JP3913601B2 - 水溶性フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水溶性フィルムに関する。さらに詳しくは、本発明は、N−ビニルアミド系単量体単位、ならびにカルボキシル基およびラクトン環の含有量、重合度およびけん化度が特定された変性ポリビニルアルコール(以下、ポリビニルアルコールを「PVA」と略称することがある)からなり、冷水溶解性、生分解性、耐薬品性、および強度や腰などの実用物性が同時に優れた水溶性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、農薬、洗濯用洗剤、漂白剤、トイレタリー製品、工業用薬品をはじめとする各種薬品類の使用方法として、それら薬品類を一定量づつ水溶性フィルムにより密封包装して(ユニット包装)、使用時にその包装形態のまま水中に投入し、内容物を包装フィルムごと水に溶解または分散させて使用する方法が行われるようになってきている。このユニット包装の利点は、使用時に危険な薬品に直接触れることなく使用できること、内容物の一定量が包装されているために、使用時に計量する必要がないこと、薬剤を包装している容器の使用後の処理が不要であることなどである。
【0003】
従来より、このようなユニット包装用の水溶性フィルムとして、PVA系フィルムがよく用いられている。PVA系フィルムは一般に、皮膜が強靱で透明性に優れ、印刷性がよいという特長を有している。しかしながら、PVAはけん化度が高くなるに従って結晶性が増し、冷水に溶解しなくなる結晶部分の割合が増すため、ユニット包装用などの冷水溶解性フィルム用途には、完全けん化タイプと言われるけん化度の高いPVAではなく、無変性の部分けん化PVAが用いられてきた。
この無変性の部分けん化PVAを用いた水溶性フィルムは、冷水や温水に溶解し易く、機械的強度が優れるなどの特長を有している。しかしながら、近年では、作業性、耐薬品性、環境保護などの観点から、水への溶解速度がより速い、衝撃による破袋が生じにくい、フィルムの保管中に水への溶解性が経時的に変化する度合いが少ない、生分解性が良好であるなどといった、多くの要求性能を同時に満たす水溶性フィルムが必要とされている。
従来の無変性の部分けん化PVAフィルムは、フィルムを作製した当初は十分な冷水溶解性を有しているが、長期間保存した場合には、その間に徐々に結晶が成長するためか、冷水溶解性が低下するという問題がある。そのうえ、無変性の部分けん化PVAフィルムは、これにアルカリ性または酸性の物質を包装した場合、保存中に部分けん化PVAフィルム中に残存する酢酸基のけん化が起こり、結晶化が進んでフィルムが不溶化するため、必要とされる要求性能を満たしていない。また、無変性の部分けん化PVAを用いたフィルムは、これに農薬や殺菌剤などの塩素含有化合物を包装して長期間放置した場合に、フィルムが着色したり硬化するとともに、水溶性が経時的に低下して水に不溶化または難溶化するため、薬剤がフィルムに包装されたままの状態で水に溶解または分散することがなく、本来の目的を達成できないという問題があった。
【0004】
このような課題を解決するものとして、変性PVAからなる水溶性フィルムが種々提案されており、その変性PVAの例として、カルボキシル基変性PVA(「水溶性高分子の応用と市場」、第266〜277頁、シーエムシー(CMC)、1984年発行)、アリルエステルとビニルエステルとの共重合体のけん化物(特開昭62−179550号公報)、オキシアルキレン基、スルホン酸基およびカチオン性基の少なくとも一種を含有するPVA(特開昭63−168437号公報)、2−ピロリドン環含有PVA(特開平2−124945号公報)、N−ビニルアセトアミド類とビニルエステルとの共重合体のけん化物(特開平5−59113号公報)、ジアセトンアクリルアミドとビニルエステルとの共重合体のけん化物(特開平5−17597号公報)、オキシアルキレン基含有のビニルエーテルとビニルエステルとの共重合体のけん化物(特開平11−236419号公報)などが知られている。
【0005】
しかしながら、カルボキシル基変性PVAからなる水溶性フィルムは、酸性物質と接触すると冷水溶解性が損なわれてしまうという欠点を有している。さらに、カルボキシル基変性PVAは熱によってゲル化する場合がある。また、カルボキシル基変性PVAは、カルボキシル基の含有量を増加させることにより冷水への溶解性を高めることができるが、その一方で、変性PVAの生分解性の低下を招き、このような生分解性の低下したカルボキシル基変性PVAからなる水溶性フィルムは、水に溶解した後、環境中に排出されることから、その使用は好ましいことではない。
【0006】
アリルエステルとビニルエステルとの共重合体のけん化物、オキシアルキレン基含有アリルエーテルとビニルエステルとの共重合体のけん化物、オキシアルキレン基含有ビニルエーテルとビニルエステルとの共重合体のけん化物などからなるフィルムは、アリルエステル、オキシアルキレン基含有アリルエーテルおよびオキシアルキレン基含有ビニルエーテルとビニルエステルとの共重合性が低いために、PVAの変性量が低く留まり、フィルムの水溶性が十分ではないという問題を有している。共重合時にビニルエステルに対するアリルエステル、オキシアルキレン基含有アリルエーテルおよびオキシアルキレン基含有ビニルエーテルの量を増加させることにより変性PVAの変性量を高めた場合には、得られる変性PVAから作製されるフィルムは生分解性が損なわれるのみならず、変性PVAの重合度が低下するため、該変性PVAから作製されるフィルムは包装用途に用いるには強度および耐衝撃性が十分とは言えず、使用中に破袋することが多くなり、好ましくない。
【0007】
スルホン酸基やカチオン性基などのイオン性基を導入した変性PVAからなるフィルム、およびジアセトンアクリルアミドとビニルエステルとの共重合体のけん化物からなるフィルムは、変性量の増加に伴いフィルムの生分解性が低下する傾向があり、水溶性、生分解性および強度などの実用物性を同時に満足する水溶性フィルムは得られていない。
【0008】
