JP2005024032A - 高圧ホース - Google Patents
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Abstract
【課題】容易に得ることができて冷媒の気体透過率が低減された冷媒輸送用高圧ホースを提供すること、及び容易に得ることができて冷媒の気体透過率が低減され且つ可撓性等の機械特性と作業性に優れた冷媒輸送用高圧ホースを提供すること。
【解決手段】ゴムとその中に含まれるテトラメチルアンモニウム塩とを含むゴム組成物から形成されている管状ゴム層を含む高圧ホース;及び
管状の内側ゴム層、その上を覆う管状の繊維の補強層、及びその上を覆う管状の外側ゴム層を含む高圧ホースにおいて、
少なくとも内側ゴム層が、ゴムとその中に含まれるテトラメチルアンモニウム塩とを含むゴム組成物から形成されていることを特徴とする高圧ホース。
【選択図】 図1
【解決手段】ゴムとその中に含まれるテトラメチルアンモニウム塩とを含むゴム組成物から形成されている管状ゴム層を含む高圧ホース;及び
管状の内側ゴム層、その上を覆う管状の繊維の補強層、及びその上を覆う管状の外側ゴム層を含む高圧ホースにおいて、
少なくとも内側ゴム層が、ゴムとその中に含まれるテトラメチルアンモニウム塩とを含むゴム組成物から形成されていることを特徴とする高圧ホース。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車用クーラー等に有利に使用することができる冷媒輸送用高圧ホース等の高圧ホースに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用クーラーの配管等に使用される冷媒輸送用高圧ホースも、一般の高圧ホースと同様に管状の複数層から構成される。即ち、管状の内側ゴム層と、その上を覆う管状の繊維が、例えば螺旋状に巻かれた補強層、さらにその上を覆う管状の外側ゴム層の基本構成を有する。補強層は、求められる強度に応じて、複数層設けられ、その際補強層の間には一般に中間層が設けられる。そして、冷媒輸送用では、フロン等の冷媒の漏洩を防止するために、上記内側ゴム層の内側に更にポリアミド(ナイロン)からなるガスバリヤ層が設けられている(特開平7−171930号公報参照)。
【0003】
また、特開平11−159667号公報には、ナイロンからなるバリヤ層の代わりに有機化クレーと無水カルボキシル基を有する変性ブチルゴムとから成る内側ゴム層を含む冷媒輸送用ホース、更に内側ゴム層の内側にさらに有機化クレーとナイロンからなるガスバリヤ層を有する冷媒輸送用ホースが開示されている。これらのホースは振動吸収性、流体遮断性に優れたものであることが記載されている。この公報では、クレーのほかに使用できるフィラーとしてマイカも記載されているが具体的な配合、効果は示されていない。
【0004】
更に、特開2000−160024号公報には、クレー等の層状粘土鉱物とナイロン等の熱可塑性樹脂とのナノ複合体に、動的に架橋されたゴム層が分散した組成物の高圧ホースへの使用が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等の検討によれば、特開平7−171930号公報で使用され、また特開平11−159667号公報でも使用されているナイロンのガスバリヤ層を有する場合、ホース自体がこの層の存在のために硬くなり、ホース本来に求められるしなやかさが低下し、ホース取り付け時の操作の自由度が小さく取り付けし難いこと、またこの層を接着するための接着工程が増えること、さらにカークーラーの冷媒として使用されるポリアルキレングリコール類により劣化しやすく耐久性が充分でないこと等の問題がある、ことが判明した。一方、特開平11−159667号公報に記載の冷媒輸送用ホースであって上記ガスバリヤ層を設けない場合、有機化クレーと無水カルボキシル基を有する変性ブチルゴムを用いた内側ゴム層だけではガスバリア性が不十分であることが判明した。即ち、通常の混練機(バンバリーミキサー等)でゴム組成物を得ようとすると、クレー等の層状粘土物を超微分散状態にすることが困難であった。また、特開2000−160024号公報では、ナノ複合体自体がナイロンからなるものであるため、それ自体硬く、また層状粘土鉱物の分散性も充分でないことから、上記冷媒等の流体遮断性、可撓性が満足できるものではないことが明らかとなった。さらに、高圧ホースを作製するために、このナノ複合体の層とゴム組成物の層を複合化する際には接着剤が必要となり、製造が煩雑になるとの問題もある。
【0006】
本発明者等は、層状鉱物フィラーを用いたゴム組成物を用いて高いガスバリヤ性(低い気体透過率)を有する高圧ホースを得るために鋭意研究を重ねてきた。既に、本出願人は、層状鉱物フィラーを層間剥離させて、1枚1枚の層をゴム中に分散させる、ナノ分散技術を開発し、種々出願を行っている。即ち、層状鉱物フィラーをナノ分散させることにより、少量のフィラーを用いて優れたガスバリヤ性を有し、冷媒等の流体の透過(損失)が格段に低減された高圧ホースを開発した。
【0007】
例えば、本出願人の出願である特願2002−169964号明細書において、ジメチルアルキルアンモニウム塩で処理したマイカを用いた優れたガスバリヤ性を有する冷媒輸送用高圧ホースを記載している。即ち、前記特開平11−159667号公報に記載のアンモニウムイオンを用いた場合は、マイカをナノ分散させることが困難であったが、上記特定の化合物を用いることによりナノ分散を可能として優れた高圧ホースを開発したものである。
【0008】
尚、ナノ分散によるガスバリヤ性の向上の機構は、層状剥離した扁平フィラーがゴム中に相互に平行関係で高度に配向し、その結果、組成物中に無数の壁が形成され、この組成物を透過するガス分子が、その壁を迂回しながら拡散するため、見かけ上透過すべき組成物の厚さが増加した状態になるためとされている。このため、層状剥離した扁平フィラーの配向が不充分であったり、押出、複合化、架橋等の加工工程において、その配向が不均一となったり、破損した場合充分なガスバリヤ性が得られないと考えられる。
【0009】
層状鉱物フィラーを用いて高いガスバリヤ性を有し、冷媒等の流体の透過(損失)が格段に低減された高圧ホースを得るために、本発明者等がさらに検討したところ、前記特定のジメチルアルキルアンモニウム塩で処理したマイカを用いたゴム組成物を使用した場合であってもなお、ガスバリヤ性をさらに向上させようとした場合に、硬くなって、ゴムの可撓性が失われて、高圧ホースに望まれる機械特性が失われる場合があること、またマイカ等の層状鉱物フィラーを増量した場合に、粘度が過度に上昇して高圧ホースの作成が困難になる場合があることが明らかになった。
【0010】
本発明は、冷媒等の流体の透過(損失)が格段に低減され、且つ可撓性及び作業性に優れた、冷媒輸送等に好適な高圧ホースを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、冷媒等の流体の透過(損失)が格段に低減され、可撓性及び作業性に優れ、且つ容易に製造することができる、冷媒輸送等に好適な高圧ホースを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ガスバリヤ性、機械特性にも優れた高圧ホースを得るために鋭意検討を重ねてきた。その結果、層状鉱物フィラー及びゴムを含むゴム組成物にこれまで知られていない特定のアンモニウム化合物を導入した場合に、機械的物性を低下させることなく非常に優れたガスバリヤ性が得られることが明らかになった。しかも、この化合物を用いることにより、マイカ等の層状鉱物フィラーを増量した場合でも、これに伴う粘度の上昇が小さいとの驚くべき効果が得られることも明らかになった。これにより、高圧ホースの製造が容易になるだけでなく、ゴム組成物のフィラー量の設定に際しての自由度が向上し、様々な特性の高圧ホースの設計が容易になるとの利点も得られる。このような効果は、前記のガス分子の迂回拡散理論だけでは説明がつかないものである。
【0013】
上記知見を基に本発明者等がさらに検討を重ねたところ、層状鉱物フィラーを含まないゴム組成物、即ち上記特定のアンモニウム化合物とゴムとからなるゴム組成物を高圧ホースに使用した場合であっても、相当優れた機械的物性及びガスバリヤ性を示すことも明らかになった。この現象を説明する明確な機構は今のところ不明である。
【0014】
従って、本発明は、
ゴムとその中に含まれるテトラメチルアンモニウム塩とを含むゴム組成物から形成されている管状ゴム層を含む高圧ホース;及び
管状の内側ゴム層、その上を覆う管状の繊維の補強層、及びその上を覆う管状の外側ゴム層を含む高圧ホースにおいて、
少なくとも内側ゴム層が、ゴムとその中に含まれるテトラメチルアンモニウム塩とを含むゴム組成物から形成されていることを特徴とする高圧ホースにある。
【0015】
また、本発明は、さらに、
層状鉱物フィラーがゴム中に分散されてなるゴム組成物であって、さらにテトラメチルアンモニウム塩を含むゴム組成物から形成されている管状ゴム層を含む高圧ホース;及び
管状の内側ゴム層、その上を覆う管状の繊維の補強層、及びその上を覆う管状の外側ゴム層を含む高圧ホースにおいて、
