JP2005139240A - 水溶性フィルムおよび個別包装材 - Google Patents

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Abstract

【課 題】 機械的強度、冷水易溶性に優れるとともに、塩成分を多く含んだ水性液や特に硼酸塩を含有する水性液に対しても良好な溶解性を発現するPVA系水溶性フィルム、このフィルムを包装材として用いた個別包装洗剤を提供すること。
【解決手段】カルボキシル基を有する単量体0.1〜20モル%および/またはスルホン酸基を有する単量体0.01〜10モル%と脂肪族ビニルエステルとの共重合体であって、ケン化度が60〜95モル%であるポリビニルアルコール系樹脂100質量部に対し、フラクトース、ソルビトール、マンニトール、ソルボース、カテコール、ペンタエリトリトールおよびメゾエリトリトールからなる群から選ばれる多価アルコール0.5〜70質量部を配合してなる組成物からなる水溶性フィルム、このフィルムを包装材として用いた個別包装洗剤。
【選択図】なし

Description

本発明は水溶性フィルム、個別包装包材および個別包装洗剤に関する。更に詳しくは、本発明は包装材としてのフィルム強度、冷水易溶性を有し、塩成分を多く含んだ水性液、特に硼酸塩を含有する水性液に対して易溶解性の水溶性フィルム、該フィルムからなる個別包装材および該フィルムを包装材として用いた個別包装洗剤に関するものである。
水溶性フィルムは、その用途の一つとして、農薬、洗剤をはじめとする各種薬剤の個別包装材としての用途が挙げられる。すなわち、水溶性フィルムを用いて薬剤を一定量ずつ密封包装し、使用時にその包装形態のまま水中に投入することにより、薬剤を水に溶解または分散させることができ、近年、このような方法が急増してきている。この方法を用いれば、人体にとって必ずしも安全でない物質を包装することができ、使用に際して包装したまま水に投入することにより、このような物質を人間が直接触れることなく水中に投入できるので安全上非常に有用である。また、複雑な配合の組成物について予め一回分を計量して個別包装しておくことにより、使用時にいちいち計量する手間が省けるといった利点がある。
このような用途に用いられるフィルムは、使用する水に対して容易に溶解することが特に要求されている。
ポリビニルアルコール(以降PVAと略記することもある)系フィルムは、水溶性である上、皮膜が強靱で透明性に優れ、印刷性も良いという優れた特長を有しているため、従来よりこのような用途によく用いられてきた。
しかしながら、上記のような個別包装の用途の中でも特に洗濯用組成物の個別包装材としてPVA系フィルムを用いた場合には、洗濯用組成物のような塩成分を多量に含有した水性液やpHの高い硼酸塩含有水性液中に入れると、PVA系フィルムの溶解速度が著しく低下してしまうということが問題となっている。フィルムの溶解速度が十分でないと、洗濯の初期段階で洗剤、漂白剤、柔軟剤などの洗濯用組成物を供給できない。さらには、洗濯後の衣類にフィルムの残骸が残る等の問題が起こってしまう。
洗濯用水性液がしばしばpHの高い硼酸含有水性液となるのは、洗剤が通常アルカリ性を示す界面活性剤を主成分とする事、そして最も広く使用されている漂白剤組成物の1つが過硼酸ナトリウムを主成分としており、このものは溶解して硼酸イオンを生成するためである。他にも硼砂も洗濯用組成物としてしばしば使用されることも原因である。
従来から、PVAの溶解性を改善する方法としては、PVA系樹脂に各種変性基を導入する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、カルボキシル基を有する単量体を共重合したPVAを用いる方法が、また、特許文献2には、オキシアルキレン基、スルホン酸基およびカチオン性基の少なくとも一種を分子内に含有するPVAを使用する方法が開示されている。しかし、これらの変性PVAを包装材として用いたとしても、pHの高い硼酸塩含有水性液中に入れた場合は、溶解速度が十分であるとは言えない。従って、必要な溶解速度を持たせるために、多量の変性基を導入する必要があった。変性基、例えばカルボキシル基を多量に導入すると、熱架橋が起こりやすくなり、フィルムを加熱乾燥した場合には、加熱乾燥した部分の溶解速度が著しく低下したり、加熱乾燥した部分が不溶化したりする。包装時に、ヒートシールした場合でも、ヒートシールした部分の溶解速度が著しく低下したり、ヒートシールした部分が不溶化したりするという問題があった。
また、オキシアルキレン基、カチオン性基の少なくとも一種を分子内に含有するPVAを使用して製膜したフィルムであっても、これらの基をPVAに多量に含有させると、フィルムがべたつき、重合度が低下し、必要な機械的物性が得られないといった問題がある。また、スルホン酸基を分子内に含有させた場合、特にアリルスルホン酸またはその塩を共重合させた場合は、アリルスルホン酸またはその塩は少量共重合させただけでも重合度の低下が大きく、フィルムの機械的物性と溶解性とが両立できないという問題があった。
