JP5554506B2 - 未加硫ゴム用防着剤パック - Google Patents

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Description

本発明は未加硫ゴムに用いられる防着剤パックに関する。さらに詳しくは、水に分散させる際の粉塵発生が防止され、また、未加硫ゴム(以下では、未加硫ゴムを単に「ゴム」ということもある。)に対する接着性に優れ、脱落による粉塵発生の問題が大幅に低減される未加硫ゴム用防着剤パックおよびその利用に関する。
ゴム製品は、通常、次の工程により製造される。
1)まず、生ゴム(天然ゴム、合成ゴムまたはそれらの混合物)を、素練りロール、バンバリーミキサー、プラチスケーター等で素練りを行い、ゴムに可塑性を与える。
2)次に、配合剤としてのカーボンブラック、硫黄、酸化亜鉛、促進剤、老化防止剤等を素練りゴムに混入しながら、オープンロールまたはバンバリーミキサーを使用して充分に混練する。
3)その後は、ゴムの用途に応じて、成型、加硫等の工程を経て、タイヤ、チューブ等のゴム製品を製造する。
上記3)において、ゴム製品の成形加工方法は、シート成形と押出成形とに大別される。シート成形は、ゴム生地を所定の厚さと幅に圧延して、大型のプレスで熱と圧力を加えてゴムシートを成形する加工法である。未加硫ゴムシートはカレンダーロールや押出機を使って成形される。押出成形には、ラム式とスクリュー式とがあり、ラム押出機は油圧式で、シリンダーに装てんしたゴム塊をトコロテンのように押出す成形機である。ホースやウインドシールやタイヤのチューブなどの長い連続体のゴム製品はスクリュー押出機で成形されることが多い。
このようなゴムの生産加工工程において、未加硫ゴムを次の成型や加硫等の工程に移行するまでの間、積み重ねて貯蔵することがあり、この場合にゴムの密着を防止する目的で密着防止剤(防着剤)が使用されている。
従来、この密着防止剤としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ベントナイト等の無機粒子が、防着性に優れるために使用されている。その使用方法としては、粉末のままゴムに吹き付ける方法や、粉末中を通過させる方法等のいわゆるドライ法;前記無機粒子の粉末を水に懸濁させ、その懸濁液をスプレーする方法や、細流にてゴムに吹き付ける方法や、懸濁液中に浸漬する方法等のいわゆるウェット法を挙げることができる。ウェット法における水の使用目的は作業性の向上の他にゴムの冷却をも兼ねている。また、押出機を使用したタイヤのチューブなどの中空で薄肉の円筒成形では、密着防止剤を混入した空気をチューブに吹き込みながら押出成形することで、円筒の内面が密着しないようにしている。
しかしながら、このような密着防止剤をゴムに塗布する際に発生する粉塵が作業環境を汚染させることが問題となっている。密着防止剤を水に懸濁させて使用するウェット法にしても、水に分散させる際に粉塵飛散が発生し作業環境を汚染する。また、ゴム表面に付着した後も、次の成型や加硫等の工程に移行するまでの間に粉落ちして粉塵が発生するといった問題もある。密着防止剤は基本的にはゴム製品にとって異物であり、微量の異物でもゴム製品の物理的性質に大きな影響を与える場合があるので、密着防止剤の作業環境への粉塵飛散は極力少ないことが望ましい。粉塵発生による作業環境の汚染を抑制する方法として、局所排気装置を設置する手段もあるが、設備投資費用が必要であるし根本的な解決にはならない。このような理由から粉塵飛散が少なく、防着性に優れる密着防止剤の開発が望まれている。
一方、従来の密着防止剤とは異なる発想で成分が構成された密着防止剤がある。たとえば、特許文献1にはポリスチレン樹脂粉体と特定の界面活性剤を用いた水溶液をゴム面に塗布して防着する方法が開示されている。この方法は無機粒子の粉末を使用していない点を特徴としているが、充分な密着防止の効果を発揮させるためには、高濃度で使用することが必要であり、その場合、加硫ゴムの物理的性質を低下させる問題点があるため使用方法が限定され汎用性に乏しい。
また、特許文献2には造膜性を有する水溶性高分子30〜90重量部と陰イオン活性剤または非イオン界面活性剤70〜10重量部とからなる防着用組成物が開示されている。この防着用組成物は、粉体を使用しないことを特徴としている。しかしながら、水溶性高分子と界面活性剤のみの組成では、防着用組成物を塗布したゴム面の滑り摩擦力が大きく作業現場でゴムが滑り難く作業性の低下が懸念される。またゴムの生産加工工程において凝集して乾固した凝固物が、ゴムに混入した場合、ゴムの練り工程でその凝固物が崩壊しないでゴム中に異物として残存し加硫ゴムの物理的性質を低下させる問題点があるため実用性にかける。
また、特許文献3にはゴム表面に粉末状密着防止剤を散布し、次いで水溶性造膜剤を塗布し乾燥させることによって、ゴム表面に密着防止層を形成する方法が開示されている。この方法では粉末状密着防止剤と水溶性造膜剤をそれぞれ塗布する2段階の作業が必要であるため、作業効率が悪く実用性にかける。また、粉末状密着防止剤と水溶性造膜剤をそれぞれ単独で均一にゴム表面に塗布することは極めて困難である。
このように、特許文献1〜3の防着剤にはそれぞれ問題がある。したがって、粉塵飛散の問題を抱えつつも、従来の防着剤を使用せざるを得ないというのが現状であった。
特開平1−258914号公報 特開昭62−32127号公報 特開昭53−61639号公報
本発明の目的は、水に分散させる際の粉塵発生が防止され、また、未加硫ゴムに対する接着性に優れ、脱落による粉塵発生の問題が大幅に低減される未加硫ゴム用防着剤パックと、その未加硫ゴム用防着剤パックを使用した防着処理された未加硫ゴムの製造方法とを提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、特定のけん化度を有するポリビニルアルコールの水溶性フィルムで防着性成分が包装された未加硫ゴム用防着剤パックを用いることによって、上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の未加硫ゴム用防着剤パックは、水膨潤性粘土鉱物を必須成分とする微粉末を含有する防着性成分がけん化度80〜93モル%のポリビニルアルコールの水溶性フィルムにより包装されてなり、前記微粉末に占める前記水膨潤性粘土鉱物の重量割合が20〜80重量%であり、前記水溶性フィルムが包装材としての役割を終えた後も防着性を高める成分として機能するパックである。
水溶性フィルムの厚さが100μm以下であると好ましい。
水溶性フィルムの20℃における水に対する溶解時間が60秒以下であると好ましい。
防着性成分が、界面活性剤をさらに含有する組成物からなり、前記微粉末を100重量部としたときに、前記界面活性剤1〜60重量部であると好ましい。
水膨潤性粘土鉱物が、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトおよびスチーブンサイトから選ばれる少なくとも1種から構成されるとさらに好ましい。
