JP6546029B2 - 未加硫ゴム用防着剤及びその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、未加硫ゴム用防着剤及びその利用に関する。
ゴム製品の生産加工工程において、未加硫ゴムを次の成型や加硫等の工程に移行するまでの間、積み重ねて貯蔵することがあり、この場合にゴムの密着を防止する目的で密着防止剤(防着剤)が使用されている。
従来、この防着剤としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ベントナイト等の無機粒子が、防着性に優れるために使用されている。その使用方法としては、粉末のままゴムに吹き付ける方法や、粉末中を通過させる方法等のいわゆるドライ法;前記無機粒子の粉末を水に懸濁させ、その懸濁液をスプレーする方法や、細流にてゴムに吹き付ける方法や懸濁液中に浸漬する方法等のいわゆるウェット法を挙げることができる。ウェット法における水の使用目的は作業性の向上の他にゴムの冷却をも兼ねている。また、押出機を使用したタイヤのチューブ等の中空で薄肉の円筒成形では、防着剤を混入した空気をチューブに吹き込みながら押出成形することで、円筒の内面が密着しないようにしている。
このような無機粒子を使用した防着剤を使用する際に、ゴム表面に付着させた後、次の成型や加硫等の工程に移行するまでの間に粉落ちして粉塵が発生するといった問題がある。粉塵発生による作業環境の汚染を抑制する方法として、局所排気装置を設置する手段もあるが、設備投資費用が必要であるし根本的な解決にはならない。
この対策として、防着剤の脱落防止性を向上させた、様々な防着剤が開発されているが上記問題を解決し、かつ防着剤に要求される各特性を充分に満たす防着剤はこれまでにない。
特許文献1では造膜性を有する水溶性高分子と陰イオン界面活性剤又は非イオン活性剤とからなる防着用組成物が開示されている。この防着用組成物は無機粒子の粉末を使用しないことを特徴としており、防着処理後の粉塵飛散を軽減できる。しかし、充分な防着性を発揮させるためには、高濃度で使用することが必要であり、その場合、水溶性高分子の保水性が著しく高くなり、防着剤組成物を塗布した後の乾燥工程に時間がかかり、生産性を悪化させる。
特許文献2ではモンモリロナイトを必須とする微粉末と特定の界面活性剤とからなる防着剤組成物が開示されている。モンモリロナイトが水膨潤性を示すことから、水中で微粉末となり、防着処理後のゴム表面に緻密に付着して脱落し難いという特徴を有する。しかし、モンモリロナイトが水膨潤性を示すために、防着剤液に粘性が付与される。そのため、夏場の高温下で防着剤液が濃縮されると、防着剤液の粘度が著しく高くなり、防着剤の不均一な付着を引き起こしたり、保水性が著しく高くなり、乾燥性を悪化させたりする。
以上のように、脱落防止性を向上させた防着剤が特許文献1及び2に示されているが、同時に、防着剤に要求される特性を充分に満たしていない。
特開昭62−32127号公報 特開平23−144221号公報
本発明の目的は、脱落防止性、防着性及び乾燥性に優れた未加硫ゴム用防着剤と、その未加硫ゴム用防着剤を使用して行われる防着処理された未加硫ゴムの製造方法とを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の焼成カオリン(A)と、水膨潤性無機粉末及び界面活性剤を特定量含む防着剤によって、上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の未加硫ゴム用防着剤は、吸油量が50ml/100g以上である焼成カオリン(A)、水膨潤性無機粉末及び界面活性剤を含み、前記焼成カオリン(A)、前記水膨潤性無機粉末及び前記界面活性剤の合計量に対して、前記焼成カオリン(A)の重量割合が5〜90重量%、前記水膨潤性無機粉末の重量割合が5〜85重量%、前記界面活性剤の重量割合が1〜25重量%である
防着剤組成物の不揮発分に対する結晶性シリカの重量割合が0〜20重量%であると好ましい。
本発明の防着処理された未加硫ゴムの製造方法は、未加硫ゴム用防着剤組成物を、成型加工された未加硫ゴムの表面に付着させる処理工程を含む。
本発明の未加硫ゴム用防着剤は、脱落防止性、防着性及び乾燥性に優れる。
また、本発明の未加硫ゴムの製造方法では、本発明の未加硫ゴム用防着剤を用いるために、未加硫ゴムへの付着性に優れ、防着処理作業場でのゴム製品への異物混入が少なく、良好な防着性と乾燥性を発揮するため、従来よりも効率よく未加硫ゴムを製造できる。
