JP4514858B2 - 樹脂組成物および水溶性フィルム - Google Patents

樹脂組成物および水溶性フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のけん化度を有するスルホン酸変性ポリビニルアルコール(以下、ポリビニルアルコールを「PVA」と略称することがある)に可塑剤および澱粉を配合してなる樹脂組成物並びに該樹脂組成物からなる水溶性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、農薬をはじめとする各種薬品などを一定量づつ水溶性フィルムに密封包装して、使用時にその包装形態のまま水中に投入し、内容物を包装フィルムごと水に溶解または分散して使用する方法が行われるようになっている。このユニット包装の利点は、使用時に危険な薬品に直接触れることなく使用できること、一定量が包装されているために使用時に計量する必要がないこと、薬剤を包装、輸送した容器または袋などの使用後の処理が不要または簡単であることなどである。
【0003】
従来このようなユニット包装用の水溶性フィルムとして、無変性の部分けん化PVAフィルムが用いられていた。これらの水溶性フィルムは、冷水や温水に易溶性であり、機械的強度が優れるなどの性能を有している。しかし、近年、作業性や耐薬品性などの点から、水溶性がより高く、フィルムに腰があり、ヒートシール性に優れ、保管中に水溶性の経時変化が少ないなど、従来より多くの要求性能を満たす水溶性フィルムが必要とされている。しかし、無変性の部分けん化PVAフィルムは水溶性が十分とはいえず、フィルムに腰がなく、特にアルカリ性物質を包装すると部分けん化PVAフィルムの残存酢酸基をけん化してしまい、フィルムの水溶性が低下するという問題を有している。
【0004】
そこで、特開昭63−168437号公報には、水溶性フィルムに耐アルカリ性を付与するために、オキシアルキレン基、スルホン酸基およびカチオン性基の少なくとも一種を含有するPVAを使用する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭63−168437号公報の実施例に記載されているような、オキシアルキレン基、スルホン酸基およびカチオン性基の少なくとも一種を含有するPVAを単独で使用して製膜した水溶性フィルムは、水への溶解速度が十分であるとは言えず、より優れた水への溶解速度を有するフィルムが求められている。さらに、オキシアルキレン基、スルホン酸基およびカチオン性基の少なくとも一種を含有するPVAであっても、けん化度が90モル%未満のものを使用して製膜したフィルムの場合には、製膜直後の水への溶性速度は速いものの、耐アルカリ性が不十分なため、アルカリ性物質を包装すると水への溶解性が経時的に低下するという問題点がある。また、水溶性PVAフィルムは薬品等を包装するため、製袋機等を用いてヒートシールされることが多いが、けん化度が90モル%未満のPVAフィルムは吸湿性が高く、フィルムに腰が無いため、スリップ性が悪く、製袋機等の工程通過性に劣るという問題点がある。
【0006】
本発明の目的は、上記の欠点を無くし、優れた水への溶解速度を有し、アルカリ性物質を包装した際にも水への溶解速度の低下が小さく、製袋機等の工程通過性が非常に優れている水溶性フィルムの製造原料として有用な樹脂組成物、並びに該樹脂組成物からなる水溶性フィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる現状に鑑み鋭意検討した結果、特定のけん化度を有するスルホン酸変性PVAに、特定量の可塑剤および澱粉を配合した樹脂組成物が、目的とする水溶性フィルムの製造原料として非常に有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、けん化度90モル%以上のスルホン酸変性ポリビニルアルコール100重量部に対して、可塑剤200重量部および澱粉1035重量部を配合してなる樹脂組成物、並びに該樹脂組成物からなるフィルムに関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明に用いられるPVAは、スルホン酸変性PVAであり、例えば、ビニルエステル系単量体と分子内にスルホン酸基を有する単量体とを共重合させて得られる共重合体を、通常、アルコール溶液中でアルカリまたは酸触媒を用いてけん化し、ビニルエステル単位をビニルアルコール単位としたものを用いることができる。
【0010】
スルホン酸変性PVAの製造に使用されるビニルエステル系単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ギ酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのなかでも工業的に生産され、コスト的に有利な酢酸ビニルを用いるのが好ましい。
【0011】
