JP5579454B2 - 未加硫ゴム用防着剤 - Google Patents
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Description
1)まず、生ゴム(天然ゴム、合成ゴムまたはそれらの混合物)を、素練りロール、バンバリーミキサー、プラチスケーター等で素練りを行い、ゴムに可塑性を与える。
2)次に、配合剤としてのカーボンブラック、硫黄、酸化亜鉛、促進剤、老化防止剤等を素練りゴムに混入しながら、オープンロールまたはバンバリーミキサーを使用して充分に混練する。
3)その後は、ゴムの用途に応じて、成型、加硫等の工程を経て、タイヤ、チューブ等のゴム製品を製造する。
上記3)において、ゴム製品の成形加工方法は、シート成形と押出成形とに大別される。シート成形は、ゴム生地を所定の厚さと幅に圧延して、大型のプレスで熱と圧力を加えてゴムシートを成形する加工法である。未加硫ゴムシートはカレンダーロールや押出機を使って成形される。押出成形には、ラム式とスクリュー式とがあり、ラム押出機は油圧式で、シリンダーに装てんしたゴム塊をトコロテンのように押出す成形機である。ホースやウインドシールやタイヤのチューブなどの長い連続体のゴム製品はスクリュー押出機で成形されることが多い。
従来、この密着防止剤としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ベントナイト等の無機粒子が、防着性に優れるために使用されている。その使用方法としては、粉末のままゴムに吹き付ける方法や、粉末中を通過させる方法等のいわゆるドライ法;前記無機粒子の粉末を水に懸濁させ、その懸濁液をスプレーする方法や、細流にてゴムに吹き付ける方法や、懸濁液中に浸漬する方法等のいわゆるウェット法を挙げることができる。ウェット法における水の使用目的は作業性の向上の他にゴムの冷却をも兼ねている。また、押出機を使用したタイヤのチューブなどの中空で薄肉の円筒成形では、密着防止剤を混入した空気をチューブに吹き込みながら押出成形することで、円筒の内面が密着しないようにしている。
一方、従来の密着防止剤とは異なる発想で成分が構成された密着防止剤がある。たとえば、特許文献1にはポリスチレン樹脂粉体と特定の界面活性剤を用いた水溶液をゴム面に塗布して防着する方法が開示されている。この方法は無機粒子の粉末を使用していない点を特徴としているが、充分な密着防止の効果を発揮させるためには、高濃度で使用することが必要であり、その場合、加硫ゴムの物理的性質を低下させる問題点があるため使用方法が限定され汎用性に乏しい。
また、特許文献3にはゴム表面に粉末状密着防止剤を散布し、次いで水溶性造膜剤を塗布し乾燥させることによって、ゴム表面に密着防止層を形成する方法が開示されている。この方法では粉末状密着防止剤と水溶性造膜剤をそれぞれ塗布する2段階の作業が必要であるため、作業効率が悪く実用性にかける。また、粉末状密着防止剤と水溶性造膜剤をそれぞれ単独で均一にゴム表面に塗布することは極めて困難である。
本発明の未加硫ゴム用防着剤は、モンモリロナイトを必須成分とする微粉末と、アセチレン系非イオン性界面活性剤、ポリカルボン酸系アニオン性界面活性剤、ナフタレン系アニオン性界面活性剤、メラミン系アニオン性界面活性剤およびリグニン系アニオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤Aを必須成分とする界面活性剤とを含有し、前記微粉末を100重量部としたときに、前記界面活性剤が1〜60重量部であり、モンモリロナイトの含有率が20〜50重量%である。
前記微粉末が、スメクタイト、カオリン、フィロ珪酸塩、炭酸塩、脂肪酸石鹸、金属石鹸、ワックス、アクリル樹脂およびスチレン系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有すると好ましい。
未加硫ゴム用防着剤は、前記界面活性剤が、前記界面活性剤A以外の非イオン性界面活性剤および/またはアニオン性界面活性剤をさらに含有すると好ましい。また、前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油から選ばれる少なくとも1種であり、前記アニオン性界面活性剤が、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩および長鎖スルホコハク酸塩から選ばれる少なくとも1種であるとよい。
本発明の防着処理された未加硫ゴムの製造方法は、成形加工された未加硫ゴムの表面に付着させる処理工程を含む方法である。
本発明の防着処理された未加硫ゴムの製造方法では、ゴム表面の滑性に優れた未加硫ゴムを効率よく製造でき、その際、未加硫ゴム用防着剤が表面から脱落することによる粉塵発生の問題が大幅に低減する。
以下、未加硫ゴム用防着剤を構成する各成分を詳しく説明する。
本発明における微粉末は、未加硫ゴム表面に被膜を形成して防着性および滑性を発揮する成分である。
本発明において、滑性とは、「未加硫ゴム用防着剤を用いて処理された未加硫ゴムが他のゴムや金属等と接触した場合に、その接触面に生じる摩擦抵抗を下げる性質」と定義される。未加硫ゴム用防着剤を用いて処理されたゴム表面が滑り性に優れると、ゴム成形工程で摩擦抵抗を生じる作業において、作業効率が向上して好ましい。
