JP2008051851A - 光学物品および光学物品の製造方法 - Google Patents

光学物品および光学物品の製造方法 Download PDF

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Shuji Naito
修二 内藤
Hidenori Komai
秀紀 駒井
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敬介 高田
Yusuke Kutsukake
祐輔 沓掛
Katsuyoshi Takeshita
克義 竹下
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Abstract

【課題】レンズ等の分野で使用される高屈折率のプラスチック基材を用いて、反射防止効果に優れ、耐熱性の十分に高い光学物品およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】光学物品は、エピスルフィド化合物を主成分とする重合性組成物を重合硬化して得られるプラスチック基材からなり、この基材の屈折率が1.74以上であり、その表面には、屈折率が1.64以下の単層の有機層が形成されている。この有機層は、基材との屈折率差が0.1以上あるため、反射防止層として優れた効果を奏する。さらに、この有機層も基材もともに有機化合物を主成分としているため、熱膨張率の差がわずかであり、耐熱性に優れる。
【選択図】なし

Description

本発明は、眼鏡やカメラ等のプラスチックレンズとして使用される光学物品および光学物品の製造方法に関する。
プラスチックレンズは、ガラスレンズに比べて軽量であり、成形性、加工性、染色性等に優れ、しかも割れにくく安全性も高いため、眼鏡レンズ分野において急速に普及し、その大部分を占めている。また、近年では薄型化、軽量化のさらなる要求に応えるべく、チオウレタン系樹脂やエピスルフィド系樹脂等の高屈折率素材が開発されている。例えば、エピチオ基を有する化合物(エピスルフィド化合物)を硫黄の存在下で重合させることにより非常に屈折率の高いエピスルフィド系樹脂を製造する方法が提案されている(特許文献1、2参照)。このようなエピスルフィド系樹脂は、屈折率が1.74以上の超高屈折率を発現でき、眼鏡レンズの薄型化に有効である。
特開2004−002712号公報 特開2005−281527号公報
しかしながら、特許文献1、2のような、エピスルフィド系樹脂からなるプラスチックレンズは、屈折率が高くなるほど耐熱性が低くなり、さらに表面処理層として用いられている無機反射防止層が、下地となるプラスチックレンズ基材の熱膨張変形に追随できず、結果としてクモリやクラックなどを生じるおそれがある。それ故、プラスチックレンズ基材の高屈折率化に伴ってその問題点が顕著になる傾向がある。
そこで本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、レンズ等の分野で使用される高屈折率のプラスチック基材を用いて、反射防止効果に優れ、耐熱性の十分に高い光学物品およびその製造方法を提供することを目的とする。
前記の課題を解決すべく、本発明の光学物品は、エピスルフィド化合物を主成分とする重合性組成物を重合硬化して得られるプラスチック基材(以下、単に「基材」ともいう)からなる光学物品であって、前記基材の屈折率が1.74以上、好ましくは1.75以上、より好ましくは1.76以上であり、前記基材の表面には、屈折率が1.64以下の単層の有機層が形成されていることを特徴とする。
ここで、エピスルフィド化合物とは、いわゆるエピチオ基を有するモノマーであって、所定の触媒の存在下で重合することにより高屈折率の基材となる。また、屈折率が1.64以下の単層の有機層とは、有機化合物を主成分とする単層からなる薄膜であって、例えば、有機シランカップリング剤を含んだコーティング組成物を基材に塗布することにより形成される屈折率が1.64以下の薄膜をいう。
本発明によれば、屈折率が1.74以上といわゆる超高屈折率の基材を用いているため、非常に薄型のレンズを構成することが可能である。また、基材表面に屈折率が1.64以下の有機層が形成されており、この有機層は、基材との屈折率差が0.1以上あるため、反射防止層として優れた効果を奏する。さらに、この有機層も基材もともに有機化合物を主成分としているため、熱膨張率の差がわずかであり、高温環境下でも光学物品にクモリやクラックなどを生じるおそれがほとんどない。すなわち、耐熱性に優れる光学物品を提供できる。また、無機系反射防止層を形成する場合は、真空装置等の大型設備により多層膜を形成する必要があり、製造にかかるコストも過大となるが、本発明では、単層の有
機層を基材表面に形成するだけであり、製造コストを抑えることも可能となる。
なお、この基材の表面には有機層を直接形成してもよいが、光学物品をプラスチック眼鏡レンズとして使用するときには中間にプライマー層やハードコート層を介在させることも好ましい。その際は、プライマー層やハードコート層の屈折率を基材の屈折率に合わせることが好ましい。
本発明では、前記重合性組成物がさらに、硫黄を含むことが好ましい。
この発明によれば、重合性組成物がさらに、硫黄を含むため、硫黄原子がエピスルフィド化合物と化学的に結合して、容易に1.74以上の高屈折率を有する基材とすることができる。
本発明では、前記重合性組成物がさらに、ポリイソシアナート化合物および/またはポリチオール化合物を含むことが好ましい。
この発明によれば、重合性組成物がさらに、ポリイソシアナート化合物および/またはポリチオール化合物を含んでいるため、重合により最終的に得られた基材が染色性に優れ、また耐熱性にも優れるようになる。
本発明では、前記有機層は、内部空洞を有するシリカ系微粒子と、有機ケイ素化合物とを含んだコーティング組成物から形成されることが好ましい。
ここで、有機ケイ素化合物としては、下記式(1)および(2)により示される少なくともいずれかの化合物であることが好ましい。
SiX 3−n (1)
(式中、Rは、重合可能な反応基を有する有機基であり、Rは炭素数1〜6の炭化水素基であり、Xは加水分解基であり、nは0または1である。)
3−mSi−Y−SiR3−mm (2)
(式中Rは炭素数1〜6の一価炭化水素基。Yはフッ素原子を1個以上含有する二価有機基。Xは加水分解性基。mは1〜3の整数である。)
この発明によれば、有機ケイ素化合物を含んだコーティング組成物から形成された透明で強固な膜の中に、内部空洞を有するシリカ系微粒子が均一に分散しているため、低屈折率で強固な有機系反射防止層とすることができる。
なお、このコーティング組成物中に、分子中に1個以上のエポキシ基を含有するエポキシ基含有有機化合物を含むと、有機系反射防止層の耐擦傷性をより向上させるので好ましい。
前記した本発明の光学物品は、基材の屈折率が1.74以上と高く、耐熱性にも優れるため、プラスチックレンズとして好適に使用することができる。また、本発明のプラスチックレンズは、眼鏡レンズをはじめ、カメラレンズ、望遠鏡用レンズ、顕微鏡用レンズ、ステッパー用集光レンズなど各種の薄型光学レンズとして幅広く使用することができる。