2−ピロリドン環含有PVAからなるフィルム、およびN−ビニルアセトアミド類とビニルエステルとの共重合体のけん化物からなるフィルムは、2−ピロリドン環含有単量体およびN−ビニルアセトアミド類がノニオン性単量体であるために、冷水溶解性が十分ではないという問題を有している。この冷水溶解性の問題を解決するために、変性量を増加させる、けん化度を低くする、重合度を低くするなどの方法が試みられているが、水溶性、生分解性および強度などの実用物性を同時に満足する水溶性フィルムは得られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記の欠点を解消し、冷水溶解性および生分解性が良好で、強度や腰などの実用物性に優れ、薬品を包装した際にも経時的に諸物性が低下することのないPVA系の水溶性フィルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者はかかる現状に鑑み鋭意検討した結果、N−ビニルアミド系単量体単位の含有量、カルボキシル基およびラクトン環の含有量、ならびに重合度およびけん化度がある特定の範囲にある変性PVAが、目的とする水溶性フィルムを製造するうえで極めて有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、分子内にN−ビニルアミド系単量体単位を1〜10モル%、ならびにカルボキシル基およびラクトン環を合わせて0.020〜4.0モル%含有し、重合度が300〜3000、けん化度が75〜99.5モル%である変性ポリビニルアルコールからなる水溶性フィルムである。
本発明の水溶性フィルムは、冷水への溶解性が優れているのみならず、耐酸性や耐塩素性などの耐薬品性、生分解性、および強度や腰などの実用物性にも優れているので、特に薬品などの包装材料として極めて有用である。
【0012】
【発明の実施の形態】
上記のとおり、従来知られている2−ピロリドン環含有PVAからなるフィルム、およびN−ビニルアセトアミド類とビニルエステルとの共重合体のけん化物からなるフィルムは冷水溶解性が十分ではないという問題を有しているが、この2−ピロリドン環含有PVAおよびN−ビニルアセトアミド類とビニルエステルとの共重合体のけん化物をフィルムの構成成分として用いた場合であっても、本発明にしたがって、2−ピロリドン環の含有量またはN−ビニルアミド系単量体単位の含有量、カルボキシル基およびラクトン環の合計の含有量、ならびに重合度およびけん化度を上記の範囲にすることにより、水溶性、生分解性および強度などの実用物性を同時に満足する水溶性フィルムとすることができる。
【0013】
本発明に用いられる変性PVAは、N−ビニルアミド系単量体単位を有していることが必須である。N−ビニルアミド系単量体としては、例えば、下記式(I)で示される単量体、N−ビニル−2−ピロリドン類およびN−ビニル−2−カプロラクタムなどが挙げられる。
【0014】
【化2】
(式中、R1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す)
【0015】
上記式(I)において、R1で表される炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などを挙げることができ、また、R2で表される炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基などを挙げることができる。
【0016】
上記式(I)で示される単量体として、具体的には、N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドなどを例示することができる。
【0017】
また、N−ビニル−2−ピロリドン類としては、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−3−プロピル−2−ピロリドン、N−ビニル−5,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル―3,5−ジメチル−2−ピロリドンなどを例示することができる。
【0018】
N−ビニルアミド系単量体の中でも、耐薬品性の観点から、上記式(I)で示される単量体およびN−ビニル−2−カプロラクタムが好ましく、入手のし易さの点からさらに好ましいのは、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドおよびN−ビニル−2−カプロラクタムである。さらに、PVA系水溶性フィルムは、PVAのけん化度の影響を受け易く、一般にけん化度が低下するとフィルムの吸湿性が増加する傾向がある。N−ビニル−2−カプロラクタムは環構造中の炭素原子が疎水性を示すため、N−ビニル−2−カプロラクタムにより変性されたPVAは、けん化度が低い場合でも、その他のN−ビニルアミド系単量体により変性されたPVAと比較して、得られるフィルムが吸湿し難いという優れた特長を備えており、N−ビニルアミド系単量体としてN−ビニル−2−カプロラクタムの使用は特に好ましい。
【0019】
本発明の水溶性フィルムにおいて、変性PVAに含まれるN−ビニルアミド系単量体単位の含有量(変性量)は、1〜10モル%であることが必須であり、2〜8モル%であることが好ましい。N−ビニルアミド系単量体単位の含有量が1モル%未満の場合には、得られるフィルムの冷水溶解性が十分なものとは言えなくなる。一方、含有量が10モル%を超える場合には、変性PVAの生分解性が低下するのみならず、吸湿性が大きくなるために、得られるフィルムに腰が無くなり、水溶性フィルムとしての実用性能に問題が生じる。なお、本発明において冷水とは0℃〜40℃の水を意味する。
【0020】
水溶性フィルムは厚みが10〜200μmと薄くても高い強度と柔軟性が要求される場合があるため、フィルムの強度やタフネスの点から、本発明に用いられる変性PVAの重合度(粘度平均重合度)は300〜3000であることが必須であり、400〜2500であることが好ましく、フィルムの水溶性の点から500〜2000であることが特に好ましい。変性PVAの粘度平均重合度が300未満の場合には、フィルムの強度が弱くなる傾向にあり、また3000より大きい場合には、フィルムを製膜するときに使用する製膜原料の溶液粘度または溶融粘度が高くなって作業性が低下したり、得られたフィルムの溶解性が低下する場合がある。
