JP5926048B2 - 未加硫ゴム用防着剤 - Google Patents

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本発明は未加硫ゴム用防着剤および防着処理された未加硫ゴムの製造方法に関する。さらに詳しくは、未加硫ゴム(以下では、未加硫ゴムを単に「ゴム」ということもある。)に対する接着性および密着防止性に優れ、脱落による粉塵発生の問題が大幅に低減される未加硫ゴム用防着剤およびこれを用いて防着処理された未加硫ゴムの製造方法に関する。
ゴム製品は、通常、次の工程により製造される。
1)まず、生ゴム(天然ゴム、合成ゴムまたはそれらの混合物)を、素練りロール、バンバリーミキサー、プラチスケーター等で素練りを行い、ゴムに可塑性を与える。
2)次に、配合剤としてのカーボンブラック、硫黄、酸化亜鉛、促進剤、老化防止剤等を素練りゴムに混入しながら、オープンロールまたはバンバリーミキサーを使用して充分に混練する。
3)その後は、ゴムの用途に応じて、成型、加硫等の工程を経て、タイヤ、チューブ等のゴム製品を製造する。
上記3)において、ゴム製品の成形加工方法は、シート成形と押出成形とに大別される。シート成形は、ゴム生地を所定の厚さと幅に圧延して、大型のプレスで熱と圧力を加えてゴムシートを成形する加工法である。未加硫ゴムシートはカレンダーロールや押出機を使って成形される。押出成形には、ラム式とスクリュー式とがあり、ラム押出機は油圧式で、シリンダーに装てんしたゴム塊をトコロテンのように押出す成形機である。ホースやウインドシールやタイヤのチューブなどの長い連続体のゴム製品はスクリュー押出機で成形されることが多い。
このようなゴムの生産加工工程において、未加硫ゴムを次の成型や加硫等の工程に移行するまでの間、積み重ねて貯蔵することがあり、この場合にゴムの密着を防止する目的で密着防止剤(防着剤)が使用されている。
従来、この密着防止剤としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ベントナイト等の無機粒子が、防着性に優れるために使用されている。その使用方法としては、粉末のままゴムに吹き付ける方法や、粉末中を通過させる方法等のいわゆるドライ法;前記無機粒子の粉末を水に懸濁させ、その懸濁液をスプレーする方法や、細流にてゴムに吹き付ける方法や、懸濁液中に浸漬する方法等のいわゆるウェット法を挙げることができる。ウェット法における水の使用目的は作業性の向上の他にゴムの冷却をも兼ねている。また、押出機を使用したタイヤのチューブなどの中空で薄肉の円筒成形では、密着防止剤を混入した空気をチューブに吹き込みながら押出成形することで、円筒の内面が密着しないようにしている。
しかしながら、このような密着防止剤をゴムに塗布する際に発生する粉塵が作業環境を汚染させることが問題となっている。密着防止剤をゴム表面に付着した後、次の成型や加硫等の工程に移行するまでの間に粉落ちして粉塵が発生するといった問題がある。密着防止剤は基本的にはゴム製品にとって異物であり、微量の異物でもゴム製品の物理的性質に大きな影響を与える場合があるので、密着防止剤の作業環境への粉塵飛散は極力少ないことが望ましい。粉塵発生による作業環境の汚染を抑制する方法として、局所排気装置を設置する手段もあるが、設備投資費用が必要であるし根本的な解決にはならない。このような理由から粉塵飛散が少なく、防着性に優れる密着防止剤の開発が望まれている。
一方、従来の密着防止剤とは異なる発想で成分が構成された密着防止剤がある。たとえば、特許文献1にはポリスチレン樹脂粉体と特定の界面活性剤を用いた水溶液をゴム面に塗布して防着する方法が開示されている。この方法は無機粒子の粉末を使用していない点を特徴としているが、充分な密着防止の効果を発揮させるためには、高濃度で使用することが必要であり、その場合、加硫ゴムの物理的性質を低下させる問題点があるため使用方法が限定され汎用性に乏しい。
また、特許文献2には造膜性を有する水溶性高分子30〜90重量部と陰イオン活性剤または非イオン界面活性剤70〜10重量部とからなる防着用組成物が開示されている。この防着用組成物は、粉体を使用しないことを特徴としている。しかしながら、水溶性高分子と界面活性剤のみの組成では、防着用組成物を塗布したゴム面の滑り摩擦力が大きく作業現場でゴムが滑り難く作業性の低下が懸念される。またゴムの生産加工工程において凝集して乾固した凝固物が、ゴムに混入した場合、ゴムの練り工程でその凝固物が崩壊しないでゴム中に異物として残存し加硫ゴムの物理的性質を低下させる問題点があるため実用性にかける。
また、特許文献3にはゴム表面に粉末状密着防止剤を散布し、次いで水溶性造膜剤を塗布し乾燥させることによって、ゴム表面に密着防止層を形成する方法が開示されている。この方法では粉末状密着防止剤と水溶性造膜剤をそれぞれ塗布する2段階の作業が必要であるため、作業効率が悪く実用性にかける。また、粉末状密着防止剤と水溶性造膜剤をそれぞれ単独で均一にゴム表面に塗布することは極めて困難である。
このように、特許文献1〜3の防着剤にはそれぞれ問題がある。したがって、粉塵飛散の問題を抱えつつも、従来の防着剤を使用せざるを得ないというのが現状であった。
特開平1−258914号公報 特開昭62−32127号公報 特開昭53−61639号公報
本発明の目的は、防着性に優れ、脱落による粉塵発生の問題が大幅に低減される未加硫ゴム用防着剤と、これを用いて防着処理された未加硫ゴムの製造方法とを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、無機珪素化合物を必須とする微粉末材料および界面活性剤を含有する未加硫ゴム用防着剤において、結晶型珪酸の重量割合を特定量に限定することによって、上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
本発明の未加硫ゴム用防着剤は、無機珪素化合物を必須とする微粉末材料および界面活性剤を含有する防着剤あって、前記無機珪素化合物がモンモリロナイトを必須に含有し、前記微粉末材料を100重量部としたときに、前記界面活性剤が1〜60重量部であり、結晶型珪酸の重量割合が前記無機珪素化合物の2.5重量%以下である。
未加硫ゴム用防着剤は、以下の(A)〜(G)のうちの少なくとも1つの構成要件を満足すると好ましい。
(A)微粉末材料および界面活性剤の合計量に対する前記モンモリロナイトの重量割合が20〜50重量%である。
(C)前記微粉末材料が、炭酸塩、脂肪酸石鹸、金属石鹸、ワックス、アクリル樹脂およびスチレン系樹脂から選ばれる少なくとも1種をさらに含有する。
(D)前記界面活性剤が非イオン界面活性剤および/またはアニオン界面活性剤である。
(E)前記非イオン界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、アセチレングリコールおよびアセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種であり、前記アニオン界面活性剤が、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩および長鎖スルホコハク酸塩、アセチレングリコールおよびアセチレングリコールのポリオキシアルキレン付加物の硫酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種である。
(F)前記結晶型珪酸の重量割合が0重量%である。
(G)ポリビニルアルコールの水溶性フィルムにより包装されている。