本発明の光学物品の製造方法は、プラスチック基材からなる光学物品の製造方法であって、エピスルフィド化合物を主成分とする重合性組成物を重合硬化して屈折率が1.74以上のプラスチック基材を製造する基材製造工程と、前記プラスチック基材の表面に、内部空洞を有するシリカ系微粒子および有機ケイ素化合物を含んだコーティング組成物を用いて屈折率が1.64以下の単層の有機層を形成する有機層形成工程とを備えることを特徴とする。
本発明の光学物品の製造方法によれば、エピスルフィド化合物を主成分とする重合性組成物を重合硬化してプラスチック基材を製造するので、1.74以上の高屈折率の基材を得ることが容易となる。また、基材の表面に、内部空洞を有するシリカ系微粒子と、有機ケイ素化合物とを含んだコーティング組成物を用いて、いわゆる湿式法により単層の有機
層を形成するので、真空装置等の大型設備が不要となり、製造にかかるコストを低減させることが可能となる。また、プライマー層やハードコート層を設ける場合、有機層を連続して湿式法で形成できるので、光学物品の製造に手間を要しない。
また、基材表面に形成する有機層の屈折率が1.64以下であって基材との屈折率差が0.1以上あるため、この有機層は、反射防止層として優れた効果を奏する。さらに、この有機層も基材もともに有機化合物を主成分としているため、熱膨張率の差がわずかであり、高温環境下でも、得られた光学物品にクモリやクラックなどを生じるおそれがほとんどない。
さらには、乾式法で形成される無機物を主成分とする無機層(例えば、無機系反射防止層)に比べ、湿式法で形成される有機層は、基材との熱膨張率差が小さいことから、加熱によるクラックの発生が起こりにくくなるので耐熱性に優れた光学物品とすることができる。なお、有機層の上面にさらに防汚層を形成する工程を備えていると、得られた光学物品表面の撥水撥油性能を向上させることができるので、特に眼鏡用のプラスチックレンズの製造方法として好ましい。
以下、本発明の光学物品および光学物品の製造方法について実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の光学物品は、眼鏡用のプラスチックレンズであって、プラスチックレンズ基材(以下、単に「レンズ基材」ともいう)と、レンズ基材表面に形成されたプライマー層と、このプライマー層の上面に形成されたハードコート層と、このハードコート層の上面に形成された有機層と、この有機層の上面に形成された防汚層とを有する。以下、レンズ基材、プライマー層、ハードコート層、有機層および防汚層について説明する。
(1.レンズ基材)
レンズ基材としては、エピスルフィド化合物を主成分とする重合性組成物を重合硬化して、屈折率を1.74以上、好ましくは1.75以上、より好ましくは1.76以上としたものが用いられる。
エピスルフィド化合物の具体例としては、公知のエピスルフィド基を持つ化合物が何ら制限なく使用できる。例えば、既存のエポキシ化合物のエポキシ基の一部あるいは全部の酸素を硫黄で置き換えることによって得られるエピスルフィド化合物が挙げられる。また、レンズ基材の高屈折率化のためには、エピスルフィド基以外にも硫黄原子を含有する化合物を用いることが好ましい。具体例としては、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、ビス−(β−エピチオプロピル)スルフィド、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、ビス−(β−エピチオプロピル)ジスルフィド等が挙げられる。これらのエピスルフィド化合物は単独で用いても混合して用いてもよい。
レンズ基材は、モノマーとして前記したエピスルフィド化合物と所定の触媒を、あるいはさらに硫黄と混合した上で、ガラス製または金属製の鋳型に注入し、いわゆる注型重合を行うことで得られる。硫黄の存在下で重合を行うことにより、屈折率が1.74以上の高屈折率レンズ基材を得ることが容易となる。硫黄を混合する場合は、エピスルフィド化合物100質量部に対して0.1〜25質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。
重合に用いられる触媒としては、アミン類、フォスフィン類、第4級アンモニウム塩類、第4級ホスホニウム塩類、第3級スルホニウム塩類、第2級ヨードニウム塩類、鉱酸類、ルイス酸類、有機酸類、ケイ酸類、四フッ化ホウ酸類等を挙げることができる。
これらの中でも好ましい触媒の例としては、アミノエタノール、1−アミノプロパノールのようなアミン類、テトラブチルアンモニウムブロマイドのような第4級アンモニウム
塩、テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラメチルホスホニウムブロマイドのような第4級ホスホニウム塩類などを挙げることができる。
また、用いられる触媒は、使用するモノマーの種類に応じて選択し、添加量も調整する必要があるが、一般的にはレンズ基材原料の全量を基準にして0.001〜0.1質量%が好ましい範囲である。
重合温度は、5〜120℃程度が好ましく、反応時間は、1〜72時間程度である。重合後は、レンズ基材の歪みを除去するために50〜150℃で10分間〜5時間程度アニール処理を行うことが好ましい。
前記した重合性組成物を調製する際に、他のモノマーとして、ポリイソシアナート化合物および/またはポリチオール化合物をさらに混合しておくことも好ましい。
エピスルフィド化合物だけでなく、ポリイソシアナート化合物やポリチオール化合物も重合に関与することにより、染色性や耐熱性にさらに優れたレンズ基材を得ることが可能になる。
ここで、ポリイソシアナート化合物および/またはポリチオール化合物の配合量は、最終的なレンズ基材全量に対して、3〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。特に好ましくは、20〜40質量%である。
また、ポリイソシアナート化合物とポリチオール化合物の混合割合は、最終的に得られるレンズ基材の強度や透明性の観点より、チオール基とイソシアナト基とのモル比(−SH/−NCO)で、好ましくは1以上、より好ましくは1〜5、さらに好ましくは1.1〜2の範囲である。
ポリイソシアナート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリック型ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,5−ビス(イソシアネートメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアネートメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3,8−ビス(イソシアネートメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]−デカン、3,9−ビス(イソシアネートメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]−デカン、4,8−ビス(イソシアネートメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]−デカン、4,9−ビス(イソシアネートメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]−デカン、ダイマー酸ジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物及びそれらの化合物のアロファネート変性体、ビュレット変性体、イソシアヌレート変性体が挙げられ、これらの化合物を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
