JP4300000B2 - ゴム組成物及び高圧ホース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車用クーラ等に有利に使用することができる冷媒輸送用高圧ホース等の高圧ホース及びこれに有利に使用することができるゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用クーラーの配管等に使用される冷媒輸送用高圧ホースも、一般の高圧ホースと同様に管状の複数層から構成される。即ち、管状の内側ゴム層と、その上を覆う管状の繊維が、例えば螺旋状に巻かれた補強層、さらにその上を覆う管状の外側ゴム層の基本構成を有する。補強層は、求められる強度に応じて、複数層設けられ、その際補強層の間には一般に中間層が設けられる。そして、冷媒輸送用では、フロン等の冷媒の漏洩を防止するために、上記内側ゴム層の内側に更にポリアミド(ナイロン)からなるガスバリヤ層が設けられている(特開平7−171930号公報参照)。
【0003】
一方、特開平11−159667号公報には、ナイロンからなるバリヤ層の代わりに有機化クレーと無水カルボキシル基を有する変性ブチルゴムとから成る内側ゴム層を含む冷媒輸送用ホース、更に内側ゴム層の内側にさらに有機化クレーとナイロンからなるガスバリヤ層を有する冷媒輸送用ホースが開示されている。これらのホースは振動吸収性、流体遮断性に優れたものであることが記載されている。この公報では、クレーのほかに使用できるフィラーとしてマイカも記載されているが具体的な配合、効果は示されていない。
【0004】
更に、特開2000−160024号公報には、クレー等の層状粘土鉱物とナイロン等の熱可塑性樹脂とのナノ複合体に、動的に架橋されたゴム層が分散した組成物の高圧ホースへの使用が開示されている。しかしながら、ナノ複合体自体がナイロンからなるものであるため、それ自体硬く、また層状粘土鉱物の分散性も充分でない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等の検討によれば、特開平11−159667号公報でも使用されているナイロンのガスバリヤ層を有する場合、ホース自体がこの層の存在のために硬くなり、ホース本来に求められるしなやかさが低下し、ホース取り付け時の操作の自由度が小さく取り付けし難いこと、またこの層を接着するための接着工程が増えること、さらにカークーラーの冷媒として使用されるポリアルキレングリコール類により劣化しやすく耐久性が充分でないこと等の問題がある、ことが判明した。また、特開2000−160024号公報では、ナノ複合体自体がナイロンからなるものであるため、それ自体硬く、また層状粘土鉱物の分散性も充分でないことから、上記冷媒等の流体遮断性、可撓性が満足できるものではないことが明らかとなった。また、高圧ホースを作製するために、このナノ複合体の層とゴム組成物の層を複合化する際には接着剤が必要となり、製造が煩雑になるとの問題もある。
【0006】
本発明は、冷媒等の流体の透過(損失)が格段に低減され且つ容易に製造することができるゴム組成物を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、冷媒等の流体の透過(損失)が格段に低減され且つ容易に製造することができる、冷媒輸送用に好適な高圧ホースを提供することを目的とする。
【0008】
さらに、本発明は、冷媒等の流体の透過(損失)が格段に低減され、且つ可撓性及び作業性に優れたゴム組成物を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、冷媒等の流体透過(損失)が格段に低減され、且つ可撓性及び作業性に優れた、冷媒輸送用に好適な高圧ホースを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、層状粘土鉱物フィラーが、ゴムマトリックス中に分散されてなるゴム組成物であって、ナイロンがゴムマトリックス中に分散され、且つ層状粘土鉱物フィラーが、ゴムに対して10〜50質量%含まれていることを特徴とするゴム組成物にある。
【0011】
上記ゴム組成物において、ナイロンが帯片状及び/又は粒状でゴムマトリックス中に分散されていることが好ましい。層状粘土鉱物フィラーが、クレー又はマイカ、特に有機化マイカが好ましい。有機化マイカが、アルキルアンモニウム塩で処理されたマイカであり、アルキルアンモニウム塩が、ジメチルジアルキルアンモニウム塩であることが好ましい。或いは層状粘土鉱物フィラーが、水溶性アミノシラン系カップリング剤で処理されたクレーであることが好ましい。
【0012】
上記ゴムが、イソブチレンを主成分とする共重合体の臭素化物であることが好ましい(共重合体は臭化モノマーを用いても、重合後臭素化してもよい)。特に臭化(イソブチレン−4−メチルスチレン共重合体)等の臭化(イソブチレン−アルキルスチレン共重合体)が好ましい。
【0013】
ナイロンはゴムに対して5〜30質量%含まれていることが好ましい。また、本発明のゴム組成物では、層状粘土鉱物フィラーがゴム中に含まれ、ナイロン中には実質的に含まれていないのが一般的である。さらに上記組成物は架橋していることが好ましい。
【0014】
本発明は、上述のゴム組成物から形成された管状ゴム層を含むことを特徴とする高圧ホース;及び
