層用コーティング液の調製
ステンレス製容器に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1200重量部を投入し、ブチルセロソルブ1000重量部を加えて十分攪拌した後、0.1モル/リットル塩酸水溶液300重量部を添加して一昼夜攪拌を続け、シラン加水分解物を得た。
そして、このシラン加水分解物にレベリング調整剤としてシリコーン界面活性剤FZ−2164(東レ・ダウコーニング(株)製(旧、日本ユニカー(株)製))30重量部を加えて1時間程度攪拌した後、ルチル型結晶構造の酸化チタンを主体とする複合微粒子ゾル(メタノール分散、商品名:オプトレイク1120Z 8RS−25・A17、触媒化成工業(株)製)7300重量部を加えて2時間程度攪拌混合した。そして、エポキシ樹脂(商品名:デナコールEX−313、ナガセ化成(株)製)250重量部を加えて2時間程度攪拌した後、さらに、鉄(III)を中心金属原子とするアセチルアセトナート20重量部を加えて1時間程度攪拌し、2μmのフィルターで濾過を行い、ハードコート層用コーティング液を得た。以後、ハードコート層用コーティング液をコーティング液と表す場合がある。
(3)反射防止層用コーティング液の調製
ステンレス製容器内に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン52.5重量部(0.1モル)を投入し、メタノール312.4重量部を加えて十分攪拌した後、0.1モル/リットル塩酸水溶液36重量部を滴下しながら撹拌して混合液を得た。この混合液を内部温度が25℃の恒温槽内で2時間程度攪拌して固形分濃度10重量%のシラン加水分解物を得た。
そして、このシラン加水分解物に、中空シリカ含有イソプロパノール分散ゾル(触媒化成工業(株)製、固形分濃度20重量%、平均一次粒子径35nm、外殻厚み8nm)を、シラン加水分解物と中空シリカとの固形分比が80:20となるように配合した。そして、全固形分濃度が3重量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテル935重量部を加えて希釈し、反射防止層用コーティング液を得た。
(4)ハードコート層および反射防止層の形成
先ず、前記(1)レンズ基材の作製において成形したレンズ基材に、アルカリ処理を含む前処理を行った。前処理は、レンズ基材を温度が50℃に保たれた2.0規定水酸化カリウム水溶液に5分間浸漬するアルカリ処理を行い、純水洗浄、温度が25℃に保たれた0.5規定硫酸に1分間浸漬する中和処理、純水洗浄、乾燥および放冷を行った。
そして、前処理したレンズ基材の表面にハードコート層用コーティング液の塗布を行った。
レンズ基材の表面に塗布されるコーティング液は、一般的に調整された後、7日間程度の期間、塗装雰囲気のコーティング槽等に貯留された状態で用いられる。したがって、レンズ基材の表面に塗布するハードコート層用コーティング液は、前記(2)ハードコート層用コーティング液の調製において調整されて間もないライフ初期のコーティング液と、温度25℃、相対湿度が10%、20%、50%、80%、90%の各塗装雰囲気に調節されたコーティングブースに7日間放置したライフ終期のコーティング液との2種類を準備した。
そして、各ハードコート層用コーティング液の塗布に際して、コーティングブースの相対湿度を10%、20%、50%、80%、90%の各塗装雰囲気に調節し、それぞれの塗装雰囲気毎に、ライフ初期のコーティング液と、前記相対湿度が10%、20%、50%、80%、90%の各塗装雰囲気に7日間放置されたライフ終期の各コーティング液を、各塗装雰囲気に対応させて、レンズ基材の表面にそれぞれ塗布を行った。
塗布方法は、それぞれのコーティング液中にレンズ基材を浸漬した後、引き上げ速度400mm/minで、コーティング液中から鉛直方向に引き上げて、レンズ基材表面に塗布した。
そして、コーティング液が塗布された各レンズ基材を、内部の温度が80℃に設定されたオーブン内に放置して30分間の加熱を行った。その後、内部の温度が125℃に設定されたオーブン内で3時間程度の再加熱を行って、レンズ基材表面にハードコート層が形成されたプラスチックレンズ(レンズ基材)を得た。