界面活性剤が非イオン性界面活性剤および/またはアニオン性界面活性剤であるとさらに好ましい。ここで、非イオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、アセチレングリコールおよびアセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種であり、アニオン性界面活性剤が、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩および長鎖スルホコハク酸塩から選ばれる少なくとも1種であると特に好ましい。
防着性成分が、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、セルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ポリアクリル酸ソーダおよび燐酸化でんぷんから選ばれる少なくとも1種の水溶性高分子をさらに含有し、微粉末を100重量部としたときに、水溶性高分子0.1〜90重量部であると好ましい。
本発明の防着処理された未加硫ゴムの製造方法は、上記未加硫ゴム用防着剤パックを用いて、前記防着性成分を成形加工された未加硫ゴムの表面に付着させる処理工程を含む製造方法である。ここで、処理工程を、水100重量部に対して未加硫ゴム用防着剤パック0.5〜10重量部を配合した分散液に前記未加硫ゴムを浸漬して行うと好ましい。
本発明の未加硫ゴム用防着剤パックでは、水に分散させて使用する際に、粉塵発生を防止することができる。また、未加硫ゴムに対する接着性が優れるために、脱落による粉塵発生の問題が大幅に低減できる。
本発明の防着処理された未加硫ゴムの製造方法では、本発明の未加硫ゴム用防着剤パックを用いるために、水に分散させて使用する際に粉塵発生を防止でき、効率よく優れた防着性を有する未加硫ゴムを製造できる。
本発明の未加硫ゴム用防着剤パックの模式図の一例である。
〔未加硫ゴム用防着剤パック〕
本発明の未加硫ゴム用防着剤パック1は、たとえば図1に示すように、防着性成分2が水溶性フィルム3により包装されてなるパックである。
(水溶性フィルム)
水溶性フィルムは、防着性成分を包装する包装材であり、けん化度80〜93モル%のポリビニルアルコールを必須とし、水溶性を有するフィルムである。
本発明の未加硫ゴム用防着剤パックでは、このように防着性成分を水溶性フィルムで包装することによって、防着性成分を含む未加硫ゴム用防着剤パックを現場でそのまま防着用タンクに投入できるので、水に分散させる際の粉塵発生を完全に防止できる。また、水溶性フィルムは、ポリビニルアルコールから構成されているので、未加硫ゴム用防着剤パックを水に分散させて使用する際、水溶性フィルムは包装材としての役割を終えた後も水に溶解して、防着性を高める1つの成分として機能する。つまり、ポリビニルアルコールは、防着性成分とともに未加硫ゴムの表面に付着し、被膜を形成して、防着性成分がゴム表面から脱落して粉塵が発生するのを防止する。
ポリビニルアルコールは、ビニルエステルを重合して得られる重合体のけん化物である。ビニルエステルとしては、たとえば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニル等のビニルエステルが挙げられるが、工業生産性や1,2−グリコール結合の生成の容易さの点から、酢酸ビニルが好ましい。
また、ポリビニルアルコールは、上記ビニルエステル以外のコモノマーとともに重合して得られる重合体のけん化物であってもよい。このようなコモノマーとしては、たとえば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン等のα−オレフィン;(メタ)アクリル酸およびその塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体等の(メタ)アクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類;ポリアルキレンオキシドを側鎖に有するアリルエーテル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル類;酢酸イソプロペニル等が挙げられる。ポリビニルアルコールはこれらのコモノマーによって変性されたものでも良く、生分解性の観点からは、ポリビニルアルコールにおけるコモノマーによる変性量は、ポリビニルアルコール全体の5モル%以下が好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリ」は、「アクリ」および「メタクリ」を意味するものとする。したがって、たとえば、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸を意味する。
ポリビニルアルコールは、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定化剤や、可塑剤をさらに含有してもよい。可塑剤については、特に限定はないが、ポリビニルアルコールの相溶性の点から多価アルコール類が好ましい。多価アルコール類としては、生分解性の点から、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールが好ましく、1種または2種以上を併用してもよい。
ポリビニルアルコールのけん化度は、80〜93モル%であり、水溶性やゴム表面での被膜形成性を考慮すると、好ましくは81〜92モル%、より好ましくは82〜91モル%、さらに好ましくは83〜90モル%、特に好ましくは84〜90モル%である。ポリビニルアルコールのけん化度が93モル%を超える場合には、水溶性が低下し、防着性成分が未加硫ゴムから脱落して粉塵が発生する。一方、ポリビニルアルコールのけん化度が80モル%未満の場合には、水溶性は優れるが、未加硫ゴムに形成されるポリビニルアルコールの被膜強度が低く、防着性成分が未加硫ゴムから脱落して粉塵が発生する。
ポリビニルアルコールの重合度については、特に限定はないが、未加硫ゴムに形成されるポリビニルアルコールの被膜強度の点からは、好ましくは500〜5000、より好ましくは700〜5000、さらに好ましくは900〜5000、特に好ましくは1000〜3000である。
水溶性フィルムの形状および透明性に特に限定はなく、ブロッキング防止性や水溶性を改善するために、フィルム表面のマット加工、ブロッキング防止剤の散布やエンボス加工が施されていてもよい。また、ピンホール発生を防ぐために、同物性または異なる物性の複数のフィルムがラミネートされた構造であってもよいし、ヒートシール性能を高めるために、水溶性紙や水解紙にフィルムがラミネートされた構造であってもよい。水溶性フィルムは、その表面に水分解性インクや水溶性インク等でグラビア印刷等されていてもよい。
水溶性フィルムの20℃における水に対する溶解時間については特に限定はないが、好ましくは60秒以下、より好ましくは1〜50秒、さらに好ましくは5〜40秒、特に好ましくは10〜30秒である。
水溶性フィルムの厚さについては特に限定はないが、水溶性や耐衝撃性等を考慮すると、好ましくは100μm以下、より好ましくは0.1〜100μm、さらに好ましくは0.1〜90μm、特に好ましくは0.1〜80μm、最も好ましくは0.1〜75μmである。
水溶性フィルムの大きさについては、防着性成分の量に従って適宜設定されるので特に限定はないが、たとえば、図1で示す防着性成分を包装した状態の縦(cm)×横(cm)の大きさが、好ましくは(1〜120)cm×(1〜80)cm、より好ましくは(5〜100)cm×(2〜70)cm、さらに好ましくは(10〜90)cm×(5〜60)cm、最も好ましくは(20〜90)cm×(10〜60)cmである。
