JP5546128B2 - 新規樹脂、その製造方法、新規組成物、及び該組成物を硬化してなる硬化物 - Google Patents

新規樹脂、その製造方法、新規組成物、及び該組成物を硬化してなる硬化物 Download PDF

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Description

本発明は、新規樹脂、その製造方法、新規組成物、及び該組成物を硬化してなる硬化物に関する。より詳細には、本発明は、ハロゲンやリンを含有せずに、UL94 VTM法による難燃性試験でVTM−0の難燃性を発現することのできる新規樹脂、および該難燃性樹脂の製造方法に関する。また、本発明は、UL94 VTM法による難燃性試験でVTM−0の難燃性を発現することのできる硬化物が得られる、新規組成物、および該組成物を硬化してなる難燃性の硬化物に関する。
近年、通信用、民生用や産業用等の電子機器は、その高密度化、高機能化や環境面等から、材料面においてもその要求特性が厳しくなってきている。例えば、フレキシブルプリント配線基板、その接着剤、カバーレイ、カバーコート等については、難燃性、機械的特性、耐薬品性、耐マイグレーション性等の電気的特性が要求されている。
前記カバーレイやカバーコートに使用される樹脂組成物からなる接着剤は、ポリイミドフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムと銅箔との密着性が強固であることのほか、反復継続の屈曲や変位を受けた際に、前記銅箔からなる配線回路の絶縁性を保持でき、外部からの湿気や錆を防止できると共に、UL規格に合格する難燃性であることが要求されている。このためエポキシ樹脂をベースとする前記接着剤には、ハロゲン系の難燃剤、金属水和物、リン系化合物等を、適切に組み合わせて難燃性を得るようにしている。
一般的に、ハロゲン系の難燃剤を用いた難燃機構は、燃焼時に発生する気相中のラジカルをトラップすることによって難燃性を発現している。この難燃機構は汎用性に富むものの、ハロゲン系の難燃剤は燃焼時に有毒ガス(ハロゲン化水素ガス)を発生し、また、焼却処理時に不完全燃焼によりダイオキシンを発生する等環境上問題が指摘されている。
また、金属水和物を用いた難燃機構は、金属水和物が燃焼時に水を放出することによって難燃性を発現するものであるが、実際には大量に添加する必要があるので、機械的特性や接着性が低下する問題がある。
また、リン系化合物を用いた難燃機構は、リン系化合物の存在によって、燃焼物の表層にチャーと呼ばれる炭化被膜が形成し、その結果、難燃性が発現するものであり、難燃性からは好ましいが、接着性を低下させると共に耐マイグレーション性が低下する問題が指摘されている。
そこでリン系化合物を難燃剤として使用した場合の、マイグレーション性を改善する提案が特許文献1や特許文献2でなされている。すなわち、イオン性不純物が少ないNBRゴムを添加することによって、或いはエポキシ樹脂の硬化剤としてフェノール系硬化剤を使用することによって、耐マイグレーション性の低下を防止しようとするものである。
また、特許文献3では、ポリエステル樹脂を接着剤組成物に添加することによって、耐マイグレーション性が改善されると記載されている。
特開2001−339131号公報 特開2001−339132号公報 特開2001−31940号公報
しかしながら、銅マイグレーションは、水分やエポキシ樹脂中の塩素イオン、NBR中のイオン性不純物などによる銅の腐食現象等に起因する。このため、特許文献1のように、リン系化合物のような吸水性を有し、イオン化し易い化合物が添加されている場合では、耐マイグレーション性を改善するために、イオン性不純物が少ないNBRゴムを添加したとしても限界があった。
また、特許文献3のように、ポリエステル樹脂を添加した接着剤組成物を用いると、耐熱性が低くなるという問題があった。
これに対して、前記の難燃機構とは異なる新しい難燃機構で難燃性を発現できるとともに、電気絶縁性に優れる硬化物が得られる、樹脂および組成物が望まれている。
したがって、本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにある。より特定すれば、本発明の目的は、リン系化合物の使用等の従来の難燃技術とは異なる新たな難燃機構によって、難燃性を発現するとともに電気絶縁性に優れた硬化物が得られる、新規な難燃性樹脂および新規な組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、これらの新規な難燃性樹脂および新規な組成物によって得られる、難燃性および電気絶縁性に優れた硬化物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題に対して鋭意検討した結果、樹脂または硬化物中に特定の繰り返し単位を有すると、燃焼が持続しにくくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の事項に要約される。
[1]下記式(I)で表される有機基が複数結合した分子鎖を有し、重量平均分子量が10,000〜300,000であることを特徴とする樹脂。
Figure 0005546128
(式中、Cは、炭素数30〜50の2価の炭化水素鎖を有する2価の有機基であり、Aは、アミド結合、エステル結合、ウレタン結合、ウレア結合またはカーボネート結合である。)。
[2]前記Cが、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリオール、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリ酸無水物、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリイソシアネート、または炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリアミンから誘導されることを特徴とする前記[1]に記載の樹脂。
[3]前記Cが、シクロヘキサン環および/またはシクロヘキセン環を有する有機基であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の樹脂。
[4]以下の(a)〜(j)の少なくとも1つの反応を伴うことを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂の製造方法。
(a)炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリオールと、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸またはポリカルボン酸の低級アルコールのエステルとの重縮合反応(エステル化もしくはエステル交換反応)。
(b)炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリアミンと、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸との重縮合反応。
(c)炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリイソシアネートと、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸との脱炭酸反応を伴う重付加反応。
(d)炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリオールと、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリイソシアネートとの重付加反応。
(e)炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリアミンと、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリイソシアネートとの重付加反応。
(f)炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリオールと、ジアルキルカーボネートまたはジアリールカーボネートとの反応、あるいは、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリオールとホスゲンとの反応によるポリカーボネート生成反応。
(g)炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリアミンと、ホスゲンとの反応によるポリ尿素生成反応。
(h)炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリアミンと、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸無水物との重縮合反応。
(i)炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリイソシアネートと、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸無水物との脱炭酸反応を伴う重付加反応。
(j)炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリアミンと、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸エステルとのエステル−アミド交換反応。
[5]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂と、該樹脂と反応することのできる官能基を有する硬化剤を必須成分とする組成物であって、
前記樹脂が、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、イソシアネート基及び1級又は2級のアミノ基の群より選ばれる少なくとも1種の官能基であり、かつ前記硬化剤との反応性を有する官能基を1分子中にm個有する分子からなる樹脂であり、
前記硬化剤が、前記樹脂と反応することのできる官能基を1分子中にn個有し、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有する分子からなる硬化剤である