また一方で、包装材に用いられるフィルムの添加剤による改善も試みられている。
例えば、特許文献3には、未変性のPVAに特定のポリヒドロキシ化合物または/および25℃の水中における酸解離定数が10−9Mより大きい酸性化合物を含有させたフィルムを使用する方法が開示されている。
しかし、この方法ではpHの高い硼酸塩含有水性液中に入れた場合、洗濯用組成物のような塩成分を多く含んだ水性液に対する溶解性が十分ではないという問題があった。
また、特許文献4には、ポリビニルアルコール系樹脂に多価アルコールとアルキレンオキシドとを付加反応させて得られた化合物を配合した組成物からなる包装用水溶性フィルムを用いる方法が開示されている。しかしながら、このような方法では、添加剤を調整するのに付加反応が必要であり、フィルムのコストが高くなるという問題があった。
さらに、特許文献4には、その比較例2及び3に、未変性PVA又は変性PVA(ケン化度96モル%)に可塑剤としてグリセリンとソルビトールを用いて作成されたフィルムが開示されている。しかしながら、未変性PVAから作成されたフィルムはコシがなく、強度の小さいものであり、しかも包装1ヶ月後には水に対する溶解速度が著しく低下しており、変性PVA(96モル%)から作成されたフィルムは、包装1ヶ月後には水に対する溶解速度が著しく低下し、かつフィルム表面にソルビトールの結晶が析出して白濁することが記載されている。
特開平4−170405号公報 特開昭63−168437号公報 特公平3−70760号公報 特開平9−272772号公報
本発明は、機械的強度、冷水易溶性に優れるとともに、塩成分を多く含んだ水性液や特に硼酸塩を含有する水性液に対しても良好な水溶性を発現でき、種々の物品の包装、とりわけ洗濯用組成物の個別包装に有用に用いることができるPVA系水溶性フィルム、該フィルムからなる個別包装材、および該フィルムを包装材として用いた個別包装洗剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定量のカルボキシル基を有する単量体および/または特定量のスルホン酸基を有する単量体と脂肪族ビニルエステルとの共重合体であって、ケン化度が60〜95モル%であるPVA系樹脂に対し、フラクトース、ソルビトール、マンニトール、ソルボース、カテコール、ペンタエリトリトールおよびメゾエリトリトールからなる群から選ばれる多価アルコールを配合してなる組成物からなる水溶性フィルムが、機械的強度、冷水易溶性に優れるとともに、塩成分を多く含んだ水性液や特に硼酸塩を含有する水性液に対しても優れた水溶性が発現し、種々の物品の包装、とりわけ洗濯用組成物の個別包装に有用に用いることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
1) カルボキシル基を有する単量体0.1〜20モル%および/またはスルホン酸基を有する単量体0.01〜10モル%と脂肪族ビニルエステルとの共重合体であって、ケン化度が60〜95モル%であるポリビニルアルコール系樹脂100質量部に対し、フラクトース、ソルビトール、マンニトール、ソルボース、カテコール、ペンタエリトリトールおよびメゾエリトリトールからなる群から選ばれる多価アルコール0.5〜70質量部を配合してなる組成物からなる水溶性フィルム、
2) ポリビニルアルコール系樹脂がカルボキシル基を有する単量体0.1〜20モル%とスルホン酸基を有する単量体0.01〜5モル%と脂肪族ビニルエステルとの共重合体であって、エステル基が少なくとも部分的にケン化されていることを特徴とする上記1)に記載の水溶性フィルム、
3) ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が80〜95モル%である上記1)又は2)に記載の水溶性フィルム、
4) 上記1)、2)又は3)に記載のフィルムからなる個別包装材、
5) 洗濯用組成物を包装する上記4)に記載の個別包装材、及び
6) 上記1)、2)又は3)に記載のフィルムで洗濯用組成物を包装してなる個別包装洗剤、
に関する。
本発明の水溶性フィルムは、機械的強度、冷水易溶性に優れるとともに、洗濯用途でしばしば遭遇する塩成分を多く含んだ水性液や特にpHの高い硼酸塩含有水性液中に入れた場合でも良好な溶解性を発現するので、種々の物品の包装、とりわけ洗濯用組成物の個別包装に有用に用いることができる。
