JP2011231185A - 光学レンズ成形用プレポリマーの製造方法及び光学レンズの製造方法 - Google Patents

光学レンズ成形用プレポリマーの製造方法及び光学レンズの製造方法 Download PDF

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Yuka Kondo
由佳 近藤
Shigeki Ino
茂樹 井野
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Abstract

【課題】重合性組成物の予備重合反応にかかる時間を短縮して、光学レンズを生産性良く製造することができる光学レンズ成形用プレポリマーの製造方法及び光学材レンズの製造方法を提供する。
【解決手段】光学レンズ成形用プレポリマーの製造方法は、下記一般式(1)で表される構造を1分子中に2個以上有する化合物(A)、硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物(B)、および1分子中にメルカプト基を2個以上有する化合物(C)を含む重合性組成物を、硫化水素ガスを除去しつつ反応させることを特徴とする。式中、Rは炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表し、R、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜10の炭化水素基または水素を表す。[化1]
Figure 2011231185

【選択図】なし

Description

本発明は、光学レンズ成形用プレポリマーの製造方法及び光学レンズの製造方法に関する。
プラスチック材料は、軽量かつ靭性に富み、染色も比較的容易なことから各種光学材料、特に近年は眼鏡レンズに多用され、種々の光学特性の向上が求められている。例えば、眼鏡レンズには低比重、高透明性、低黄色度、高屈折率、高アッベ数、強靭性などの特性が要求され、高屈折率はレンズの薄肉化を可能とする。
このような光学材料用樹脂として、特定の構造を有するエピスルフィド化合物、硫黄原子またはセレン原子を有する無機化合物、1分子中にSH基を2個以上有するSH含有有機化合物、および紫外線吸収剤を含有する光学材料用樹脂が開示されている(特許文献1参照)。
また、このような光学材料用樹脂を用いた光学レンズの製造方法として、特定の構造を有するエピスルフィド化合物、硫黄原子またはセレン原子を有する無機化合物を含む重合性組成物を予備重合反応させる際の反応時間の短縮方法が開示されている(特許文献2参照)。
特開2004−315556号公報 特開2010−053279号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、高屈折率の光学レンズが得られるものの、予備重合反応に時間が掛かり、生産性が悪くなってしまうという点で難がある。
特許文献2に記載の技術では、特定の構造を有するエピスルフィド化合物、硫黄原子またはセレン原子を有する無機化合物、および1分子中にSH基を2個以上有するSH基含有有機化合物を含む重合性組成物を予備重合反応させる場合には適用できない。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、特定の構造を有するエピスルフィド化合物、硫黄原子またはセレン原子を有する無機化合物、および1分子中にSH基を2個以上有するSH基含有有機化合物を含む重合性組成物の予備重合反応にかかる時間を短縮して、光学レンズを生産性良く製造することができる光学レンズ成形用プレポリマーの製造方法及び光学レンズの製造方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の光学レンズ成形用プレポリマーの製造方法は、下記一般式(1)で表される構造を1分子中に2個以上有する化合物(A)、硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物(B)、および1分子中にメルカプト基を2個以上有する化合物(C)を含む重合性組成物を、硫化水素ガスを除去しつつ反応させることを特徴とする。
Figure 2011231185
[式中、Rは炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表し、R、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の炭化水素基または水素原子を表す。]
(2)本発明の光学レンズ成形用プレポリマーの製造方法は、前記重合成組成物が、前記化合物(A)を25〜96重量%、前記化合物(B)を0.1〜30重量%、前記化合物(C)を0.1〜10重量%の範囲で含有することが好ましい。
(3)本発明の光学レンズの製造方法は、前記方法により得られた光学レンズ成形用プレポリマーをレンズ成形用モールド内で重合硬化させることを特徴とする。
(4)本発明の光学レンズの製造方法は、前記光学レンズ成形用プレポリマーに、さらに前記化合物(C)を0.1〜10重量%の範囲で添加する工程を含むことが好ましい。
本発明によれば、前記一般式(1)で表される構造を1分子中に2個以上有する化合物(A)、硫黄原子及び/又はセレン原子を含有する無機化合物(B)、および1分子中にメルカプト基を2個以上有する化合物(C)を含む重合性組成物の予備重合反応時間が短縮され、光学レンズを生産性良く製造することができる光学レンズ成形用プレポリマーの製造方法及び光学レンズの製造方法を提供することが出来る。
また、予備反応が進まなくなった場合でも、反応によって生じた硫化水素ガスを反応容器内から除去することにより、狙いの屈折率まで予備反応を進めることが出来る。
[光学レンズ成形用プレポリマーの製造方法]
まず、本発明の光学レンズの製造方法に用いられる光学レンズ成形用プレポリマーの製造方法について説明する。
本発明の光学レンズ成形用プレポリマーの製造方法は、下記一般式(1)で表される構造を1分子中に2個以上有する化合物(A)、硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物(B)、および1分子中にメルカプト基を2個以上有する化合物(C)を含む重合性組成物を、硫化水素ガスを除去しつつ反応させることを特徴とする。
Figure 2011231185
