JP2009074024A - 光学材料用組成物、光学材料、眼鏡レンズ用基材および眼鏡レンズ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、光学材料用組成物ならびに光学材料、眼鏡レンズ用基材および眼鏡レンズに関する。
プラスチック材料は軽量かつ靭性に富み、染色も比較的容易なことから各種光学材料、特に近年は眼鏡レンズに多様され、種々の光学特性の向上が求められている。例えば、眼鏡レンズには低比重、高透明性、低黄色度、高屈折率、高アッベ数、強靭性などの特性が要求され、高屈折率によりレンズの薄肉化を図ることができ、高アッベ数によりレンズの色収差の低減を達成できる。
このような光学材料用組成物として、特開2004−315556号公報(特許文献1)には、(A)特定の構造を有するエピスルフィド系化合物、(B)硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物、(C)1分子中にSH基を1個以上有するSH基含有有機化合物、および(D)紫外線吸収剤を含有する光学材料用組成物が開示されている。この光学材料用組成物を用いると従来よりも高い屈折率を有し、耐光性に優れた光学材料を得ることができる。
上述したように、光学材料には様々な特性が要求されており、新たな光学材料用組成物の開発が常に求められている。
特開2004−315556号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高屈折率と低黄色度とをバランスよく高水準で向上させた光学材料、特に眼鏡レンズを得ることができる光学材料用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、屈折率を高めるためにエピスルフィド基以外の部位にジスルフィド結合を有するエピスルフィド系化合物と硫黄とを併用すると光学材料の屈折率は向上するものの、黄色度が高くなることを見出すとともに、エピスルフィド基以外の部位にジスルフィド結合を有するエピスルフィド系化合物とチアジアゾール系化合物とを併用すると硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物を使用しなくても高屈折率の光学材料が得られ、さらに黄色度を低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の光学材料用組成物は、(A)1分子中に下記式(1):
〔式(1)中、R1は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表し、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表し、mは0または1であり、nは1〜5の整数である。〕
で表される構造を1個以上有するエピスルフィド系化合物、
(B)下記式(2):
で表される構造を1個以上有するエピスルフィド系化合物、
(B)下記式(2):
〔式(2)中、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子、下記式(3):
−CaH2a−SH (3)
(式(3)中、aは0〜6の整数である。)で表される基、または下記式(4):
−CaH2a−SH (3)
(式(3)中、aは0〜6の整数である。)で表される基、または下記式(4):
(式(4)中、bは1〜5の整数である。)で表される基を表し、pは1〜3の整数である。〕
で表されるチアジアゾール系化合物、および
(C)1分子中にSH基を1個以上有するチオール系化合物(ただし、前記チアジアゾール系化合物(B)を除く)、
を含有することを特徴とするものである。
で表されるチアジアゾール系化合物、および
(C)1分子中にSH基を1個以上有するチオール系化合物(ただし、前記チアジアゾール系化合物(B)を除く)、
を含有することを特徴とするものである。
本発明の光学材料用組成物は、この組成物100質量%に対して前記エピスルフィド系化合物(A)を25〜96質量%、前記チアジアゾール系化合物(B)を0.1〜30質量%、および前記チオール系化合物(C)を0.1〜30質量%含有することが好ましい。
前記チアジアゾール系化合物(B)の硫黄含量は50質量%以上であることが好ましい。
本発明の第一の光学材料は前記光学材料用組成物を重合硬化して得られることを特徴とするものである。また、本発明の第二の光学材料は、前記第一の光学材料と、この光学材料の表面の片面または両面に少なくとも1層のコーティング層を有することを特徴とするものである。
本発明の眼鏡レンズ用基材は前記光学材料用組成物を重合硬化して得られることを特徴とするものである。また、本発明の眼鏡レンズは、前記眼鏡レンズ用基材と、前記眼鏡レンズ用基材の表面の片面または両面に少なくとも1層のコーティング層とを有することを特徴とするものである。
本発明によれば、高屈折率と低黄色度とをバランスよく高水準で向上させた光学材料、特に眼鏡レンズを得ることができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の光学材料用組成物について説明する。本発明の光学材料用組成物は、エピスルフィド系化合物(A)、チアジアゾール系化合物(B)、およびチオール系化合物(C)を含有することを特徴とするものである。
(A)エピスルフィド系化合物:
本発明に用いるエピスルフィド系化合物(A)は、1分子中に下記式(1):
本発明に用いるエピスルフィド系化合物(A)は、1分子中に下記式(1):
(式(1)中、R1は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表し、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表し、mは0または1であり、nは1〜5の整数である。)
で表される構造を1個以上有する化合物である。このエピスルフィド系化合物(A)を用いると高屈折性と高アッベ数とをバランスよく高水準で向上させた光学材料を得ることができる。さらに、後述するチアジアゾール系化合物(B)と併用すると光学材料の黄色度を低減することができる。
で表される構造を1個以上有する化合物である。このエピスルフィド系化合物(A)を用いると高屈折性と高アッベ数とをバランスよく高水準で向上させた光学材料を得ることができる。さらに、後述するチアジアゾール系化合物(B)と併用すると光学材料の黄色度を低減することができる。
前記式(1)中のR1としては炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、メチレン、エチレンがより好ましい。また、前記式(1)中のR2〜R4としては水素原子、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましい。前記式(1)中のmとしては0または1が好ましく、nとしては1または2が好ましく、1がより好ましい。
前記エピスルフィド系化合物(A)の具体例としては、ビス(α−エピチオエチル)ジスルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(γ−エピチオブチル)ジスルフィド、ビス(δ−エピチオペンチル)ジスルフィドなどが挙げられる。これらのうち、光学材料の屈折率が向上する点で、ビス(α−エピチオエチル)ジスルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィドが好ましい。また、前記エピスルフィド系化合物(A)は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の光学材料用組成物における前記エピスルフィド系化合物(A)の含有量は、前記組成物100質量%に対して25〜96質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。前記エピスルフィド系化合物(A)の含有量が上記下限未満になると樹脂が十分に硬化せず、光学材料の耐熱性が低くなる傾向にある。他方、上記上限を超えると光学材料の耐光性が非常に悪くなる傾向にある。
(B)チアジアゾール系化合物:
本発明に用いるチアジアゾール系化合物(B)は、下記式(2):
本発明に用いるチアジアゾール系化合物(B)は、下記式(2):
〔式(2)中、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子、下記式(3):
−CaH2a−SH (3)
(式(3)中、aは0〜6の整数であり、0〜3の整数が好ましく、0がより好ましい。)で表される基、または下記式(4):
−CaH2a−SH (3)
(式(3)中、aは0〜6の整数であり、0〜3の整数が好ましく、0がより好ましい。)で表される基、または下記式(4):
(式(4)中、bは1〜5の整数であり、3〜5の整数が好ましい。)で表される基を表し、pは1〜3の整数である。〕
で表される化合物である。このチアジアゾール系化合物(B)と前記エピスルフィド系化合物(A)とを併用すると高屈折性および低黄色度をバランスよく高水準で向上させた光学材料を得ることができる。
で表される化合物である。このチアジアゾール系化合物(B)と前記エピスルフィド系化合物(A)とを併用すると高屈折性および低黄色度をバランスよく高水準で向上させた光学材料を得ることができる。
前記式(2)中のR5およびR6としては水素原子、−CaH2a−SH(aは0〜6の整数)が好ましく、水素原子、SH基がより好ましい。前記式(2)中のpとしては1または2が好ましい。
前記チアジアゾール系化合物(B)は、硫黄含量が50質量%以上のものが好ましく、60質量%以上のものがより好ましい。前記チアジアゾール系化合物(B)中の硫黄含量が上記下限未満になると光学材料の耐熱性が向上せず、また高屈折性を満たさない光学材料となる傾向にある。
前記チアジアゾール系化合物(B)の具体例としては、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,2’−ジチオビス(1,3,4−チアジアゾール−5−チオール)、2,5−ジスルファニル−1,3,4−チアジアゾール、2,2’−ジチオビス(1,3,4−チアジアゾール−5−ジチオイックアシッド)、2,5−ジメルカプトメチルチオ−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジ(1−メルカプトエチルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジ(1−メルカプトプロピルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジ(2,4,6−トリメルカプトフェニルチオ)−1,3,4−チアジアゾールなどが挙げられる。