JP6704710B2 - 未加硫ゴム用防着剤及びその利用 - Google Patents

未加硫ゴム用防着剤及びその利用 Download PDF

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Description

本発明は、未加硫ゴム用防着剤及びその利用に関する。
ゴム製品の生産加工工程において、未加硫ゴムを次の成型や加硫等の工程に移行するまでの間、積み重ねて貯蔵することがあり、この場合にゴムの密着を防止する目的で密着防止剤(防着剤)が使用されている。
従来、この防着剤としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ベントナイト等の無機粒子が、防着性に優れるために使用されている。その使用方法としては、粉末のままゴムに吹き付ける方法や、粉末中を通過させる方法等のいわゆるドライ法;前記無機粒子の粉末を水に懸濁させ、その懸濁液をスプレーする方法や、細流にてゴムに吹き付ける方法や懸濁液中に浸漬する方法等のいわゆるウェット法を挙げることができる。ウェット法における水の使用目的は作業性の向上の他にゴムの冷却をも兼ねている。また、押出機を使用したタイヤのチューブ等の中空で薄肉の円筒成形では、防着剤を混入した空気をチューブに吹き込みながら押出成形することで、円筒の内面が密着しないようにしている。
このような無機粒子を使用した防着剤を使用する際に、ゴム表面に付着させた後、次の成型や加硫等の工程に移行するまでの間に粉落ちして粉塵が発生するといった問題がある。粉塵発生による作業環境の汚染を抑制する方法として、局所排気装置を設置する手段もあるが、設備投資費用が必要であるし根本的な解決にはならない。
この対策として、無機粒子を使用しない脂肪酸石鹸と金属石鹸主体の防着剤が開発されている。しかし、製品の安定性が悪いため、保管条件によっては増粘して取り扱いが困難となる問題があった。また、製品安定性が良くても、ゴムへの濡れ性や密着防止性(防着性)に劣ることがあった。
特許文献1では炭素数および金属イオンを限定した脂肪酸石鹸と金属石鹸および
特定の界面活性剤を水に分散させた組成物をゴム面に塗布して防着する方法が開示されている。
特許文献2でも炭素数および金属イオンを限定した脂肪酸石鹸と金属石鹸および
特定の金属の硫酸塩、酢酸塩、塩酸塩を水に分散させた組成物をゴム面に塗布して防着する方法が開示されている。
ともに、脂肪酸石鹸と金属石鹸を主体とした組成物で無機粒子の粉塵による汚染を抑制できる。しかし、組成物の安定性、濡れ性、防着性のすべてを満足するものは無かった。
特開昭49−18780号公報 特開昭55−112202号公報
本発明はこのような従来の問題点に鑑み、静置安定性、濡れ性及び防着性に優れる未加硫ゴム用防着剤と、その未加硫ゴム用防着剤を使用して行われる防着処理された未加硫ゴムの製造方法とを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の脂肪酸石鹸と金属石鹸を含み、特定の粘度を示す防着剤によって、上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の未加硫ゴム用防着剤は、水と脂肪酸石鹸と金属石鹸とを含み、
前記脂肪酸石鹸に占める炭素数6〜10の脂肪酸石鹸の重量割合が1035重量%、炭素数12〜16の脂肪酸石鹸の重量割合が2545重量%、炭素数18〜22の脂肪酸石鹸の重量割合が4065重量%であり、水、脂肪酸石鹸及び金属石鹸の合計重量に対して、前記水の重量割合が40〜90重量%、前記脂肪酸石鹸の重量割合が1〜30重量%、前記金属石鹸の重量割合が1〜30重量%であり、
前記金属石鹸が炭素数10〜18の有機酸の非アルカリ金属塩を必須に含み、
20℃における粘度が10〜200mPa・sである、未加硫ゴム用防着剤組成物である。
機粉末及び界面活性剤をさらに含むと好ましい。
前記無機粉末がケイ酸塩であると好ましい。
本願の防着処理された未加硫ゴムの製造方法は、上記未加硫ゴム用防着剤組成物を、成型加工された未加硫ゴムの表面に付着させる処理工程を含む。
本願のゴム製品は、上記防着処理された未加硫ゴムの製造方法により得られる。
本発明の未加硫ゴム用防着剤は、静置安定性、濡れ性及び防着性に優れるため、未加硫ゴム製造工程で生産性に優れる。
〔未加硫ゴム用防着剤〕
