JP5549201B2 - 筆記具 - Google Patents

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  • Mechanical Pencils And Projecting And Retracting Systems Therefor, And Multi-System Writing Instruments (AREA)

Description

本発明は、軸本体内に少なくともシャープペンシルユニットを含む筆記体を前後動可能に複数配置し、それらの筆記体の後端にスライダーの前端を連結すると共に、該スライダーを前記軸本体に設けられた摺動溝に前後動自在に配置した筆記具に関する。
1例として、付勢部材によって後方へ付勢されている押子であって、その付勢力に抗する前方へのスライドに伴って軸筒求心方向へ沈み込んで軸筒周壁の係止部に係止される押子を備え、その押子を前記係止部に係止させることでシャープペンシルやボールペンなどの筆記体の筆記部を突出状態に維持し、同押子を前記係止部から外し後方へスライドさせることで筆記部を没入させるようにした出没式筆記具がある。
しかし、前記の従来技術にあっては、筆記部の突出状態において筆記体が撓んだ状態で維持されてしまうといった問題があった(特許文献1の図1参照)。つまり、筆記体が突出する過程で、押子の後部が軸筒求心方向に沈み込む一方、押子の前部が軸筒の内壁面側に向けて移動し、これによって押子が傾く。この傾きによって筆記体である、例えば、シャープユニットも軸筒の内壁面に向かって傾こうとするが、軸筒の内壁面によってその傾きが規制されてしまうことになる。その結果、シャープペンシルユニットは湾曲した状態になる。これに加え、シャープペンシルユニットの先端は、軸筒の中心に形成されている突出孔に導かれるため、シャープペンシルユニットの前記の湾曲がさらに助長されることになってしまう。
そのシャープペンシルユニットの湾曲作用は、特に重大な問題である。即ち、シャープペンシルユニットの一つである芯タンクや、その芯タンクの前方に取り付けられている先部材との連結部分が湾曲してしまうため、芯が自重で落下することができなくなってしまい、芯が繰り出せなくなってしまうばかりでなく、ややもすると、芯が折損してしまうのである。
そこで、前記の問題、即ち、筆記体(シャープペンシルユニット)の湾曲作用を防止するために種々の開発がなされた。その1例が、筆記具用軸の内部に、シャープペンシルを含む複数種類の筆記体が収納され、各筆記体は筆先部を軸先端口において交互に出没しうるように構成された複式筆記具であって、上記シャープペンシルは、シャープペンシル本体と、上記シャープペンシル本体の後端部に連設された芯タンクと、上記芯タンクの後端部に接合された繰出操作部材とを備えた複式筆記具において、上記芯タンクは金属製であると共に、上記繰出操作部材の先端部には、上記芯タンクの軸方向に沿って折り曲げ可能に形成された接合部が設けられている複式筆記具である。
特開2007−118220号公報。 特開2005−111876号公報。
前述の複合筆記具のシャープペンシルユニットは、接合部を支点に芯タンク及びシャープペンシル本体が折り曲げ可能に形成されているため、一度折り曲げた後も、接合部を支点として360度の方向に自由に曲がる構造となっている。
このため、軸筒にシャープペンシルユニットを配置する際に、組み立てが困難になるという問題や、組み立てた後もシャープペンシルユニットが軸筒内で安定せず、ふらついてしまいカタカタと音を立ててしまったり、振動によって芯が砕かれたりしてしまう危険性があった。
そこで、本発明は、軸本体内に少なくともシャープペンシルユニットを含む筆記体を前後動可能に複数配置し、それらの筆記体の後端にスライダーの前端を連結すると共に、該スライダーを前記軸本体に設けられた摺動溝に前後動自在に配置した筆記具において、前記少なくともシャープペンシルユニットをスライダーに対して回転不能に連結すると共に、前記シャープペンシルユニットの芯タンクを軸本体の中心軸線方向に向かって屈曲させた筆記具を要旨とする。