本発明の防着処理された未加硫ゴムの製造方法は、上記未加硫ゴム用防着剤を、成形加工された未加硫ゴムの表面に付着させる処理工程を含む製造方法である。
前記処理工程を、水100重量部に対して前記未加硫ゴム用防着剤0.5〜10重量部を配合した分散液に前記未加硫ゴムを浸漬して行うと、好ましい。
本発明の未加硫ゴム用防着剤は、防着性に優れ、脱落による粉塵発生の問題を大幅に低減することができる。
本発明の防着処理された未加硫ゴムの製造方法では、ゴム表面の防着性に優れた未加硫ゴムを効率よく製造でき、その際、未加硫ゴム用防着剤が表面から脱落することによる粉塵発生の問題が大幅に低減する。
包装された未加硫ゴム用防着剤(未加硫ゴム用防着剤パック)の一例を示す図である。
本発明の未加硫ゴム用防着剤は、無機珪素化合物を必須とする微粉末材料および界面活性剤を含有する防着剤ある。この防着剤では、微粉末材料を100重量部としたときに、界面活性剤が1〜60重量部である。また、結晶型珪酸の重量割合が無機珪素化合物の20重量%未満である。ここで、無機珪素化合物がフィロ珪酸塩を含むとよい。
以下、未加硫ゴム用防着剤を構成する各成分を詳しく説明する。
〔微粉末材料〕
微粉末材料は、未加硫ゴム表面に被膜を形成して防着性および滑性を発揮する材料の成分であり、微小な粒子の集合体である微粉末からなる。
本発明において、滑性とは、「未加硫ゴム用防着剤を用いて処理された未加硫ゴムが他のゴムや金属等と接触した場合に、その接触面に生じる摩擦抵抗を下げる性質」と定義される。未加硫ゴム用防着剤を用いて処理されたゴム表面が滑り性に優れると、ゴム成形工程で摩擦抵抗を生じる作業において、作業効率が向上して好ましい。
本発明の未加硫ゴム用防着剤では、微粉末材料は無機珪素化合物を必須成分として含有する。無機珪素化合物とは、珪素(Si)を必須元素として含有する無機化合物であり、珪酸塩と珪酸とに分類できる。
珪酸塩は、一般に、4個の酸素原子から形成される三角錐の真ん中の隙間に1個の珪素原子が入り込んでできる珪酸四面体が連結して形成される構造である。珪酸塩は、珪酸四面体の連結方式により、さらにネソ珪酸塩、ソロ珪酸塩、サイクロ珪酸塩、イノ珪酸塩、フィロ珪酸塩およびテクト珪酸塩等に分類され、本発明の未加硫ゴム用防着剤では、これらの珪酸塩を1種または2種以上を併用してもよい。
ネソ珪酸塩は、独立型連結方式の珪酸塩と分類され、(SiO4−の化学式で表される構造を基本組成とする。ネソ珪酸塩としては、特に限定はないが、たとえば、フォルステライト、ファヤライト、マンガンカンラン石等のかんらん石;ヒューマイト;パイロープ、アルマンディン、スペサルティン、グロッシュラー、アンドラダイト、ウバロバイト等のざくろ石;ダトーライト、珪線石等のガドリン石等が挙げられ、これらを1種または2種以上を併用してもよい。
ソロ珪酸塩は、複合型連結方式の珪酸塩と分類され、(Si6−および(Si1612−の化学式で表される構造から選ばれる少なくとも1種を基本組成とする。ネソ珪酸塩としては、特に限定はないが、たとえば、ゾイサイト、クリノゾイサイト等の緑レン石;オケルマナイト、ゲーレナイト等のメリライト;ベスビアナイト等のパンペリー石等が挙げられ、これらを1種または2種以上を併用してもよい。
サイクロ珪酸塩は、環状連結方式の珪酸塩と分類され、(Si6−、(Si128−、(Si1812−の化学式で表される構造を基本組成とする。ネソ珪酸塩としては、特に限定はないが、たとえば、ベニト石;斧石;緑柱石;鉄電気石、苦土電気石、リシア電気石等の電気石;大隅石等が挙げられ、これらを1種または2種以上を併用してもよい。
イノ珪酸塩は、単鎖状連結方式の珪酸塩と分類され、(Si4−、(Si6−、(Si116−、(Si1510−、(Si2114−の化学式で表される構造を基本組成とする。イノ珪酸塩としては、特に限定はないが、たとえば、透輝石、クリノエンスタタイト、エンスタタイト、アクマイト、スポジューメン等の輝石;直閃石、透閃石、藍閃石、ロードナイト等の角閃石等が挙げられ、これらを1種または2種以上を併用してもよい。
フィロ珪酸塩は、層状連結方式の珪酸塩と分類され、SiOの化学式で表される構造を基本組成とする。フィロ珪酸塩としては、特に限定はないが、たとえば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等のスメクタイト;ジ−バーミキュライト、トリ−バーミキュライト等のバーミキュライト;ハロイサイト、カオリン、エンデライト、ディッカイト、ナクライト、クリソタイル等のカオリナイト;タルク;テトラシリリックマイカ等のマイカ;パイロフィライト;マーガライト;クリントナイト;白雲母、黒雲母、金雲母、合成雲母、フッ素雲母等の雲母鉱物;パラゴライト;フロゴパイト;レピドライト;アンチゴライト等のジャモン石;ドンパサイト、スドウ石、クッカイト、クリノクロア、シャモサイト、クロライト、ナンタイト等の緑泥石;セピヲライト、パリゴルスカイト等のピオライト−パリゴスカイト等が挙げられ、これらを1種または2種以上を併用してもよい。
テクト珪酸塩は、網状連結方式の珪酸塩と分類され、SiOの化学式で表される構造を基本組成とする。テクト珪酸塩としては、特に限定はないが、たとえば、サニディン、アルバイト、アノーサイト、ネフェリン等の長石;白榴石、スコレス沸石、輝沸石等の沸石;柱石等が挙げられ、これらを1種または2種以上を併用してもよい。
次に、珪酸は、一般にSiOまたはSiO・nHOの化学式で表される構造を基本組成とし、組成中に金属イオン等の塩基を実質的に含有しない。さらに、珪酸をその結晶物性の観点から分類すると、結晶性を有する結晶型珪酸と、非結晶性を有する非晶質珪酸とに分類される。
結晶型珪酸としては、特に限定はないが、たとえば、石英、クリストバライト、トリジマイト、コーサイト、ステイショバライト等が挙げられ、これらを1種または2種以上を併用してもよい。非晶質珪酸としては、特に限定はないが、たとえば、オパール、オブシディアン、テクタイト等が挙げられ、これらを1種または2種以上を併用してもよい。
結晶型珪酸は、珪酸塩と比べると親水性が低く、水分散性に優れない。したがって、無機珪素化合物中の結晶型珪酸の重量割合が多いと未加硫ゴム表面に対する被膜が不均一となり防着性が低下し粉塵飛散が多くなる。また、一般的に、結晶型珪酸は硬度が大きいため、凝集物が生成すると加硫ゴムの物理的性質を低下させる場合がある。したがって、防着性を高め粉塵被害を抑制するという観点からは、できるだけ結晶型珪酸の重量割合は少ないほうが好ましい。
結晶型珪酸の重量割合は、無機珪素化合物の20重量%未満であり、好ましくは15重量%未満、さらに好ましくは10重量%未満、特に好ましくは5重量%未満、最も好ましくは0重量%である。結晶型珪酸の重量割合が20重量%未満であると、滑剤フィラーとして機能し未加硫ゴム表面の滑性を補助するので防着性を阻害することはない。しかしながら、結晶型珪酸の重量割合が20重量%以上であると、防着性が低下し粉塵飛散も多くなる。
結晶型珪酸の重量割合が20重量%未満の無機珪素化合物は、その市販品を入手することもできるが、結晶型珪酸を含む無機珪素化合物に対して遠沈法や遠心分離法等の処理を行って、その量を20重量%未満に低下させて入手してもよい。
本発明で用いる微粉末材料に含まれる無機珪素化合物は、フィロ珪酸塩を含有すると好ましく、水分散性が良好で防着性に優れた被膜を形成することができる。なかでも、フィロ珪酸塩が、スメクタイト、カオリナイト、タルクおよびマイカから選ばれる少なくとも1種であると、防着性に優れた被膜を形成するので好ましい。
