JP4476057B2 - ポリイソシアネート組成物およびコーティング組成物 - Google Patents
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Description
特許文献1では、ジイソシアネートと炭素数10〜40のジオールをイソシアヌレート化触媒の存在下で反応させて得られるイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート組成物が提案されている。また、特許文献2では、炭素数6〜20のモノアルコールと、炭素数4〜40のジオールをイソシアヌレート化触媒の存在下で反応させて得られるイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート組成物が提案されている。しかしながら、特許文献1、特許文献2で提案されているポリイソシアネートは、極めて極性が低い特定アニリン点を有する有機溶剤への溶解性が不十分な場合がある。また、粘度が非常に高くなる場合があり、大量の有機溶剤で希釈する必要が生じる場合がある。
一方、アロファネート基を有するポリイソシアネートの製造方法としては、主に2つの方法が知られている。ウレタン基を有する有機化合物とイソシアネート基を有する有機化合物を加熱する方法と、アロファネート化触媒を用いる方法である。
特許文献8では、副反応を少なくする方法として、アロファネート化触媒を使用せずに、高温で短時間加熱する方法が記載され、また反応に使用できるジオールとして、1,2−ヒドロキシ−ドデカンが記載されている。しかし、該特許文献には低極性有機溶剤に対する溶解性に関する記載は無く、また該方法はウレトジオン体やその他の複製生物を生成するために、得られたポリイソシアネート組成物は低極性有機溶剤に対する溶解性が低下する。
特許文献10では、アロファネート化反応の助触媒として有機亜リン酸エステルを使用する方法が記載され、使用できるジオールとして、炭素数が17〜20のアルカン−1,2−ジオールが記載されている。しかし、該特許文献には特定のジオールをアロファネート化反応したポリイソシアネートが特定の低極性有機溶剤に溶解し易いことを表す記載はなく、更に低極性有機溶剤の中でも極めて極性が低い特定のアニリン点を有する有機溶剤に関する記述はない。
特許文献11では、選択的にアロファネート基を生成させることができる触媒として、ジルコニル基を有する化合物が記載されている。しかし、該特許には炭素数12以上のジオールを使用することも低極性有機溶剤に対する溶解性に関する記述もない。
すなわち本発明は、以下の通りである。
(1)A)脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、それらから得られるイソシアネートプレポリマーから選ばれる少なくとも1種類のイソシアネート化合物と、炭素数が12〜60の分岐を有するジオールとを、アロファネート化触媒の存在下に反応させて得られ、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が100/0〜75/25であり、ウレトジオン体の含有量が15質量%以下であり、以下の構造(1)で表されるポリイソシアネート化合物を含有するポリイソシアネートと、
B)アニリン点が30〜65℃の有機溶剤とを含有する、ポリイソシアネート組成物。
(3)主剤ポリオールが含フッ素系ポリオールである、(2)記載の低極性有機溶剤型コーティング組成物。
本発明で用いる有機溶剤は極めて極性が低いため、溶解力が非常に小さく、塗り替え作業の際に、化学的に非常に脆弱な塗膜や痛んだ塗膜でも下地を侵し難いという特徴を有している。つまり、脆弱な塗膜の場合でも、塗り替え作業の際、旧塗膜のリフティングが起こりにくくなる。また、補修作業、重ね塗り作業を行う場合も、下地塗膜を侵すことなく、上塗りが可能となる。更に本発明で用いる極めて極性が低い特定のアニリン点を有する有機溶剤は低臭気という性質を併せ持つため、塗装作業者や、近くの人に臭気を及ぼし難いという特徴も有する。更に、極めて極性が低い有機溶剤として、イソパラフィン系やナフテン系などの芳香族成分を含有しない有機溶剤を用いることによって、トルエン、キシレン、1,3,5−トリメチルベンゼン等のいわゆるPRTR対象物質を含有しない塗料組成物を作ることも可能となる。本発明のコーティング組成物から得られた塗膜は、緻密な架橋構造を作ることができるので、良好な外観、優れた耐候性に加え、耐擦り傷性が優れているという特徴を有している。
