JP5540805B2 - 非水系二次電池用炭素材料、負極材及び非水系二次電池 - Google Patents
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Description
リチウムイオン二次電池の負極材料としては、コストと耐久性の面で、黒鉛材料や非晶質炭素が使用されることが多い。しかしながら、非晶質炭素材料は、実用化可能な材料範囲での可逆容量の小ささ故、また黒鉛材料は、高容量化のために負極材料を含む活物質層を高密度化すると、材料破壊により初期サイクル時の充放電不可逆容量が増え、結果として、高容量化に至らないといった問題点があった。
前記炭素材料負極表面には通常、非水系電解液との反応によりSEI(Solid Electrolyte Interphace)と呼ばれる保護皮膜が形成され、負極の化学的安定性が保たれている。しかしながら、上記SEI被膜生成や副反応生成物としてガスが発生することにより、初期サイクル時の充放電不可逆容量が増え、結果として、高容量化に至らないといった問題点があった。特に、リチウム一次電池で一般的に使用されるプロピレンカーボネート(PC) は高沸点溶媒であり、低温でも高いイオン電導度を
発現できるという点で好ましい有機溶媒であるにも関わらず、黒鉛系電極を用いた場合には、Liイオンに溶媒和したPCが黒鉛相間へ共挿入することにより黒鉛系負極活物質の層間剥離劣化がおこり、さらに溶媒と電極の分解反応が激しいため、リチウムの黒鉛層間への挿入・脱離が行えないので、十分な容量が得られないといった問題点があった。
例えば、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン又はスチレンブタジエンラバーなどの溶液中にピッチコークス粒子などの炭素材料を分散させ、分散液をスプレードライする方法(特許文献1)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロビニルエーテル共重合体(商品名NafionR)などの固体高分子電解質の懸濁状分散液中にメソカーボンマイクロビーズの黒鉛化粉末を添加し、該粉末に固体高分子を被覆する方法(特許文献2)などが挙げられる。
別に添着された材料を用いることが開示されている。
特許文献2に記載の技術では、固体高分子電解質の溶媒への溶解性が乏しいために、固体高分子電解質の懸濁状分散液をもちいて炭素表面に吸着させる必要がある製法上、炭素表面への均一な被覆が困難といった問題があった。
特許文献6に記載の技術においても同様に、負極表面の性質については考慮されておらず、負極表面と被覆材の相互作用が弱く被覆材が剥離しやすいことにより性能が低下する問題を解決できていない。
を有していることを特徴とする非水系二次電池用炭素材料(C)。
式1
O/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析におけるO1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたO原子濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度 × 100に存する。
<炭素材料(A)>
本発明の非水系二次電池用炭素材料である炭素材料(A)は、上記式1で表される表面官能基量O/C値が1%以上、4%以下であることが特徴であり、この条件を満たす炭素材料であれば、特に制限されない。
・炭素材料(A)の種類
炭素材料(A)の例としては、黒鉛から非晶質のものにいたるまで種々の黒鉛化度の炭素材料が挙げられる。
なお、黒鉛粒子を炭素材料(A)として用いると、他の負極活物質を用いた場合よりも、高電流密度での充放電特性の改善効果が著しく大きいので好ましい。
物;ビフェニル、テルフェニルなどのポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラールなどのポリビニルエステル類、ポリビニルアルコールなどの熱可塑性高分子などが挙げられる。
・炭素材料(A)の物性
本発明における炭素材料(A)は以下の物性を示すものである。なお、本発明における測定方法は特に制限はないが、特段の事情がない限り実施例に記載の測定方法に準じる。
本発明の非水系二次電池用炭素材料である炭素材料(A)は、下記式1で表される、表面官能基量O/C値が通常1%以上、8%以下、そして好ましくは、1%以上、4%以下であり、2%以上3.6%以下では更に好ましく、2.6%以上3%以下であると最も好ましい。この表面官能基量O/C値が小さすぎると、水溶性高分子(B)との親和性が低下し、負極表面と被覆材の相互作用が弱くなり、被覆材がはがれやすくなる傾向があり、大きすぎるとO/C値の調整が困難となり、製造処理を強く長時間行う必要が生じたり、工程数を増加させる必要が生じたりする傾向があり、生産性の低下、コストの上昇を招く虞がある。
式1
O/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析におけるO1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたO原子濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度 × 100