スメクタイトは、水と接触すると、層間の交換性陽イオンに水分子が次々に水和して膨潤するため、水中で効果的に分散することができる。したがって、フィロ珪酸塩がスメクタイトであると、水に配合した際の分散性に優れ被膜性が向上するのでさらに好ましい。また、スメクタイトのうちでも、水膨潤性が特に著しいことから、モンモリロナイトが好ましい。
モンモリロナイトは2八面体型含水層状珪酸塩の鉱物であり、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、水素イオン等を交換陽イオンとして含有する。これらの陽イオンは容易に交換される性質を有しており、かつ容易に水を取り込める性質も有している。交換陽イオンがナトリウムイオンであると、水和力で水分子を取り込みやすく、層間隔が増大し膨潤が著しい。
モンモリロナイトの重量割合については、特に限定はないが、ゴム表面に対する被膜性を考慮すると、微粉末材料および界面活性剤の合計量に対して好ましくは20〜50重量%であり、より好ましくは20〜45重量%、さらに好ましくは20〜40重量%、特に好ましくは20〜35重量%、最も好ましくは25〜35重量%である。モンモリロナイトの含有率が50重量%超であると、未加硫ゴム用防着剤を水に配合して得られる分散液の粘度が高くなりすぎてハンドリング性が低下し、また、未加硫ゴム表面に形成した被膜の乾燥性に優れないことがある。一方、モンモリロナイトの含有率が20重量%未満であると、防着性および滑性を向上させる効果が小さくなることがある。
一般に、モンモリロナイトを主成分として含有し、石英、クリストパライト、長石類、炭酸塩の鉱物等を副成分として含有する層状粘土鉱物をベントナイトと呼ぶ。ベントナイトは、微粉末材料の一例として挙げられ、未加硫ゴム表面に容易に吸着し、被膜を形成することができる。ベントナイトの被膜は、防着性および滑性に優れることから、本発明の未加硫ゴム用防着剤における微粉末材料がベントナイトを必須成分とするとさらに好ましい。また、ベントナイトがナトリウムベントナイトを高い純度で含有すると、水膨潤性の効果が著しく最も好ましい。
ベントナイトの膨潤性の定量方法としては、特に限定はないが、たとえば、膨潤力測定がある。ベントナイトの試料2.0gを秤量し、水100mLを入れたメスシリンダーに試料を10回に分けて加えて、これを24時間放置するときの器底の塊の見かけ容積を読みとり、膨潤力(mL/2g)とする。本発明の未加硫ゴム用防着剤におけるベントナイトの膨潤力としては、特に限定はないが、ゴム表面に対する被膜性を考慮すると、通常、10mL/2g以上であり、好ましくは12mL/2g以上、さらに好ましくは15mL/2g以上、特に好ましくは18mL/2g以上、最も好ましくは20mL/2g以上である。膨潤力の異なる2種以上を併用してもよい。
ベントナイトの重量割合については、特に限定はないが、ゴム表面に対する被膜性を考慮すると、微粉末材料および界面活性剤の合計量に対して好ましくは20〜90重量%であり、より好ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは30〜80重量%、特に好ましくは40〜70重量%、最も好ましくは40〜60重量%である。ベントナイトの重量割合が90重量%超であると、未加硫ゴム用防着剤パックを水に配合して得られる分散液のハンドリング性が低下することがある。一方、ベントナイトの重量割合が20重量%未満であると、防着性が低下する。
微粉末材料は、無機化合物や有機化合物等の無機珪素化合物以外の材料を含んでいてもよい。無機珪素化合物以外の材料としては、たとえば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;アルミナ、酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、ホワイトカーボン、酸化鉄等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄等の金属水酸化物;ベンガラ;カーボンブラック;グラファイト;オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ドデカン酸カリウム、ドデカン酸ナトリウム、牛脂硬化脂肪酸ナトリウム、牛脂硬化脂肪酸カリウム、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸カリウム等の脂肪酸石鹸、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシウム、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、トリオクタデカン酸アルミニウム、ジオクタデカン酸アルミニウム、モノオクタデカン酸アルミニウム、オクタデカン酸カルシウム、オクタデカン酸亜鉛、オクタデカン酸マグネシウム、オクタデカン酸バリウム等の金属石鹸;パラフィンワックス、マイクロクリスタンワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、モンタンワックス、みつろう、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、硬化ひまし油、12−ヒドロキシステアリン酸等のワックス;メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(例えば、シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂等)、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のアクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂;フッ素系樹脂(ETFE,PVDF);ポリスチレン樹脂、クロロポリスチレン樹脂、ポリ−α−メチルスチレン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(例えば、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(例えば、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体);塩化ビニル樹脂;ポリ塩化ビニリデン樹脂;ロジン変性マレイン酸樹脂;フェノール樹脂;エポキシ樹脂;ポリエステル樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリブタジエン;アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂;シリコーン樹脂;ケトン樹脂;キシレン樹脂;ポリビニルブチラール樹脂;ポリアミド樹脂;変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。なかでも、無機珪素化合物以外の材料が、炭酸塩、脂肪酸石鹸、金属石鹸、ワックス、アクリル樹脂およびスチレン系樹脂から選ばれる少なくとも1種であると、防着性および滑性に優れた被膜を形成するので好ましい。
上記無機珪素化合物以外の材料の重量割合については、特に限定はないが、微粉末材料全体に対して好ましくは10〜90重量%であり、より好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%、特に好ましくは40〜70重量%、最も好ましくは40〜60重量%である。無機珪素化合物以外の材料の重量割合が90重量%超であると、防着性が低下する。一方、無機珪素化合物以外の材料の重量割合が10重量%未満であると、未加硫ゴム用防着剤のハンドリング性が低下することがある。