また、ポリチオール化合物としては、例えば、メタンジチオール、エタンジチオール、プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2,3−トリメルカプトプロパン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、−メルカプトメチル−3,6−ジチオ−1,8−オクタンジチオール、ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトプロピオネート)、4,8or4,7or5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3
,6,9トリチアウンデカン、ビス(2−メチルメルカプトエチル)スルフィド等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有するもしくは含有しない化合物等が挙げられる。これらのポリチオール化合物は単独で用いても、混合して用いてもよい。
なお、ポリイソシアナート化合物とポリチオール化合物からいったんチオウレタン樹脂(プレポリマー)を製造して、これに前記した重合性組成物を加えてさらに反応させてもよい。
また、重合性組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、内部離型剤、酸化防止剤、染料、フォトクロミック染料、顔料、帯電防止剤等の公知の各種添加剤を配合してもよい。
(2.プライマー層)
プライマー層は、レンズ基材の最表面に形成され、レンズ基材と後述するハードコート層双方の界面に存在して、レンズ基材とハードコート層双方への密着性を発揮する性質を有し、表面処理膜全体の耐久性を向上させる役割を担う。さらに外部からの衝撃吸収層としての性質も併せ持ち、耐衝撃性を向上させる性質も有する。
このようなプライマー層としては、極性を有する有機樹脂ポリマーと、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子とを含むコーティング組成物を用いて形成されることが好ましい。
有機樹脂ポリマーは、レンズ基材とハードコート層の双方に密着性を発現する。金属酸化物微粒子は、フィラーとしてプライマー層の架橋密度向上に作用して、耐水性、耐候性や耐光性の向上を図ることができる。上記有機樹脂ポリマーとしては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等の各種樹脂を使用することが可能である。この内、硫黄原子を含むレンズ基材に対する密着性とフィラーとなる金属酸化物微粒子の分散性の点から、ポリエステル樹脂を好ましく用いることができる。
一方、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子としては、耐光性の観点から、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する複合型を用いることが好ましい。この金属酸化物微粒子の平均粒径は、1〜200nmが好ましく、より好ましくは5〜30nmを用いる。
コーティング用組成物(コーティング液)の塗布にあたっては、レンズ基材とプライマー被膜の密着性の向上を目的として、レンズ基材の表面を予めアルカリ処理、酸処理、界面活性剤処理、無機あるいは有機の微粒子による剥離/研磨処理、プラズマ処理を行うことが効果的である。また、コーティング用組成物の塗布/硬化方法としては、ディッピング法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法、あるいは、フローコート法等によりコーティング用組成物を塗布した後、40〜200℃の温度で数時間加熱/乾燥することにより、プライマー層を形成できる。
また、プライマー層の膜厚は、0.01〜50μm、特に0.1〜30μmの範囲が好ましい。プライマー層が薄すぎると耐水性や耐衝撃性などの基本性能が実現できず、逆に厚すぎると、表面の平滑性が損なわれたり、光学的歪や白濁、曇りなどの外観欠点を発生する場合がある。なお、プライマー層の屈折率は、干渉縞の発生を避けるため、レンズ基材の屈折率に合わせることが好ましい。
(3.ハードコート層)
ハードコート層は、レンズ基材表面に形成されたプライマー層上に形成される。ハー
ドコート層は、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する金属酸化物粒子(A成分)と、下記式(1)で示される化合物(B成分)とを含むコーティング組成物を用いて形成されることが好ましい。
SiX 3−n (1)
(式中、Rは、重合可能な反応基を有する有機基であり、Rは炭素数1〜6の炭化水素基であり、Xは加水分解基であり、nは0または1である。)
「A成分」としては、例えば、酸化チタンおよび酸化スズ、または酸化チタン、酸化スズおよび酸化ケイ素からなるルチル型の結晶構造を有する複合酸化物を含む平均粒径1〜200nmの無機酸化物微粒子を挙げることができる。
ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子を使用することで、耐候性や耐光性がより向上し、また屈折率はアナターゼ型の結晶よりもルチル型の結晶の方が高いので、比較的屈折率の高い金属酸化物微粒子(複合微粒子)が得られる。
「A成分」の種類や配合量は、目的とする硬度や屈折率等により決定されるものであるが、配合量はコーティング組成物中の固形分の5〜80質量%、特に10〜50質量%の範囲であることが望ましい。配合量が少なすぎると、コーティング膜の耐摩耗性が不十分となる場合がある。一方、配合量が多すぎると、コーティング膜にクラックが生じ、染色性も不十分となる場合がある。
次に「B成分」(一般式(1)で表される有機ケイ素化合物)について説明する。
「B成分」は、ハードコート層のバインダー剤としての役割を果たす。「B成分」の一般式中、R1は、重合可能な反応基を有する有機基であり、炭素数は2以上である。R1はビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基、1−メチルビニル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基等の重合可能な反応基を有する。また、X1は、加水分解可能な官能基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等のアルコキシ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲン基、アシルオキシ基等があげられる。Rは、炭素数1〜6の一価炭化水素基を表すが、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基等を例示することができる。良好な耐擦傷性を得るには、メチル基が好ましい。