ことを特徴とする組成物(m及びnの平均値は、それぞれ2以上であり、mの平均値とnの平均値の和は5以上である。)。
[6]炭素数30〜50の炭化水素鎖を有し、1分子中に3個以上の水酸基を有するポリオール、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有し、1分子中に3個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリ酸無水物、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有し、1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート及び炭素数30〜50の炭化水素鎖を有し、1分子中に3個以上の1級又は2級のアミノ基を有するポリアミンの群より選ばれる化合物であって、かつ官能基が後記硬化剤と反応することのできる化合物の少なくとも1種と、
該化合物と反応することのできる官能基を1分子中に2個以上有し、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有する少なくとも1種の硬化剤を必須成分とする
ことを特徴とする組成物。
[7]さらにリン含有有機化合物を含有することを特徴とする前記[5]または[6]に記載の組成物。
[8]前記[5]〜[7]のいずれか1項に記載の組成物を硬化してなる硬化物。
[9]UL94 VTM法による難燃性試験でVTM−0の難燃性を発現することを特徴とする前記[8]に記載の硬化物。
なお、本明細書においては、有機溶媒に溶解するものであれば、たとえ、架橋しているものであっても、「樹脂」と定義する。また、架橋密度が高くなり、その結果、有機溶媒に不溶化したものを「硬化物」と定義する。
本発明の樹脂、組成物及び硬化物によれば、下記の利点が得られる。
(1)本発明の樹脂は、ハロゲン含有難燃剤、リン系難燃剤を使用しない場合であっても、UL−94 VTM−0レベルの難燃性を発現することができる。この樹脂によれば、UL−94 VTM−0レベルの難燃性を有する硬化物が容易に得られる。
(2)本発明の組成物によれば、UL−94 VTM−0レベルの難燃性を有する硬化物が容易に得られる。UL−94 VTM−0レベルの難燃性を有する硬化物を得るために、多くの成分の添加を必要とせず、比較的簡単な組成である。
(3)本発明の硬化物は、UL−94 VTM−0レベルの難燃性を発現するとともに、電気絶縁性に優れている。
以下、本発明を具体的に説明する。
<本発明に用いられる化合物>
本発明に用いられる化合物としては、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリオール、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸の低級エステル、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリ酸無水物、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリイソシアネート、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリアミンが挙げられる。
これらの化合物から得られる本発明の樹脂および硬化物では、複数の炭素数30〜50の2価以上の炭化水素鎖が、アミド結合、エステル結合、ウレタン結合、ウレア結合またはカーボネート結合を介して結合している。このため、本発明の樹脂および硬化物では、優れた難燃性を発現できる。
本発明の樹脂および硬化物が、UL94 VTM法の難燃性試験でVTM−0の難燃性を発現する理由は完全には定かではないが、以下のような機構によるものであると推測される。
一般に、樹脂が火炎により熱せられることによって、まず分子鎖の解裂し易い部分が解裂する。例えば、アミド結合、エステル結合部位、カーボネート結合部位、ウレタン結合部位に比べ、炭化水素鎖の炭素−炭素結合は解裂しにくい。従って、まず、解裂し易い、アミド結合、エステル結合部位、カーボネート結合部位、ウレタン結合部位等の結合部位が解裂することになる。燃焼は、一般に気相中で起こるので、解裂(分解反応)によって分子鎖が小さく(即ち、分子の分子量が小さく)なり、その分子鎖がガス化可能な程に低分子量であれば、ガス化して気相にて燃焼を継続的に持続することになるが、分解してできた分子鎖が一定の分子量以上のものばかりでガス化しない場合には、その時点で、燃焼を継続させるための可燃性ガスを発生しない。そのために、燃焼作用を継続することが出来なくなる。燃焼を継続するためには、熱分解してできた一定分子量以上の分子が更に熱分解して、ガス化できる分子量まで分解し、それが気相で燃焼することにより、更に系内に新たに熱エネルギーを供給し、次の分解反応を引き起こす必要がある。
一方、分解反応は吸熱反応なので、系内の熱を吸収することが出来る。従って、分解し易い結合が解裂して、分解してできた分子鎖がガス化しないような分子量のもので止まることが出来れば、分解反応による吸熱で系内の温度上昇を抑制し、その結果、燃焼を継続することができなくなる。
本発明の樹脂および硬化物のように、炭化水素の構造単位の炭素数が30〜50の範囲であり、さらに、その構造単位同士が解裂し易い結合を介してつながっている場合には、前記で説明したような機構が発現するものと考えられる。
炭化水素の構造単位の炭素数が29未満の場合には、分解してできた分子鎖の一部或いは全部がガス化して燃焼作用を引き起こしやすくなる。また、炭化水素の構造単位の炭素数が51以上の場合には、樹脂中に存在する解裂し易い結合部位の数が少なくなり、その結果、分解反応によって生じる吸熱量が不足してしまい、系内の温度上昇を抑制しがたくなる。
また、本発明に用いられる化合物において、炭素数30〜50の炭化水素鎖はエポキシ環を有していてもよい。
炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸としては、具体的には以下の化合物(1)〜(2)が挙げられる。
Figure 0005546128
Figure 0005546128
炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリオールとしては、具体的には以下の化合物(3)〜(5)が挙げられる。
Figure 0005546128
Figure 0005546128
Figure 0005546128
炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリアミンとしては、具体的には以下の化合物(6)が挙げられる。
Figure 0005546128
炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリイソシアネートとしては、具体的には以下の化合物(7)が挙げられる。
Figure 0005546128
<本発明の樹脂(A)>
本発明の新規な樹脂(A)は、下記式(I)で表される繰り返し単位を有し、UL94 VTM法による難燃性試験でVTM−0の難燃性を発現する。
Figure 0005546128
前記式(I)中、Cは、主成分が、それぞれ独立に炭素数30〜50の2価の炭化水素鎖である。Aは、それぞれ独立にアミド結合、エステル結合、ウレタン結合、ウレア結合またはカーボネート結合である。言い換えると、樹脂(A)は、上記式(I)で表される有機基が複数結合した分子鎖を有する。樹脂(A)は、たとえば、Cが炭素数30の2価の炭化水素鎖であり、Aがアミド結合である構成単位の隣に、Cが炭素数35の2価の炭化水素鎖であり、Aがエステル結合である構成単位が結合しているなど、異なる構成単位が複数結合していてもよい。
ここで、Aは、エステル結合の場合、−OCO−、−COO−の何れも含む。同様に、アミド結合の場合、−NHCO−、−CONH−、ウレタン結合の場合には、−NHCOO−、−OCONH−の何れも含む。
なお、本明細書中、「炭化水素鎖」には、アミド結合、エステル結合、ウレタン結合、ウレア結合およびカーボネート結合中の炭素は含まれない。
また、1分子中の全炭化水素鎖単位に含まれる炭素の合計量のうち、90質量%以上が炭素数30〜50の2価の炭化水素鎖であることが望ましい。1分子中の全炭化水素鎖単位に含まれる炭素の合計量のうち、何質量%が30〜50の2価の炭化水素鎖であれば、UL94 VTM法の難燃性試験でVTM−0の難燃性を発現するかについては、樹脂の構造にも依存するので一概には言えないが、前記範囲にあることが好ましい。Cの全てが炭素数30〜50の2価の炭化水素鎖(すなわち、炭素数30〜50の2価の炭化水素鎖を有する2価の有機基)であることが難燃性の観点からより好ましい。
炭素数30〜50の2価の炭化水素鎖としては、入手の容易さの観点から、ダイマー酸或いは水添ダイマー酸、及びそれらの化合物由来のポリオール、ポリアミン、ポリイソシアネートが好ましい。
Aとしては、難燃性の発現しやすさ及び有機溶媒への溶解性の観点から、ウレタン結合或いはカーボネート結合であることが好ましい。
また、炭素数30〜50の2価の炭化水素鎖は、水酸基などの置換基を有していてもよく、エポキシ環を有していてもよい。
Cは、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリオール、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリ酸無水物、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリイソシアネート、または炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリアミンから誘導されることが好ましい。これは、合成の容易さ及び分子設計上の自由度の観点による。さらに、Cは、シクロヘキサン環および/またはシクロヘキセン環を有する有機基であることが好ましい。
前記式(I)で表される繰り返し単位としては、具体的には以下の繰り返し単位(8)〜(19)が挙げられる。
Figure 0005546128
Figure 0005546128
Figure 0005546128