本発明における表面官能基量はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定することができる。
炭素材料(A)の粒径については特に制限が無いが、使用される範囲として、d50が
50μm以下、好ましくは30μm以下、更に好ましくは25μm以下、1μm以上、好ましくは4μm以上、更に好ましくは10μm以上である。この粒径範囲を超えると極板化した際に、筋引きなどの工程上の不都合が出ることが多く、また、これ以下であると、表面積が大きくなりすぎ電解液との活性を抑制することが難しくなる。
なお粒径の測定方法は、界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液10mLに、炭素材料0.01gを懸濁させ、市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置に導入し、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、測定装置における体積基準のメジアン径として測定したものを、本発明におけるd50と定義する。
本発明の炭素材料(A)のBET法で測定した比表面積については、4m2/g、以上
11m2/g以下を満たすことが好ましい。通常4m2/g以上、好ましくは5m2/g
以上である。また、通常11m2/g以下、好ましくは9m2/g以下、より好ましくは8m2/g以下である。比表面積がこの範囲を下回ると、Liが出入りする部位が少なく、高速充放電特性出力特性に劣り、一方、比表面積がこの範囲を上回ると、活物質の電解液に対する活性が過剰になり、初期不可逆容量が大きくなるため、高容量電池を製造できない可能性がある。
(4)炭素材料(A)のX線構造解析(XRD)
炭素材料(A)のX線構造解析(XRD)から得られる、Rhombohedral(
菱面体晶) に対するHexagonal(六方体晶)の結晶の存在比(3R/2H)は0.20以上であることが好ましい。3R/2Hがこの範囲を下回ると、高速充放電特性の低下を招く虞がある。
本発明の炭素材料(A)のタップ密度は、0.7g/cm3以上が好ましく、1g/cm3以上がより好ましい。また、1.3g/cm3以下が好ましく、1.1g/cm3以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
(6)炭素材料(A)のラマンスペクトル(Raman)スペクトル
炭素材料(A)のラマンR値は、1580cm−1付近のピークPAの強度IAと、1360cm−1付近のピークPBの強度IBとを測定し、その強度比R(R=IB/IA)を算出して定義する。その値は0.15以上であることが好ましい。また、0.4以下であることが好ましく、0.3以下ではより好ましい。ラマンR値がこの範囲を下回ると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向し易くなり、負荷特性の低下を招く虞がある。一方、この範囲を上回ると、粒子表面の結晶が乱れ、電解液との反応性が増し、充放電効率の低下やガス発生の増加を招く虞がある。
ラマンスペクトルはラマン分光器で測定できる。具体的には、測定対象粒子を測定セル
内へ自然落下させることで試料充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、測定セルをこのレーザー光と垂直な面内で回転させながら測定を行なう。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
(7)炭素材料(A)の製造方法
本発明の炭素材料(A)は、その原料として、黒鉛化されている炭素粒子であれば特に限定はないが、天然黒鉛、人造黒鉛、並びにコークス粉、ニードルコークス粉、樹脂の黒鉛化物の粉体等が挙げられる。これらのうち、天然黒鉛が好ましく、中でも球形化処理を施した球状黒鉛が特に好ましい。
本発明の水溶性高分子(B)は水に完全に溶解する高分子が好ましいが、非水溶性高分子であっても、浸水性成分を導入して一部を水へ可溶化させることにより、水への分散性を付与した高分子であっても良い。水溶性高分子(B)はイオン結合可能なカチオン、もしくはアニオンを含む官能基、及び/または水素結合ドナー(水素供与原子)、もしくは
アクセプター(水素受容原子)を含む官能基を有することを特徴としており、具体的には、カルボキシル基、水酸基、カルボニル基、エーテル基、エステル基などの含酸素官能基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基などの含硫黄官能基、アミノ基やアミド基、イミド基などの含窒素官能基、燐酸基などの含燐官能基、もしくは電気陰性度の高いハロゲンなどを含む置換基が挙げられる。この中でも、カルボキシル基、水酸基、カルボニル基、アミノ基やアミド基、イミド基を有するものが好ましい。
十分な水溶性高分子(B)が添着されず電解液の副反応を十分に抑制できないため不可逆容量が低減されず、また、水溶性高分子(B)添着量が多すぎると、負極活物質量が減少することによる可逆容量の低減を招くという理由でやはり好ましくない。ここで述べる水溶性高分子(B)の添着量は、一般的な上記湿式添着法や上記乾式添着法を用いて炭素材料(A)に水溶性高分子(B)を添着する場合においては、炭素材料(A)に加えた水溶性高分子(B)の使用量と定義する。