これらのうち、光学材料の屈折率が向上する点で、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,2’−ジチオビス(1,3,4−チアジアゾール−5−チオール)が好ましい。また、前記チアジアゾール系化合物(B)は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の光学材料用組成物における前記チアジアゾール系化合物(B)の含有量は、前記組成物100質量%に対して0.1〜30質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。前記チアジアゾール系化合物(B)の含有量が上記下限未満になると光学材料の屈折率が低下する傾向にある。他方、上記上限を超えると光学材料用組成物の粘度上昇および光学材料の耐光性低下が起きる傾向にある。
(C)チオール系化合物:
本発明に用いるチオール系化合物(C)は、1分子中にSH基を1個以上有する化合物であって、前記チアジアゾール系化合物(B)以外のものである。このようなチオール系化合物(C)としては特に限定されないが、液状の有機化合物で比較的低粘度であるものが好ましく、他成分との反応性および相溶性が良好であり、ガラス転移温度および靭性を低下させず、光学材料に高屈折性を付与できるものがより好ましい。
本発明に用いるチオール系化合物(C)は、1分子中にSH基を1個以上有する化合物であって、前記チアジアゾール系化合物(B)以外のものである。このようなチオール系化合物(C)としては特に限定されないが、液状の有機化合物で比較的低粘度であるものが好ましく、他成分との反応性および相溶性が良好であり、ガラス転移温度および靭性を低下させず、光学材料に高屈折性を付与できるものがより好ましい。
前記チオール系化合物(C)は、SH基以外にスルフィド結合、ポリスルフィド結合、さらには他の官能基を有していてもよく、また鎖状の化合物でも、環状の化合物であってもよい。前記チオール系化合物(C)としては、1分子中にSH基を2個以上有するポリチオール化合物が好ましく、高硫黄含有率のポリチオール化合物がより好ましい。
具体的なチオール系化合物(C)としては、脂肪族ポリチオール化合物、芳香族ポリチオール化合物、メルカプト基含有環状化合物、メルカプト基含有スルフィド化合物などの特開2004−315556号公報に記載の1分子中にSH基を1個以上有するSH基含有有機化合物が挙げられる。これらのうち、光学材料の屈折率およびガラス転移温度が向上する点で、1分子中にSH基を2個以上有する脂肪族ポリチオール化合物、1分子中にメルカプト基を2個以上含有するスルフィド化合物が好ましく、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−メルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンがより好ましい。また、前記チオール系化合物(C)は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の光学材料用組成物における前記チオール系化合物(C)の含有量は、前記組成物100質量%に対して0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。前記チオール系化合物(C)の含有量が上記下限未満になると光学材料の耐光性が低下する傾向にある。他方、上記上限を超えると光学材料の耐熱性が低下する傾向にある。
本発明の光学材料用組成物は、前記エピスルフィド系化合物(A)、前記チアジアゾール系化合物(B)、および前記チオール系化合物(C)を含有するものであるが、この光学材料用組成物には、組成物100質量%に対して0.1〜0.5質量%の無機硫黄が含まれていてもよい。また、必要に応じて紫外線吸収剤、染料および/または顔料、その他の添加剤が含まれていてもよい。
(紫外線吸収剤)
前記紫外線吸収剤としては紫外線を吸収または拡散する能力を有する物質であれば特に限定されないが、例えば、特開2004−315556号公報に記載のベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系および立体障害アミン系の紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記紫外線吸収剤としては紫外線を吸収または拡散する能力を有する物質であれば特に限定されないが、例えば、特開2004−315556号公報に記載のベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系および立体障害アミン系の紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の光学材料用組成物における前記紫外線吸収剤の含有量は前記組成物100質量%に対して0.1〜5質量%であることが好ましく、0.7〜1.5質量%であることがより好ましい。前記紫外線吸収剤の含有量が上記下限未満になると光学材料の紫外線カット率および耐光性が低下する傾向にある。他方、上記上限を超えると光学材料の耐熱性が低下し、黄色度が増す傾向にある。
(染料・顔料)