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Figure 0005546128
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樹脂(A)は、上述したような繰り返し単位を有するため、ハロゲン含有難燃剤、リン系難燃剤を使用しない場合であっても難燃性に優れている。すなわち、リン系難燃剤等を使用しなくても、UL94 VTM法による難燃性試験でVTM−0の難燃性を発現する。なお、難燃性試験方法については実施例において詳述する。
前記(A)は、数平均分子量が好ましくは3,000〜40,000、より好ましくは、4,000〜30,000であることが望ましい。重量平均分子量が好ましくは10,000〜300,000、より好ましくは、15,000〜100,000であることが望ましい。
また、樹脂(A)の重量平均分子量については、特に制限はないが、一般的には、樹脂のタックを軽減することが必要な場合には、重量平均分子量が10000以上であることが好ましい。
なお、本明細書に記載の重量平均分子量は、ゲルパーミネーションクロマトグラフ法(以下、GPCと記す。)で、ポリスチレンの標準物質を使用して作成した検量線から算出した値である。
次に、樹脂(A)の製造方法について説明する。
本発明の樹脂(A)の製造方法は、以下の(a)〜(j)の少なくとも1つの反応を用いることを特徴とする。
〔反応(a)〕
反応(a)は、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリオールと、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸またはポリカルボン酸の低級アルコールのエステルとの重縮合反応(エステル化もしくはエステル交換反応)である。
例えば、前記式(1)及び/又は前記式(2)で表されるジカルボン酸と前記式(3)及び/又は前記式(4)で表されるジオールとの重縮合反応を挙げることができる。場合によっては、前記式(5)で表されるようなポリオールをゲル化しない範囲で、ジオールと併用することもできる。
エステル化反応(重縮合反応)は、一般的にポリエチレンテレフタレートを製造する際に行われている手法、或いは、ベンゼン、トルエン等の有機溶媒中で酸触媒の存在下で、溶媒を還流させながら生成する水を留去することによって行ってもよい。
〔反応(b)〕
反応(b)は、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリアミンと炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸との重縮合反応(アミド化反応)である。
例えば、前記式(1)及び/又は前記式(2)で表されるジカルボン酸と、前記式(6)で表されるジアミンとの重縮合反応を挙げることができる。
アミド化反応(重縮合反応)は、6,6−ナイロンを製造する際に行われている手法、或いは、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の縮合剤を用いて、低温の有機溶媒中で行ってもよい。
〔反応(c)〕
反応(c)は、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリイソシアネートと炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸との脱炭酸反応を伴う重付加反応である。
例えば、前記式(1)及び/又は前記式(2)で表されるジカルボン酸と、前記式(7)で表されるジジイソシアネートとの脱炭酸反応を伴うアミド化反応を挙げることができる。
この脱炭酸反応を伴うアミド化反応は、一般的にジブチル錫ジラウレート或いは3級アミンのような触媒を使用して、加熱することによって行われる。必要に応じて、有機溶媒で希釈して反応を行ってもよい。
〔反応(d)〕
反応(d)は、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリオールと炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリイソシアネートとの重付加反応である。
例えば、前記式(7)で表されるジイソシアネートと前記式(3)及び/又は前記式(4)で表されるジオールとの重付加反応を挙げることができる。場合によっては、前記式(5)で表されるようなポリオールをゲル化しない範囲で、ジオールと併用することもできる。
この重付加反応は、一般にはジブチル錫ジラウレート、3級アミン或いはカルボン酸のような触媒を使用して、加温して行われる。必要に応じて、有機溶媒で希釈して反応を行ってもよい。
〔反応(e)〕
反応(e)は、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリアミンと炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリイソシアネートとの重付加反応である。
例えば、前記式(7)で表されるジイソシアネートと前記式(6)で表されるジアミンとの重付加反応を挙げることができる。
この重付加反応は、一般的には、無触媒下で、室温或いは加熱して行われる。また、必要に応じて、有機溶媒で希釈して反応を行ってもよい。
〔反応(f)〕
反応(f)は、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリオールと、ジアルキルカーボネートまたはジアリールカーボネートとの反応、あるいは、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリオールとホスゲンとの反応によるポリカーボネート生成反応である。
まず、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリオールと、ジアルキルカーボネートまたはジアリールカーボネートとの反応は、例えば、前記(3)及び/又は前記(4)で表されるジオールと、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネート或いはジフェニルカーボネートのようなジアリ−ルカーボネートとのエステル交換反応を挙げることができる。
このポリカーボネート生成反応は、一般的には、二酸化鉛、テトライソプロポキシチタン、炭酸カリウム等の触媒の存在下、加温して、生成するアルコール或いはフェノール類を系外に除去しながら行われる。
また、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリオールとホスゲンとの反応は、例えば、前記(3)及び/又は前記(4)で表されるジオールと、ホスゲンと反応させ、生成する塩酸を除去しながら行われる。
〔反応(g)〕
反応(g)は、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリアミンと、ホスゲンとの反応によるポリ尿素生成反応である。
例えば、前記式(6)で表されるジアミンとホスゲンとを反応させ、生成する塩酸を除去しながら行われる。
〔反応(h)〕
反応(h)は、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリアミンと炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸無水物とのポリアミド化反応である。
例えば、前記式(6)で表されるジアミンと炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸無水物とを常温或いは加熱して反応させる。
〔反応(i)〕
反応(i)は、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリイソシアネートと炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸無水物との脱炭酸反応を伴う重付加反応である。
例えば、前記式(7)で表されるジイソシアネートと炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸無水物とを、無触媒或いは触媒の存在下、加熱して反応させる。
〔反応(j)〕
反応(j)は、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリアミンと炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸エステルとのエステル−アミド交換反応である。
例えば、前記式(1)及び/又は前記式(2)で表されるジカルボン酸とアリルアルコール等のアルコール類とのエステル化反応でジカルボン酸エステルを生成する。このジカルボン酸エステルと前記式(6)で表されるジアミンとを、無触媒或いは触媒の存在下、加熱して反応させる。アルコールを反応系外に留去することによって、ポリアミド化合物を得ることができる。
これらのうちで、好ましい樹脂(A)とその製造方法について、以下に、より具体的に述べる。
(1)Cとして、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジオールから誘導される構造単位および炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジイソシアネートから誘導される構造単位を有し、Aとして、ウレタン結合を有する樹脂(A)は、難燃性の発現しやすさ及び有機溶媒への溶解性の観点から好ましい。また、ジオールから誘導される構造単位とジイソシアネートから誘導される構造単位との合計に対して、ジオールから誘導される構造単位を45〜55モル%、ジイソシアネートから誘導される構造単位を45〜55モル%有することが好ましい。
この樹脂は、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジオールと炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジイソシアネートとの重付加反応によって得られる(反応(d))。ここで、ジオール100質量部に対して、ジイソシアネートを80〜130質量部用いることが好ましい。