〔未加硫ゴム用防着剤〕
本発明の未加硫ゴム用防着剤は、特定の焼成カオリン(A)を含む防着剤である。以下、下記成分を詳しく説明する。
焼成カオリン(A)は、本発明に必須の成分であり、優れた防着性及び脱落防止性を有する。本発明で使用する焼成カオリン(A)の吸油量は50ml/100g以上であり、好ましくは60ml/100g以上、より好ましくは80ml/100g以上である。吸油量が50ml/100g未満の焼成カオリン(A)を使用すると、十分な防着剤成分の脱落防止効果が得られない。
吸油量は高い方が防着剤成分は脱落しづらい。吸油量の高い焼成カオリン(A)の方が低い場合と比較して防着剤成分が脱落しづらい理由としては、定かではないが、次のように推定している。
一般に、吸油量が高いものほど比表面積が大きい。一方、粒子表面は帯電しているためゴム面への付着性を有する。よって、吸油量が高いものほど付着性を有する総面積が大きいため、脱落防止性に優れる。
本発明で使用する焼成カオリン(A)の吸油量の上限は、200ml/100gである。
なお、上記吸油量は、JIS K−5101−13−1に準じた方法で測定する。手順は次のとおりである。まず、焼成カオリン(A)試料を70〜80℃に保たれた乾燥機に10時間放置したあと、デシケータ中で室温まで自然に冷却させる。その後ガラス板上に試料を約1グラム秤取し、正確な重量を記録する。次に、精製アマニ油をビューレットから少量ずつ焼成カオリン(A)試料の中央に滴下しながらヘラを用いて全体が均一になるように練りまぜる。滴下と練りまぜを繰り返し、全体が均一なかたまりとなり、ヘラでらせん状に巻き起こすことができるようになった時点を終点とする。吸油量は次式(1)によって求められる。
吸油量(ml/100g)=精製アマニ油の滴下量(ml)/焼成カオリン(A)試料の重量(g)×100 (1)
焼成カオリン(A)は、おもに湿式カオリンを高温で処理することによって得られ、結晶水を放出することにより結晶構造が変化したものである。焼成カオリン(A)を作製するときの焼成温度は通常500〜1200℃の範囲で行われる。本発明における焼成温度は好ましくは500〜900℃、より好ましくは525〜800℃、最も好ましくは550〜700℃である。焼成温度が500℃未満であると、結晶水が放出されず未焼成カオリン(A)となり、充分な脱落防止性と防着性が得られない場合がある。逆に1200℃超であると、焼成カオリン(A)が持つ防着性が著しく悪化し、防着性不足の防着剤となることがある。
焼成カオリン(A)の原料として主に用いられる湿式カオリンとは、カオリン鉱床から採掘されたカオリン原土を水によって精製及び漂白することによって不純物を除去したものである。これに対して、乾式で精製及び分級し粒度を調整したものを乾式カオリンという。本発明で使用する焼成カオリン(A)は、湿式カオリン又は乾式カオリンのどちらを焼成して得られたものでもよい。また、焼成カオリン(A)に焼成処理を行っていない乾式又は湿式カオリンを加えてもよい。
焼成カオリン(A)は、たとえば、Neogen2000、Polestar450、ARGICAL−C88R、MetaStar501(イメリス社製)、アイスバーグ、オプチホワイト(バーゲス・ピグメント社製)などの市販品を挙げることができる。
また、焼成カオリン(A)は、不純物として結晶性シリカを含有することがあるが、
結晶性シリカは親水性が低く分散性が悪いため、その含有量は、なるべく少ないことが好ましい。結晶性シリカとしては、石英、クリストバライト、トリジマイト、コーサイト、ステイショバライト等が挙げられる。結晶性シリカ含有量は焼成カオリン(A)を100重量%としたときに、好ましくは20重量%未満、特に好ましくは10重量%未満、最も好ましくは5重量%未満である。20重量%以上であると、焼成カオリン(A)の分散性が悪化し、ゴム表面への付着が不均一となるので粉塵飛散が多くなる。
また、焼成カオリン(A)の平均粒子径については、特に限定はないが、未加硫ゴムへの付着性等を考慮すると、好ましくは0.1〜200μm、より好ましくは0.1〜100μm、さらに好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.1〜40μm、最も好ましくは0.1〜30μmである。