未加硫ゴム用防着剤パックに占める水溶性フィルムの重量割合については特に限定はないが、たとえば、未加硫ゴム用防着剤パック100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜9重量部、さらに好ましくは0.1〜8重量部、最も好ましくは0.1〜7重量部である。水溶性フィルムの重量割合が0.1重量部未満であると、水溶性フィルムの厚さが薄くなりすぎてフィルム強度が低下することがある。一方、水溶性フィルムの重量割合が10重量部超であると、水溶性フィルムの厚さが厚くなり、水に対する溶解時間が長くなることがある。
水溶性フィルムは、ポリビニルアルコール以外に後述の防着性成分を構成する種々成分を、防着性成分とは別に含有してもよい。
次に、水溶性フィルムにより包装される防着性成分を詳しく説明する。
(防着性成分)
防着性成分については、水膨潤性粘土鉱物を必須成分とする微粉末を含有する。微粉末と界面活性剤とを含有する組成物であると、未加硫ゴム表面への付着性に優れ防着性および滑性を発揮する効果が大きいために好ましい。防着性成分は水溶性高分子をさらに含有してもよい。
<微粉末>
微粉末は、未加硫ゴム表面に付着して防着性および滑性を発揮する成分である。特に、防着性成分が水溶性高分子をさらに含有する場合は、水溶性高分子やポリビニルアルコールからなる被膜に含まれて防着性および滑性を発揮する成分である。
本発明において、滑性とは、「未加硫ゴム用防着剤パックを用いて処理された未加硫ゴムが他のゴムや金属等と接触した場合に、その接触面に生じる摩擦抵抗を下げる性質」と定義される。未加硫ゴム用防着剤パックを用いて処理されたゴム表面が滑り性に優れると、ゴム成形工程で摩擦抵抗を生じる作業において、作業効率が向上して好ましい。
微粉末としては、水膨潤性粘土鉱物を必須成分とし、水膨潤性粘土鉱物以外の微粉末をさらに含むものでもよい前記水膨潤性粘土鉱物としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト等が挙げられる。又、前記水膨潤性粘土鉱物以外の微粉末としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;カオリン、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、クレー、タルク、マイカ、セリサイト等のケイ酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、ホワイトカーボン、酸化鉄等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄等の金属水酸化物;ベンガラ;カーボンブラック;グラファイト;オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ドデカン酸カリウム、ドデカン酸ナトリウム、牛脂硬化脂肪酸ナトリウム、牛脂硬化脂肪酸カリウム、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸カリウム等の脂肪酸石鹸、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシウム、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、トリオクタデカン酸アルミニウム、ジオクタデカン酸アルミニウム、モノオクタデカン酸アルミニウム、オクタデカン酸カルシウム、オクタデカン酸亜鉛、オクタデカン酸マグネシウム、オクタデカン酸バリウム等の金属石鹸;パラフィンワックス、マイクロクリスタンワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、モンタンワックス、みつろう、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、硬化ひまし油、12−ヒドロキシステアリン酸等のワックス;ポリスチレン樹脂;ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート等のアクリル樹脂等から構成されるものが挙げられる。なかでも、微粉末が、モンモリロナイトを必須成分とし、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、ホワイトカーボン、脂肪酸石鹸、金属石鹸、ワックス、ポリスチレン樹脂およびアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種をさらに成すると、防着性および滑性に優れた被膜を形成するので好ましい。
微粉末は、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト等の水膨潤性粘土鉱物を必須成分として構成されるため、防着性および滑性に特に優れた被膜を形成する。
ここで、水膨潤性粘土鉱物とは、適量の水(たとえば、水膨潤性粘土鉱物100重量部に対して少なくとも30重量部以上の水)を含んでいる時に、粘性、可塑性および膨潤性を示す鉱物と定義される。本発明の防着性成分が微粉末として水膨潤性粘土鉱物を含有しているため、防着性成分は未加硫ゴム表面に容易に強固な被膜を形成することができる。特に、未加硫ゴム用防着剤パックが防着性成分として水膨潤性粘土鉱物を含む場合、未加硫ゴム用防着剤パックを水に配合して得られる分散液の粘度を上げ、被膜形成能をさらに高めることができる。
微粉末に占める水膨潤性粘土鉱物の重量割合については、ゴム表面に対する被膜性を考慮すると、20〜80重量%であり、好ましくは30〜80重量%、さらに好ましくは40〜80重量%、特に好ましくは50〜80重量%、最も好ましくは60〜80重量%である。水膨潤性粘土鉱物の重量割合が80重量%超であると、未加硫ゴム用防着剤パックを水に配合して得られる分散液のハンドリング性が低下する。一方、水膨潤性粘土鉱物の重量割合が20重量%未満であると、防着性が低下する。
これらの水膨潤性粘土鉱物のうちでも、特に膨潤性が著しいことから、モンモリロナイトが好ましい。モンモリロナイトは2八面体型含水層状珪酸塩鉱物であり、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、水素イオンなどを交換陽イオンとして含有する。これらの陽イオンは容易に交換される性質を有しており、かつ容易に水を取り込める性質も有している。交換陽イオンがナトリウムイオンであると、水和力で水分子を取り込みやすく、層間隔が増大し膨潤が著しい。
一般に、モンモリロナイトを主成分として含有し、石英、クリストパライト、長石類、炭酸塩鉱物等を副成分として含有する水膨潤性粘土鉱物をベントナイトと呼ぶ。ベントナイトは、微粉末を構成する成分の一例として挙げられ、未加硫ゴム表面に容易に吸着し、被膜を形成することができる。ベントナイトの被膜は、防着性および滑性に優れることから、本発明のゴム用防着剤組成物における水膨潤性粘土鉱物がベントナイトであるとさらに好ましい。また、ベントナイトがナトリウムベントナイトを高い純度で含有すると、水膨潤性の効果が著しく最も好ましい。