少なくとも内側ゴム層が、ゴム、ゴム中に分散された層状鉱物フィラー及びテトラメチルアンモニウム塩を含むゴム組成物から形成されていることを特徴とする高圧ホース
にもあり、また、
テトラメチルアンモニウム塩で処理された層状鉱物フィラーが、ゴム中に分散されてなるゴム組成物から形成されている管状ゴム層を含む高圧ホース;及び
管状の内側ゴム層、その上を覆う管状の繊維の補強層、及びその上を覆う管状の外側ゴム層を含む高圧ホースにおいて、
少なくとも内側ゴム層が、テトラメチルアンモニウム塩で処理された層状鉱物フィラーが、ゴム中に分散されてなるゴム組成物から形成されていることを特徴とする高圧ホースにもある。
【0016】
上記高圧ホースの少なくとも内側ゴム層において、層状鉱物フィラーの層間にテトラメチルアンモニウムイオンが存在しているものが好ましく、層状鉱物フィラーとテトラメチルアンモニウムがイオン結合しているものが好ましい。
【0017】
テトラメチルアンモニウム塩は、分散されているものが好ましく、テトラメチルアンモニウムハロゲン化物であるものが好ましい。
【0018】
層状鉱物フィラーは、マイカ、タルク及びクレーから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0019】
ゴムは、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、天然ゴムから選択される少なくとも1種であるものが好ましく、特に、ハロゲン化ブチルゴムが好ましい。ハロゲン化ブチルゴムは、イソブチレンを主成分とする共重合体のハロゲン化物からなるものが好ましく、特臭素化(イソブチレン−4−メチルスチレン共重合体)が好ましい。
【0020】
また、ゴム組成物は架橋されているものが好ましい。
【0021】
層状鉱物フィラーはその長軸方向が、それを含む管状ゴム層の表面に対して平行に存在していることが好ましく、そのような管状ゴム層を含む高圧ホースが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の高圧ホースに使用するゴム組成物は、ゴム中に、テトラメチルアンモニウム塩が分散された基本構成を有する。この場合、さらに層状鉱物フィラーが分散されていることが好ましい。本発明では、これまで知られていない特定の4級アンモニウム塩であるテトラメチルアンモニウム塩をゴム中に分散させることによって、優れたガスバリヤ性及び機械特性を得ている。本発明では上記ゴム組成物が少なくとも内側ゴムに使用されている。
【0023】
本発明の高圧ホースに使用するゴム組成物に見られる優れたガスバリヤ性の特徴は、得られたゴム組成物のガスバリヤ性(気体透過率)の測定を開始してから平衡状態(ゴム組成物を通過するガスの単位時間当たりの量が一定値になる状態)になるまでの時間が、汎用のゴム組成物に比べて長いこと、及び平衡状態に達してもなお、従来のゴム配合物に比較して高いガスバリヤ性を維持することである。
【0024】
本発明の高圧ホースに使用するゴム組成物の優れた効果は、テトラメチルアンモニウム塩のみを含む場合にも得られるが、層状鉱物フィラーを併用した場合に特に有利である。層状鉱物フィラーを使用した場合、扁平フィラーがゴム中に相互に平行関係で配向していると考えられるが、機械特性(引張応力、引張強度、引張伸び)の低下がほとんど見られず、フィラー量を増大させてもゴムとしての可撓性をほとんど損なわないことから、ガスバリヤ性を大きく向上させる機構としては、扁平フィラーが超微分散しているためと言うよりも、むしろ扁平フィラーは適度な大きさで分散しているが、扁平フィラーがテトラメチルアンモニウム塩で処理されることによりガスを吸着する、或いは吸蔵する等の性質も寄与しているものと推測される。しかしながら、上記のように長期に亘り優れたガスバリヤ性を保持することから、上記の吸着、吸蔵以外の機構も寄与していると推定している。
【0025】
このゴム組成物を使用した本発明の高圧ホースは、可撓性等の機械特性に優れ、且つガスバリヤ性が高度に優れたものである。特にフロン、フレオン、ユーコン、ゲネトロン等のフッ化炭素等の冷媒に対して優れた遮断性を示すことに加えて、水素、窒素、空気等の一般的な気体や水等の流体に対しても優れた遮断性を示すため、これらの輸送用高圧ホースとしても適している。
【0026】
本発明の代表的な冷媒輸送用高圧ホースの構造の1例を図1に示す。管状の内側ゴム層11、その表面を覆う管状の繊維の補強層12a、その表面を覆う管状の中間ゴム層13、その表面を覆う管状の補強層12b、そしてその表面を覆う管状の外側ゴム層14から構成されている。内側ゴム層11は、ゴム、層状鉱物フィラー及びテトラメチルアンモニウム塩を含むゴム組成物から形成されている。ただし、層状鉱物フィラーは含まれていなくてもよい。中間ゴム層13は、前記ゴム組成物から形成されるものでも良いが、一般に層状鉱物フィラー及びテトラメチルアンモニウム塩を含有しないブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴム組成物を含むものである。
【0027】
図2に、上記図1の高圧ホースの内側ゴム層11の内側に、さらに管状の内管ゴム層15が設けられた、別の代表的な冷媒輸送用高圧ホースの構造の1例を示す。即ち、管状の内管ゴム層15、その表面を覆う管状の内側ゴム層11、その表面を覆う管状の繊維の補強層12a、その表面を覆う管状の中間ゴム層13、その表面を覆う管状の補強層12b、そしてその表面を覆う管状の外側ゴム層14から構成されている。内管ゴム層15は、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムから構成される。このゴムは、層状鉱物フィラー及びテトラメチルアンモニウム塩を含有していてもしていなくてもよい。
【0028】
図3に、ナイロン等のポリアミドを内層に適用した従来の冷媒輸送用高圧ホースを示す。管状のナイロンガスバリヤ層16、その表面を覆う管状の内管ゴム層15、その表面を覆う管状の繊維の補強層12a、その表面を覆う管状の中間ゴム層13、その表面を覆う管状の補強層12b、そしてその表面を覆う管状の外側ゴム層14から構成されている。これは従来の冷媒輸送用高圧ホースであるが、先に述べたようにホースとして硬く、可撓性が充分でなく、さらにはナイロンとゴムの接着処理、カシメ金具との接着処理等も必要とするものであった。
【0029】
本発明では、テトラメチルアンモニウム塩を含む、冷媒等の気体遮蔽性に優れたゴム組成物を内側ゴム層に用いているため、従来必要とされたナイロンのガスバリヤ層を設けなくても良いことから、可撓性に優れ、カシメ金具との接着処理等も必要としない高圧ホースを得ることができたものである。
【0030】
管状の繊維の補強層12a,12bは、一般に有機繊維の編組構造体である。有機繊維としてはビニロン、ポリエステル、ポリアミド、芳香族ポリアミド等を挙げることができる。これらの繊維をスパイラル状又はブレード状に編みあげたものが好ましい。これらの繊維は、一般に56〜778tex(500〜7000d)、特に222〜556tex(2000〜5000d)を有することが好ましい。
【0031】
本発明の内側ゴム層等を形成するゴム組成物は、一般に、テトラメチルアンモニウム塩及びゴム等を、又は層状鉱物フィラー、テトラメチルアンモニウム塩及びゴム等を、或いはテトラメチルアンモニウム塩で処理された層状鉱物フィラー及びゴム等を、バンバリー等のインターナルミキサー等の通常の混練機を用いて混合することによって得られるものであり、さらにこれに架橋剤を加えると、架橋ゴム組成物が得られる。
【0032】
本発明で使用される層状鉱物フィラーとしては、クレー、マイカ、カオリンクレー、タルク等を挙げることができ、中でも形状が扁平状であるクレー、マイカ、タルクが好ましい。層状鉱物フィラーの平均粒径20μm以下、さらに0.1〜15μmの範囲、特に0.1〜8μmが好ましい。
【0033】
クレーとは、一般に、1種あるいは2種以上の粘土鉱物からなる平均粒径20μm以下、さらに0.1〜15μmの範囲、特に0.1〜8μmの微細な粒子である。粘土鉱物とは、微細な層状ケイ酸塩であり、Si4+イオンが酸化物イオン(O2−)に対して4配位をとる4面体が構成する層と、Al3+、Fe2+、Fe3+、Mg2+などのイオンがO2−および水酸化物イオン(OH−)に対して6配位をとる8面体層とが1:1あるいは2:1で結合し、さらにそれらが積み重なって層状構造を構成するものが、一般的である。粘土鉱物としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、モンモリロナイト、ゼオライト、バーミキュライトなどを挙げることができる。
【0034】
マイカ(雲母)は、完全な基底劈開により特徴付けられる斜晶系層状珪酸塩であり、複雑なアルミノケイ酸カリウムであり、その一般化学組成式はXY2〜3Zn4O10(OH、F)2[但し、XがBa、Ca、(H3O)、K、Na、(NH4)を表し、YがAl、Cr3+、Fe2+、Fe3+、Li、Mg、Mn2+、V3+を表し、ZがAl、Be、Fe、Siを表す]で表される。マイカの平均粒径は平均粒径20μm以下、さらに0.1〜15μmの範囲、特に0.1〜8μmが好ましい。
【0035】