微粉末材料の平均粒子径については、特に限定はないが、未加硫ゴムへの付着性等を考慮すると、好ましくは0.1〜200μm、より好ましくは0.1〜100μm、さらに好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.1〜40μm、最も好ましくは0.1〜30μmである。
微粉末材料の粒度分布の変動係数CVは、特に限定されないが、好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは25%以下である。変動係数CVは、以下に示す計算式(1)および(2)で算出される。
Figure 0005926048
(式中、sは粒子径の標準偏差、<x>は平均粒子径、x はi番目の粒子径、nは粒子の数である。)
微粉末材料の比重については、特に限定はないが、未加硫ゴムへの付着性等を考慮すると、好ましくは0.5〜5、より好ましくは0.5〜4.5、さらに好ましくは0.5〜4、特に好ましくは0.6〜3.5、最も好ましくは0.7〜3である。
〔界面活性剤〕
界面活性剤は、未加硫ゴムに対して「濡れ」を補助する成分である。界面活性剤が本発明の未加硫ゴム用防着剤に含まれていることによって、微粉末材料をより均一にゴム表面に被膜化できる。
ここで、「濡れ」とは、界面化学では固体または液体の表面にある一つの流体を他の液体で置換する現象と定義される。たとえば、固体/気体の界面が固体/液体の界面に置き換えられたとき、その固体は液体で濡れたという。したがって、本発明の未加硫ゴム用防着剤がゴムに対して濡れたと表現するときは、ゴム/空気の界面がゴム/未加硫ゴム用防着剤の界面に置き換えられたことを意味する。本発明の未加硫ゴム用防着剤がゴムに対して十分濡れていないと表現するときは、ゴム/空気の界面がゴム/未加硫ゴム用防着剤の界面に完全に置き換えられていないことを意味する。
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられ、1種または2種以上を含んでいてもよい。界面活性剤が非イオン界面活性剤および/または陰イオン界面活性剤であると好ましい。
非イオン界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノラウレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンひまし油;ポリオキシアルキレン硬化ひまし油;ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリグリセリン脂肪酸エステル;アルキルグリセリンエーテル;ポリオキシアルキレンコレステリルエーテル;アルキルポリグルコシド;ショ糖脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンアルキルアミン;オキシエチレンーオキシプロピレンブロックポリマー;アセチレングリコールおよびアセチレングリコールのポリオキシアルキレン付加物、等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。なかでも、非イオン界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、アセチレングリコールおよびアセチレングリコールのポリオキシアルキレン付加物から選ばれる少なくとも1種であると、防着性に優れた被膜(防着剤層)を形成するので好ましい。
陰イオン界面活性剤としては、たとえば、オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、オレイン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩;ステアロイルメチルタウリンNa、ラウロイルメチルタウリンNa、ミリストイルメチルタウリンNa、パルミトイルメチルタウリンNa等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン塩;モノステアリルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩;ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の長鎖スルホコハク酸塩;N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムモノナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ジナトリウム等の長鎖N−アシルグルタミン酸塩;アセチレングリコールおよびアセチレングリコールのポリオキシアルキレン付加物の硫酸エステル塩;アセチレングリコールおよびアセチレングリコールのポリオキシアルキレン付加物のリン酸エステル塩;アセチレングリコールおよびアセチレングリコールのポリオキシアルキレン付加物の酢酸エステル塩;ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリ無水マレイン酸、マレイン酸とイソブチレンとの共重合物、無水マレイン酸とイソブチレンとの共重合物、マレイン酸とジイソブチレンとの共重合物、無水マレイン酸とジイソブチレンとの共重合物、アクリル酸とイタコン酸との共重合物、メタアクリル酸とイタコン酸との共重合物、マレイン酸とスチレンとの共重合物、無水マレイン酸とスチレンとの共重合物、アクリル酸とメタアクリル酸との共重合物、アクリル酸とアクリル酸メチルエステルとの共重合物、アクリル酸と酢酸ビニルとの共重合物、アクリル酸とマレイン酸との共重合物、アクリル酸と無水マレイン酸との共重合物のアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)、アンモニウム塩およびアミン塩等のポリカルボン酸塩;ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、および、これらのアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)、アンモニウム塩およびアミン塩等のナフタレンスルホン酸塩;メラミンスルホン酸、アルキルメラミンスルホン酸、メラミンスルホン酸のホルマリン縮合物、アルキルメラミンスルホン酸のホルマリン縮合物、および、これらのアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)、アンモニウム塩およびアミン塩等のメラミンスルホン酸塩等;リグニンスルホン酸、および、これらのアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)、アンモニウム塩およびアミン塩等のリグニンスルホン酸塩等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。なかでも、アニオン界面活性剤が、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩および長鎖スルホコハク酸塩、アセチレングリコールおよびアセチレングリコールのポリオキシアルキレン付加物の硫酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種であると、防着性に優れた被膜(防着剤層)を形成するので好ましい。