微粉末に占めるベントナイトの重量割合については、ゴム表面に対する被膜性を考慮すると、通常、20〜80重量%であり、さらに好ましくは30〜80重量%、特に好ましくは40〜80重量%、最も好ましくは50〜80重量%である。ベントナイトの重量割合が80重量%超であると、未加硫ゴム用防着剤パックを水に配合して得られる分散液のハンドリング性が低下する。一方、ベントナイトの重量割合が20重量%未満であると、防着性が低下する。
微粉末の平均粒子径については、特に限定はないが、未加硫ゴムへの付着性等を考慮すると、好ましくは0.1〜200μm、より好ましくは0.1〜150μm、さらに好ましくは0.1〜100μm、特に好ましくは0.1〜80μm、最も好ましくは0.1〜60μmである。
微粉末の粒度分布の変動係数CVは、特に限定されないが、好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは25%以下である。変動係数CVは、以下に示す計算式(1)および(2)で算出される。
Figure 0005554506
(式中、sは粒子径の標準偏差、<x>は平均粒子径、xi はi番目の粒子径、nは粒子の数である。)
微粉末の比重については、特に限定はないが、未加硫ゴムへの付着性等を考慮すると、好ましくは0.5〜5、より好ましくは0.5〜4.5、さらに好ましくは0.5〜4、特に好ましくは0.6〜3.5、最も好ましくは0.7〜3である。
<界面活性剤>
界面活性剤は、未加硫ゴムに対して「濡れ」を補助する成分である。界面活性剤が本発明の未加硫ゴム用防着剤パックに含まれていることによって、微粉末をより均一にゴム表面に被膜化できる。
ここで、「濡れ」とは、界面化学では固体または液体の表面にある一つの流体を他の液体で置換する現象と定義される。たとえば、固体/気体の界面が固体/液体の界面に置き換えられたとき、その固体は液体で濡れたという。したがって、本発明で濡れたと表現するときは、ゴム/空気の界面がゴム/本発明の未加硫ゴム用防着剤パックを水に配合して得られる、防着性成分とポリビニルアルコールと水とを含む分散液の界面に置き換えられたことを意味する。本発明で十分濡れていないと表現するときは、ゴム/空気の界面がゴム/未加硫ゴム用防着剤パック組成物の界面に完全に置き換えられていないことを意味する。
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられ、1種または2種以上を含んでいてもよい。界面活性剤が非イオン界面活性剤および/または陰イオン界面活性剤であると好ましい。
非イオン界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノラウレート等のグリセリン脂肪酸エステル;等のポリオキシアルキレン硬化ひまし油;アセチレンアルコール;アセチレングリコール及びアセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物;ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリグリセリン脂肪酸エステル;アルキルグリセリンエーテル;ポリオキシアルキレンコレステリルエーテル;アルキルポリグルコシド;ショ糖脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンアルキルアミン;オキシエチレンーオキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。なかでも、非イオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、アセチレングリコールおよびアセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種であると、ゴム表面に対して優れた濡れを発現するので好ましい。
陰イオン界面活性剤としては、たとえば、オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、オレイン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩;ステアロイルメチルタウリンNa、ラウロイルメチルタウリンNa、ミリストイルメチルタウリンNa、パルミトイルメチルタウリンNa等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン塩;モノステアリルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩;ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の長鎖スルホコハク酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムモノナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ジナトリウム等の長鎖N−アシルグルタミン酸塩等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。なかでも、陰イオン界面活性剤が、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩および長鎖スルホコハク酸塩から選ばれる少なくとも1種であると、ゴム表面に対して優れた濡れを発現するので好ましい。
陽イオン界面活性剤としては、たとえば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;ジアルキルジメチルアンモニウム塩;トリアルキルメチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
両性界面活性剤としては、たとえば、2−ウンデシル−N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤;2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系両性界面活性剤;N−ラウリルグリシン、N−ラウリルβ−アラニン、N−ステアリルβ−アラニン等のアミノ酸型両性界面活性剤等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の配合割合については、特に限定はないが、微粉末100重量部に対して、好ましくは1〜60重量部、さらに好ましくは1〜50重量部、特に好ましくは1〜40重量部、最も好ましくは1〜30重量部である。界面活性剤の量が微粉末100重量部に対し60重量部超であると、未加硫ゴム用防着剤パックを水に配合して分散液を調製した場合に起泡が発生し易くなり好ましくない。一方、界面活性剤の量が1重量部未満であると、ゴム表面に対する濡れを向上させる効果が少なく、微粉末の被膜が不均一になり防着性および滑性が低下し好ましくない。
<水溶性高分子>
本発明の未加硫ゴム用防着剤パックの防着性成分は、水溶性高分子をさらに含有してもよい。水溶性高分子は、未加硫ゴム表面に被膜を形成して防着性および滑性を発揮する成分である。水溶性フィルムを構成するポリビニルアルコールも被膜を形成する成分であるが、被膜の造膜性を向上させ、さらに防着性および滑性を向上するためには、防着性成分が水溶性高分子をさらに含有することが好ましい。