本発明の未加硫ゴム用防着剤は、上記で説明した成分以外に、下記成分をさらに含有していてもよい。
(水膨潤性無機粉末)
水膨潤性無機粉末は、防着剤の防着性と脱落防止性を向上する。
前記水膨潤性無機粉末は、水を吸収し体積が増大する性質を持つ無機粉末をいう。前記水膨潤性無機粉末としては例えば、ベントナイト、サポナイト、ヘクトライト、パイデライト、ノントロナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、無水ケイ酸が挙げられ、これらは天然物でも良いし合成物でも良い。前記水膨潤性無機粉末は、1種又は2種以上を含んでいてもよい。また、前記水膨潤性無機粉末は、防着剤の脱落防止性の観点から、ベントナイト、サポナイト、ヘクトライトが特に好ましい。
また、水膨潤性無機粉末は、不純物として結晶性シリカを含有することがあるが、
結晶性シリカは親水性が低く分散性が悪いため、その含有量は、なるべく少ないことが好ましい。結晶性シリカとしては、石英、クリストバライト、トリジマイト、コーサイト、ステイショバライト等が挙げられる。結晶性シリカ含有量は水膨潤性無機粉末を100重量%としたときに、好ましくは20重量%未満、特に好ましくは10重量%未満、最も好ましくは5重量%未満である。20重量%以上であると、水膨潤性無機粉末の分散性が悪化し、ゴム表面への付着が不均一となるので粉塵飛散が多くなる。
また、水膨潤性無機粉末の平均粒子径については、特に限定はないが、未加硫ゴムへの付着性等を考慮すると、好ましくは0.1〜200μm、より好ましくは0.1〜100μm、さらに好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.1〜40μm、最も好ましくは0.1〜30μmである。
(界面活性剤)
界面活性剤は、未加硫ゴムに対して「濡れ」を補助する成分である。界面活性剤が本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物に含まれていることによって、焼成カオリン(A)や水膨潤性無機粉末を、より均一に未加硫ゴム表面に被膜化できる。
本発明で用いられる界面活性剤は、特に限定はないが、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤等から選ばれるものであればよく、1種又は2種以上を含んでいてもよい。
非イオン界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンアルキルアミン;脂肪酸アルカノールアミド;ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド;ポリオキシアルキレン硬化ひまし油;ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリグリセリン脂肪酸エステル;アルキルグリセリンエーテル;ポリオキシアルキレンコレステリルエーテル;アルキルポリグルコシド;ショ糖脂肪酸エステル;オキシエチレンーオキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられる。
陰イオン界面活性剤としては、たとえば、オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、オレイン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩;2−エチルヘキシルスルホコハク酸Na等の長鎖スルホコハク酸塩;オレオイルザルコシンNa、ラウロイルザルコシンNa等のN‐アシルサルコシン塩;ステアロイルメチルタウリンNa、ラウロイルメチルタウリンNa、ミリストイルメチルタウリンNa、パルミトイルメチルタウリンNa等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩;モノステアリルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩;ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムモノナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ジナトリウム等の長鎖N−アシルグルタミン酸塩等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、たとえば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;ジアルキルジメチルアンモニウム塩;トリアルキルメチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩が挙げられる。