管状の内側ゴム層、その上を覆う管状の繊維の補強層、及びその上を覆う管状の外側ゴム層を含む高圧ホースにおいて、
少なくとも内側ゴム層が、上述のゴム組成物から形成されていることを特徴とする高圧ホースにもある。
【0015】
上記高圧ホースにおいて、層状粘土鉱物フィラーの長軸方向、及び帯状及び/又は粒状のナイロンの長軸方向が、ゴム層表面に対して平行に存在することが好ましい。
【0016】
尚、前記有機化マイカの表面の有機化処理量が、80ミリ当量(meq)/100gであることが好ましい。尚、この有機化マイカの表面の有機化処理量は、マイカに存在する無機カチオンをアンモニウム塩等の有機カチオンで交換した時の、マイカ100g当たりの有機カチオンで交換されたカチオンの当量数である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明ゴム組成物は、層状粘土鉱物フィラーが、ゴムマトリックス中に分散され、さらにナイロンがそのゴムマトリックス中に分散されているものである。本発明のゴム組成物は、層状粘土鉱物フィラーをゴム中に分散させているため、分散が容易であり且つフィラーが鱗片状に微分散していることから、可撓性を有しながら流体遮蔽性に優れている。この組成物中に混入されているナイロンは層状粘土鉱物フィラーを実質的に含んでおらず、ナイロンにフィラーを分散させる必要はないが、ナイロン特有の流体遮蔽性を示すものである。従って、本発明のゴム組成物は、可撓性を有しながら、高度な流体遮蔽性を実現している。このため、使用する層状粘土鉱物フィラーの量を減らすことも、また分散性の劣るフィラー等の材料を使用することも、或いは分散剤の使用しないこと又は分散剤の種類、量の変更が可能となるため、ゴム組成物の配合の自由度が極めて大きくなっている。
【0018】
本発明の冷媒輸送用等の高圧ホースに使用することができるゴム組成物は、上記のように層状粘土鉱物フィラーとナイロン帯片又は粉末とがゴム中に分散しており、且つ前記フィラは鱗片状に超微分散されている。即ち、本発明者の特定の組成のゴム組成物は、原料のゴム、フィラー、ナイロン及びその他の材料を、通常の混練機であるバンバリー等のインターナルミキサーにより簡易に混練して分散させることができる。この時フィラーはゴム中に微分散され、そしてナイロンはゴム中に粗分散される(ナイロンは後で混練しても良い)。従って、本発明のゴム組成物では、上記のように、層状粘土鉱物フィラーが極めて微細な鱗片状粒子として分散されており、このため気体分子はこの微細で多数の鱗片状粒子に幾度と無く衝突するため、このマイカ含有ゴム組成物の層(例えば内側ゴム層)を簡単に透過することができない。更に帯片状及び/又は粒状のナイロンによる遮蔽効果も絶大である。したがって、本発明のゴム組成物から形成されるゴム層は、気体遮蔽性が高度に優れたものである。そして特にフロン、フレオン、ユーコン、ゲネトロン等のフッ化炭素等の冷媒に対して優れた遮蔽性を示す。
【0019】
本発明の代表的な冷媒輸送用の高圧ホースの構造の1例を図1に示す。管状の内側ゴム層11、その表面を覆う管状の繊維の補強層12a、その表面を覆う管状の中間ゴム層13、その表面を覆う管状の補強層12b、そしてその表面を覆う管状の外側ゴム層14から構成されている。内側ゴム層11は、層状粘土鉱物フィラーがゴムマトリックス中に分散され、さらにナイロンがそのゴムマトリックス中に分散されたゴム組成物から形成されている。中間ゴム層13は、前記ゴム組成物から形成されるものでも良いが、一般に層状粘土鉱物フィラーを含まないブチルゴム/ハロゲン化ブチルゴム組成物を含むものである。中間ゴム層13および補強層12bは設けなくても良い。
【0020】
図2に、上記図1の高圧ホースの内側ゴム層11の内側に、さらに管状の内管ゴム層15が設けられた、別の代表的な冷媒輸送用高圧ホースの構造の1例を示す。即ち、管状の内管ゴム層15、その表面を覆う管状の内側ゴム層11、その表面を覆う管状の繊維の補強層12a、その表面を覆う管状の中間ゴム層13、その表面を覆う管状の補強層12b、そしてその表面を覆う管状の外側ゴム層14から構成されている。内管ゴム層15は、層状粘土鉱物フィラーを含んでも、含まなくても良いブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムから構成される。
【0021】
図3に、ナイロン等のポリアミドを内層に適用した従来の冷媒輸送用高圧ホースを示す。管状のナイロンガスバリヤ層16、その表面を覆う管状の内管ゴム層15、その表面を覆う管状の繊維の補強層12a、その表面を覆う管状の中間ゴム層13、その表面を覆う管状の補強層12b、そしてその表面を覆う管状の外側ゴム層14から構成されている。これは従来の冷媒輸送用高圧ホースであるが、先に述べたようにホースとして硬く、可撓性が充分でなく、さらにはナイロンとゴムの接着処理、カシメ金具との接着処理等も必要とするものであった。
【0022】
上記管状の繊維の補強層12a,12bは、一般に有機繊維の編組構造体である。有機繊維としてはビニロン、ポリエステル、ポリアミド、芳香族ポリアミド等を挙げることができる。これらの繊維をスパイラル状又はブレード状に編みあげたものが好ましい。これらの繊維は、一般に56〜778tex(500〜7000d)、特に222〜556tex(2000〜5000d)を有することが好ましい。