水溶性高分子としては、特に限定はないが、たとえば、でんぷん類、マンナン、アルギン酸類、天然ガム類、セルロースエーテル、蛋白類、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン、水溶性アクリル樹脂、水溶性ウレタン樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ブタジエン樹脂、水溶性フェノール樹脂等が挙げられる。これらの水溶性高分子は、1種または2種以上を併用してもよい。
でんぷん類としては、特に限定はないが、たとえば、小麦でんぷん、コーンスターチ、ばれいしょでんぷん、かんしょでんぷん、タピオカでんぷん、小麦粉でんぷん、酸化でんぷん、酢酸でんぷん、燐酸でんぷん、カルボキシメチルスターチ、カルボキシエチルスターチ、ヒドロキシエチルスターチ、陽性でんぷん、シアノエチル化でんぷん、ジアルデヒドでんぷん、燐酸化でんぷん等が挙げられる。
アルギン酸類としては、特に限定はないが、たとえば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸アンモニウム等が挙げられる。
天然ガム類としては、特に限定はないが、たとえば、タラカントガム、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ブリティッシュガム、グルコマンナン、ジェランガム、タラガム、ローカストビーンガム、カラギナン、ウェランガム、ダイユータンガム、タマリンドガム、タマリンドシードガム、トラガントガム、ラムザンガム、サクシノグリカン、カラヤガム、ペクチン等が挙げられる。
セルロースエーテルとしては、特に限定はないが、たとえば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
蛋白類としては、特に限定はないが、たとえば、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン等が挙げられる。
上記で説明した水溶性高分子のなかでも、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、セルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ポリアクリル酸ソーダおよび燐酸化でんぷんから選ばれた少なくとも1種が好ましい。
水溶性高分子の配合割合については、特に限定はないが、微粉末100重量部に対して、好ましくは0.1〜90重量部、さらに好ましくは0.1〜60重量部、特に好ましくは0.0.5〜50重量部、最も好ましくは0.5〜30重量部である。水溶性高分子の量が微粉末100重量部に対し90重量部超であると、未加硫ゴム用防着剤パックを水に配合して得られる分散液の粘度が高くなりすぎてハンドリング性が低下し、また、未加硫ゴム表面に形成した被膜の乾燥性に優れないことがある。一方、微粉末の量が0.5重量部未満であると、防着性および滑性を向上させる効果が小さくなることがある。
水溶性フィルムは必須成分としてポリビニルアルコールを含有するが、さらに防着性成分としてもポリビニルアルコールを配合することもできる。防着性成分として配合するポリビニルアルコールについては、けん化度の限定はない。なぜならば、本発明のポリビニルアルコールの水溶性フィルムの役割は、水に分散させる際の粉塵発生を完全に防止するために防着性成分を包装し、水に投入後は速やかに溶解して水中に分散し、未加硫ゴムに付着後は防着性成分がゴム表面から脱落して粉塵が発生するのを防止することである。一方、本発明における水溶性高分子の役割は、被膜の造膜性を向上させ、さらに防着性および滑性を向上させることであるので、水溶性速度や粉塵防止性などの性能は関係がない。以上の理由から本発明において水溶性高分子として配合するポリビニルアルコールのけん化度は特に限定はないが、好ましくは70〜99.9%、さらに好ましくは72〜98%、特に好ましくは74〜96%、最も好ましくは76〜94%である。
<その他の成分等>
本発明の未加硫ゴム用防着剤パックの防着性成分は、上記で説明した各成分以外に、消泡剤や多価アルコール等をさらに含有していてもよい。
消泡剤としては特に限定はないが、たとえば、ヒマシ油、ゴマ油、アマニ油、動植物油などの油脂系消泡剤;ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などの脂肪酸系消泡剤;ステアリン酸イソアミル、こはく酸ジステアリル、エチレングリコールジステアレート、ステアリン酸ブチルなどの脂肪酸エステル系消泡剤;ポリオキシアルキレンモノハイドリックアルコールジ−t−アミルフェノキシエタノール、3−ヘプタノール、2−エチルヘキサノールなどのアルコール系消泡剤;ジ−t−アミルフェノキシエタノール3−ヘプチルセロソルブノニルセロソルブ3−ヘプチルカルビトールなどのエーテル系消泡剤;トリブチルオスフェート、トリス(ブトキシエチル)フオスフェートなどのリン酸エステル系消泡剤;ジアミルアミンなどのアミン系消泡剤;ポリアルキレンアミド、アシレートポリアミンなどのアミド系消泡剤;ラウリル硫酸エステルナトリウムなどの硫酸エステル系消泡剤;鉱物油等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては特に限定はないが、たとえば、グリセリン、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、スクロース、エリスリトール、キシリトール等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
<防着性成分の調製>
防着性成分の調製方法については、特に限定はない。上記で説明した防着性成分を構成する各成分を同時に混合してもよく、成分ごとに順番に混合してもよく、予めいくつかの成分を混合しておいて残りの成分を後で添加混合等してもよい。
上記混合については、特に限定はなく、容器と攪拌羽根といった極めて簡単な機構を備えた装置を用いて行うことができる。また、一般的な揺動または攪拌を行える粉体混合機を用いてもよい。粉体混合機としては、たとえば、リボン型混合機、垂直スクリュー型混合機等の揺動攪拌または攪拌を行える粉体混合機を挙げることができる。また、近年、攪拌装置を組み合わせたことにより効率のよい多機能な粉体混合機であるスーパーミキサー(株式会社カワタ製)およびハイスピードミキサー(株式会社深江製)、ニューグラムマシン(株式会社セイシン企業製)、SVミキサー(株式会社神鋼環境ソリューション社製)等を用いてもよい。他には、たとえば、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、コーンクラッシャー、ロールクラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャー、ロッドミル、ボールミル、振動ロッドミル、振動ボールミル、円盤型ミル、ジェットミル、サイクロンミルなどの乾式粉砕機を用いてもよい。
〔未加硫ゴム用防着剤パックの製造方法〕