「B成分」の有機ケイ素化合物としては、例えば、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、アリルトリアルコキシシラン、アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリアルコキシシラン、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン等があげられる。この「B成分」の有機ケイ素化合物は、2種類以上を混合して用いてもよい。
更に、テトラメトキシシランやテトラエトキシシランなど、一般式SiX(X=アルコキシル基)で示される4官能有機ケイ素化合物を用いても同様の効果を得ることができる。
そして、「A成分」を「B成分」と混合して、ハードコート層を形成するためのハードコート液を製造する際には、「A成分」が分散したゾルと、「B成分」とを混合することが好ましい。「A成分」の配合量は、ハードコート層の硬度や、屈折率等により決定されるものであるが、ハードコート液中の固形分の5〜80質量%、特に10〜60質量%であることが好ましい。配合量が少なすぎると、ハードコート層の耐磨耗性や屈折率が不十分となり、配合量が多すぎると、ハードコート層にクラックが生じることがある。また、ハードコート層を染色する場合には、染色性が低下する場合もある。
なお、ハードコート層は、「A成分」、「B成分」だけでなく、多官能性エポキシ化合物を含有することが非常に有用である。多官能性エポキシ化合物は、プライマー層に対するハードコート層の密着性を向上させるとともに、ハードコート層の耐水性およびプラス
チックレンズとしての耐衝撃性を向上させることができる。多官能性エポキシ化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物、イソホロンジオールジグリシジルエーテル、ビス−2,2−ヒドロキシシクロヘキシルプロパンジグリシジルエーテル等の脂環族エポキシ化合物、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物等が挙げられる。
さらに、ハードコート層に硬化触媒を添加してもよい。硬化触媒としては、例えば、過塩素酸、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸マグネシウム等の過塩素酸類、Cu(II)、Zn(II)、Co(II)、Ni(II)、BE(II)、CE(III)、Ta(III)、Ti(III)、Mn(III)、La(III)、Cr(III)、V(III)、Co(III)、FE(III)、Al(III)、CE(IV)、Zr(IV)、V(IV)等を中心金属原子とするアセチルアセトナート、アミン、グリシン等のアミノ酸、ルイス酸、有機酸金属塩等が挙げられる。
このようにして得られるハードコート層形成用のコーティング組成物は、必要に応じ、溶剤に希釈して用いることができる。溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族類等の溶剤が用いられる。また、ハードコート層形成用のコーティング用組成物は、必要に応じて、少量の金属キレート化合物、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散染料、油溶染料、顔料、フォトクロミック化合物、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール系等の耐光耐熱安定剤等を添加し、コーティング液の塗布性、硬化速度および硬化後の被膜性能を改良することもできる。
また、コーティング用組成物の塗布・硬化方法としては、ディッピング法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法、あるいは、フローコート法によりコーティング用組成物を塗布した後、40〜200℃の温度で数時間加熱乾燥することにより、ハードコート被膜を形成する。なお、ハードコート層の膜厚は、0.05〜30μmであることが好ましい。膜厚が0.05μm未満では、基本性能が実現できない。また、膜厚が30μmを越えると表面の平滑性が損なわれたり、光学歪みが発生してしまう場合がある。なお、ハードコート層の屈折率は、干渉縞の発生を避けるため、レンズ基材、プライマー層の屈折率に合わせることが好ましい。
(4.有機層)
有機層は、ハードコート層上に形成され、有機化合物を主成分とする単層の有機薄膜である。この有機層は、内部空洞を有するシリカ系微粒子(以下、「中空シリカ系微粒子」ともいう)と、有機ケイ素化合物とを含んだコーティング組成物から形成されることが好ましい。
ここで、中空シリカ系微粒子を用いるのは、内部空洞内にシリカよりも屈折率が低い気体または溶媒が包含されることによって、空洞のないシリカ系微粒子に比べてより屈折率が低減し、結果的に、有機層に優れた反射防止効果を付与できるからである。以後、このような反射防止効果を奏する有機層を有機系反射防止層ともいう。
中空シリカ系微粒子は、特開2001−233611号公報に記載されている方法等で製造することができるが、本発明では、平均粒径が1〜150nmの範囲にあり、かつ屈折率が1.16〜1.39の範囲にあるものを使用することが望ましい。粒子の平均粒径が1nm未満になると、粒子内部の空隙率が小さくなって、所望の低屈折率が得られなくなる。また、平均粒径が150nmを超えると、有機薄膜のヘイズが増加するので好ましくない。なお、好ましい平均粒径は、以下の式で計算することができる。
平均粒径=(設計波長(nm)/有機系反射防止層屈折率)×1/4
なお、平均粒径1〜150nm、屈折率1.16〜1.39の中空シリカ系微粒子を含む分散ゾルが市販されている(例えば、触媒化成工業(株)製、スルーリア、およびレキ
ューム)。
また、有機ケイ素化合物としては、下記式(1)および(2)により示される少なくともいずれかの化合物であることが好ましい。
SiX 3−n (1)
(式中、Rは、重合可能な反応基を有する有機基であり、Rは炭素数1〜6の炭化水素基であり、Xは加水分解基であり、nは0または1である。)
3−mSi−Y−SiR 3−m (2)
(式中Rは炭素数1〜6の一価炭化水素基。Yはフッ素原子を1個以上含有する二価有機基。Xは加水分解性基。mは1〜3の整数である。)
ここで、式(1)で示される化合物は、前記したハードコート層形成に用いられるB成分と同じ化合物である。機能としても同様であり、最終的に有機系反射防止層におけるシリカ系微粒子のバインダー剤として働く。
また、式(2)で示される化合物も同様に、最終的に有機系反射防止層におけるシリカ系微粒子のバインダー剤として働く。また、このような含フッ素化合物を用いると、フッ素樹脂が本来持つ低屈折率により有機系反射防止層の低屈折率化が一層容易となる。
更に、式(1)で示される化合物と式(2)で示される化合物とを併用すると、コーティング組成物における相溶性(分散均一性)や加水分解時に使用する水に対する溶解性が向上し、最終的に形成される有機系反射防止層の耐アルカリ性や耐擦傷性がより向上するので好ましい。