各レンズ基材表面に形成されたハードコート層のレンズ中心部における膜厚は2.3μmであった。
そして、ハードコート層が形成されたプラスチックレンズは、スピンコート法を用いてハードコート層上に反射防止層が形成される。
先ず、ハードコート層の表面を親水化する前処理を行った。前処理は、出力が300Wの大気プラズマに、120秒間照射するプラズマ処理を行った。
そして、前処理を行ったプラスチックレンズを、スピンコート装置の回転保持台にセットし、回転保持台を600rpm程度の回転数で回転し、回転するレンズ面の中心上に、前記(3)反射防止層用コーティング液の調製において調製された反射防止層用コーティング液を1cc程度滴下して、さらに回転保持台を2000rpm程度の回転数で回転し、ハードコート層上に反射防止層用コーティング液を塗布した。
そして、反射防止層用コーティング液が塗布された各レンズ基材を、120℃に設定されたオーブン内に放置して20分間の加熱を行った。その後、内部の温度が125℃に設定されたオーブン内で2時間程度の再加熱を行って、レンズ基材上にハードコート層と反射防止層が形成されたプラスチックレンズを得た。なお、反射防止層は、プラスチックレンズの一方のレンズ面と他方のレンズ面に対して別々に形成作業を行って、両方のレンズ面に形成した。
形成された反射防止層の膜厚は100nmであった。
レンズ基材上にハードコート層と反射防止層とが形成されたプラスチックレンズは、以後、相対湿度が10%、20%、50%、80%、90%の各塗装雰囲気下においてハードコート層用コーティング液が塗布されてハードコート層が形成されたプラスチックレンズを、この順に試料1、試料2、試料3、試料4、試料5と表す。
(比較例)
比較例は、実施例におけるハードコート層を形成するコーティング液に含まれるレベリング調整剤として、25℃における粘度が3000mm2/sec〜6000mm2/secの範囲のシリコーン界面活性剤に代えて、25℃における粘度が3000mm2/sec未満であるシリコーン界面活性剤を用いたコーティング液を塗布してハードコート層を形成した以外は、実施例と同様のハードコート層用コーティング液の調製を行い、同様のレンズ基材表面に、相対湿度が10%、20%、50%、80%、90%の各塗装雰囲気下において、浸漬法を用いてコーティング液を塗布して、ハードコート層を形成した比較例である。反射防止層についても実施例と同様である。したがって、各コーティング液の調製方法および各コーティング層の形成方法についての説明は省略する。
なお、レベリング調整剤として用いたシリコーン界面活性剤の具体例として、東レ・ダウコーニング(株)製(旧、日本ユニカー(株)製)の商品名:L−7001を用いた。L−7001の25℃における粘度は、1700mm2/sec程度である。
この比較例において、レンズ基材上にハードコート層と反射防止層が形成されたプラスチックレンズは、以後、相対湿度が10%、20%、50%、80%、90%の各塗装雰囲気下においてハードコート層用コーティング液が塗布されてハードコート層が形成されたプラスチックレンズを、この順に試料6、試料7、試料8、試料9、試料10と表す。
以上の実施例および比較例で得られたプラスチックレンズ(以降、レンズと表す)を、膜厚分布、干渉縞、耐擦傷性の3つの評価項目で評価した。
先ず、評価項目毎の評価方法を以下に説明する。
(1)膜厚分布
膜厚分布は、浸漬法により塗布したハードコート層のディッピング方向(鉛直方向)に対応するレンズ上部(レンズ上端部からレンズ中心に向かって略10mmの位置)およびレンズ下部(レンズ下端部からレンズ中心に向かって略10mmの位置)における膜厚を、反射分光膜厚計を用いて測定し、レンズ上部とレンズ下部との膜厚差を以下に示す○、△、×の3水準で評価した。
○:レンズ上部とレンズ下部との膜厚差が、500nm以下。
△:レンズ上部とレンズ下部との膜厚差が、500nm〜1000nmの範囲。
×:レンズ上部とレンズ下部との膜厚差が、1000nm以上。
(2)干渉縞
三波長型蛍光灯の直下にレンズをかざし、反射光によるレンズ表面の干渉縞の発生状況を目視観察し、以下に示すA、B、Cの3水準で評価した。