未加硫ゴム用防着剤パックの製造方法については、特に限定はなく、たとえば、防着性成分を構成する成分を予め混合して防着性成分を調製し、水溶性フィルムでパックする方法;防着性成分を構成する成分を水溶性フィルムの袋に添加してパックする方法;防着性成分を構成する成分を水溶性フィルム上に載せパック(包装)する方法等を挙げることができる。
上記パックする方法としては、特に限定はないが、たとえば、包装機械を使用して防着性成分を水溶性フィルムの袋に充填し、袋の開口部を封鎖する方法等が挙げられる。
包装機械としては、たとえば、水溶性フィルムから袋を製造しながら、防着性成分を充填する製袋充填機;水溶性フィルムを加工して予め製造しておいた袋に防着性成分を充填する給袋充填機等の自動フィルム包装機械等を挙げることができる。
製袋充填機としては、たとえば、横ピロー包装機、縦ピロー包装機、フィルム二つ折り式三方シール包装機、フィルム二つ折り式四方シール包装機、フィルム二枚合わせ式四方シール包装機等を挙げることができる。
袋の開口部を封鎖する方法しては、特に限定はないが、たとえば、クリップ結さつ、結束テープ、ひねり結さつなどの機械的結束法;接着剤法;ヒートシール、インパルスシール、溶断シール、ラジアントシール、超音波シール、高周波シールなどの熱溶融法等を挙げることができる。
また、未加硫ゴム用防着剤パックの製造方法において、真空包装、ガス置換包装、収縮包装など補助技術を適用しても構わない。
〔防着処理された未加硫ゴムの製造方法〕
本発明の防着処理された未加硫ゴムの製造方法は、未加硫ゴム用防着剤パックを用いて、防着性成分を成形加工された未加硫ゴムの表面に付着させる処理工程を含む製造方法である。
成形加工された未加硫ゴムにおいて、それを製造する際の成形加工方法やその形状等について、特に限定はない。成形加工方法としては、たとえば、カレンダーロールシート成形法、ローラーヘッドシート成形法、押出シート成形法、ラム押出成形法、スクリュー押出成形法、圧縮成形法、注入成形法、射出成形法等を挙げることができる。また、成形加工された未加硫ゴムの形状としては、たとえば、シート状、フィルム状、ホース状、チューブ状、スポンジ状、パッキン、ベルト、靴底等を挙げることができる。
処理工程は、水に未加硫ゴム用防着剤パックを配合した分散液を用いて行うと好ましい。この分散液が、ポリビニルアルコールを含む水溶性フィルム、微粉末および界面活性剤や、必要により用いられる水溶性高分子やその他の成分が水に溶解または分散されている状態であると好ましい。なお、処理工程で用いられる水は、水道水、イオン交換水、蒸留水等のいずれでもよい。
処理工程で用いる分散液を調製する際、未加硫ゴム用防着剤パックの配合割合については、特に限定はないが、水の配合量を100重量部としたときに、未加硫ゴム用防着剤パックは、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜8重量部、特に好ましくは0.5〜6重量部、最も好ましくは0.5〜4重量部である。未加硫ゴム用防着剤パックが水100重量部に対して10重量部超であると、防着性成分や水溶性フィルムに由来するポリビニルアルコールがゴム表面に付着する量が多くなり、水分の乾燥に要する時間が長くなるので、実用的でない。一方、未加硫ゴム用防着剤パックが水100重量部に対して0.5重量部未満であると、ゴムに対する濡れが不十分で防着性が低下することがある。
分散液の25℃における粘度については、特に限定はないが、好ましくは2〜200mPa・s、さらに好ましくは2〜150mPa・s、特に好ましくは2〜100mPa・s、最も好ましくは2〜50mPa・sである。分散液の粘度が200mPa・s超であると、ゴム表面に被膜を形成するポリビニルアルコールの量が多くなり水分の乾燥に要する時間が長くなり実用的でないことがある。一方、分散液の粘度が2mPa・s未満であると、ゴム表面に対する濡れが悪くなり、防着性が低下することがある。
分散液のpHは特に限定はないが、好ましくは5〜12、さらに好ましくは5〜10、特に好ましくは6〜9、最も好ましくは6〜8である。分散液のpHが5未満または12超であると、ハンドリング性に欠ける場合があり好ましくない。
分散液を未加硫ゴムの表面に付着させることによって、防着性成分を成形加工された未加硫ゴムの表面に付着させる方法としては、たとえば、未加硫ゴムに分散液をスプレーする方法、分散液を細流にて未加硫ゴムに吹きつける方法、未加硫ゴムを分散液に浸漬する方法等が挙げられる。これらのうちでも、未加硫ゴムを分散液に浸漬する方法が、防着性成分を均一にゴム表面に付着できるため好ましい。
防着性成分の分散液を未加硫ゴムの表面に付着させた後、ゴム表面を乾燥する工程を実施してもよい。ゴム表面を乾燥する方法としては、特に限定はないが、たとえば、熱風機やブローヒーターなどから槽内に熱風を送ることで乾燥させる熱風乾燥;水分を減圧の変化で乾燥させる真空乾燥;バレル乾燥;スピン乾燥;吸引乾燥;マランゴニー乾燥;赤外線乾燥等が挙げられる。これらのうちでも、熱風乾燥が、コスト安であるため好ましい。
このようにして製造された防着処理された未加硫ゴムでは、次の成型、加硫等の工程に移行するまでの間、積み重ねて貯蔵する場合に、未加硫ゴム同士の密着を防止することができる。
以下に、未加硫ゴム用防着剤パックの実施例について、具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔分散液の不揮発分濃度〕
未加硫ゴム用防着剤パックを水に配合して得られる分散液のa(g)をアルミシートに秤取し(但し、a(g)は2〜3gの範囲)、110℃で0.5時間保った後の恒量に達した残留物の質量がb(g)である場合に、分散液の不揮発分濃度を下式にしたがって算出する。
未加硫ゴム用防着剤パックの不揮発分濃度(wt%)=(b/a)×100
〔分散液の粘度の測定〕
測定装置として、ブルックフィールド型粘度計(BL型、東機産業株式会社製)を用いて20℃、12rpm、ローターNo.3の条件で粘度を測定する。
〔乾燥性の評価〕
未加硫ゴム用防着剤パックを水に配合して得られる分散液に100℃の温度に加熱した天然ゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げ、ゴム表面が乾くまでの時間を目視にて測定する。下部に液溜まりができるがこれは全ての試験片に出来るので無視し、この状態に至るまでを乾燥時間として測定する。乾燥時間が100秒以下であれば、次の工程に移行するまでの待ち時間が少なく、乾燥性が良い。乾燥時間が100秒超であれば、次の工程に移行するまでの待ち時間が長く、作業性に支障をきたすため乾燥性が良くない。
〔剥離抗力の測定〕
未加硫ゴム用防着剤パックを水に配合して得られる分散液に100℃の温度に加熱した天然ゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げる。試験片が風乾したら2枚を重ね合わせ、1000kg/mの荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置する。恒温槽から出した試験片を室温まで空冷し、引張り試験機テンシロン(PT−200N型、ミネベア株式会社)を用いて100mm/minの速度下で剥離抗力(N/mm)を測定した。剥離抗力が小さいほど剥がしやすく、防着性(防着力)が高い。剥離抗力が0.05N/mm以下の場合、大きな負荷なく未加硫ゴム同士を剥がすことができ、防着性が高い。剥離抗力が0.05N/mm超の場合、未加硫ゴム同士を剥がす時の負荷が大きく、防着性が低い。さらに剥離抗力が0.1N/mm超の場合、ゴム同士が密着して剥離が困難である。