スルホン酸変性PVAの製造に使用される、分子内にスルホン酸基を有する単量体としては、分子内にスルホン酸基またはその塩を含有し、ビニルエステル系単量体と共重合可能なものであれば特に限定なくいずれも使用できる。例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩;2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸またはその塩;2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸などのオレフィンスルホン酸またはその塩などを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、ビニルエステル系単量体との共重合反応性や、けん化時の安定性などの点から、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩が好ましい。ここでいう塩とは、Na、K、Liなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミンなどを示す。なお、ビニルエステル系単量体と分子内にスルホン酸基を有する単量体とを共重合させる際に、スルホン酸基によってビニルエステル系単量体が加水分解を受けるなどして問題を生じる場合があるので、通常、部分的にあるいは完全にスルホン酸基が金属で中和された塩を用いることが望ましい。
【0012】
スルホン酸基含有PVAにおいて、スルホン酸基を有する単量体単位の共重合割合は、0.1〜20モル%であるのが好ましく、0.5〜10モル%であるのがより好ましく、1〜5モル%であるのがさらに好ましい。スルホン酸変性量(スルホン酸基を有する単量体単位の共重合割合)は、けん化前の酢酸ビニルの状態でNMR法により測定することができる。その他、硫黄含量を原子吸光分析法で測定して求めることもできる。
【0013】
スルホン酸変性PVAの粘度平均重合度は特に限定は無いが、水溶性フィルムの場合、フィルムの機械的な物性も重要であり、10〜100μmの厚さでも強い引張強度と柔軟性が要求されているので、フィルムの引張強度やタフネスの点から粘度平均重合度が300〜10000であるのが好ましく、500〜8000であるのがより好ましい。さらに水溶性の点から500〜2000が特に好ましい。粘度平均重合度が300未満ではフィルム引張強度が弱くなる傾向にあり、また10000より大きい場合にはフィルムを製膜するときに使用する製膜原料溶液の粘度が高くなり、作業性が低下する傾向がある。
【0014】
スルホン酸変性PVAのけん化度は、耐アルカリ性の点から、けん化度は90モル%以上である。さらに、得られるフィルムの引張強度やコシや製袋性を考慮すると、95モル%以上が好ましく、97モル%以上がさらに好ましい。けん化度はNMR法により測定することができる。
【0015】
本発明に用いられる澱粉については特に限定はなく、例えば、トウモロコシ、小麦、馬鈴薯、タピオカ、タロイモ、サツマイモ、米などの生澱粉や、それらのα化澱粉、デキストリン、酸化澱粉、アルデヒド化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン化澱粉、架橋澱粉などの変性澱粉を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。得られるフィルムの製袋機等の工程通過性の点からは、スルホン酸変性PVAと澱粉の相溶性が幾分低く、フィルム表面が梨子地である方が好ましく、生コーンスターチ、酸化コーンスターチ、エーテル化コーンスターチ、リン酸エステル化馬鈴薯澱粉、アセチル化小麦澱粉などが好ましい。さらに、フィルム表面に微細な凹凸が良好に形成される点から、特に酸化コーンスターチが好ましい。
【0016】
澱粉の配合割合は、スルホン酸変性PVA100重量部に対して10〜35重量部である。配合割合が5重量部未満の場合には、得られるフィルムの水への溶解速度の向上効果が見られない。一方、配合割合が50重量部を超える場合には、得られるフィルムの引張強度が低下し、ヒートシール性も悪くなる。10重量部以上配合すると得られるフィルムのブロッキング防止性の点好ましい。
【0017】
一般に水溶性フィルムは高温多湿の地域や寒冷地でも運搬、貯蔵、使用がなされるため、フィルムの引張強度やタフネスが要求される。特に低温での耐衝撃性が必要とされる。そのため得られるフィルムのガラス転移点を下げるために、種々の可塑剤が用いられる。さらに本発明では、上記の目的に加えて、特に水に対する溶解性を向上させる目的で可塑剤が用いられる。
【0018】