本発明の未加硫ゴム用防着剤は、水と特定の炭素数の脂肪酸からなり特定の脂肪酸組成を持つ脂肪酸石鹸と特定の炭素数の有機酸からなる金属石鹸を含む防着剤である。以下、下記成分を詳しく説明する。
〔脂肪酸石鹸〕
脂肪酸石鹸は、本発明に必須の成分であり、特定の脂肪酸組成を選択することで、優れた静置安定性と濡れ性を付与する。
本発明で使用する脂肪酸石鹸は、炭素数6〜22の脂肪酸からなり、その脂肪酸組成が、炭素数6〜10の脂肪酸石鹸の重量割合が0〜40重量%、炭素数12〜16の脂肪酸石鹸の重量割合が15〜55重量%、炭素数18〜22の脂肪酸石鹸の重量割合が35〜75重量%である。好ましくは、炭素数6〜10の脂肪酸石鹸の重量割合が1〜40重量%、炭素数12〜16の脂肪酸石鹸の重量割合が15〜52.5重量%、炭素数18〜22の脂肪酸石鹸の重量割合が37.5〜75重量%である。さらに好ましくは、炭素数6〜10の脂肪酸石鹸の重量割合が1〜37.5重量%、炭素数12〜16の脂肪酸石鹸の重量割合が15〜50重量%、炭素数18〜22の脂肪酸石鹸の重量割合が40〜75重量%である。特に好ましくは、炭素数6〜10の脂肪酸石鹸の重量割合が1〜35重量%、炭素数12〜16の脂肪酸石鹸の重量割合が15〜47.5重量%、炭素数18〜22の脂肪酸石鹸の重量割合が42.5〜75重量%である。この順に静置安定性と濡れ性が向上する。
脂肪酸としては、直鎖もしくは分岐の飽和又は不飽和脂肪酸を使用することができ、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の単一脂肪酸のほか、パーム核脂肪酸、パームステアリン脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸等の天然脂肪酸を使用することができる。これらは1種類もしくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。前記脂肪酸組成の範囲外では、製品が増粘して安定性が不足するか、あるいは、濡れ性が不足する。
脂肪酸石鹸塩についてはカリウム、ナトリウム、リチウム、ルビニウム、セシウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン塩、リジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸塩などから選ばれる1つであると好ましく、1種のみでも良いし、2種以上含んでも良い。
水、脂肪酸石鹸及び金属石鹸の合計重量に対する脂肪酸石鹸の重量割合については、特に限定はないが、好ましくは1〜30重量%である。さらに好ましくは2.5〜27.5重量%、特に好ましくは5〜25.0重量%、最も好ましくは、7.5〜22.5重量%である。脂肪酸石鹸の重量割合が少ないと濡れ性が悪化し、多過ぎるとゴム表面にべとつきが生じて作業性を悪化させる。
〔金属石鹸〕
金属石鹸は、本発明に必須の成分であり、優れた防着性を付与する。本発明で使用する金属石鹸は、炭素数10〜18の有機酸の非アルカリ金属塩であればよく、1種又は2種以上を含んでも良い。
金属石鹸を構成する有機酸については、特に限定はないが、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びアラキン酸から選ばれる1種であればよく、2種以上を含んでも良い。
金属石鹸の非アルカリ金属塩については、特に限定はないが、Al、Ag、Ba、Ca、Ce、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Hg、Mg、Mn、Ni、Pb、Sn、Th、Ti、Znから選ばれる1種であればよく、2種以上を含んでも良い。
また、金属石鹸の平均粒径については、特に限定はないが、未加硫ゴムへの付着性等を考慮すると、好ましくは0.1〜200μm、より好ましくは0.5〜100μm、さらに好ましくは1.0〜50μm、特に好ましくは1.5〜40μm、最も好ましくは2.0〜30μmである。
水、脂肪酸石鹸及び金属石鹸の合計重量に対する金属石鹸の重量割合については、特に限定はないが、好ましくは1〜30重量%である。さらに好ましくは2.5〜27.5重量%、特に好ましくは5〜25.0重量%、最も好ましくは、7.5〜22.5重量%である。金属の重量割合が1重量%未満では防着性が悪化することがあり、30重量%超では分散性が悪化して静置安定性が悪くなる。
(水)
水は、水道水、イオン交換水、蒸留水等のいずれでもよく、特に限定はないが、イオン交換水や蒸留水等が好ましい。また、水の硬度の観点からは、水が軟水であると、品質管理の観点から好ましい。