【0023】
本発明では、形状が鱗片状である層状粘土鉱物フィラー(好ましくは有機化マイカ)がゴムマトリックス中に超微細に分散し、且つナイロン粒子も粗分散した、冷媒等の気体遮蔽性に優れたゴム組成物を内側ゴム層に用いているため、従来必要とされたナイロンのガスバリヤ層を設けなくても良いことから、可撓性に優れ、カシメ金具との接着処理等も必要としない高圧ホースを得ることができたものである。
【0024】
本発明のゴム組成物の上記ゴム層中における分散状態を下記の図4及び図5に示す。図4及び図5には、本発明のゴム組成物から形成されたゴム層の断面図が示されている。
【0025】
図4において、ゴムマトリックス47中に、層状粘土鉱物フィラー48が鱗片状に且つフィラーの長軸が層表面に平行となるように分散し、更に帯片状のナイロン49がその長軸が層表面に平行となるように分散している。したがって、このゴム層の表面から侵入した気体は、層状粘土鉱物フィラー48および帯片状のナイロン49に衝突し、容易に層を通り抜けることができない。ナイロンを帯片状に分散させるには、例えばナイロンの融点より少し低い温度で、比較的短時間混練し、そして最終的に圧延押出することにより得られる。この圧延押出により、層状粘土鉱物フィラー48及びナイロンの長軸が共に層表面に平行に配列すると考えられる。
【0026】
図5において、ゴムマトリックス57中に、層状粘土鉱物フィラー58が鱗片状に且つフィラーの長軸が層表面に平行となるように分散し、更に粒状のナイロン59がその長軸が層表面に平行となるように分散している。したがって、このゴム層の表面から侵入した気体は、層状粘土鉱物フィラー58および粒状のナイロン59に衝突し、容易に層を通り抜けることができない。ナイロンを粒状に分散させるには、例えばナイロンの融点以上の温度で、比較的長時間混練し、そして最終的に圧延押出することにより得られる。この圧延押出により、層状粘土鉱物フィラー及びナイロンの長軸が共に層表面に平行に配列すると考えられる。
【0027】
本発明の内側ゴム層等を形成するためのゴム組成物は、例えば以下のように製造することが好ましい。
【0028】
(1)原料のゴム、有機化マイカ等の有機化層状粘土鉱物フィラー、ナイロン及びその他の材料を、通常の混練機であるバンバリー等のインターナルミキサーにより簡易に混練して分散することができ、且つマイカを極めて微分散状態にすることができる。この組成物に必要に応じて架橋剤等を混練し、これを圧延押出することにより層状の本発明のゴム組成物を得ることができる。あるいは、ナイロンを後で架橋剤と共に加えても良い。
【0029】
(2)クレー等の層状粘土鉱物の無機フィラーを、水溶性アミノシラン系カップリング剤を介して水に分散させることにより、フィラー/水スラリーがペースト状となり、これを乾燥してアミノシラン処理フィラーを得、このフィラーとゴム、ナイロン及びその他の材料と汎用の混練機(例、バンバリー等のインターナルミキサー)を用いて混合する。この組成物に必要に応じて架橋剤等を混練し、これを圧延押出することにより層状の本発明のゴム組成物を得ることができる。あるいは、ナイロンを後で架橋剤と共に加えても良い。
【0030】
(3)使用するゴムがラテックスの場合は、水に浸漬した層状粘土鉱物フィラー、ナイロン及びゴムラテックスを混合し、水溶性アミノシラン系カップリング剤を添加し、これを必要により乾燥させることによって得られる混合物に、更に必要に応じて架橋剤等を混練し、これを圧延押出することにより層状の本発明のゴム組成物を得ることができる。あるいは、ナイロンを後で架橋剤と共に加えても良い。
【0031】
(4)上記以外に、単にラテックス中に、直接、(有機化)層状粘土鉱物フィラー、ナイロンを直接投入して混合しても良い。その際水溶性アミノシラン系カップリング剤を使用しても良い。
【0032】
本発明では、前記(1)の方法が好ましい。
【0033】
上記(3)において、ゴムラテックスとしてはアクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリル系ゴムを用いることができる。ラテックスでないゴムをこの方法(3)で使用する場合は、そのゴムの有機溶剤溶液を水中に乳化分散させ、得られた乳化ゴムを用いることが好ましい。例えば、ブチルゴム、イソプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、臭化(イソブチレン−4−メチルスチレン共重合体)等の臭化(イソブチレン−アルキルスチレン共重合体)、クロロスルホン化ポリエチレン、カルボキシ変性ポリオレフィン及び天然ゴムを乳化ゴムとすることが好ましい。
【0034】
また、上記のゴム組成物の製法においては、アミノシラン系カップリング剤のカップリング作用により、或いは有機化処理により、組成物へさらに薬剤を投入したり、圧延シートする際に必要不可欠なロール作業の作業性が、大幅に改良される。
【0035】