本発明は、脂肪族ジイソシアネートあるいは脂環式ジイソシアネート等のイソシアネート化合物と炭素数が12〜60の分岐を有するジオールとから得られ、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が100/0〜75/25であるポリイソシアネートと、アニリン点が30〜65℃の有機溶剤を含有するポリイソシアネート組成物である。本発明では、ポリイソシアネートとはイソシアネート化合物とジオールをアロファネート化反応して得られたものをいい、ポリイソシアネート組成物とはポリイソシアネート及びアニリン点30〜65℃の有機溶剤を含有するものをいう。
脂肪族ジイソシアネートとは分子中に脂肪族基のみを有する化合物であり、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、等が挙げられる。脂環式ジイソシアネートとは、分子中に環状脂肪族基を有するジイソシアネートであり、例えば、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン等が挙げられる。この中でもHDI、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートは、工業的に入手し易いため好ましい。中でもHDIは耐候性と塗膜の柔軟性が非常に優れており最も好ましい。以下、脂肪族ジイソシアネートと脂環式ジイソシアネートを総称してジイソシアネートという。
本発明では、ジイソシアネート、イソシアネートプレポリマーのいずれも使用することができるが、ジイソシアネートを用いた方が低極性有機溶剤に対する溶解性が向上するためより好ましい。なお、本発明で低極性有機溶剤と表現した場合、アニリン点10〜65℃程度の比較的極性が低い有機溶剤をいう。なお、詳細は後述するが本発明で用いるアニリン点30〜65℃の有機溶剤は、低極性有機溶剤の中でも極めて極性が低く、溶解性が小さいものである。
イソシアネート基含有率(以後、NCO%)とは、組成物中に含まれているイソシアネート基の重量分率を示しており、例えばポリイソシアネート組成物のイソシアネート基を過剰のアミン(ジブチルアミン等)と反応させ、残ったアミンを塩酸などの酸で逆滴定することによって求めることができる。
1H−NMRの測定方法例:ポリイソシアネート組成物を重水素クロロホルムに10質量%の濃度で溶解する(ポリイソシアネート組成物に対して0.03質量%テトラメチルシランを添加)。化学シフト基準は、テトラメチルシランの水素のシグナルを0ppmとした。1H−NMRにて測定し、8.5ppm付近のアロファネート基の窒素に結合した水素原子のシグナル(アロファネート基1molに対して、1molの水素原子)と、3.85ppm付近のイソシアヌレート基に隣接したメチレン基の水素原子(イソシアヌレート基1モルに対して、6molの水素原子)のシグナルの面積比を測定する。
アロファネート基/イソシアヌレート基=(8.5ppm付近のシグナル面積)/(3.85ppm付近のシグナル面積/6)
更に、ビウレット体、その他のジイソシアネート重合体も、低極性有機溶剤に対する溶解性を低下させるため、含有量が多くなるのは好ましくない。本発明のポリイソシアネート組成物にビウレット体、その他のジイソシアネート重合体が含まれる量の範囲としては、20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
本発明で用いるポリイソシアネート組成物は以下の構造(1)で表されるポリイソシアネートを含有する。
本発明で用いるポリイソシアネートの粘度は、実質的に溶剤やジイソシアネートを含んでいない状態で、好ましくは400〜10000mPa.s、より好ましくは500〜5000mPa.s、さらに好ましくは600〜3000mPa.sである。400以上であれば十分な架橋性を有するポリイソシアネートを得ることができる。10000mPa.s以下であればハイソリッドなコーティング組成物を得ることが可能となる。
本発明で用いるポリイソシアネートを製造する方法としては、ジオールとイソシアネート化合物を、ウレタン化反応とアロファネート化反応させる方法が挙げられる。脂肪族あるいは脂環式ジイソシアネートを原料として用いた場合には必要に応じて未反応のジイソシアネートを分離する方法を採ることができるが、安全性を考慮すると、未反応のジイソシアネートは分離する方が好ましい。
前述した如く、必要に応じてイソシアヌレート体など一部含まれていても良いので、ウレタン化反応、アロファネート化反応の前、あるいは同時、あるいは後に、イソシアヌレート化反応などを行ってもかまわないし、製造したモノアロファネート体、ポリアロファネート体の混合物にイソシアヌレート体等を混合してもかまわない。
これらの触媒の中で、更に好ましいのは亜鉛を含む化合物、鉛を含む化合物、スズを含む化合物、ジルコニウムを含む化合物、ビスマスを含む化合物であり、より好ましいのは、ジルコニウムを含む化合物、ビスマスを含む化合物、最も好ましいのはジルコニウムを含む化合物である。