A:全体に色変化が少なく、干渉縞がほとんど見られない。
B:縞模様が数本見られ、干渉縞が認識できる。
C:縞模様がレンズ全面に見られ、干渉縞がはっきりと認識できる。
(3)耐擦傷性
レンズのレンズ表面に、スチールウール#0000を荷重1kg程度で印加しながら、3cmの距離を10往復擦ったのち、目視でレンズ表面に入った傷の状態を、以下に示すA〜Eの5水準の基準で評価した。
A:全く傷がない。
B:1本〜5本の傷が確認される。
C:6本〜20本の傷が確認される。
D:21本以上の傷があるが曇りには見えない状態。
E:多数の傷があり曇りに近い状態。
以上の3つの評価項目で評価した結果を表1に示す。
表1に示す結果から、実施例において、ハードコート層がレベリング調整剤として特定の粘度を有するシリコーン系界面活性剤を含むコーティング液を用いて形成された試料1〜試料5のプラスチックレンズは、用いたコーティング液のライフ初期とライフ終期に関わらず、ハードコート層が25℃における粘度が3000mm2/sec未満であるシリコーン系界面活性剤を含むコーティング液を用いて形成された試料6〜試料10のプラスチックレンズに比較して、全体的にレンズ上部および下部での膜厚差が少なく、しかも干渉縞の発生が低減されている。
しかしながら、試料1〜5のうち、コーティング液が相対湿度10%の塗装雰囲気下で塗布された試料1のプラスチックレンズは、レンズ上部とレンズ下部との膜厚差が、500nm〜1000nmの範囲にあり、しかも干渉縞が認識される。これは、コーティング液中の有機溶剤が低粘度、低沸点であることにより、コーティング液中から引き上げ直後に有機溶剤が蒸散してしまい、コーティング液の粘度が早期に上昇して比較的早いタイミングで膜厚が形成され、レベリング性能が十分に発揮されないことによると推察される。
また、コーティング液が相対湿度90%の環境雰囲気下で塗布された試料5のプラスチックレンズは、レンズ上部および下部での膜厚差が少なく、しかも干渉縞の発生が認められないが、ライフ終期のコーティング液用いた試料の耐擦傷性が劣る。これは、塗装雰囲気中の水分がコーティング液中に吸収されて吸水量が増加するために、バインダー成分の劣化が促進されて変質を生じたことによると推察される。
これらの試料1〜試料5のうち、干渉縞が認識されなかった試料3のディッピング方向におけるレンズ面の膜厚分布を示すグラフを図1に示す。また、干渉縞が認識された試料1のディッピング方向におけるレンズ面の膜厚分布を示すグラフを図2に示す。
なお、図1および図2に示す試料3および試料1のグラフは、レンズ基材上に形成されたハードコート層の膜厚を、反射分光膜厚計を用いて測定した。
図1および図2に示すグラフは、ハードコート層の形成に浸漬法を用いてコーティング液を塗布したディッピング方向(鉛直方向)におけるレンズ面の膜厚分布を示し、縦軸はレンズ面の中心を通過する鉛直方向におけるレンズ中心からの距離(mm)を示し、横軸は、膜厚(nm)を示す。なお、前述したように、プラスチックレンズ(レンズ基材)の外形は、80mmの円形である。
図1に示すように、試料3のプラスチックレンズにおける膜厚分布線Aは、レンズ中心から略30mm離れたレンズ上部の位置(レンズ上端から略10mmの位置)とレンズ中心における膜厚差は90nm程度であり、レンズ中心とレンズ中心から略30mm離れたレンズ下部の位置(レンズ下端から略10mmの位置)における膜厚差は360nm程度であった。すなわち、レンズ上部とレンズ下部との膜厚差は、450nm程度であった。
また、図2に示す試料1のプラスチックレンズにおける膜厚分布線Bは、レンズ中心から略30mm離れたレンズ上部の位置とレンズ中心における膜厚差は280nm程度であり、レンズ中心とレンズ中心から略30mm離れたレンズ下部の位置における膜厚差は、420nm程度であった。すなわち、レンズ上部とレンズ下部との膜厚差は、700nm程度であった。