本発明で使用されるゴム(ゴム又はゴムラテックス)は既に一部記載したが、これらを含めた例として、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、臭化(イソブチレン−4−メチルスチレン共重合体)、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴムラテックス、シリコーンゴムラテックス、ウレタンゴムラテックスが挙げることができる。スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、臭化(イソブチレン−4−メチルスチレン共重合体)等の臭化(イソブチレン−アルキルスチレン共重合体)及びハロゲン化ブチルゴムが好ましい。更に、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)、SEBS(スチレン−(エチレン−ブタジエン)−スチレン)等の熱可塑性エラストマーも好ましく使用することができる。
【0036】
上記ハロゲン化ブチルゴムは、イソブチレンを主体とする少量のイソプレンとの共重合体で、ハロゲン化されたものである。例えば塩化(イソブチレン−イソプレン共重合体)(いわゆる塩化ブチルゴム)、臭化(イソブチレン−イソプレン共重合体)(いわゆる臭化ブチルゴム)を挙げることができる。
【0037】
本発明では、特に、イソブチレンを主成分とする共重合体の臭素化物、例えば臭化(イソブチレン−4−メチルスチレン共重合体)等の臭化(イソブチレン−アルキルスチレン共重合体)及び臭化ブチルゴムを使用することが好ましい。
【0038】
上記ゴムに加えて、通常の熱可塑性樹脂等のポリマーを併用しても良い。
【0039】
本発明で使用される層状粘土鉱物フィラーとしては、クレー、マイカ、カオリンクレー、タルクが好ましく、特にクレー、マイカが好ましい。層状粘土鉱物フィラーの平均粒径は、一般に10μm以下、好ましくは5〜0.01μmである。
【0040】
クレーとは、一般に、1種あるいは2種以上の粘土鉱物からなる平均粒径10μm以下、好ましくは5〜0.01μmの微細な粒子である。粘土鉱物とは、10μm以下の微細な層状ケイ酸塩であり、Si4+イオンが酸化物イオン(O2−)に対して4配位をとる4面体が構成する層と、Al3+、Fe2+、Fe3+、Mg2+などのイオンがO2−および水酸化物イオン(OH−)に対して6配位をとる8面体層とが1:1あるいは2:1で結合し、さらにそれらが積み重なって層状構造を構成するものが、一般的である。粘土鉱物としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、モンモリロナイト、セライト、バーミキュライトなどを挙げることができる。クレーの量は、ゴムに対して一般に1〜500質量%、好ましくは5〜100質量%、特に10〜50質量%である。クレーの量が1質量%より少ないと、気体遮蔽性の効果が充分に得られず、500質量%より多いと、分散が困難となり好ましくない。
【0041】
マイカ(雲母)は、完全な基底劈開により特徴付けられる斜晶系層状珪酸塩であり、複雑なアルミノケイ酸カリウムであり、その一般化学組成式はXY2〜3Zn4O10(OH、F)2[但し、XがBa、Ca、(H3O)、K、Na、(NH4)を表し、YがAl、Cr3+、Fe2+、Fe3+、Li、Mg、Mn2+、V3+を表し、ZがAl、Be、Fe、Siを表す]で表される。マイカの平均粒径は10μm以下、好ましくは0.01〜5μmの範囲が好ましい。マイカの量は、ゴムに対して一般に1〜500質量%、好ましくは5〜100質量%、特に10〜50質量%である。マイカの量が1質量%より少ないと、気体遮蔽性の効果が充分に得られず、500質量%より多いと、分散が困難となり好ましくない。本発明のゴム組成物では、一般に、ゴムに対してマイカを30質量%含有するゴム組成物のガス透過係数の、マイカを含まないゴム組成物のガス透過係数に対する比として、0.15程度を得ることができる。他の無機フィラーも上記と同様な量で使用することができる。
【0042】
本発明で使用される有機化層状粘土鉱物フィラーとしては、有機化処理されたクレー、マイカ、カオリンクレー、タルクが好ましく、特にマイカが好ましい。無機フィラーの平均粒径は10μm以下が一般的で、5〜0.01μmが好ましい。
【0043】
上記有機化層状粘土鉱物フィラー(好ましくは有機化マイカ)は、アルキルアンモニウム塩(例えば、テトラアルキルアンモニウム塩或いはポリオキシアルキレントリアルキルアンモニウム塩)で処理されたフィラーが好ましい。特にジメチルジアルキルアンモニウム塩(但し、このアルキルは炭素原子数1〜20個、特に6〜20個有する)で処理されたフィラーが好ましい。好ましい例としては、ジメチルジアルキル(C18)アンモニウム・合成マイカ、ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム・合成マイカ、トリオクチルメチルアンモニウム・合成マイカを挙げることができる。
【0044】
有機化マイカの場合、その表面の有機化処理量が、80ミリ当量(meq)/100g以上、特に100ミリ当量(meq)/100g以上であることが好ましい。処理前のマイカは、他のカチオンと交換できる無機カチオン基を有しており、この基に上記アンモニウム塩等の特定の有機カチオンを反応させたものが本発明で使用される有機化マイカである。尚、この有機化マイカの表面の有機化処理量は、マイカに存在する無機カチオンをアンモニウム塩等の有機カチオンで交換した時の、マイカ100g当たりの有機カチオンで交換されたカチオンの当量数である。