本発明は、軸本体内に少なくともシャープペンシルユニットを含む筆記体を前後動可能に複数配置し、それらの筆記体の後端にスライダーの前端を連結すると共に、該スライダーを前記軸本体に設けられた摺動溝に前後動自在に配置した筆記具において、前記少なくともシャープペンシルユニットをスライダーに対して回転不能に連結すると共に、前記シャープペンシルユニットの芯タンクを軸本体の中心軸線方向に向かって屈曲させたので、シャープペンシルユニットの軸本体への組み立てを容易に行うことができると共に、組み立てた後においても屈曲状態が維持されるため、安定した芯の繰出し動作が得られる。
本発明を示す外観正面図。 図1の側面図。 図2の縦断面図。 本発明のスライダー単体斜視図 シャープペンシルユニットの縦断面図 図1の上面図。 図1のW−W線断面図。 図7のV部拡大 図1のX−X線断面図。 図1のY−Y線断面図。 図6のZ−Z線断面図。 ボールペンリフィルと接続部材とスライダーとの連結状態を示す外観斜視図。 図12における分解要部拡大図。 スライダーの正面図。 接続部材の外観斜視図。 接続部材の正面図。 図16の側面図。 シャープペンシルユニットと接続部材とスライダーとの連結状態を示す外観斜視図。 図18における分解要部拡大図。 図12、図18のA−A線断面図。 図12、図18のB−B線断面図。 (a)動作を示す外観斜視図(スライダー後退位置)。 (b)動作を示す外観斜視図(スライダー前進位置)。 図22(b)の縦断面図。
作用について説明する。シャープペンシルユニットのスライダーが押圧された際、そのスライダーの後部が軸心方向に向かって沈み込むが、シャープペンシルユニットの後部が屈曲しているため、シャープペンシルユニットの前方部は直線状が維持される。
本実施例を図1〜図21に示し説明する。尚、図中下方を前方と言い、上方を後方と言う。例として黒色と赤色の2色からなるボールペンリフィル、及びシャープペンシルユニットが摺動自在に配置されている多芯筆記具である。参照符号1は、軸本体であり、その軸本体1は、前軸2と後軸3とより構成されている。また、本例において、前軸2は、先部材4と中軸5の螺合構造により構成されているが、凸凹嵌合で圧入されていても良いし、一体的に形成されていても良い。しかし、後述する筆記体の交換や成形の容易性を考慮すると2部材とし、着脱自在に固定した方が良い。また、前記先部材4の内径部には、先端側へ向かって徐々に径が小さくなる円錐部4aが形成されている。そして、その先部材4の先端には、筆記体が出没する突出孔4bが形成されている。
前記後軸3には、その長手方向に3個のスリット6が形成されている。本例においては、3個のスリット6が形成されているが、筆記体であるボールペンリフィルの数が2本と、シャープペンシルユニットの数が1本であるためであり、この筆記体の本数によってスリットの形成する数も変わるものである。また、スリット6は、後軸3の一方の端部まで形成されていると共に、スリット6の両側には、摺動溝7がほぼ一直線上に形成されている。又、後軸3には、摺動溝7と長手方向に略同じ長さのスライド面3aが形成されている。しかし、この摺動溝7、及びスライド面3aは、スリット6の両側の全長に渡って形成されているのではなく、中間部までしか形成されていない。スライド面3aは、後述する摺動突起12の背面を受けている。また、前記スリット6の摺動溝7よりも軸心側は、幅の狭い幅狭スリット部6aとなっている。
前記後軸3の前方には断面の形状が外側に円弧部を有する半月形をした脚部8が120度間隔の位置に形成されている。この脚部8は、スリット6が形成されることにより形成される。よって、筆記体の数によって脚部8の数は変わる。その脚部8の外接円径は、後軸3の最大外径よりも小さく形成されている。
符号9は、後軸3に一体的に形成されたクリップ部であるが、別部材で構成し後軸3に固定などしても良い。符号10は、前記クリップ部9の前方内面に形成された玉部であって、その玉部10は前記中軸5の表面に当接している。
前記後軸3のスリット6には、透明、或いは、着色された半透明な材質からなるスライダー11が摺動自在に配置されている。該スライダー11は、ボールペンリフィル用のスライダー11Bとシャープペンシルユニット用のスライダー11Sがある。このスライダー11B、11Sの長手方向の両側には、摺動突起12が形成されており、前記スリット6に形成された摺動溝7に摺動可能に係合している。このスライダー11B、Sの背面には、延出部111を介して間隔をおいて2つの解除突起13、14が形成されており、また、スライダー11B、11Sの前方の内側には、長手方向に孔11aが形成されている。その孔11aの正面方向から見て内面には、平面部11bが形成されており、その平面部11bに対応するスライダー11B、11Sの外面には円弧状の曲面部11cが形成されている。これらの内面に形成された平面部11bと外面に形成された曲面部11cとによって光の屈折が発生しレンズ効果が得られるようになっている。