また、本発明の水溶性フィルムは、機械的強度、冷水易溶性に優れるとともに、塩成分を多く含んだ水性液や特にpHの高い硼酸塩を含有する水性液に対して易溶解性であるため、この水溶液フィルムを用いて、いかなる水性洗濯液にも適応することができる洗濯組成物を包装するための個別包材を提供できる。さらには、硼砂入りの洗剤や過硼酸ナトリウムを主成分とした漂白剤を含んだ洗濯用組成物を包装してなる個別包装洗剤を提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明で用いられるPVA系樹脂は、カルボキシル基を有する単量体約0.1〜20モル%および/またはスルホン酸基を有する単量体約0.01〜10モル%と脂肪族ビニルエステルとを共重合させ、得られた共重合体をケン化することによって製造できる。この場合において、カルボキシル基及びスルホン酸基(スルホ基と同意)は、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩(例えばジメチルアミン塩)などの塩の形態であってもよい。カルボキシル基を有する単量体約0.5〜5.0モル%とアリルスルホン酸またはその塩約0.01〜5モル%とが共重合された脂肪族ビニルエステルの共重合体をケン化して得られるポリビニルアルコール系樹脂は、好ましい実施の態様である。
本発明におけるPVA系樹脂は、脂肪族ビニルエステル系単量体、カルボキシル基を含有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、特に、アリルスルホン酸及び/またはその塩とを塊状またはアルコールなどの溶媒を用いた溶液中で、ラジカル開始剤の存在下で共重合させて得られた共重合体を、アルカリまたは酸触媒を作用させて、部分的にあるいは高度にケン化させることによって得ることができる。この方法は公知の方法によって行われてよい。
本発明における脂肪族ビニルエステル系単量体としては、各種のものが使用され、例えばギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の公知の脂肪族ビニルエステルを挙げることができる。工業的に製造する目的では、特に酢酸ビニルが好ましい。
カルボキシル基を有する単量体としては、脂肪族ビニルエステル系単量体と共重合可能で、ケン化後カルボン酸またはその塩がPVA中に存在するものであればよい。その具体的な例としては、無水マレイン酸、モノまたはジアルキルマレイン酸エステル、イタコン酸またはそのアルキルエステル、アクリル酸、アリルカルボン酸、(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート)などが挙げられる。この中でも、無水マレイン酸、イタコン酸およびこれらの誘導体が好ましい。
これらのカルボキシル基を含有する単量体は一種でもよく、二種以上を併用してもよい。
また、スルホン酸基を有する単量体としては、脂肪族ビニルエステル系単量体と共重合可能で、ケン化後スルホン酸基またはその塩がPVA系樹脂中に存在するものであればよい。その具体的な例としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはそのアルカリ金属塩、アンモニア塩あるいは有機アミン塩(例えばジメチルアミン塩等)、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸またはそのアルカリ金属塩、アンモニア塩あるいは有機アミン塩(例えばジメチルアミン塩等)、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはそのアルカリ金属塩、アンモニア塩あるいは有機アミン塩(例えばジメチルアミン塩等)、またビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸などのオレフィンスルホン酸またはそのアルカリ金属塩、アンモニア塩あるいは有機アミン塩(例えばジメチルアミン塩等)などが挙げられる。
その中でも、アリルスルホン酸またはその塩が水溶液に優れるという点で好ましい。例えば、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸アンモニウム等が挙げられる。この中でも、アリルスルホン酸ナトリウムが比較的工業生産が容易であり安価に得ることが出来るため特に好ましい。
これらのスルホン酸基を含有する単量体は一種でもよく、二種以上を併用してもよい。
本発明で用いられるPVA系樹脂におけるカルボキシル基を含有する単量体の共重合量(変性度)は、約0.1〜20モル%である。好ましくは、約0.5〜5モル%であり、さらに好ましくは約1〜4モル%である。変性度が0.1モル%未満ではフィルムの溶解性が十分ではない。特に冷水に対する易溶性や塩成分を多く含んだ水性液に対する溶解速度が大きく劣る。一方、変性度が20モル%を越えると、熱架橋が起こりやすくなり、フィルムを加熱乾燥した場合や、ヒートシールした部分の溶解速度が著しく低下する、さらには不溶化するという問題が発生するため好ましくない。
スルホン酸基を有する単量体の共重合量(変性度)は、約0.01〜10モル%である。好ましくは約0.05〜3モル%である。変性度が0.01モル%未満ではフィルムの溶解性が十分ではない。特に冷水に対する易溶性や塩成分を多く含んだ水性液に対する溶解速度が大きく劣る。一方、変性度が10モル%を越えると、フィルムの強度が低下してしまうため包装用として好ましくない。