【0045】
尚、本発明の有機化層状粘土鉱物フィラーの寸法も、上記処理前有機化層状粘土鉱物フィラーと実質的に同一である。
【0046】
上記層状粘土鉱物に加えて他の無機フィラーを使用しても良い、その例としては、カオリン、炭酸カルシウム、シリカ等を挙げることができる。
【0047】
本発明では、層状粘土鉱物フィラーとして、有機化マイカを使用し、ゴムとして臭化(イソブチレン−4−メチルスチレン共重合体)等の臭化(イソブチレン−アルキルスチレン共重合体)及びハロゲン化ブチルゴムを用いることが好ましく、特に臭化(イソブチレン−4−メチルスチレン共重合体)が好ましい。
【0048】
本発明でクレー等の層状粘土鉱物フィラー(非有機化フィラー)を使用する場合は、フィラーを微分散させるために水溶性アミノシラン系カップリング剤等のカップリング剤を使用することが好ましい。
【0049】
使用される水溶性アミノシラン系カップリング剤は、一般にアミノ基を含有するアルコキシシランのうち水溶性であるものである。水溶性であるために、層状粘土鉱物フィラー/水スラリー系或いは層状粘土鉱物フィラー水スラリー/ゴム系を均一に混合することができる。即ち、ゴムラテックス又は前記乳化ゴムを用いる場合、水溶性アミノシラン系カップリング剤を添加することで、フィラー/水スラリー/ゴムラテックスの混合物がペースト状となり、乾燥時間が大幅に短縮される。また乾燥後の固体状ゴム組成物のロール作業の作業性が大幅に改良される。通常のラテックスでないゴムを用いる場合、水溶性アミノシラン系カップリング剤を添加することで、フィラー/水スラリーがペースト状となり、容易にフィラーをゴム中へ、汎用の混練機を使用して分散させることが可能となる。
【0050】
上記水溶性アミノシラン系カップリング剤として、例えばN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びγ−アミノプロピルトリエトキシシランが挙げられる。水溶性アミノシラン系カップリング剤の使用量は、添加後の組成物がペースト状になる量であればよく、ゴム分100gに対して、0.5mlから8mlが好ましく、特に1mlから6mlが好ましく、さらに2mlから5mlが好ましく通常3mlである。水溶性アミノシラン系カップリング剤の量が0.5mlより少ないと、添加後の組成物が、ペースト状とならず、その後の処理(乾燥、ロール作業)を良好に行なうことができない。8mlより多くても、組成物をペースト状にする効果が向上しないばかりか、例えば流体の遮蔽効果が低下するなど、得られた組成物の物性に悪影響を与える。
【0051】
ゴム組成物を架橋するための架橋剤としては、種々の市販の化合物を使用することができる。
【0052】
硫黄系加硫剤及び加硫促進剤としては、粉末硫黄、高分散性硫黄、不溶性硫黄等の、一般にゴム用加硫剤として用いられている硫黄、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム類、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリン塩、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸第二鉄、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオカルバミン酸塩類、ブチルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム等のキサントゲン酸塩類、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド類、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール類等を挙げることができる。これらは併用することができる。
【0053】
また加硫促進剤として、TMTD(テトラメチルジスルフィド)等のチウラム系、EZ(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)等のジチオカルバミン酸塩類を使用することができる。
【0054】
架橋剤の使用量は、ゴムに対して0.5〜4.0質量%、特に1.0〜2.5質量%が好ましい。
【0055】
有機過酸化物として、例えば、過酸化水素水、クメンヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレラート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゼン、ビニルトリス(t−ブチルペルオキシ)シランなどを使用することができる。ジクミルペルオキシドが好ましい。これらは併用することができる。使用量は、ゴムに対して、0.2〜1.0質量%、特に0.25〜0.8質量%、さらに0.3〜0.5質量%が好ましい。
【0056】
なお、ブチルゴムでは酸化亜鉛とステアリン酸等の高級脂肪酸と硫黄との併用が好ましく、またジエン系ゴムに関しては有機過酸化物が好ましい。
【0057】
また、臭化(イソブチレン−4−メチルスチレン共重合体)等の臭化ゴムの場合、その架橋(加硫)を行なうための架橋剤としては、一般に酸化亜鉛が使用され、必要により(例えば、他のゴム材料の使用の際)種々の市販の化合物(例、前述の硫黄、有機過酸化物)を使用することができる。またステアリン酸等の高級脂肪酸との併用が好ましい。