は、炭素数1〜6の一価炭化水素基を表すが、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基等を例示することができる。良好な耐擦傷性を得るには、メチル基が好ましい。mは1〜3の整数であるが、好ましくは2又は3とするものであり、特に高硬度な被膜にするにはm=3とするのが好ましい。Xは、加水分解性基を表す。具体例としては、Clなどのハロゲン原子、OR(Rは炭素数1〜6の一価炭化水素基)で示されるオルガノオキシ基、特にメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、イソプロペノキシ基などのアルケノキシ基、アセトキシ基等のアシルオキシ基、メチルエチルケトキシム基等のケトオキシム基、メトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基などを挙げることができる。これらの中でアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基のシラン化合物が取り扱い易く、加水分解時の反応の制御もし易いため、好ましい。
式(2)において、フッ素原子の個数は好ましくは4〜50個、特に好ましくは4〜24個である。反射防止性、防汚性、撥水性等の諸機能を良好に発現させるためには、フッ素原子を多量に含有していることが好ましいが、多すぎると、架橋密度が低下するため十分な耐擦傷性が得られない場合が生ずる。従って、Yとしては下記の構造のものが好ましい。
−CHCH(CFCHCH
−C−CF(CF)−(CF−CF(CF)−C
(nは2〜20の整数)
上記構造中のnとしては2〜20の値を満たす必要があるが、より好ましくは2〜12、特に好ましくは4〜10の範囲を満たすのがよい。これより少ないと、反射防止性、防汚性、撥水性等の諸機能、及び耐薬品性を十分に得ることができない場合があり、多すぎると、架橋密度が低下するため十分な耐擦傷性が得られない場合が生ずる。
なお、このコーティング組成物中には、有機系反射防止層の耐擦傷性(耐摩耗性)向上のために、分子中に1個以上のエポキシ基を含有するエポキシ基含有有機化合物を含むことが好ましい。このようなエポキシ基含有有機化合物としては、例えば、グリシドキシメ
チルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
有機系反射防止層としては、シリコーン系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系などの樹脂と2種以上併用して成膜した有機薄膜を用いてもよい。このうち特に、プラスチックレンズとしての耐熱性、耐薬品性、耐擦傷性、などの諸特性を考慮した場合は、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂を含む低屈折率層とすることが好ましく、この際に、表面硬度の向上や、屈折率の調整のため、微粒子状無機物などを添加することも可能である。添加する微粒子状無機物としては、コロイド状に分散したゾルなどが挙げられ、低屈折率という観点から、フッ化マグネシウムゾル、フッ化カルシウムゾルなどが挙げられる。
さらに、有機系反射防止層を構成するコーティング組成物には、必要に応じて、少量の硬化触媒(レンズ基材製造用重合触媒)や、光重合開始剤、酸発生剤、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン・ヒンダートフェノール等の光安定剤、分散染料・油溶染料・蛍光染料・顔料等を添加し、コーティング組成物(コーティング液)の塗布性の向上や、重合硬化後の被膜性能を改良することができる。
このような有機系反射防止層は、上述したコーティング液を用いて、湿式法によりハードコート層上に低屈折率の有機薄膜として好適に形成することができる。蒸着法やスパッタリング法などの乾式法で形成される無機系反射防止層は、下層の有機薄膜からなるハードコート層やプラスチック基材との大きな熱膨張率差により耐熱性が低いのに対して、湿式法により形成される有機系反射防止層は、ハードコート層やプラスチック基材との熱膨張率差が小さいことから加熱によるクラックの発生が起こり難くなり、耐熱性に優れる。また、湿式法により形成することができるため、真空装置や大型の設備は不要となり、簡便に作製することが可能となる。
湿式法による低屈折率の有機系反射防止層の形成方法としては、ディッピング法、スピンナー法、スプレー法、フロー法などの公知の方法を用いることができる。これらの成膜方法のうちで、プラスチックレンズ基材のような曲面形状に膜厚が50〜150nmの薄膜をムラなく成膜することを考慮すると、ディッピング法、またはスピンナー法が好ましい。なお、ハードコート層上に低屈折率の有機系反射防止層を形成する際には、ハードコート層表面に前処理を行うことが好ましい。この前処理の具体例としては、表面研磨、紫外線−オゾン洗浄、プラズマ処理等によりハードコート層表面を親水化(接触角θ=60°以下)する方法が有効である。
有機系反射防止層の具体的な形成方法は、以下の様な手順により行われる。まず、式(1)あるいは式(2)の有機ケイ素化合物を有機溶剤で希釈し、その後必要に応じて水または薄い塩酸、酢酸等を添加して加水分解を行う。さらに、中空シリカ系微粒子を有機溶剤中にコロイド状に分散した品を添加する。その後、必要に応じ、硬化触媒、光重合開始剤、酸発生剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加し、十分に撹拌した後にコーティング組成物(コーティング液)として用いる。
このとき、硬化後の固形分に対して、コーティング液の希釈する濃度は、好ましくは固
形分濃度として0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。固形分濃度が15質量%を越えた場合には、ディッピング法で引き上げ速度を遅くしたり、スピンナー法で回転数を高くしても、所定の膜厚を得ることが困難であり、膜厚が必要以上に厚くなってしまう。また、固形分濃度が0.5質量%に満たない場合には、ディッピング法で引き上げ速度を早くしたり、スピンナー法で回転数を遅くしても、膜厚が必要よりも薄くなってしまい所定の膜厚を得ることが困難である。また、速度を速くし過ぎたり、回転数を遅くし過ぎると、レンズ上での塗りムラが大きくなりやすく、界面活性剤等の添加でも対応仕切れなくなってしまう。
コーティング液をレンズ基材に塗布後、熱または紫外線及びその併用によって硬化させて有機系反射防止層が得られるが、加熱処理によって硬化させることが好ましい。加熱処理の際の加熱温度は、コーティング組成物の組成、レンズ基材の耐熱性等を考慮して決定されるが、50〜200℃が好ましく、より好ましくは80〜140℃である。
得られる有機系反射防止層の膜厚は50〜150nmの範囲が好ましい。この範囲より厚すぎたり薄すぎると十分な反射防止効果が得られないおそれがある。また、有機系反射防止層の屈折率は、反射防止層として機能するために、下層のハードコート層との屈折率差が0.10以上(有機系反射防止層の屈折率として1.64以下)、好ましくは0.15以上、さらに好ましくは0.20以上とする必要がある。具体的には、有機系反射防止層の屈折率は、1.30〜1.45の範囲とすることが好ましい。
(5.防汚層)