〔摩擦抗力の評価〕
未加硫ゴム用防着剤パックを水に配合して得られる分散液に100℃の温度に加熱した天然ゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げる。試験片が風乾したら500gの分銅を載せ、摩擦測定機(TR−2、東洋精機製作所株式会社製)を用いて分銅がゴム上を滑る際の摩擦抗力を測定した。摩擦抗力が小さいほど分銅がゴム上を滑りやすく、滑性に優れる。摩擦抗力が7N/mm以下の場合、大きな負荷なく分銅がゴム上を滑り、滑性が優れる。剥離抗力が7N/mm超の場合、分銅がゴム上を滑りにくく、滑性が劣る。さらに剥離抗力が10N/mm超の場合、分銅がゴム上を滑りにくく、滑性がさらに劣る。
〔防着処理ゴムの粉付着量および粉飛散量〕
天然ゴム試験片10×10cmを準備し、初期重量(W)を測定した。未加硫ゴム用防着剤パックを水に配合して得られる分散液に、100℃に加熱されたゴム試験片を2回連続で浸漬してすぐに引き上げた。試験片が風乾したらその重量(W)を測定した。さらに試験片の各6面をたわしで15回強くこすった後の試験片の重量(W)を測定した。防着処理ゴムの粉付着量および粉飛散量は下記の式により計算される。
防着処理ゴムの粉付着量(mg/100cm)=W−W
防着処理ゴムの粉飛散量(mg/100cm)=W−W
防着処理ゴムの粉付着量が大きいほど、ゴムに混入する未加硫ゴム用防着剤パックの量が多くなり、ゴムの物理的性質に悪影響を与える。粉付着量が10mg/100cm以下であれば、ゴムの物理的性質に大きな悪影響を与えず、好ましい。粉付着量が10mg/100cm超であれば、ゴムの物理的性質に悪影響を与える場合があり好ましくない。
防着処理ゴムの粉飛散量が大きいほど、ゴム表面から粉落ちした粉塵による飛散問題が大きくなる。粉飛散量が1mg/100cm未満であれば、粉塵発生の問題を大幅に低下できて、好ましい。粉飛散量が1mg/100cm超であれば、ゴム表面から粉落ちした粉塵による飛散が発生し好ましくない。
〔水溶性フィルムの溶解時間〕
ポリビニルアルコールの水溶性フィルムを20mm×20mmの大きさに切断し、スライドマウントに挟んだ。これを20℃で撹拌しながら水800ml中に浸漬して、フィルム片が完全に溶解して見えなくなるまでの時間を測定し、水溶性フィルムの溶解時間とする。水溶性フィルムの溶解時間が60秒以下であれば、未加硫ゴム用防着剤パックが水に速く分散して、好ましい。水溶性フィルムの溶解時間が60秒超であれば、未加硫ゴム用防着剤パックの水への分散が遅れ作業効率が悪化するので好ましくない。
〔測定用ゴム〕
全ての測定には、天然ゴムを用いた。用いた天然ゴムの比重は0.92であり、ムーニー粘度は45〜100である。
上記に示した種々の物性の測定において、比較例が未加硫ゴム用防着剤パックに関しない場合は、その比較例の防着性成分について測定を行った。
〔成分ポリビニルアルコールの水溶性フィルム、および微粉末の準備〕
実施例および比較例で用いた、ポリビニルアルコールの水溶性フィルムおよび微粉末の物性を以下に示す。
1)ポリビニルアルコールの水溶性フィルム
水溶性フィルムの重合度はいずれも2000である。
2)微粉末
ベントナイト:比重2.5、平均粒子径10μm
炭酸カルシウム:比重2.6、平均粒子径10μm
クレー:比重2.5、平均粒子径10μm
ステアリン酸カルシウム:比重1.1、平均粒子径10μm
炭酸マグネシウム:比重2.5、平均粒子径10μm
ホワイトカーボン:比重2.1、平均粒子径10μm
カオリン:比重2.6、平均粒子径10μm
マイカ:比重2.7、平均粒子径10μm
タルク:比重2.7、平均粒子径10μm
ラウリン酸ナトリウム:比重0.9、平均粒子径10μm
パラフィンワックス:比重0.9、平均粒子径8μm
カルナバワックス:比重1.0、平均粒子径7μm
ポリエチレンワックス:比重0.9、平均粒子径5μm
ポリスチレン樹脂:比重1.1、平均粒子径5μm
ポリメチルメタクリレート樹脂:比重1.0、平均粒子径5μm
〔実施例1〕
ベントナイト50g、炭酸カルシウム25g、ステアリン酸カルシウム25g、POE(25)ラウリルエーテル20g、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ塩10g、ヒドロキシエチルセルロース3gを均一に混合して、防着性成分を得た。
けん化度86〜90%、厚さ40μm、溶解時間40秒のポリビニルアルコールの水溶性フィルム0.06g(大きさ:約3cm×約1.5cm)を準備し、この水溶性フィルムで、防着性成分1.94gをパックして、総重量2gの未加硫ゴム用防着剤パックを得た。
次いで、未加硫ゴム用防着剤パック2gをイオン交換水100gに攪拌しながら加え、水中に均一に分散した分散液を得た。分散液は、不揮発分濃度2.0wt%、分散液粘度13mPa・sであった。分散液を作製する際に粉塵発生は全くなかった。
得られた分散液に100℃に加熱された天然ゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げた。ゴム表面が乾くまでの時間を目視にて測定したところ、乾燥時間は24秒であり乾燥性に優れていた。ゴム試験片が風乾したら2枚を重ね合わせ、1000kg/mの荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置した。剥離抗力は0.010N/mmであり、負荷なく剥離することができ、防着性が優れていた。また、摩擦抗力は3.6N/mmで、滑性が優れていた。粉付着量は5.6mg/100cm、粉飛散量は0.3mg/100cmで、脱落による粉塵発生の問題が大幅に低減されていた。
〔実施例2、3及び5〜14参考例1〜9
実施例2、3及び5〜14参考例1〜9では、実施例1において、表1、表2および表3に示すように組成をそれぞれ変更する以外は、実施例1と同様に未加硫ゴム用防着剤パックをそれぞれ得て、物性等も実施例1と同様に評価した。その結果をそれぞれ表1、表2および表3に示す。実施例2、3及び5〜14は水に分散させる際の粉塵発生が防止され、また未加硫ゴムに対する接着性に優れ脱落による粉塵発生の問題が大幅に低減されており、防着性および滑性に優れていた。
なお、実施例9において、水溶性高分子成分として配合したポリビニルアルコールのけん化度は90〜94%であった。
Figure 0005554506
Figure 0005554506
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〔比較例1〕
ベントナイト50g、炭酸カルシウム25g、ステアリン酸カルシウム25g、POE(25)ラウリルエーテル20g、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ塩10g、ヒドロキシエチルセルロース3gを均一に混合して、防着性成分を得た。
防着性成分をイオン交換水100gに攪拌しながら加え、水中に均一に分散した分散液を得た。分散液は、不揮発分濃度2.0wt%、分散液粘度13mPa・sであった。分散液を作製する際に粉塵が発生し、周囲環境を汚染した。