タルクは、ケイ酸マグネシウムで、一般にMg2Si4O10(OH)2で表される。
【0036】
上記層状鉱物フィラーの添加量は、ゴムに対して5〜200質量%、特に10〜150質量%、さらに20〜130質量%が好ましい。フィラーの量が5質量%より少ないと、気体遮蔽性の効果が充分に得られず、200質量%より多いと、分散が困難となり好ましくない。
【0037】
上記層状鉱物フィラーに加えて他の無機フィラーを使用しても良い、その例としては、カオリン、炭酸カルシウム、シリカ等を挙げることができる。
【0038】
本発明の特徴的要件は、前記のように、ゴム中にテトラメチルアンモニウム塩が含まれていること;或いは、テトラメチルアンモニウム塩で処理された層状鉱物フィラーがゴム中に含まれていることである。テトラメチルアンモニウム塩は、テトラメチルアンモニウムハロゲン化物(特に、クロリド、ブロミド)であることが好ましい。また、テトラメチルアンモニウム塩の層状鉱物フィラーに対する添加量は、一般に層状鉱物フィラーに対して、0.1〜50質量%であり、0.5〜50質量%、さらに0.5〜30質量%、特に1〜30質量%が好ましい。
【0039】
本発明で使用されるゴム(ゴム又はゴムラテックス)は、例えば天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴムラテックス、シリコーンゴムラテックス、ウレタンゴムラテックスが挙げられる。アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルのブレンド、ブチルゴム及びハロゲン化ブチルゴムが好ましい。これらは、単独でも、混合物としても使用することができる。特に、ハロゲン化ブチルゴムが好ましい。
【0040】
上記ハロゲン化ブチルゴムは、イソブチレンを主体とする他のモノマーとの共重合体で、ハロゲン化されたものである。他のモノマーとしては、一般に炭素炭素2重結合を1個又は2個有する炭化水素である。炭素炭素2重結合を1個有する炭化水素としては、エチレン、プロペン、ブテン、ヘキセン、スチレン、アルキルスチレン(例、4−メチルスチレン)等を挙げることができ、炭素炭素2重結合を2個有する炭化水素としては、イソプレン、ブタジエン等を挙げることができる。共重合体のイソプレンの割合は、80〜99モル%が好ましく、特に90〜99モル%が好ましい。ハロゲン化は一般に他のモノマー単位に対してなされる。ハロゲン化を行う際のハロゲンとしては塩素、臭素が好ましい。例えば、イソブチレン・イソプレン共重合体を塩素化した場合、イソブチレン・クロロイソプレン共重合体となる。ハロゲン化ゴム中のハロゲン含有量は、0.5〜1.5モル%が好ましく、特に0.75〜1.2モル%が好ましい。
【0041】
本発明で使用することができる塩素化ブチルゴムとしては、塩素化(イソブチレン・イソプレン共重合体)(いわゆる塩素化ブチルゴム)又は塩素化(イソブチレン−4−メチルスチレン共重合体)を挙げることができ、特に塩素化(イソブチレン・イソプレン共重合体)が好ましい。
【0042】
本発明で使用することができる臭化ブチルゴムは、イソブチレンを主体とする他のモノマーとの共重合体で、臭素化されたものである。前記ハロゲン化ブチルゴムで述べたように、他のモノマーとしては、一般に炭素炭素2重結合を1個又は2個有する炭化水素である。炭素炭素2重結合を1個有する炭化水素としては、エチレン、プロペン、ブテン、ヘキセン、スチレン、アルキルスチレン(例、4−メチルスチレン)等を挙げることができ、炭素炭素2重結合を2個有する炭化水素としては、イソプレン、アルキルスチレン等を挙げることができる。共重合体のイソブチレンの割合は、80〜99モル%が好ましく、特に90〜99モル%が好ましい。臭化ゴム中の臭素含有量は、0.5〜1.5モル%が好ましく、特に0.75〜1.2モル%が好ましい。
【0043】
本発明で使用することができる好ましい臭化ブチルゴムとしては、臭素化(イソブチレン−4−メチルスチレン共重合体)又は臭素化(イソブチレン−イソプレン共重合体)(いわゆる臭素化ブチルゴム)を挙げることができ、特に臭素化(イソブチレン−4−メチルスチレン共重合体)が好ましい。
【0044】
本発明の高圧ホースに使用するゴムとして、上記ゴム以外の通常の熱可塑性樹脂等のポリマーを併用しても良い。
【0045】
架橋(加硫)を行なうための架橋剤としては、種々の市販の化合物を使用することができる。
【0046】
硫黄系加硫剤としては、粉末硫黄、高分散性硫黄、不溶性硫黄等の、一般にゴム用加硫剤として用いられている硫黄、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム類、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリン塩、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸第二鉄、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオカルバミン酸塩類、ブチルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム等のキサントゲン酸塩類、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド類、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール類等を挙げることができる。
【0047】
また加硫促進剤として、TMTD(テトラメチルジスルフィド)等のチウラム系、EZ(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)等のジチオカルバミン酸塩類を使用することができる。
【0048】
架橋剤の使用量は、ゴムに対して0.5〜4.0質量%、特に1.0〜2.5質量%が好ましい。
【0049】
有機過酸化物として、例えば、過酸化水素水、クメンヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレラート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゼン、ビニルトリス(t−ブチルペルオキシ)シランなどを使用することができる。ジクミルペルオキシドが好ましい。使用量は、ゴムに対して、0.2〜8.0質量%、特に0.25〜4.0質量%、さらに0.3〜2.0質量%が好ましい。
【0050】
なお、ブチルゴムでは酸化亜鉛とステアリン酸等の高級脂肪酸と硫黄との併用が好ましく、またジエン系ゴムに関しては有機過酸化物が好ましい。
【0051】
また、臭化ブチルゴムの架橋(加硫)を行なうための架橋剤としては、一般に酸化亜鉛が使用され、必要により(例えば、他のゴム材料の使用の際)上述の種々の市販の化合物(例、硫黄、有機過酸化物)を使用することができる。またステアリン酸等の高級脂肪酸との併用が好ましい。
【0052】
また加硫促進剤として、TMTD(テトラメチルジスルフィド)等のチウラム系、EZ(ジエチルジチオカルバミン産亜鉛)等のジチオカルバミン酸塩類を使用することができる。
【0053】
さらに、これらと組み合わせて、有機過酸化物、キノンジオキシム、多官能性アクリルモノマー{例、トリメチロールエタントリアクリレート(TMETA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールエーテルヘキサアクリレート(DPEHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(DPEHA)、ジメチロールプロパンジアクリレート(TMPTA)、ステアリルアクリレート(SA)}、トリアジンチオールを用いることができる。
【0054】
架橋剤の使用量は、ゴムに対して0.05〜5.0質量%、特に0.1〜4.0質量%が好ましい。
【0055】
有機過酸化物の使用量は、ゴムに対して、0.1〜1.0質量%、特に0.1〜0.8質量%、さらに0.3〜0.5質量%が好ましい。
【0056】
本発明のゴム組成物は、一般にカーボンブラックを含んでいる。例えば、カーボンブラック標準品種であるSAF,ISAF,HAF、FEF、GPF、SRF(以上ゴム用ファーネス),MTカーボンブラック(熱分解カーボン)を挙げることができる。ゴムに対して一般に0.1〜80質量%、好ましくは0.1〜70質量%の量で使用される。
【0057】
さらに本発明の高圧ホースに使用するゴム組成物は、可塑剤を含んでもよい。また、汎用のゴム工業の配合で使用する、老化防止剤、加工助剤としてのオイル、樹脂、防着剤、シランカップリング剤などを併用することもできる。
【0058】
次に本発明の高圧ホースに使用するゴム組成物の製造方法を、例を挙げて説明する。
【0059】
先ず、層状鉱物フィラー、テトラメチルアンモニウム塩及びゴムを含むゴム組成物は以下のように作製される。
【0060】
本発明のテトラメチルアンモニウム塩で処理されたマイカ等の層状鉱物フィラーは、特開平9−87432号公報に記載の実施例の方法を参考にして製造することができる。本発明のゴム組成物は、例えば、これをゴム等と混合するか、或いは予めテトラメチルアンモニウム塩で混合処理された層状鉱物フィラーをゴム等と混合し、その後の適当な処理を行うことにより得られる。