[式中、Rは炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表し、R、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の炭化水素基または水素原子を表す。]
前記重合性組成物は、前記一般式(1)で表される構造を1分子中に2個以上有する化合物(A)、硫黄原子及び/又はセレン原子を含有する無機化合物(B)、1分子中にメルカプト基を2個以上有する化合物(C)を含む。
「一般式(1)で表される構造を1分子中に2個以上有する化合物(A)」
前記化合物(A)としては、前記一般式(1)で表される構造を1分子中に2個以上有する化合物である。具体的には、分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物であり、このような分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物としては、公知の2官能以上のエピスルフィド化合物全てが対象となる。
一般式(1)中、Rは炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表し、R、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の炭化水素基または水素原子を表す。
である炭素数1〜10の2価の炭化水素基としては、具体的には、直鎖状、分岐鎖状または環状の炭素数1〜10のアルキレン、フェニレン、アルキル置換フェニレンおよびナフタレン等の炭素数6〜10のアリーレン基、またはアルキレンおよびアリーレンの組み合わせからなる炭素数7〜10のアラルキレン基が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、メチレン基またはエチレン基がより好ましく、メチレン基が更に好ましい。
、RおよびRである炭素数1〜10の炭化水素基としては直鎖状、分岐鎖状または環状の炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基が挙げられる。R、RおよびRとしては、水素原子または炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましく、水素原子が更に好ましい。
また、前記の分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物としては、下記一般式(2)で表される構造の化合物であるのがさらに好ましい。
Figure 2011231185
一般式(2)中、R〜R10は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の炭化水素基または水素原子を表し、Yは、炭素数1〜10の2価の炭化水素基または1,4−ジチアン基を表し、mは0〜2の整数を表し、nは0〜4の整数を表す。
〜R10としては、前記R〜Rと同様のものが挙げられ、水素原子または炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましく、水素原子が更に好ましい。
Yである炭素数1〜10の2価の炭化水素基としては、前記Rと同様のものが挙げられ、直鎖状、分岐鎖状または環状の炭化水素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基が好ましく、炭化水素数1〜10の直鎖アルキレン基、アルキル置換フェニレンおよびナフタレン等の炭素数6〜10のアリーレン基、またはアルキレンおよびアリーレンの組み合わせからなる炭素数7〜10のアラルキレン基がより好ましい。
更にYは置換基を有していてもよい。Yが有していてもよい置換基としては、該化合物を用いて製造される樹脂および光学レンズの物性(例えば、透明性、均一性、屈折率、耐熱性等)に悪影響を与えないものであれば特に制限されず、反応性を有する置換基であっても良い。
上記一般式(2)において、n=0である化合物が好ましい。
また、これらの化合物には、これら化合物の2量体、3量体、4量体等のポリエーテルオリゴマー類またはポリスルフィドオリゴマー類を含んでもよい。
このような分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物の好ましい具体例としては、ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)エタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルプロパン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルブタン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−3−チアペンタン、1,6−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1,6−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルヘキサン、3,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−3,6−トリチアオクタン、1,2,3−トリス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−1−(2,3−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4−(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4−(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,1,1−トリス[[2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]−2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エタン、1,1,2,2−テトラキス[[2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]エタン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,7−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−5,7−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等の鎖状脂肪族の2,3−エピチオプロピルチオ化合物が挙げられる。