。これらのような工程において作製した炭素材料(A)への樹脂添着量の算出には、例えば、熱重量分析(TG)を用いることが出来る。一般的な上記湿式添着法や上記乾式添着法を用いた工程により水溶性高分子(B)を添着させた炭素材料(A)を基準として、本手法により水溶性高分子(B)を添着させた炭素材料(A)の熱重量減少率との比を算出することにより、本手法により水溶性高分子(B)を添着させたサンプル添着樹脂量を規定することができる。
本発明の非水系二次電池用炭素材料(C)は、炭素材料(A)に、水溶性高分子(B)が添着された構造をとるように製造されれば、本発明の負極材料を製造する方法は特に制限されない。添着の態様は特に制限されないが炭素材料(A)の細孔の内部(細孔部)や外面(外周部)に、水溶性高分子(B)が添着された態様が好ましく、具体的には以下の2つの手法が挙げられる。
炭素材料(A)への水溶性高分子(B)の添着の手法(i)は 、例えば、水溶性高分
子(B)を水に溶解させ、ミキサーにて炭素材料(A)と混合した後、窒素雰囲気下で、乾燥する工程が挙げられる。更に乾燥後、加熱処理をすることが好ましい。
る含酸素官能基との相互作用が弱くなり、安定な添着状態を維持できなくなる虞がある。一方で、この温度以下では十分な速度で水分が乾燥しないために、生産性の低下が懸念される。さらに上記温度内では、黒鉛表面の含酸素官能基と水溶性高分子(B)の官能基が縮合することで、水溶性高分子(B)と黒鉛表面の相互作用をより強固にし、安定な添着状態を維持することができる。また、水溶性高分子(B)の官能基同士が縮合することにより、水溶性高分子(B)被膜自体を強固にすることができる。
また、炭素材料(A)への水溶性高分子(B)の添着の別の手法(ii)としては、例えば、水溶性高分子が黒鉛表面への吸着性を有することを利用して、過剰な水溶性高分子(B)水溶液中に炭素材料(A)を入れて攪拌し、ろ過により余分な水溶性高分子(B)水溶液を除去した後、窒素雰囲気下で、乾燥することにより炭素材料(A)に水溶性高分子(B)を添着する工程も挙げられる。更に乾燥後、加熱処理をすることが好ましい。
上記水溶性高分子(B)水溶液中で炭素材料を攪拌する方法については、サンプル容器内部でブレードやカッターにより混合溶液層を攪拌する攪拌層型、サンプル容器自体が回転することにより混合溶液層自体を転動攪拌させる転動層型、振動モーターや超音波振動
子を用いて溶液媒体に力学的エネルギーを与えることにより混合溶液層を攪拌する振動型などが挙げられる。
る含酸素官能基との相互作用が弱くなり、安定な添着状態を維持できなくなる虞がある。一方で、この温度以下では十分な速度で水分が乾燥しないために、生産性の低下が懸念される。さらに上記温度内では、黒鉛表面の含酸素官能基と水溶性高分子(B)の官能基が縮合することで、水溶性高分子(B)と黒鉛表面の相互作用をより強固にし、安定な添着状態を維持することができる。また、水溶性高分子(B)の官能基同士が縮合することにより、水溶性高分子(B)被膜自体を強固にすることができる。
上記製造方法で得られた非水系二次電池用炭素材料(C)は、以下のような特性を持つ。
本発明の特定の炭素材料(A)に水溶性高分子(B)が添着された非水系二次電池用炭素材料(C)においては、電解液と炭素材料表面の接触を防ぐことにより、SEI(Solid Electrolyte Interphace)と呼ばれる保護皮膜の形成や副反応生成物としてのガス発生を抑制することができる。さらに、水溶性高分子(B)の持つ置換基が有する、アニオン、及びカチオン交換能により、充放電の際に、非水系二次電池用炭素材料(C)の表面におけるLiイオンと電解液溶媒の脱溶媒和反応が促進されるため、リチウムの黒鉛層間への挿入・脱離がスムーズになり、充放電不可特性が向上する。本発明のような特定の炭素材料(A)に水溶性高分子(B)が添着されていない一般的な前記炭素材料負極は、その表面に通常、非水系電解液との反応によりSEI保護皮膜が形成され、負極の化学的安定性が保たれている。しかしながら、上記SEI被膜生成や副反応生成物としてガスが発生することにより、初期サイクル時の充放電不可逆容量が増え、結果として、高容量化を達成しづらい。特に、リチウム一次電池で一般的に使用されるプロピレンカーボネート(PC)は高沸点溶媒であり、低温でも高いイオン電導度を発現できるという点で好ましい有機溶媒であるにも関わらず、黒鉛系電極を用いた場合には、Liイオンに溶媒和したPCが黒鉛相間へ共挿入することにより黒鉛系負極活物質の層間剥離劣化がおこり、さらに溶媒と電極の分解反応が激しいため、リチウムの黒鉛層間への挿入・脱離が行えないので、十分な容量が得られにくい。
本発明の炭素材料(C)の下記式1で表される表面官能基量(O/C値)は、1%以上、30%以下であることが特徴であり、2%以上20%以下では更に好ましく、2.6%以上15%以下であると最も好ましい。この表面官能基量O/C値が小さすぎると、炭素材料(C)表面におけるLiイオンと電解液溶媒の脱溶媒和反応性が低下し、充放電不可特性が低下する虞があり、大きすぎると、電解液との反応性が増し、充放電効率の低下やガス発生の増加を招く虞がある。
式1