【0058】
さらに加硫促進剤として、TMTD(テトラメチルジスルフィド)等のチウラム系、EZ(ジエチルジチオカルバミン産亜鉛)等のジチオカルバミン酸塩類を使用することができる。
【0059】
さらに、これらと組み合わせて、有機過酸化物、キノンジオキシム、多官能性アクリルモノマー{例、トリメチロールエタントリアクリレート(TMETA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールエーテルヘキサアクリレート(DPEHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(DPEHA)、ジメチロールプロパンジアクリレート(TMPTA)、ステアリルアクリレート(SA)}、トリアジンチオールを用いることができる。
【0060】
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含んでいても良い。例えば、カーボンブラック標準品種であるSAF,HAF、FEF、GPF、SRF(以上ゴム用ファーネス),MTカーボンブラック(熱分解カーボン)を挙げることができる。ゴムに対して一般に10〜80質量%、好ましくは20〜70質量%の量で使用される。
【0061】
更に可塑剤を加えても良い。
【0062】
本発明で使用されるナイロンは、どのようなものでも使用することができる。ナイロンの例としては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体を挙げることができる。これらの中でナイロン6、ナイロン12及びナイロン66が好ましい。ナイロンは、ゴムに対して一般に1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%の量で使用される。
【0063】
次に本発明で使用されるゴム組成物の製造方法について詳細に説明する。
【0064】
まず、有機化層状粘土鉱物フィラーとして有機化マイカを用い、ゴムとして臭化(イソブチレン−アルキルスチレン共重合体)(略して臭化ゴム)を用いた場合を例にとって、ゴム含有塗布液の製法(前記(1))を詳しく説明する。有機化マイカ、原料ゴムの臭化ゴム、及びナイロンを汎用の混練機、例えばブラベンダー型ミキサーに投入する。混練機の温度は、有機化マイカが臭化ゴムに微分散可能な温度に設定することが好ましく、一般に100〜160℃、好ましくは110〜140℃である。混練の時間も、有機化マイカが臭化ゴムに微分散可能な時間であればよく、一般に5〜15分間である。このような条件で混練し、ゴム混練物を得る。得られた混練物に、必要に応じて架橋剤等を混練し、これを圧延押出することにより層状の本発明のゴム組成物を得ることができる。あるいは、ナイロンを後で架橋剤と共に加えても良い。
【0065】
次ぎに、前記(3)に相当する、層状粘土鉱物フィラーとしてクレーを使用した場合を例にとって説明する。本発明において(3)ゴムラテックスを用いたゴム含有塗布液を得るためには、まず、クレーを水に浸漬し、攪拌する。水の量は、クレーが水に分散し、攪拌が容易になる量であればよく、例えば通常20gのクレーに対して、総容積が800〜1200ml、好ましくは900〜1100mlになる量である。攪拌には、スターラーミキサーなどの汎用の混合機を用いることができる。攪拌時間は、クレーが水に充分浸漬する時間であればよく、クレーの量にもよるが、通常12時間〜36時間である。
【0066】
次いで得られたクレー/水スラリー、ゴムラテックス及びナイロンを混合する。ゴムラテックスとの混合は、スターラーミキサーなどの汎用の混合機を用いることができる。混合は、ラテックスが変質しない限りの高温で行なうこともできるが、室温が好ましい。混合時間は、クレー/水スラリーとゴムラテックスが均一に混合される時間であればよく、クレーの量にもよるが、通常5分間〜15分間である。
【0067】
次いでクレー/水スラリーとゴムラテックスとの混合物に、水溶性アミノシラン系カップリング剤を添加する。水溶性アミノシラン系カップリング剤の量は、添加後の組成物がペースト状になる量であればよい。組成物がペースト状となると、その扱いが容易となり、また次の工程の乾燥が速くなる。
【0068】
上記で得られたペースト状組成物に、更に必要に応じて架橋剤等を混練し、これを圧延押出することにより層状の本発明のゴム組成物を得ることができる。あるいは、ナイロンを後で架橋剤と共に加えても良い。
【0069】
本発明において前記(2)の方法であるラテックスで無いゴムを用いたゴム組成物を得るためには、まず、クレーを水に浸漬し、攪拌する。水の量は、クレーが水に分散し、攪拌が容易になる量であればよく、通常20gのクレーに対して、総容積が100〜300ml、好ましくは150〜250mlになる量である。攪拌には、ホモジナイザー型ミキサーなどの汎用の混合機を用いることができる。攪拌時間は、クレーが水に充分浸漬する時間であればよく、クレーの量にもよるが、通常1〜3時間である。
【0070】
次いでクレー/水スラリーに、水溶性アミノシラン系カップリング剤を添加する。水溶性アミノシラン系カップリング剤の量は、添加後のクレーがペースト状になる量であればよい。クレーがペースト状となると、その扱いが容易となり、ロール作業性が良好となる。