本発明の未加硫ゴム用防着剤は、上記で説明した成分以外に、下記無機粉末、界面活性剤、多価アルコール、消泡剤又は防腐剤等をさらに含有していてもよい。
(無機粉末)
無機粉末は、防着剤の防着性を向上する。本発明で用いられる無機粉末は、特に限定は無いが、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;ベントナイト、クレー、カオリン、タルク、マイカ、セリサイト等のケイ酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;非晶質シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、ホワイトカーボン、酸化鉄等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄等の金属水酸化物;ベンガラ;カーボンブラック;グラファイト等から選ばれるものであればよく、1種又は2種以上を含んでもよい。
前記無機粉末は、防着剤の防着性の観点から、ケイ酸塩が特に好ましい。
また、無機粉末は、不純物として結晶性シリカを含有することがあるが、結晶性シリカは親水性が低く分散性が悪いため、その含有量は、なるべく少ないことが好ましい。結晶性シリカとしては、石英、クリストバライト、トリジマイト、コーサイト、ステイショバライト等が挙げられる。結晶性シリカ含有量は無機粉末を100重量%としたときに、好ましくは20重量%未満、特に好ましくは10重量%未満、最も好ましくは5重量%未満である。20重量%以上であると、無機粉末の分散性が悪化し、ゴム表面への付着が不均一となるので粉塵飛散が多くなる。
また、無機粉末の平均粒子径については、特に限定はないが、未加硫ゴムへの付着性等を考慮すると、好ましくは0.01〜200μm、より好ましくは0.03〜100μm、さらに好ましくは0.05〜50μm、特に好ましくは0.07〜40μm、最も好ましくは0.1〜30μmである。
(界面活性剤)
界面活性剤は、金属石鹸の分散を補助する成分であり、未加硫ゴムに対して「濡れ」を補助する成分である。界面活性剤が本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物に含まれていることによって、金属石鹸の分散性が向上し、より静置安定性がよくなる。また、未加硫ゴムへの濡れ性が向上することで、より均一に未加硫ゴム表面に被膜化できる。
本発明で用いられる界面活性剤は、特に限定はないが、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤等から選ばれるものであればよく、1種又は2種以上を含んでいてもよい。
非イオン界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンアルキルアミン;脂肪酸アルカノールアミド;ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド;ポリオキシアルキレン硬化ひまし油;ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリグリセリン脂肪酸エステル;アルキルグリセリンエーテル;ポリオキシアルキレンコレステリルエーテル;アルキルポリグルコシド;ショ糖脂肪酸エステル;オキシエチレンーオキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられる。
陰イオン界面活性剤としては、たとえば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩;2−エチルヘキシルスルホコハク酸Na等の長鎖スルホコハク酸塩;オレオイルザルコシンNa、ラウロイルザルコシンNa等のN‐アシルサルコシン塩;ステアロイルメチルタウリンNa、ラウロイルメチルタウリンNa、ミリストイルメチルタウリンNa、パルミトイルメチルタウリンNa等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩;モノステアリルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩;ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムモノナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ジナトリウム等の長鎖N−アシルグルタミン酸塩等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、たとえば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;ジアルキルジメチルアンモニウム塩;トリアルキルメチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩が挙げられる。