本発明の光学材料用組成物には必要に応じて初期色調不良または光照射による黄変、赤変を防ぐために染料および/または顔料を添加してもよい。前記染料および顔料としては初期色調不良または光照射による黄変、赤変を防ぐことができる物質であれば特に限定されないが、例えば、眼鏡レンズ材料用として市販されているブルーインク剤などの光学材料用染料および顔料を使用することができる。
本発明の光学材料用組成物には必要に応じて初期色調不良または光照射による黄変、赤変を防ぐために染料および/または顔料を添加してもよい。前記染料および顔料としては初期色調不良または光照射による黄変、赤変を防ぐことができる物質であれば特に限定されないが、例えば、眼鏡レンズ材料用として市販されているブルーインク剤などの光学材料用染料および顔料を使用することができる。
(その他の添加剤)
本発明の光学材料用組成物にはさらに必要に応じて酸化防止剤、内部離型剤、内部密着性改良剤、その他各種添加剤を添加してもよい。
本発明の光学材料用組成物にはさらに必要に応じて酸化防止剤、内部離型剤、内部密着性改良剤、その他各種添加剤を添加してもよい。
(硬化触媒)
本発明の光学材料は、前記成分を含有する光学材料用組成物をガラスや金属製の型に注入し、加熱や紫外線照射などにより重合硬化させることによって得ることができる。このとき、十分に硬化させるために前記光学材料用組成物に硬化触媒を添加することが好ましい。
本発明の光学材料は、前記成分を含有する光学材料用組成物をガラスや金属製の型に注入し、加熱や紫外線照射などにより重合硬化させることによって得ることができる。このとき、十分に硬化させるために前記光学材料用組成物に硬化触媒を添加することが好ましい。
前記硬化触媒としては、ジブチル錫クロライドなどの錫化合物や、特開2004−315556号公報に記載のアミン類(ただし、前記チアジアゾール系化合物(B)を除く。)、フォスフィン類、第4級アンモニウム塩類、第4級ホスホニウム塩類、第3級スルホニウム塩類、第2級ヨードニウム塩類、鉱酸類、ルイス酸類、有機酸類、ケイ酸類、四フッ化ホウ酸類、過酸化物、アゾ系合物、アルデヒドとアンモニア系化合物の縮合物、グアニジン類、チオ尿素類、チアゾール類、スルフェンアミド類、チウラム類、ジチオカルバミン酸塩類、キサントゲン酸塩類、酸性リン酸エステル類などが挙げられる。これらの硬化触媒は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記硬化触媒の添加量は本発明の光学材料用組成物100質量%に対して0.0001〜10.0重量%であることが好ましく、0.001〜5.0質量%であることがより好ましい。
次に、本発明の光学材料について説明する。本発明の光学材料は、前記各成分を均一に混合して光学材料用組成物を調製し、この光学材料用組成物をガラスや金属製の型に注入し、加熱や紫外線照射などにより重合硬化させることによって得ることができる。
前記各成分を混合する場合、これら全てを同一の容器内で攪拌しながら同時に混合してもよいし、各成分を段階的に添加して混合してもよいし、数成分ずつ混合して複数個の混合物を調製した後、これらの混合物を同一容器内で混合してもよい。前記各成分を段階的または複数個の混合物に分けて混合する場合、その混合順序は操作性を考慮して適宜決定することができる。
温度、時間などの混合条件は得られる光学材料用組成物が十分に均一になる条件であれば特に限定されないが、各成分間で好ましくない反応が起こらない条件、さらには組成物の粘度が上昇すると注型時の操作性が低下するため粘度が上昇しない条件に設定することが好ましい。具体的には、特開2004−315556号公報に記載の混合条件を採用できる。
本発明の光学材料用組成物では、混合後に各成分が析出することを防ぐために、型に注入する前に予備反応を行なってもよい。また、後の重合硬化中に気泡が発生するのを防止するために、前記各成分の混合前、混合時、または混合後に、減圧下(好ましくは0.5〜300mmHgの減圧度)で脱ガス操作を行なってもよい。さらに、本発明の光学材料の品質をより高めるために、前記各成分またはこれらの混合物を孔径0.05〜3μmのフィルターで濾過して精製することが好ましい。
このようにして調製した光学材料用組成物を所望のガラスや金属製の型に注入した後、電気炉などによる熱重合硬化、紫外線照射によるUV硬化、電子線照射による電子線硬化または放射線照射による放射線硬化を行なう。熱重合硬化させる場合、硬化時間は0.1〜100時間であることが好ましく、1〜72時間であることが好ましい。硬化温度は−10〜160℃であることが好ましく、0〜140℃であることが好ましい。熱重合硬化は、所定の硬化温度で所定時間保持して行なってもよいが、これに昇温(0.1〜100℃/h)や降温(0.1〜100℃/h)などの操作を適宜組み合わせて行なってもよい。
このようにして重合硬化させた硬化物を型から離型する。離型した硬化物はそのまま本発明の光学材料として使用することもできるが、光学材料の歪を除くために50〜150℃の温度で10分〜5時間アニール処理を行なうことが好ましい。
このようにして得られた光学材料は、通常、所望の形状(例えば、眼鏡レンズ形状)に加工して使用される。また、必要に応じて、前記光学材料を基材として用い、所望の形状に加工する前または加工した後にその片面または両面に各種コーティング層を形成してもよい。前記コーティング層としては、プライマー層、ハードコート層、反射防止層、防曇コート層、汚れ防止層などが挙げられる。このようなコーティング層は1層だけ形成してもよいが、2種以上の層を積層して多層のコーティング層を形成してもよい。