【0071】
水溶性アミノシラン系カップリング剤を添加した後攪拌を続けると、ペースト状のアミノシラン処理クレーが得られる。このアミノシラン処理クレーと、原料ゴム及びナイロンを汎用の混練機、例えばブラベンダー型ミキサーに投入する。混練機の温度は、アミノシラン処理クレーに含まれる水が気化し、除去される温度に設定することが好ましく、一般に100〜160℃、好ましくは110〜140℃の範囲である。得られた混練物に、この組成物に更に必要に応じて架橋剤等を混練し、これを圧延押出することにより層状の本発明のゴム組成物を得ることができる。あるいは、ナイロンを後で架橋剤と共に加えても良い。
【0072】
本発明のゴム組成物は、成形されて冷媒輸送用等の高圧ホースとすることができる。
【0073】
本発明の高圧ホースは、公知の方法で製造することができる。例えば、以下のように行うことができる。
【0074】
内管(内側ゴム層)押出機の先端に設けた高剛性のマンドレル上に、内側ゴム層を成形する。次いで、この内側ゴム層上に、スパイラル編み上げ機により、例えば4000d(デニール)のPET糸を20本スパイラルし、中間ゴム層を挿入後、更に同数のPET糸を逆方向にスパイラルし、補強層の形成を完了する。その表面に、押出機によりその表面に外側ゴム層を形成し、その後、適当な条件にて加硫し、マンドレルを抜き出し、高圧ホースを得る。
【0075】
本発明において中間層は、前記ゴム組成物から形成されるものでも良いが、一般にマイカ/クレー等を含まないブチルゴム/ハロゲン化ブチルゴム組成物を含むものである。また外側ゴム層は、前記ゴム組成物から形成されるものでも良いが、一般に耐候性を付与するためにEPDM系(エチレンプロピレン系)ゴム組成物を含むものである。
【0076】
【実施例】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。本発明は実施例に限定されるものではない。
【0077】
[実施例1〜3、比較例1〜3]
使用材料は以下の通りである。
(A)ゴム
A−1:臭化ゴム;Exxpro−MDX−89−1{臭化(イソブチレン−4− メチルスチレン共重合体)、臭素含有率1.2モル%;エクソンケミ カル(株)製}
(B)ナイロン
B−1:ナイロン66;レオナ1200S(旭化成(株)製)
B−2:ナイロン12;UBESTA( 宇部興産 (株)製)
B−3:ナイロン/クレー系ナノコンポジット;
Nanocon M1030D( ユニチカ (株)製)
(C)層状粘土鉱物
C−1:ジメチルジアルキル(C18)アンモニウム・合成マイカ;
有機処理合成マイカソマシフMAE(有機化処理量120meq/100g、コープケミカル(株)製)
上記C17等の数字はそのアンモニウム塩の総炭素原子数を表す。
(D)架橋剤/架橋促進剤
D−1:酸化亜鉛5質量%(ゴムに対して)、
ステアリン酸亜鉛1質量%(同)、ステアリン酸:1質量%(同)
【0078】
(1)ゴム組成物及びシートの作製
上記(A)ゴム100g、(B)ナイロン20g及び上記(C)層状粘土鉱物の20gとを混合し、バンバリーミキサーを用いて180℃で約5分間攪拌し、均一な混合物を得る。
【0079】
得られた混合物に、上記(D)架橋剤/架橋促進剤をバンバリーミキサーを用いて60℃添加し、混合した。ゴム圧延用ロールを用いて圧延押出する。これにより 1.5mm厚のスラブシートサンプルを得る。
【0080】
表1に示すように、比較例1,2ではBを使用せず、比較例2ではCを50gに増量した。また比較例3ではCを使用しなかった。
【0081】
(2)冷媒輸送用高圧ホース
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたゴム組成物を用いて、図1の構造を有する高圧ゴムホースを製造した。内側ゴム層は実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたゴム組成物を用い、補強層はPET繊維を用いた。
【0082】
内側ゴム層を、実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたゴム組成物を押出機を用いて押し出すことにより形成した。得られたチューブ状内側ゴム層は厚さ2.0mmであった。
【0083】
次いで得られたチューブ状内側ゴム層上に、補強層としてPET繊維(4000d(デニール))を合計40本スパイラルに編み上げた。
【0084】
上記補強層の外周に内側ゴム層と同じ組成の中間層を押出被覆した。上記と同様にこの内側ゴム層の外周に補強層を形成した。
【0085】
上記補強層の外周に外側ゴム層を押出被覆した(厚さ1.2mm)。
【0086】
以上のようにして冷媒輸送用高圧ホースを製造した。得られたホースの寸法は内径が11.0mm、外径が19.0mmであった。
【0087】
<評価方法>
1)気体遮蔽性(ガスバリヤ性)の評価
気体透過性を評価するために、GTRテック(株)製ガス透過試験機(GTR30A、ガス:フロンR134a)を用い、100℃、ガス供給側圧力0.2MPaの差圧法によりガス透過測定を行なった。
【0088】
