JP5122039B2 - 耐衝撃性に優れたポリビニルアルコール系水溶性フィルム - Google Patents

耐衝撃性に優れたポリビニルアルコール系水溶性フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリビニルアルコール(以下、ポリビニルアルコールを「PVA」と略称することがある)からなる耐衝撃性に優れた水溶性フィルムから製造した包装袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、農薬をはじめとする各種薬品などを一定量づつ水溶性フィルムに密封包装して、使用時にその包装形態のまま水中に投入し、内容物を包装フィルムごと水に溶解または分散して使用する方法が行われるようになっている。このユニット包装の利点は、使用時に危険な薬品に直接触れることなく使用できること、一定量が包装されているために使用時に計量する必要がないこと、薬剤を包装、輸送した容器または袋などの使用後の処理が不要または簡単であることなどである。
【0003】
従来このようなユニット包装用の水溶性フィルムとして、部分けん化PVAフィルムが用いられていた。これらの水溶性フィルムは、冷水や温水に易溶性であり、機械的強度が優れるなどの性能を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
農薬は春先に使用されることが多いため、農薬の包装、輸送、保管は冬場に行われることが多い。フィルムは温度が下がると固くなるため、輸送の際に破袋が少ない水溶性フィルムが必要とされている。しかし、従来のPVAフィルムは、耐衝撃性が充分でなく破袋しやすいという問題を有している。
【0005】
本発明の目的は、上記の欠点を無くし、耐衝撃性が良好で破袋しにくいPVA系水溶性フィルムから製造した包装袋を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者はかかる現状に鑑み鋭意検討した結果、特定の引張衝撃強度を有するPVAフィルムが、目的とする性質を有する水溶性フィルムとして非常に有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、PVA100重量部に対して可塑剤を10〜30重量部含有し、5℃の引張衝撃強度が1kg・cm以上であり、かつ5℃での製膜方向の引張衝撃強度(MD)と幅方向の引張衝撃強度(TD)の比(TD/MD)が0.5〜0.94であるPVA系水溶性フィルムから製造した包装袋に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明に用いられるPVAは、ビニルエステル系単量体を重合させて得られる重合体を、通常、アルコール溶液中でアルカリまたは酸触媒を用いてけん化し、ビニルエステル単位をビニルアルコール単位としたものを用いることができる。
【0009】
PVAの製造に使用されるビニルエステル系単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ギ酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのなかでも工業的に生産され、コスト的に有利な酢酸ビニルを用いるのが好ましい。
【0010】
また、本発明のPVAは本発明の主旨を損なわない範囲で他の単量体単位を含有しても差し支えない。このような単量体単位としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類、アクリル酸及びその塩とアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体等のメタクリルアミド誘導体、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、ポリアルキレンオキシドを側鎖に有するアリルエーテル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル、酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物、マレイン酸およびその塩またはそのエステル、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物、酢酸イソプロペニル等がある。変性量は通常5モル%以下である。
【0011】
該ポリビニルエステル系共重合体の重合法としては溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等、従来公知の方法が適用できる。重合触媒としては、重合方法に応じて、アゾ系触媒、過酸化物系触媒、レドックス系触媒等が適宜選ばれる。