また、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス[[2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン等の環状脂肪族の2,3−エピチオプロピルチオ化合物も挙げられる。
更に、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]スルフォン、4,4’−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ビフェニル等の芳香族2,3−エピチオプロピルチオ化合物も挙げられる。
これら例示化合物の中で、より好ましい化合物としては、ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)エタン、1,2,3−トリス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]スルフィドからなる化合物群から少なくとも1種選択された化合物が挙げられ、ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィドが特に好ましい。
また、前記エピスルフィド化合物のエピチオプロピルチオ基をエピチオプロピルオキシ基に置き変えた化合物も挙げることができる。これらは単独でも、2種類以上を混合して使用しても良く、また、本発明は、前記の例示化合物のみに限定されるものではない。
「硫黄原子及び/又はセレン原子を含有する無機化合物(B)」
硫黄原子及び/又はセレン原子を有する無機化合物は、硫黄原子及び/又はセレン原子を1個以上有する全ての無機化合物を包含する。ここでいう無機化合物とは、「標準化学用語辞典」(日本化学会編(1991)丸善)に記載されている通りとし、炭素を含まない化合物及び炭素を含んでいても比較的簡単な化合物を指す。例えば、炭素を含む比較的簡単な化合物である二硫化炭素、チオシアン酸カリウム等は無機化合物として扱う。本発明においては、硫黄原子及び/又はセレン原子を含有する無機化合物(B)の含有量を増加させることにより、さらなる光学レンズの高屈折率化が可能となる。
硫黄原子及び/又はセレン原子を含有する無機化合物(B)は、化合物中の硫黄原子及び/又はセレン原子の合計重量の割合が30%以上であることが好ましい。この割合が、30%未満である場合、樹脂の高屈折率化の効果が小さくなる。
硫黄原子及び/又はセレン原子を含有する無機化合物(B)の具体例としては、硫黄、硫化水素、二硫化炭素、セレノ硫化炭素、硫化アンモニウム、二酸化硫黄、三酸化硫黄等の硫黄酸化物、チオ炭酸塩、硫酸およびその塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、次亜硫酸塩、過硫酸塩、チオシアン酸塩、チオ硫酸塩、二塩化硫黄、塩化チオニル、チオホスゲン等のハロゲン化物、硫化硼素、硫化窒素、硫化珪素、硫化リン、硫化砒素、金属硫化物、金属水硫化物等があげられる。これらの中でも、硫黄、二硫化炭素、硫化リン、硫化セレン、金属硫化物および金属水硫化物が好ましく、硫黄、二硫化炭素および硫化セレンがより好ましく、硫黄が特に好ましい。
セレン原子を有する無機化合物とは、硫黄原子を含む無機化合物の具体例として挙げたセレノ硫化炭素、硫化セレンを除き、この条件を満たす無機化合物をすべて包括する。具体例としては、セレン、セレン化水素、二酸化セレン、二セレン化炭素、セレン化アンモニウム、二酸化セレン等のセレン酸化物、セレン酸及びその塩、亜セレン酸及びその塩、セレン酸水素塩、セレノ硫酸及びその塩、セレノピロ硫酸及びその塩、四臭化セレン、オキシ塩化セレン等のハロゲン化物、セレノシアン酸塩、セレン化硼素、セレン化リン、セレン化砒素、金属のセレン化物等があげられる。これらの中で好ましいものは、セレン、二セレン化炭素、セレン化リン、金属のセレン化物であり、特に好ましくはセレン及び二セレン化炭素である。これら硫黄原子及びセレン原子を有する無機化合物は、単独でも、2種類以上を混合して使用しても良い。
硫黄原子及び/又はセレン原子を含有する無機化合物(B)である硫黄は、その純度が、98%以上のものが好適とされる。純度が98%未満の場合、不純物の影響でレンズに曇りが生じる現象が発生しやすくなるが、98%以上であれば曇りが解消されるため好ましい。硫黄含有無機化合物(B)である硫黄の純度は、99.0%以上がより好ましく、99.5%以上がさらに好ましく、99.9%以上が最も好ましい。硫黄に含まれる不純物の中でも、レンズに曇りを与える成分として、オイル、酸性分、灰分、ヒ素、塩化物、硫化物、金属がある。したがって、このようなオイル、酸性分、灰分は硫黄中の1重量%以下であることが好ましい。オイル、酸性分、灰分は他のモノマーと共重合しないため、重合硬化後のレンズに残存し、曇りの原因となる。よって、これらは0.1重量%以下であるのがより好ましい。
なお、ここで言う、硫黄の純度や、オイル、酸性分、灰分、ヒ素についての測定は、JIS K6222−1規格を、塩化物、硫化物の測定はJIS K8088規格に準じた基準溶液との比較を適用する。原子吸光分析で検出される金属の主成分は、銅、鉛、鉄、ニッケル等である。
また、硫黄原子及び/又はセレン原子を含有する無機化合物(B)である硫黄としては、10メッシュより細かい微粉を用いることが好ましい。10メッシュより大きな粒の場合、硫黄が完全に溶解しにくいため、レンズが作製しにくくなる。より好ましくは、30メッシュより細かい微粉であり、最も好ましくは60メッシュより細かい微粉である。
硫黄原子及び/又はセレン原子を含有する無機化合物(B)である硫黄の製法については、天然硫黄鉱からの昇華精製法、地下に埋蔵する硫黄の溶融法による採掘、石油や天然ガスの脱硫工程などから得られる硫化水素等を原料とする回収法等があるが、本発明において使用される硫黄は、純度98%以上が確保されるのであればいずれの製法でもよい。
一般的に市販されている硫黄は、その形状や精製法の違いにより、微粉硫黄、コロイド硫黄、沈降硫黄、結晶硫黄、昇華硫黄等があるが、本発明においては、純度98%以上が確保されるのであれば、いずれの硫黄でもよいが、好ましくは、粒子の細かい微粉硫黄である。