両性界面活性剤としては、たとえば、2−ウンデシル−N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤;2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のベタイン系両性界面活性剤;N−ラウリルグリシン、N−ラウリルβ−アラニン、N−ステアリルβ−アラニン等のアミノ酸型両性界面活性剤等が挙げられる。
(金属石鹸)
金属石鹸は水膨潤性無機粉末と同様に、未加硫ゴム表面に付着し、未加硫ゴム間の密着を防止したり、未加硫ゴム間の摩擦を軽減したりする成分である。
金属石鹸としては、たとえば、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシウム、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、トリオクタデカン酸アルミニウム、ジオクタデカン酸アルミニウム、モノオクタデカン酸アルミニウム、オクタデカン酸カルシウム、オクタデカン酸亜鉛、オクタデカン酸マグネシウム、オクタデカン酸バリウム等からなる粒子が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。
(多価アルコール)
多価アルコールは未加硫ゴム表面に付着し、未加硫ゴム間に潤滑性を付与し、未加硫ゴム間の摩擦を軽減する成分である。
多価アルコールとしては特に限定はないが、たとえば、グリセリン、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、マルトトリオース、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース等が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。
(消泡剤)
消泡剤としては、たとえば、ポリメチルシロキサン、ポリエーテル変性シリコー等のシリコーン系消泡剤;ヒマシ油、ゴマ油、アマニ油、動植物油等の油脂系消泡剤;ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の脂肪酸系消泡剤;ステアリン酸イソアミル、コハク酸ジステアリル、エチレングリコールジステアレート、ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル系消泡剤;ポリオキシアルキレンモノハイドリックアルコールジ−t−アミルフェノキシエタノール、3−ヘプタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール系消泡剤;ジ−t−アミルフェノキシエタノール3−ヘプチルセロソルブノニルセロソルブ3−ヘプチルカルビトール等のエーテル系消泡剤;トリブチルオスフェート、トリス(ブトキシエチル)フオスフェート等のリン酸エステル系消泡剤;ジアミルアミン等のアミン系消泡剤;ポリアルキレンアミド、アシレートポリアミン等のアミド系消泡剤;ラウリル硫酸エステルナトリウム等の硫酸エステル系消泡剤;ポリオキシアルキレン系消泡剤;鉱物油等が挙げられる。
(防腐剤)
防腐剤としては、たとえば、チアゾール、2−メルカプトチアゾール等のチアゾール類;メチレンビスチオシアネート、アンモニウムチオシアネート等のチオシアネート類;o−ベンゾイックスルフィミド、フェニルマーキュリック−o−ベンゾイックスルフィミド等のスルフィミド類;メチルジメチルチオカルバメート、エチルジエチルジチオカルバメート等のアルキルジアルキルチオカルバメート類;テトラメチルチラウムスルフィド、テトラエチルチラウムスルフィド等のチラウムスルフィド類;テトラメチルチラウムジスルフィド、テトラエチルチラウムジスルフィド等のチラウムジスルフィド類;フェリックジエチルジチオカルバメート、リードジメチルジチオカルバメート等のジチオカルバメート類;o−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルフォンアニリド等のスルファミド類;1−アミノナフチル−4−スルホン酸、1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸等のアミノスルホン酸類;ペンタクロロフェノール、o−フェニルフェノール等のフェノール類及びこれらのアルカリ金属塩類;;テトラクロロ−p−ベンゾキノン、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン等の塩化キノン類;ジニトロカプリルフェニルクロトネート、ジニトロ−o−クレゾール等のニトロ基含有化合物類;1,3,5−トリヒドロキシエチルヘキサハイドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリエチルヘキサハイドロ−1,3,5−トリアジン等のトリアジン類;フェニルマーキュリックフタレート、o−ヒドロキシフェニルマーキュリッククロライド等の有機水銀化合物;p−アミノアゾベンゼン、ジフェニルアミン等のアミン類;シンナムアニリド等のアミド類;1,3−ジヨード−2−プロパノール等のヨウ素含有化合物等が挙げられる。
(水)
水は、水道水、イオン交換水、蒸留水等のいずれでもよく、特に限定はないが、イオン交換水や蒸留水等が好ましい。また、水の硬度の観点からは、水が軟水であると、品質管理の観点から好ましい。
未加硫ゴム用防着剤に焼成カオリン(A)、水膨潤性無機粉末、界面活性剤を含む場合、特に限定はないが、以下に説明する配合割合であるとよい。
焼成カオリン(A)の重量割合は、焼成カオリン(A)、水膨潤性無機粉末、および界面活性剤の合計量に対して、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは10〜85重量%、特に好ましくは15〜80重量%、最も好ましくは20〜75重量%である。5重量%未満では防着性が低下することがあり、90重量%超では乾燥性が悪化したりゴム表面から脱落し粉塵飛散したりする場合がある。
水膨潤性無機粉末の重量割合は、焼成カオリン(A)、水膨潤性無機粉末、および界面活性剤の合計量に対して、好ましくは5〜85重量%、より好ましくは10〜80重量%、特に好ましくは15〜75重量%、最も好ましくは20〜70重量%である。5重量%未満では防着性が低下することがあり、85重量%超ではゴム表面から脱落し粉塵飛散となる場合がある。
界面活性剤の重量割合は、焼成カオリン(A)、水膨潤性無機粉末、および界面活性剤の合計量に対して、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは1〜15重量%、最も好ましくは1〜10重量%である。1重量%未満ではゴム表面への濡れ性が悪くなり防着性が低下し、25重量%超ではゴム表面の付着が薄くなり防着性が低下する場合がある。
本発明の防着剤組成物の不揮発分に対する結晶性シリカの重量割合は、本願効果の観点から、0〜20重量%が好ましく、0〜10重量%がより好ましく、0〜5重量%がさらに好ましく、0〜1重量%が特に好ましい。
なお、防着剤組成物の不揮発分とは、水分などを除くための熱乾燥工程後においてもゴム表面に残存する防着剤組成物中の成分を意味し、防着剤組成物を105℃で熱処理して水や溶剤などの揮発分を除去し、恒量に達したときの揮発せずに残存した成分を意味する。
(その他成分)
無機粉末としては、たとえば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;クレー、タルク、マイカ、セリサイト等のケイ酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;非晶質シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、ホワイトカーボン、酸化鉄等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄等の金属水酸化物;ベンガラ;カーボンブラック;グラファイト、吸油量が50ml/100g未満の焼成カオリン等が挙げられる。
(未加硫ゴム用防着剤の製造方法)
本発明の未加硫ゴム用防着剤の製造方法については、焼成カオリン(A)さらにその他の成分等を混合する工程を含むものであれば、混合順序や使用する混合設備等について特に限定はない。未加硫ゴム用防着剤は、たとえば、リボン型混合機等の粉体混合機に各成分を順次添加し、混合することで製造することができる。