微粉末の平均粒子径については、特に限定はないが、未加硫ゴムへの付着性等を考慮すると、好ましくは0.1〜200μm、より好ましくは0.1〜100μm、さらに好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.1〜40μm、最も好ましくは0.1〜30μmである。
一般に、スメクタイト、カオリンおよびフィロ珪酸塩等は層状粘土鉱物として総称される。
これらの層状粘土鉱物のうちでも、特に膨潤性が著しいことから、スメクタイトが好ましく、スメクタイトのうちでもモンモリロナイトが特に好ましい。モンモリロナイトは2八面体型含水層状珪酸塩鉱物であり、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、水素イオンなどを交換陽イオンとして含有する。これらの陽イオンは容易に交換される性質を有しており、かつ容易に水を取り込める性質も有している。交換陽イオンがナトリウムイオンであると、水和力で水分子を取り込みやすく、層間隔が増大し膨潤が著しい。
未加硫ゴム用防着剤に占めるモンモリロナイトの含有率については、特に限定はないが、ゴム表面に対する被膜性を考慮すると、通常、20〜50重量%であり、好ましくは20〜45重量%、さらに好ましくは20〜40重量%、特に好ましくは20〜35重量%、最も好ましくは25〜35重量%である。モンモリロナイトの含有率が50重量%超であると、未加硫ゴム用防着剤を水に配合して得られる分散液の粘度が高くなりすぎてハンドリング性が低下し、また、未加硫ゴム表面に形成した被膜の乾燥性に優れないことがある。一方、モンモリロナイトの含有率が20重量%未満であると、防着性および滑性を向上させる効果が小さくなることがある。
ベントナイトの膨潤性の定量方法としては、特に限定はないが、たとえば、膨潤力測定がある。ベントナイトの試料2.0gを秤量し、水100mlを入れたメスシリンダーに試料を10回に分けて加えて、これを24時間放置するときの器底の塊の見かけ容積を読みとり、膨潤力(ml/2g)とする。本発明の未加硫ゴム用防着剤におけるベントナイトの膨潤力としては、特に限定はないが、ゴム表面に対する被膜性を考慮すると、通常、10ml/2g以上であり、好ましくは12ml/2g以上、さらに好ましくは15ml/2g以上、特に好ましくは18ml/2g以上、最も好ましくは20ml/2g以上である。膨潤力の異なる2種以上を併用してもよい。
界面活性剤は、未加硫ゴムに対して「濡れ」を補助する成分である。界面活性剤が本発明の未加硫ゴム用防着剤に含まれていることによって、微粉末をより均一にゴム表面に被膜化できる。
ここで、「濡れ」とは、界面化学では固体または液体の表面にある一つの流体を他の液体で置換する現象と定義される。たとえば、固体/気体の界面が固体/液体の界面に置き換えられたとき、その固体は液体で濡れたという。したがって、本発明の未加硫ゴム用防着剤がゴムに対して濡れたと表現するときは、ゴム/空気の界面がゴム/未加硫ゴム用防着剤の界面に置き換えられたことを意味する。本発明の未加硫ゴム用防着剤がゴムに対して十分濡れていないと表現するときは、ゴム/空気の界面がゴム/未加硫ゴム用防着剤の界面に完全に置き換えられていないことを意味する。
アセチレン系非イオン性界面活性剤としては、特に限定はないが、たとえば、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、5,8−ジメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、4,7−ジメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,3,6,7−テトラメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール等のアセチレングリコール;2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのエチレンオキサイド付加物(付加モル数17〜23)、5,8−ジメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのエチレンオキサイド付加物(付加モル数37〜43)、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキサイド付加物(付加モル数62〜68)、2,3,6,7−テトラメチル−4−オクチン−3,6−ジオールのエチレンオキサイド付加物(付加モル数77〜83)、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのエチレンオキサイド(付加モル数7〜13)/プロピレンオキサイド(付加モル数37〜43)ブロック型付加物、5,8−ジメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのエチレンオキサイド(付加モル数17〜23)/プロピレンオキサイド(付加モル数17〜23)ブロック型付加物、4,7−ジメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキサイド(付加モル数27〜33)/プロピレンオキサイド(付加モル数4〜8)ブロック型付加物、2,3,6,7−テトラメチル−4−オクチン−3,6−ジオールのエチレンオキサイド(付加モル数6〜10)/プロピレンオキサイド(付加モル数2〜6)ブロック型付加物、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのエチレンオキサイド(付加モル数17〜23)/プロピレンオキサイド(付加モル数17〜23)ランダム型付加物、5,8−ジメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのエチレンオキサイド(付加モル数7〜13)/プロピレンオキサイド(付加モル数7〜13)ランダム型付加物、2,3,6,7−テトラメチル−4−オクチン−3,6−ジオールのエチレンオキサイド(付加モル数1.5〜3.5)/プロピレンオキサイド(付加モル数1.5〜3.5)ランダム型付加物、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオールのエチレンオキサイド(付加モル数40〜44)/プロピレンオキサイド(付加モル数40〜44)ランダム型付加物等のアセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
ナフタレン系アニオン性界面活性剤としては、特に限定はないが、詳しくは、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、および、これらのアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)、アンモニウム塩およびアミン塩等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
メラミン系アニオン性界面活性剤としては、特に限定はないが、詳しくは、メラミンスルホン酸、アルキルメラミンスルホン酸、メラミンスルホン酸のホルマリン縮合物、アルキルメラミンスルホン酸のホルマリン縮合物、および、これらのアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)、アンモニウム塩およびアミン塩等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
なかでも、界面活性剤Aが、アセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物、ポリアクリル酸ナトリウム塩、アクリル酸とマレイン酸との共重合物のナトリウム塩、アクリル酸と無水マレイン酸との共重合物のナトリウム塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩、メラミンスルホン酸のホルマリン縮合物ナトリウム塩、アルキルメラミンスルホン酸のホルマリン縮合物ナトリウム塩、および、リグニンスルホン酸ナトリウム塩から選ばれる少なくとも1種から構成されると、防着性および滑性に優れた被膜を形成するので好ましい。
界面活性剤Aの重量割合は100重量%でもよいが、多すぎると、未加硫ゴム用防着剤を水に配合して分散液を調製した場合に起泡が発生し易くなる場合がある。一方、界面活性剤Aの重量割合が10重量%未満であると、ゴム表面に対する濡れを向上させる効果が少なく、微粉末の被膜が不均一になり防着性および滑性が低下することがある。
その他の界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれかで構成されるものであればよく、1種または2種以上を含んでいてもよい。その他の界面活性剤が、非イオン性界面活性剤および/またはアニオン性界面活性剤であると、界面活性剤Aと併用することによる相乗効果が大きく、効果的である。
陰イオン性界面活性剤としては、たとえば、オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、オレイン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩;ステアロイルメチルタウリンNa、ラウロイルメチルタウリンNa、ミリストイルメチルタウリンNa、パルミトイルメチルタウリンNa等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン塩;モノステアリルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩;ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の長鎖スルホコハク酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムモノナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ジナトリウム等の長鎖N−アシルグルタミン酸塩等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