特に、アリルスルホン酸またはその塩の場合の共重合量(変性度)は、約0.01〜5モル%である。好ましくは、約0.03〜1.0モル%であり、さらに好ましくは約0.05〜0.5モル%である。変性度が0.01モル%未満ではフィルムの溶解性が十分ではない。特に冷水に対する易溶性や塩成分を多く含んだ水性液に対する溶解速度が大きく劣る。一方、変性度が5モル%以下であると、フィルムの強度が優れているので特に包装用として好ましい。
また、本発明で用いられるPVA系樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で前記脂肪族ビニルエステル系単量体と共重合可能な不飽和単量体と共重合を行ったものでも良い。脂肪族ビニルエステル系単量体と共重合可能な不飽和単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、n−ブテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン類:アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、ダイアセトンアクリルアミドなどのアミド類:塩化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化ビニル類:塩化ビニリデン、弗化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン類:アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基を有する単量体:ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類:アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのニトリル類:酢酸アリル、ジメチルアリルアセテート、イソプロペニルアリルアセテート、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、イソプロペニルアリルアルコール、塩化アリル、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのアリル化合物:ジフェニルメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリビニルブチルビニルシランなどのビニルシリル化合物:N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−カプロラクタム等の環状N−ビニル化合物類、酢酸イソプロペニルなどが挙げられるが、これらに限らない。
また、ポリマー末端を修飾するため連鎖移動剤を使用してもよい。ポリマー末端を修飾する連鎖移動剤としては、アルデヒド類、メルカプタン類、ハロゲン含有化合物などを挙げることができるが、これらに限らない。
本発明で用いられるPVA系樹脂の重合度は特に制限はないが、水溶性フィルムの場合にはフィルムの機械的な物性も重要であり、約10〜200μmの薄い厚さの場合でも強い強度と柔軟性が要求されており、フィルムの強度やタフネスの点から、粘度平均重合度(以下、重合度と略記する)は、好ましくは約300〜5000であり、さらに好ましくは約500〜3000である。重合度が約300未満ではフィルム強度が弱くなり、重合度が約5000より大きいとフィルムを調製するときの溶液粘度が高くなり作業性に問題がある。
本発明で用いられるPVA系樹脂のケン化度は、60〜95モル%である。好ましくは約70〜95モル%、さらに好ましくは約80〜95モル%である。ケン化度が60モル%未満では、フィルムの強度が低くなり、かつコシが弱くなり好ましくない。また、PVA系樹脂のケン化度が95モル%より高いと、多価アルコールとの相溶性が悪くなるため好ましくない。
本発明で用いられる多価アルコールは、フラクトース(レブロース)、ソルビトール、マンニトール、ソルボース、カテコール、ペンタエリトリトールおよびメゾエリトリトールからなる群から選ばれる。
これらの多価アルコールは一種でもよく、二種以上を併用してもよい。
本発明で用いられる多価アルコールの配合量としては、PVA系樹脂100質量部に対して、約0.5〜70質量部である。より好ましくは、約1〜50質量部である。
配合量が約0.5質量部未満であると溶解性、特にpHの高い硼酸塩含有水性液中に入れた場合の溶解速度の改善効果が十分ではない。また、配合量が70質量部を越えるとフィルムの強度が弱くなったり、多価アルコールが分離しフィルムの外観を損ねたりする。