なお、スライダー11Sには、前記スリット6の幅より略大きい幅の略半球状のツバ部11Sdが形成されている。そのツバ部11Sdにより幅広になることで、シャープペンシルユニットの突出操作が向上すると共に、芯出し操作も容易に行え、また、その芯出し操作の際、スライダー11Sが後軸3の軸芯方向に没入してしまうのを防止する。
更に、スライダー11B、Sの側面には3個の孔11Sfが設けられているが、それらは、貫通孔と非貫通孔とから構成されている。具体的に説明すると、解除突起13の近傍に形成されている孔11Sfと、解除突起14の近傍に形成されている孔11Sfは、延設部111を貫通した貫通孔となっており、一方、スライダー11の前方部に形成された孔11Sfは非貫通孔となっている。そして、前記貫通孔である孔11Sfは、幅狭スリット部6aに位置しているものの、その孔11Sfの半分が幅狭スリット部6aから露出している。孔11Sfの半分程度を幅狭スリット部6aから露出させることによって、その孔11Sfに貯留されたゴミや埃を孔11Sfの両開口部から効率的に排出できるようにしているのである。一方、非貫通孔である孔11Sfの一部は、摺動突起12に位置している。即ち、摺動突起12の一部分が孔11Sfによって切り欠かれている。これによって、摺動突起12の前方部分に弾力性が発生し、多少の寸法上のばらつきが発生したとしてもスムーズな摺動動作が得られるようになる。
また、貫通した孔11Sfの内周面のほぼ中央部には、微細な突起が円周上に形成されている。内周面に円周上の突起を形成することによって、スライダーを樹脂成型品とした場合、後述するようにその成形性の向上が図られる。
尚、本例においては、孔11Sfの断面形状を円形としているが、楕円や三角、四角、多角形、或いはこれらの組合せた形状としても良いが、スライダー11Sを成形品とした場合には、その成形性を考慮すると丸形状が良い。また、孔11Sfの数は、本例では3箇所としているが、1個所であっても良いし、4個所や5個所などであっても良い。
そして、スライダー11Bの孔11aには、後述する筆記体に収納されるインキの色と略同色な色を有した接続部材15の一端部(後方部15a)が着脱自在に挿着されており、その接続部材15の他端部(前方部15b)には、ポリプロピレンやナイロンなどの樹脂材質からなる円筒状のボールペンリフィル16Bが接続されている。
一方、スライダー11Sの孔11aには、シャープペンシルに使用する芯の色と略同色な色を有した、或いは、芯径を示す表示がなされた接続部材15の一端部(後方部15a)が着脱自在ではあるものの、回転は不能に挿着されているが、接着などの手段によって着脱不能に固定するなどしても良い。また、その接続部材15の他端部(前方部15b)には、ポリプロピレンやナイロンなどの樹脂材質、或いは金属材からなる円筒状のシャープペンシルユニット16Sの芯タンク161がカシメ加工(カシメ部161a)によって回転不能に接続されている。そのカシメ部161aは、円周状に渡って形成されている。
尚、前記ボールペンリフィル16Bは、インキを収容するポリプロピレンなどの樹脂材質で押し出し成形によって形成されたインキ収容管16Baと、そのインキ収容管16Baの前方に圧入されたボールペンチップ16Bbなどから構成されている。又、シャープペンシルユニット16Sは、芯を複数本収容しポリプロピレンなどの樹脂材質や金属材質で成形された芯タンク161と、その芯タンク161の前方に継ぎ手部材162を介して取り付けられた芯の把持・開放を行うチャック体163と、そのチャック体163の前方を囲繞すると共にチャック体163の開閉を行うチャックリング164、並びに、前記チャック体163を覆うように配置されたガイド筒166、そして、そのガイド筒166と前記継ぎ手部材162との間に配置され、チャック体163や芯タンク161を後方に向けて付勢するコイルスプリングなどからなる弾撥部材166とから構成されている。また、前記ガイド筒165の先端には、先部材167が螺合などの手段によって着脱自在に取り付けられており、その先部材167の内方には、繰り出された芯の後方への移動を規制するゴム状弾性体からなる芯戻り止め部材168が内設している。