変性PVAの粘度平均重合度はJIS記載の方法により測定される。すなわち、変性PVAを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](dl/g)から次式により求めることができる。
P=([η]×1000/8.29)(1/0.62)
【0021】
本発明において、変性PVAのけん化度は、得られるフィルムの強度、腰および製袋性の点から75〜99.5モル%であることが必須である。変性PVAのけん化度が75モル%より小さいと、フィルムの腰が無くなり形態安定性が低下したり、フィルムにアルカリ性物質または酸性物質を包装して保管した場合に、フィルムの水溶性が低下したりする場合がある。一方、けん化度が99.5モル%よりも大きい変性PVAは、工業的に安定に製造することができず、このような変性PVAからは製膜を安定に行うこともできない。
変性PVAのけん化度は、得られるフィルムの耐薬品性や形態安定性の点から、75〜99.5モル%であり、82〜99.5モル%であることがより好ましく、86〜99.4モル%であることがさらに好ましく、90〜99.2モル%であることが特に好ましく、最適には92〜99.0モル%である。変性PVAのけん化度はJIS記載の方法により測定される。
【0022】
本発明において、変性PVAのカルボキシル基およびラクトン環の合計含有量は0.020〜4.0モル%であることが必須であり、0.022〜3.0モル%であることが好ましく、0.024〜2.5モル%であることがより好ましく、0.025〜2.0モル%であることが特に好ましい。本発明の水溶性フィルムにおいて、カルボキシル基はそのアルカリ金属塩を包含し、アルカリ金属としてはカリウム、ナトリウムなどが挙げられる。
カルボキシル基およびラクトン環の合計含有量が0.020モル%未満の場合には、得られるフィルムの冷水溶解性および形態安定性が十分ではなく、本発明の意図する水溶性フィルムとならない。一方、カルボキシル基およびラクトン環の合計含有量が4.0モル%を超える場合には、変性PVAの生分解性が低下する。
【0023】
N−ビニルアミド系単量体単位、カルボキシル基およびラクトン環を有する変性PVAの製法としては、(1)酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体、N−ビニルアミド系単量体、ならびにカルボキシル基およびラクトン環を生成する能力を有する単量体を共重合して得られたビニルエステル系重合体を、アルコールまたはジメチルスルホキシドなどの溶液中でけん化する方法、(2)メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸などのカルボキシル基を含有するチオール化合物の存在下で、ビニルエステル系単量体とN−ビニルアミド系単量体とを共重合した後、得られたビニルエステル系重合体をけん化する方法、(3)酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体とN−ビニルアミド系単量体とを共重合する際に、ビニルエステル系単量体およびビニルエステル系重合体のアルキル基への連鎖移動反応を起こし、高分岐ビニルエステル系重合体を得た後にそれをけん化する方法、(4)エポキシ基を有する単量体、ビニルエステル系単量体およびN−ビニルアミド系単量体の共重合体をカルボキシル基を有するチオール化合物と反応させた後、けん化する方法、(5)N−ビニルアミド系単量体とビニルエステル系単量体とを共重合した後、得られたビニルエステル系重合体とカルボキシル基を有するアルデヒド類とのアセタール化反応を行う方法などが挙げられる。
【0024】
上記のビニルエステル系単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニルなどが挙げられ、これらの中でも工業的に変性PVAを得る点からは酢酸ビニルが好ましい。
上記したカルボキシル基およびラクトン環を生成する能力を有する単量体としては、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸および無水イタコン酸などに由来するカルボキシル基を有する単量体;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピルなどのメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミドなどのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミドなどのメタクリルアミド誘導体が挙げられる。
変性PVAのカルボキシル基およびラクトン環の含有量は、プロトンNMRのピークから求めることができる。
【0025】
本発明において、変性PVAは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ビニルアルコール単位、ビニルエステル系単量体単位、N−ビニルアミド系単量体単位ならびにカルボキシル基およびラクトン環を生成する能力を有する単量体単位以外に他の単量体単位を含有していてもよい。そのような単量体単位としては、エチレン、プロピレン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテルなどのヒドロキシ基を含有するビニルエーテル類;アリルアセテート;プロピルアリルエーテルなどのアリルエーテル類;オキシアルキレン基を有する単量体;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン類;酢酸イソプロペニル;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オールなどのヒドロキシ基を含有するα−オレフィン類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などに由来するスルホン酸基を有する単量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメチルジエチルアミン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドジメチルアミン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミンなどに由来するカチオン基を有する単量体などを共重合して得られる単量体単位が挙げられる。これらの単量体単位の含有量は、使用される目的や用途などによっても異なるが、通常5モル%以下であり、好ましくは2モル%以下である。