また、前記コーティング層は光照射により青色に着色するフォトクロミック性能を有する層であることが好ましい。このようなフォトクロミック性能を有するコーティング層は、青色へのフォトクロミック性能を発現する化合物を含有するコーティング組成物を用いることによって形成できる。前記青色へのフォトクロミック性能を発現する化合物としては酸化チタン粒子、酸化チタン含有複合粒子などが挙げられる。前記フォトクロミック性能を有するコーティング層は、それ単独で形成してもよいが、通常、前記プライマー層、ハードコート層、反射防止層、防曇コート層、汚れ防止層などに前記フォトクロミック性能を付与することによって形成させる。これらの層のうち、比較的膜厚を厚くできる点でハードコート層に前記フォトクロミック性能を付与することが好ましい。
前記プライマー層としては耐衝撃性を付与するための層が挙げられる。このようなプライマー層は、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラニン樹脂、またはポリビニルアセタールを主成分とするプライマー組成物を基材上に塗布して硬化させることによって形成できる。このプライマー層は、基材である前記光学材料と後述するハードコート層との間に形成することによって基材とハードコート層との密着性を向上させることもできる。前記プライマー層の硬化後の膜厚は0.1〜10μmであることが好ましく、0.2〜3μmであることがより好ましい。プライマー層の膜厚が上記下限未満になると耐衝撃性が不十分となる傾向にある。他方、上記上限を超えると耐熱性と面精度が低下する傾向にある。
前記ハードコート層は耐摩耗性、耐湿性、耐温水性、耐熱性、耐候性などを付与するための層である。このようなハードコート層は、例えば、有機ケイ素系化合物などと酸化チタンや酸化ジルコニウムなどの高屈折率の無機酸化物微粒子などとを含有するハードコート組成物を塗布して硬化させることによって形成できる。前記ハードコート層の硬化後の膜厚は0.1〜30μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。ハードコート層の膜厚が上記下限未満になると前記性能が不十分となる傾向にある。他方、上記上限を超えると光学材料の透明性が低下し、レンズとして不適当なものとなる傾向にある。また、このハードコート層を染色することによって光学材料を着色することができる。この場合、ハードコート層を形成した後、分散染料、昇華性染料、反応性染料、塩基性染料、酸性染料などをハードコート層に含浸させ、ハードコート層の表面近傍あるいはハードコート全体を着色してもよいし、あるいは予めハードコート組成物に染料を分散させ、このハードコート組成物を塗布して硬化させて着色されたハードコート層を直接形成してもよい。
前記各層を形成するための組成物には、塗布性を改善するために各種レべリング剤を添加したり、耐候性を向上させるために紫外線吸収剤や酸化防止剤を添加したり、さらに必要に応じて染料や顔料を添加したり、その他公知の各種添加剤を添加してもよい。
前記反射防止層は、真空蒸着法やスッパタリング法などの乾式法を用いて形成されたSiO2やTiO2などの無機酸化物からなる単層または多層のものであり、通常、前記ハードコート層上に形成される。前記反射防止層が多層の場合、低屈折率層と高屈折率層とを交互に積層することが好ましい。高屈折率層としてはZnO、TiO2、CeO2、Sb2O5、SnO2、ZrO2、ZrO2、またはTa2O5などからなる層が挙げられ、低屈折率層としてはSiO2などからなる層が挙げられる。
前記防曇コート層または汚れ防止層は、通常、前記反射防止層上に形成される。
本発明の光学材料は、屈折率およびアッベ数が高く、黄色度が小さいものであり、プラスチックレンズ(特に、眼鏡レンズ)、プリズム、光ファイバー、光ディスク用基板、フィルター等の光学材料に用いることができ、特に眼鏡レンズとして好適に用いることができる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。使用した原料を以下に示す。
(原料)
成分(a):
EPS−2:下記式(5)で表されるエピスルフィド化合物。
成分(a):
EPS−2:下記式(5)で表されるエピスルフィド化合物。
EPS−1:下記式(6)で表されるエピスルフィド化合物(硫黄含量=61.54質量%)。
成分(b):
MTD:2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール
(東洋化成工業社製、硫黄含量=64.0質量%)
DBTT:2,2’−ジチオビス(1,3,4−チアジアゾール−5−チオール)
(川口化学工業社製、硫黄含量=64.5質量%)
S:硫黄。
MTD:2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール
(東洋化成工業社製、硫黄含量=64.0質量%)
DBTT:2,2’−ジチオビス(1,3,4−チアジアゾール−5−チオール)
(川口化学工業社製、硫黄含量=64.5質量%)
S:硫黄。
成分(c):
PSH−1:下記式(7)で表されるポリチオール化合物。
PSH−1:下記式(7)で表されるポリチオール化合物。