【0061】
例えば、この処理又は混合処理された層状鉱物フィラーと、原料ゴムとを汎用の混練機、例えばブラベンダー型ミキサーに投入する。混練機の温度は、処理又は混合された層状鉱物フィラーがゴムに分散可能な温度に設定することが好ましく、一般に50〜160℃、好ましくは50〜120℃である。混練の時間も、層状鉱物フィラーがゴムに微分散可能な時間であればよく、一般に1〜15分間である。このような条件で混練し、ゴム組成物を得る。このゴム組成物を、適当な架橋剤及び/又は架橋促進剤をロールを用いて添加し、適当な条件下で架橋して架橋ゴム組成物を得るか、或いは架橋する必要がなければそのまま射出成形などの方法で成形する。
【0062】
また、層状鉱物フィラーを用いない、テトラメチルアンモニウム塩及びゴムを含むゴム組成物は以下のように作製される。
【0063】
例えば、テトラメチルアンモニウム塩と、原料ゴムとを汎用の混練機、例えばブラベンダー型ミキサーに投入する。混練機の温度は、テトラメチルアンモニウム塩がゴムに分散可能な温度に設定することが好ましく、一般に50〜160℃、好ましくは50〜120℃である。混練の時間も、一般に1〜15分間である。このような条件で混練し、ゴム組成物を得る。このゴム組成物を、適当な架橋剤及び/又は架橋促進剤をロールを用いて添加し、適当な条件下で架橋して架橋ゴム組成物を得るか、或いは架橋する必要がなければそのまま射出成形などの方法で成形する。
【0064】
これまで説明したゴム組成物を成形して、本発明の高圧ホースとすることができる。
【0065】
本発明の冷媒輸送用高圧ホースは、公知の方法で製造することができる。例えば、以下のように行うことができる。
【0066】
内管(内側ゴム層)押出機の先端に設けた高剛性のマンドレル上に、内側ゴム層を成形する。次いで、この内側ゴム層上に、スパイラル編み上げ機により、例えば4000d(デニール)のPET糸を20本スパイラルし、中間ゴム層を挿入後、更に同数のPET糸を逆方向にスパイラルし、補強層の形成を完了する。その表面に、押出機によりその表面に外側ゴム層を形成し、その後、適当な条件にて加硫し、マンドレルを抜き出し、高圧ホースを得る。
【0067】
本発明において中間層は、前記ゴム組成物から形成されるものでも良いが、一般にテトラメチルアンモニウム塩を含まないブチルゴム/ハロゲン化ブチルゴム組成物を含むものである。また外側ゴム層は、前記ゴム組成物から形成されるものでも良いが、一般に耐候性を付与するためにEPDM系(エチレンプロピレン系)ゴム組成物を含むものである。
【0068】
【実施例】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。本発明は実施例に限定されるものではない。
【0069】
実施例で使用される材料は以下の通りである。
(A)ゴム
Exxpro3745: 臭化ブチルゴム{臭化(イソブチレン−4−メチルスチレン共重合体)、臭素含有率1.2モル%;商品名Exxpro3745;エクソンケミカル(株)製}
【0070】
(B)アンモニウム塩
TMAC:テトラメチルアンモニウムクロリド{商品名TMAC100%結晶粉末;ライオン・アグゾ(株)製}
【0071】
(C)層状鉱物フィラー
マイカ: 非有機化合成マイカ{ソマシフME−100;コープケミカル(株)製}
モンモリロナイト: 商品名クニピア−F;クニミネ工業(株)製
【0072】
(D)カーボンブラック
カーボンブラック: 商品名シーストF;東海カーボン(株)製
【0073】
(E)架橋剤/架橋促進剤
促進剤TMTD: 商品名サンセラーTT−G;三新化学工業(株)製
ZnO: 商品名酸化亜鉛銀嶺SR;東邦亜鉛(株)製
【0074】
(F)添加剤
イルガノックス: フェノール系酸化防止剤{商品名イルガノックス1010;チバスペシャリティーケミカル社製}
アクチング: 商品名アクチングSL;吉富製薬(株)製
Si−69: 商品名Si−69;DEGUSSA社製
ステアリン酸
【0075】
(1)ゴム組成物及びシートの作製
表1に示す配合(単位:質量部)で、(A)ゴム、(B)アンモニウム塩、(C)層状鉱物フィラー、(D)カーボンブラック及び(F)添加剤を混合し、ブラベンダー型ミキサーを用いて120℃で約5分間攪拌し、均一な混合物を得た。
【0076】
得られた混合物に、上記(E)架橋剤/架橋促進剤をロールを用いて添加し、ゴム圧延用ロールを用いて圧延処理する。得られた圧延シートを表面が十分平滑なスラブシート用金型を用いて160℃、60分の条件下において架橋させ、1mm厚のスラブシートサンプルを得る。
【0077】
(2)冷媒輸送用高圧ホース
実施例1〜2及び比較例1で得られたゴム組成物を用いて、図1の構造を有する高圧ゴムホースを製造した。内側ゴム層は実施例1〜2及び比較例1で得られたゴム組成物を用い、補強層はPET繊維を用いた。
【0078】
内側ゴム層を、実施例1〜2及び比較例1で得られたゴム組成物を押出機を用いて押し出すことにより形成した。得られたチューブ状内側ゴム層は厚さ1.3mmであった。
【0079】
次いで得られたチューブ状内側ゴム層上に、補強層としてPET繊維(4000d(デニール))を合計40本スパイラルに編み上げた。
【0080】
上記補強層の外周に内側ゴム層と同じ組成の中間層を押出被覆した。上記と同様にこの内側ゴム層の外周に補強層を形成した。
【0081】
上記補強層の外周に外側ゴム層を押出被覆した(厚さ1.1mm)。
【0082】
以上のようにして冷媒輸送用高圧ホースを製造した。得られたホースの寸法は内径が10.0mm、外径が19.0mmであった。
【0083】
<評価方法>
気体遮蔽性(ガスバリヤ性)の評価
ホース内部の圧力が0.2MPaになるまでフロンR134aを充填し、その後90℃にて72時間経過するまでに透過したガス透過量(g/m・72h)を測定した。
【0084】
【表1】
【0085】
上記結果として以下のことがわかった。
【0086】
実施例1〜2の高圧ホースでは、ガス透過量が非常に小さく、比較例1の高圧ホースではガス透過量が実施例1〜2のそれよりも十倍程度大きかった。また実施例1〜2の高圧ホースは、十分な可撓性を有するものであった。
【0087】
すなわち、本発明の高圧ホースは、優れたガスバリヤ性(気体遮断性)を備えていた。そしてこの高圧ホースは、優れた可撓性と機械特性を示すと同時に、製造の容易なものであった。また水素、窒素、空気等の一般的な気体や水等の流体に対しても優れた遮断性を示した。
【0088】
【発明の効果】
本発明の高圧ホースでは、これに使用されるゴム組成物中に特定のアルキルアンモニウム塩であるテトラメチルアンモニウム塩を含んでいる。これにより、本発明の高圧ホースは、優れたガスバリヤ性、優れた冷媒遮断性(流体遮断性)と、優れた可撓性、機械特性とを備えている。またこのためカシメ等の作業性にも優れたものである。
【0089】
特に、層状鉱物フィラー及びゴムを含むゴム組成物にこれまで知られていない特定のアンモニウム化合物が導入された本発明の高圧ホースに使用されるゴム組成物は、機械的物性を低下させることなく非常に優れたガスバリヤ性を得ている。また、この化合物を用いることにより、マイカ等の層状鉱物フィラーを増量した場合でも、これに伴う粘度の上昇が小さいことから、高圧ホースの製造が容易になるだけでなく、高圧ホースに使用されるゴム組成物のフィラー量の設定に際しての自由度が向上し、様々な特性の高圧ホースの設計が容易になるとの利点も得られる。
【0090】
さらに、本発明の冷媒輸送用高圧ホース等の高圧ホースに使用されるゴム組成物は、テトラメチルアンモニウム塩及びゴム等を、通常の簡易な混練機で分散することにより得られるので、良好な生産性を有するものである。このため本発明の高圧ホースも高い生産性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷媒輸送用高圧ホースの代表的な構造の1例を示す斜視図である。
【図2】本発明の冷媒輸送用高圧ホースの代表的な構造の別の1例を示す斜視図である。
【図3】従来の冷媒輸送用高圧ホースの代表的な構造の1例を示す斜視図である。
【符号の説明】
11 管状の内側ゴム層
12a,12b 補強層
13 管状の中間ゴム層
14 外側ゴム層
15 管状の内管ゴム層
16 ナイロンガスバリヤ層
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車用クーラー等に有利に使用することができる冷媒輸送用高圧ホース等の高圧ホースに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用クーラーの配管等に使用される冷媒輸送用高圧ホースも、一般の高圧ホースと同様に管状の複数層から構成される。即ち、管状の内側ゴム層と、その上を覆う管状の繊維が、例えば螺旋状に巻かれた補強層、さらにその上を覆う管状の外側ゴム層の基本構成を有する。補強層は、求められる強度に応じて、複数層設けられ、その際補強層の間には一般に中間層が設けられる。そして、冷媒輸送用では、フロン等の冷媒の漏洩を防止するために、上記内側ゴム層の内側に更にポリアミド(ナイロン)からなるガスバリヤ層が設けられている(特開平7−171930号公報参照)。