【0026】
本発明において用いられる変性PVAは、前述のカルボキシル基を有するチオール化合物を除く2−メルカプトエタノール、n−ドデカンチオールなどのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体とN−ビニルアミド系単量体とを共重合し、得られたビニルエステル系重合体をけん化することによって得られる末端変性物でもよい。
【0027】
前述のビニルエステル系単量体、N−ビニルアミド系単量体、ならびにカルボキシル基およびラクトン環を生成する能力を有する単量体の共重合の方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒で重合する塊状重合法またはアルコールなどの溶媒中で重合する溶液重合法が通常採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合に使用される開始剤としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系開始剤、または過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどの過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、0℃〜150℃の範囲が適当である。
【0028】
本発明において変性PVAは、前述のビニルエステル系単量体、N−ビニルアミド系単量体、ならびにカルボキシル基およびラクトン環を生成する能力を有する単量体を共重合して得られたビニルエステル系重合体を、通常、メタノールなどのアルコール類、酢酸メチルなどのエステル類、ジメチルスルホキシドなどから選ばれる1種または2種以上の溶媒中、好ましくはメタノールなどの低級アルコール溶媒中で、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ触媒や硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸などの酸触媒を用いてけん化することにより得ることができる。けん化反応の条件は、ビニルエステル系重合体の構造や目的とするビニルアルコール系重合体のけん化度によって適宜調整されるが、通常、触媒/ビニルエステル系単量体単位のモル比が0.001〜5.0、反応温度が20〜180℃、反応時間が0.1〜20時間の範囲で実施される。けん化方法としてはバッチ法や連続法などの公知の方法が適用可能である。
【0029】
本発明の水溶性フィルムは、特定量のアルカリ金属を含有する場合に、特にフィルムの冷水溶解性と製膜性が優れたものとなる。変性PVA100重量部に対するアルカリ金属の含有量は、ナトリウム換算で0.05〜2重量部であるのが好ましく、0.08〜1.5重量部であるのがより好ましく、0.1〜1.0重量部であるのが特に好ましい。アルカリ金属としては、カリウム、ナトリウムなどが挙げられ、それらは主として酢酸やプロピオン酸などの低級脂肪酸の塩、変性PVAの単量体単位に含有されているカルボキシル基およびスルホン酸基などの酸基の塩として存在することができる。また、アルカリ金属は、後述する、水溶性フィルムの添加剤の中に存在しているものであっても差し支えない。
アルカリ金属の含有量が0.05重量部未満の場合には、フィルムの冷水溶解性や製膜性向上の効果が発現しない場合がある。特にフィルムを溶融製膜法で製造する場合には、変性PVAを溶融する際のゲル化が大きいため、製膜性が低下して生産性が低下する。一方、アルカリ金属の含有量が2重量部より多い場合には、変性PVAがカルボキシル基を有するためか、フィルムが着色する傾向にあり、好ましくない。
【0030】
本発明において、特定量のアルカリ金属を水溶性フィルム中に含有させる方法は特に制限されず、変性PVA溶液を調製する際に、酢酸やプロピオン酸などの低級脂肪酸のアルカリ金属塩などに代表されるアルカリ金属含有化合物を添加する方法、変性PVAからなるペレットを作製する際に同様のアルカリ金属含有化合物を添加する方法などが挙げられる。
アルカリ金属の含有量は、原子吸光法により求めることができる。
【0031】
本発明の水溶性フィルムには、必要に応じて糖類を配合することができる。糖類としては、グルコースなどの単糖類、オリゴ糖、多糖類およびマンニットなどの鎖状糖アルコールが挙げられる。多糖類としては、澱粉、セルロース、キチン、キトサン、ヘミセルロース、ペクチン、プルラン、寒天、アルギン酸、カラギーナン、デキストリン、トレハロースなどが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。鎖状糖アルコールとしては、トレイット、エリトリットなどの炭素数4のテトリット類、アラビット、キシリットなどの炭素数5のペンチット類、グリシット、マンニット、ソルビットなどの炭素数6のヘキシット類が挙げられる。糖類を添加することにより、フィルムの水溶性や生分解性をさらに高めたり、耐ホウ酸イオン性を高めたり、薬品包装後、特にPVAを劣化させる薬品(塩素系物質など)を包装した後の冷水溶解性の低下を減少させることができる。糖類添加時のフィルムの冷水溶解性が良好な点から、糖類のなかでも澱粉の配合が特に好ましい。澱粉としては、例えば、トウモロコシ、馬鈴薯などの生澱粉、これらに物理的または化学的処置を施した加工澱粉(デキストリン、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン化澱粉など)などを用いることができる。
【0032】