更に、フィルムの形成に際しては、必要に応じて、フィルムに柔軟性を付与するためにポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ジグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール、グリセリン、ジグリセリンなどの多価アルコールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加した化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどのフェノール誘導体、その他N−メチルピロリドンなどのアミド化合物や水などPVA系樹脂用の公知の可塑剤を添加することもできる。これらの可塑剤は一種でもよく、二種以上を併用してもよい。
PVA系樹脂を水に溶解する際に発生する発泡を防ぐために、本発明の水溶性フィルムに消泡剤を配合しても差し支えない。消泡剤としては、一般に市販されているPVA系樹脂用の消泡剤でフィルムの溶解性に悪影響を及ぼさないものであれば、いずれも使用することができる。消泡剤の量としては特に限定されるものではなく、通常PVA系樹脂の発泡を防ぐのに必要な量だけ使用する。本発明においては、消泡剤の配合量がPVA系樹脂100質量部に対して約1.0質量部以下であるのが好ましい。
本発明の方法で得られたPVA系樹脂のフィルムに対し、高度な耐ブロッキング性が要求される場合には、更にスリップ剤及びブロッキング防止剤を本発明の水溶性フィルムに配合することができる。これらを配合することにより高温高湿下でブロッキングし易いというPVA系樹脂のフィルムの欠点を著しく改良することができる。
スリップ剤は、フィルム表面に凹凸を形成し、フィルムに易滑性を付与するために配合され得る。このようなスリップ剤としては、例えば、炭酸カルシウム、アルミナ、アパルジャイト、カオリンクレ−、二酸化珪素、珪酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、バライト、硫酸カルシウム、二酸化チタン、クレ−、タルク、ベントナイト、木粉、でんぷん等が挙げられる。スリップ剤の配合量はPVA系樹脂100質量部に対して約5質量部以下が望ましい。
ブロッキング防止剤は、成型後のフィルム表面の密着防止、開口を容易にするために配合され得るが、このようなブロッキング防止剤としては、一般に市販されているものを用いればよい。例えば、炭素数が12〜30の炭化水素、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪酸低級アルコ−ルエステル、脂肪酸多価アルコ−ルエステル、脂肪酸ポリグリコ−ルエステル、脂肪酸脂肪アルコ−ルエステル、脂肪酸グリセリンエステル、脂肪アルコ−ル、金属石鹸等が挙げられる。
より具体的な例としては、パラフィンワックス、低重合度ポリエチレン、ステアリン酸、ミスチン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレイルアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、ブチルステアレ−ト、硬化ヒマシ油、エチレングリコ−ルモノステアレート、エチレングリコールモノステアレート、ステアリン酸モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、ステアリルアルコ−ル、セチルアルコール、ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグシウム等が挙げられる。ブロッキング防止剤の配合量は、PVA系樹脂100質量部に対して約2質量部以下が望ましい。
本発明の水溶性フィルムの製造方法は特に限定されるものではなく、キャスト法、溶融押し出し法等公知の方法により製造できる。例えば、単に上記PVA系樹脂と上記多価アルコールと所望により上記各種添加剤とを水性溶媒(例えば、水)に溶解し、得られる溶液を平滑な流延面に載置させ、水性溶媒が蒸発した後、流延面から剥離すると、透明で均一な本発明の水溶性フィルムが得られる。水性溶媒は水が好ましい。前記流延面は、スチ−ル、アルミニウム、ガラス、ポリマ−(例えばポリオレフィン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカ−ボネ−ト、ポリハロ−カ−ボン等)等のように、平滑で硬質の材料ならいずれでも良い。水性溶媒の蒸発速度は、流延面を加熱するか、沈着した溶液を例えば被加熱空気か赤外線にさらすことにより高めることができる。流延面は平らで良く、或いは、標準(ドラム型)の工業用のフィルム製造用流延機で作り、次いで、例えばオ−ブン乾燥できる。
フィルムの厚みは特に制限はないが、通常約10〜200μmのものが好ましい。また、フィルム形状は平滑でも良いが、得られたフィルムにエンボス処理等により凹凸を付けることもできる。フィルムの凹凸は、「易溶性」と「ブロッキング防止性」の点で特に有効である。
本発明の水溶性フィルムは、通常のPVA、他の変性PVA系樹脂と混合する事もできるし、ポリアクリル酸又はその塩、ポリアクリルアミド、でんぷん類、セルロース類の水溶性または水分散性の樹脂と混合することもできる。また、水性乳化物・懸濁物と混合することもできるし、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルブチラ−ル、エチレン−酢酸ビニル共重合体またはその鹸化物等と混合することも可能である。