両性界面活性剤としては、たとえば、2−ウンデシル−N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤;2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系両性界面活性剤;N−ラウリルグリシン、N−ラウリルβ−アラニン、N−ステアリルβ−アラニン等のアミノ酸型両性界面活性剤等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の配合割合については、特に限定はないが、微粉末100重量部に対して、通常1〜60重量部、好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは1〜40重量部、特に好ましくは1〜30重量部、最も好ましくは10〜30重量部である。界面活性剤の量が微粉末100重量部に対し60重量部超であると、未加硫ゴム用防着剤を水に配合して分散液を調製した場合に起泡が発生し易くなり好ましくない。一方、界面活性剤の量が1重量部未満であると、ゴム表面に対する濡れを向上させる効果が少なく、微粉末の被膜が不均一になり防着性および滑性が低下し好ましくない。
本発明の未加硫ゴム用防着剤は、上記で説明した各成分以外に、消泡剤や多価アルコール、水溶性高分子等をさらに含有していてもよい。
消泡剤としては特に限定はないが、たとえば、ヒマシ油、ゴマ油、アマニ油、動植物油などの油脂系消泡剤;ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などの脂肪酸系消泡剤;ステアリン酸イソアミル、こはく酸ジステアリル、エチレングリコールジステアレート、ステアリン酸ブチルなどの脂肪酸エステル系消泡剤;ポリオキシアルキレンモノハイドリックアルコールジ−t−アミルフェノキシエタノール、3−ヘプタノール、2−エチルヘキサノールなどのアルコール系消泡剤;ジ−t−アミルフェノキシエタノール3−ヘプチルセロソルブノニルセロソルブ3−ヘプチルカルビトールなどのエーテル系消泡剤;トリブチルホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェートなどのリン酸エステル系消泡剤;ジアミルアミンなどのアミン系消泡剤;ポリアルキレンアミド、アシレートポリアミンなどのアミド系消泡剤;ラウリル硫酸エステルナトリウムなどの硫酸エステル系消泡剤;シリコーン系消泡剤;鉱物油等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
水溶性高分子としては特に限定はないが、たとえば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、セルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
未加硫ゴム用防着剤の製造方法については、特に限定はない。上記で説明した未加硫ゴム用防着剤を構成する各成分を同時に混合してもよく、成分ごとに順番に混合してもよく、予めいくつかの成分を混合しておいて残りの成分を後で添加混合等してもよい。
上記混合については、特に限定はなく、容器と攪拌羽根といった極めて簡単な機構を備えた装置を用いて行うことができる。また、一般的な揺動または攪拌を行える粉体混合機を用いてもよい。粉体混合機としては、たとえば、リボン型混合機、垂直スクリュー型混合機等の揺動攪拌または攪拌を行える粉体混合機を挙げることができる。また、近年、攪拌装置を組み合わせたことにより効率のよい多機能な粉体混合機であるスーパーミキサー(株式会社カワタ製)およびハイスピードミキサー(株式会社深江製)、ニューグラムマシン(株式会社セイシン企業製)、SVミキサー(株式会社神鋼環境ソリューション社製)等を用いてもよい。他には、たとえば、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、コーンクラッシャー、ロールクラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャー、ロッドミル、ボールミル、振動ロッドミル、振動ボールミル、円盤型ミル、ジェットミル、サイクロンミルなどの乾式粉砕機を用いてもよい。
本発明の未加硫ゴム用防着剤は、水溶性フィルムにより包装されていてもよい。水溶性フィルムにより包装された未加硫ゴム用防着剤は、本発明の未加硫ゴム用防着剤の1つの態様であるが、以下では、水溶性フィルムにより包装された未加硫ゴム用防着剤を、水溶性フィルムにより包装されていない未加硫ゴム用防着剤と区別するために、未加硫ゴム用防着剤パックということがある。また、未加硫ゴム用防着剤パックにおいて、防着性を示す包装された成分を防着性成分ということがある。
未加硫ゴム用防着剤パック1は、たとえば、図1に示すように、防着性成分2が水溶性フィルム3により包装されてなるパックである。