以上のように、レンズ基材上にプライマー層、ハードコート層および有機系反射防止層が形成されたプラスチックレンズには、さらにプラスチックレンズ表面の撥水撥油性能を向上させる目的で、有機系反射防止層上にフッ素を含有する有機ケイ素化合物からなる防汚層を形成することができる。フッ素を含有する有機ケイ素化合物としては、例えば、特開2005−301208号公報や特開2006−126782号公報に記載されている含フッ素シラン化合物合物を好適に使用することができる。
含フッ素シラン化合物は、有機溶剤に溶解し、所定濃度に調整した撥水処理液を用いて有機系反射防止層上に塗布する方法を採用することができる。塗布方法としては、ディッピング法、スピンコート法等を用いることができる。なお、撥水処理液を金属ペレットに充填した後、真空蒸着法などの乾式法を用いて防汚層を形成することも可能である。
防汚層の膜厚は、特に限定されないが、0.001〜0.5μmが好ましい。より好ましくは0.001〜0.03μmである。防汚層の膜厚が薄すぎると撥水撥油効果が乏しくなり、厚すぎると表面がべたつくので好ましくない。また、防汚層の厚さが0.03μmより厚くなると反射防止効果が低下するため好ましくない。
以上のような本実施形態の眼鏡用プラスチックレンズは、屈折率が1.74以上といわゆる超高屈折率のレンズ基材を用いているため、非常に薄型のプラスチックレンズを構成することが可能であり、しかもレンズ基材表面の反射防止層が有機層であるため、レンズ基材との熱膨張率の差がわずかであり、高温環境下でもクモリやクラックなどを生じるおそれがほとんどない。それ故、耐熱性に優れた薄型の眼鏡レンズとして好適に使用することができる。
また、中空シリカ系微粒子と、有機ケイ素化合物とを含んだコーティング組成物を用いて、いわゆる湿式法により有機系反射防止層を形成する場合は、真空装置等の大型設備が不要となり、製造にかかるコストを低減させることも可能となる。特に、有機系反射防止層は単層でよいため製造コストの低減に大きく寄与する。また、プライマー層やハードコート層を設ける場合、有機系反射防止層を連続して湿式法で形成できるので、眼鏡用プラスチックレンズの製造を効率的に行うことが可能となる。
次に、本発明の実施形態に基づく実施例および比較例を説明する。具体的には、以下に示す方法で眼鏡用のプラスチックレンズを製造して、耐熱性など各種の評価を行った。
(実施例1)
(1)プラスチックレンズ基材の作製
窒素雰囲気下、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド90質量部、硫黄10質量部を100℃で1時間、混合攪拌した。冷却後、触媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイド0.05質量部を混合後均一液とした。ついでこれを0.5μmのPTFEフィルターで濾過し1.2mm厚のレンズ成型用ガラスモールドに注入し、オーブン中で10℃から22時間かけて120℃に昇温し重合硬化させた。室温まで放冷した後、モールドから離型し、硬化したレンズを得た。得られたレンズの屈折率は1.75、アッベ数は33であり、且つ透明で表面状態は良好であった。
(2)有機系反射防止層用コーティング組成物の調製
下記式に示すシラン化合物47.8質量部(0.08モル)にメタノール312.4質量部を加え、更にγ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン4.7質量部(0.02モル)、0.1モル/リットル塩酸水溶液36質量部を加えて、これを攪拌混合して混合液を得た。この混合液を25℃の恒温槽で2時間攪拌して固形分濃度10質量%のシリコーンレジンを得た。
(CHO)Si−C−C12−C−Si(OCH
このシリコーンレジンと、中空シリカ系微粒子−イソプロパノール分散ゾル(触媒化成工業(株)製、固形分濃度20質量%、平均一次粒子径35nm、外殻厚み8nm)をシリコーンレジン/中空シリカ系微粒子が固形分比80/20となるように配合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル935質量部を加えて希釈し、固形分濃度が3質量%である有機系反射防止層用コーティング組成物を得た。
(3)有機系反射防止層の形成
前記(1)で得られたレンズ基材をアルカリ処理(50℃に保たれた2モル/リットルの水酸化カリウム水溶液に5分間浸漬した後、純水で洗浄し、次いで25℃に保たれた1.0モル/リットル硫酸に1分間浸漬して中和処理を行う)し、純水洗浄および乾燥、放冷を行った。
次に、前記(2)で調製した有機系反射防止層用コーティング組成物をスピンコートにより片面に塗布し、120℃で20分焼成した後、残る片面に同様にスピンコートし、120℃で10分焼成した。その後、125℃に保たれたオーブン内で2時間加熱して、低屈折率膜(屈折率1.38)からなる有機系反射防止層が形成されたプラスチックレンズを得た。形成された有機系反射防止層の膜厚は100nmであった。
(実施例2)
実施例2のプラスチックレンズは、実施例1と同様にしてレンズ基材を作製した後、レンズ基材の上面にプライマー層およびハードコート層を形成し、その後、実施例1と同様にして有機系反射防止層を形成し、さらにその上に防汚層を形成することにより製造したものである。
(4)プライマー層用コーティング組成物の調製
ステンレス製容器内に、メチルアルコール3700質量部、純水250質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル1000質量部を投入し、十分に攪拌した後、酸化チタン、酸化スズ、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(ルチル型結晶構造、メタノール分散、全固形分濃度20質量%、触媒化成工業(株)製、商品名オプトレイク1120Z(8RU−7・G))2800質量部を加え攪拌混合した。次いでポリエステル樹脂2200質量部を加えて攪拌混合した後、更にシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株
)製、商品名L−7604)2質量部を加えて一昼夜攪拌を続けた後、2μmのフィルターで濾過を行い、プライマー層用コーティング組成物を得た。
(5)ハードコート層用コーティング組成物の調製
ステンレス製容器に、ブチルセロソルブ1000質量部を投入し、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1200質量部を加えて十分攪拌した後、0.1モル/リットル塩酸水溶液300質量部を添加して一昼夜攪拌を続け、シラン加水分解物を得た。このシラン加水分解物中にシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名L−7001)30質量部を加えて1時間攪拌した後、酸化チタン、酸化スズ、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(ルチル型結晶構造、メタノール分散、触媒化成工業(株)製、商品名オプトレイク1120Z(8RS−7・A17))7300質量部を加えて2時間攪拌混合した。次いでエポキシ樹脂(ナガセ化成(株)製、商品名EX−313)250質量部を加えて2時間攪拌した後、鉄(III)アセチルアセトナート20質量部を加えて1時間攪拌し、2μmのフィルターで濾過を行い、ハードコート層用コーティング組成物を得た。