また、本発明の水溶性フィルムは、他のPVA系フィルム、デンプンやセルロール等の他の水溶性樹脂系フィルム、生分解性フィルム、紙、不織布等と積層することもできる。
本発明の水溶性フィルムは、包装材としての良好な表面外観を有し、フィルム強度、冷水溶解性が良いので、衣料用洗剤、漂白剤、農薬等の液体、粉末、粒状、塊状の薬剤包装剤等、幅広い分野に応用可能である。
とりわけ、洗濯用途でしばしば遭遇する塩成分を多く含んだ水性液や特にpHの高い硼酸塩含有水性液中に入れた場合でも良好な溶解性を発現するので、例えば洗剤、漂白剤、ビルダー、繊維柔軟剤、汚れ防止剤などの洗濯用組成物の個別包装に有用に用いることができる。
また、洗剤、漂白剤、ビルダー、繊維柔軟剤、汚れ防止剤などの洗濯用組成物を包装し、個別包装洗剤とすることもできる。さらに硼砂入りの洗剤や過硼酸ナトリウムを主成分とした漂白剤を含んだ洗濯用組成物を包装した個別包装洗剤を容易に得ることができる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、例中の「部」および「%」は、特に指定しない限り「質量部」および「質量%」を示す。
また、実施例中の各物性は以下に記す方法により測定したものである。
評価方法
(重合度、ケン化度)
重合度およびケン化度は、JIS K6726に準じて測定した。
(フィルム溶解時間)
1cm×1cmのサイズに切断したフィルムの中心部に針を通し、針に引っかけた状態で所定の溶液に浸け、フィルムを水に浸けてから、フィルムが溶け落ちるまでの時間を測定した。
フィルム厚さと水溶断時間の関係を測定し、厚さ60μmの時の溶解時間を求めた(フィルムの調湿条件:20℃、65%RHの雰囲気下で24時間調湿)。
溶解性評価用の溶液としては、イオン交換水、過硼酸ナトリウム系漂白剤入り洗濯用粉洗剤(ARIEL粉末タイプ P&G(ドイツ)製)8g/リットル水溶液、過硼酸ナトリウム4g/リットル水溶液について評価した。
(フィルム 強度、伸度)
20℃、65%RHで24時間調湿したフィルムを東洋精機(株)製ストログラフR型を用いて、フィルムが破断するときの強度、破断するまでの伸度を測定した(チャック間距離30mm、引張速度50mm/分)。
(総合評価)
得られたフィルムの総合評価基準 ○:良好、×:問題有り
(ポリビニルアルコール系樹脂合成例1:カルボキシル基を有する単量体を共重合したPVA系樹脂)
温度制御設備、攪拌装置、水冷コンデンサー、滴下ロート、温度計、窒素導入管を備えた重合装置に酢酸ビニルを250部、メタノールを55部、無水マレイン酸の50%メタノール溶液を0.4部仕込み、攪拌下60℃で加熱した。窒素置換後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.25部を加えて重合を開始し、重合開始時点より、無水マレイン酸の50%メタノール溶液7.1部を4.3時間かけて均等に滴下した後、重合を停止した。
重合停止時の系内の固形分濃度は53%であり、全モノマーに対する重合収率は67.5%であった。減圧下に未反応のモノマーを除去した後、共重合体の45%メタノール溶液を得た。共重合体は酢酸ビニル単位98.0モル%、マレイン酸単位2.0モル%を分子内に含有することが未反応のモノマーの定量より確認された。
この共重合体のメタノール溶液100部を40℃で攪拌しながら、3%のNaOHメタノール溶液7部を添加してよく混合した後に放置した。30分後、固化したポリマーを粉砕機で粉砕し、メタノールで洗浄後、乾燥してポリマー粉末を得た。この共重合体ケン化物のケン化度は90モル%、重合度は1500であった。
(ポリビニルアルコール系樹脂合成例2:スルホン酸基を有する単量体を共重合したPVA系樹脂)
温度制御設備、攪拌装置、水冷コンデンサー、滴下ロート、温度計、窒素導入管を備えた重合装置に酢酸ビニルを250部、メタノールを55部、無水マレイン酸の50%メタノール溶液を0.4部、アリルスルホン酸ナトリウムを2.25部仕込み、攪拌下60℃で加熱した。窒素置換後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.25部を加え重合を開始し、4.3時間後、重合を停止した。
重合停止時の系内の固形分濃度は53%であり、全モノマーに対する重合収率は67.5%であった。減圧下に未反応のモノマーを除去した後、共重合体の45%メタノール溶液を得た。共重合体は酢酸ビニル単位99.8モル%、アリルスルホン酸単位0.5モル%を分子内に含有することが未反応のモノマーの定量より確認された。
この共重合体のメタノール溶液100部を40℃で攪拌しながら、3%のNaOHメタノール溶液5部を添加し、よく混合した後に放置した。30分後、固化したポリマーを粉砕機で粉砕し、メタノールで洗浄後、乾燥してポリマー粉末を得た。この共重合体ケン化物のケン化度は90モル%、重合度は800であった。