PSH−2:下記式(8)で表されるポリチオール化合物。
触媒(d):
MI:2−メルカプトイミダゾール
DBC:ジブチル錫クロライド
DCH:N−メチルジシクロヘキシルアミン
DCA:N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン
TBPB:テトラブチルホスホニウムブロマイド。
MI:2−メルカプトイミダゾール
DBC:ジブチル錫クロライド
DCH:N−メチルジシクロヘキシルアミン
DCA:N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン
TBPB:テトラブチルホスホニウムブロマイド。
また、得られたレンズ用基材およびレンズは以下の方法で評価した。
(評価方法)
(1)屈折率およびアッベ数:
レンズ用基材についてのフラウンホーファーのe線(546.1nm)における屈折率(ne)およびアッベ数(υe)を、アッベ屈折計を用いて20℃で測定した。
(1)屈折率およびアッベ数:
レンズ用基材についてのフラウンホーファーのe線(546.1nm)における屈折率(ne)およびアッベ数(υe)を、アッベ屈折計を用いて20℃で測定した。
(2)ガラス転移温度:
レンズ用基材のガラス転移温度(Tg)をVICAT法(昇温速度=0.83℃/分)により測定した。
レンズ用基材のガラス転移温度(Tg)をVICAT法(昇温速度=0.83℃/分)により測定した。
(3)初期黄色度:
中心厚2mmのS−0.00レンズの黄色度(YI)をYI測定装置により測定した。
中心厚2mmのS−0.00レンズの黄色度(YI)をYI測定装置により測定した。
(実施例1〜4)
(1)レンズ用基材の作製:
表1に示す成分(a)〜(c)を40℃で混合し、次いで触媒(d−1)を添加して混合した。その後、20℃まで冷却しても成分(b)が再結晶により析出しなくなるまで予備反応を行なった。この反応溶液に、成分(c)と触媒(d−2)と(d−3)とを含む触媒溶液を添加、混合して光学材料用組成物を得た。なお、表1に示す成分(c)の添加量は仕込み時の添加量と前記触媒溶液に含まれる量の合計であり、仕込み時の添加量と前記触媒溶液に含まれる量との割合は操作性を考慮して適宜決定した。
(1)レンズ用基材の作製:
表1に示す成分(a)〜(c)を40℃で混合し、次いで触媒(d−1)を添加して混合した。その後、20℃まで冷却しても成分(b)が再結晶により析出しなくなるまで予備反応を行なった。この反応溶液に、成分(c)と触媒(d−2)と(d−3)とを含む触媒溶液を添加、混合して光学材料用組成物を得た。なお、表1に示す成分(c)の添加量は仕込み時の添加量と前記触媒溶液に含まれる量の合計であり、仕込み時の添加量と前記触媒溶液に含まれる量との割合は操作性を考慮して適宜決定した。
得られた光学材料用組成物を所定のレンズ成形用ガラスモールド中に常温(20℃)環境下で注入し、次いで20℃から100℃まで35時間かけて昇温した。さらに、100℃で5時間硬化させた後、ガラスモールドから硬化物を離型した。得られた硬化物を120℃で30分間アニーリングしてレンズ用基材を得た。得られたレンズ用基材について上記評価方法により屈折率、アッベ数およびガラス転移温度を測定した。結果を表1に示す。
(2)プライマー層の形成:
ヘキサメチレンジイソシアネート(和光純薬工業社製)120.6gをシクロヘキサノン718gに溶解し、40℃で攪拌しながらジブチル錫ジラウレートを少量添加した。この溶液にブタノンオキシムをIR検査でイソシアネート基の吸収ピークがなくなるまで少量ずつ添加した。さらに1,10−デカンジチオール(和光純薬工業社製)148gおよびシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー社製、商品名「L7604」)0.5gを添加し、十分に攪拌してプライマー組成物を得た。
ヘキサメチレンジイソシアネート(和光純薬工業社製)120.6gをシクロヘキサノン718gに溶解し、40℃で攪拌しながらジブチル錫ジラウレートを少量添加した。この溶液にブタノンオキシムをIR検査でイソシアネート基の吸収ピークがなくなるまで少量ずつ添加した。さらに1,10−デカンジチオール(和光純薬工業社製)148gおよびシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー社製、商品名「L7604」)0.5gを添加し、十分に攪拌してプライマー組成物を得た。
このプライマー組成物を上記(1)で得たレンズ用基材上に浸漬法により引き上げ速度20cm/分の条件で塗工し、塗膜を120℃で60分間加熱硬化させて膜厚約2.5μmのプライマー層を有するレンズを得た。
(3)ハードコート層の形成:
ブチルセルソルブ148.3g、メチルセルソルブ分散の二酸化セリウム−二酸化チタン−二酸化ケイ素複合微粒子ゾル(触媒化成工業社製、商品名「オプトレイク1832」、固形分濃度20質量%)603.4g、およびメチルセルソルブ分散のコロイド状シリカ(触媒化成工業社製、商品名「オスカル1832」、固形分濃度30%)28.8gを混合した後、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン170gを混合した。この混合液に攪拌しながら0.05N塩酸水溶液46.7gを滴下し、滴下後5時間攪拌を続けた。さらに過塩素酸マグネシウム1.5g、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー社製、商品名「FZ−2110」)0.03g、および紫外線吸収剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名「チヌビン328」)0.15gを添加し、5時間攪拌した。得られた溶液を一昼夜熟成させてコート液を得た。