両性界面活性剤としては、たとえば、2−ウンデシル−N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤;2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のベタイン系両性界面活性剤;N−ラウリルグリシン、N−ラウリルβ−アラニン、N−ステアリルβ−アラニン等のアミノ酸型両性界面活性剤等が挙げられる。
(多価アルコール)
多価アルコールは未加硫ゴム表面に付着し、未加硫ゴム間に潤滑性を付与し、未加硫ゴム間の摩擦を軽減する成分である。
多価アルコールとしては特に限定はないが、たとえば、グリセリン、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、マルトトリオース、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース等が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。
(消泡剤)
消泡剤としては、たとえば、ポリメチルシロキサン、ポリエーテル変性シリコー等のシリコーン系消泡剤;ヒマシ油、ゴマ油、アマニ油、動植物油等の油脂系消泡剤;ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の脂肪酸系消泡剤;ステアリン酸イソアミル、コハク酸ジステアリル、エチレングリコールジステアレート、ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル系消泡剤;ポリオキシアルキレンモノハイドリックアルコールジ−t−アミルフェノキシエタノール、3−ヘプタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール系消泡剤;ジ−t−アミルフェノキシエタノール3−ヘプチルセロソルブノニルセロソルブ3−ヘプチルカルビトール等のエーテル系消泡剤;トリブチルオスフェート、トリス(ブトキシエチル)フオスフェート等のリン酸エステル系消泡剤;ジアミルアミン等のアミン系消泡剤;ポリアルキレンアミド、アシレートポリアミン等のアミド系消泡剤;ラウリル硫酸エステルナトリウム等の硫酸エステル系消泡剤;ポリオキシアルキレン系消泡剤;鉱物油等が挙げられる。
(防腐剤)
防腐剤としては、たとえば、チアゾール、2−メルカプトチアゾール等のチアゾール類;メチレンビスチオシアネート、アンモニウムチオシアネート等のチオシアネート類;o−ベンゾイックスルフィミド、フェニルマーキュリック−o−ベンゾイックスルフィミド等のスルフィミド類;メチルジメチルチオカルバメート、エチルジエチルジチオカルバメート等のアルキルジアルキルチオカルバメート類;テトラメチルチラウムスルフィド、テトラエチルチラウムスルフィド等のチラウムスルフィド類;テトラメチルチラウムジスルフィド、テトラエチルチラウムジスルフィド等のチラウムジスルフィド類;フェリックジエチルジチオカルバメート、リードジメチルジチオカルバメート等のジチオカルバメート類;o−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルフォンアニリド等のスルファミド類;1−アミノナフチル−4−スルホン酸、1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸等のアミノスルホン酸類;ペンタクロロフェノール、o−フェニルフェノール等のフェノール類及びこれらのアルカリ金属塩類;;テトラクロロ−p−ベンゾキノン、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン等の塩化キノン類;ジニトロカプリルフェニルクロトネート、ジニトロ−o−クレゾール等のニトロ基含有化合物類;1,3,5−トリヒドロキシエチルヘキサハイドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリエチルヘキサハイドロ−1,3,5−トリアジン等のトリアジン類;フェニルマーキュリックフタレート、o−ヒドロキシフェニルマーキュリッククロライド等の有機水銀化合物;p−アミノアゾベンゼン、ジフェニルアミン等のアミン類;シンナムアニリド等のアミド類;1,3−ジヨード−2−プロパノール等のヨウ素含有化合物等が挙げられる。