(ポリビニルアルコール系樹脂合成例3:カルボキシル基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を共重合したPVA系樹脂)
温度制御設備、攪拌装置、水冷コンデンサー、滴下ロート、温度計、窒素導入管を備えた重合装置に酢酸ビニルを250部、メタノールを55部、無水マレイン酸の50%メタノール溶液を0.4部、アリルスルホン酸ナトリウムを2.25部仕込み、攪拌下60℃で加熱した。窒素置換後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.25部を加え重合を開始し、重合開始時点より、無水マレイン酸の50%メタノール溶液7.1部を4.3時間かけて均等に滴下した後、重合を停止した。
重合停止時の系内の固形分濃度は53%であり、全モノマーに対する重合収率は67.5%であった。減圧下に未反応のモノマーを除去した後、共重合体の45%メタノール溶液を得た。共重合体は酢酸ビニル単位97.5モル%、マレイン酸単位2.0モル%、アリルスルホン酸単位0.5モル%を分子内に含有することが未反応のモノマーの定量より確認された。
この共重合体のメタノール溶液100部を40℃で攪拌しながら、3%のNaOHメタノール溶液8部を添加し、よく混合した後に放置した。30分後、固化したポリマーを粉砕機で粉砕し、メタノールで洗浄後、乾燥してポリマー粉末を得た。この共重合体ケン化物のケン化度は90モル%、重合度は1000であった。
(実施例1)
表1に示したとおり、上記合成例1に従い作成したマレイン酸2モル%共重合PVA系樹脂(重合度=1500、ケン化度=90モル%)と、この樹脂100部に対して20部のマンニトール(多価アルコール)とを水に溶解して10%水溶液を調製した。この水溶液を表面が平滑で水平なポリエステル板上にアプリケーターを使用して流延し、室温で24時間乾燥した後、105℃で15分間乾燥して透明で均一なフィルムを得た。得られたフィルムの厚みは約60μmであった。
得られたフィルムに対し、上記の評価方法により、フィルムの溶解性およびフィルムの機械的物性を測定した。
その結果を表3に示す。表3から明らかなように、本実施例のフィルムは、機械的強度に優れるとともに、冷水や洗剤のような塩成分を多量に含んだ水性液、特に硼酸塩を含有する水性液に対しても良好な溶解性を発現した。
(実施例2〜7)
上記合成例1〜3に従い、表1に示すようなカルボキシル基を有する単量体および/またはスルホン酸基を有する単量体を共重合したPVA系樹脂を作成した。これらを使用して実施例1と同様の方法で厚さ約60μmのフィルムを作成した。
これらのフィルムについて、実施例1と同様の方法でフィルムの物性を測定した。
それらの結果を表3に示す。表3から明らかなように、実施例2〜7のフィルムは、いずれの場合も機械的強度に優れるとともに、冷水や洗剤のような塩成分を多量に含んだ水性液、特に硼酸塩を含有する水性液に対しても良好な溶解性を発現した。
(実施例8〜15)
実施例1と同様のポリビニルアルコール系樹脂を使用して、表1に示すように所定の多価アルコールの種類および配合量を変えた以外は、実施例1と同様の方法で厚さ約60μmのフィルムを作成した。
これらのフィルムについて、実施例1と同様の方法でフィルムの物性を測定した。
それらの結果を表3に示す。表3から明らかなように、実施例8〜15のフィルムは、いずれの場合も機械的強度に優れるとともに、冷水や洗剤のような塩成分を多量に含んだ水性液、特に硼酸塩を含有する水性液に対しても良好な溶解性を発現した。
(比較例1)
表2に示すように、ケン化度90モル%、重合度1500の未変性PVAを使用し、多価アルコールを配合しなかった以外は、実施例1と同様にして厚さ約60μmのフィルム を作成した。このフィルムについて、実施例1と同様の方法でフィルムの物性を測定した。
その結果は、表4に示すように、冷水や洗剤のような塩成分を多量に含んだ水性液、特に硼酸塩を含有する水性液に対して溶解性が大きく劣っていた。
(比較例2〜4)
表2に示すように、ケン化度90モル%、重合度1500の未変性PVAを使用し、表2に示すように所定の多価アルコールとしてフラクトース、マンニトール、ソルビトールを配合した以外は、実施例1と同様の方法で厚さ約60μmのフィルムを作成した。これらのフィルムについて実施例1と同様の方法で物性を測定した。
その結果は表4に示すように、未変性PVAを用いて得られたフィルムは、所定の多価アルコールを配合しても洗剤のような塩成分を多量に含んだ水性液に対して溶解性が大きく劣っていた。
(比較例5〜11)
表2に示すように、実施例2〜7と同様のカルボン酸および/またはスルホン酸を共重合したPVA系樹脂を使用し、多価アルコールを配合せずに実施例1と同様の方法で厚さ約60μmのフィルムを作成した。
これらのフィルムについて、実施例1と同様の方法で物性を測定した。