糖類の配合量は、変性PVA100重量部に対して1〜100重量部であることが好ましく、2〜90重量部であることがさらに好ましく、3〜80重量部であることが特に好ましい。一般に、PVAと糖類とは相溶性が悪いため、糖類を多量にPVAに配合した場合、得られるフィルムはフィルム強度などの機械的物性が大幅に低下するが、本発明の水溶性フィルムに用いられる変性PVAは糖類、特に澱粉との相溶性に優れるという特徴を有するので、本発明の水溶性フィルムには糖類を多量に配合することができる。糖類の配合量が1重量部より小さいと、フィルムの水溶性向上および生分解性向上の効果が発現しない場合がある。一方、糖類の配合量が100重量部より多いと、フィルムの低温での耐衝撃性が低下し、破袋しやすくなる。
【0033】
一般に、水溶性フィルムには、高温多湿の地域や寒冷地での使用にも耐え得るような強度やタフネスが要求され、特に低温での耐衝撃性が必要とされる。本発明の水溶性フィルムには、低温での耐衝撃性向上を目的として、フィルムのガラス転移点を下げるために、種々の可塑剤を配合することができる。さらに本発明の水溶性フィルムには、上記の目的に加えて、水に対する溶解性を向上させる目的で可塑剤を配合することができる。
【0034】
本発明の水溶性フィルムに配合される可塑剤としては、PVAの可塑剤として一般に用いられているものなら特に制限はなく、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,3−ブタンジオールなどの多価アルコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテル類;ポリビニルピロリドンなどのポリビニルアミド類;ビスフェノールA、ビスフェノールSなどのフェノール誘導体;N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどのアミド化合物;グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコールにエチレンオキサイドを付加した化合物や水などが挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。これらの可塑剤の中でも、水溶性を向上させる目的には、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンを用いるのが好ましく、特に可塑剤のブリードアウトによるフィルムの水溶性低下を抑制する効果の点から、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンを用いるのが特に好ましい。
【0035】
可塑剤としてポリエチレングリコールを用いる場合のポリエチレングリコールの分子量について特に制限はないが、変性PVAとの相溶性およびブリードアウトによる水溶性の低下を抑制する効果の点から数平均分子量が100〜1000あることが好ましい。ポリビニルピロリドンの分子量についても特に制限はないが、PVAとの相溶性の点から重量平均分子量で1000〜20000であることが好ましい。
【0036】
可塑剤の配合量は、変性PVA100重量部に対して1〜50重量部であるのが好ましい。可塑剤の配合量が1重量部未満の場合には、可塑剤を配合することによる効果が発現しない場合がある。一方、可塑剤の配合量が50重量部を超える場合には、可塑剤のブリードアウトが大きくなり、得られるフィルムの耐ブロッキング性が低下する場合がある。得られるフィルムの水に対する溶解速度の点から、変性PVA100重量部に対して可塑剤を20重量部以上の割合で配合するのが好ましい。一方、得られるフィルムの腰(製袋機などの工程通過性)の点からは、変性PVA100重量部に対して可塑剤を40重量部以下の割合で配合するのが好ましい。得られるフィルムの水溶性を向上させる観点からは、可塑剤の配合量は多いほど好ましく、さらに、可塑剤の配合量が多いほどヒートシール温度が低下し、フィルム製袋時の生産性が向上する傾向がある。特に、得られるフィルムのヒートシール温度が170℃以下となるような割合で可塑剤を配合することが好ましく、160℃以下となるような割合で可塑剤を配合することがさらに好ましい。
【0037】
可塑剤の配合量は、得られるフィルムの強度やヤング率の大きさに影響を与えやすいが、得られるフィルムの実用性の点からは、フィルムの強度は1.0kg/cm2以上であることが好ましく、1.5kg/cm2以上であることがさらに好ましい。得られるフィルムの製袋機などの工程通過性の点からは、フィルムのヤング率は1.5kg/mm2以上であるのが好ましく、2.0kg/mm2以上であるのがさらに好ましく、2.5kg/mm2以上であるのが特に好ましく、このような範囲のヤング率を有するフィルムが得られるように、可塑剤を配合することが好ましい。
【0038】
本発明の水溶性フィルムには、さらに必要に応じて、無機フィラーを配合することができる。本発明の水溶性フィルムに用いられる無機フィラーとしては、例えば、シリカ、重質、軽質または表面処理された炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ゼオライト、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、マイカ、炭酸マグネシウム、カオリン、ハロイサイト、パイロフィライト、セリサイトなどのクレー、タルクなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのなかでも、特に変性PVAへの分散性の点から、タルクを用いることが好ましい。無機フィラーの平均粒子径は、フィルムのブロッキング防止性の点から1μm以上であることが好ましく、一方で、変性PVAへの分散性の点から10μm以下であることが好ましい。無機フィラーを配合することにより発現するフィルムのブロッキング防止性と、変性PVAへの無機フィラーの分散性の両方の要求特性を満足させるには、平均粒子径が1〜7μm程度の大きさの無機フィラーを用いるのがより好ましい。
【0039】
無機フィラーの配合量は、フィルムのブロッキング防止性および変性PVAへの無機フィラーの分散性の点から、変性PVA100重量部に対して0.5〜20重量部であることが好ましく、0.7〜15重量部であることがより好ましく、1〜10重量部であることが特に好ましい。なお、無機フィラーを20重量部を超えて配合すると、変性PVAへの分散性が低下して無機フィラーが凝集してしまい、得られるフィルムの水溶性が低下する傾向がある。
【0040】