(未加硫ゴム用防着剤の製造方法)
本発明の未加硫ゴム用防着剤の製造方法については、水と脂肪酸石鹸および金属石鹸、さらにその他の成分等を混合する工程を含むものであれば、混合順序や使用する混合設備等について特に限定はない。脂肪酸石鹸については、事前に水溶液としたものを混合しても良い。
(未加硫ゴム用防着剤の粘度)
本発明の未加硫ゴム用防着剤の粘度については、製品の取り扱いが良好である点から、5000mPa・s以下が好ましく、3000mPa・s以下がより好ましく、2000mPa・s以下がさらに好ましく、1000mPa・s以下が特に好ましい。本発明の未加硫ゴム用防着剤の粘度の下限値は、10mPa・sが好ましく、20mPa・sがより好ましく、30mPa・sがさらに好ましい。
本発明において、未加硫ゴム用防着剤の粘度は、20℃においてB型粘度計(12rpm)で測定したものをいう。未加硫ゴム用防着剤の粘度が高すぎると、ハンドリング性が悪化したり希釈時の分散性が悪化したりする。低すぎると、製品が分離して安定性が不良となる。
(防着処理された未加硫ゴムの製造方法)
本発明の防着処理された未加硫ゴムの製造方法は、上記未加硫ゴム用防着剤組成物を、未加硫ゴムの表面に付着させる処理工程を含む。ここで、未加硫ゴムは、成形加工されたものであるとよい。
処理工程では、未加硫ゴム用防着剤組成物の希釈液をスプレーする方法や、細流にてゴムに吹き付ける方法や分散液中に浸漬する方法等が挙げられる。希釈液中に浸漬する方法では、均一に未加硫ゴム用防着剤組成物を付着させることができるため好ましい。本発明の製造方法で用いる未加硫ゴムは、通常、100〜180℃に加熱された状態にあり、希釈液中に浸漬する方法で未加硫ゴムを冷却することができる。希釈液の温度は特に限定はないが、0〜60℃であると好ましい。次いで、希釈液を付着後に未加硫ゴムを乾燥する工程を実施してもよい。乾燥の方法としては、特に限定はないが熱風機やブローヒーターにより熱風を送ることで強制的に乾燥させる方法であると、コストが安くてよい。
当該希釈液の有効濃度は、良好な濡れ性と防着性を発揮しやすい観点から、0.01〜15重量%が好ましく、0.05〜12.5重量%がより好ましく、0.1〜10.0重量%がさらに好ましい。0.01重量%未満では、防着性が悪化する可能性があり、10.0%重量超では、乾燥性が悪化する可能性がある。
上記有効濃度とは希釈液中の水以外の成分の濃度を示す。
このようにして製造された、防着処理された未加硫ゴムでは、次の工程に移行するまでの間、積み重ねて貯蔵する場合に、未加硫ゴム同士の密着を防止することができる。
以下に、本発明を実施例及び比較例を示して具体的に説明する。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例における各物性の評価は、以下のようにして行った。
[防着性]
未加硫ゴム用防着剤組成物の希釈液(有効濃度3%)に対して、100℃に加熱したNR/BR試験片(天然ゴム/ブタジエンゴム;厚み0.5cm×縦5cm×横3cm)を浸漬して直ちに引き上げる。浸漬させたゴム試験片を2枚作製し、風乾したら重ね合わせ、1000kg/mの荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置する。恒温槽から取出した試験片を室温まで空冷し、引張り試験機を用いて100mm/minの速度下で剥離抗力(N/cm)を測定した。剥離抗力が小さいほど剥がしやすく、防着性が高い。評価基準は次の通りであり、剥離抗力が2N/cm未満の場合を合格とした。
剥離抗力が1N/cm以下:防着性は非常に良好(容易に未加硫ゴム同士を剥がすことができる、指標は◎)
剥離抗力が1N/cm超2N/cm未満:防着性は良好(負荷なく未加硫ゴム同士を剥がすことができる、指標は○)
剥離抗力が2N/cm以上3N/cm以下:防着性は不良(未加硫ゴム同士を剥がす時の負荷が大きく、防着性が低い、指標は△)