得られた分散液に100℃に加熱された天然ゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げた。ゴム表面が乾くまでの時間を目視にて測定したところ、乾燥時間は24秒であり乾燥性に優れていた。ゴム試験片が風乾したら2枚を重ね合わせ、1000kg/mの荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置した。剥離抗力は0.010N/mmであり、負荷なく剥離することができ、防着性が優れていた。また、摩擦抗力は3.6N/mmで、滑性が優れていた。粉付着量は5.8mg/100cm、粉飛散量は1.2mg/100cmで、粉飛散量が1mg/100cm超であり、脱落による粉塵飛散が発生した。
実施例1と比較して、分散液を作製する際の粉塵飛散が発生し、脱落による粉塵飛散が劣っていた。
〔比較例2〜7〕
比較例2〜7では、比較例1において、表4に示すように組成をそれぞれ変更する以外は、比較例1と同様に防着性成分をそれぞれ得て、物性等も比較例1と同様に評価した。その結果をそれぞれ表4に示す。実施例2〜7と比較して、分散液を作製する際の粉塵飛散が発生し、脱落による粉塵飛散が劣っていた。
Figure 0005554506
〔比較例8〕
ベントナイト50g、炭酸カルシウム25g、ステアリン酸カルシウム25g、POE(25)ラウリルエーテル20g、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ塩10g、ヒドロキシエチルセルロース3gを均一に混合して、防着性成分組成物を得た。
けん化度99%以上、厚さ40μm、溶解時間3000秒の水溶性ポリビニールフィルム0.06g(大きさ:約3cm×約1.5cm)を準備し、この水溶性フィルムで、防着性成分1.94gをパックして、総重量2gの未加硫ゴム用防着剤パックを得た。
次いで、未加硫ゴム用防着剤パック2gをイオン交換水100gに攪拌しながら加え、水中に均一に分散した分散液を得た。分散液は、不揮発分濃度2.0wt%、分散液粘度14mPa・sであった。分散液を作製する際に粉塵発生は全くなかったが、分散液を作製するために3000秒超の時間を要し作業効率が悪化した。
得られた分散液に100℃に加熱された天然ゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げた。ゴム表面が乾くまでの時間を目視にて測定したところ、乾燥時間は24秒であり乾燥性に優れていた。ゴム試験片が風乾したら2枚を重ね合わせ、1000kg/mの荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置した。剥離抗力は0.011N/mmであり、負荷なく剥離することができ、防着性が優れていた。また、摩擦抗力は3.6N/mmで、滑性が優れていた。粉付着量は5.8mg/100cm、粉飛散量は1.2mg/100cmで、粉飛散量が1mg/100cm超であり、脱落による粉塵飛散が発生した。
実施例1と比較して、分散液を作製するために時間を要するので作業効率が悪く、脱落による粉塵飛散が劣っていた。
〔比較例9〜14〕
比較例9〜14では、比較例8において、表5に示すように水溶性フィルムをそれぞれ変更する以外は、比較例8と同様に未加硫ゴム用防着剤パックをそれぞれ得て、物性等も比較例8と同様に評価した。その結果をそれぞれ表5に示す。
比較例9〜11では、実施例1と比較して、分散液を作製するために時間を要するので作業効率が悪く、脱落による粉塵飛散が劣っていた。
比較例12〜14では、実施例1と比較して、脱落による粉塵飛散が悪化した。
Figure 0005554506
上記実施例および比較例において、POE(n)とは、ポリオキシエチレン(オキシエチレンの繰返し単位数:n)を意味する。
1 未加硫ゴム用防着剤パック
2 防着性成分
3 水溶性フィルム

Claims (10)

  1. 水膨潤性粘土鉱物を必須成分とする微粉末を含有する防着性成分がけん化度80〜93モル%のポリビニルアルコールの水溶性フィルムにより包装されてなり、
    前記微粉末に占める前記水膨潤性粘土鉱物の重量割合が20〜80重量%であり、
    前記水溶性フィルムが包装材としての役割を終えた後も防着性を高める成分として機能する、
    未加硫ゴム用防着剤パック。
  2. 前記水溶性フィルムの厚さが100μm以下である、請求項1に記載の未加硫ゴム用防着剤パック。
  3. 前記水溶性フィルムの20℃における水に対する溶解時間が60秒以下である、請求項1または2に記載の未加硫ゴム用防着剤パック。
  4. 前記防着性成分が、界面活性剤をさらに含有する組成物からなり、前記微粉末を100重量部としたときに、前記界面活性剤1〜60重量部である、請求項1〜3のいずれかに記載の未加硫ゴム用防着剤パック。
  5. 前記水膨潤性粘土鉱物が、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトおよびスチーブンサイトから選ばれる少なくとも1種から構成される、請求項1〜4のいずれかに記載の未加硫ゴム用防着剤パック。
  6. 前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤および/またはアニオン性界面活性剤である、請求項4または5に記載の未加硫ゴム用防着剤パック。
  7. 前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、アセチレングリコールおよびアセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種であり、前記アニオン性界面活性剤が、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩および長鎖スルホコハク酸塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項6に記載の未加硫ゴム用防着剤パック。
  8. 前記防着性成分が、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、セルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ポリアクリル酸ソーダおよび燐酸化でんぷんから選ばれる少なくとも1種の水溶性高分子をさらに含有し、前記微粉末を100重量部としたときに、前記水溶性高分子0.1〜90重量部である、請求項4〜7のいずれかに記載の未加硫ゴム用防着剤パック。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の未加硫ゴム用防着剤パックを用いて、前記防着性成分を成形加工された未加硫ゴムの表面に付着させる処理工程を含む、防着処理された未加硫ゴムの製造方法。
  10. 前記処理工程を、水100重量部に対して前記未加硫ゴム用防着剤パック0.5〜10重量部を配合した分散液に前記未加硫ゴムを浸漬して行う、請求項9に記載の防着処理された未加硫ゴムの製造方法。
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