陽イオン界面活性剤としては、たとえば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;ジアルキルジメチルアンモニウム塩;トリアルキルメチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
両性界面活性剤としては、たとえば、2−ウンデシル−N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤;2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系両性界面活性剤;N−ラウリルグリシン、N−ラウリルβ−アラニン、N−ステアリルβ−アラニン等のアミノ酸型両性界面活性剤等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の配合割合については、特に限定はないが、微粉末材料100重量部に対して、通常1〜60重量部、好ましくは2〜50重量部、さらに好ましくは5〜40重量部、特に好ましくは7〜35重量部、最も好ましくは10〜30重量部である。界面活性剤の量が微粉末材料100重量部に対し60重量部超であると、未加硫ゴム用防着剤を水に配合して分散液を調製した場合に起泡が発生し易くなり好ましくない。一方、界面活性剤の量が1重量部未満であると、ゴム表面に対する濡れを向上させる効果が少なく、微粉末材料の被膜が不均一になり防着性および滑性が低下し好ましくない。
〔その他の成分等〕
本発明の未加硫ゴム用防着剤は、上記で説明した各成分以外に、消泡剤や多価アルコール、水溶性高分子等をさらに含有していてもよい。
消泡剤としては特に限定はないが、たとえば、ヒマシ油、ゴマ油、アマニ油、動植物油などの油脂系消泡剤;ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などの脂肪酸系消泡剤;ステアリン酸イソアミル、こはく酸ジステアリル、エチレングリコールジステアレート、ステアリン酸ブチルなどの脂肪酸エステル系消泡剤;ポリオキシアルキレンモノハイドリックアルコールジ−t−アミルフェノキシエタノール、3−ヘプタノール、2−エチルヘキサノールなどのアルコール系消泡剤;ジ−t−アミルフェノキシエタノール3−ヘプチルセロソルブノニルセロソルブ3−ヘプチルカルビトールなどのエーテル系消泡剤;トリブチルホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェートなどのリン酸エステル系消泡剤;ジアミルアミンなどのアミン系消泡剤;ポリアルキレンアミド、アシレートポリアミンなどのアミド系消泡剤;ラウリル硫酸エステルナトリウムなどの硫酸エステル系消泡剤;シリコーン系消泡剤;鉱物油等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては特に限定はないが、たとえば、グリセリン、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、スクロース、エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシリトール等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
水溶性高分子としては特に限定はないが、たとえば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、セルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
〔未加硫ゴム用防着剤の製造方法〕
未加硫ゴム用防着剤の製造方法については、特に限定はない。上記で説明した未加硫ゴム用防着剤を構成する各成分を同時に混合してもよく、成分ごとに順番に混合してもよく、予めいくつかの成分を混合しておいて残りの成分を後で添加混合等してもよい。
上記混合については、特に限定はなく、容器と攪拌羽根といった極めて簡単な機構を備えた装置を用いて行うことができる。また、一般的な揺動または攪拌を行える粉体混合機を用いてもよい。粉体混合機としては、たとえば、リボン型混合機、垂直スクリュー型混合機等の揺動攪拌または攪拌を行える粉体混合機を挙げることができる。また、近年、攪拌装置を組み合わせたことにより効率のよい多機能な粉体混合機であるスーパーミキサー(株式会社カワタ製)およびハイスピードミキサー(株式会社深江製)、ニューグラムマシン(株式会社セイシン企業製)、SVミキサー(株式会社神鋼環境ソリューション社製)等を用いてもよい。他には、たとえば、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、コーンクラッシャー、ロールクラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャー、ロッドミル、ボールミル、振動ロッドミル、振動ボールミル、円盤型ミル、ジェットミル、サイクロンミルなどの乾式粉砕機を用いてもよい。
〔未加硫ゴム用防着剤パック〕
本発明の未加硫ゴム用防着剤は、水溶性フィルムにより包装されていてもよい。水溶性フィルムにより包装された未加硫ゴム用防着剤は、本発明の未加硫ゴム用防着剤の1つの態様であるが、以下では、水溶性フィルムにより包装された未加硫ゴム用防着剤を、水溶性フィルムにより包装されていない未加硫ゴム用防着剤と区別するために、未加硫ゴム用防着剤パックということがある。また、未加硫ゴム用防着剤パックにおいて、防着性を示す包装された成分を防着性成分ということがある。
未加硫ゴム用防着剤パック1は、たとえば、図1に示すように、防着性成分2が水溶性フィルム3により包装されてなるパックである。
未加硫ゴム用防着剤パックであれば、現場でそのまま防着用タンクに投入できるので、水に分散させる際の粉塵発生を完全に防止できるという大きな利点がある。
水溶性フィルムを構成するポリマーとしては、昜溶解性の観点から、ポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールは、ビニルエステルを重合して得られる重合体のけん化物である。ビニルエステルとしては、たとえば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニル等のビニルエステルが挙げられるが、工業生産性や1,2−グリコール結合の生成の容易さの点から、酢酸ビニルが好ましい。また、ポリビニルアルコールは、上記ビニルエステル以外のコモノマーとともに重合して得られる重合体のけん化物であってもよい。このようなコモノマーとしては、たとえば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン等のα−オレフィン;(メタ)アクリル酸およびその塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体等の(メタ)アクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類;ポリアルキレンオキシドを側鎖に有するアリルエーテル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル類;酢酸イソプロペニル等が挙げられる。ポリビニルアルコールはこれらのコモノマーによって変性されたものでも良く、生分解性の観点からは、ポリビニルアルコールにおけるコモノマーによる変性量は、ポリビニルアルコール全体の5モル%以下が好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリ」は、「アクリ」および「メタクリ」を意味するものとする。たとえば、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸を意味する。