(防着処理された未加硫ゴムの製造方法)
本発明の防着処理された未加硫ゴムの製造方法は、上記未加硫ゴム用防着剤組成物を、未加硫ゴムの表面に付着させる処理工程を含む。ここで、未加硫ゴムは、成形加工されたものであるとよい。
処理工程では、ウェット法、すなわち、未加硫ゴム用防着剤組成物として水が配合された分散液を用いる方法が好ましい。
ウェット法で処理工程を行う場合、未加硫ゴム用防着剤組成物(分散液)をスプレーする方法や、細流にてゴムに吹き付ける方法や分散液中に浸漬する方法等が挙げられる。分散液中に浸漬する方法では、均一に未加硫ゴム用防着剤組成物を付着させることができるため好ましい。本発明の製造方法で用いる未加硫ゴムは、通常、100〜180℃に加熱された状態にあり、分散液中に浸漬する方法で未加硫ゴムを冷却することができる。分散液の温度は特に限定はないが、0〜60℃であると好ましい。次いで、分散液を付着後に未加硫ゴムを乾燥する工程を実施してもよい。乾燥の方法としては、特に限定はないが熱風機やブローヒーターにより熱風を送ることで強制的に乾燥させる方法であると、コストが安くてよい。
当該分散液の濃度は、良好な防着性と乾燥性を発揮しやすい観点から、0.01〜10%が好ましく、0.05〜7.5%がより好ましく、0.1〜5.0%がさらに好ましい。0.01%未満では、防着性が悪化する可能性があり、10%超では、乾燥性が悪化する可能性がある。
処理工程では、ドライ法、すなわち、水が配合されていない未加硫ゴム用防着剤を用いる方法を行ってもよい。
このようにして製造された、防着処理された未加硫ゴムでは、次の工程に移行するまでの間、積み重ねて貯蔵する場合に、未加硫ゴム同士の密着を防止することができる。
以下に、本発明を実施例及び比較例を示して具体的に説明する。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例における各物性の評価は、以下のようにして行った。
[防着性]
未加硫ゴム用防着剤組成物又は分散組成物に対して、100℃に加熱したNR/BR試験片(天然ゴム/ブタジエンゴム;厚み0.5cm×縦5cm×横3cm)を浸漬して直ちに引き上げる。浸漬させたゴム試験片を2枚作製し、風乾したら重ね合わせ、1000kg/mの荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置する。恒温槽から取出した試験片を室温まで空冷し、引張り試験機を用いて100mm/minの速度下で剥離抗力(N/cm)を測定した。剥離抗力が小さいほど剥がしやすく、防着性が高い。評価基準は次の通りであり、剥離抗力が2N/cm未満の場合を合格とした。
剥離抗力が1N/cm以下:防着性は非常に良好(容易に未加硫ゴム同士を剥がすことができる、指標は◎)
剥離抗力が1N/cm超2N/cm未満:防着性は良好(負荷なく未加硫ゴム同士を剥がすことができる、指標は○)
剥離抗力が2N/cm以上3N/cm以下:防着性は不良(未加硫ゴム同士を剥がす時の負荷が大きく、防着性が低い、指標は△)
剥離抗力が3N/cm超:防着性が非常に不良(ゴム同士が密着して剥離が困難である。防着性が非常に低い、指標は×)
[乾燥性]
未加硫ゴム用防着剤組成物または分散組成物に対して、100℃に加熱したNR/BRゴム試験片(天然ゴム/ブタジエンゴム;厚み0.5cm×縦5cm×横3cm)を浸漬し、直ちに引き上げた。そして、未加硫ゴム表面が乾くまでに要した時間を目視にて測定する。下部に液だまりができるがこれは全ての試験片に出来るので無視し、この状態に至るまでの乾燥時間を測定する。
乾燥時間が35秒以下:乾燥性は良好(次工程に移行するまでの待ち時間が少ない、指標は○)
乾燥時間が35秒超:乾燥性は不良(次工程に移行するまでの待ち時間が長い、指標は×)
[脱落防止性]
NR/BRゴム試験片(天然ゴム/ブタジエンゴム;厚み0.5cm×縦10cm×横10cm)を準備し、未加硫ゴム用防着剤組成物または分散組成物に対して、100℃に加熱されたゴム試験片を2回連続で浸漬し、すぐに引き上げた。試験片が風乾したら、試験片の各6面を手で10回こすり、未加硫ゴム用防着剤組成物の脱落防止性を目視で評価した。
手に成分が付着しない:脱落防止性が特に高い(ゴムへの異物が特に少ない、指標は◎)
周辺に成分の飛散はないが、手に成分が付着する:脱落防止性が高い(ゴムへの異物が少ない、指標は○)