鉛を含む化合物とは、分子中に鉛を含む化合物であり、2−エチルヘキサン酸鉛、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛等の有機カルボン酸鉛やアルコキシ鉛が好ましい。
スズを含む化合物とは、分子中にスズを含む化合物であり、有機酸のスズ(II)塩、有機酸スズ塩並びに、スズ(II)ハロゲン化物、アルコキシスズが例としてあげられる。好ましいスズ化合物の例は、スズ(II)の塩化物、臭化物、ヨウ化物、2−エチルヘキサン酸スズ、オクタン酸スズ、ジブチルスズジラウレートである。
ビスマスを含む化合物とは、分子中にビスマスを含む化合物である。ビスマスを含む化合物として、例えばハロゲン化ビスマス、ビスマスカルボン酸塩などが挙げられる。特にビスマスカルボン酸塩が好ましい。
アロファネート化触媒の使用量は、反応液総質量を基準にして、好ましくは0.001〜2.0質量%、より好ましくは、0.01〜0.5質量%の量にて用いられる。0.001質量%以上で触媒の効果が十分に発揮できる。2重量%以下で、アロファネート化反応の制御が容易である。
本発明におけるアロファネート化反応は、好ましくは20〜200℃の温度で行われる。より好ましくは、30〜180℃であり、さらに好ましくは40〜160℃である。より一層好ましくは90〜150℃であり、最も好ましいのは110〜150℃である。20℃以上で、アロファネート化触媒の量が少なくなると共に、反応の終結までに必要な時間が短い。また200℃以下で、ウレトジオン化などの副反応が抑制され、また、反応生成物の着色が問題とならない。
ウレタン化反応やアロファネート化反応は、無溶媒中で進行するが、必要に応じて酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、ミネラルスピリット、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の炭化水素系溶剤、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン等の芳香族系溶剤、ジアルキルポリアルキレングリコールエーテル等のイソシアネート基との反応性を有していない有機溶剤、およびそれらの混合物を溶媒として使用する事ができる。
アロファネート化反応は、室温に冷却するか、反応停止剤を添加することにより停止できるが、アロファネート化触媒を用いる場合、反応停止剤を添加するほうが、副反応を抑制することができるために、好ましい。反応停止剤を添加する量は、アロファネート化触媒に対して、好ましくは0.25〜20倍のモル量、より好ましくは0.5〜16倍のモル量、さらに好ましくは1.0〜12倍のモル量である。0.25倍以上で完全に失活させることが可能となる。20倍以下で保存安定性が良好となる。
反応終了後、ポリイソシアネート組成物からは、未反応のジイソシアネートや溶媒を分離しても良い。安全性を考えると、未反応のジイソシアネートは分離した方が好ましい。未反応のジイソシアネートや溶媒を分離する方法として、例えば、薄膜蒸留法や溶剤抽出法が挙げられる。
本発明における反応は、一つの反応器で、ウレタン化反応、アロファネート化反応を行うことができる。または、二つの反応器を連結し、ウレタン化反応の工程とアロファネート化反応の工程を分けて実施することが出来る。または数基の反応器を縦に並べて配置する事により、連続的に実施する事ができる。
本発明のコーティング組成物で用いる主剤ポリオールとしては、例えば脂肪族炭化水素ポリオール類、含フッ素系ポリオール類、含ケイ素系ポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、エポキシ樹脂類、アクリルポリオール類、及びアルキドポリオール類等の中の1種類またはその混合物などが挙げられる。これらのポリオールは、本発明のポリイソシアネート組成物及びアニリン点30〜65℃の有機溶剤と混合した際に、均一に溶解、あるいは分散する必要がある。
低極性有機溶剤に溶解あるいは分散しているポリオールの中では、アクリルポリオール、含フッ素系ポリオール、含ケイ素系ポリオールは耐候性が優れているために好ましい。特に含フッ素系ポリオールは極めて耐光性が優れているため、より一層好ましい。
本発明で用いる主剤ポリオールは、上記のポリオールを単独で用いても、混合して用いても良い。
本発明の主剤ポリオールの水酸基価は、1〜300mgKOH/g、好ましくは4〜250mgKOH/g、より好ましくは8〜200mgKOH/gである。1mgKOH/g以上で架橋が十分となる。300mgKOH/g以下であれば塗膜の柔軟性が十分である。