本発明に用いられる可塑剤としては、PVAの可塑剤として一般に用いられているものなら特に制限はなく、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテル類、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどのフェノール誘導体、N−メチルピロリドンなどのアミド化合物、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコールにエチレンオキサイドを付加した化合物や水などを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのなかでも、水溶性を向上させる目的としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールが好ましく、特に水溶性向上の効果が大きいことからトリメチロールプロパンが特に好ましい。
【0019】
可塑剤の配合割合はスルホン酸変性PVA100重量部に対して200重量部である。可塑剤の配合割合が1重量部未満の場合には、可塑剤の配合効果が認められない。一方、可塑剤の配合割合が50重量部を超える場合には、可塑剤のブリードアウトが大きくなり、得られるフィルムのブロッキング防止性が悪化する。20重量部以上の割合で配合すると得られるフィルムの水に対する溶解速度の点好ましい。また、40重量部以下の割合で配合すると得られるフィルムの腰(製袋機等の工程通過性)の点好ましい。得られるフィルムの水溶性を向上させる点からは、可塑剤の配合量が多いほど好ましい。また、ヒートシール温度は様々な要因で変化するが、特に可塑剤の配合量が多いほどヒートシール温度は低下し、フィルム製袋時の生産性が向上するので好ましい。特に、得られるフィルムのヒートシール温度が170℃以下となるような割合で可塑剤を配合するのが好ましく、160℃以下となるような割合で可塑剤を配合するのがより好ましい。さらに、可塑剤の配合量は得られるフィルムのヤング率の大きさに影響を与えやすい。得られるフィルムの製袋機等の工程通過性の点からは、ヤング率が1.5kg/mm以上であるのが好ましく、2kg/mm以上であるのがさらに好ましく、このような範囲のヤング率を有するフィルムが得られるように、可塑剤を配合することが好ましい。
【0020】
本発明の樹脂組成物には、さらに必要に応じて、無機フィラーを配合することができる。本発明に用いられる無機フィラーとしては、例えば、シリカ、重質、軽質又は表面処理された炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ゼオライト、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、マイカ、炭酸マグネシウム、カオリン、ハロサイト、パイロフェライト、セリサイト等のクレー、タルク等を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのなかでも、特にスルホン酸変性PVAへの分散性の点から、シリカを用いるのが好ましい。無機フィラーの粒子径は、ブロッキング防止性の点から1μm以上が好ましく、スルホン酸PVAへの分散性の点から10μm以下が好ましい。その両者の性能を両立させるには、粒径が1〜7μm程度の大きさのものがより好ましい。
【0021】
無機フィラーの配合量は、水溶性向上の点から、スルホン酸変性PVA100重量部に対して1〜20重量部であるのが好ましく、3〜20重量部であるのがより好ましく、5〜20重量部であるのがさらに好ましく、10〜20重量部であるのが特に好ましい。これらの範囲内で無機フィラーを配合すると、よりブロッキング防止性に優れたフィルムが得られるので好ましい。なお、無機フィラーを20重量部を超えて配合すると、スルホン酸変性PVAへの分散性が低下し、無機フィラーが凝集してしまい、得られるフィルムの水溶性が低下する傾向がある。
【0022】
本発明の樹脂組成物は、さらに必要に応じて、着色剤、香料、増量剤、消泡剤、剥離剤、紫外線吸収剤、界面活性剤などの通常の添加剤を適宜配合しても差し支えない。特に製膜装置のダイスやドラムなどの金属表面と、製膜したフィルムやフィルム原液との剥離性を向上させるために、スルホン酸変性PVA100重量部に対して界面活性剤を0.01〜5重量部の割合で配合することが好ましい。また必要に応じて、本発明の効果を失わない範囲内で、スルホン酸変性PVAとは異なった種類のPVA、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどの水溶性高分子を配合しても良い。特に水溶性向上の点から、低粘度タイプのカルボキシメチルセルロースを添加することが好ましい。
【0023】
本発明の樹脂組成物は、前記のスルホン酸変性PVAに、可塑剤、澱粉および必要に応じて無機フィラーや他の成分を配合し、所望の方法で混合することにより製造することができる。
【0024】