(2)Cとして、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジオールから誘導される構造単位および炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジイソシアネートから誘導される構造単位を有し、Aとして、カーボネート結合およびウレタン結合を有する樹脂(A)は、難燃性の発現しやすさ及び有機溶媒への溶解性の観点から好ましい。また、ジオールから誘導される構造単位とジイソシアネートから誘導される構造単位との合計に対して、ジオールから誘導される構造単位を60〜80モル%、ジイソシアネートから誘導される構造単位を20〜40モル%有することが好ましい。カーボネート結合およびウレタン結合の合計に対して、カーボネート結合を60〜80モル%、ウレタン結合を20〜40モル%有することが好ましい。
この樹脂は以下のようにして得られる。まず、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジオールと、ジアルキルカーボネート或いはジアリールカーボネートとを用いて、両末端が水酸基であるポリカーボネートを生成する(反応(f))。ここで、ジオール100質量部に対するジアルキルカーボネート或いはジアリールカーボネートの量は、ジアルキルカーボネート或いはジアリールカーボネートの種類によって異なるが、例えば、ジエチルカーボネートを使用した場合には、ジオール100質量部に対して、1.5〜4質量部であることが一般的である。また、ジエチルカーボネートは、一括で反応前に反応容器に仕込まれる場合も、反応の進行に伴い断続的に添加される場合もある。
次に、得られたポリカーボネートと炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジイソシアネートとの重付加反応によって樹脂(A)を得る(反応(d))。ここで、ポリカーボネート100質量部に対して、ジイソシアネートを17〜55質量部用いることが好ましい。
(3)Cとして、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジオールから誘導される構造単位、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジカルボン酸から誘導される構造単位および炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジイソシアネートから誘導される構造単位を有し、Aとして、エステル結合およびウレタン結合を有する樹脂(A)は、有機溶媒への溶解性の観点から好ましい。また、ジオールから誘導される構造単位、ジカルボン酸から誘導される構造単位およびジイソシアネートから誘導される構造単位の合計に対して、ジオールから誘導される構造単位を50〜70モル%、ジカルボン酸から誘導される構造単位を15〜35モル%、ジイソシアネートから誘導される構造単位を15〜35モル%有することが好ましい。エステル結合およびウレタン結合の合計に対して、エステル結合を30〜70モル%、ウレタン結合を30〜70モル%有することが好ましい。
この樹脂は以下のようにして得られる。まず、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジオールと、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジカルボン酸との重縮合反応によって、両末端が水酸基であるポリエステルジオールを生成する(反応(a))。ここで、ジオール100質量部に対して、ジカルボン酸を50〜85質量部用いることが好ましい。
次に、得られたポリエステルジオールと炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジイソシアネートとの重付加反応によって樹脂(A)を得る(反応(d))。ここで、ポリエステルジオール100質量部に対して、ジイソシアネートを17〜55質量部用いることが好ましい。
(4)Cとして、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジオールから誘導される構造単位、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジアミンから誘導される構造単位および炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジイソシアネートから誘導される構造単位を有し、Aとして、ジオールとジイソシアネートとから得られるウレタン結合、およびジアミンとジイソシアネートとから得られるウレア結合を有する樹脂(A)は、難燃性の観点から好ましい。また、ジオールから誘導される構造単位、ジアミンから誘導される構造単位およびジイソシアネートから誘導される構造単位の合計に対して、ジオールから誘導される構造単位を15〜35モル%、ジアミンから誘導される構造単位を15〜35モル%、ジイソシアネートから誘導される構造単位を50〜70モル%有することが好ましい。ウレタン結合およびウレア結合の合計に対して、ウレタン結合を50〜70モル%、ウレア結合を30〜50モル%有することが好ましい。
この樹脂は、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジオール、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジアミン、および炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジイソシアネートを混合して、重付加反応(d)および(e)を同時に行って得られる。ここで、ジオール100質量部に対して、ジアミンを40〜100質量部、ジイソシアネートを140〜470質量部用いることが好ましい。
(5)Cとして、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジカルボン酸から誘導される構造単位、および炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジアミンから誘導される構造単位を有し、Aとして、アミド結合を有する樹脂(A)は、自立膜の形成力の高さの観点から好ましい。また、ジカルボン酸から誘導される構造単位、およびジアミンから誘導される構造単位の合計に対して、ジカルボン酸から誘導される構造単位を45〜55モル%、ジアミンから誘導される構造単位を45〜55モル%有することが好ましい。
この樹脂は以下のようにして得られる。まず、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジカルボン酸とアリルアルコール等のアルコール類とのエステル化反応でジカルボン酸エステルを生成する。ここで、ジカルボン酸1.0モルに対して、アルコール類を2.1〜3モル用いることが好ましい。
次に、このジカルボン酸エステルと炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するジアミンとを反応させて、樹脂(A)を得る(反応(j))。ここで、ジカルボン酸エステル1.0モルに対して、ジアミンを1.05〜1.3モル用いることが好ましい。
<組成物(B)>
本発明の組成物(B)は、上述した樹脂と、該樹脂と反応することのできる官能基を有する硬化剤を必須成分とする組成物であって、
前記樹脂が、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、イソシアネート基及び1級又は2級のアミノ基の群より選ばれる少なくとも1種以上の官能基であり、かつ前記硬化剤との反応性を有する官能基を1分子中にm個有する分子からなる樹脂であり、
前記硬化剤が、前記樹脂と反応することのできる官能基を1分子中にn個有し、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有する分子からなる硬化剤である
ことを特徴とする組成物(m及びnの平均値は、それぞれ2以上であり、mの平均値とnの平均値の和は5以上である。)。
すなわち、本発明の組成物(B)は、樹脂(A’)と硬化剤(E)とを含む。樹脂(A’)は、上述した樹脂(A)の中で、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、イソシアネート基及び1級又は2級のアミノ基の群より選ばれる少なくとも1種の官能基であり、かつ硬化剤(E)の有する官能基と反応しうる官能基を1分子中にm個有する分子からなる樹脂である。
硬化剤(E)は、樹脂(A’)の有する官能基と反応しうる官能基を1分子中にn個有し、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有する分子からなる硬化剤である。上述した本発明に用いられる化合物から好適に選ばれる。
m及びnの平均値は、それぞれ2以上であり、mの平均値とnの平均値の和は5以上である。その理由は、mの平均値とnの平均値の和が5未満のときは、3次元架橋構造を有することが出来なくなるからである。なお、樹脂(A’)を形成する分子のそれぞれのmは、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜6の整数であり、硬化剤(E)を形成する分子のそれぞれのnは、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜6の整数である。mの平均値は好ましくは2〜8、より好ましくは2〜6である。nの平均値は好ましくは好ましくは2〜8、より好ましくは2〜6である。
また、mの平均値とnの平均値との和は、好ましくは5〜12の範囲、より好ましくは6〜10の範囲である。
mの平均値とnの平均値は、それぞれ以下のように定義される。
mは、樹脂(A’)の原料の官能基数から計算されるものであり、例えば、ジオールとトリイソシアネート化合物を4:5のモル比で反応させた場合、樹脂(A’)1分子中に存在する平均の官能基(イソシアネート基)の数は、3×5−2×4=7、即ち、mの平均値は7となる。