本発明の水溶性フィルムには、さらに必要に応じて、着色剤、香料、増量剤、消泡剤、剥離剤、紫外線吸収剤、界面活性剤などの添加剤を適宜配合しても差し支えない。特に製膜装置のダイスやドラムなどの金属表面と、製膜したフィルムやフィルム原液との剥離性を向上させるために、変性PVA100重量部に対して界面活性剤を0.01〜5重量部の割合で配合することが好ましい。また、本発明の水溶性フィルムには、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で、本発明に用いられる変性PVAとは異なる種類のPVA、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸またはその塩、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどの水溶性高分子を配合しても良い。特にフィルムの水溶性を向上させる観点から、低粘度タイプのカルボキシメチルセルロースを添加することが好ましい。
【0041】
本発明の水溶性フィルムを製造するにあたり、その製造原料は、前記の変性PVAに、必要に応じて、可塑剤、糖類、無機フィラーおよびその他の成分を配合し、これらを撹拌槽中にて溶媒に溶解または分散させる方法や押出機中にて溶融混練する方法など、公知の方法で混合することにより調製することができる。
【0042】
本発明の水溶性フィルムは、一般にフィルムを製膜する際に用いられている製膜方法、例えば、流延製膜法、湿式製膜法、乾式製膜法、押出製膜法、溶融製膜法、コート法、インフレーション製膜法などの製膜方法で製造することができる。例えば、本発明の水溶性フィルムの製膜に必要な成分を、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、フェノールなどに例示される溶媒の1種または2種以上の混合液に溶解し、均一な製膜原液を調製した後、流延製膜法などの製膜方法で製造することができる。この製膜原液の濃度は、粘度の点から50重量%以下(溶媒の含有量が50重量%以上)であることが好ましく、製膜したフィルムの表面におけるマット状態の形成されやすさの点から30重量%以下(溶媒の含有量が70重量%以上)であることがさらに好ましい。
【0043】
本発明の水溶性フィルムの厚みは10〜200μmであるのが好ましく、フィルムの強度と水溶性のバランスの点から20〜150μmであるのがより好ましく、30〜120μmであるのが特に好ましい。
【0044】
本発明の水溶性フィルムのブロッキング防止性を向上させるために、必要に応じて、該水溶性フィルム表面をロールマット化したり、シリカや澱粉などのブロッキング防止用の粉体を水溶性フィルムに塗布したり、エンボス処理を行うことができる。フィルム表面のロールマット化は、製膜時に乾燥前のフィルムが接するロールに微細な凹凸を形成しておくことにより施すことができる。エンボス処理は、一般にフィルムが形成された後で、熱や圧力を加えながらエンボスロールとゴムロールでニップすることで行うことができる。粉体の塗布はブロッキング防止の効果が大きいが、フィルムの用途によっては使用できないことがあるため、ロールマット化やエンボス処理を施すことでブロッキング防止をはかるのが好ましく、ブロッキング防止効果の大きさの点からロールマット化することが特に好ましい。
【0045】
本発明の水溶性フィルムは、冷水への溶解速度が優れており、10℃水中での完全溶解時間(フィルムの厚さ50μm)は好ましくは200秒以下であり、より好ましくは150秒以下であり、特に好ましくは100秒以下である。本明細書でいう10℃水中での完全溶解時間とは、厚さ50μmのフィルムを40mm×40mmの正方形に切り、これをスライドマウントにはさみ、10℃の撹拌している水中に浸漬してフィルムが完全に溶解するまでの時間を測定した値であり、フィルムの厚さが50μmとは異なるものを使用する場合には、下記の式(1)によりフィルムの厚さ50μmの場合に換算した値である。
溶解時間(秒)=(50/フィルムの厚み(μm))2×溶解時間(秒)(1)
【0046】
本発明において用いられる変性PVAは生分解性に優れており、60%以上、より好ましくは65%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは75%以上の生分解率を示す。このことから、本発明の水溶性フィルムは、無変性の部分けん化PVAやイオン変性PVAを用いた従来の水溶性フィルムと比較して生分解性に優れている。変性PVAの生分解性は、ISO14851に準じた方法に従って活性汚泥を用いて測定される。
【0047】
本発明の水溶性フィルムは、冷水への溶解性が優れているのみならず、生分解性、耐薬品性および強度や腰などの実用物性にも優れているので、公知の農薬や洗剤など水に溶解して使用される物質の包装材料として極めて有用である。本発明の水溶性フィルムから製造された包装袋は、そのまま水中に投入するだけで速やかに溶解し、その内容物は速やかに水中に放出される。
【0048】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
なお、実施例中「部」および「%」は、特に断らない限り「重量部」および「重量%」をそれぞれ意味する。また、実施例中、フィルムの各種特性の測定および評価は以下の方法により行った。
【0049】
[フィルムの水溶性の測定方法]
10℃の恒温バスにマグネティックスターラーを設置する。1リットルの蒸留水を入れた1リットルのガラスビーカーを上記の恒温バスに入れ、5cmの回転子を用いて250rpmで撹拌を行った。ビーカー内の蒸留水が10℃になった後、水溶性の測定を開始した。
フィルムを40mm×40mmの正方形に切り、これをスライドマウントにはさみ、10℃の撹拌している水中に浸漬してフィルムの溶解状態を観察し、フィルムが完全に溶解するまでの時間(秒数)を測定した。なお、フィルムの厚さが50μmとは異なるフィルムを用いる場合には、下記の式(1)に従ってフィルムの厚さ50μmの値に換算する。
【0050】
溶解時間(秒)=(50/フィルムの厚み(μm))2×溶解時間(秒)(1)
【0051】
[ヤング率、強度の測定方法]
幅10mmのフィルムを、20℃、65%RHの雰囲気のもとで1週間調湿した後、オートグラフで引張り試験を行った。チャック間隔は50mm、引張り速度は500mm/minであった。