水溶性フィルムを構成するポリマーとしては、昜溶解性の観点から、ポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールは、ビニルエステルを重合して得られる重合体のけん化物である。ビニルエステルとしては、たとえば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニル等のビニルエステルが挙げられるが、工業生産性や1,2−グリコール結合の生成の容易さの点から、酢酸ビニルが好ましい。また、ポリビニルアルコールは、上記ビニルエステル以外のコモノマーとともに重合して得られる重合体のけん化物であってもよい。このようなコモノマーとしては、たとえば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン等のα−オレフィン;(メタ)アクリル酸およびその塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体等の(メタ)アクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類;ポリアルキレンオキシドを側鎖に有するアリルエーテル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル類;酢酸イソプロペニル等が挙げられる。ポリビニルアルコールはこれらのコモノマーによって変性されたものでも良く、生分解性の観点からは、ポリビニルアルコールにおけるコモノマーによる変性量は、ポリビニルアルコール全体の5モル%以下が好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリ」は、「アクリ」および「メタクリ」を意味するものとする。たとえば、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸を意味する。
水溶性フィルムの重量割合については特に限定はないが、たとえば、未加硫ゴム用防着剤パック100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜9重量部、さらに好ましくは0.1〜8重量部、最も好ましくは0.1〜7重量部である。水溶性フィルムの重量割合が0.1重量部未満であると、水溶性フィルムの厚さが薄くなりすぎてフィルム強度が低下することがある。一方、水溶性フィルムの重量割合が10重量部超であると、水溶性フィルムの厚さが厚くなり、水に対する溶解時間が長くなることがある。
ポリビニルアルコールの重合度については、特に限定はないが、未加硫ゴムに形成されるポリビニルアルコールの被膜強度の点からは、好ましくは500〜5000、より好ましくは700〜5000、さらに好ましくは900〜5000、特に好ましくは1000〜3000である。
水溶性フィルムの20℃における水に対する溶解時間については特に限定はないが、好ましくは60秒以下、より好ましくは1〜50秒、さらに好ましくは5〜40秒、特に好ましくは10〜30秒である。
水溶性フィルムの大きさについては、防着性成分の量に従って適宜設定されるので特に限定はないが、たとえば、図1で示す防着性成分を包装した状態の縦(cm)×横(cm)の大きさが、好ましくは(1〜120)cm×(1〜80)cm、より好ましくは(5〜100)cm×(2〜70)cm、さらに好ましくは(10〜90)cm×(5〜60)cm、最も好ましくは(20〜90)cm×(10〜60)cmである。
本発明の防着処理された未加硫ゴムの製造方法は、上記未加硫ゴム用防着剤を、成形加工された未加硫ゴムの表面に付着させる処理工程を含む。
成形加工された未加硫ゴムにおいて、それを製造する際の成形加工方法やその形状等について、特に限定はない。成形加工方法としては、たとえば、カレンダーロールシート成形法、ローラーヘッドシート成形法、押出シート成形法、ラム押出成形法、スクリュー押出成形法、圧縮成形法、注入成形法、射出成形法等を挙げることができる。また、成形加工された未加硫ゴムの形状としては、たとえば、シート状、フィルム状、ホース状、チューブ状、スポンジ状、パッキン、ベルト、靴底等を挙げることができる。
処理工程で用いる分散液に含まれる未加硫ゴム用防着剤の配合量については、特に限定はないが、水100重量部に対して、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜8重量部、特に好ましくは0.5〜6重量部、最も好ましくは0.5〜4重量部である。未加硫ゴム用防着剤の配合量が水100重量部に対して10重量部超であると、未加硫ゴム用防着剤がゴム表面に付着する量が多くなり、水分の乾燥に要する時間が長くなるので、実用的でない。一方、未加硫ゴム用防着剤の配合量が水100重量部に対して0.5重量部未満であると、ゴムに対する濡れが不十分で防着性が低下することがある。
分散液のpHは特に限定はないが、好ましくは5〜12、さらに好ましくは5〜10、特に好ましくは6〜9、最も好ましくは6〜8である。分散液のpHが5未満または12超であると、ハンドリング性に欠ける場合があり好ましくない。
未加硫ゴム用防着剤の分散液を未加硫ゴムの表面に付着させた後、ゴム表面を乾燥する工程を実施してもよい。ゴム表面を乾燥する方法としては、特に限定はないが、たとえば、熱風機やブローヒーターなどから槽内に熱風を送ることで乾燥させる熱風乾燥;水分を減圧の変化で乾燥させる真空乾燥;バレル乾燥;スピン乾燥;吸引乾燥;マランゴニー乾燥;赤外線乾燥等が挙げられる。これらのうちでも、熱風乾燥が、コスト安であるため好ましい。