その結果は、表4に示すように、所定のカルボン酸および/またはスルホン酸共重合PVA系樹脂を用いても、所定の多価アルコールを配合しない場合は、洗剤のような塩成分を多量に含んだ水性液、特に硼酸塩を含有する水性液に対して溶解性が大きく劣っていた。
(比較例12〜17)
表2に示すように、実施例1と同様のPVA系樹脂を使用し、フラクトース、ソルビトール、マンニトール、ソルボース、カテコール、ペンタエリトリトールおよびメゾエリトリトール以外の多価アルコールを配合した以外は実施例1と同様の方法で厚さ約60μmのフィルムを作成した。
これらのフィルムについて実施例1と同様の方法でフィルムの物性を測定した。
その結果は表4に示すように、フラクトース、ソルビトール、マンニトール、ソルボース、カテコール、ペンタエリトリトールおよびメゾエリトリトール以外の多価アルコールを配合した場合は、洗剤のような塩成分を多量に含んだ水性液、特に硼酸塩を含有する水性液に対して溶解性が大きく劣っていた。
(比較例18〜19)
表2に示すように実施例1と同様のPVA系樹脂を使用し、これに対して多価アルコールの配合量を所定量の範囲外となる量とした以外は実施例1と同様の方法で厚さ約60μmのフィルムを作成した。
これらのフィルムについて実施例1と同様の方法でフィルムの物性を測定した。
その結果は表4に示すように、配合量が少なすぎると冷水や洗剤のような塩成分を多量に含んだ水性液、特に硼酸塩を含有する水性液に対して溶解性が大きく劣っており(比較例18)、配合量が大きすぎるとフィルムが形成できないほどフィルムの機械的物性が劣っていた(比較例19)。
(比較例20〜21)
合成例1または3に従い、表2に示したようなカルボン酸またはスルホン酸を共重合したPVA系樹脂を作成した。これらのPVA系樹脂を使用した以外は、実施例1と同様の方法で厚さ約60μmのフィルムを作成した。
これらのフィルムについて、実施例1と同様の方法でフィルムの物性を測定した。
その結果は、表4に示すように、共重合量を多くしすぎると、フィルムの機械的物性が大きく劣るという結果であった。特にマレイン酸を所定量以上に共重合した場合では(比較例20)、熱架橋が起こりフィルムが不溶化してしまった。
Figure 2005139240
Figure 2005139240
Figure 2005139240
Figure 2005139240
以上の説明から明らかなように、本発明の水溶性フィルムは、包装材としての良好な表面外観を有し、フィルム強度、冷水溶解性が良いので、衣料用洗剤、漂白剤、農薬等の液体、粉末、粒状、塊状の薬剤の包装材等として、幅広い分野に応用可能である。
とりわけ、本発明の水溶性フィルムは、洗濯用途でしばしば遭遇する塩成分を多く含んだ水性液や特にpHの高い硼酸塩含有水性液中に入れた場合でも、良好な溶解性を発現するので、洗剤、漂白剤、ビルダー、繊維柔軟剤、汚れ防止剤などの洗濯用組成物の個別包装に有用に用いることができる。
また、洗剤、漂白剤、ビルダー、繊維柔軟剤、汚れ防止剤などの洗濯用組成物を包装し、個別包装洗剤とすることもできる。さらに従来では不可能であった硼砂入りの洗剤や過硼酸ナトリウムを主成分とした漂白剤を含んだ洗濯用組成物を本発明のフィルムを用いて包装することにより、個別包装洗剤を得ることができる。
本発明は、衣料用洗剤、漂白剤、農薬等の液体、粉末、粒状、塊状の薬剤包装剤等幅広い分野に用いることができる。
特に、洗剤、漂白剤、ビルダー、繊維柔軟剤、汚れ防止剤などの洗濯用組成物を包装し、個別包装用として用いることもできる。さらに洗濯用組成物を包装した個別包装洗剤として用いることもできる。

Claims (6)

  1. カルボキシル基を有する単量体0.1〜20モル%および/またはスルホン酸基を有する単量体0.01〜10モル%と脂肪族ビニルエステルとの共重合体であって、ケン化度が60〜95モル%であるポリビニルアルコール系樹脂100質量部に対し、フラクトース、ソルビトール、マンニトール、ソルボース、カテコール、ペンタエリトリトールおよびメゾエリトリトールからなる群から選ばれる多価アルコール0.5〜70質量部を配合してなる組成物からなる水溶性フィルム。
  2. ポリビニルアルコール系樹脂がカルボキシル基を有する単量体0.1〜20モル%とスルホン酸基を有する単量体0.01〜5モル%と脂肪族ビニルエステルとの共重合体であって、エステル基が少なくとも部分的にケン化されていることを特徴とする請求項1に記載の水溶性フィルム。
  3. ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が80〜95モル%である請求項1又は2に記載の水溶性フィルム。
  4. 請求項1、2又は3に記載のフィルムからなる個別包装材。
  5. 洗濯用組成物を包装する請求項4に記載の個別包装材。
  6. 請求項1、2又は3に記載のフィルムで洗濯用組成物を包装してなる個別包装洗剤。

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