一方、表1に示すように、ハードコート層が25℃における粘度が3000mm2/sec未満であるシリコーン系界面活性剤を含むコーティング液を用いて形成された比較例における試料6〜試料10において、相対湿度が20%〜80%の環境雰囲気下で塗布されてハードコート層が形成されたプラスチックレンズ(試料7〜試料9)は、特定の粘度を有するシリコーン系界面活性剤を含むコーティング液を用いて形成された試料2〜試料4と比較して、レンズ上部および下部での膜厚差が大きく、しかも干渉縞の発生が認識されるものの、それ以外の相対湿度の環境雰囲気下でコーティング液が塗布されて形成されたもの(試料6および試料10)よりも、干渉縞の発生および耐擦傷性の面において優れていることが認められる。
なお、ハードコート層が25℃における粘度が3000mm2/sec未満であるシリコーン系界面活性剤を含むコーティング液を用いて形成された試料6〜試料10のうち、膜厚分布の評価においてレンズ上部とレンズ下部との膜厚差が1000nm以上あり、しかも干渉縞の評価において干渉縞がはっきりと認識された試料6(相対湿度10%の環境雰囲気下で塗布した試料)のレンズ面の撮影画像を図3に示す。
図3に示すように、試料6のプラスチックレンズのレンズ面には、反射光による縞模様が全面に見られ、干渉縞がはっきりと認識される。
したがって、ハードコート層用コーティング液中に、レベリング調整剤として、特定の粘度を有するジメチルシロキサンを主骨格とするシリコーン系界面活性剤が添加され、コーティング液が相対湿度が20%〜80%の範囲の塗装雰囲気下で塗布されることにより、コーティング液の表面張力を低下させるとともに、コーティング液の蒸散を抑制して粘度が上昇するのを防ぎ、コーティング液を流動し易い状態に持続して、レンズ基材をコーティング液中から引き上げる際に発生するレンズ基材の上部と下部との被膜層の膜厚分布差を低減することができる。よって、レンズ基材をコーティング液中から引き上げる際、レンズ基材の形状、レンズ基材を支持している治具および機械体等の影響により、コーティング液の液面が振動し、その振動が形成されるコーティング層の膜厚を不規則に乱すことがあっても、塗膜が高いレベリング性を発揮して、膜厚分布を均一に近づける作用を有することから、干渉縞の発生を著しく低減することができると考えられる。
以上の実施形態において、ハードコート層の密着性、プラスチックレンズの耐衝撃性および耐熱性等を、より向上させる目的で、レンズ基材とハードコート層との間にプライマー層を形成することができる。プライマー層は、プライマー層用コーティング液を、浸漬法、スピンコート法、スプレーコート法、フローコート法等の湿式法を用いて塗布して形成することができる。
このうち、浸漬法を用いる場合には、レベリング調整剤として前記ハードコート層と同じ、特定の粘度を有するシリコーン界面活性剤を含むコーティング液を用い、ハードコート層と同様に、相対湿度が20%〜80%の塗装雰囲気下でレンズ基材表面に塗布することにより、レンズ面における被膜層の平坦化が図られ、膜厚差が少なく、しかも干渉縞の発生が、より低減されたプラスチックレンズが得られる。
浸漬法を用いてプライマー層を形成する場合について説明する。
プライマー層は、バインダー成分としての樹脂と、フィラー成分としての無機酸化物微粒子と、レベリング調整剤とを含有したコーティング組成物を用いて、レンズ基材とハードコート層との間、すなわちレンズ基材表面に形成される。プライマー層を設けた場合には、ハードコート層の上層に形成される有機薄膜からなる低屈折率の反射防止層の耐久性を向上することができる。加えて外部からの衝撃吸収層としての性質も有し、耐衝撃性を向上することができる。また、基材の熱膨張に追随し、かつ緩衝作用を発揮して上層のハードコート層や反射防止層に変形を伝え難くする性質も有し、耐熱性を向上させることができる。
バインダー成分としての樹脂は、レンズ基材とハードコート層の双方に密着性を発現する性質を有する。樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等を用いることができる。
フィラー成分としての無機酸化物微粒子およびレベリング調整剤は、上述のハードコート層用コーティング液に用いたのと同じものを用いることができる。
これらのコーティング組成物は、溶剤に希釈してプライマー層用コーティング液として用いられる。溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族類等の溶剤が挙げられる。