〔分散液の不揮発分濃度〕
未加硫ゴム用防着剤を水に配合して得られる分散液の場合、分散液のa(g)をアルミシートに秤取し(但し、a(g)は2〜3gの範囲)、110℃で0.5時間保った後の恒量に達した残留物の質量がb(g)である。分散液の不揮発分濃度を下式にしたがって算出する。
分散液の不揮発分濃度(wt%)=(b/a)×100
粉末X線回折により測定する。
測定装置として、ブルックフィールド型粘度計(BL型、東機産業株式会社製)を用いて20℃、12rpm、ローターNo.3の条件で粘度を測定する。
未加硫ゴム用防着剤を水に配合して得られる分散液に100℃の温度に加熱した天然ゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げ、ゴム表面が乾くまでの時間を目視にて測定する。下部に液溜まりができるがこれは全ての試験片に出来るので無視し、この状態に至るまでを乾燥時間として測定する。乾燥時間が100秒以下であれば、次の工程に移行するまでの待ち時間が少なく、乾燥性が良い。乾燥時間が100秒超であれば、次の工程に移行するまでの待ち時間が長く、作業性に支障をきたすため乾燥性が良くない。
未加硫ゴム用防着剤を水に配合して得られる分散液に100℃の温度に加熱した天然ゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げる。試験片が風乾したら2枚を重ね合わせ、1000kg/m2の荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置する。恒温槽から出した試験片を室温まで空冷し、引張り試験機テンシロン(PT−200N型、ミネベア株式会社)を用いて100mm/minの速度下で剥離抗力(N/mm)を測定した。剥離抗力が小さいほど剥がしやすく、防着性(防着力)が高い。剥離抗力が0.05N/mm以下の場合、大きな負荷なく未加硫ゴム同士を剥がすことができ、防着性が高い。剥離抗力が0.05N/mm超の場合、未加硫ゴム同士を剥がす時の負荷が大きく、防着性が低い。さらに剥離抗力が0.1N/mm超の場合、ゴム同士が密着して剥離が困難である。
未加硫ゴム用防着剤を水に配合して得られる分散液に100℃の温度に加熱した天然ゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げる。試験片が風乾したら500gの分銅を載せ、摩擦測定機(TR−2、東洋精機製作所株式会社製)を用いて分銅がゴム上を滑る際の摩擦抗力を測定した。摩擦抗力が小さいほど分銅がゴム上を滑りやすく、滑性に優れる。摩擦抗力が7N/mm以下の場合、大きな負荷なく分銅がゴム上を滑り、滑性が優れる。剥離抗力が7N/mm超の場合、分銅がゴム上を滑りにくく、滑性が劣る。さらに剥離抗力が10N/mm超の場合、分銅がゴム上を滑りにくく、滑性がさらに劣る。
天然ゴム試験片10×10cmを準備し、初期重量(W1)を測定した。未加硫ゴム用防着剤を水に配合して得られる分散液に、100℃に加熱されたゴム試験片を2回連続で浸漬してすぐに引き上げた。試験片が風乾したらその重量(W2)を測定した。さらに試験片の各6面をたわしで15回強くこすった後の試験片の重量(W3)を測定した。防着処理ゴムの粉付着量および粉飛散量は下記の式により計算される。
防着処理ゴムの粉付着量(mg/100cm2)=W2−W1
防着処理ゴムの粉飛散量(mg/100cm2)=W2−W3
防着処理ゴムの粉付着量が大きいほど、ゴムに混入する未加硫ゴム用防着剤の量が多くなり、ゴムの物理的性質に悪影響を与える。粉付着量が10mg/100cm2以下であれば、ゴムの物理的性質に大きな悪影響を与えず、好ましい。粉付着量が10mg/100cm2超であれば、ゴムの物理的性質に悪影響を与える場合があり好ましくない。
防着処理ゴムの粉飛散量が大きいほど、ゴム表面から粉落ちした粉塵による飛散問題が大きくなる。粉飛散量が1mg/100cm2以下であれば、粉塵発生の問題を大幅に低下できて、好ましい。粉飛散量が1mg/100cm2超であれば、ゴム表面から粉落ちした粉塵による飛散が発生し好ましくない。
全ての測定には、天然ゴムを用いた。用いた天然ゴムの比重は0.92であり、ムーニー粘度は45〜150である。
実施例および比較例で用いた微粉末の物性を以下に示す。
ベントナイト1:比重2.5、平均粒子径10μm、膨潤力20mg/2g
ベントナイト2:比重2.5、平均粒子径10μm、膨潤力40mg/2g
ベントナイト3:比重2.5、平均粒子径10μm、膨潤力60mg/2g
ベントナイト4:比重2.5、平均粒子径10μm、膨潤力6mg/2g
ベントナイト5:比重2.5、平均粒子径10μm、膨潤力10mg/2g
ベントナイト6:比重2.5、平均粒子径10μm、膨潤力14mg/2g
カオリン:比重2.6、平均粒子径10μm
マイカ:比重2.7、平均粒子径10μm
タルク:比重2.7、平均粒子径10μm
炭酸カルシウム:比重2.6、平均粒子径10μm
炭酸マグネシウム:比重2.5、平均粒子径10μm
ヤシ油脂肪酸カリウム:比重1.0、平均粒子径7μm
オレイン酸カリウム:比重1.0、平均粒子径7μm
ステアリン酸カルシウム:比重1.1、平均粒子径10μm