【0052】
[耐薬品性の評価方法]
フィルムから10cm×15cmの袋を作り、内部に薬品としてボルドー剤と珪藻土の混合物(重量比1:3)40gを入れ、140℃で熱シールして密封した。この包装袋をさらにアルミニウムにポリエチレンをラミネートしたフィルムで包み、熱シールすることにより2重に密封包装し、薬品を密封した包装袋から水や可塑剤が飛散しないようにした。この袋を長期保存の促進試験として、40℃の恒温器に入れて放置し、4週間後に取り出して、包装していたフィルムの水溶性を前述の測定方法にて測定し、薬品包装前との経時変化を調べた。
【0053】
合成例1(変性PVAの合成)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管および温度計を取り付けた5Lの反応器に、酢酸ビニル単量体2040g、メタノール905g、N−ビニル−2−カプロラクタムの50%メタノール溶液110.7gおよびイタコン酸の10%メタノール溶液4.3gを仕込み、窒素ガスを30分間バブリングして脱気した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)1.5gを添加し重合を開始した。N−ビニル−2−カプロラクタムの50%メタノール溶液およびイタコン酸の10%メタノール溶液を酢酸ビニル単量体とのモル比率が一定になるように逐次添加しながら重合を行い、5時間後に冷却して重合を停止した。このときの固形分濃度は34%であった。
次いで、30℃減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニル単量体の除去を行い、ポリ酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液(濃度33%)を得た。次に、メタノールを加えて濃度を25%に調整したポリ酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液にアルカリモル比(NaOHのモル数/酢酸ビニル単量体単位のモル数)0.03のNaOHメタノール溶液(10%濃度)を添加してけん化した。得られた変性PVA(PVA−1)のけん化度は98.4モル%であった。
【0054】
得られた変性PVA1gにメタノール10gを加え、60℃に加温して変性PVAを膨潤させた後、NaOHのメタノール溶液(10%濃度)5gを加えて60℃で3時間撹拌したものについて、メタノールソックスレー抽出を3日間実施し、次いで乾燥して変性PVAの精製物を得た。該変性PVA精製物のプロトンNMR測定から求めたN−ビニル−2−カプロラクタム単量体単位の変性量は4.0モル%、カルボキシル基およびラクトン環単位の合計含有量は1.0モル%であった。また、該PVAの平均重合度を常法のJIS K6726に準じて測定したところ1500であった。
【0055】
コモノマーの種類と変性量、カルボキシル基およびラクトン環の合計量、重合度、けん化度が下記の表1になるように重合条件を変更したこと以外はPVA−1と同様にして変性PVA(PVA−2〜10、12〜27)を合成した。合成した変性PVAの内容について表1に示す。
【0056】
合成例2(PVAの合成)
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管および温度計を取り付けた5L反応器に酢酸ビニル単量体2100g、メタノール900gを仕込み、窒素ガスを30分間バブリングして脱気した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.4gを添加し重合を開始した。5時間後に冷却して重合を停止した。このときの固形分濃度は27%であった。次いで、30℃減圧下にメタノールを時々添加しながら未反応酢酸ビニルモノマーの除去を行い、ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液(濃度33%)を得た。次に、メタノールを加えて濃度を25%に調整したポリ酢酸ビニル重合体のメタノール溶液にアルカリモル比(NaOHのモル数/酢酸ビニル単量体単位のモル数)0.005のNaOHメタノール溶液(10%濃度)を添加してけん化した。得られたPVA(PVA−11)のけん化度は88.0モル%であった。
【0057】
得られたPVA1gにメタノール10gを加え、60℃に加温してPVAを膨潤させた後、NaOHのメタノール溶液(10%濃度)5gを加えて60℃で3時間撹拌したものについて、メタノールソックスレー抽出を3日間実施し、次いで乾燥してPVAの精製物を得た。該PVAの平均重合度を常法のJIS K6726に準じて測定したところ1500であった。
【0058】
実施例1
表1に示される変性PVA(PVA−1)100重量部に対し、可塑剤としてグリセリン15重量部、エーテル化澱粉10重量部、平均粒子径3μmのタルク5重量部、アルカリ金属としてナトリウムが0.8重量部になるように酢酸ナトリウム、および水を添加して均一な5%水溶液(含水率95%)を作成し、ポリエステルフィルム上に流延して室温で乾燥した後、ポリエステルフィルムから剥離することにより、厚さ50μmのフィルムを得た。得られたフィルムに100℃で10分間熱処理を行った。このフィルムの水溶性を測定したところ、10℃水中での完全溶解時間は61秒であった。また、フィルムの腰に代表される工程通過性などの取扱性の指標として、20℃、65%RHに調湿してヤング率の測定を行ったところ3.6kg/mm2、強度は3.0kg/cm2であった。また、変性PVA(PVA−1)について、ISO14851に準じた方法で生分解性を評価したところ、生分解率は83%であった。
続いて、耐薬品性を評価したところ、薬品包装後のフィルムの10℃水中での完全溶解時間は62秒であり、水溶性の低下は見られなかった。
【0059】
実施例2〜4および参考例1〜6
変性PVAの内容、ならびにアルカリ金属、可塑剤、糖類および無機フィラーの種類と配合量を表1および表2に示されるように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを作製し、各種評価を行った。評価結果を表3に示した。