また、前記芯タンク161は、前記接続部材15との連結部近傍において、屈曲しており(屈曲部161b;図18(a)、(b)参照)、軸本体1に装着した際、シャープペンシルユニット16Sbの前方部が軸本体1の中心軸線方向に向かうようになっている。
ここで、前記スライダー11B、11Sは、透明、或いは、着色された半透明な材質で形成されているため、その内部に位置する前記接続部材15の色や表示を容易に識別することができる。これに加え、スライダー11B、11Sには平面部11bと曲面部11cが形成されているため、それによって得られるレンズ効果によって、前記接続部材15の色をさらに容易に識別することができるようになる。
前記接続部材15の中間部には、大径部15cが形成されており、後方部15aの孔11aに対する過度な挿入と、前方部15bの筆記体16B、或いは16Sに対する過度な挿入が防止されている。また、接続部材15の後方部15aには、スライダー11B、11Sの孔11aに対する挿着・嵌合を良好なものとなすために円周状の嵌合突起15dが形成される一方、前方部15bには筆記体16B、11Sに空気が侵入するための平面部15eが形成されている。その平面部15eは、90度の角度をもって4方に形成されている。即ち、接続部材15の前方部15bの横断面形状は、正方形状をなしている。また、4つの平面部15eには、筆記体16B、16Sとの良好な係合・嵌合力を得るために突起15f、15gが部分的に形成されているが、突起同士が重ならないようになっている。即ち、4つの平面部15eに形成された各々の突起15fは、長手方向、並びに、周方向に対して異なった位置に形成されている、具体的に説明すると、前方の対向した位置に形成された突起15fと離隔して、後方にはその突起15fと90度の角度をもって突起15gが対向して形成されている。前記インキの消費に伴うボールペンリフィル16B、11S内部への空気の侵入を確実なものとしていると共に、樹脂材質からなる筆記体16Ba、芯タンク161の塑性変形による接続部材15からの脱落を防止している。つまり、前方に形成された突起15fによってボールペンリフィル16Ba、芯タンク161が楕円状に膨出(膨出部16Bc、芯タンクについては省略する。)すると共に、後方に形成された突起15gによって、前記膨出部とは90度の角度をもって該部分も膨出部16Bdが形成される。即ち、互いが90度の方向で膨出する反面、その膨出した方向と90度回転した方向は縮径させられるため、筆記体16B、芯タンク161の内面が突起15f、15gに食い込むようになり各々の係合部がより強固になると共に、それら接続部材15と筆記体16B、並びに、芯タンク161との相対的な回転が防止される(図20、図21参照;図中点線16Beは、本来の筆記体16Bの内面形状である。)。
また、前記突起15fや15gは、その断面形状が矢型状をなしているが、前方に位置する突起15fのボールペンリフィル16への挿着側は、鈍角(α)に形成されており、一方、離脱側は鋭角(β)に形成されている。ちなみに、本例においては、挿入側を約150度に形成し、離脱側を70度に形成している。
尚、前記スライダー11B、11Sの前端部には、後述する弾撥部材17の外径部を保持する延出部11dが形成されている。延出部11d間の長さは、弾撥部材17外径よりも若干短く形成されており、これによって弾撥部材17は延出部11dに圧入された状態となっている。即ち、ボールペンリフィル16B、シャープペンシルユニット16Sを交換する際にも弾撥部材17がスライダー11B、11Sの前端部から外れないようになっている。また、前記スライダー11B、11Sの接続部材15(後方部15a)に対する挿着力(嵌合力)は、ボールペンリフィル16B、シャープペンシルユニット16Sの接続部材15(前方部15b)に対する挿着力(嵌合力)よりも弱く設定されている。即ち、筆記体16B、16Sをスライダー11B、11Sに対して離脱させようとすると、ボールペンリフィル16Bと接続部材15、シャープペンシルユニット16Sと接続部材15が連結された状態でスライダー11B、11Sから離脱する。