【0012】
共重合体のけん化反応は従来公知のアルカリ触媒、あるいは酸触媒での加アルコール分解、加水分解等が適用できる。このうちメタノールを溶剤とするNaOH触媒によるけん化反応が簡便で最も好ましい。
【0013】
PVAの重合度(粘度平均重合度)は特に限定は無いが、水溶性フィルムの場合、フィルムの機械的な物性も重要であり、10〜100μmの薄い厚さでも強い強度と柔軟性が要求されており、フィルムの強度やタフネスの点からは粘度平均重合度が500以上であるのが好ましく、1000以上であるのがより好ましく、1500以上であるのがさらに好ましく、2000以上であるのが特に好ましい。耐衝撃性の点からは2000以上が好ましく、2400以上が特に好ましい。一方、水溶性の点から6000以下が好ましく、4000以下がさらに好ましい。粘度平均重合度が500未満ではフィルム強度が弱くなる傾向にあり、また6000より大きい場合にはフィルムを製膜するときに使用する製膜原料溶液の粘度が高くなり、作業性が低下する傾向がある。
【0014】
PVAのけん化度は、水溶性の点から、けん化度は80〜95モル%であり、82〜92モル%が好ましく、85〜90モル%が特に好ましい。けん化度が80モル%より小さい場合にも、けん化度が95モル%より大きい場合にも水溶性が不充分であることから好ましくない。けん化度はJIS記載の方法により測定することができる。
【0015】
一般に水溶性フィルムは高温多湿の地域や寒冷地でも運搬、貯蔵、使用がなされるため、フィルムの強度やタフネスが要求される。特に低温での耐衝撃性が必要とされる。そのためフィルムのガラス転移点を下げるために、種々の可塑剤が用いられる。
【0016】
本発明に用いられる可塑剤としては、PVAの可塑剤として一般に用いられているものなら特に制限はなく、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテル類、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどのフェノール誘導体、N−メチルピロリドンなどのアミド化合物、さらにはグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコールにエチレンオキサイドを付加した化合物や水などを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0017】
可塑剤の配合割合はPVA100重量部に対して10〜30重量部であり、好ましくは10〜25重量部であり、さらに好ましくは10〜20重量部である。可塑剤の配合割合が5重量部未満の場合には、耐衝撃性が不充分である。一方、可塑剤の配合割合が30重量部を超える場合には、可塑剤のブリードアウトが大きくなり、フィルムがブロッキングしやすいため好ましくない。また、得られるフィルムの腰(製袋機等の工程通過性)の点からも、30重量部以下の割合で配合するのが好ましい。得られるフィルムの水溶性を向上させる点からは、可塑剤の配合量が多いほど好ましい。また、ヒートシール温度は様々な要因で変化するが、特に可塑剤の配合量が多いほどヒートシール温度は低下し、フィルム製袋時の生産性が向上するので好ましい。特に、得られるフィルムのヒートシール温度が170℃以下となるような割合で可塑剤を配合するのが好ましく、160℃以下となるような割合で可塑剤を配合するのがより好ましい。
【0018】
本発明のPVAには、さらに必要に応じて、無機フィラーを配合することができる。本発明に用いられる無機フィラーとしては、例えば、シリカ、重質、軽質又は表面処理された炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ゼオライト、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、マイカ、炭酸マグネシウム、カオリン、ハロサイト、パイロフェライト、セリサイト等のクレー、タルク等を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのなかでも、特にPVAへの分散性の点から、シリカあるいはタルクを用いるのが好ましい。無機フィラーの粒子径は、ブロッキング防止性の点から1μm以上が好ましく、PVAへの分散性の点から10μm以下が好ましい。その両者の性能を両立させるには、粒径が1〜7μm程度の大きさのものがより好ましい。
【0019】