本発明の低極性有機溶剤型コーティング組成物中に含まれるアニリン点30〜65℃の有機溶剤の量は、ポリイソシアネート組成物中に含まれている量を含めて、コーティング組成物の好ましくは5〜95質量%、より好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは20〜80質量%である。
本発明のポリイソシアネート組成物、コーティング組成物中には、目的及び用途に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等の当該技術分野で使用されている各種添加剤を混合して使用することもできる。これらは、主剤ポリオール組成物中、ポリイソシアネート組成物中、硬化剤組成物中いずれに含有していても良い。
数平均官能基数は、(数平均分子量×NCO含有率)/42で求めた。
数平均分子量は、GPC(使用機器:HLC−8120(商品名、東ソー株式会社製)、使用カラム:TSK GEL SuperH1000、TSK GEL SuperH2000、TSK GEL SuperH3000(何れも商品名、東ソー株式会社製)、試料濃度:5wt/vol%、キャリア:THF、検出方法:視差屈折計、流出量0.6ml/min.、カラム温度30℃)を用いて測定した。GPCの検量線は、分子量50000〜2050のポリスチレン(ジーエルサイエンス株式会社製、商品名、PSS−06(Mw50000)、BK13007(Mp=20000、Mw/Mn=1.03)、PSS−08(Mw=9000)、PSS−09(Mw=4000)、5040−35125(Mp=2050、Mw/Mn=1.05))と、HDI系ポリイソシアネート組成物(商品名、デュラネートTPA−100、旭化成ケミカルズ株式会社製)のイソシアヌレート体の3量体〜7量体(イソシアヌレート3量体分子量=504、イソシアヌレート5量体分子量=840、イソシアヌレート7量体分子量=1176)及びHDI(分子量=168)を標準として作成した。
ウレトジオン体の含有量の測定は、上記記載のGPCの分子量336程度のピークの面積の割合を測定することで求めた。
NCO含有率は、イソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。
標準ローター(1°34’×R24)を用いた。回転数は、以下の通り。
100r.p.m. (128mPa.s未満の場合)
50r.p.m. (128mPa.s〜256mPa.sの場合)
20r.p.m. (256mPa.s〜640mPa.sの場合)
10r.p.m. (640mPa.s〜1280mPa.sの場合)
5r.p.m. (1280mPa.s〜2560mPa.sの場合)
低極性有機溶剤への溶解性は、20℃の条件で、ポリイソシアネート組成物に対して、低極性有機溶剤を攪拌しながら徐々に加えていき、濁り始めた時点の質量を測定し、以下の式で求めた。
低極性有機溶剤への溶解性=((濁り始めた時点の低極性有機溶剤の質量(g)×100%)/(ポリイソシアネートの質量(g))
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた四ッ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI 800gと12−ヒドロキシステアリルアルコール(商品名「ソバモール912」、コグニスジャパン株式会社製、水酸基価:345〜365mgKOH/g)50.6gを仕込み、攪拌化130℃で1時間ウレタン化反応を行った。アロファネート化触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%ミネラルスピリット溶液(日本化学産業株式会社製、商品名「ニッカオクチックスジルコニウム12%」をミネラルスピリットで希釈したもの)を0.51g加えた。30分後、反応液の屈折率の上昇が0.0035となった時点で、ピロリン酸の固形分50%ブタノール溶液(太平化学産業製、商品名「工業用リン酸(105%)」をブタノールで固形分50%に希釈したもの)を0.070g(触媒に対して1.05倍モル)を加え、反応を停止した。
得られたポリイソシアネートは透明の液体であり、収量170g、粘度750mPa.s、NCO含有率16.6%、数平均の官能基数は3.9であった。NMRを測定した所、アロファネート/イソシアヌレートのモル比は97/3であり、ウレトジオン体の含有量は4質量%であった。Aソルベント(新日本石油製の低極性有機溶剤、アニリン点45℃)に対する溶解性は、2000%以上であった。また、ミネラルスピリット(キシダ化学製の試薬、アニリン点56℃)に対する溶解性は2000%以上、LAWS(シェルケミカルズジャパン株式会社製、アニリン点43℃)に対する溶解性は2000%以上、シェルゾールS(イソパラフィン系の溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社製、アニリン点78℃)と酢酸ブチルを70/30の重量比で混合した溶剤(アニリン点44℃(実測値)、JIS K 2256に記載の方法で測定)に対する溶解性は2000%以上であった。このポリイソシアネートをP−1とする。