「1分子中にメルカプト基を2個以上有する化合物(C)」
1分子中にメルカプト基を2個以上有する化合物(C)は、メルカプト基以外にスルフィド結合を有していてもよく、脂肪族ポリチオール化合物または芳香族ポリチオール化合物が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、高硫黄含有率のポリチオール化合物であり、これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
1分子中にメルカプト基を2個以上有する化合物(C)である芳香族ポリチオール化合物としては、具体的には、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1, 4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2, 4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタン、1,2−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン等の芳香族ポリチオール化合物およびメルカプト基以外に硫黄原子を含有する芳香族ポリチオール化合物が挙げられる。
これらの芳香族ポリチオール化合物の中でも、特に下記一般式(3)で表される化合物が好適に用いられる。
Figure 2011231185
一般式(3)中、n、m、lは、それぞれ独立に、0又は1以上の整数を表し、0である場合、すなわち、キシリレンジチオールであるのが最も好ましい。なお、キシリレンジチオールとしては、o-キシリレンジチオール,m-キシリレンジチオール,p-キシリレンジチオールのいずれであってもよい。
また、上記一般式(3)におけるn、m、lがいずれも1以上である場合においても、メルカプト基を有してなる官能基は、ベンゼン環に対してo-,m-,p-のいずれの配置になっていてもよい。
さらに、メルカプト基を有してなる官能基は、ベンゼン環に対して、二つでなく三つ以上あっていてもよい。すなわち、この化合物(C)は、3個以上のメルカプト基を有していてもよい。
上記一般式(3)で表される化合物としては、分子鎖が長すぎるとガラス転移温度(Tg)が低下し、ベンゼン環が多すぎるとアッベ数が低下するため、前記n、m、lは、いずれも0又は1であるのが好ましい。
1分子中にメルカプト基を2個以上有する化合物(C)である脂肪族ポリチオール化合物としては、具体的には、次の化合物を挙げることができる。
メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラキス(メルカプトメチル)メタン等の脂肪族ポリチオール化合物。
ジメルカプトエチルスルフィド、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、3−メルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタン、1,2,5−トリメルカプト−4−チアペンタン、3,3−ジメルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタン、3−メルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタン、3−メルカプトメチルチオ−1,7−ジメルカプト−2,6−ジチアヘプタン、3,6−ジメルカプトメチル−1,9−ジメルカプト−2,5,8−トリチアノナン、3, 7−ジメルカプトメチル−1,9−ジメルカプト−2,5,8−トリチアノナン、4,6−ジメルカプトメチル−1,9−ジメルカプト−2,5,8−トリチアノナン、3−メルカプトメチル−1,6−ジメルカプト−2,5−ジチアヘキサン、3−メルカプトメチルチオ−1,5−ジメルカプト−2−チアペンタン、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,4,8,11−テトラメルカプト−2,6,10−トリチアウンデカン、1,4,9,12−テトラメルカプト−2,6,7,11−テトラチアドデカン、2,3−ジチア−1,4−ブタンジチオール、2,3,5,6−テトラチア−1,7−ヘプタンジチオール、2,3,5,6,8,9−ヘキサチア−1,10− デカンジチオール、4,5−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチオラン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−ビス(メルカプトメチルチオ)メチル−1,3−ジチエタン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタン、2−メルカプトメチル−6−メルカプト−1,4−ジチアシクロヘプタン等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオール化合物。
2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(3−メルカプトプロピル)−1,4−ジチアン、2−(2−メルカプトエチル)−5−メルカプトメチル−1,4−ジチアン、2−(2−メルカプトエチル)−5−(3−メルカプトプロピル)−1,4−ジチアン、2−メルカプトメチル−5−(3−メルカプトプロピル)−1,4−ジチアン、2,4−ビス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン、2−メルカプトメチル−5−メルカプト−1,3−ジチオラン、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン、2−(3 −メルカプトプロピル)−4−メルカプトメチル−1,3−ジチオラン、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3,5−トリチアン、2,4,5−トリス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン、2,2−ビス(メルカプトメチル)−5−メルカプト−1,3−ジチオラン、2−(1,2−ジメルカプトエチル)−4−メルカプトメチル−1,3−ジチオラン、2−(1,2−ジメルカプトエチル)−4−メルカプト−1,3,5−トリチアン、2−(3−メルカプトプロピル)−4,5−ビス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン、2,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン、2−(1,2−ジメルカプトエチル)−4,5−ビス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン等の環状化合物が挙げられる。