O/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析におけるO1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたO原子濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度×100
本発明における表面官能基量はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定することができる。
対象を表面が平坦になるように試料台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、マルチプレックス測定により、C1s(280〜300eV)とO1s(525〜545eV)のスペクトルを測定する。得られたC1sのピークトップを284.3eVとして帯電補正し、C1sとO1sのスペクトルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、CとOの表面原子濃度をそれぞれ算出する。得られたそのOとCの原子濃度比O/C(O原子濃度/C原子濃度)を炭素材料の表面官能基量O/C値と定義する。
炭素材料(C)の粒径については特に制限が無いが、使用される範囲として、d50が
50μm以下、好ましくは30μm以下、更に好ましくは25μm以下、1μm以上、好ましくは4μm以上、更に好ましくは10μm以上である。この粒径範囲を超えると極板化した際に、筋引きなどの工程上の不都合が出ることが多く、また、これ以下であると、表面積が大きくなりすぎ電解液との活性を抑制することが難しくなる。
本発明の非水系二次電池用炭素材料(C)のBET法で測定した比表面積については、1m2/g以上、8m2/g以下を満たすことが好ましい。通常1m2/g以上、好まし
くは2m2/g以上である。また、通常8m2/g以下、好ましくは7m2/g以下、より好ましくは6m2/g以下である。
なおBET比表面積の測定方法は、比表面積測定装置を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET1点法にて測定する。
(A)のBET比表面積をSAAとしたとき、BET比表面積の低下率(%):(SAA-SAC)/SAA×100を算出することが出来る。この値が10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましく、20%以上であることが更に好ましい。また、80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、60%以下であることが更に好ましい。この値より大きいと炭素材料(C)表面の反応活性低下し、充放電負荷特性が低下する虞がある。一方、この値より小さいと、電解液と炭素材料表面の接触を十分に防ぐことができず、不可逆容量が大きくなる虞がある。
炭素材料(C)のX線構造解析(XRD)から得られる、Rhombohedral(
菱面体晶) に対するHexagonal(六方体晶)の結晶の存在比(3R/2H)は0.20以上であることが好ましい。3R/2Hがこの範囲を下回ると、高速充放電特性の低下を招く虞がある。
る。得られた43.4°付近の3R(101)、及び44.5°付近の2H(101)の両ピークからバックグラウンドを差し引いた後、強度比3R(101)/2H(101)を算出できる。
本発明の炭素材料(C)のタップ密度は、0.7g/cm3以上が好ましく、1g/cm3以上がより好ましい。また、1.3g/cm3以下が好ましく、1.1g/cm3以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
炭素材料(C)のラマンR値は、1580cm−1付近のピークPAの強度IAと、1360cm−1付近のピークPBの強度IBとを測定し、その強度比R(R=IB/IA)を算出して定義する。その値は0.15以上であることが好ましい。また、0.4以下であることが好ましく、0.3以下ではより好ましい。ラマンR値がこの範囲を下回ると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向し易くなり、負荷特性の低下を招く虞がある。一方、この範囲を上回ると、粒子表面の結晶が乱れ、電解液との反応性が増し、充放電効率の低下やガス発生の増加を招く虞がある。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
上述した本発明の非水系二次電池用炭素材料(C)は、何れか一種を単独で、又は二種以上を任意の組成及び組み合わせで併用して、リチウムイオン二次電池の負極材料として好適に使用することができるが、一種又は二種以上を、他の一種又は二種以上のその他炭素材料(D)と混合し、これを非水系二次電池、好ましくはリチウムイオン二次電池の負極材料として用いても良い。
天然黒鉛としては、例えば、高純度化した鱗片状黒鉛や球形化した黒鉛を用いることができる。天然黒鉛の体積基準平均粒径は、通常8μm以上、好ましくは12μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。天然黒鉛のBET比表面積は、通常3.5m2/g以上、好ましくは、4.5m2/g以上、また、通常8m2/g以下、好ましくは6m2/g以下の範囲である。