硬化剤(E)は、単一の分子量の化合物の場合も、分子量分布を有する化合物の場合もあるが、硬化剤(E)が、4つの水酸基を有する単一分子量の化合物の場合には、構造式からわかるように、n=4となり、この場合にはnの平均値もそのまま4となる。また、分子量分布を有する場合には、例えば、ジイソシアネート化合物とトリオールを4:5のモル比で反応させた硬化剤(E)の場合、硬化剤(E)1分子中に存在する平均の官能基(水酸基)の数は、3×5−2×4=7、即ち、nの平均値は7となる。
組成物(B)は、樹脂(A’)と硬化剤(E)の組み合わせによって、その配合比を一概に規定することは困難であるが、例えば、硬化剤(E)がリン含有の化合物或いは炭素数30〜50の炭化水素鎖を有する化合物のような硬化剤自身が難燃性能に寄与できる構造を有する場合には、樹脂(A’)と硬化剤(E)の質量比はあまり問題にならず、樹脂(A’)と硬化剤(E)中に含まれる官能基数の比のみが大きく影響する。即ち、組成物(B)は、樹脂(A’)の官能基数と硬化剤(E)の官能基数の比を0.65〜2の範囲にすることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.5の範囲であることが望ましい。
また、硬化剤(E)が、難燃性能に寄与できる構造を有していない化合物の場合には、樹脂(A’)と硬化剤(E)の質量比が、難燃性の発現において重要になる。即ち、樹脂(A’)100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、更に好ましくは、7質量部以下である。また、前述のように、樹脂(A’)の官能基数と硬化剤(E)の官能基数の比を0.65〜2の範囲にすることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.5の範囲であることが望ましい。
組成物(B)の必須成分である、樹脂(A’)は、例えば、前記構造式5で表される多価アルコールと前記構造式7で表されるジイソシアネートの反応物である、1分子中に4個以上の水酸基を有する分子からなる樹脂(A’−1)、前記構造式7で表されるジイソシアネートと前記構造式6のジアミンを、イソシアネート数がアミン数よりも多い条件で反応させた反応物である、1分子中に2個のイソシアネート基を有する樹脂(A’−2)等を挙げることができる。この場合、樹脂(A’−1)において、mの平均値は4〜8であることが好ましい。また、樹脂(A’−2)において、mの平均値は2となる。
また、組成物(B)の必須成分である、硬化剤(E)としては、例えば、樹脂(A’)として樹脂(A’−1)が用いられたときは、前記構造式7で表されるジイソシアネート等を挙げることが出来る。この場合、nの平均値は2となり、樹脂(A’−1)および硬化剤(E)の官能基同士の反応によってウレタン結合が生成し、架橋して硬化物が得られる。また、樹脂(A’)として樹脂(A’−2)が使用された場合には、例えば、前記構造式5で表されるポリオールのような1分子中にイソシアネート基と反応することのできる官能基を有する化合物等を挙げることが出来る。この場合、nの平均値は4となり、樹脂(A’−2)および硬化剤(E)の官能基同士の反応によってウレタン結合が生成し、架橋して硬化物が得られる。
<組成物(C)>
本発明の組成物(C)は、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有し、1分子中に3個以上の水酸基を有するポリオール、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有し、1分子中に3個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリ酸無水物、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有し、1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート及び炭素数30〜50の炭化水素鎖を有し、1分子中に3個以上の1級又は2級のアミノ基を有するポリアミンの群より選ばれる化合物であって、かつ官能基が後記硬化剤と反応することのできる化合物の少なくとも1種と、
該化合物と反応することのできる官能基を1分子中に2個以上有し、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有する少なくとも1種の硬化剤を必須成分とする
ことを特徴とする。
すなわち、本発明の組成物(C)は、化合物(F)の少なくとも1種と硬化剤(G)とを含む。化合物(F)は、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有し、1分子中に3個以上の水酸基を有するポリオール、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有し、1分子中に3個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリ酸無水物、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有し、1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート及び炭素数30〜50の炭化水素鎖を有し、1分子中に3個以上の1級又は2級のアミノ基を有するポリアミンの群より選ばれる化合物であって、この化合物の有する官能基が硬化剤(G)の有する官能基と反応することのできる化合物である。硬化剤(G)は、化合物(F)が有する官能基と反応することのできる官能基を1分子中に2個以上有し、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有する少なくとも1種の硬化剤である。化合物(F)と硬化剤(G)とは、上述した本発明に用いられる化合物から好適に選ばれる。
組成物(C)は、化合物(F)と硬化剤(G)の組み合わせによって、その配合比を一概に規定することは困難であるが、例えば、硬化剤(G)がリン含有の化合物或いは炭素数30〜50の炭化水素鎖を有する化合物のような硬化剤自身が難燃性能に寄与できる構造を有する場合には、化合物(F)と硬化剤(G)の質量比はあまり問題にならず、化合物(F)と硬化剤(G)中に含まれる官能基数の比のみが大きく影響する。即ち、組成物(C)は、化合物(F)の官能数と硬化剤(G)の官能基数の比を0.65〜2の範囲にすることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.5の範囲であることが望ましい。
また、硬化剤(G)が、難燃性能に寄与できる構造を有していない化合物の場合には、化合物(F)と硬化剤(G)の質量比が、難燃性の発現において重要になる。即ち、化合物(F)100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、更に好ましくは、7質量部以下である。また、前述のように、化合物(F)の官能数と硬化剤(G)の官能基数の比を0.65〜2の範囲にすることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.5の範囲であることが望ましい。
組成物(C)の必須成分である、化合物(F)の例として、前記構造式5で表される化合物を使用した場合には、硬化剤(G)としては、例えば、前記構造式1で表される化合物、前記構造式2で表される化合物、前記構造式7で表される化合物等を挙げることができる。前記構造式5で表される化合物と、前記構造式1で表される化合物、または前記構造式2で表される化合物とを組み合わせたときは、化合物(F)および硬化剤(G)の官能基同士の反応によってエステル結合が生成し、架橋して硬化物が得られる。前記構造式5で表される化合物と、前記構造式7で表される化合物とを組み合わせたときは、化合物(F)および硬化剤(G)の官能基同士の反応によってウレタン結合が生成し、架橋して硬化物が得られる。
本発明の組成物(B)又は本発明の組成物(C)は、リン含有有機化合物を含まない場合であっても、優れた難燃性および電気絶縁性を有するが、さらにリン含有有機化合物を含有していてもよい。
本発明に用いられるリン含有有機化合物は、難燃性を発現するものでリンを分子中に含有する有機化合物であれば、特に制限はない。
前記リン含有有機化合物としては、例えば、以下の化合物を挙げることができる。
Figure 0005546128
Figure 0005546128
Figure 0005546128
Figure 0005546128
Figure 0005546128
Figure 0005546128
(一般式(1)中のR1、R2は互いに同一でも異なっていてもよく、一価の直鎖状のまたは枝分かれした炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基であり、MはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kからなる群の少なくとも1種より選択される金属類であり、mは1〜4の整数である。)
Figure 0005546128
(一般式(2)中のR4、R5は互いに同一でも異なっていてもよく、一価の直鎖状のまたは枝分かれした炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基であり、R3は二価の直鎖状のまたは枝分かれした炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数6〜10のアリーレン基、又はアルキルアリーレン基、又はアリールアルキレン基であり、MはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kからなる群の少なくとも1種より選択される金属類であり、nは1〜4の整数であり、そして、xは1〜4の整数である。)
また、例えば、下記のリン含有のエポキシ基含有化合物や下記のリン含有のアルコ−ル等の反応性リン含有有機化合物を使用することもできる。
Figure 0005546128
Figure 0005546128