これらの脂肪族ポリチオール化合物は、高屈折率、低粘度、反応性が良いという条件を満たしていれば特に限定されない。
本発明の光学レンズ成形用プレポリマーの製造方法における反応は、本発明の光学レンズの製造方法における予備反応に該当する。
前記予備反応は、化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)などの成分を混合し、さらに加熱により、これら重合性組成物中のモノマーを重合させる反応である。この予備反応は、攪拌下で行うことが好ましい。
前記各成分を混合する場合、これら全てを同一の容器内で攪拌しながら同時に混合してもよいし、各成分を段階的に添加して混合してもよいし、数成分ずつ混合して複数個の混合物を調製した後、これらの混合物を同一容器で混合してもよい。前記各成分を段階的にまたは複数個の混合物に分けて混合する場合、その混合順序は操作性および反応性を考慮して適宜決定することができる。温度、時間などの混合条件は、得られる光学レンズ成形用プレポリマーが十分に均一になる条件であれば特に限定されず、各成分間で好ましくない反応が起こらない条件とすればよい。
なお、本明細書中において、光学レンズ成形用プレポリマーとは、化合物(A)、化合物(B)、および化合物(C)を含む重合性組成物を反応させて得られるプレポリマーをいい、光学用樹脂組成物とは、後述するように、前記光学レンズ成形用プレポリマーに、さらに前記化合物(C)等を添加し、本反応に供するものをいう。
本発明においては、予備反応の段階で、1分子中にメルカプト基を2個以上有する化合物(C)の一部を添加する。これにより、得られるレンズの外観が良好となり、かつ、予備反応後の光学レンズ成形用プレポリマーを成形用モールド内に注入する際のポットライフを延長することができる。
予備反応時の化合物(C)の添加量は最終的に得られる光学用樹脂の耐光性、耐酸化性、耐熱性等の物性バランスを考慮して任意に決定することができるが、予備反応時の化合物(A)を100重量部とした場合、0.1〜15重量部とすることが好ましく、1.0〜10重量部とすることがより好ましい。
予備反応の温度は、0〜100℃とすることが好ましく、10〜90℃とすることがより好ましく、20〜80℃とすることがさらに好ましい。予備反応の時間は、10〜180分とすることが好ましく、20〜150分とすることがより好ましく、30〜130分とすることがさらに好ましい。
予備反応に際しては、触媒(予備反応触媒)を添加することが好ましい。予備反応触媒としては、光学用樹脂組成物の重合反応に寄与するものであれば特に限定されない。予備反応触媒の添加量は、予備反応の温度、時間、化合物(A)と化合物(C)の割合などにより変化するので、特に限定するものではないが、予備反応時の化合物(A)と化合物(C)の総重量を100重量部とした場合、0.0001〜5.0重量部とすることが好ましく、0.001〜2.0重量部とすることがより好ましい。
本発明において、特定の構造を有するエピスルフィド化合物、硫黄原子またはセレン原子を有する無機化合物、および1分子中にSH基を2個以上有するSH基含有有機化合物を含む重合性組成物を予備反応させる場合は、特定の構造を有するエピスルフィド化合物、硫黄原子またはセレン原子を有する無機化合物を含む重合性組成物を予備反応させる場合と比べて、予備反応中に発生する硫化水素ガスの量が多くなるため、予備反応が狙いの屈折率まで進まないという問題が生じることが本発明者らによって明らかとなった。そのため、屈折率を上昇させるためには、予備反応中に発生する硫化水素ガスを除去する必要がある。
予備反応中に発生した硫化水素ガスを除去する方法は特に問わないが、反応容器を密閉してポンプにより発生ガスを反応系外部に放出する方法、反応容器を開放して窒素ガス等の不活性ガスを吹き込むことにより発生ガスを反応系外部に放出する方法などが挙げられる。コスト面から、ポンプにより発生ガスを反応系外部に放出する方法が好ましい。
予備反応中の脱硫化水素ガス工程のタイミングも特に問わないが、予備反応中常に脱硫化水素工程を行う方法、内圧がある水準に到達した際に一定時間行う方法などが挙げられる。
予備反応は、1回のみ行ってもよいし、再加熱を行っても良い。また再加熱は2回以上行ってもよい。このように予備反応を行うことによって光学用樹脂組成物の各成分の混合時に析出物が発生することを防ぐことができるので、製造される光学レンズは、均一な特性で、外観が良好となる。
予備反応の終点は予備反応液の屈折率や粘度によって管理することができる。また、予備反応終点屈折率はその反応液の配合により異なるが、高すぎると粘度が高くなりガラスや金属などの型(レンズ成形用ガラスモールド)に注入する際の作業性が悪くなってしまい、低すぎるとレンズ外観に悪影響を及ぼすので、それらのバランスから決定することが出来る。
前記光学用樹脂組成物は、レンズ成形用モールド中での重合硬化中に気泡が発生するのを防止するために、前記各成分の混合前、混合時、または混合後に、減圧下に脱ガス操作を行うと、後の注型重合硬化中の気泡時発生を防止する点から好ましい。この時の減圧度は、0.1〜700mmHg(0.1〜700Torr)程度で行うのが好ましく、より好ましくは0.5〜300mmHg(0.5〜300Torr)である。さらに、光学レンズの品質をより高めるために、前記各成分またはこれらを混合および/または予備反応させた光学用樹脂組成物を孔径0.05〜3μmのフィルターで濾過して精製することが好ましい。
前記一般式(1)で表される構造を1分子中に2個以上有する化合物(A)と、硫黄原子及び/又はセレン原子を含有する無機化合物(B)と、1分子中にメルカプト基を2個以上有する化合物(C)と、を含む重合性組成物においては、その配合比を、以下のような範囲とするのが好ましい。