ポリビニルアルコールは、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定化剤や、可塑剤をさらに含有してもよい。可塑剤については、特に限定はないが、ポリビニルアルコールの相溶性の点から多価アルコール類が好ましい。多価アルコール類としては、生分解性の点から、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールが好ましく、1種または2種以上を併用してもよい。
水溶性フィルムの重量割合については特に限定はないが、たとえば、未加硫ゴム用防着剤パック100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜9重量部、さらに好ましくは0.1〜8重量部、最も好ましくは0.1〜7重量部である。水溶性フィルムの重量割合が0.1重量部未満であると、水溶性フィルムの厚さが薄くなりすぎてフィルム強度が低下することがある。一方、水溶性フィルムの重量割合が10重量部超であると、水溶性フィルムの厚さが厚くなり、水に対する溶解時間が長くなることがある。
ポリビニルアルコールのけん化度は、特に限定はないが、水溶性を考慮すると、好ましくは80〜93モル%、より好ましくは81〜92モル%、さらに好ましくは82〜91モル%、特に好ましくは83〜90モル%である。ポリビニルアルコールのけん化度が93モル%を超える場合には、水溶性が低下し、ハンドリング性が低下する。一方、ポリビニルアルコールのけん化度が80モル%未満の場合には、水溶性は優れるが、耐候性が低下する。
ポリビニルアルコールの重合度については、特に限定はないが、未加硫ゴムに形成されるポリビニルアルコールの被膜強度の点からは、好ましくは500〜5000、より好ましくは700〜5000、さらに好ましくは900〜5000、特に好ましくは1000〜3000である。
水溶性フィルムの形状および透明性に特に限定はなく、ブロッキング防止性や水溶性を改善するために、フィルム表面のマット加工、ブロッキング防止剤の散布やエンボス加工が施されていてもよい。また、ピンホール発生を防ぐために、同物性または異なる物性の複数のフィルムがラミネートされた構造であってもよいし、ヒートシール性能を高めるために、水溶性紙や水解紙にフィルムがラミネートされた構造であってもよい。水溶性フィルムは、その表面に水分解性インクや水溶性インク等でグラビア印刷等されていてもよい。
水溶性フィルムの20℃における水に対する溶解時間については特に限定はないが、好ましくは60秒以下、より好ましくは1〜50秒、さらに好ましくは5〜40秒、特に好ましくは10〜30秒である。
水溶性フィルムの厚さについては特に限定はないが、水溶性や耐衝撃性等を考慮すると、好ましくは100μm以下、より好ましくは0.1〜100μm、さらに好ましくは0.1〜90μm、特に好ましくは0.1〜80μm、最も好ましくは0.1〜75μmである。
水溶性フィルムの大きさについては、防着性成分の量に従って適宜設定されるので特に限定はないが、たとえば、図1で示す防着性成分を包装した状態の縦(cm)×横(cm)の大きさが、好ましくは(1〜120)cm×(1〜80)cm、より好ましくは(5〜100)cm×(2〜70)cm、さらに好ましくは(10〜90)cm×(5〜60)cm、最も好ましくは(20〜90)cm×(10〜60)cmである。
水溶性フィルムで包装する方法については、特に限定はなく、たとえば、未加硫ゴム用防着剤を構成する前述の各成分の混合物(防着性成分)を水溶性フィルムで包装する方法;未加硫ゴム用防着剤を構成する前述の各成分を順番に水溶性フィルムの袋に添加してパックする方法;未加硫ゴム用防着剤を構成する前述の各成分を順番に水溶性フィルム上に載せ包装する方法等を挙げることができる。
〔防着処理された未加硫ゴムの製造方法〕
本発明の防着処理された未加硫ゴムの製造方法は、上記未加硫ゴム用防着剤を、成形加工された未加硫ゴムの表面に付着させる処理工程を含む。
成形加工された未加硫ゴムにおいて、それを製造する際の成形加工方法やその形状等について、特に限定はない。成形加工方法としては、たとえば、カレンダーロールシート成形法、ローラーヘッドシート成形法、押出シート成形法、ラム押出成形法、スクリュー押出成形法、圧縮成形法、注入成形法、射出成形法等を挙げることができる。また、成形加工された未加硫ゴムの形状としては、たとえば、シート状、フィルム状、ホース状、チューブ状、スポンジ状等がある。成形加工された未加硫ゴムの用途としては、たとえば、パッキン、ベルト、靴底等がある。
処理工程は、水に未加硫ゴム用防着剤を配合した分散液を用いて行うと好ましい。この分散液が、微粉末材料および界面活性剤や、必要により用いられる水溶性高分子やその他の成分が水に溶解または分散されている状態であると好ましい。なお、処理工程で用いられる水は、水道水、イオン交換水、蒸留水等のいずれでもよい。
処理工程で用いる分散液に含まれる未加硫ゴム用防着剤の配合量については、特に限定はないが、水100重量部に対して、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜8重量部、特に好ましくは0.5〜6重量部、最も好ましくは0.5〜4重量部である。未加硫ゴム用防着剤の配合量が水100重量部に対して10重量部超であると、未加硫ゴム用防着剤がゴム表面に付着する量が多くなり、水分の乾燥に要する時間が長くなるので、実用的でない。一方、未加硫ゴム用防着剤の配合量が水100重量部に対して0.5重量部未満であると、ゴムに対する濡れが不十分で防着性が低下することがある。
分散液の25℃における粘度については、特に限定はないが、好ましくは2〜200mPa・s、さらに好ましくは2〜150mPa・s、特に好ましくは2〜100mPa・s、最も好ましくは2〜50mPa・sである。分散液の粘度が200mPa・s超であると、防着性成分がゴム表面に付着する量が多くなり、水分の乾燥に要する時間が長くなるので、実用的でない。一方、分散液の粘度が2mPa・s未満であると、ゴム表面に対する濡れが悪くなり、防着性が低下することがある。
分散液のpHは特に限定はないが、好ましくは5〜12、さらに好ましくは5〜10、特に好ましくは6〜9、最も好ましくは6〜8である。分散液のpHが5未満または12超であると、ハンドリング性に欠ける場合があり好ましくない。
分散液を未加硫ゴムの表面に付着させることによって、未加硫ゴム用防着剤を成形加工された未加硫ゴムの表面に付着させる方法としては、たとえば、未加硫ゴムに分散液をスプレーする方法、分散液を細流にて未加硫ゴムに吹きつける方法、未加硫ゴムを分散液に浸漬する方法等が挙げられる。これらのうちでも、未加硫ゴムを分散液に浸漬する方法が、未加硫ゴム用防着剤を均一にゴム表面に付着できるため好ましい。
未加硫ゴム用防着剤の分散液を未加硫ゴムの表面に付着させた後、ゴム表面を乾燥する工程を実施してもよい。ゴム表面を乾燥する方法としては、特に限定はないが、たとえば、熱風機やブローヒーターなどから槽内に熱風を送ることで乾燥させる熱風乾燥;水分を減圧の変化で乾燥させる真空乾燥;バレル乾燥;スピン乾燥;吸引乾燥;マランゴニー乾燥;赤外線乾燥等が挙げられる。これらのうちでも、熱風乾燥が、コスト安であるため好ましい。
このようにして製造された防着処理された未加硫ゴムでは、次の成型、加硫等の工程に移行するまでの間、積み重ねて貯蔵する場合に、未加硫ゴム同士の密着を防止することができる。