非晶質被覆黒鉛としては、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛に非晶質前駆対を被覆、焼成した粒子や、天然黒鉛や人造黒鉛に非晶質をCVDにより被覆した粒子を用いることができる。
非水系二次電池用炭素材料(C)とその他炭素材料(D)との混合に用いる装置としては、特に制限はないが、例えば、回転型混合機の場合:円筒型混合機、双子円筒型混合機、二重円錐型混合機、正立方型混合機、鍬形混合機、固定型混合機の場合:螺旋型混合機、リボン型混合機、Muller型混合機、Helical Flight型混合機、P
ugmill型混合機、流動化型混合機等を用いることができる。
本発明の非水系二次電池用負極(以下適宜「電極シート」ともいう。)は、集電体と、集電体上に形成された活物質層とを備えると共に、活物質層は少なくとも本発明の非水系二次電池用炭素材料(C)とを含有することを特徴とする。更に好ましくはバインダを含有する。
は、これらの分子量に関する規定と不飽和結合の割合に関する規定のうち、少なくとも何れか一方を満たしていればよいが、両方の規定を同時に満たすものがより好ましい。オレフィン性不飽和結合を有するバインダの分子量が小さ過ぎると機械的強度に劣り、大き過ぎると可撓性に劣る。また、バインダ中のオレフィン性不飽和結合の割合が小さ過ぎると強度向上効果が薄れ、大き過ぎると可撓性に劣る。
本発明においては、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダも、本発明の効果が失われない範囲において、上述のオレフィン性不飽和結合を有するバインダと併用することができる。オレフィン性不飽和結合を有するバインダに対する、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの混合比率は、通常150重量%以下、好ましくは120重量%以下の範囲である。
オレフィン性不飽和結合を有さないバインダを併用することにより、塗布性を向上することができるが、併用量が多すぎると活物質層の強度が低下する。
このスラリーを、集電体である厚さ18μmの銅箔上に、負極材料が14.5±0.3mg/cm2付着するように、ドクターブレードを用いて幅5cmに塗布し、室温で風乾
を行った。更に110℃で30分乾燥後、直径20cmのローラを用いてロールプレスして、活物質層の密度が1.70±0.03g/cm3になるよう調整し電極シートを得た。
スラリーを塗布、乾燥して得られる活物質層の厚さは、通常5μm以上、好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上、また、通常200μm以下、好ましくは100μm以下、更に好ましくは75μm以下である。活物質層が薄すぎると、活物質の粒径との兼ね合いから負極としての実用性に欠け、厚すぎると、高密度の電流値に対する十分なLiの吸蔵・放出の機能が得られにくい。
本発明の非水系二次電池、特にリチウムイオン二次電池の基本的構成は、従来公知のリチウムイオン二次電池と同様であり、通常、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備える。負極としては、上述した本発明の負極を用いる。
正極は、正極活物質及びバインダを含有する正極活物質層を、集電体上に形成したものである。
正極板は、前記したような負極の製造と同様の手法で、正極活物質やバインダを溶剤でスラリー化し、集電体上に塗布、乾燥することにより形成する。正極の集電体としては、アルミニウム、ニッケル、SUSなどが用いられるが、何ら限定されない。
非水系電解液に使用される非水系溶媒は特に制限されず、従来から非水系電解液の溶媒として提案されている公知の非水系溶媒の中から、適宜選択して用いることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;テトラ
ヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類などが挙げられる。
リチウム塩は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。非水系電解液中におけるリチウム塩の濃度は、通常0.5M以上、2.0M以下の範囲である。
正極と負極との間には通常、電極間の短絡を防止するために、多孔膜や不織布などの多孔性のセパレータを介在させる。この場合、非水系電解液は、多孔性のセパレータに含浸させて用いる。セパレータの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエーテルスルホンなどが用いられ、好ましくはポリオレフィンである。
<電池の性能>
上述のように作製した電池は以下の様な性能を示すものである。
放電負荷特性は、通常、60以上、好ましくは70以上、より好ましくは 75以
上である。負極密度が高すぎると電解液の移動が阻害されて放電負荷特性が低下する傾向があり、負極密度が低すぎても活物質同士の接触性が低下して電気伝導度が低下する傾向がある。
(測定方法)
(1)表面官能基量
表面官能基量はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定する。