【0060】
実施例5および参考例7
変性PVAの内容、ならびに糖類および無機フィラーの種類と配合量を表1および表2に示されるように変更し、薬品としてコハク酸の微粉末を用いて耐酸性の評価を行ったこと以外は実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表3に示した。
【0061】
比較例1〜7
変性PVAの内容およびアルカリ金属の配合量を表1および表2に示されるように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを製造し、各種評価を行った。評価結果を表3に示した。
けん化度が88モル%の無変性PVAからなるフィルムは、耐薬品性が劣る(比較例1)。カルボキシル基およびラクトン環のみを有する変性PVAをベースとするフィルムは、変性PVAのけん化度が98.1モル%と高い場合には水溶性が劣り(比較例2)、変性PVAのけん化度が88.2モル%と低い場合には耐薬品性が問題となる(比較例3)。また、変性PVAのカルボキシル基およびラクトン環の合計量が4.0モル%よりも高いと、変性PVAの生分解性が悪くなる(比較例4)。
スルホン酸基を有し、カルボキシル基およびラクトン環を有しない変性PVAをベースとするフィルムは、実施例のフィルムと比較して明らかに生分解性が劣る(比較例5)。ポリオキシエチレンモノアリルエーテルのみをコモノマーに用いた変性PVAからなるフィルムは、水溶性が十分でない(比較例6および7)。
【0062】
比較例8、9および15
変性PVAの内容を表1に示されるように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを製造し、各種評価を行った。評価結果を表3に示した。
コモノマーの含量が1モル%よりも小さい場合には、フィルムの水溶性が悪く(比較例8)、一方、コモノマーの含量が10モル%よりも大きい場合には、変性PVAの生分解性が悪いうえに、フィルムの強度が小さい(比較例9および15)。
【0063】
比較例10、11、14、16および17
変性PVAの内容を表1に示されるように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを製造し、各種評価を行った。評価結果を表3に示した。けん化度が75モル%より低い場合には、フィルムのヤング率および強度が小さい(比較例10および14)。カルボキシル基およびラクトン環の合計量が4.0モル%よりも大きい場合には、変性PVAの生分解性が悪いうえに、フィルムの強度が小さい(比較例11および16)。また、カルボキシル基およびラクトン環の合計量が0.02モル%よりも小さい場合には、フィルムの溶解性が十分ではないうえに、耐薬品性も劣る(比較例17)。
【0064】
比較例12および13
変性PVAの内容を表1に示されるように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを製造し、各種評価を行った。評価結果を表3に示した。
変性PVAの重合度が3000よりも大きい場合には、フィルムの水溶性が悪く(比較例12)、変性PVAの重合度が300よりも小さい場合には、フィルムの強度が小さい(比較例13)。
【0065】
比較例18および19
変性PVAの内容、ならびに糖類の配合量を表1および表2に示されるように変更し、さらに薬品としてコハク酸の微粉末を用いて耐酸性の評価を行ったこと以外は実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表3に示した。
けん化度が88.0モル%の無変性PVAからなるフィルムは酸性物質包装後の水溶性が低下しており、耐酸性が劣る(比較例18)。また、カルボキシル基およびラクトン環のみを有する変性PVAをベースとし、PVAのけん化度が98.1モル%のフィルムは、水溶性が劣る(比較例19)。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【発明の効果】
本発明の水溶性フィルムは、冷水に対する溶解性が優れているのみならず、薬品包装後においても水に対する溶解性は低下せず、生分解性、および強度や腰などの実用物性なども同時に優れており、特に農薬や洗剤などの包装用途に好ましく用いられる。
Claims (3)
- 下記の(1)〜(5)のいずれかの方法によって得られる変性ポリビニルアルコールからなる水溶性フィルムであって、該変性ポリビニルアルコールが、分子内にN−ビニル−2−カプロラクタム単位を1〜10モル%、ならびにカルボキシル基およびラクトン環を合わせて0.020〜4.0モル%含有し、重合度が300〜3000、けん化度が75〜99.5モル%である水溶性フィルム。
(1)ビニルエステル系単量体、N−ビニル−2−カプロラクタム、ならびにカルボキシル基およびラクトン環を生成する能力を有する単量体を共重合して得られたビニルエステル系重合体を、溶液中でけん化する方法
(2)カルボキシル基を含有するチオール化合物の存在下で、ビニルエステル系単量体とN−ビニル−2−カプロラクタムとを共重合した後、得られたビニルエステル系重合体をけん化する方法
(3)ビニルエステル系単量体とN−ビニル−2−カプロラクタムとを共重合する際に、ビニルエステル系単量体およびビニルエステル系重合体のアルキル基への連鎖移動反応を起こし、高分岐ビニルエステル系重合体を得た後にそれをけん化する方法
(4)エポキシ基を有する単量体、ビニルエステル系単量体およびN−ビニル−2−カプロラクタムの共重合体をカルボキシル基を有するチオール化合物と反応させた後、けん化する方法
(5)N−ビニル−2−カプロラクタムとビニルエステル系単量体とを共重合した後、得られたビニルエステル系重合体とカルボキシル基を有するアルデヒド類とのアセタール化反応を行う方法 - 変性ポリビニルアルコール100重量部に対してアルカリ金属がナトリウム換算で0.05〜2重量部含有されている請求項1記載の水溶性フィルム。
- 変性ポリビニルアルコール100重量部に対して、さらに糖類を1〜100重量部配合してなる請求項1または2記載の水溶性フィルム。
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