以下に、未加硫ゴム用防着剤の実施例について、具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔分散液の不揮発分濃度〕
未加硫ゴム用防着剤を水に配合して得られる分散液の場合、分散液のa(g)をアルミシートに秤取し(但し、a(g)は2〜3gの範囲)、110℃で0.5時間保った後の恒量に達した残留物の質量がb(g)である。分散液の不揮発分濃度を下式にしたがって算出する。
分散液の不揮発分濃度(重量%)=(b/a)×100
〔結晶型珪酸の重量割合の測定〕
結晶型珪酸の重量割合を粉末X線回折により測定する。測定値が検出限界以下である時は0重量%とした。
〔モンモリロナイトの重量割合の測定〕
モンモリロナイトの重量割合を粉末X線回折により測定する。測定値が検出限界以下である時は0重量%とした。
〔分散液の粘度の測定〕
測定装置として、ブルックフィールド型粘度計(BL型、東機産業株式会社製)を用いて20℃、12rpm、ローターNo.3の条件で粘度を測定する。
〔乾燥性の評価〕
未加硫ゴム用防着剤を水に配合して得られる分散液に100℃の温度に加熱した天然ゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げ、ゴム表面が乾くまでの時間を目視にて測定する。下部に液溜まりができるがこれは全ての試験片に出来るので無視し、この状態に至るまでを乾燥時間として測定する。乾燥時間が100秒以下であれば、次の工程に移行するまでの待ち時間が少なく、乾燥性が良い。乾燥時間が100秒超であれば、次の工程に移行するまでの待ち時間が長く、作業性に支障をきたすため乾燥性が良くない。
〔剥離抗力の測定〕
未加硫ゴム用防着剤を水に配合して得られる分散液に100℃の温度に加熱した天然ゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げる。試験片が風乾したら2枚を重ね合わせ、1000kg/mの荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置する。恒温槽から出した試験片を室温まで空冷し、引張り試験機テンシロン(PT−200N型、ミネベア株式会社)を用いて100mm/minの速度下で剥離抗力(N/mm)を測定した。剥離抗力が小さいほど剥がしやすく、防着性(防着力)が高い。剥離抗力が0.05N/mm以下の場合、大きな負荷なく未加硫ゴム同士を剥がすことができ、防着性が高い。剥離抗力が0.05N/mm超の場合、未加硫ゴム同士を剥がす時の負荷が大きく、防着性が低い。さらに剥離抗力が0.1N/mm超の場合、ゴム同士が密着して剥離が困難である。
〔防着処理ゴムの粉付着量および粉飛散量〕
天然ゴム試験片10×10cmを準備し、初期重量(W)を測定した。未加硫ゴム用防着剤を水に配合して得られる分散液に、100℃に加熱されたゴム試験片を2回連続で浸漬してすぐに引き上げた。試験片が風乾したらその重量(W)を測定した。さらに試験片の各6面をたわしで15回強くこすった後の試験片の重量(W)を測定した。防着処理ゴムの粉付着量および粉飛散量は下記の式により計算される。
防着処理ゴムの粉付着量(mg/100cm)=W−W
防着処理ゴムの粉飛散量(mg/100cm)=W−W
防着処理ゴムの粉付着量が大きいほど、ゴムに混入する未加硫ゴム用防着剤の量が多くなり、ゴムの物理的性質に悪影響を与える。粉付着量が10mg/100cm以下であれば、ゴムの物理的性質に大きな悪影響を与えず、好ましい。粉付着量が10mg/100cm超であれば、ゴムの物理的性質に悪影響を与える場合があり好ましくない。
防着処理ゴムの粉飛散量が大きいほど、ゴム表面から粉落ちした粉塵による飛散問題が大きくなる。粉飛散量が1mg/100cm以下であれば、粉塵発生の問題を大幅に低下できて、好ましい。粉飛散量が1mg/100cm超であれば、ゴム表面から粉落ちした粉塵による飛散が発生し好ましくない。
〔測定用ゴム〕
全ての測定には、天然ゴムを用いた。用いた天然ゴムの比重は0.92であり、ムーニー粘度は45〜150である。
〔微粉末材料〕
実施例および比較例で用いた微粉末材料の物性を以下に示す。
ベントナイト1:結晶型珪酸の含有率23.5%、比重2.5、平均粒子径10μm、膨潤力20mg/2g
ベントナイト2:結晶型珪酸の含有率15.3%、比重2.5、平均粒子径10μm、膨潤力20mg/2g
ベントナイト3:結晶型珪酸の含有率8.6%、比重2.5、平均粒子径10μm、膨潤力40mg/2g
ベントナイト4:結晶型珪酸の含有率0%、比重2.5、平均粒子径10μm、膨潤力80mg/2g
カオリン:結晶型珪酸の含有率2.6%、比重2.6、平均粒子径10μm
タルク:結晶型珪酸の含有率3.5%、比重2.7、平均粒子径10μm
クレー:結晶型珪酸の含有率2.8%、比重2.7、平均粒子径10μm
マイカ:結晶型珪酸の含有率2.7%、比重2.7、平均粒子径10μm
結晶性石英フィラー:結晶型珪酸の含有率99.8%以上、比重2.7、平均粒子径15μm
炭酸カルシウム:比重2.6、平均粒子径10μm
炭酸マグネシウム:比重2.5、平均粒子径10μm
ヤシ油脂肪酸カリウム:比重1.0、平均粒子径7μm
オレイン酸カリウム:比重1.0、平均粒子径7μm
ステアリン酸カルシウム:比重1.1、平均粒子径10μm
ラウリン酸ナトリウム:比重0.9、平均粒子径10μm
パラフィンワックス:比重0.9、平均粒子径8μm
カルナバワックス:比重1.0、平均粒子径7μm
ポリエチレンワックス:比重0.9、平均粒子径5μm
ポリスチレン樹脂:比重1.1、平均粒子径5μm
ポリメチルメタクリレート樹脂:比重1.0、平均粒子径5μm
〔ポリビニルアルコールの水溶性フィルム〕
実施例および比較例で用いた水溶性フィルムの重合度は、いずれも2000である。
〔実施例1〕
ベントナイト1の40g、カオリン10g、炭酸カルシウム30g、炭酸マグネシウム20g、POE(25)ラウリルエーテル10gを均一に混合して、未加硫ゴム用防着剤を得た。未加硫ゴム用防着剤は、結晶型珪酸の重量割合は無機珪素化合物の18.7重量%であり、モンモリロナイトの重量割合は微粉末材料および界面活性剤の合計量に対して18.5重量%であった。
さらに、イオン交換水100gに、前記未加硫ゴム用防着剤2.041gを攪拌しながら加え、水中に均一に分散した未加硫ゴム用防着剤の分散液を得た。分散液は、不揮発分濃度2.0重量%、分散液粘度5mPa・sであった。
得られた分散液に100℃に加熱された天然ゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げた。ゴム表面が乾くまでの時間を目視にて測定したところ、乾燥時間は22秒であり乾燥性に優れていた。ゴム試験片が風乾したら2枚を重ね合わせ、1000kg/mの荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置した。剥離抗力は0.009N/mmであり、負荷なく剥離することができ、防着性が優れていた。粉付着量は5.2mg/100cm、粉飛散量は0.2mg/100cmで、脱落による粉塵発生の問題が大幅に低減されていた。
〔実施例2〜18〕
実施例2〜18では、実施例1において、表1および表2に示すように組成をそれぞれ変更する以外は、実施例1と同様に未加硫ゴム用防着剤をそれぞれ得て、物性等も実施例1と同様に評価した。その結果を表1および表2にそれぞれ示す。それらは未加硫ゴムに対する接着性に優れ脱落による粉塵発生の問題が大幅に低減されており、防着性に優れていた。なお、表1〜3において、実施例1〜6及び11〜17は、それぞれ参考例1〜6及び11〜17とする。