【0003】
また、特開平11−159667号公報には、ナイロンからなるバリヤ層の代わりに有機化クレーと無水カルボキシル基を有する変性ブチルゴムとから成る内側ゴム層を含む冷媒輸送用ホース、更に内側ゴム層の内側にさらに有機化クレーとナイロンからなるガスバリヤ層を有する冷媒輸送用ホースが開示されている。これらのホースは振動吸収性、流体遮断性に優れたものであることが記載されている。この公報では、クレーのほかに使用できるフィラーとしてマイカも記載されているが具体的な配合、効果は示されていない。
【0004】
更に、特開2000−160024号公報には、クレー等の層状粘土鉱物とナイロン等の熱可塑性樹脂とのナノ複合体に、動的に架橋されたゴム層が分散した組成物の高圧ホースへの使用が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等の検討によれば、特開平7−171930号公報で使用され、また特開平11−159667号公報でも使用されているナイロンのガスバリヤ層を有する場合、ホース自体がこの層の存在のために硬くなり、ホース本来に求められるしなやかさが低下し、ホース取り付け時の操作の自由度が小さく取り付けし難いこと、またこの層を接着するための接着工程が増えること、さらにカークーラーの冷媒として使用されるポリアルキレングリコール類により劣化しやすく耐久性が充分でないこと等の問題がある、ことが判明した。一方、特開平11−159667号公報に記載の冷媒輸送用ホースであって上記ガスバリヤ層を設けない場合、有機化クレーと無水カルボキシル基を有する変性ブチルゴムを用いた内側ゴム層だけではガスバリア性が不十分であることが判明した。即ち、通常の混練機(バンバリーミキサー等)でゴム組成物を得ようとすると、クレー等の層状粘土物を超微分散状態にすることが困難であった。また、特開2000−160024号公報では、ナノ複合体自体がナイロンからなるものであるため、それ自体硬く、また層状粘土鉱物の分散性も充分でないことから、上記冷媒等の流体遮断性、可撓性が満足できるものではないことが明らかとなった。さらに、高圧ホースを作製するために、このナノ複合体の層とゴム組成物の層を複合化する際には接着剤が必要となり、製造が煩雑になるとの問題もある。
【0006】
本発明者等は、層状鉱物フィラーを用いたゴム組成物を用いて高いガスバリヤ性(低い気体透過率)を有する高圧ホースを得るために鋭意研究を重ねてきた。既に、本出願人は、層状鉱物フィラーを層間剥離させて、1枚1枚の層をゴム中に分散させる、ナノ分散技術を開発し、種々出願を行っている。即ち、層状鉱物フィラーをナノ分散させることにより、少量のフィラーを用いて優れたガスバリヤ性を有し、冷媒等の流体の透過(損失)が格段に低減された高圧ホースを開発した。
【0007】
例えば、本出願人の出願である特願2002−169964号明細書において、ジメチルアルキルアンモニウム塩で処理したマイカを用いた優れたガスバリヤ性を有する冷媒輸送用高圧ホースを記載している。即ち、前記特開平11−159667号公報に記載のアンモニウムイオンを用いた場合は、マイカをナノ分散させることが困難であったが、上記特定の化合物を用いることによりナノ分散を可能として優れた高圧ホースを開発したものである。
【0008】
尚、ナノ分散によるガスバリヤ性の向上の機構は、層状剥離した扁平フィラーがゴム中に相互に平行関係で高度に配向し、その結果、組成物中に無数の壁が形成され、この組成物を透過するガス分子が、その壁を迂回しながら拡散するため、見かけ上透過すべき組成物の厚さが増加した状態になるためとされている。このため、層状剥離した扁平フィラーの配向が不充分であったり、押出、複合化、架橋等の加工工程において、その配向が不均一となったり、破損した場合充分なガスバリヤ性が得られないと考えられる。
【0009】
層状鉱物フィラーを用いて高いガスバリヤ性を有し、冷媒等の流体の透過(損失)が格段に低減された高圧ホースを得るために、本発明者等がさらに検討したところ、前記特定のジメチルアルキルアンモニウム塩で処理したマイカを用いたゴム組成物を使用した場合であってもなお、ガスバリヤ性をさらに向上させようとした場合に、硬くなって、ゴムの可撓性が失われて、高圧ホースに望まれる機械特性が失われる場合があること、またマイカ等の層状鉱物フィラーを増量した場合に、粘度が過度に上昇して高圧ホースの作成が困難になる場合があることが明らかになった。
【0010】
本発明は、冷媒等の流体の透過(損失)が格段に低減され、且つ可撓性及び作業性に優れた、冷媒輸送等に好適な高圧ホースを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、冷媒等の流体の透過(損失)が格段に低減され、可撓性及び作業性に優れ、且つ容易に製造することができる、冷媒輸送等に好適な高圧ホースを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ガスバリヤ性、機械特性にも優れた高圧ホースを得るために鋭意検討を重ねてきた。その結果、層状鉱物フィラー及びゴムを含むゴム組成物にこれまで知られていない特定のアンモニウム化合物を導入した場合に、機械的物性を低下させることなく非常に優れたガスバリヤ性が得られることが明らかになった。しかも、この化合物を用いることにより、マイカ等の層状鉱物フィラーを増量した場合でも、これに伴う粘度の上昇が小さいとの驚くべき効果が得られることも明らかになった。これにより、高圧ホースの製造が容易になるだけでなく、ゴム組成物のフィラー量の設定に際しての自由度が向上し、様々な特性の高圧ホースの設計が容易になるとの利点も得られる。このような効果は、前記のガス分子の迂回拡散理論だけでは説明がつかないものである。
【0013】
上記知見を基に本発明者等がさらに検討を重ねたところ、層状鉱物フィラーを含まないゴム組成物、即ち上記特定のアンモニウム化合物とゴムとからなるゴム組成物を高圧ホースに使用した場合であっても、相当優れた機械的物性及びガスバリヤ性を示すことも明らかになった。この現象を説明する明確な機構は今のところ不明である。
【0014】
従って、本発明は、
ゴムとその中に含まれるテトラメチルアンモニウム塩とを含むゴム組成物から形成されている管状ゴム層を含む高圧ホース;及び
管状の内側ゴム層、その上を覆う管状の繊維の補強層、及びその上を覆う管状の外側ゴム層を含む高圧ホースにおいて、
少なくとも内側ゴム層が、ゴムとその中に含まれるテトラメチルアンモニウム塩とを含むゴム組成物から形成されていることを特徴とする高圧ホースにある。
【0015】
また、本発明は、さらに、
層状鉱物フィラーがゴム中に分散されてなるゴム組成物であって、さらにテトラメチルアンモニウム塩を含むゴム組成物から形成されている管状ゴム層を含む高圧ホース;及び
管状の内側ゴム層、その上を覆う管状の繊維の補強層、及びその上を覆う管状の外側ゴム層を含む高圧ホースにおいて、
少なくとも内側ゴム層が、ゴム、ゴム中に分散された層状鉱物フィラー及びテトラメチルアンモニウム塩を含むゴム組成物から形成されていることを特徴とする高圧ホース
にもあり、また、
テトラメチルアンモニウム塩で処理された層状鉱物フィラーが、ゴム中に分散されてなるゴム組成物から形成されている管状ゴム層を含む高圧ホース;及び
管状の内側ゴム層、その上を覆う管状の繊維の補強層、及びその上を覆う管状の外側ゴム層を含む高圧ホースにおいて、
少なくとも内側ゴム層が、テトラメチルアンモニウム塩で処理された層状鉱物フィラーが、ゴム中に分散されてなるゴム組成物から形成されていることを特徴とする高圧ホースにもある。
【0016】
上記高圧ホースの少なくとも内側ゴム層において、層状鉱物フィラーの層間にテトラメチルアンモニウムイオンが存在しているものが好ましく、層状鉱物フィラーとテトラメチルアンモニウムがイオン結合しているものが好ましい。
【0017】
テトラメチルアンモニウム塩は、分散されているものが好ましく、テトラメチルアンモニウムハロゲン化物であるものが好ましい。
【0018】
層状鉱物フィラーは、マイカ、タルク及びクレーから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0019】
ゴムは、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、天然ゴムから選択される少なくとも1種であるものが好ましく、特に、ハロゲン化ブチルゴムが好ましい。ハロゲン化ブチルゴムは、イソブチレンを主成分とする共重合体のハロゲン化物からなるものが好ましく、特臭素化(イソブチレン−4−メチルスチレン共重合体)が好ましい。
【0020】
また、ゴム組成物は架橋されているものが好ましい。
【0021】
層状鉱物フィラーはその長軸方向が、それを含む管状ゴム層の表面に対して平行に存在していることが好ましく、そのような管状ゴム層を含む高圧ホースが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の高圧ホースに使用するゴム組成物は、ゴム中に、テトラメチルアンモニウム塩が分散された基本構成を有する。この場合、さらに層状鉱物フィラーが分散されていることが好ましい。本発明では、これまで知られていない特定の4級アンモニウム塩であるテトラメチルアンモニウム塩をゴム中に分散させることによって、優れたガスバリヤ性及び機械特性を得ている。本発明では上記ゴム組成物が少なくとも内側ゴムに使用されている。