ブチルセルソルブ148.3g、メチルセルソルブ分散の二酸化セリウム−二酸化チタン−二酸化ケイ素複合微粒子ゾル(触媒化成工業社製、商品名「オプトレイク1832」、固形分濃度20質量%)603.4g、およびメチルセルソルブ分散のコロイド状シリカ(触媒化成工業社製、商品名「オスカル1832」、固形分濃度30%)28.8gを混合した後、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン170gを混合した。この混合液に攪拌しながら0.05N塩酸水溶液46.7gを滴下し、滴下後5時間攪拌を続けた。さらに過塩素酸マグネシウム1.5g、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー社製、商品名「FZ−2110」)0.03g、および紫外線吸収剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名「チヌビン328」)0.15gを添加し、5時間攪拌した。得られた溶液を一昼夜熟成させてコート液を得た。
このコート液を上記(2)で得たプライマー層を有するレンズ上に浸漬法により引き上げ速度20cm/分の条件で塗工し、塗膜を85℃で45分間風乾した後、100℃で120分間焼成して膜厚約2.0μmのハードコート層を形成し、プライマー層とハードコート層とを有するレンズを得た。
(4)反射防止層の形成:
上記(3)で得たレンズのハードコート層表面にプラズマ処理(アルゴンプラズマ、400W×60秒)を施した。次いで、このハードコート層の表面に外側に向かってSiO2/ZrO2/SiO2/ZrO2/SiO2の順に積層された5層からなる反射防止層を真空蒸着法により形成し、プライマー層とハードコート層と反射防止層とを有するレンズを得た。なお、上記反射防止層の各層は、設計波長λを520nmとし、最下層のSiO2層、その上のSiO2層とZrO2層を合わせた等価膜層、その上のZrO2層、最上層のSiO2層の4つの層の光学的膜厚がそれぞれλ/4となるように形成した。得られたレンズについて上記評価方法により初期黄色度を測定した。結果を表1に示す。
上記(3)で得たレンズのハードコート層表面にプラズマ処理(アルゴンプラズマ、400W×60秒)を施した。次いで、このハードコート層の表面に外側に向かってSiO2/ZrO2/SiO2/ZrO2/SiO2の順に積層された5層からなる反射防止層を真空蒸着法により形成し、プライマー層とハードコート層と反射防止層とを有するレンズを得た。なお、上記反射防止層の各層は、設計波長λを520nmとし、最下層のSiO2層、その上のSiO2層とZrO2層を合わせた等価膜層、その上のZrO2層、最上層のSiO2層の4つの層の光学的膜厚がそれぞれλ/4となるように形成した。得られたレンズについて上記評価方法により初期黄色度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
成分(b)としてMTDの代わりに硫黄を用い、成分(a)および(b)の添加量を表1に示す割合に変更した以外は実施例1と同様にしてレンズ用基材、およびプライマー層とハードコート層と反射防止層とを有するレンズを得た。得られたレンズ用基材およびレンズを上記評価方法により評価した結果を表1に示す。
成分(b)としてMTDの代わりに硫黄を用い、成分(a)および(b)の添加量を表1に示す割合に変更した以外は実施例1と同様にしてレンズ用基材、およびプライマー層とハードコート層と反射防止層とを有するレンズを得た。得られたレンズ用基材およびレンズを上記評価方法により評価した結果を表1に示す。
(比較例2)
成分(b)としてMTDの代わりに硫黄を用い、成分(a)〜(d−3)の添加量を表1に示す割合に変更した以外は実施例2と同様にしてレンズ用基材、およびプライマー層とハードコート層と反射防止層とを有するレンズを得た。得られたレンズ用基材およびレンズを上記評価方法により評価した結果を表1に示す。
成分(b)としてMTDの代わりに硫黄を用い、成分(a)〜(d−3)の添加量を表1に示す割合に変更した以外は実施例2と同様にしてレンズ用基材、およびプライマー層とハードコート層と反射防止層とを有するレンズを得た。得られたレンズ用基材およびレンズを上記評価方法により評価した結果を表1に示す。
(比較例3)
成分(b)としてMTDの代わりに硫黄とMTDとを併用し、成分(a)〜(d−3)の添加量を表1に示す割合に変更した以外は実施例1と同様にしてレンズ用基材、およびプライマー層とハードコート層と反射防止層とを有するレンズを得た。得られたレンズ用基材およびレンズを上記評価方法により評価した結果を表1に示す。
成分(b)としてMTDの代わりに硫黄とMTDとを併用し、成分(a)〜(d−3)の添加量を表1に示す割合に変更した以外は実施例1と同様にしてレンズ用基材、およびプライマー層とハードコート層と反射防止層とを有するレンズを得た。得られたレンズ用基材およびレンズを上記評価方法により評価した結果を表1に示す。