得られたシートのサンプルのガス透過係数の、ナイロン及びマイカを含まないサンプルが示すガス透過係数に対する比が、0.6を超え1.0以下を×、0.4を超え0.6以下を○、そして0.4以下を◎とした。
【0089】
2)可撓性の評価
得られたホースの柔軟性を評価するため、R100のマンドレルにホースを巻き付け、その時の荷重を測定した。荷重が10N以下の場合を◎とした。
【0090】
【表1】
【0091】
上記比較例1〜3の態様は、公知の態様ではなく、本発明の構成が特に優れていることを示すための比較の為の態様である。
【0092】
以上の結果から、ゴムとして特定の臭化ゴム(イソブチレンを主体とするゴムで臭素化されたもの)を用い、さらにナイロン及び有機化マイカを用いた実施例では、優れた気体遮蔽性、可撓性が得られた。ナイロンを用いない比較例1では、気体遮蔽性がやや劣り、ナイロンを用いないで、マイカを増量した比較例2では、遮蔽性は良好であるが可撓性がやや劣り、B−1のナイロンを含む比較例3では気体遮蔽性が不充分であった。
【0093】
【発明の効果】
本発明の冷媒輸送用等の高圧ホースに有利に使用されるゴム組成物は、層状粘土鉱物が極めて微細な鱗片状粒子として、またナイロンが帯片状及び/又は粒状でゴムマトリックス中に分散されており、このためこの組成物から形成されたゴム層では気体分子がこの微細で多数の鱗片状粒子及びナイロン片に極く多数回衝突するため、この層状粘土鉱物及びナイロン含有ゴム層を簡単に透過することができない。したがって、本発明の冷媒輸送用高圧ホースは、気体遮蔽性が高度に優れたものである。また、本発明のゴム組成物を用いた高圧ホースは、ガスバリヤ層が無くても優れた冷媒遮蔽性を有するため、ホースのしなやかさを保持することができ、カシメ等の作業性にも優れたものである。
【0094】
更にまた、本発明の冷媒輸送用等の高圧ホースに使用されるゴム組成物は、層状粘土鉱物、ナイロン及びゴムを、通常の簡易な混練機で分散することにより得られるので、良好な生産性を有するものである。このため本発明の冷媒輸送用等の高圧ホースも高い生産性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷媒輸送用高圧ホースの代表的な構造の1例を示す斜視図である。
【図2】本発明の冷媒輸送用高圧ホースの代表的な構造の別の1例を示す斜視図である。
【図3】従来の冷媒輸送用高圧ホースの代表的な構造の1例を示す斜視図である。
【図4】本発明のゴム組成物から形成されたゴム層の1例の断面図である。
【図5】本発明のゴム組成物から形成されたゴム層の別の1例の断面図である。
【符号の説明】
11 管状の内側ゴム層
12a,12b 補強層
13 管状の中間ゴム層
14 外側ゴム層
15 管状の内管ゴム層
16 ナイロンガスバリヤ層
47, 57 ゴムマトリックス
48,58 層状粘土鉱物フィラー
49 帯片状のナイロン
59 粒状のナイロン
Claims (14)
- 層状粘土鉱物フィラーが、ゴムマトリックス中に分散されてなるゴム組成物であって、ナイロンがゴムマトリックス中に分散され、且つ層状粘土鉱物フィラーが、ゴムに対して10〜50質量%含まれていることを特徴とするゴム組成物。
- ナイロンが帯片状及び/又は粒状でゴムマトリックス中に分散されている請求項1に記載のゴム組成物。
- 層状粘土鉱物フィラーが、マイカを含むクレーである請求項1又は2に記載のゴム組成物。
- 層状粘土鉱物フィラーが、有機化マイカである請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
- 有機化マイカが、アルキルアンモニウム塩で処理されたマイカである請求項4に記載のゴム組成物。
- アルキルアンモニウム塩が、ジメチルジアルキルアンモニウム塩である請求項5に記載のゴム組成物。
- ゴムが、イソブチレンを主成分とする共重合体の臭素化物である請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物。
- ナイロンが、ゴムに対して5〜30質量%含まれている請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物。
- 層状粘土鉱物フィラーがゴム中に含まれ、ナイロン中には含まれていない請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物。
- ゴムが架橋されている請求項1〜9のいずれかに記載のゴム組成物。
- 請求項1〜10のいずれかに記載のゴム組成物から形成された管状のゴム層を含むことを特徴とする高圧ホース。
- 層状粘土鉱物フィラーの長軸方向、及び帯片状及び/又は粒状のナイロンの長軸方向が、共に管状のゴム層表面に対して平行に存在する請求項11に記載の高圧ホース。
- 管状の内側ゴム層、その上を覆う管状の繊維の補強層、及びその上を覆う管状の外側ゴム層を含む高圧ホースにおいて、
少なくとも内側ゴム層が、請求項1〜10のいずれかに記載のゴム組成物から形成されていることを特徴とする高圧ホース。 - 層状粘土鉱物フィラーの長軸方向、及び帯片状及び/又は粒状のナイロンの長軸方向が、内側ゴム層表面に対して平行に存在する請求項13に記載の高圧ホース。
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