【0023】
本発明の高圧ホースに使用するゴム組成物に見られる優れたガスバリヤ性の特徴は、得られたゴム組成物のガスバリヤ性(気体透過率)の測定を開始してから平衡状態(ゴム組成物を通過するガスの単位時間当たりの量が一定値になる状態)になるまでの時間が、汎用のゴム組成物に比べて長いこと、及び平衡状態に達してもなお、従来のゴム配合物に比較して高いガスバリヤ性を維持することである。
【0024】
本発明の高圧ホースに使用するゴム組成物の優れた効果は、テトラメチルアンモニウム塩のみを含む場合にも得られるが、層状鉱物フィラーを併用した場合に特に有利である。層状鉱物フィラーを使用した場合、扁平フィラーがゴム中に相互に平行関係で配向していると考えられるが、機械特性(引張応力、引張強度、引張伸び)の低下がほとんど見られず、フィラー量を増大させてもゴムとしての可撓性をほとんど損なわないことから、ガスバリヤ性を大きく向上させる機構としては、扁平フィラーが超微分散しているためと言うよりも、むしろ扁平フィラーは適度な大きさで分散しているが、扁平フィラーがテトラメチルアンモニウム塩で処理されることによりガスを吸着する、或いは吸蔵する等の性質も寄与しているものと推測される。しかしながら、上記のように長期に亘り優れたガスバリヤ性を保持することから、上記の吸着、吸蔵以外の機構も寄与していると推定している。
【0025】
このゴム組成物を使用した本発明の高圧ホースは、可撓性等の機械特性に優れ、且つガスバリヤ性が高度に優れたものである。特にフロン、フレオン、ユーコン、ゲネトロン等のフッ化炭素等の冷媒に対して優れた遮断性を示すことに加えて、水素、窒素、空気等の一般的な気体や水等の流体に対しても優れた遮断性を示すため、これらの輸送用高圧ホースとしても適している。
【0026】
本発明の代表的な冷媒輸送用高圧ホースの構造の1例を図1に示す。管状の内側ゴム層11、その表面を覆う管状の繊維の補強層12a、その表面を覆う管状の中間ゴム層13、その表面を覆う管状の補強層12b、そしてその表面を覆う管状の外側ゴム層14から構成されている。内側ゴム層11は、ゴム、層状鉱物フィラー及びテトラメチルアンモニウム塩を含むゴム組成物から形成されている。ただし、層状鉱物フィラーは含まれていなくてもよい。中間ゴム層13は、前記ゴム組成物から形成されるものでも良いが、一般に層状鉱物フィラー及びテトラメチルアンモニウム塩を含有しないブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴム組成物を含むものである。
【0027】
図2に、上記図1の高圧ホースの内側ゴム層11の内側に、さらに管状の内管ゴム層15が設けられた、別の代表的な冷媒輸送用高圧ホースの構造の1例を示す。即ち、管状の内管ゴム層15、その表面を覆う管状の内側ゴム層11、その表面を覆う管状の繊維の補強層12a、その表面を覆う管状の中間ゴム層13、その表面を覆う管状の補強層12b、そしてその表面を覆う管状の外側ゴム層14から構成されている。内管ゴム層15は、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムから構成される。このゴムは、層状鉱物フィラー及びテトラメチルアンモニウム塩を含有していてもしていなくてもよい。
【0028】
図3に、ナイロン等のポリアミドを内層に適用した従来の冷媒輸送用高圧ホースを示す。管状のナイロンガスバリヤ層16、その表面を覆う管状の内管ゴム層15、その表面を覆う管状の繊維の補強層12a、その表面を覆う管状の中間ゴム層13、その表面を覆う管状の補強層12b、そしてその表面を覆う管状の外側ゴム層14から構成されている。これは従来の冷媒輸送用高圧ホースであるが、先に述べたようにホースとして硬く、可撓性が充分でなく、さらにはナイロンとゴムの接着処理、カシメ金具との接着処理等も必要とするものであった。
【0029】
本発明では、テトラメチルアンモニウム塩を含む、冷媒等の気体遮蔽性に優れたゴム組成物を内側ゴム層に用いているため、従来必要とされたナイロンのガスバリヤ層を設けなくても良いことから、可撓性に優れ、カシメ金具との接着処理等も必要としない高圧ホースを得ることができたものである。
【0030】
管状の繊維の補強層12a,12bは、一般に有機繊維の編組構造体である。有機繊維としてはビニロン、ポリエステル、ポリアミド、芳香族ポリアミド等を挙げることができる。これらの繊維をスパイラル状又はブレード状に編みあげたものが好ましい。これらの繊維は、一般に56〜778tex(500〜7000d)、特に222〜556tex(2000〜5000d)を有することが好ましい。
【0031】
本発明の内側ゴム層等を形成するゴム組成物は、一般に、テトラメチルアンモニウム塩及びゴム等を、又は層状鉱物フィラー、テトラメチルアンモニウム塩及びゴム等を、或いはテトラメチルアンモニウム塩で処理された層状鉱物フィラー及びゴム等を、バンバリー等のインターナルミキサー等の通常の混練機を用いて混合することによって得られるものであり、さらにこれに架橋剤を加えると、架橋ゴム組成物が得られる。
【0032】
本発明で使用される層状鉱物フィラーとしては、クレー、マイカ、カオリンクレー、タルク等を挙げることができ、中でも形状が扁平状であるクレー、マイカ、タルクが好ましい。層状鉱物フィラーの平均粒径20μm以下、さらに0.1〜15μmの範囲、特に0.1〜8μmが好ましい。
【0033】
クレーとは、一般に、1種あるいは2種以上の粘土鉱物からなる平均粒径20μm以下、さらに0.1〜15μmの範囲、特に0.1〜8μmの微細な粒子である。粘土鉱物とは、微細な層状ケイ酸塩であり、Si4+イオンが酸化物イオン(O2−)に対して4配位をとる4面体が構成する層と、Al3+、Fe2+、Fe3+、Mg2+などのイオンがO2−および水酸化物イオン(OH−)に対して6配位をとる8面体層とが1:1あるいは2:1で結合し、さらにそれらが積み重なって層状構造を構成するものが、一般的である。粘土鉱物としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、モンモリロナイト、ゼオライト、バーミキュライトなどを挙げることができる。
【0034】
マイカ(雲母)は、完全な基底劈開により特徴付けられる斜晶系層状珪酸塩であり、複雑なアルミノケイ酸カリウムであり、その一般化学組成式はXY2〜3Zn4O10(OH、F)2[但し、XがBa、Ca、(H3O)、K、Na、(NH4)を表し、YがAl、Cr3+、Fe2+、Fe3+、Li、Mg、Mn2+、V3+を表し、ZがAl、Be、Fe、Siを表す]で表される。マイカの平均粒径は平均粒径20μm以下、さらに0.1〜15μmの範囲、特に0.1〜8μmが好ましい。
【0035】
タルクは、ケイ酸マグネシウムで、一般にMg2Si4O10(OH)2で表される。
【0036】
上記層状鉱物フィラーの添加量は、ゴムに対して5〜200質量%、特に10〜150質量%、さらに20〜130質量%が好ましい。フィラーの量が5質量%より少ないと、気体遮蔽性の効果が充分に得られず、200質量%より多いと、分散が困難となり好ましくない。
【0037】
上記層状鉱物フィラーに加えて他の無機フィラーを使用しても良い、その例としては、カオリン、炭酸カルシウム、シリカ等を挙げることができる。
【0038】
本発明の特徴的要件は、前記のように、ゴム中にテトラメチルアンモニウム塩が含まれていること;或いは、テトラメチルアンモニウム塩で処理された層状鉱物フィラーがゴム中に含まれていることである。テトラメチルアンモニウム塩は、テトラメチルアンモニウムハロゲン化物(特に、クロリド、ブロミド)であることが好ましい。また、テトラメチルアンモニウム塩の層状鉱物フィラーに対する添加量は、一般に層状鉱物フィラーに対して、0.1〜50質量%であり、0.5〜50質量%、さらに0.5〜30質量%、特に1〜30質量%が好ましい。
【0039】
本発明で使用されるゴム(ゴム又はゴムラテックス)は、例えば天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴムラテックス、シリコーンゴムラテックス、ウレタンゴムラテックスが挙げられる。アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルのブレンド、ブチルゴム及びハロゲン化ブチルゴムが好ましい。これらは、単独でも、混合物としても使用することができる。特に、ハロゲン化ブチルゴムが好ましい。
【0040】