本発明のPVAには、必要に応じて界面活性剤を配合することができる。界面活性剤の種類としては特に限定はないが、アニオン性あるいはノニオン性の界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸カリウムなどのカルボン酸型、オクチルサルフェートなどの硫酸エステル型、ドデシルベンゼンスルホネートなどのスルホン酸型のアニオン性界面活性剤が好適である。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテルやポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどのアルキルフェニルエーテル型、ポリオキシエチレンラウレートなどのアルキルエステル型、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテルなどのアルキルアミン型、ポリオキシエチレンラウリン酸アミドなどのアルキルアミド型、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルなどのポリプロピレングリコールエーテル型、オレイン酸ジエタノールアミドなどのアルカノールアミド型、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルなどのアリルフェニルエーテル型などのノニオン性界面活性剤が好適である。これらの界面活性剤の1種あるいは2種以上の組み合わせで使用することができる。ブロッキング防止性の点からアルキルエーテル系界面活性剤が好ましく、中でもポリオキシエチレンオレイルエーテルが特に好ましい。
界面活性剤の添加量としてはPVA100重量部に対して0.01〜2重量部が好ましく、0.1〜1重量部がさらに好ましく、0.2〜0.5重量部が特に好ましい。0.01重量部より少ないと製膜装置のダイスやドラムなどの金属表面と、製膜したフィルムやフィルム原液との剥離性が低下して製造が困難となるために好ましくない。添加量が2重量部より多いとフィルム表面に溶出しブロッキングの原因になり取り扱い性が低下する場合があるため好ましくない。
【0020】
本発明のPVAは、さらに必要に応じて、着色剤、香料、増量剤、消泡剤、剥離剤、紫外線吸収剤などの通常の添加剤を適宜配合しても差し支えない。また必要に応じて、本発明の効果を失わない範囲内で、本発明のPVAとは異なった種類のPVA、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどの水溶性高分子を配合しても良い。
【0021】
本発明のPVA系水溶性フィルムは、PVAに、可塑剤、界面活性剤および必要に応じて無機フィラーや上記した他の成分を配合し、所望の方法で混合することにより得られるPVA系組成物を用いて製造することができる。
【0022】
即ち、上記したPVA系組成物を用いて、一般にキャストフィルムを製膜する際に用いられている製膜方法、例えば、流延製膜法、湿式製膜法、乾式製膜法、押出製膜法、溶融製膜法などの製膜方法で、水溶性フィルムを製膜することができる。製膜原液としてPVA系組成物を水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、フェノールなどの溶媒に溶解した均一な溶液を調製するためには、PVA系組成物を構成する成分を予め全て混合した後に溶媒に溶解しても、あるいはPVA系組成物を構成する成分をそれぞれ溶媒に溶解した後に、それらの溶液を混合しても構わない。製膜原液の濃度は粘度の点から50重量%以下(溶媒の含有量が50重量%より大)が好ましく、製膜したフィルムの表面にマット状態が形成されやすい点から35重量%以下(溶媒の含有量が65重量%より大)がさらに好ましい。濃度の下限としては、工業的な実施の点から10重量%以上が好ましい。
【0023】
本発明の製膜原液がキャストされるキャストロールはロールでもベルトでも構わない。そのキャストロール表面の温度は80〜110℃であり、85〜105℃が好ましく、90〜100℃が特に好ましい。80℃より低いと乾燥後の剥離性が不充分になりやすく、また得られたフィルムのブロッキング性が悪化することがあるため好ましくない。110℃より高いとフィルムが発泡して孔が開くことがあるため好ましくない。
【0024】
本発明のPVA系水溶性フィルムの厚みは、10〜100μmであるのが好ましく、特に強度と水溶性のバランスの点から30〜80μmであるのがより好ましい。
【0025】