前記化合物(A)と硫黄原子及び/又はセレン原子を含有する無機化合物(B)と化合物(C)との合計量を100重量%とすると、屈折率調整成分である硫黄原子及び/又はセレン原子を含有する無機化合物(B)の配合比については、得られる樹脂の屈折率が狙い値になるように設定すれば、特に添加量は限定されないものの、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは10〜17重量%とされる。硫黄原子及び/又はセレン原子を含有する無機化合物(B)の添加(配合)量が多くなる(例えば30重量%を超える)と、加熱後における黄変の増大、耐光性の低下、くもり等の外観不良の増加といった問題が生じるおそれがあるからである。また、配合量が少なすぎる(例えば5重量%未満)と、屈折率上昇の効果が小さくなってしまうからである。
また、1分子中にメルカプト基を2個以上有する化合物(C)については、3〜18重量%とするのが好ましく、5〜10重量%とするのがより好ましい。化合物(C)の配合比は多すぎると耐熱性(Tg)が低下し、少なすぎると耐光性が低下してしまうため前記範囲内が好ましい。
なお、1分子中にエピチオ基を2個以上有する化合物(A)については、前記の硫黄原子及び/又はセレン原子を含有する無機化合物(B)の好ましい配合比、及び、前記の1分子中にメルカプト基を2個以上有する化合物(C)の好ましい配合比を差し引いた配合比、つまり
(A)の配合比=100重量%−((B)の配合比+(C)の配合比)
が好ましい配合比となる。
「添加剤」
本発明における前記重合性組成物は、前記化合物(A)、前記硫黄含有無機化合物(B)、前記化合物(C)以外にも、種々の添加剤が配合される。
例えば、硫黄原子及び/又はセレン原子を含有する無機化合物(B)に起因する黄変を少なくするため、前記化合物(A)や前記化合物(C)ではない、ジスルフィド結合を1個以上有する化合物(D)が効果的に配合される。この化合物(D)の添加量としては、前記化合物(A)、無機硫黄(B)、前記化合物(C)の合計量を100重量部とすると、0.3〜20重量部使用するのが好ましい。ただし、化合物(D)は他のモノマーと架橋する成分ではないため、多量に添加するとガラス転移温度(Tg)が低下し、さらに芳香環を含む化合物を選択した場合はアッベ数も低下する。したがって、0.5〜5重量部使用するのがより好ましい。
また、この化合物(D)のうち、得られるプラスチックレンズの高屈折率、低黄色、化合物(D)のハンドリングを考慮すると、特定な構造を有するものが好ましいことが分かった。
すなわち、化合物(D)としては、光学材料の高屈折率を維持するためには芳香環を有するものが好ましく、光学材料の低黄色を実現するためにはその分子量は300未満が好ましく、さらにハンドリングしやすい面から、液状または固状で臭気が弱いものとして、その分子量が150以上のものが好ましい。
このような化合物(D)として具体的には、ジメチルジスルフィド、ジエチルジスルフィド、ジn−プロピルジスルフィド、ジn−ブチルジスルフィド、ジn−ヘキシルジスルフィド、ジn−オクチルジスルフィド、ジn−デシルジスルフィド、ジn−ドデシルジスルフィド、ジi−プロピルジスルフィド、ジt−ブチルジスルフィド、ジアリルジスルフィド、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド、ビス(3−カルボキシプロピル)ジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジp−トルイルジスルフィド、ジクロロジフェニルジスルフィド、ビス(2,4,5−トリクロロジフェニル)ジスルフィド、ジナフチルジスルフィド、ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ジスルフィド、ジフルフリルジスルフィド、ジピリジルジスルフィド、ジチオジモルフォリン、テトラn−ブチルチウラムジスルフィド等があげられ、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの化合物(D)の中でも、ジフェニルジスルフィド、ジp−トルイルジスルフィド、ジクロロジフェニルジスルフィド、ジナフチルジスルフィド、ジフルフリルジスルフィド、ジピリジルジスルフィド等が好ましく、ジフェニルジスルフィドがより好ましい。
本発明において光学レンズ成形用プレポリマーの製造に用いられる重合性組成物は、必要に応じて、紫外線吸収剤、予備反応触媒、反応調整剤、硬化触媒、染料または顔料、その他の添加剤を適宜配合することができる。
「紫外線吸収剤」
紫外線吸収剤としては、紫外線を吸収または拡散する能力を有する物質であれば特に限定されないが、例えば、特開2004−315556号公報に記載のベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系および立体障害アミン系の紫外線吸収剤などが挙げられ、ベンゾトリアゾール系が好ましい。これらの紫外線吸収剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記重合性組成物における紫外線吸収剤の含有量は、100重量%に対して0.1〜5重量%であることが好ましく、0.5〜1.7重量%であることがより好ましい。紫外線吸収剤の含有量が上記下限以上になると、光学材料の紫外線カット率および耐候性に優れる傾向にある。他方、上記上限以下とすることにより、光学材料の耐熱性が向上し、黄色度が低減する傾向にある。
[光学レンズの製造方法]
本発明の光学レンズの製造方法は、予備反応により得られた光学レンズ成形用プレポリマーをレンズ成形用モールド内で重合硬化させることを特徴とする。
本発明の光学レンズの製造方法は、前記光学レンズ成形用プレポリマーにさらに化合物(C)を0.1〜10重量%の範囲で含有することが好ましい。
「硬化触媒」
本発明において、前記光学レンズは、前記光学レンズ成形用プレポリマーをガラスや金属などの型(レンズ成形用モールド)に注入し、加熱により重合硬化させることによって得ることができる。このとき、十分に硬化させるために前記光学レンズ成形用プレポリマーに硬化触媒を添加することが好ましい。
このように予備反応触媒以外の硬化触媒は、予備反応時に重合反応が過度に進行し、予備反応後のモールドへの注入が困難となるのを防ぐために、予備反応終了後に光学レンズ成形用プレポリマーに添加することが好ましい。