P−1 80gとAソルベント20gを混合し、透明なポリイソシアネート組成物を得た。
実施例1と同様の装置に、HDI 1084gとダイマー酸を還元したジオール(商品名「ソバモール908」、高純度ダイマーアルコール、分子式:C36H72O2、分子量:約536、水酸基価=190〜220mgKOH/g、コグニスジャパン株式会社製)118gを仕込み、攪拌化130℃で1時間ウレタン化反応を行った。アロファネート化触媒として実施例1と同様に2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%ミネラルスピリット溶液を0.42g加えた。30分後、反応液の屈折率の上昇が0.0036となった時点で、ピロリン酸の固形分50%ブタノール溶液0.058g(触媒に対して1.05倍モル)を加え、反応を停止した。
得られたポリイソシアネートは透明の液体であり、収量270g、粘度1700mPa.s、NCO含有率13.9%、数平均の官能基数は4.2であった。NMRを測定した所、アロファネート/イソシアヌレートのモル比は97/3であり、ウレトジオン体の含有量は4質量%であった。LAWS(シェルジャパンの低極性有機溶剤、アニリン点44℃)に対する溶解性は2000%以上であった。また、ミネラルスピリット(キシダ化学製の試薬、アニリン点56℃)に対する溶解性は2000%以上であり、Aソルベント(新日本石油化学株式会社製、アニリン点45℃)に対する溶解性は2000%以上、シェルゾールS(イソパラフィン系の溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社製、アニリン点78℃)と酢酸ブチルを70/30の重量比で混合した溶剤(アニリン点44℃(実測値)、JIS K 2256に記載の方法で測定)に対する溶解性は2000%以上であった。このポリイソシアネートをP−2とする。
P−2 20gとシェルゾールS/酢酸ブチルを70/30の重量比で混合した溶剤 80gを混合し、透明なポリイソシアネート組成物を得た。
合成例1と同様の装置にHDI 500gと2−エチル−ヘキサノール50gを仕込み、攪拌下90℃1時間ウレタン化反応を行った。イソシアヌレート化/アロファネート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエート0.03gを加えた。3時間後、反応液の屈折率の上昇が0.015となった時点で、リン酸の85%水溶液0.07gを加え、反応を停止した。
得られたポリイソシアネートは透明の液体であり、収量258g、粘度410mPa.s、NCO含有率17.6%、数平均の官能基数は2.5であった。NMRを測定した所、アロファネート/イソシアヌレートのモル比は63/37であり、ウレトジオン体の含有量は1質量%以下であった。ミネラルスピリット(キシダ化学製の試薬、アニリン点56℃)に対する溶解性は、450%であった。また、LAWS(シェルケミカルズジャパン株式会社製、アニリン点43℃)に対する溶解性は、400%、Aソルベント(新日本石油化学株式会社製、アニリン点45℃)に対する溶解性は400%、シェルゾールS(イソパラフィン系の溶剤、シェルケミカルズジャパン株式会社製、アニリン点78℃)と酢酸ブチルを70/30の重量比で混合した溶剤(アニリン点44℃(実測値)、JIS K 2256に記載の方法で測定)に対する溶解性は400%であった。このポリイソシアネートをH−1とする。
合成例1と同様の装置にHDI 500gと2−エチル−ヘキサノール15gを仕込み、攪拌下90℃1時間ウレタン化反応を行った。イソシアヌレート化/アロファネート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエート0.03gを加えた。3時間後、反応液の屈折率の上昇が0.011となった時点で、リン酸の85%水溶液0.07gを加え、反応を停止した。
得られたポリイソシアネートは透明の液体であり、収量143g、粘度500mPa.s、NCO含有率%、数平均の官能基数は2.8であった。NMRを測定した所、アロファネート/イソシアヌレートのモル比は35/65であり、ウレトジオン体の含有量は1質量%以下であった。ミネラルスピリット(キシダ化学製の試薬、アニリン点56℃)に対する溶解性は40%であった。このポリイソシアネートをH−2とする。