ラウリン酸ナトリウム:比重0.9、平均粒子径10μm
パラフィンワックス:比重0.9、平均粒子径8μm
カルナバワックス:比重1.0、平均粒子径7μm
ポリエチレンワックス:比重0.9、平均粒子径5μm
ポリスチレン樹脂:比重1.1、平均粒子径5μm
ポリメチルメタクリレート樹脂:比重1.0、平均粒子径5μm
実施例および比較例で用いた界面活性剤の組成を以下に示す。
アセチレン系1:2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのエチレンオキサイド付加物(付加モル数20)
アセチレン系2:2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのエチレンオキサイド(付加モル数10)/プロピレンオキサイド(付加モル数40)ブロック型付加物
アセチレン系3:5,8−ジメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのエチレンオキサイド(付加モル数10)/プロピレンオキサイド(付加モル数10)ランダム型付加物
ポリカルボン酸系1:無水マレイン酸とイソブチレンの共重合物ナトリウム塩
ポリカルボン酸系2:マレイン酸とスチレンの共重合物ナトリウム塩
ポリカルボン酸系3:無水マレイン酸とアクリル酸の共重合物ナトリウム塩
ナフタレン系1:デシルメチルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩
ナフタレン系2:ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩
メラミン系1:メラミンスルホン酸ナトリウム塩
メラミン系2:メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩
リグニン系1:リグニンスルホン酸ナトリウム塩
〔ポリビニルアルコールの水溶性フィルム〕
実施例および比較例で用いた水溶性フィルムの重合度は、いずれも2000である。
ベントナイト1の50g、カオリン20g、炭酸カルシウム30g、アセチレン系界面活性剤1の5g、POE(25)ラウリルエーテル5gを均一に混合して、未加硫ゴム用防着剤を得た。未加硫ゴム用防着剤は、モンモリロナイト含有率24%であった。
さらに、イオン交換水100gに、前記未加硫ゴム用防着剤2.041gを攪拌しながら加え、水中に均一に分散した未加硫ゴム用防着剤の分散液を得た。分散液は、不揮発分濃度2.0wt%、分散液粘度5mPa・sであった。
得られた分散液に100℃に加熱された天然ゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げた。ゴム表面が乾くまでの時間を目視にて測定したところ、乾燥時間は23秒であり乾燥性に優れていた。ゴム試験片が風乾したら2枚を重ね合わせ、1000kg/m2の荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置した。剥離抗力は0.009N/mmであり、負荷なく剥離することができ、防着性が優れていた。また、摩擦抗力は3.5N/mmで、滑性が優れていた。粉付着量は5.3mg/100cm2、粉飛散量は0.2mg/100cm2で、脱落による粉塵発生の問題が大幅に低減されていた。
実施例2〜14では、実施例1において、表1および表2に示すように組成をそれぞれ変更する以外は、実施例1と同様に未加硫ゴム用防着剤をそれぞれ得て、物性等も実施例1と同様に評価した。その結果を表1および表2にそれぞれ示す。それらは未加硫ゴムに対する接着性に優れ脱落による粉塵発生の問題が大幅に低減されており、防着性および滑性に優れていた。
ベントナイト1の50重量部、カオリン20重量部、炭酸カルシウム30重量部、アセチレン系界面活性剤1の重量部、POE(25)ラウリルエーテル5重量部を均一に混合して、防着性成分を得た。
さらに、けん化度86〜90%、厚さ40μm、溶解時間40秒のポリビニルアルコールの水溶性フィルム0.061g(大きさ:約3cm×約1.5cm)を準備し、この水溶性フィルムで、防着性成分1.980gをパックして、未加硫ゴム用防着剤である未加硫ゴム用防着剤パック(総重量2.041g)を得た。未加硫ゴム用防着剤パックは、モンモリロナイト含有率23%であった。
次いで、未加硫ゴム用防着剤パック2.041gをイオン交換水100gに攪拌しながら加え、水中に均一に分散した分散液を得た。分散液は、不揮発分濃度2.0wt%、分散液粘度5mPa・sであった。分散液を作製する際に粉塵発生は全くなかった。
得られた分散液に100℃に加熱された天然ゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げた。ゴム表面が乾くまでの時間を目視にて測定したところ、乾燥時間は23秒であり乾燥性に優れていた。ゴム試験片が風乾したら2枚を重ね合わせ、1000kg/m2の荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置した。剥離抗力は0.009N/mmであり、負荷なく剥離することができ、防着性が優れていた。また、摩擦抗力は3.5N/mmで、滑性が優れていた。粉付着量は5.3mg/100cm2、粉飛散量は0.2mg/100cm2で、脱落による粉塵発生の問題が大幅に低減されていた。