上記ハロゲン化ブチルゴムは、イソブチレンを主体とする他のモノマーとの共重合体で、ハロゲン化されたものである。他のモノマーとしては、一般に炭素炭素2重結合を1個又は2個有する炭化水素である。炭素炭素2重結合を1個有する炭化水素としては、エチレン、プロペン、ブテン、ヘキセン、スチレン、アルキルスチレン(例、4−メチルスチレン)等を挙げることができ、炭素炭素2重結合を2個有する炭化水素としては、イソプレン、ブタジエン等を挙げることができる。共重合体のイソプレンの割合は、80〜99モル%が好ましく、特に90〜99モル%が好ましい。ハロゲン化は一般に他のモノマー単位に対してなされる。ハロゲン化を行う際のハロゲンとしては塩素、臭素が好ましい。例えば、イソブチレン・イソプレン共重合体を塩素化した場合、イソブチレン・クロロイソプレン共重合体となる。ハロゲン化ゴム中のハロゲン含有量は、0.5〜1.5モル%が好ましく、特に0.75〜1.2モル%が好ましい。
【0041】
本発明で使用することができる塩素化ブチルゴムとしては、塩素化(イソブチレン・イソプレン共重合体)(いわゆる塩素化ブチルゴム)又は塩素化(イソブチレン−4−メチルスチレン共重合体)を挙げることができ、特に塩素化(イソブチレン・イソプレン共重合体)が好ましい。
【0042】
本発明で使用することができる臭化ブチルゴムは、イソブチレンを主体とする他のモノマーとの共重合体で、臭素化されたものである。前記ハロゲン化ブチルゴムで述べたように、他のモノマーとしては、一般に炭素炭素2重結合を1個又は2個有する炭化水素である。炭素炭素2重結合を1個有する炭化水素としては、エチレン、プロペン、ブテン、ヘキセン、スチレン、アルキルスチレン(例、4−メチルスチレン)等を挙げることができ、炭素炭素2重結合を2個有する炭化水素としては、イソプレン、アルキルスチレン等を挙げることができる。共重合体のイソブチレンの割合は、80〜99モル%が好ましく、特に90〜99モル%が好ましい。臭化ゴム中の臭素含有量は、0.5〜1.5モル%が好ましく、特に0.75〜1.2モル%が好ましい。
【0043】
本発明で使用することができる好ましい臭化ブチルゴムとしては、臭素化(イソブチレン−4−メチルスチレン共重合体)又は臭素化(イソブチレン−イソプレン共重合体)(いわゆる臭素化ブチルゴム)を挙げることができ、特に臭素化(イソブチレン−4−メチルスチレン共重合体)が好ましい。
【0044】
本発明の高圧ホースに使用するゴムとして、上記ゴム以外の通常の熱可塑性樹脂等のポリマーを併用しても良い。
【0045】
架橋(加硫)を行なうための架橋剤としては、種々の市販の化合物を使用することができる。
【0046】
硫黄系加硫剤としては、粉末硫黄、高分散性硫黄、不溶性硫黄等の、一般にゴム用加硫剤として用いられている硫黄、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム類、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリン塩、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸第二鉄、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオカルバミン酸塩類、ブチルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム等のキサントゲン酸塩類、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド類、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール類等を挙げることができる。
【0047】
また加硫促進剤として、TMTD(テトラメチルジスルフィド)等のチウラム系、EZ(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)等のジチオカルバミン酸塩類を使用することができる。
【0048】
架橋剤の使用量は、ゴムに対して0.5〜4.0質量%、特に1.0〜2.5質量%が好ましい。
【0049】
有機過酸化物として、例えば、過酸化水素水、クメンヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレラート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゼン、ビニルトリス(t−ブチルペルオキシ)シランなどを使用することができる。ジクミルペルオキシドが好ましい。使用量は、ゴムに対して、0.2〜8.0質量%、特に0.25〜4.0質量%、さらに0.3〜2.0質量%が好ましい。
【0050】
なお、ブチルゴムでは酸化亜鉛とステアリン酸等の高級脂肪酸と硫黄との併用が好ましく、またジエン系ゴムに関しては有機過酸化物が好ましい。
【0051】
また、臭化ブチルゴムの架橋(加硫)を行なうための架橋剤としては、一般に酸化亜鉛が使用され、必要により(例えば、他のゴム材料の使用の際)上述の種々の市販の化合物(例、硫黄、有機過酸化物)を使用することができる。またステアリン酸等の高級脂肪酸との併用が好ましい。
【0052】
また加硫促進剤として、TMTD(テトラメチルジスルフィド)等のチウラム系、EZ(ジエチルジチオカルバミン産亜鉛)等のジチオカルバミン酸塩類を使用することができる。
【0053】
さらに、これらと組み合わせて、有機過酸化物、キノンジオキシム、多官能性アクリルモノマー{例、トリメチロールエタントリアクリレート(TMETA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールエーテルヘキサアクリレート(DPEHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(DPEHA)、ジメチロールプロパンジアクリレート(TMPTA)、ステアリルアクリレート(SA)}、トリアジンチオールを用いることができる。
【0054】
架橋剤の使用量は、ゴムに対して0.05〜5.0質量%、特に0.1〜4.0質量%が好ましい。
【0055】
有機過酸化物の使用量は、ゴムに対して、0.1〜1.0質量%、特に0.1〜0.8質量%、さらに0.3〜0.5質量%が好ましい。
【0056】
本発明のゴム組成物は、一般にカーボンブラックを含んでいる。例えば、カーボンブラック標準品種であるSAF,ISAF,HAF、FEF、GPF、SRF(以上ゴム用ファーネス),MTカーボンブラック(熱分解カーボン)を挙げることができる。ゴムに対して一般に0.1〜80質量%、好ましくは0.1〜70質量%の量で使用される。
【0057】
さらに本発明の高圧ホースに使用するゴム組成物は、可塑剤を含んでもよい。また、汎用のゴム工業の配合で使用する、老化防止剤、加工助剤としてのオイル、樹脂、防着剤、シランカップリング剤などを併用することもできる。
【0058】
次に本発明の高圧ホースに使用するゴム組成物の製造方法を、例を挙げて説明する。
【0059】
先ず、層状鉱物フィラー、テトラメチルアンモニウム塩及びゴムを含むゴム組成物は以下のように作製される。
【0060】
本発明のテトラメチルアンモニウム塩で処理されたマイカ等の層状鉱物フィラーは、特開平9−87432号公報に記載の実施例の方法を参考にして製造することができる。本発明のゴム組成物は、例えば、これをゴム等と混合するか、或いは予めテトラメチルアンモニウム塩で混合処理された層状鉱物フィラーをゴム等と混合し、その後の適当な処理を行うことにより得られる。
【0061】
例えば、この処理又は混合処理された層状鉱物フィラーと、原料ゴムとを汎用の混練機、例えばブラベンダー型ミキサーに投入する。混練機の温度は、処理又は混合された層状鉱物フィラーがゴムに分散可能な温度に設定することが好ましく、一般に50〜160℃、好ましくは50〜120℃である。混練の時間も、層状鉱物フィラーがゴムに微分散可能な時間であればよく、一般に1〜15分間である。このような条件で混練し、ゴム組成物を得る。このゴム組成物を、適当な架橋剤及び/又は架橋促進剤をロールを用いて添加し、適当な条件下で架橋して架橋ゴム組成物を得るか、或いは架橋する必要がなければそのまま射出成形などの方法で成形する。
【0062】
また、層状鉱物フィラーを用いない、テトラメチルアンモニウム塩及びゴムを含むゴム組成物は以下のように作製される。
【0063】
例えば、テトラメチルアンモニウム塩と、原料ゴムとを汎用の混練機、例えばブラベンダー型ミキサーに投入する。混練機の温度は、テトラメチルアンモニウム塩がゴムに分散可能な温度に設定することが好ましく、一般に50〜160℃、好ましくは50〜120℃である。混練の時間も、一般に1〜15分間である。このような条件で混練し、ゴム組成物を得る。このゴム組成物を、適当な架橋剤及び/又は架橋促進剤をロールを用いて添加し、適当な条件下で架橋して架橋ゴム組成物を得るか、或いは架橋する必要がなければそのまま射出成形などの方法で成形する。
【0064】
これまで説明したゴム組成物を成形して、本発明の高圧ホースとすることができる。
【0065】
本発明の冷媒輸送用高圧ホースは、公知の方法で製造することができる。例えば、以下のように行うことができる。
【0066】
内管(内側ゴム層)押出機の先端に設けた高剛性のマンドレル上に、内側ゴム層を成形する。次いで、この内側ゴム層上に、スパイラル編み上げ機により、例えば4000d(デニール)のPET糸を20本スパイラルし、中間ゴム層を挿入後、更に同数のPET糸を逆方向にスパイラルし、補強層の形成を完了する。その表面に、押出機によりその表面に外側ゴム層を形成し、その後、適当な条件にて加硫し、マンドレルを抜き出し、高圧ホースを得る。