プライマー層の形成は、相対湿度が20%〜80%の塗装雰囲気下で、レンズ基材をプライマー層用コーティング液中に浸漬した後、引き上げ速度200mm/min程度で、プライマー層用コーティング液中から鉛直方向に引き上げて、レンズ基材表面にコーティング液を塗布する。そして、内部の温度が80℃程度に設定されたオーブン内に20分間程度加熱することにより形成することができる。好ましいプライマー層のレンズ中心部における膜厚は、0.05μm〜2μm程度の範囲である。プライマー層が薄すぎると耐久性や耐衝撃性、耐熱性の性能が発現できず、逆に厚すぎると、光学的歪、白濁、曇り等の外観不具合を発生する場合がある。
以上の実施形態において、反射防止層は、ハードコート層上にスピンコート法を用いて形成された場合で説明したが、浸漬法を用いてもよい。浸漬法を用いる場合には、ハードコート層用コーティング液と同様に、反射防止層用コーティング液に、レベリング調整剤として25℃における粘度が3000mm2/sec〜6000mm2/secの範囲のシリコーン系界面活性剤を添加し、かつ反射防止層用コーティング液を相対湿度20%〜80%の範囲の塗布雰囲気下において塗布することにより、膜厚差が少なく、しかも干渉縞の発生が低減された反射防止層が得られる。もちろん、反射防止層の下層にハードコート層が設けられない場合であっても適用することができる。
また、以上の実施形態において、プラスチックレンズの製造方法を用いて製造されるプラスチックレンズとしては、プラスチック眼鏡レンズの他に、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、望遠鏡、双眼鏡等の各種光学レンズに適用することができる。
実施例における試料3のディッピング方向におけるレンズ面の膜厚分布を示すグラフ。 実施例における試料1のディッピング方向におけるレンズ面の膜厚分布を示すグラフ。 比較例における試料6のレンズ面の撮影画像。
符号の説明
A,B…膜厚分布線。

Claims (4)

  1. コーティング液中に浸漬および引上げを行うことによりプラスチックレンズ基材上に被膜層を塗布形成する浸漬法を用いたプラスチックレンズの製造方法において、
    前記コーティング液が、25℃における粘度が3000mm2/sec〜6000mm2/secの範囲のシリコーン系界面活性剤を含み、
    かつ、前記プラスチックレンズ基材上に前記コーティング液を塗布形成する際の環境雰囲気が、相対湿度20%〜80%の範囲であることを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
  2. 請求項1に記載のプラスチックレンズの製造方法において、
    前記シリコーン系界面活性剤は、下記に示す一般式(1)で表されるジメチルポリシロキサンを主骨格とするシリコーン化合物であることを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
    式中、Xはポリエーテル、ポリグリセリン、硫酸塩、リン酸塩等の親水性置換基を示す。
  3. 請求項1または2に記載のプラスチックレンズの製造方法において、
    前記シリコーン系界面活性剤は、前記コーティング液中に10ppm〜2000ppmの範囲で含有されることを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラスチックレンズの製造方法において、
    前記プラスチックレンズ基材上に形成される前記被膜層が、プライマー層、ハードコート層、有機系反射防止層の少なくとも1層であることを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
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JP2013218172A (ja) * 2012-04-10 2013-10-24 Seiko Epson Corp 光学素子、撮像装置、電子機器及び光学素子の製造方法

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