式1
O/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析におけるO1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたO原子濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度 × 100
粒径の測定方法は、界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例として、ツィーン20(登録商標))の0.2質量%水溶液10mLに、炭素材料0.01gを懸濁させ、市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「HORIBA製LA−920」に導入し、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、測定装置における体積基準のメジアン径として測定したものを、本発明におけるd50と定義する。
BET比表面積の測定方法は、例えば大倉理研社製比表面積測定装置「AMS8000」を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET1点法にて測定する。具体的には、試料(炭素材料)0.4gをセルに充填し、350℃に加熱して前処理を行った後、液体窒素温度まで冷却して、窒素30%、He70%のガスを飽和吸着させ、その後室温まで加熱して脱着したガス量を計測し、得られた結果から、通常のBET法により比表面積を算出した。
X線構造解析(XRD)の測定方法は、0.2mmの試料板に炭素材料を配向しないように充填し、X線回折装置(例えば日本電子製、JDX−3500)で、CuKα線にて出力30kV、200mAで測定する。得られた43.4°付近の3R(101)、及び44.5°付近の2H(101)の両ピークからバックグラウンドを差し引いた後、強度比3R(101)/2H(101)を算出する。
タップ密度は、粉体密度測定器である(株)セイシン企業社製「タップデンサーKYT−4000」を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して、炭素材料を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の重量から求めた密度をタップ密度として定義する。
ラマンスペクトルは、ラマン分光器:「日本分光社製ラマン分光器」で測定できる。具体的には、測定対象粒子を測定セル内へ自然落下させることで試料充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、測定セルをこのレーザー光と垂直な面内で回転させながら測定を行なう。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
非水系二次電池を用いて、下記の測定方法で電池充放電時の不可逆容量を測定した。
0.16mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して5mVまで充電し、更に、5mVの一定電圧で充電容量値が350mAh/gになるまで充電し、負極中にリチウムを
ドープした後、0.33mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して1.5Vまで放電を行なった。このときの充電容量(350mAh/g)と放電容量の差を不可逆容量として算出した。
非水系二次電池を用いて、下記の測定方法で電池充放電時の放電負荷特性を測定した。0.16mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して5mVまで充電し、更に、5mVの一定電圧で電流値が0.02mAになるまで充電し、負極中にリチウムをドープした
後、0.33mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して1.5Vまで放電を行なう充放電サイクルを3サイクル繰り返した。さらに、上記3サイクル充放電後のコイン電池を0.16mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して5mVまで充電し、更に、5mVの一定電圧で電流値が0.02mAになるまで充電し、負極中にリチウムをドープし
た後、0.81mA/cm2の電流密度で放電した(0.2C放電)。さらに、0.16mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して5mVまで充電し、更に、5mVの一定
電圧で電流値が0.02mAになるまで充電し、負極中にリチウムをドープした後、8.1mA/cm2の電流密度で放電した(2C放電)。このとき、下記式2で表される比(2C/0.2C)を放電負荷特性評価の指標とした。
式2
2C/0.2C(%)=0.81mA/cm2の電流密度で放電した際の放電容量/8.1mA/cm2の電流密度で放電した×100
炭素材料に水溶性高分子が添着された炭素材料5gにイオン交換水50gを加え、スターラーで3時間攪拌した後、吸引ろ過、及び110℃乾燥にて水分を除去してサンプルを得た。本サンプル、及び炭素材料の熱重量分析(TG)を行い、100℃以上500℃以下における重量減少率を算出し、下記式3で表される熱重量減少率の比を黒鉛表面に被覆した樹脂の溶出性指数とした。