本発明のPVA系水溶性フィルムのブロッキング防止性をさらに向上させるために、必要に応じて、該水溶性フィルム表面をロールマット化あるいはベルトマット化したり、シリカや澱粉などのブロッキング防止用の粉を塗布したり、エンボス処理を行うこともできる。フィルム表面のロールマット化あるいはベルトマット化は、製膜時に乾燥前のフィルムが接するロールあるいはベルトに微細な凹凸を形成しておくことにより施すことができる。エンボス処理は一般にフィルムが形成された後で、熱や圧力を加えながらエンボスロールとゴムロールでニップすることで行うことができる。粉の塗布はブロッキング防止の効果が大きいが、用途によっては使用できないことがあるため、ブロッキング防止のためにはロールマット化やエンボス処理を施すほうが好ましい。ブロッキング防止効果が大きいためロールマット化あるいはベルトマット化することが特に好ましい。
【0026】
マット化したロールあるいはベルト表面の表面粗さは1S以上であり、2S以上がより好ましく、3S以上が特に好ましい。1Sより小さいとブロッキング防止性が不充分である。上限は特に限定されないが、粘度によっては気泡が発生して孔が開くことがあるため、10S以下が好ましい。
【0027】
本発明のPVA系水溶性フィルムは袋を作成して薬剤等を包装することが多いため、耐衝撃性が必要である。本発明のPVA系水溶性フィルムについては、5℃での引張衝撃強度が1kg・cm以上であることが必須であり、1.2kg・cm以上がより好ましく、1.5kg・cm以上であることが特に好ましい。1kg・cmより小さいと輸送中の衝撃により、破袋の恐れがあるため好ましくない。
本発明では特に、5℃の引張衝撃強度が1kg・cm以上であり、かつ5℃でのフィルムの製膜方向の引張衝撃強度(MD)と幅方向の引張衝撃強度(TD)の比(TD/MD)が0.5〜0.94であるPVA系水溶性フィルムが使用される。(TD/MD)が0.6〜0.94であるPVA系水溶性フィルムがより好ましく、同比が0.7〜0.94であるPVA系水溶性フィルムが特に好ましい。同比が0.5より小さいと輸送中に破袋が起こりやすくなるため好ましくない。同比が1.1より大きい条件は製膜中にフィルムにシワが入りやすくなるため、製造が困難である。本発明ではキャスト速度と巻き取り速度を適宜コントロールすることにより、引張衝撃強度比(TD/MD)を調節できる。
【0028】
本発明のPVA系水溶性フィルムは、洗剤、トイレブロック剤、入浴剤や農薬などの水に溶解させて使用する物品の包装、特にユニット包装の材料として非常に有用である。上記PVA系水溶性フィルムから製造した本発明の包装袋は、そのまま水中に投入するだけで速やかに溶解し、その内容物は水中に放出される。
【0029】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお実施例中の<1>PVA系水溶性フィルムの水溶性の測定方法および<2>耐衝撃性の評価方法は以下の方法により行った。
【0030】
<1>PVA系水溶性フィルムの水溶性の測定方法:
20℃の恒温バスにマグネティックスターラーを設置する。1Lの蒸留水を入れた1Lのガラスビーカーをバスに入れ、5cmの回転子を用いて250rpmで撹拌を行う。ビーカー内の蒸留水が20℃になった後、水溶性の測定を開始する。
フィルムを40×40mmの正方形に切り、これをスライドマウントにはさみ、20℃の撹拌している水中に浸漬し、フィルムの溶解状態を観察した。フィルムが溶解するまでの時間(秒)を測定した。なお、フィルムの厚さが40μmとは異なるフィルムを用いる場合には、下記の式(1)に従ってフィルムの厚さ40μmの値に換算する。
【0031】
溶解時間(秒)=[40/フィルムの厚み(μm)]2×実際の溶解時間(秒)…(1)
【0032】
<2>耐衝撃性の測定:
1)引張衝撃強度試験
テンサイルインパクトテスターを用いて、ASTM D−1822に従い、5℃で引張衝撃強度の測定を行った。
【0033】
2)落下衝撃試験
製膜したフィルムで10×10cmの袋を作成し、100gの乾燥砂を入れて、5℃に冷却後、2mの高さからコンクリートの床の上に落として、破袋状態を観察した。
【0034】
実施例1
けん化度88モル%、重合度2400のPVA100重量部に対し、可塑剤としてグリセリン20重量部、界面活性剤としてポリオキシエチレンオレイルエーテル0.2重量部および水を添加して、温度95℃の均一な濃度20重量%(含水率80重量%)の製膜原液を作成し、95℃の表面粗さ2Sのステンレスロールへキャストし、乾燥することにより厚さ40μmのフィルムを得た。キャストロール速度は6m/分、乾燥フィルムの巻き取り速度は8m/分であった。このフィルムの水溶性(水に溶解するまでの時間)は20℃で50秒であった。5℃の引張衝撃強度は製膜方向の引張衝撃強度(MD)が1.6kg・cm、幅方向の引張衝撃強度(TD)が1.5kg・cmであり、TD/MDの比は0.94であった。落下衝撃試験での破袋は観察されなかった。