(比較例4)
MTDを添加せず、成分(a)および(c)の添加量を表1に示す割合に変更した以外は実施例2と同様にしてレンズ用基材、およびプライマー層とハードコート層と反射防止層とを有するレンズを得た。得られたレンズ用基材およびレンズを上記評価方法により評価した結果を表1に示す。
MTDを添加せず、成分(a)および(c)の添加量を表1に示す割合に変更した以外は実施例2と同様にしてレンズ用基材、およびプライマー層とハードコート層と反射防止層とを有するレンズを得た。得られたレンズ用基材およびレンズを上記評価方法により評価した結果を表1に示す。
(比較例5)
成分(a)としてEPS−2の代わりにEPS−1を使用した以外は実施例2と同様にしてレンズ用基材、およびプライマー層とハードコート層と反射防止層とを有するレンズを得た。得られたレンズ用基材およびレンズを上記評価方法により評価した結果を表1に示す。
成分(a)としてEPS−2の代わりにEPS−1を使用した以外は実施例2と同様にしてレンズ用基材、およびプライマー層とハードコート層と反射防止層とを有するレンズを得た。得られたレンズ用基材およびレンズを上記評価方法により評価した結果を表1に示す。
表1に示した結果から明らかなように、エピスルフィド基以外の部位にジスルフィド結合を有するエピスルフィド系化合物(A)と硫黄とを併用した場合(比較例1)には、硫黄を用いない場合(比較例4)に比べて高屈折率のレンズ用基材が得られたが、初期黄色度も高くなった。一方、エピスルフィド基以外の部位にジスルフィド結合を有するエピスルフィド系化合物(A)とチアジアゾール系化合物(B)とを併用した場合(実施例1)には、比較例4に比べて高い屈折率のレンズ用基材が得られ、さらに比較例1に比べてレンズの初期黄色度が低くなることが確認された。
また、硫黄を用いてさらに屈折率を高めた場合(比較例2)にはレンズの初期黄色度は著しく高くなったが、硫黄の代わりに本発明にかかるチアジアゾール(B)を用いて屈折率を高めた場合(実施例2〜4)には比較例2に比べてレンズの初期黄色度が低くなることが確認された。また、実施例2〜4のレンズは硫黄と前記チアジアゾール(B)とを併用した場合(比較例3)と比較しても初期黄色度が低いものであることが確認された。
エピスルフィド基以外の部位にジスルフィド結合を有するエピスルフィド系化合物(A)とチアジアゾール系化合物(B)とを併用した場合(実施例2、4)には、ジスルフィド結合のないエピスルフィド系化合物とチアジアゾール系化合物(B)とを併用した場合(比較例5)に比べて屈折率が高くなり、初期黄色度が低くなることが確認された。
以上説明したように、本発明の光学材料用組成物によれば、高屈折率と低黄色度とをバランスよく高水準で向上させた光学材料を得ることができる。
したがって、本発明の光学材料は、屈折率およびアッベ数が高く、黄色度が小さいものであるため、プラスチックレンズ(特に、眼鏡レンズ)、プリズム、光ファイバー、光ディスク用基板、フィルター等の光学材料に用いることができ、特に眼鏡レンズ用基材および眼鏡レンズとして有用である。
Claims (7)
- (A)1分子中に下記式(1):
で表される構造を1個以上有するエピスルフィド系化合物、
(B)下記式(2):
−CaH2a−SH (3)
(式(3)中、aは0〜6の整数である。)で表される基、または下記式(4):
で表されるチアジアゾール系化合物、および
(C)1分子中にSH基を1個以上有するチオール系化合物(ただし、前記チアジアゾール系化合物(B)を除く)、
を含有することを特徴とする光学材料用組成物。 - 前記光学材料用組成物100質量%に対して前記エピスルフィド系化合物(A)を25〜96質量%、前記チアジアゾール系化合物(B)を0.1〜30質量%、および前記チオール系化合物(C)を0.1〜30質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の光学材料用組成物。
- 前記チアジアゾール系化合物(B)の硫黄含量が50質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学材料用組成物。
- 請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の光学材料用組成物を重合硬化して得られることを特徴とする光学材料。
- 請求項4に記載の光学材料と、前記光学材料の表面の片面または両面に少なくとも1層のコーティング層を有することを特徴とする光学材料。
- 請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の光学材料用組成物を重合硬化して得られることを特徴とする眼鏡レンズ用基材。
- 請求項6に記載の眼鏡レンズ用基材と、前記眼鏡レンズ用基材の表面の片面または両面に少なくとも1層のコーティング層とを有することを特徴とする眼鏡レンズ。
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-
2008
- 2008-01-28 JP JP2008016112A patent/JP2009074024A/ja active Pending
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