参照符号17は、ボールペンリフィル16B並びにボールペンリフィル16に接続するスライダー11B、或いは、シャープペンシルユニット16S並びにシャープペンシルユニット16Sに接続するスライダー11Sを後方に付勢するコイルスプリングなどの弾撥部材である。
次に、前記中軸5について、具体的に説明する。前記前軸2の1部材である中軸5の中間部には、規制部18が形成されており、その規制部18には、筆記体16B、16Sが遊挿する3つの貫通孔19が形成されており、前記規制部18に弾撥部材17の一端を係止させることにより、筆記体16B、16Sを後方に付勢している。また、中軸5の内側で、規制部18の後方には、長手方向に3つの溝部20が形成されており、この溝部20に前記後軸3の脚部8が摺接され、組み立て時に脚部8が案内されるようになっている。また、その溝部20は、脚部8の断面形状とほぼ同形をなしている。即ち、外側に円弧部を有する半月形となっている。
次に動作について、図3、図22、図23に示し説明する。スライダー11Sを前方(図22中左斜め上方)に押圧すると、スライダー11Sは、後軸3のスリット6並びに摺動溝7、スリット6aに案内されながら、シャープペンシルユニット16Sを伴い前進し、シャープペンシルユニット16Sの先端が軸本体1の先端より突出する(突出状態は図示せず)。同時に、スライダー11Sが後軸3の内方である軸芯方向に押し込まれるが、ツバ部11Sdが、後軸3のスリット6の両側の外周面に当接し、スライダーSの押し込みが規制される。次いで、スライダー11Sの側面部に形成されている摺動突起12の後端(図23では上方)が、摺動溝7の前端部に係合し、シャープペンシルユニット16Sの後退作用を阻止し、シャープペンシルユニット16Sの前進位置が維持される。つまり、この摺動溝7をスリット6の中間部までしか形成しないことにより、スライダー11Sの係合をも兼ねるようになっている。このシャープペンシルユニット16Sの突出過程において、前記スライダー11やスライダー22の後部が軸本体1の中心軸線方向に向かって沈み込み、シャープペンシルユニット16Sの前方部が軸本体1の内壁面に接近しようとするが、シャープペンシルユニット16Sは、その後部にて回転不可能にて屈曲しているため、前方部は直線を維持した状態で突出する。これによって、芯の繰り出し動作が良好なものとなる。
ここで、シャープペンシルユニット16Sの先端が前記軸本体1の先端より突出した前進位置において、スライダー11Sのツバ部11Sdの上部11Seを前方方向へ押圧操作すると、シャープペンシルユニット16Sの先部材167が、前記先部材4の内径部の先端側へ向かって徐々に径が小さくなる円錐部4aに当接し、シャープペンシルユニット16Sの前進移動が阻止される。ここで、さらに、スライダー11Sを押圧操作すると、芯タンク161やチャック体163が弾撥部材166の弾発力に抗して前進し、これによって芯の繰り出しがなされる。
この芯繰り出し操作の過程で、スライダー11Sのツバ部11Sdが後軸3の外周面を摺接している。よって、従来技術にあるような、スライダー11Sの摺動突起12を受けるために、後軸3の摺動溝7の軸芯方向側に、更なる摺動溝やスライド面を設ける必要はない。
次に、シャープペンシルユニット16Sを軸本体1に収納したい場合には、他のスライダー11Bを押圧する。他のスライダー11Bを押圧すると、互いのスライダー11S、11Bの背面に形成されている解除突起13、14が衝突する。この衝突作用により、押圧されている状態にあるスライダー11Sが後軸3の外側方向に押圧される。そして、この押圧作用により、前記スライダー11Sの摺動突起12と摺動溝7との係合が解除され、その解除作用により突出している状態にあるシャープペンシルユニット16Sが弾撥部材17の作用により後退し軸本体1内に没入し、スライダー11Sは元の後退位置まで戻ることになる。
尚、図22(b)は、スライダー11Sが前進した状態を図示している。この状態では、後軸3は、スリット6、並びに、幅狭スリット部6aが大きな空間部となっている。この状態では勿論、更に芯の繰り出し作動を行うと、空間部にゴミや埃などの異物が入り易くなる。その結果、ゴミや埃などの異物がスリット6や幅狭スリット部6aの壁面、及び、スライド面3aに貼り付きやすい状態になっている。