式3
熱重量減少率の比(黒鉛表面に被覆した樹脂の溶出性指数)=上記処理を行うことにより得たサンプルの100℃以上500℃以下における重量減少率/(上記処理を行う前の)炭素材料の100℃以上500℃以下における重量減少率×100
水溶性高分子水溶液の粘度はブルックフィールド社製「デジタル粘度計HBDV−II+Pro」のスピンドルCPE−41を用いて測定した。付属のコーンにサンプルを2.5g入れ、25℃、せん断速度40s−1において、30秒間スピンドルを回転させたときの粘度を水溶性高分子水溶液の粘度として定義する。
本実施例では、水溶性高分子を添着する前の炭素材料(本明細書では炭素材料(A)に相当)は以下の材料を使用する。
球状天然黒鉛(A):前記測定法で測定した、粒径d50、タップ密度、比表面積、O/Cがそれぞれ19.3μm、1.10g/cm3、6.3m2/g、2.62%である球状天然黒鉛
球状天然黒鉛(B):前記測定法で測定した、粒径d50、タップ密度、比表面積、O/Cがそれぞれ15.9μm、1.08g/cm3、8.2m2/g、3.07%である球状天然黒鉛
球状天然黒鉛(C):前記測定法で測定した、粒径d50、タップ密度、比表面積、O/Cがそれぞれ18.5μm、1.08g/cm3、6.8m2/g、2.93%である球状天然黒鉛
熱処理球状黒鉛(D):前記測定法で測定した、粒径d50、タップ密度、比表面積、O/Cがそれぞれ23.1μm、1.08g/cm3、4.5m2/g、0.69%である、天然黒鉛を3000℃で熱処理することにより得られた熱処理球状黒鉛。
本発明の水溶性高分子が添着された炭素材料を負極材料として用い、活物質層密度1.70±0.03g/cm3の活物質層を有する極板を作製した。具体的には、負極材料20.00±0.02gに、1質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩水溶液を20.00±0.02g(固形分換算で0.200g)、及び重量平均分子量27万のスチレン・ブタジエンゴム水性ディスパージョン0.50±0.05g(固形分換算で0.2g)を、キーエンス製ハイブリッドミキサーで5分間撹拌し、30秒脱泡してスラリーを得た。
上記方法で作製した電極シートを直径12.5mmの円盤状に打ち抜き、リチウム金属箔を直径14mmの円板状に打ち抜き対極とした。両極の間には、A:エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合溶媒(容量比=3:7)に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させた電解液、B:エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒(容量比=2:4:4)に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させた電解液、C:エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒(容量比=1:5:4)に、LiPF6を1mo
l/Lになるように溶解させた電解液(表中ではそれぞれ電解液A、B、Cと表す)を含浸させたセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、A〜Cの電解液を使用した2016コイン型電池をそれぞれ作製した。
球状天然黒鉛(A)100gに、5%ポリアクリル酸水溶液(重量平均分子量:5000、水溶液粘度<100cP)20gを添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気下で乾燥してサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、O/Cを測定した。結果を表1、2に示す。また、前記測定法に従い、電解液A、及びBを用いた場合の不可逆容量を測定した。この結果を表3に示す。
5%ポリアクリル酸水溶液を5%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(水溶液粘度<100cP)に変えた以外は、実施例1と同様に行いサンプルを得た。これについて、実施例1と同様の方法で物性の測定を行った。また、前記測定法に従い、電解液Aを用いた場合の不可逆容量を測定した。結果を表1から表3に示す。
5%ポリアクリル酸水溶液を5%ポリアクリル酸リチウム水溶液(水溶液粘度<100cP)に変えた以外は、実施例1と同様に行いサンプルを得た。これについて、実施例1と同様の方法で物性の測定を行った。また、前記測定法に従い、電解液Aを用いた場合の不可逆容量を測定した。結果を表1から表3に示す。
5%ポリアクリル酸水溶液を5%ポリアクリルアミド水溶液(重量平均分子量:500万)に変えた以外は、実施例1と同様に行いサンプルを得た。これについて、実施例1と同様の方法で物性の測定を行った。また、前記測定法に従い、電解液A、及びBを用いた場合の不可逆容量を測定した。結果を表1から表3に示す。