【0035】
実施例2
けん化度88モル%、重合度2200のPVA100重量部に対し、可塑剤としてグリセリン20重量部、界面活性剤としてポリオキシエチレンオレイルエーテル0.2重量部および水を添加して、温度95℃の均一な濃度25重量%(含水率75重量%)の製膜原液を作成し、95℃の表面粗さ2Sのステンレスロールへキャストし、乾燥することにより厚さ40μmのフィルムを得た。キャストロール速度は10m/分、乾燥フィルムの巻き取り速度は14m/分であった。このフィルムの水溶性(水に溶解するまでの時間)は20℃で45秒であった。5℃の引張衝撃強度はMDが1.4kg・cm、TDが1.2kg・cmであり、TD/MDの比は0.86であった。落下衝撃試験での破袋は観察されなかった。
【0036】
実施例3
けん化度88モル%、重合度1700のPVA100重量部に対し、可塑剤としてグリセリン20重量部、界面活性剤としてポリオキシエチレンオレイルエーテル0.2重量部および水を添加して、温度95℃の均一な濃度30重量%(含水率70重量%)の製膜原液を作成し、95℃の表面粗さ2Sのステンレスロールへキャストし、乾燥することにより厚さ40μmのフィルムを得た。キャストロール速度は15m/分、乾燥フィルムの巻き取り速度は22m/分であった。このフィルムの水溶性(水に溶解するまでの時間)は20℃で35秒であった。5℃の引張衝撃強度はMDが1.3kg・cm、TDが1.0kg・cmであり、TD/MDの比は0.77であった。落下衝撃試験でシール部からの破袋が5%の確率で観察された。
【0037】
比較例1
製膜原液にグリセリンを添加しない以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。キャストロール速度は6m/分、乾燥フィルムの巻き取り速度は8m/分であった。このフィルムの水溶性(水に溶解するまでの時間)は20℃で75秒であった。引張衝撃強度はMDが0.8kg・cm、TDが0.3kg・cmであり、TD/MDの比は0.38であった。落下衝撃試験で破袋が90%の確率で観察された。
【0038】
比較例2
製膜原液にグリセリンを5重量部添加する以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。キャストロール速度は6m/分、乾燥フィルムの巻き取り速度は8m/分であった。このフィルムの水溶性(水に溶解するまでの時間)は20℃で68秒であった。引張衝撃強度はMDが1.2kg・cm、TDが0.9kg・cmであり、TD/MDの比は0.75であった。落下衝撃試験で破袋が70%の確率で観察された。
【0039】
比較例3
製膜原液にグリセリンを40重量部添加する以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。キャストロール速度は6m/分、乾燥フィルムの巻き取り速度は8m/分であった。このフィルムの水溶性(水に溶解するまでの時間)は20℃で35秒であった。引張衝撃強度はMDが2.5kg・cm、TDが3.7kg・cmであり、TD/MDの比は1.5であった。落下衝撃試験でシール部からの破袋が15%の確率で観察された。
【0040】
比較例4
製膜原液にグリセリンを40重量部添加する以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。キャストロール速度は6m/分、乾燥フィルムの巻き取り速度は12m/分であった。このフィルムの水溶性(水に溶解するまでの時間)は20℃で38秒であった。引張衝撃強度はMDが2.8kg・cm、TDが1.2kg・cmであり、TD/MDの比は0.43であった。落下衝撃試験でシール部からの破袋が30%の確率で観察された。
【0041】
【発明の効果】
本発明のPVA系水溶性フィルムは、耐衝撃性に優れており、薬品包装、染料包装、洗剤包装など従来公知の水溶性フィルムの用途に好ましく用いられる。

Claims (2)

  1. ポリビニルアルコール100重量部に対して可塑剤を10〜30重量部含有し、5℃の引張衝撃強度が1kg・cm以上であり、かつ5℃での製膜方向の引張衝撃強度(MD)と幅方向の引張衝撃強度(TD)の比(TD/MD)が0.5〜0.94であることを特徴とするポリビニルアルコール系水溶性フィルムから製造した包装袋。
  2. ポリビニルアルコールの重合度が2000以上である請求項1記載の包装袋。
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