手に成分が付着し、さらに周辺に成分が飛散する:脱落防止性が低い(ゴムへの異物が多い、指標は×)
[結晶性シリカ]
実施例および比較例で用いた焼成カオリン(A)、水膨潤性無機粉末およびその他の無機粉末に含まれる結晶性シリカの含有量は表1および表2に示す。
結晶性シリカの含有量は粉末X線回折により測定した。測定値が検出限界値未満である場合、含有量を0重量%とした。
(実施例1)
焼成カオリン(A)(吸油量:50mg/100g)90g、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム10gを均一に混合して、未加硫ゴム用防着剤組成物を得た。
次いで、水道水98gに上記防着剤組成物を2g加え、水中に均一分散させて、未加硫ゴム用防着剤組成物(分散液)を得た。得られた分散液を用いて、防着性、乾燥性、脱落防止性を評価した。評価の結果は表1に示すとおりで、防着性、乾燥性及び脱落防止性に優れた。
(実施例2〜13)
実施例2〜13では、表1に示すように組成を変更した以外は、実施例1と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物(分散液)を得て、評価した。評価の結果は表1に示すとおりで、防着性、乾燥性及び脱落防止性に優れた。ただし、表1中、実施例1〜5、11及び12は、それぞれ参考例1〜5、11及び12とする。
(比較例1)
焼成カオリン(A)(吸油量:40mg/100g)90g、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム10gを均一に混合して、未加硫ゴム用防着剤組成物を得た。
次いで、水道水98gに上記防着剤組成物を2g加え、水中に均一分散させて、未加硫ゴム用防着剤組成物(分散液)を得た。得られた分散液を用いて、防着性、乾燥性、脱落防止性を評価した。評価の結果は表2に示すとおりで、十分な防着性と脱落防止性を示さなかった
(比較例2〜7)
比較例2〜7では、表2に示すように組成を変更した以外は、比較例1と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物(分散液)を得て、評価した。その結果を表2にそれぞれ示す。
比較例2〜7では、実施例と比較して、乾燥性、防着性及び脱落防止性のいずれかの課題が達成されていなかった。
Figure 0006546029
Figure 0006546029
上記実施例および比較例において、POE(n)とは、ポリオキシエチレン(オキシエチレンの繰返し単位数:n)を意味する。
表1から分かるように、実施例1〜13の未加硫ゴム用防着剤組成物は、吸油量が50ml/100g以上である焼成カオリン(A)を含むため、防着性、乾燥性、脱落防止性が優れている。一方、表2から分かるように、比較例1〜7の未加硫ゴム用防着剤組成物は、焼成カオリン(A)を使用しているものの、吸油量が50ml/100g未満であるために本願の効果が得られていない。また、焼成カオリン(A)ではなく湿式カオリンを用いている場合(比較例5)、カオリンを含まない場合(比較例6および7)には、本願の効果が得られていない。
本発明の未加硫ゴム用防着剤は、未加硫ゴム製品の生産加工工程に用いられ、未加硫ゴムを次の成型や加硫等の工程に移行するまでの間、積み重ねて貯蔵する場合にゴムの密着を防止することができる。その際、防着剤の脱落防止性が高く、異物混入の低減が可能となる。

Claims (3)

  1. 吸油量が50ml/100g以上である焼成カオリン(A)、水膨潤性無機粉末及び界面活性剤を含み、前記焼成カオリン(A)、前記水膨潤性無機粉末及び前記界面活性剤の合計量に対して、前記焼成カオリン(A)の重量割合が5〜90重量%、前記水膨潤性無機粉末の重量割合が5〜85重量%、前記界面活性剤の重量割合が1〜25重量%である、未加硫ゴム用防着剤組成物。
  2. 防着剤組成物の不揮発分に対する結晶性シリカの重量割合が0〜20重量%である、請求項1に記載の未加硫ゴム用防着剤組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の未加硫ゴム用防着剤組成物を、成型加工された未加硫ゴムの表面に付着させる処理工程を含む、防着処理された未加硫ゴムの製造方法。
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