市販のHDI系イソシアヌレート型ポリイソシアネート(商品名「デュラネートTKA−100P」、旭化成株式会社製、粘度2600mPa.s、NCO含有率=21.4%)を比較例3のポリイソシアネートH−3として使用する。数平均官能基数は3.4であった。また、ミネラルスピリット(キシダ化学製の試薬、アニリン点56℃)に対する溶解性は、10%以下であった。
実施例1と同様の装置に、HDI 1200gと2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(和光純薬株式会社製の試薬)38.2gを仕込み、攪拌化130℃で1時間ウレタン化反応を行った。アロファネート化触媒として実施例1と同様に2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%ミネラルスピリット溶液を0.45gを加えた。30分後、反応液の屈折率の上昇が0.0035となった時点で、ピロリン酸の固形分50%ブタノール溶液0.060g(触媒に対して1.05倍モル)を加え、反応を停止した。
得られたポリイソシアネートは透明の液体であり、収量210g、粘度1600mPa.s、NCO含有率19.5%、数平均の官能基数は3.8であった。NMRを測定した所、アロファネート/イソシアヌレートのモル比は97/3であり、ウレトジオン体の含有量は4質量%であった。ミネラルスピリット(キシダ化学製の試薬、アニリン点56℃)に対する溶解性は10%であった。また、シェルゾールSと酢酸ブチルを70/30の重量比で混合した溶剤(アニリン点44℃(実測値)、JIS K 2256に記載の方法で測定)に対する溶解性は10%であった。このポリイソシアネートをH−4とする。
実施例1、2で得たポリイソシアネートP−1、P−2を用いて、低極性有機溶剤型アクリルポリオール(商品名「ヒタロイド6500」、水酸基価=38mgKOH/g(固形分計算値)、Tg=38℃、固形分=50%、粘度=9000mPa.s、希釈溶剤=ミネラルターペン/ソルベッソ100=41/9(アニリン点31℃(実測値)、ミネラルスピリット(Mineral Turpentine、キシダ化学製の試薬)/ソルベッソ100(商品名、エクソンモービル有限会社製)=41/9(質量比)で混合した溶剤のアニリン点、JIS K 2256に記載の方法で測定)、日立化成工業株式会社製)とイソシアネート基/水酸基のモル比が1/1で塗料組成物を調製した。希釈溶剤としてはAソルベント(新日本石油化学株式会社、アニリン点45℃)を用いて、フォードカップNo.4で15秒に調整した。混合した際の塗料外観を表1に記す。
得られた塗料をスプレー塗装にて膜厚が40ミクロンになるように塗布した。塗膜の状態と20℃で16時間乾燥した場合のゲル分率の結果を表1に示す。なお、表1では、ゲル分率45%以上を◎、35〜45%を○、25〜35%を△、25%未満を×という記号で記す。
合成例1で得たモノアルコールのアロファネート体M1及び比較例1〜4で得たポリイソシアネートH−1〜H−4を用いて実施例15と同様の主剤、NCO/OH比、希釈溶剤で塗料組成物を調整した(フォードカップNo.4で15秒に調整)。混合した際の塗料外観を表1に記す。
得られた塗料をスプレー塗装にて膜厚が40ミクロンになるように塗布した。塗膜状態と20℃で1日乾燥した場合のゲル分率の結果を表1に示す。
Claims (3)
- A)脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、それらから得られるイソシアネートプレポリマーから選ばれる少なくとも1種類のイソシアネート化合物と、炭素数が12〜60の分岐を有するジオールとを、アロファネート化触媒の存在下に反応させて得られ、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が100/0〜75/25であり、ウレトジオン体の含有量が15質量%以下であり、以下の構造(1)で表されるポリイソシアネート化合物を含有するポリイソシアネートと、
B)アニリン点が30〜65℃の有機溶剤
とを含有する、ポリイソシアネート組成物。 - イ)水酸基価1〜300mgKOH/gの主剤ポリオール、ロ)請求項1のA)に記載のポリイソシアネート、ハ)アニリン点30〜65℃の有機溶剤を含有する、低極性有機溶剤型コーティング組成物。
- 主剤ポリオールが含フッ素系ポリオールである、請求項2記載の低極性有機溶剤型コーティング組成物。
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