これらのリン含有有機化合物の中では、組成物中の耐熱性を落とさないものが好ましく、具体的には、一般式(1)で表されるホスフィン酸塩又は一般式(2)で表されるジホスフィン酸塩や反応性リン含有有機化合物がある。一般式(1)で表されるホスフィン酸塩又は一般式(2)で表されるジホスフィン酸塩の例としては、クラリアントジャパン(株)製OP−930(商品名)或いはOP−935等がそれに当たる。また、反応性リン含有有機化合物としては、前記リン含有のエポキシ基含有化合物や前記リン含有のアルコ−ルがそれに当たる。
本発明の組成物(B)または(C)におけるリン含有有機化合物の配合比率は、組成物(B)または(C)の全量に対して5〜50質量%の範囲であることが、被膜強度と難燃性のバランスから好ましい。
本発明の組成物(B)または(C)は、後述の本発明の硬化物(E)を製造するための硬化反応を促進するために、さらに触媒を含んでいてもよい。その触媒は、硬化反応の反応形式によって異なるが、例えば、水酸基とイソシアネート基の反応によって硬化反応を行う場合には、ジブチル錫ジラウレート等の有機錫化合物、或いは、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミンを触媒に用いることができる。また、硬化反応が、エポキシ基とカルボン酸との付加反応の場合には、例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2,4−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノー6−ビニル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のトリアジン環を有する化合物、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1−ベンジルー2−メチルイミダゾール、2−フェニルー4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−アミノエチルー2−エチルー4−メチルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−(シアノエチルアミノエチル)−2−メチルイミダゾール、N−[2−(2−メチルー1−イミダゾリル)エチル]尿素、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、N,N’−ビス(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)尿素、N,N’−ビス(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)アジポアミド、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4.5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリルー(1’)]−エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2―メチルー4−フォルミルイミダゾール、2−エチルー4−メチルー5−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルフォルミルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、ビニルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1−アリルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、2−ブチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール臭化水素塩、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド等のイミダゾール及びその誘導体、ジシアンジアジド、トリフェニルフォスフィン等の触媒を用いることができる。
これら触媒の使用量は、触媒の種類及び硬化形式によって異なるが、触媒を使用する場合には、組成物(B)では、組成物(B)では、組成物(B)全量100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部であることが好ましい。組成物(C)では、組成物(C)全量100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部であることが好ましい。
また、本発明の組成物(B)および(C)は、作業性を改善するために、さらに、消泡剤を含んでいてもよい。消泡剤は、文字通り、本発明の組成物(B)および(C)を印刷する際に、発生する気泡を消す作用を有するものであれば、特に制限はない。
消泡剤の具体例としては、例えば、BYK−077(ビックケミー・ジャパン(株)製)、SNデフォーマー470(サンノプコ(株)製)、TSA750S(GE東芝シリコーン(株)製)、シリコーンオイルSH−203(東レ・シリコーン(株)製)等のシリコーン系消泡剤、ダッポーSN−348(サンノプコ(株)製)、ダッポーSN−354(サンノプコ(株)製)、ダッポーSN−368(サンノプコ(株)製)等のアクリル重合体系消泡剤、サーフィノールDF−110D(日清化学工業(株)製)、サーフィノールDF−37(日清化学工業(株)製)等のアセチレンジオール系消泡剤、FA−630等のフッ素含有シリコーン系消泡剤等を挙げることができる。
これらの中で好ましい消泡剤は、シリコーン系消泡剤やフッ素含有シリコーン系消泡剤であり、さらに好ましくは、シリコーン系消泡剤である。
これら消泡剤の使用量は、組成物(B)では、組成物(B)全量100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部であることが好ましい。組成物(C)では、組成物(C)全量100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部であることが好ましい。
また、本発明の組成物(B)および(C)は、必要に応じて、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、メタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、石油エーテル、石油ナフサなどの石油系溶剤、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類、エチルカルビトール、ブチルカルビトールなどのカルビトール類、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエ−テルアセテートなどの酢酸エステル類、γ―ブチルラクトンなどの環状エステル類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒等の公知の溶媒を含んでいてもよい。また、これらの溶媒は、単独で使用しても、2種類以上の溶媒を混合して使用してもよい。
これら溶媒の使用量は、組成物の各成分に依存し一概には言えないが、溶媒の使用が必要な場合には、組成物(B)では、組成物(B)全量100質量部に対して、10質量部〜60質量部であることが好ましく、組成物(C)では、組成物(C)全量100質量部に対して、10質量部〜60質量部であることが好ましい。
さらに、本発明の組成物(B)および(C)は、必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の公知の着色剤等を含んでいてもよい。
これら着色剤を使用する場合には、その使用量は、組成物(B)では、組成物(B)の全質量から有機溶媒の質量を除いた質量を100質量部とした場合に、0.1〜3.0質量部であることが好ましい。組成物(C)では、組成物(C)の全質量から有機溶媒の質量を除いた質量を100質量部とした場合に、0.1〜3.0質量部であることが好ましい。
さらに、本発明の組成物(B)および(C)は、必要に応じて、シリカ等の無機化合物を含んでいてもよい。
これら無機化合物を使用する場合には、その使用量は、組成物(B)では、組成物(B)の全質量から有機溶媒の質量を除いた質量を100質量部とした場合に、0.1質量部〜30質量部であることが好ましい。
本発明の組成物(B)および(C)は、一般的には、配合成分の一部或いは全部をロールミル、ビーズミル等で均一に混練、混合することによって得ることができる。
<硬化物(D)>
本発明の硬化物(D)は、本発明の組成物(B)および(C)のいずれかを硬化してなる。このように、硬化物(D)は、多くの成分の添加を必要とせず、比較的簡単な組成を有する組成物によって容易に得られる。
硬化物(D)を得るための硬化条件は、硬化形式によって異なるが、例えば、水酸基とイソシアネート基の反応によって硬化反応を行う場合には、無触媒で加熱することにより硬化したり、ジブチル錫ジラウレート等の有機錫化合物、或いは、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミンを触媒に用いて、室温又は加熱することによって硬化することができる。
このようにして得られた硬化物(D)は、複数の炭素数30〜50の2価の炭化水素鎖が、アミド結合、エステル結合、ウレタン結合、ウレア結合またはカーボネート結合を介して結合している。すなわち、硬化物(D)は、前記式(I)の構造が架橋してなる。したがって、本発明の硬化物(D)は、ハロゲン含有難燃剤、リン系難燃剤を使用しない場合であっても、UL−94 VTM−0レベルの難燃性を発現することができる。なお、難燃性試験方法については実施例において詳述する。
また、硬化物(D)は、電気絶縁性に優れている。
[実施例]
以下実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ制限されるものではない。
<平均分子量の測定>
GPCの測定条件は以下のとおりである。
装置名:日本分光(株)製HPLCユニット HSS−2000
カラム:ShodexカラムLF−804
移動相:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/min
検出器:日本分光(株)製 RI−2031Plus
温度:40.0℃
試料量:サンプルループ 100μリットル
試料濃度:0.1質量%前後に調製