実施例16〜21では、実施例15において、表3に示すように組成をそれぞれ変更する以外は実施例15と同様にして、防着性成分および未加硫ゴム用防着剤パックをそれぞれ得て、物性等も実施例15と同様に評価した。その結果を表2に示す。それらは未加硫ゴムに対する接着性に優れ脱落による粉塵発生の問題が大幅に低減されており、防着性および滑性に優れていた。
ベントナイト4の50g、カオリン20g、炭酸カルシウム30g、POE(25)ラウリルエーテル10gを均一に混合して、未加硫ゴム用防着剤を得た。未加硫ゴム用防着剤は、モンモリロナイト含有率7.3%であった。
さらに、イオン交換水100gに、前記未加硫ゴム用防着剤2.041gを攪拌しながら加え、水中に均一に分散した未加硫ゴム用防着剤の分散液を得た。分散液は、不揮発分濃度2.0wt%、分散液粘度2mPa・sであった。
得られた分散液に100℃に加熱された天然ゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げた。ゴム表面が乾くまでの時間を目視にて測定したところ、乾燥時間は23秒であり乾燥性に優れていた。ゴム試験片が風乾したら2枚を重ね合わせ、1000kg/m2の荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置した。剥離抗力は0.08mmで防着性に優れなかった。また、摩擦抗力は10N/mm超で、滑性に優れなかった。粉付着量は5.8mg/100cm2、粉飛散量は1.2mg/100cm2で、粉付着量が10mg/100cm2超、粉飛散量が1mg/100cm2超であり、脱落による粉塵飛散が発生した。
比較例1は、実施例1〜21と比較して、防着性、滑性および脱落による粉塵飛散が劣っていた。
比較例2〜21では、比較例1において、表4および表5に示すように組成をそれぞれ変更する以外は、比較例1と同様に未加硫ゴム用防着剤をそれぞれ得て、物性等も比較例1と同様に評価した。得られた比較例の物性等の結果も、表4および表5にそれぞれに示す。実施例1〜21と比較して、防着性、滑性および脱落による粉塵飛散が劣っていた。
上記実施例および比較例において、POE(n)とは、ポリオキシエチレン(オキシエチレンの繰返し単位数:n)を意味する。
Claims (8)
- モンモリロナイトを必須成分とする微粉末と、アセチレン系非イオン性界面活性剤、ポリカルボン酸系アニオン性界面活性剤、ナフタレン系アニオン性界面活性剤、メラミン系アニオン性界面活性剤およびリグニン系アニオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤Aを必須成分とする界面活性剤とを含有し、
前記微粉末を100重量部としたときに、前記界面活性剤が1〜60重量部であり、
モンモリロナイトの含有率が20〜50重量%である、
未加硫ゴム用防着剤。 - 前記ナフタレン系アニオン性界面活性剤が、アルキルナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、これらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびアミン塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の未加硫ゴム用防着剤。
- 前記微粉末が、スメクタイト、カオリン、フィロ珪酸塩、炭酸塩、脂肪酸石鹸、金属石鹸、ワックス、アクリル樹脂およびスチレン系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1または2に記載の未加硫ゴム用防着剤。
- 前記界面活性剤が、前記界面活性剤A以外の非イオン性界面活性剤および/またはアニオン性界面活性剤をさらに含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の未加硫ゴム用防着剤。
- 前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油から選ばれる少なくとも1種であり、前記アニオン性界面活性剤が、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩および長鎖スルホコハク酸塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載の未加硫ゴム用防着剤。
- ポリビニルアルコールの水溶性フィルムにより包装されている、請求項1〜5のいずれかに記載の未加硫ゴム用防着剤。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の未加硫ゴム用防着剤を、成形加工された未加硫ゴムの表面に付着させる処理工程を含む、防着処理された未加硫ゴムの製造方法。
- 前記処理工程を、水100重量部に対して前記未加硫ゴム用防着剤0.5〜10重量部を配合した分散液に前記未加硫ゴムを浸漬して行う、請求項7に記載の防着処理された未加硫ゴムの製造方法。
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