硬化触媒としては、錫化合物や、特開2004−315556号公報に記載のアミン類、フォスフィン類、第4級アンモニウム塩類、第4級ホスホニウム塩類、第3級スルホニウム塩類、第2級ヨードニウム塩類、鉱酸類、ルイス酸類、有機酸類、ケイ酸類、四フッ化ホウ酸類、過酸化物、アゾ系化合物、アルデヒドとアンモニア系化合物の縮合物、グアニジン類、チオ尿酸類、チアゾール類、スルフェンアミド類、チウラム類、ジチオカルバミン酸塩類、キサントゲン酸塩類、酸性リン酸エステル類などが挙げられ第4級アンモニウム塩類が好ましく、トリエチルベンジルアンモニウムクロライドがより好ましい。
これらの硬化触媒は単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記硬化触媒の添加量は、光学用樹脂組成物100重量%に対して、0.0001〜10.0重量%であることが好ましく、0.001〜5.0重量%であることがより好ましい。
「反応調整剤」
前記光学用樹脂組成物は、レンズ成形用モールドへの注入時の作業性を向上させるために、反応調整剤を添加することもできる。反応調整剤としては、反応(重合)調製の硬化を発現するものであれば特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。中でも、ハロゲン化物が好ましく、塩化物がより好ましく、トリクロロ化合物またはジクロロ化合物がさらに好ましく、ジアルキル錫ジクロライド化合物、アルキル錫トリクロライド化合物が特に好ましく、ジブチル錫ジクロライドが最も好ましい。
「染料・顔料」
前記光学用樹脂組成物には必要に応じて初期色調不良または黄変、赤変を防ぐために染料または顔料を添加してもよい。染料および顔料としては、初期色調不良または黄変、赤変を防ぐことができる物質であれば特に限定されないが、例えば、眼鏡レンズ材料用として市販されているブルーイング剤などの光学材料用染料および顔料を使用することができる。
「その他の添加剤」
前記光学用樹脂組成物にはさらに必要に応じて酸化防止剤、内部離型剤、内部密着性改善剤、その他各種添加剤を添加してもよい。
このようにして調製した光学用樹脂組成物を所望のガラスや金属製の型に注入した後、電気炉などによる熱重合硬化を行なう。熱重合硬化させる場合、硬化時間は0.1〜100時間であることが好ましく、1〜72時間であることが好ましい。硬化温度は−10〜160℃であることが好ましく、0〜140℃であることが好ましい。熱重合硬化は、所定の硬化温度で所定時間保持して行なってもよいが、これに昇温(0.1〜100℃/h)や降温(0.1〜100℃/h)などの操作を適宜組み合わせて行なってもよい。
調製した光学用樹脂組成物をレンズ成形用モールドへ注入する際の温度は特に限定されるものではないが、10〜30℃が好ましく、15〜25℃がより好ましい。
このようにして重合硬化させた硬化物を型から離型する。離型した硬化物はそのまま光学レンズとして使用することもできるが、光学材料の歪を除くために50〜150℃の温度で10分〜5時間アニール処理を行なうことが好ましい。
ここで、本明細書において、光学用樹脂組成物の重合硬化により得られたレンズをレンズ基材という。
光学レンズとしては、レンズ基材そのものであってもよいが、通常、所望の形状(例えば、眼鏡レンズ形状)に加工して使用される。また、必要に応じて、所望の形状に加工する前または加工した後にその片面または両面に各種コーティング層を形成してもよい。前記コーティング層としては、プライマー層、ハードコート層、反射防止層、防曇コート層、汚れ防止層などが挙げられる。このようなコーティング層は1層だけ形成してもよいが、2種以上の層を積層して多層のコーティング層を形成してもよい。
プライマー層の構成材料は特に限定されないが、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラニン系樹脂、ポリビニルアセタール等が挙げられる。
上記プライマー組成物は、さらに塗布性の改善を目的とした各種レベリング剤あるいは耐候性の向上を目的とした紫外線吸収剤や酸化防止剤、さらに染料や顔料、フォトクロミック染料やフォトクロミック顔料その他、膜性能を高める等の機能を付加するための公知の添加剤を併用することができる。
上記プライマー組成物を基板へ塗布又は固化させることによりプライマー層を形成することができる。塗布方法としては、スピンコート法、ディッピング法など公知の方法が挙げられる。CVD法や真空蒸着法などの乾式法で形成することも可能である。光学レンズの表面に、必要に応じて、アルカリ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの前処理を行っておいてもよい。プライマー層の硬化後の膜厚は、0.1〜10μmであり、好ましくは0.2〜3μmである。プライマー層の膜厚が0.1μm以上の場合、耐衝撃性に優れ、また10μm以下の場合、耐熱性及び面精度に優れる。
ハードコート層は、レンズ基材の表面に耐摩耗性、耐湿性、耐温水性、耐熱性、耐候性等を付与するために、有機ケイ素系化合物等に酸化チタン、酸化ジルコニウム等の高屈折率の無機酸化物微粒子等を加えてなるハードコート液を塗布し、硬化させて形成する。
また、染色可能なハードコート層を使用することによりレンズ基材を着色してもよい。レンズ基材の表面にハードコート層を形成後に、分散染料、昇華性染料、反応性染料、塩基性染料、酸性染料等をハードコート層に浸漬させ、ハードコート層の表面近傍あるいはハードコート全体を着色する。あるいは、あらかじめハードコート液に染料を分散させ、ハードコート液を塗布し、硬化させ、着色されたハードコート層を基板表面に形成する。
さらに、光照射により青色に着色するフォトクロミック性能を有するハードコート層を形成させてもよい。フォトクロミック性能としては、青色へのフォトクロミック性能を発現するものであれば特に限定されないが、ハードコート層へ青色へのフォトクロミック化合物を含有させる方法により形成できる。この青色へのフォトクロミック化合物としては、酸化チタン粒子及び/又は酸化チタン含有複合粒子等が挙げられ、比較的膜厚を厚く出来るハードコート層として光学材料表面に形成することが好ましい。また、ハードコート層以外の層にフォトクロミック性能を付与してもよい。
ハードコート層は、ハードコート液をレンズ基材上に塗布後、硬化して形成されるが、硬化方法としては、熱硬化方法、触媒による効果方法、エネルギー線照射による硬化方法等が挙げられる。ハードコート層の硬化膜の厚さは、一般に、乾燥後で0.3〜30μmが好ましく、また、得られた硬化膜の屈折率は、ハードコート層積層前の光学レンズとの屈折率との差が、±0.1の範囲にあるようにするのが好ましい。