Figure 0005926048
Figure 0005926048
〔実施例13〕
ベントナイト1の10g、ベントナイト2の10g、ベントナイト4の20g、カオリン30g、炭酸カルシウム20g、炭酸マグネシウム10g、POE(25)ラウリルエーテル10gを均一に混合して、防着性成分を得た。
さらに、けん化度86〜90%、厚さ40μm、溶解時間40秒のポリビニルアルコールの水溶性フィルム0.061g(大きさ:約3cm×約1.5cm)を準備し、この水溶性フィルムで、防着性成分1.980gをパックして、未加硫ゴム用防着剤である未加硫ゴム用防着剤パック(総重量2.041g)を得た。未加硫ゴム用防着剤パックは、結晶型珪酸の重量割合は無機珪素化合物の12.9重量%であり、モンモリロナイトの重量割合は26.0重量%であった。
次いで、未加硫ゴム用防着剤パック2.041gをイオン交換水100gに攪拌しながら加え、水中に均一に分散した分散液を得た。分散液は、不揮発分濃度2.0重量%、分散液粘度3mPa・sであった。分散液を作製する際に粉塵発生は全くなかった。
得られた分散液に100℃に加熱された天然ゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げた。ゴム表面が乾くまでの時間を目視にて測定したところ、乾燥時間は23秒であり乾燥性に優れていた。ゴム試験片が風乾したら2枚を重ね合わせ、1000kg/mの荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置した。剥離抗力は0.009N/mmであり、負荷なく剥離することができ、防着性が優れていた。粉付着量は4.9mg/100cm、粉飛散量は0.2mg/100cmで、脱落による粉塵発生の問題が大幅に低減されていた。
〔実施例14〜18〕
実施例14〜18では、実施例13において、表3に示すように組成をそれぞれ変更する以外は実施例13と同様にして、防着性成分および未加硫ゴム用防着剤パックをそれぞれ得て、物性等も実施例13と同様に評価した。その結果を表3に示す。それらは未加硫ゴムに対する接着性に優れ脱落による粉塵発生の問題が大幅に低減されており、防着性に優れていた。
Figure 0005926048
〔比較例1〕
ベントナイト1の50g、炭酸カルシウム40g、炭酸マグネシウム10g、POE(25)ラウリルエーテル10gを均一に混合して、未加硫ゴム用防着剤を得た。未加硫ゴム用防着剤は、結晶型珪酸の重量割合は24.6重量%であり、モンモリロナイトの重量割合は23.2重量%であった。
さらに、イオン交換水100gに、前記未加硫ゴム用防着剤2.041gを攪拌しながら加え、水中に均一に分散した未加硫ゴム用防着剤の分散液を得た。分散液は、不揮発分濃度2.0重量%、分散液粘度3mPa・sであった。
得られた分散液に100℃に加熱された天然ゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げた。ゴム表面が乾くまでの時間を目視にて測定したところ、乾燥時間は23秒であり乾燥性に優れていた。ゴム試験片が風乾したら2枚を重ね合わせ、1000kg/mの荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置した。剥離抗力は0.08mmで防着性に優れなかった。粉付着量は7.0mg/100cm、粉飛散量は1.4mg/100cmで、粉付着量が10mg/100cm超、粉飛散量が1mg/100cm超であり、脱落による粉塵飛散が発生した。
比較例1は、実施例1〜18と比較して、防着性および脱落による粉塵飛散が劣っていた。
〔比較例2〜14〕
比較例2〜14では、比較例1において、表4および表5に示すように組成をそれぞれ変更する以外は、比較例1と同様に未加硫ゴム用防着剤をそれぞれ得て、物性等も比較例1と同様に評価した。得られた比較例の物性等の結果も、表4および表5にそれぞれに示す。実施例1〜18と比較して、防着性、滑性および脱落による粉塵飛散が劣っていた。
Figure 0005926048
Figure 0005926048
上記実施例および比較例において、POE(n)とは、ポリオキシエチレン(オキシエチレンの繰返し単位数:n)を意味する。
1 未加硫ゴム用防着剤パック
2 防着性成分
3 水溶性フィルム

Claims (9)

  1. 無機珪素化合物を必須とする微粉末材料および界面活性剤を含有する防着剤あって、
    前記無機珪素化合物がモンモリロナイトを必須に含有し、
    前記微粉末材料を100重量部としたときに、前記界面活性剤が1〜60重量部であり、
    結晶型珪酸の重量割合が前記無機珪素化合物の2.5重量%以下である、
    未加硫ゴム用防着剤。
  2. 微粉末材料および界面活性剤の合計量に対する前記モンモリロナイトの重量割合が20〜50重量%である、請求項1に記載の未加硫ゴム用防着剤。
  3. 前記微粉末材料が、炭酸塩、脂肪酸石鹸、金属石鹸、ワックス、アクリル樹脂およびス
    チレン系樹脂から選ばれる少なくとも1種をさらに含有する、請求項1又は2に記載の未加硫ゴム用防着剤。
  4. 前記界面活性剤が非イオン界面活性剤および/またはアニオン界面活性剤である、請求項1〜のいずれかに記載の未加硫ゴム用防着剤。
  5. 前記非イオン界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアル
    キレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソ
    ルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし
    油、アセチレングリコールおよびアセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物か
    ら選ばれる少なくとも1種であり、前記アニオン界面活性剤が、脂肪酸塩、アルキル硫酸
    エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫
    酸塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エ
    ステル塩および長鎖スルホコハク酸塩、アセチレングリコールおよびアセチレングリコー
    ルのポリオキシアルキレン付加物の硫酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種である、
    請求項1〜のいずれかに記載の未加硫ゴム用防着剤。
  6. 前記結晶型珪酸の重量割合が0重量%である、請求項1〜のいずれかに記載の未加硫ゴム用防着剤。
  7. ポリビニルアルコールの水溶性フィルムにより包装されている、請求項1〜のいずれかに記載の未加硫ゴム用防着剤。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の未加硫ゴム用防着剤を、成形加工された未加硫ゴムの表面に付着させる処理工程を含む、防着処理された未加硫ゴムの製造方法。
  9. 前記処理工程を、水100重量部に対して前記未加硫ゴム用防着剤0.5〜10重量部を配合した分散液に前記未加硫ゴムを浸漬して行う、請求項に記載の防着処理された未加硫ゴムの製造方法。
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