但し、スリット6は外周面に近いのでゴミや埃などの異物は取り除き易く、スライド面3aは、摺動突起12の背面が接しながら摺動しているので、ゴミや埃などの異物は掻き出し易くなっている。しかし、幅狭スリット部6aは、軸心近傍に位置しているため、ゴミや埃などの異物を取り除き難くなっている。そこで、本実施例においては、シャープペンシルユニット16Sを軸本体1に収納する後退動作により、スライダー11Sの孔11Sfが、幅狭スリット部6aのゴミや埃を掻き取るように除去すると共に、孔11Sfに掻き取った異物を貯留するのである。そして、貯留した後においては、孔11Sfの幅狭スリット部6aから露出した部分から排出されるのである。
本実施例の多芯筆記具においては、軸の軸心近傍に位置する幅狭スリット部6aにゴミが入り込んだ場合でも、前記スライダー11Sの孔11Sfをゴミや埃などの異物の貯留部として機能させることができる。その結果、スライダー11Sを後軸3のスリット6や幅狭スリット部6aに沿って容易に摺動させることができる。しかも、孔11Sfを摺動する部分に形成することによって、スライダー11Sと幅狭スリット部6aとの接触する面積を減らすことができ、このことによっても、スライダー11Sを後軸3のスリット6に沿って容易に摺動させることができるようになる。
また、ボールペン用スライダー11Bに孔を形成した場合においても、摺動抵抗が軽減されるため、弾撥部材17の荷重を低減させてもスムーズに復帰(後退・没入)させることができる。即ち、スライダーの後退時におけるスリット後端部への当接・衝撃力が緩和されるものとなる。つまり、インキの種類によっては、後退時の衝撃力によって筆記不良になってしまう場合があり、弾撥部材の荷重をできるだけ低く設定する必要があるためである。
更に、スライダー11Sに孔11Sfを設けることによって、成形形状の効果も得られる。即ち、孔11Sfを形成するピンが金型に配置されるが、このピンが孔11Sfを形成する役目と、成形されたスライダー11Sをピンが配置されている側のキャビティに残留させる役目を果たすのである。また、本実施例においては、前述の通り、孔11Sfの内面に円周上の突起を形成しているため、ピンへの残留が確実なものとなる。ちなみに、ピンを配置しない金型にあっては、その金型を割型構造とした場合に、一方の割型(キャビティ)に成形品が残留する確率は少なく、成形不良を起こしてしまう危険性が高い。
1 軸本体
2 前軸
3 後軸
3a スライド面
4 先部材
4a 円錐部
4b 突出孔
5 中軸
6 スリット
6a スリット
7 摺動溝
8 脚部
9 クリップ部
10 玉部
11 スライダー
111 延出部
11B ボールペンリフィル用のスライダー
11S シャープペンシルユニット用のスライダー
11Sd ツバ部
11Se 上部
11Sf 孔
11a 孔
11b 平面部
11c 円弧状の曲面部
11d 延出部
12 摺動突起
13 解除突起
14 解除突起
15 接続部材
15a 後方部
15b 前方部
15c 大径部
15d 嵌合突起
15e 平面部
15f 突起
15g 突起
16B ボールペンリフィル
16Ba インキ収容管
16Bb ボールペンチップ
16Bc 膨出部
16Bd 膨出部
16Be 内面形状
16S シャープペンシルユニット
16Sa 芯タンク
16Sb シャープペンシルセット
161 芯タンク
162 継ぎ手部材
163 チャック体
164 チャックリング
165 ガイド筒
166 弾発部材
167 先部材
168 芯戻り止め部材
17 弾撥部材
18 規制部
19 貫通孔
20 溝部

Claims (1)

  1. 軸本体内に少なくともシャープペンシルユニットを含む筆記体を前後動可能に複数配置し、それらの筆記体の後端にスライダーの前端を連結すると共に、該スライダーを前記軸本体に設けられた摺動溝に前後動自在に配置した筆記具において、前記少なくともシャープペンシルユニットをスライダーに対して回転不能に連結すると共に、前記シャープペンシルユニットの芯タンクを軸本体の中心軸線方向に向かって屈曲させた筆記具。
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