(6)防汚層用コーティング組成物の調製
含フッ素シラン化合物(信越化学工業(株)製、商品名KY−130およびKP−801を固形分比80/20となるように配合)を、パーフルオロヘキサンに希釈して固形分濃度0.3質量%の防汚層用コーティング組成物を調製した。
(7)プライマー層、ハードコート層、有機系反射防止層および防汚層の形成
前記(1)で得られたレンズ基材をアルカリ処理(50℃に保たれた2モル/リットルの水酸化カリウム水溶液に5分間浸漬した後、純水で洗浄し、次いで25℃に保たれた1.0モル/リットル硫酸に1分間浸漬して中和処理を行う)し、純水洗浄および乾燥、放冷を行った。そして、前記(4)で調製したプライマー層用コーティング組成物中に浸漬し、引き上げ速度200mm/分でディップコートして80℃で20分焼成し、プラスチック基材表面にプライマー層を形成した。次いで、プライマー層が形成されたプラスチックレンズを前記(5)で調製したハードコート層用コーティング組成物中に浸漬し、引き上げ速度400mm/分でディップコートして80℃で30分焼成し、プライマー層上にハードコート層を形成した。その後、125℃に保たれたオーブン内で3時間加熱して、プライマー層とハードコート層が形成されたプラスチックレンズを得た。形成されたプライマー層の膜厚は0.5μm、ハードコート層の膜厚は2.3μmであった。
次に、プライマー層とハードコート層が形成されたプラスチックレンズをプラズマ処理(大気プラスマ)した後、前記(2)で調製した有機系反射防止層用コーティング組成物をスピンコートにより片面に塗布し、120℃で20分焼成した後、残る片面に同様にスピンコートし、120℃で10分焼成した。その後、125℃に保たれたオーブン内で2時間加熱して低屈折率膜(屈折率1.38)からなる有機系反射防止層を形成し、プライマー層、ハードコート層および有機系反射防止層が形成されたプラスチックレンズを得た。形成された有機系反射防止層の膜厚は100nmであった。
続いて、プライマー層、ハードコート層および有機系反射防止層が形成されたプラスチックレンズを前記(6)で調製した防汚層用コーティング組成物中に浸漬し、引き上げ速度150mm/分でディップコートして90℃で10分間乾燥し、その後温度90℃,相対湿度90%に保たれた恒温恒湿槽に投入し、2時間保持した後、100℃に保たれたオーブン内で2時間加熱して、プライマー層、ハードコート層、有機系反射防止層および防汚層が形成されたプラスチックレンズを得た。
(実施例3)
実施例2において、レンズ基材を以下の手順で作製する以外は実施例2と同様にしてプ
ラスチックレンズを製造した。
窒素雰囲気下、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド90質量部、硫黄5質量部、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド5質量部を100℃で1時間、混合攪拌した。冷却後、触媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイド0.05質量部を混合後均一液とした。ついでこれを0.5μmのPTFEフィルターで濾過し1.2mm厚のレンズ成型用ガラスモールドに注入し、オーブン中で10℃から22時間かけて120℃に昇温し重合硬化させた。室温まで放冷した後、モールドから離型し、硬化したレンズを得た。得られたレンズの屈折率は1.75、アッベ数は34であり、且つ透明で表面状態は良好であった。
(実施例4)
実施例2において、レンズ基材を以下の手順で作製する以外は実施例2と同様にしてプラスチックレンズを製造した。
ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド70質量部とm−キシリレンジイソシアネート30質量部の混合物にジn−ブチルスズジクロライド0.03質量部を加え、60℃で3時間反応させてチオウレタン樹脂組成物を得た。次いで、硫黄20質量部、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド80質量部を65℃で混合し均一とした。次いで、上記チオウレタン樹脂組成物1質量部を加え、60℃で、1時間、硫黄が60%消費されるまで反応させた。その後、得られた樹脂用組成物に、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド0.05質量部、トリフェニルアンチモンジクロライド0.1質量部を加え、よく混合し均一とした。得られた樹脂用組成物を、1torr、1時間、20℃の条件下で脱気処理した。この組成物を1.2mm厚のレンズ成型用ガラスモールドに注入し、20℃で20時間加熱し、次いで40℃で5時間加熱し、次いで60℃で5時間加熱し、その後60℃から100℃まで10時間かけて100℃まで一定速度昇温させ、最後に100℃で2時間加熱し、重合硬化させた。室温まで放冷した後、モールドから離型し、硬化したレンズを得た。得られたレンズの屈折率は1.75、アッベ数は32であり、且つ透明で表面状態は良好であった。
(実施例5)
実施例2の(4)プライマー層用コーティング組成物おいて、酸化チタン、酸化スズ、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(ルチル型結晶構造、メタノール分散、全固形分濃度20質量%、触媒化成工業(株)製、商品名オプトレイク1120Z(8RU−7・G))を用いる代わりに、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(アナターゼ型結晶構造、メタノール分散、全固形分濃度20質量%、触媒化成工業(株)製、商品名オプトレイク1120Z(S−7・G))を用いてプライマー層を形成した。また、実施例2の(5)ハードコート層用コーティング組成物において、酸化チタン、酸化スズ、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(ルチル型結晶構造、メタノール分散、全固形分濃度20質量%、触媒化成工業(株)製、商品名オプトレイク1120Z(8RU−25・A17))を用いる代わりに、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(アナターゼ型結晶構造、メタノール分散、全固形分濃度20質量%、触媒化成工業(株)製、商品名オプトレイク1120Z(U−25・A8))を用いてハードコート層を形成した。それ以外は実施例2と同様の手法によりプラスチックレンズを製造した。
(比較例1)
レンズ基材、プライマー層およびハードコート層は実施例2と同様に形成した。その後、ハードコート層の上層に、次に示す手法により、真空蒸着機((株)シンクロン製、CES−21)を用いて無機酸化物からなる反射防止層および防汚層を形成した。この真空蒸着機は、図示しない3つのチャンバー(CH1、CH2、CH3)を備え、各々、脱ガス室、反射防止層形成室および防汚層形成室として機能する。