【0067】
本発明において中間層は、前記ゴム組成物から形成されるものでも良いが、一般にテトラメチルアンモニウム塩を含まないブチルゴム/ハロゲン化ブチルゴム組成物を含むものである。また外側ゴム層は、前記ゴム組成物から形成されるものでも良いが、一般に耐候性を付与するためにEPDM系(エチレンプロピレン系)ゴム組成物を含むものである。
【0068】
【実施例】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。本発明は実施例に限定されるものではない。
【0069】
実施例で使用される材料は以下の通りである。
(A)ゴム
Exxpro3745: 臭化ブチルゴム{臭化(イソブチレン−4−メチルスチレン共重合体)、臭素含有率1.2モル%;商品名Exxpro3745;エクソンケミカル(株)製}
【0070】
(B)アンモニウム塩
TMAC:テトラメチルアンモニウムクロリド{商品名TMAC100%結晶粉末;ライオン・アグゾ(株)製}
【0071】
(C)層状鉱物フィラー
マイカ: 非有機化合成マイカ{ソマシフME−100;コープケミカル(株)製}
モンモリロナイト: 商品名クニピア−F;クニミネ工業(株)製
【0072】
(D)カーボンブラック
カーボンブラック: 商品名シーストF;東海カーボン(株)製
【0073】
(E)架橋剤/架橋促進剤
促進剤TMTD: 商品名サンセラーTT−G;三新化学工業(株)製
ZnO: 商品名酸化亜鉛銀嶺SR;東邦亜鉛(株)製
【0074】
(F)添加剤
イルガノックス: フェノール系酸化防止剤{商品名イルガノックス1010;チバスペシャリティーケミカル社製}
アクチング: 商品名アクチングSL;吉富製薬(株)製
Si−69: 商品名Si−69;DEGUSSA社製
ステアリン酸
【0075】
(1)ゴム組成物及びシートの作製
表1に示す配合(単位:質量部)で、(A)ゴム、(B)アンモニウム塩、(C)層状鉱物フィラー、(D)カーボンブラック及び(F)添加剤を混合し、ブラベンダー型ミキサーを用いて120℃で約5分間攪拌し、均一な混合物を得た。
【0076】
得られた混合物に、上記(E)架橋剤/架橋促進剤をロールを用いて添加し、ゴム圧延用ロールを用いて圧延処理する。得られた圧延シートを表面が十分平滑なスラブシート用金型を用いて160℃、60分の条件下において架橋させ、1mm厚のスラブシートサンプルを得る。
【0077】
(2)冷媒輸送用高圧ホース
実施例1〜2及び比較例1で得られたゴム組成物を用いて、図1の構造を有する高圧ゴムホースを製造した。内側ゴム層は実施例1〜2及び比較例1で得られたゴム組成物を用い、補強層はPET繊維を用いた。
【0078】
内側ゴム層を、実施例1〜2及び比較例1で得られたゴム組成物を押出機を用いて押し出すことにより形成した。得られたチューブ状内側ゴム層は厚さ1.3mmであった。
【0079】
次いで得られたチューブ状内側ゴム層上に、補強層としてPET繊維(4000d(デニール))を合計40本スパイラルに編み上げた。
【0080】
上記補強層の外周に内側ゴム層と同じ組成の中間層を押出被覆した。上記と同様にこの内側ゴム層の外周に補強層を形成した。
【0081】
上記補強層の外周に外側ゴム層を押出被覆した(厚さ1.1mm)。
【0082】
以上のようにして冷媒輸送用高圧ホースを製造した。得られたホースの寸法は内径が10.0mm、外径が19.0mmであった。
【0083】
<評価方法>
気体遮蔽性(ガスバリヤ性)の評価
ホース内部の圧力が0.2MPaになるまでフロンR134aを充填し、その後90℃にて72時間経過するまでに透過したガス透過量(g/m・72h)を測定した。
【0084】
【表1】
【0085】
上記結果として以下のことがわかった。
【0086】
実施例1〜2の高圧ホースでは、ガス透過量が非常に小さく、比較例1の高圧ホースではガス透過量が実施例1〜2のそれよりも十倍程度大きかった。また実施例1〜2の高圧ホースは、十分な可撓性を有するものであった。
【0087】
すなわち、本発明の高圧ホースは、優れたガスバリヤ性(気体遮断性)を備えていた。そしてこの高圧ホースは、優れた可撓性と機械特性を示すと同時に、製造の容易なものであった。また水素、窒素、空気等の一般的な気体や水等の流体に対しても優れた遮断性を示した。
【0088】
【発明の効果】
本発明の高圧ホースでは、これに使用されるゴム組成物中に特定のアルキルアンモニウム塩であるテトラメチルアンモニウム塩を含んでいる。これにより、本発明の高圧ホースは、優れたガスバリヤ性、優れた冷媒遮断性(流体遮断性)と、優れた可撓性、機械特性とを備えている。またこのためカシメ等の作業性にも優れたものである。
【0089】
特に、層状鉱物フィラー及びゴムを含むゴム組成物にこれまで知られていない特定のアンモニウム化合物が導入された本発明の高圧ホースに使用されるゴム組成物は、機械的物性を低下させることなく非常に優れたガスバリヤ性を得ている。また、この化合物を用いることにより、マイカ等の層状鉱物フィラーを増量した場合でも、これに伴う粘度の上昇が小さいことから、高圧ホースの製造が容易になるだけでなく、高圧ホースに使用されるゴム組成物のフィラー量の設定に際しての自由度が向上し、様々な特性の高圧ホースの設計が容易になるとの利点も得られる。
【0090】
さらに、本発明の冷媒輸送用高圧ホース等の高圧ホースに使用されるゴム組成物は、テトラメチルアンモニウム塩及びゴム等を、通常の簡易な混練機で分散することにより得られるので、良好な生産性を有するものである。このため本発明の高圧ホースも高い生産性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷媒輸送用高圧ホースの代表的な構造の1例を示す斜視図である。
【図2】本発明の冷媒輸送用高圧ホースの代表的な構造の別の1例を示す斜視図である。
【図3】従来の冷媒輸送用高圧ホースの代表的な構造の1例を示す斜視図である。
【符号の説明】
11 管状の内側ゴム層
12a,12b 補強層
13 管状の中間ゴム層
14 外側ゴム層
15 管状の内管ゴム層
16 ナイロンガスバリヤ層
Claims (16)
- ゴムとその中に含まれるテトラメチルアンモニウム塩とを含むゴム組成物から形成されている管状ゴム層を含む高圧ホース。
- 管状の内側ゴム層、その上を覆う管状の繊維の補強層、及びその上を覆う管状の外側ゴム層を含む高圧ホースにおいて、
少なくとも内側ゴム層が、ゴムとその中に含まれるテトラメチルアンモニウム塩とを含むゴム組成物から形成されていることを特徴とする高圧ホース。 - 層状鉱物フィラーがゴム中に分散されてなるゴム組成物であって、さらにテトラメチルアンモニウム塩を含むゴム組成物から形成されている管状ゴム層を含む高圧ホース。
- 管状の内側ゴム層、その上を覆う管状の繊維の補強層、及びその上を覆う管状の外側ゴム層を含む高圧ホースにおいて、
少なくとも内側ゴム層が、ゴム、ゴム中に分散された層状鉱物フィラー及びテトラメチルアンモニウム塩を含むゴム組成物から形成されていることを特徴とする高圧ホース。 - テトラメチルアンモニウム塩で処理された層状鉱物フィラーが、ゴム中に分散されてなるゴム組成物から形成されている管状ゴム層を含む高圧ホース。
- 管状の内側ゴム層、その上を覆う管状の繊維の補強層、及びその上を覆う管状の外側ゴム層を含む高圧ホースにおいて、
少なくとも内側ゴム層が、テトラメチルアンモニウム塩で処理された層状鉱物フィラーが、ゴム中に分散されてなるゴム組成物から形成されていることを特徴とする高圧ホース。 - 層状鉱物フィラーの層間にテトラメチルアンモニウムイオンが存在している請求項3〜6のいずれかに記載の高圧ホース。
- 層状鉱物フィラーとテトラメチルアンモニウムがイオン結合している請求項3〜7のいずれかに記載の高圧ホース。
- テトラメチルアンモニウム塩が分散されている請求項1〜8のいずれかに記載の高圧ホース。
- テトラメチルアンモニウム塩が、テトラメチルアンモニウムハロゲン化物である請求項1〜9のいずれかに記載の高圧ホース。
- 層状鉱物フィラーが、マイカ、タルク及びクレーから選択される少なくとも1種である請求項3〜10のいずれかに記載の高圧ホース。
- ゴムが、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、天然ゴムから選択される少なくとも1種である請求項1〜11のいずれかに記載の高圧ホース。
- ハロゲン化ブチルゴムが、イソブチレンを主成分とする共重合体のハロゲン化物からなる請求項12に記載の高圧ホース。
- ハロゲン化ブチルゴムが、臭素化(イソブチレン−4−メチルスチレン共重合体)である請求項13に記載の高圧ホース。
- ゴム組成物が架橋されている請求項1〜14のいずれかに記載の高圧ホース。
- 層状鉱物フィラーの長軸方向が、それを含む管状ゴム層の表面に対して平行に存在している管状ゴム層を含む請求項3〜15のいずれかに記載の高圧ホース。
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