さらに必要に応じて、ハードコート層の上にSiO、TiO等の無機酸化物からなる単層又は多層の反射防止膜層を形成させてもよい。前記反射防止膜層は、多層膜反射防止膜とすることが好ましく、その場合、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に積層する。高屈折率膜としては、ZnO、TiO、CeO、Sb、SnO、ZrO、ZrO、Ta等の膜があり、低屈折率膜としては、SiO膜等が挙げられる。反射防止膜層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、CVD法などの乾式法が挙げられる。
反射防止膜層の上には、必要に応じて防曇コート膜層又は汚れ防止膜層を形成させることが可能である。
本発明の光学レンズの製造方法によれば、前記一般式(1)で表される構造を1分子中に2個以上有する化合物(A)、硫黄原子及び/又はセレン原子を含有する無機化合物(B)、1分子中にメルカプト基を2個以上有する化合物(C)を含む重合性組成物を予備重合反応させる時間を短くすることが出来、作業性良く、光学材料用樹脂を得ることが出来る製造方法を提供することが可能となる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例の物性評価は、以下のようにして行った。
〔反応液の屈折率(nD)〕
ATAGO社製、アッベ屈折計NAR−4Tを用い、20℃にて測定した。
(実施例1)
前記一般式(1)で表される構造を1分子中に2個以上有する化合物(A)としてビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド(三菱ガス化学社製、商品名:IU−11A)777重量部に、化合物(B)として硫黄粉末(純度98%以上試薬)137重量部、1分子中にメルカプト基を2個以上有する化合物(C)としてジメルカプトエチルスルフィド(三菱ガス化学社製、商品名:IU−11B)55重量部、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール13重量部を添加し、60℃で溶解するまで攪拌した。続いて、この混合液に、予備反応触媒として2−メルカプト−1−メチルイミダゾール2重量部を添加し、60℃にて予備反応を行った。この際、予備反応90分経過時と110分経過時にそれぞれ5分ずつ脱気による脱硫化水素操作を行った。そして、予備反応開始から130分後の予備反応液の屈折率nDは1.6586であり、この液を20℃まで冷却した。この時、反応液に硫黄の再析出は見られず、20℃における反応液の屈折率nDは1.6600であった。
次に、1分子中にメルカプト基を1個以上有する化合物(C)の残りとしてジメルカプトエチルスルフィド14重量部、反応調整剤としてジブチル錫ジクロライド2重量部、硬化触媒としてトリエチルベンジルアンモニウムクロライド0.2重量部を混合し、溶解させた。次いで、この混合物を、上記で予備反応を行い20℃に冷却された反応液に加えて混合し、20℃、20Torrの減圧下で15分間真空脱泡を行った。
脱泡終了後、得られた光学用樹脂組成物を注入孔径1μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルターでろ過しながら、レンズ成形用ガラスモールドに中に20℃にて注入した。注入後、ガラスモールド中の光学材料用樹脂組成物を、20℃から60℃まで24時間かけて徐々に昇温し、60℃で7時間保持、続いて100℃まで4時間かけて昇温し、100℃で4時間保持する重合パターンで硬化させた。硬化終了後、得られた硬化物をガラスモールドから離型し、洗浄、アニール処理を行って光学レンズを得た。
(比較例1)
実施例1と同様の組成および操作で、60℃にて予備反応を行い、予備反応中に一度も脱硫化水素の操作を行わなかったところ130分後の予備反応液の屈折率nDは1.6565であった。この液を20℃まで冷却したところ、反応液に硫黄の再析出は見られず、20℃における反応液の屈折率nDは1.6584であった。
さらに、実施例1と同様の操作を行い、光学レンズを得た。
実施例1および比較例1で得られた光学レンズについて、脈理、度数の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2011231185
予備反応中に脱気により脱硫化水素操作を2回行った実施例1と、脱硫化水素操作を1度も行わなかった比較例1とを比べると、実施例1では予備反応130分で狙いの屈折率nD1.6586に到達したが、比較例1では予備反応130分での屈折率nDは1.6565と0.0021屈折率が小さい結果となった。
以上の結果から、本発明の光学レンズ成形用プレポリマーの製造方法によれば、予備重合反応時間を短縮することが出来、作業性良く光学レンズの製造を行うことができることは明らかである。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表される構造を1分子中に2個以上有する化合物(A)、硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物(B)、および1分子中にメルカプト基を2個以上有する化合物(C)を含む重合性組成物を、硫化水素ガスを除去しつつ反応させることを特徴とする光学レンズ成形用プレポリマーの製造方法。
    Figure 2011231185
    [式中、Rは炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表し、R、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の炭化水素基または水素原子を表す。]
  2. 前記重合成組成物は、前記化合物(A)を25〜96重量%、前記化合物(B)を0.1〜30重量%、前記化合物(C)を0.1〜10重量%の範囲で含有する請求項1に記載の光学レンズ成形用プレポリマーの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法により得られた光学レンズ成形用プレポリマーをレンズ成形用モールド内で重合硬化させることを特徴とする光学レンズの製造方法。
  4. 前記光学レンズ成形用プレポリマーに、さらに前記化合物(C)を0.1〜10重量%の範囲で添加する工程を含む請求項3に記載の光学レンズの製造方法。

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