まず、プライマー層およびハードコート層が形成されたプラスチックレンズ基材を支持装置にセットし、チャンバーCH1で脱ガスし、チャンバーCH2に移動させ、高周波プラズマ処理(アルゴンガス使用プラズマ0.4W×60秒)を行った後、ハードコート層側から大気に向かって順に、SiO2、ZrO2、SiO2、ZrO2、SiO2の5層で構成される多層反射防止層を形成した。各層の光学的膜厚は、最初のSiO2層、次のZrO2とSiO2の等価膜層および次のZrO2層、最上層のSiO2層について、設計波長λを520nmとしてそれぞれλ/4となる様に形成した。引き続きチャンバーCH2において、反射防止層表面をプラズマ処理(酸素ガス使用プラズマ0.4W×30秒)した後、チャンバーCH3に移動させ、ハロゲンランプを加熱ヒータとして使用し、以下に示す蒸着源のペレットを600℃で3分間加熱して蒸発させ、防汚層を形成した。この際蒸着源としては、フッ素含有有機ケイ素化合物(信越化学工業(株)製、商品名KY−130)を、フッ素系溶剤(住友スリーエム株式会社製、商品名ノベックHFE−7200)に希釈して固形分濃度3質量%溶液を調製し、これを多孔質セラミックス製のペレットに1g含浸させ乾燥したものを用いた。その後、レンズを反転して支持装置にセットし直し、再び上記と同様の処理を行うことによって、レンズ両面に無機酸化物からなる反射防止層および防汚層を形成した。その後、得られたレンズを取り出し、60℃,相対湿度60%に保たれた恒温恒湿槽に投入し、2時間保持した。
(比較例2)
レンズ基材、プライマー層およびハードコート層は実施例3と同様に形成した。その後、ハードコート層の上層に、比較例1と同様の手法により、無機酸化物からなる反射防止膜および防汚層を形成した。
(比較例3)
レンズ基材、プライマー層およびハードコート層は実施例4と同様に形成した。その後、ハードコート層の上層に、比較例1と同様の手法により、無機酸化物からなる反射防止膜および防汚層を形成した。
(評価方法)
以上の実施例1〜5、および比較例1〜3により得られたプラスチックレンズの物性を以下に示す評価方法で評価した。評価項目は、反射率、耐擦傷性、初期密着性、耐湿性、耐温水性、耐光性、耐アルカリ性、耐熱性および耐衝撃性の9項目である。
(1)反射率
レンズの反射率を分光光度計を用いて測定し、得られた視感度曲線に従って視感度補正した反射率に換算した。
(2)耐擦傷性
レンズ表面に、スチールウール#0000を荷重1kgで印加し、3〜4cmの距離を10往復擦ったのち、目視でレンズ表面に入った傷の状態を下記のA〜Eの5水準の基準で評価した。
A:全く傷がない
B:1〜5本の傷が確認される
C:6〜20本の傷が確認される
D:21本以上の傷があるが曇りには見えない状態
E:多数の傷があり曇りに近い状態。
(3)初期密着性
レンズ表面を約1mm間隔で基盤目状に100目クロスカットし、このクロスカットした部分に、粘着テープ(ニチバン(株)製、商品名セロテープ(登録商標))を強く貼り
付けたのち、急速に粘着テープを剥がし、粘着テープを剥がした後の基盤目に膜剥がれ状態を下記のa〜eの5水準で評価した。
a:全く膜剥がれがない(膜剥がれ目数=0/100)
b:ほとんど膜剥がれがない(膜剥がれ目数=1〜5/100)
c:やや膜剥がれが発生(膜剥がれ目数=6〜20/100)
d:膜剥がれ発生(膜剥がれ目数=21〜50/100)
e:密着不良(膜剥がれ目数=51〜100/100)
(4)耐湿性
レンズを恒温恒湿炉(40℃、90RH%)中に10日間放置し、その後恒温恒湿炉中からレンズを取り出して、室温下で3時間放置した後、密着性試験を行った。密着性試験は、(3)初期密着性と同一の方法、同一の評価基準で行った。
(5)耐温水性
レンズを80℃の温水中に2時間浸漬し、その後レンズを温水中から取り出して水冷した後、密着性試験を行った。密着性試験は、(3)初期密着性と同一の方法、同一の評価基準で行った。
(6)耐光性
レンズを、キセノンロングライフウェザーメーター(スガ試験機(株)製)にて200時間照射を行い、キセノンロングライフウェザーメーターからレンズを取り出して水冷した後、密着性試験を行った。密着性試験は、(3)初期密着性と同一の方法、同一の評価基準で行った。
(7)耐アルカリ性
20℃の0.1規定水酸化ナトリウム水溶液中に、レンズを1時間浸漬し、レンズを取り出して水洗浄した後、密着性試験を行った。密着性試験は、(3)初期密着性と同一の方法、同一の評価基準で行った。
(8)耐熱性
眼鏡フレーム形状に合わせてレンズを玉摺り加工した後、眼鏡フレームにはめ込んで、ネジで完全に締めつけ、60℃の恒温槽に30分投入した。その後レンズを取り出し、室温下で1時間放冷してからクラック発生の有無を評価した。クラックが発生していない場合は65℃の恒温槽に30分追加投入した後クラック発生の有無を評価した。これ以降は順次5℃ずつ昇温した恒温槽に30分間追加投入していき、クラックが発生した温度を耐熱限界温度とした。
(9)耐衝撃性
16.3gの剛球を高さ127cmの位置からレンズ表面に垂直落下させた際に、破壊しなかったものを○、破壊もしくは貫通したものを×として評価した。
(結 果)
Figure 2008051851
表1の結果から、有機系反射防止層を有している実施例1〜5の眼鏡レンズは、耐熱性をはじめ、各種の性能がいずれも優れている。
一方、無機系反射防止層を有している比較例1〜3の眼鏡レンズは、いずれも、耐熱性に劣ることがわかる。
本発明は、プラスチックレンズとして好適に使用することができる。例えば、眼鏡レンズ、カメラレンズ、望遠鏡用レンズ、顕微鏡用レンズ、ステッパー用集光レンズ等の光学レンズを挙げることができる。

Claims (6)

  1. エピスルフィド化合物を主成分とする重合性組成物を重合硬化して得られるプラスチック基材からなる光学物品であって、
    前記プラスチック基材の屈折率が1.74以上であり、
    前記プラスチック基材の表面には、屈折率が1.64以下の単層の有機層が形成されていることを特徴とする光学物品。
  2. 請求項1に記載の光学物品において、
    前記重合性組成物がさらに、硫黄を含むことを特徴とする光学物品。
  3. 請求項1または請求項2に記載の光学物品において、
    前記重合性組成物がさらに、ポリイソシアナート化合物および/またはポリチオール化合物を含むことを特徴とする光学物品。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光学物品において、
    前記有機層は、
    内部空洞を有するシリカ系微粒子と、有機ケイ素化合物とを含んだコーティング組成物から形成されること特徴とする光学物品。
  5. 請求項1〜請求項4に記載の光学物品がプラスチックレンズであることを特徴とする光学物品。
  6. プラスチック基材からなる光学物品の製造方法であって、
    エピスルフィド化合物を主成分とする重合性組成物を重合硬化して屈折率が1.74以上のプラスチック基材を製造する基材製造工程と、
    前記プラスチック基材の表面に、内部空洞を有するシリカ系微粒子および有機ケイ素化合物を含んだコーティング組成物を用いて屈折率が1.64以下の単層の有機層を形成する有機層形成工程とを備えることを特徴とする光学物品の製造方法。
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