前記の測定条件で、ポリスチレンの標準物質を使用して作成した検量線を用いて重量平均分子量を算出した。
[実施例1]
攪拌装置、温度計、コンデンサーを備えた反応容器に、ポリマーポリオールとして水素化ダイマージオール(商品名:SOVERMOL908 COGNIS製 炭化水素鎖の炭素数36個)53.71gと、ジイソシアネート化合物としてダイマージイソシアネート化合物(商品名:DDI1410 COGNIS製)60.11gと、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学株式会社製)115.4gとを仕込み、100℃で3時間、110℃で3時間、120℃で3時間反応を行い、ほぼイソシアネートが消失したことを確認した後、イソブタノール(和光純薬株式会社製)2.08gを滴下し、更に120℃で2時間反応を行った。これにより樹脂(A)を含む溶液(L1)が得られた。生成したポリマーの分子量は、GPCによる測定でMn=21600、Mw=89100であった。
[実施例2]
攪拌装置、温度計、コンデンサーを備えた反応容器に、ポリマーポリオールとして水素化ダイマージオール(商品名:SOVERMOL908 COGNIS製 炭化水素鎖の炭素数36個)214.8gと、ジイソシアネート化合物としてダイマージイソシアネート化合物(商品名:DDI1410 COGNIS製 炭化水素鎖の炭素数36個)240gと、溶媒としてジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学株式会社製)462gとを仕込み、100℃で3時間、110℃で3時間、120℃で3時間反応を行い、ほぼイソシアネートが消失したことを確認した後、イソブタノール(和光純薬株式会社製)2.08gを滴下し、更に120℃で2時間反応を行った。これにより樹脂(A)を含む溶液(L2)が得られた。生成したポリマーの分子量は、GPCによる測定でMn=19300、Mw=74600であった。
[実施例3]
攪拌装置、温度計、コンデンサーを備えた反応容器に、ポリマーポリオールとして水素化ダイマージオール(商品名:SOVERMOL908 COGNIS製 炭化水素鎖の炭素数36個)53.71gと、ジイソシアネート化合物としてダイマージイソシアネート化合物(商品名:DDI1410 COGNIS製 炭化水素鎖の炭素数36個)60.11gと、触媒としてジブチル錫オキサイド(エーピアイコーポレション製)0.1gと、溶媒としてジメトキシエタン(和光純薬株式会社製)80.6gとを仕込み、70℃で5時間反応を行い、ほぼイソシアネートが消失したことを確認した後、イソブタノール(和光純薬株式会社製)2.08gを滴下し、更に70℃で1時間反応を行った。これにより樹脂(A)を含む溶液(L3)が得られた。生成したポリマーの分子量は、GPCによる測定でMn=10700、Mw=36700であった。
[実施例4]
攪拌装置、温度計、塔頂部に分溜管を付けたビグリュー精溜管を備えた反応容器に、ポリマーポリオールとして水素化ダイマージオール(商品名:SOVERMOL908 COGNIS製 炭化水素鎖の炭素数36個)510g、ジメチルカーボネート(宇部興産製)725g及びテトラエトキシチタン0.1gを仕込み、加熱し、エステル交換により生成するメタノール、及びメタノールと共沸するジメチルカーボネートを還流しながら、浴温130℃で3時間反応させた。次いで生成したメタノールと共沸するジメチルカーボネートを溜出させながら、5時間かけて190℃まで徐々に昇温した。その後、ドライアイス−メタノールトラップを付けて、溜出液を凝縮出来るようにし、真空ポンプを用いて5時間かけて徐々に減圧度を高め、最終的に533.1Paの圧力まで減圧にし、そこで2時間更に反応させた。この後、110℃まで浴温を下げ、リン酸ジブチル(和光純薬製)0.1gを入れ、2時間攪拌した。得られたポリカーボネートジオールの水酸基価は56.5mg−KOH/gであった。
このようにして得られたダイマージオールベースのポリカーボネートジオール333.37g、ジイソシアネート化合物としてダイマージイソシアネート化合物(商品名:DDI1410 COGNIS製 炭化水素鎖の炭素数36個)100.18g、触媒してジブチル錫オキサイド(エーピアイコーポレション製)0.1gと、溶媒としてジメトキシエタン(和光純薬株式会社製)433.6gとを攪拌装置、温度計、塔頂部に分溜管を付けたビグリュー精溜管を備えた反応容器に仕込み、70℃で5時間反応を行い、ほぼイソシアネートが消失したことを確認した後、イソブタノール(和光純薬株式会社製)2.08gを滴下し、更に70℃で1時間反応を行った。これにより樹脂(A)を含む溶液(L4)が得られた。
生成したポリマーの分子量は、GPCによる測定でMn=9620、Mw=41900であった。
[実施例5]
攪拌装置、温度計、分溜管を備えた反応容器に、水添高純度ダイマー酸EMPOL1008(COGNIS製 炭化水素鎖の炭素数36個)418g、水素化ダイマージオールSOVERMOL908(COGNIS製 炭化水素鎖の炭素数36個)584.7gを仕込み、発生する水を溜去しながら180℃のオイルバスで3時間、210℃で2時間、230℃で2時間加熱して反応させた。得られたポリエステルポリオールの水酸基価は112.1mg−KOH/gであった。
このようにして得られたダイマー酸、ダイマージオールベースのポリエステルポリオール50g、ジイソシアネート化合物としてダイマージイソシアネート化合物(商品名:DDI1410 COGNIS製 炭化水素鎖の炭素数36個)30.06g、触媒としてジブチル錫オキサイド(エーピアイコーポレション製)0.1gと、溶媒としてジメトキシエタン(和光純薬株式会社製)50gとを攪拌装置、温度計、塔頂部に分溜管を付けたビグリュー精溜管を備えた反応容器に仕込み、70℃で5時間反応を行い、ほぼイソシアネートが消失したことを確認した後、イソブタノール(和光純薬株式会社製)1.26gを滴下し、更に70℃で1時間反応を行った。これにより樹脂(A)を含む溶液(L5)が得られた。
生成したポリマーの分子量は、GPCによる測定でMn=7230、Mw=47300であった。
[実施例6]
攪拌装置、温度計、コンデンサーを備えた反応容器に、ポリマーポリオールとして水素化ダイマージオール(商品名:SOVERMOL908 COGNIS製 炭化水素鎖の炭素数36個)40.61g、ジアミンとしてダイマージアミン(商品名:バーサミン551 COGNIS製 炭化水素鎖の炭素数36個)12.9g、ジイソシアネート化合物としてダイマージイソシアネート化合物(商品名:DDI1410 COGNIS製 炭化水素鎖の炭素数36個)60.11g、触媒としてジブチル錫オキサイド(エーピアイコーポレション製)0.05gと、溶媒としてジメトキシエタン(和光純薬株式会社製)80.6gとを仕込み、70℃で5時間反応を行い、ほぼイソシアネートが消失したことを確認した後、イソブタノール(和光純薬株式会社製)2.08gを滴下し、更に70℃で1時間反応を行った。これにより樹脂(A)を含む溶液(L6)が得られた。
生成したポリマーの分子量は、GPCによる測定でMn=6580、Mw=39200であった。
[実施例7]
攪拌装置、温度計、分溜管を備えた反応容器に、水添高純度ダイマー酸EMPOL1008(COGNIS製 炭化水素鎖の炭素数36個)とアリルアルコールより合成した水添高純度ダイマー酸ジアリル298.4g、ダイマージアミン(商品名:バーサミン551 COGNIS製 炭化水素鎖の炭素数36個)267.5gを仕込み、発生するアリルアルコールを溜去しながら180℃のオイルバスで3時間、210℃で2時間、230℃で2時間加熱して反応させた。得られた末端アミノ基を有するポリアミドを230℃でステンレスのバットに注入して固化させた。その後、N−メチルピロリドン512gを加えて溶解した。これにより樹脂(A)を含む溶液(L7)が得られた。
生成したポリマーの分子量は、GPCによる測定でMn=5000、Mw=17500であった。
[実施例8]
攪拌装置、温度計、コンデンサーを備えた反応容器に、ポリマーポリオールとして水素化ダイマージオール(商品名:SOVERMOL908 COGNIS製 炭化水素鎖の炭素数36個)136.9g、ジイソシアネート化合物としてダイマージイソシアネート化合物(商品名:DDI1410 COGNIS製 炭化水素鎖の炭素数36個)112.7gと、触媒としてジブチル錫オキサイド(エーピアイコーポレション製)0.25g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学株式会社製)249.6gとを仕込み、70℃で5時間反応を行った。これにより樹脂(A)を含む溶液(L8)が得られた。生成したポリマーの分子量は、GPCによる測定でMn=3380、Mw=10800であった。なお、このポリマーはジイソシアネート過剰で反応させたので、両末端に0.501mmol/gのイソシアネート基が含有されている。mの平均値は2であった。
[合成例1]
攪拌装置、温度計、コンデンサーを備えた反応容器に、下記構造式20及び下記構造式21の9:1(質量比)の混合物53.33g、Nafion−NR50 10.0g、30%過酸化水素水23.7gを仕込み、70℃で30時間攪拌を行った。その後、トルエンを200ml添加して、濾過後、濾液の溶媒を減圧留去した。残渣の1H−NMRを測定したところ、二重結合の約80%が、ジヒドロキシル化されていることが確認された。
構造式20
Figure 0005546128
構造式21
Figure 0005546128
[比較例1]
攪拌装置、温度計、コンデンサーを備えた反応容器に、ポリマーポリオールとしてクラレポリオール(商品名:C−1015N クラレ製ポリカーボネートジオール 炭化水素鎖の炭素数9個のジオールを原料としたポリカーボネートジオール)130.3g、ジイソシアネート化合物としてディスモジュール−W(住化バイエルウレタン製 炭化水素鎖の炭素数13個)262.4gと、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学株式会社製)165.8gとを仕込み、100℃で3時間、110℃で3時間、120℃で3時間反応を行い、ほぼイソシアネートが消失したことを確認した後、イソブタノール(和光純薬株式会社製)2.00gを滴下し、更に120℃で2時間反応を行った。これにより樹脂(A’)を含む溶液(L1’)が得られた。