本発明の樹脂組成物を用いて、一般にフィルムを製膜する際に用いられている製膜方法、例えば、流延製膜法、湿式製膜法、乾式製膜法、押出製膜法、溶融製膜法、コート法、インフレーション製膜法などの製膜方法で、水溶性フィルムを製膜することができる。製膜原液として樹脂組成物を水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、フェノールなどの溶媒に溶解した均一な溶液を調製するためには、樹脂組成物を構成する成分を予め全て混合した後に溶媒に溶解しても、あるいは樹脂組成物を構成する成分をそれぞれ溶媒に溶解した後に、それらの溶液を混合しても構わない。製膜原液の濃度は粘度の点から50%以下(溶媒の含有量が50%以上)が好ましく、製膜したフィルムの表面にマット状態が形成されやすい点から30%以下(溶媒の含有量が70%以上)がさらに好ましい。
【0025】
本発明の水溶性フィルムは、ヤング率が1.5kg/mm2以上であるのが好ましく、2kg/mm2以上であるのがさらに好ましい。上記の範囲のヤング率を有する水溶性フィルムは、フィルムの製袋機等の工程通過性に優れているので好ましい。
【0026】
本発明の水溶性フィルムの厚みは、10〜100μmであるのが好ましく、特に引張強度と水溶性のバランスの点から30〜80μmであるのがより好ましい。
【0027】
本発明の水溶性フィルムは、フィルムのブロッキング防止性を向上させるような特別な処理を行わなくても、ブロッキング防止性に優れている。耐ブロッキング性の指標としては、フィルム表面の滑り角を測定することにより評価することができるが、本発明の水溶性フィルムは、滑り角が60度以下であるのが好ましく、55度以下であるのがさらに好ましい。滑り角は可塑剤の配合量や、スルホン酸変性PVAのけん化度など様々な要因で変化する。なお、本明細書でいう滑り角とは、23℃、50%RH中で1週間調湿したフィルムを用いて、JIS−P8147に従って、フィルムのフリー面(マット面)の滑り角を測定した値であり、該滑り角が小さいほどブロッキング防止性に優れていることを示す。
【0028】
本発明の水溶性フィルムのブロッキング防止性をさらに向上させるために、必要に応じて、該水溶性フィルム表面をロールマット化したり、シリカや澱粉などのブロッキング防止用の粉を塗布したり、エンボス処理を行うこともできる。フィルム表面のロールマット化は、製膜時に乾燥前のフィルムが接するロールに微細な凹凸を形成しておくことにより施すことができる。エンボス処理は一般にフィルムが形成された後で、熱や圧力を加えながらエンボスロールとゴムロールでニップすることで行うことができる。粉の塗布はブロッキング防止の効果が大きいが、用途によっては使用できないことがあるため、ブロッキング防止のためにはロールマット化やエンボス処理を施すほうが好ましい。ブロッキング防止効果が大きいためロールマット化することが特に好ましい。
【0029】
本発明の水溶性フィルムは優れた水への溶解速度を有しており、20℃水中での完全溶解時間が30秒以下であるのが好ましく、25秒以下であるのがより好ましい。本明細書でいう20℃水中での完全溶解時間とは、実施例の水溶性フィルムの水溶性の測定方法として記載した方法に従って、厚さ40μmのフィルムが完全に溶解するまでの時間DTを測定した値である。
【0030】
本発明の水溶性フィルムは、水への溶解性が優れているのみならず、ヒートシール性にも優れているので、洗剤やアルカリ性を示す固形物等で、水に溶解して使用するものの包装、特にユニット包装の材料として非常に有用である。本発明の水溶性フィルムから製造した包装袋は、そのまま水中に投入するだけで速やかに溶解し、その内容物は水中に放出される。
【0031】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお実施例中の水溶性フィルムの水溶性の測定方法、ヒートシール性の測定方法、引張強度、ヤング率の測定法、ブロッキング防止性の評価方法は以下の方法により行った。
【0032】
水溶性フィルムの水溶性の測定方法:
20℃の恒温バスにマグネティックスターラーを設置する。1リットルの蒸留水を入れた1リットルのガラスビーカーを恒温バスに入れ、ビーカー内の水を5cmの回転子を用いて250rpmで撹拌する。ビーカー内の蒸留水が20℃になった後、下記の手順に従って水溶性の測定を開始する(10℃または15℃での水溶性を測定する場合には、恒温バスの設定温度を10℃または15℃に設定して上記と同様な操作を行う)。
厚さ40μmのフィルムを40×40mmの正方形に切り、これをスライドマウントにはさみ、20℃(10℃または15℃)の撹拌している水中に浸漬し、フィルムの溶解状態を観察した。フィルムが破れるまでの時間をBT、フィルムが完全に溶解するまでの時間をDTとして、その秒数を測定した。
【0033】
ヒートシール性の測定方法:
2枚のフィルムのフリー面(マット面)同士を重ねて、熱傾斜試験機を用いて100〜200℃の範囲の各温度で1秒間熱圧着(圧力3kgf/mm2)することにより、圧着部分がヒートシールされるのに必要な最低温度(最低ヒートシール温度)を求めた。この温度が低いほどヒートシール性に優れていることを示す。
【0034】
引張強度、ヤング率の測定法:
幅10mmのフィルムを、20℃、65%RHで1週間調湿後、オートグラフで引張試験を行った。チャック間隔は50mm、引張速度は500mm/分であった。ヤング率は引張初期の値から、引張強度は最大値から求めた。これらの値が大きいほど工程通過性に優れていることを示す。
【0035】
ブロッキング防止性の評価方法:
23℃、50%RHで1週間調湿を行ったフィルムを用いて、JIS−P8147に従って、フィルムのフリー面(マット面)の滑り角の測定を行った。なお、用いた装置の測定範囲は65度以下であった。滑り角が小さいほど、ブロッキング防止性に優れていることを示す。
【0036】
実施例1
酢酸ビニルとアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムをメタノール溶媒中で共重合し得られた共重合体のメタノール溶液に、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加し、常法によりけん化反応を行った。さらに、得られたPVAのメタノール洗浄を行って、酢酸ナトリウム等の不純物を充分に除去してから、50℃で真空乾燥を行いメタノールの除去を行った。そして、粘度平均重合度1000、けん化度98モル%、スルホン酸基を有する単量体単位を1.5モル%含有するスルホン酸変性PVAを得た。
このスルホン酸変性PVA100重量部に対し、澱粉として酸化コーンスターチ20重量部、可塑剤としてトリメチロールプロパン40重量部、無機フィラーとして粒径3μmのシリカ10重量部および水を添加して、均一な10%水溶液(含水率90%)を作成し、70℃のマット化した熱ロールへ流延し、乾燥することにより厚さ40μmのフィルムを得た。さらに100℃で10分間熱処理を行った。このフィルムの水溶性(水に完全に溶解するまでの時間)は20℃では11秒、15℃では17秒、10℃では21秒であった。他にヒートシール性、引張強度、ヤング率、ブロッキング防止性(滑り角)を測定した。評価結果を下記の表2に示した。
このフィルムから10cm×15cmの袋を作り、アルカリ性物質として炭酸ナトリウム40gを入れ熱シールして密封した。この包装袋をさらにアルミニウムにポリエチレンをラミネートしたフィルムで包み、熱シールすることにより2重に密封包装し、アルカリ性物質を密封した包装袋から水や可塑剤が飛散しないようにした。この袋を長期保存テストの促進試験として、50℃の恒温器に入れて放置し、1ヶ月後に取り出して包装していたフィルムの水溶性の経時変化を調べた。評価結果を下記の表2に示した。50℃、1ヶ月後もほとんど水溶性の低下はなく良好であった。また、着色や透明性の低下もなく、フィルムの外観は良好であった。さらに、フィルムの臭気(特に酢酸臭)も認められず、良好であった。
【0037】
実施例2〜9
スルホン酸変性PVAの組成や、澱粉、可塑剤、無機フィラーの種類と配合量を下記の表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを製造し、各種評価を行った。評価結果を下記の表2に示した。実施例2〜9のアルカリ性物質包装試験後のフィルムの外観は、着色や透明性の低下がなく良好であった。また、フィルムの臭気(特に酢酸臭)も認められず、良好であった。
【0038】
比較例1〜8
スルホン酸変性PVAの組成や、澱粉、可塑剤、無機フィラーの種類と配合量を下記の表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを製造し、各種評価を行った。評価結果を下記の表2に示した。比較例1のフィルムについて、アルカリ性物質包装試験後のフィルムの臭気テストを行ったところ酢酸臭が認められた。
【0039】
【表1】
Figure 0004514858
【0040】
【表2】
Figure 0004514858
【0041】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物から製造された水溶性フィルムは、水に対する溶解速度が優れているのみならず、アルカリ性物質包装時の水溶性の低下が小さく、ヒートシール性、工程通過性、低臭性などに優れており、アルカリ性物質の包装を始め、その他の従来公知の水溶性フィルムの用途に好ましく用いられる。

Claims (4)

  1. けん化度90モル%以上のスルホン酸変性ポリビニルアルコール100重量部に対して、可塑剤200重量部および澱粉1035重量部を配合してなる樹脂組成物。
  2. けん化度90モル%以上のスルホン酸変性ポリビニルアルコールが、スルホン酸基を有する単量体単位を0.1〜20モル%含有してなるポリビニルアルコールである請求項1記載の樹脂組成物。
  3. さらに無機フィラーを、けん化度90モル%以上のスルホン酸変性ポリビニルアルコール100重量部に対して1〜20重量部配合してなる請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項記載の樹脂組成物からなるフィルム
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