剥離抗力が3N/cm超:防着性が非常に不良(ゴム同士が密着して剥離が困難である。防着性が非常に低い、指標は×)
[濡れ性]
未加硫ゴム用防着剤組成物の希釈液(有効濃度3%)に対して、100℃に加熱したNR/BRゴム試験片(天然ゴム/ブタジエンゴム;厚み0.5cm×縦5cm×横3cm)を浸漬し、直ちに引き上げた。そして、未加硫ゴム表面の濡れを判定する。
未加硫ゴム表面全体が濡れている:濡れ性は良好(指標は○)
未加硫ゴム表面の一部にはじきがある:濡れ性はやや不良(指標は△)
未加硫ゴム表面全体がはじいている:濡れ性は不良(指標は×)
[静置安定性]
未加硫ゴム用防着剤組成物を、5℃、25℃、40℃の恒温槽に1ヶ月間静置し、
増粘や離水の有無を確認する。
増粘はない:静置安定性は良好(指標は○)
増粘はあるが流動性ある:静置安定性はやや不良(指標は△)
増粘があり流動性もない:静置安定性は不良(指標は×)
(脂肪酸石鹸)
実施例および比較例で用いた脂肪酸石鹸の脂肪酸塩の重量割合は表1に示す。
(実施例1)
水80g、脂肪酸石鹸1 10g、ステアリン酸亜鉛10gを均一に混合し、未加硫ゴム用防着剤組成物を得た。得られた未加硫ゴム用防着剤組成物を用いて、静置安定性を評価した。次いで、有効濃度が3%になるように水を加え、水中に均一分散させて、未加硫ゴム用防着剤組成物の希釈液を得た。得られた希釈液を用いて、防着性、濡れ性を評価した。評価の結果は、表2に示すとおりで、静置安定性、濡れ性、防着性に優れた。
(実施例2〜5)
実施例2〜5では、表2に示すように組成を変更した以外は、実施例1と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物および希釈液を得て、評価した。その結果を表2にそれぞれ示す。
(比較例1)
水80g、脂肪酸石鹸6 10g、ステアリン酸亜鉛10gを均一に混合し、未加硫ゴム用防着剤組成物を得た。得られた未加硫ゴム用防着剤組成物を用いて、静置安定性を評価した。次いで、有効濃度が3%になるように水を加え、水中に均一分散させて、未加硫ゴム用防着剤組成物の希釈液を得た。得られた希釈液を用いて、防着性、濡れ性を評価した。評価の結果は、表3に示すとおりで、静置安定性が悪かった。
(比較例2〜5)
比較例2〜5では、表3に示すように組成を変更した以外は、比較例1と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物および希釈液を得て、評価した。その結果を表3にそれぞれ示す。
比較例2〜5では、実施例と比較して、静置安定性と防着性と濡れ性のすべてを満たすものは無かった。
Figure 0006704710
Figure 0006704710
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本発明の未加硫ゴム用防着剤は、未加硫ゴム製品の生産加工工程に用いられ、未加硫ゴムを次の成型や加硫等の工程に移行するまでの間、積み重ねて貯蔵する場合にゴムの密着を防止することができる。その際、防着剤の安定性が良好であり、取り扱いに優れる。

Claims (4)

  1. 水と脂肪酸石鹸と金属石鹸とを含み、
    前記脂肪酸石鹸に占める炭素数6〜10の脂肪酸石鹸の重量割合が1035重量%、炭素数12〜16の脂肪酸石鹸の重量割合が2545重量%、炭素数18〜22の脂肪酸石鹸の重量割合が4065重量%であり、
    水、脂肪酸石鹸及び金属石鹸の合計重量に対して、前記水の重量割合が40〜90重量
    %、前記脂肪酸石鹸の重量割合が1〜30重量%、前記金属石鹸の重量割合が1〜30重
    量%であり、
    前記金属石鹸が炭素数10〜18の有機酸の非アルカリ金属塩を必須に含み、
    20℃における粘度が10〜200mPa・sである、未加硫ゴム用防着剤組成物。
  2. 無機粉末及び界面活性剤をさらに含む、請求項に記載の未加硫ゴム用防着剤組成物。
  3. 前記無機粉末がケイ酸塩である、請求項に記載の未加硫ゴム用防着剤組成物。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の未加硫ゴム用防着剤組成物を、成型加工された未加硫ゴムの表面に付着させる処理工程を含む、防着処理された未加硫ゴムの製造方法。
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