生成したポリマーの分子量は、GPCによる測定でMn=10500、Mw=53200であった。
<難燃性試験用のサンプル溶液の調製1>
実施例1で製造した樹脂溶液(L1)50質量部に、消泡剤として、SNデフォーマー470(サンノプコ(株)製)0.34質量部を添加し、スパチュラを用いて均一に混合して、樹脂溶液1Aを調製した。
実施例2〜実施例8及び比較例1で製造した樹脂溶液についても、表1に示すように消泡剤を添加し、スパチュラを用いて均一に混合することによって、樹脂溶液2A〜樹脂溶液8A及び樹脂溶液1aを調製した。
<難燃性試験用のサンプル溶液の調製2>
実施例1で製造した樹脂溶液(L1)50質量部に、リン含有有機化合物して、クラリアントジャパン(株)製OP935(商品名)15質量部を加え、この配合物を3本ロールミル(商品名:230型変速式ベンチロール BR−230V,アイメックス(株)製)を用いて混練した。さらに、この混練された配合物に、SNデフォーマー470(サンノプコ(株)製)0.34質量部を加え、スパチュラを用いて均一に混合して、組成物1Bを調製した。
実施例2〜実施例6及び比較例1で製造した樹脂溶液についても、表1に示すように、リン含有有機化合物を添加して、3本ロールミル(商品名:230型変速式ベンチロール BR−230V,アイメックス(株)製)を用いて混練した。さらに、表1に示す消泡剤を添加し、スパチュラを用いて均一に混合することによって、組成物2B〜組成物6B及び組成物1bを調製した。
Figure 0005546128
[実施例9]難燃性試験および長期絶縁信頼性試験用サンプル溶液の調製(組成物(C)の製造)
合成例1で製造した化合物57.5質量部、ダイマージイソシアネート化合物(商品名:DDI1410 COGNIS製)120質量部、ジブチル錫ジラウレート1.6質量部、シリカ(商品名:アエロジル380PE,日本アエロジル(株)製)6.8質量部及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート30質量部を加え、この配合物を3本ロールミル(商品名:230型変速式ベンチロール BR−230V,アイメックス(株)製)を用いて混練した。さらに、この混練された配合物に、消泡剤として、SNデフォーマー470(サンノプコ(株)製)2.05質量部を添加し、スパチュラを用いて均一に混合して、組成物1Cを調製した。
なお、合成例1で製造した化合物に含まれる水酸基を1分子中に4個有する分子が、「化合物(F)の少なくとも1種」に相当し、すなわち、この分子は、硬化剤(G)の官能基と反応しうる官能基として水酸基を1分子中に4個有する。また、DDI1410が、硬化剤(G)に相当し、1分子中にイソシアネート基を2個有する。
[実施例10〜13]難燃性試験および長期絶縁信頼性試験用サンプル溶液の調製(組成物(C)の製造)
表2に示すような組成物を前記と同様の方法で調製して、組成物2C〜組成物5Cを調製した。
[実施例14]難燃性試験および長期絶縁信頼性試験用サンプル溶液の調製(組成物(B)の製造)
表2に示すような組成物を前記と同様の方法で調製して、組成物6Cを調製した。なお、実施例8で合成した樹脂が樹脂(A’)に相当し、mの平均値は2であり、合成例1で製造した化合物は硬化剤(E)に相当し、nの平均値は3.6であった。
Figure 0005546128
<難燃性試験>
樹脂溶液1A〜7A,樹脂溶液1a,組成物1B〜6B,組成物1bを、それぞれスクリーン印刷法により、200メッシュのステンレス製スクリーンを用いて、片面20μmの厚さ(乾燥後)になるようにポリイミドフィルム(商品名:カプトン100H、東レ・デュポン(株)製)に塗布し、80℃で30分間、熱風循環式乾燥機を用いて乾燥させた。次に、同様の方法でポリイミドフィルム(商品名:カプトン100H、東レ・デュポン(株)製)の反対側の面に塗布し、80℃で30分間、熱風循環式乾燥機を用いて乾燥させ、ポリイミドフィルムの両面に塗布された試験片を得た。この試験片を用いて、UL94 VTM法に準じて評価した。その結果を表1に示す。
また、組成物1C〜6Cを、それぞれスクリーン印刷法により、200メッシュのステンレス製スクリーンを用いて、片面20μmの厚さ(乾燥後)になるようにポリイミドフィルム(商品名:カプトン100H、東レ・デュポン(株)製)に塗布し、120℃で120分間、熱風循環式乾燥機を用いて乾燥させた。次に、同様の方法でポリイミドフィルム(商品名:カプトン100H、東レ・デュポン(株)製)の反対側の面に塗布し、120℃で120分間、熱風循環式乾燥機を用いて乾燥させ、ポリイミドフィルムの両面に塗布された試験片を得た。この試験片を用いて、UL94 VTM法に準じて評価した。その結果についても表2に示す。
なお、UL94 VTM法に準じて評価した結果を以下のように記載した。
○;VTM−0の難燃基準を満たす。
×;VTM−0の難燃基準を満たさない。
<長期絶縁信頼性の評価>
組成物1C〜6Cをスクリーン印刷法により、200メッシュのステンレス製スクリーン版を用いて、15μmの厚さ(乾燥後)になるように、フレキシブル銅張り積層板(商品名:UPISEL−N BE1310(グレード名)、宇部興産(株)製)をエッチングして製造した櫛形基板(銅配線幅/銅配線間幅=50μm/50μm)に塗布(配線接続部は除く)し、80℃で30分間、熱風循環式乾燥機を用いて乾燥させた。引き続き、120℃で2時間加熱し試験片を作成した。
この試験片を用いて、バイアス電圧100Vを印加し、温度85℃、湿度85%RHの条件での温湿度定常試験を、MIGRATION TESTER MODEL MIG−8600(IMV(株)製)を用いて行った。前記温湿度定常試験をスタートしてから500時間後及び1000時間後の抵抗値を表3に記す。
Figure 0005546128
表1及び表2の結果より、本発明の樹脂および本発明の硬化物は、UL94 VTM−0レベルの難燃性を有することが確認された。
また、表3の結果より、本発明の硬化物は、長期絶縁信頼性の評価で良好な電気絶縁性を有することが確認された。

Claims (7)

  1. 下記式(I)で表される有機基が複数結合した分子鎖を有し、重量平均分子量が10,000〜300,000である樹脂と、
    該樹脂と反応することのできる官能基を有する硬化剤と、
    リン含有有機化合物と、を必須成分とする組成物であって、
    前記樹脂が、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、イソシアネート基及び1級又は2級のアミノ基の群より選ばれる少なくとも1種の官能基であり、かつ前記硬化剤との反応性を有する官能基を1分子中にm個有する分子からなる樹脂であり、
    前記硬化剤が、前記樹脂と反応することのできる官能基を1分子中にn個有し、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有する分子からなる硬化剤(但し、下記式(6)の化合物を除く。)であることを特徴とする組成物(m及びnの平均値は、それぞれ2以上であり、mの平均値とnの平均値の和は5以上である。)。
    Figure 0005546128
    (式中、Cは、炭素数30〜50の2価の炭化水素鎖を有する2価の有機基(但し、下記式(6)で表わされる化合物から誘導される有機基を除く。)
    Figure 0005546128
    であり、Aは、アミド結合、エステル結合、ウレタン結合、ウレア結合またはカーボネート結合である。)
  2. 前記Cが、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリオール、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリ酸無水物、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリイソシアネート、または炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリアミン(但し、下記式(6)で表わされる化合物を除く。)
    Figure 0005546128
    から誘導されることを特徴とする請求項1に記載の組成物
  3. 前記Cが、シクロヘキサン環および/またはシクロヘキセン環を有する有機基であることを特徴とする請求項1にまたは2に記載の組成物
  4. 前記Cが、以下の式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)または(7)で表される化合物から誘導されることを特徴とする請求項1に記載の組成物
    Figure 0005546128
  5. 炭素数30〜50の炭化水素鎖を有し、1分子中に3個以上の水酸基を有するポリオール、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有し、1分子中に3個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有するポリ酸無水物、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有し、1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート及び炭素数30〜50の炭化水素鎖を有し、1分子中に3個以上の1級又は2級のアミノ基を有するポリアミンの群より選ばれる化合物であって、かつ官能基が後記硬化剤と反応することのできる化合物の少なくとも1種と、
    該化合物と反応することのできる官能基を1分子中に2個以上有し、炭素数30〜50の炭化水素鎖を有する少なくとも1種の硬化剤(但し、下記式(6)の化合物を除く。)と、
    Figure 0005546128
    リン含有有機化合物と、を必須成分とすることを特徴とする組成物。
  6. 請求項のいずれか1項に記載の組成物を硬化してなる硬化物。
  7. UL94 VTM法による難燃性試験でVTM−0の難燃性を発現することを特徴とする請求項に記載の硬化物。
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