5%ポリアクリル酸水溶液20gを2%カルボキシルメチルセルロースナトリウム塩水溶液75gに変えた以外は、実施例1と同様に行いサンプルを得た。これについて、実施例1同様の方法で物性の測定を行った。また、前記測定法に従い、電解液A、及びBを用いた場合の不可逆容量を測定した。結果を表1から表3に示す。
実施例1で得たサンプルに対して、更に該サンプル100gに1%カルボキシルメチルセルロースナトリウム塩水溶液(水溶液粘度500cP)を50g添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気下で乾燥してサンプルを得た。これについて、実施例1同様の方法で物性の測定を行った。また、前記測定法に従い、電解液Aを用いた場合の不可逆容量を測定した。結果を表1から表3に示す。
実施例4で得たサンプル100gに1%カルボキシルメチルセルロースナトリウム塩水溶液(水溶液粘度500cP)を100g添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気下で乾燥してサンプルを得た。これについて、実施例1同様の方法で物性の測定を行った。また、前記測定法に従い、電解液Aを用いた場合の不可逆容量を測定した。結果を表1から表3に示す。
球状天然黒鉛(A)をそのまま用いて、前記測定法に従い、電解液A、及びBを用いた場合の不可逆容量を測定した。結果を表3に示す。
実施例8
球状天然黒鉛(B)100gに、2%カルボキシルメチルセルロースナトリウム塩水溶液25gを添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気下で乾サンプルを得た。これについて、実施例1同様の方法で物性の測定を行った。また、電解液Aを用いた場合の不可逆容量測定と放電負荷特性測定を行った。結果を表1から表4に示す。
球状天然黒鉛(B)100gに、5%ポリアクリル酸水溶液(重量平均分子量:5000、水溶液粘度<100cP)20gを添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気下で乾燥してサンプルを得た。更に、上記サンプル100gにカルボキシルメチルセルロースナトリウム塩とスチレン・ブタジエンゴム水溶液をそれぞれ1%溶解、及び分散させたものを50g添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気下で乾燥してサンプルを得た。これについて、実施例1同様の方法で物性の測定を行った。また、電解液A、及びCを用いた場合の不可逆容量測定を行った。結果を表1から表3に示す。
球状天然黒鉛(B)100gに、5%ポリアクリルアミド水溶液20g(重量平均分子量:1600万)を添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気下で乾燥してサンプルを得た。更に、上記サンプル100gにカルボキシルメチルセルロースナトリウム塩とスチレン・ブタジエンゴム水溶液をそれぞれ1%溶解、及び分散させたものを50g添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気下で乾燥してサンプルを得た。これについて、実施例9と同様の測定を行った。結果を表1から表3に示す。
実施例9で得られたサンプルを150℃で3時間加熱処理してサンプルを得た。これについて、実施例9と同様の測定を行った。結果を表1から表3に示す。
実施例12
実施例9で得られたサンプルを200℃で3時間加熱処理してサンプルを得た。これについて、実施例9と同様の測定を行った。結果を表1から表3に示す。
実施例9で得られたサンプルを250℃で3時間加熱処理してサンプルを得た。これについて、実施例9と同様の測定を行った。結果を表1から表3に示す。
実施例14
実施例9で得られたサンプルを400℃で3時間加熱処理してサンプルを得た。これについて、実施例9と同様の測定を行った。結果を表1から表3に示す。
球状天然黒鉛(B)をそのまま用いて、電解液A、及びCを用いた場合の不可逆容量測定、及び電解液Aを用いた場合の放電負荷特性測定を行った。結果を表3、表4に示す。
実施例15
球状天然黒鉛(C)100gに、5%ポリアクリルアミド水溶液(重量平均分子量:1600万)20gを添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気下で乾燥してサンプルを得た。更に、上記サンプル100gにカルボキシルメチルセル
ロースナトリウム塩とスチレン・ブタジエンゴム水溶液をそれぞれ1%溶解、及び分散させたものを50g添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気下で乾燥してサンプルを得た。これについて、実施例9と同様の測定を行った。結果を表1から表3に示す。
実施例15で得られたサンプルを150℃で3時間加熱処理してサンプルを得た。これについて、実施例9と同様の測定を行った。結果を表1から表3に示す。
実施例17
実施例15で得られたサンプルを200℃で3時間加熱処理してサンプルを得た。これについて、実施例9と同様の測定を行った。結果を表1から表3に示す。
実施例15で得られたサンプルを250℃で3時間加熱処理してサンプルを得た。これについて、実施例9と同様の測定を行った。結果を表1から表3に示す。
実施例19
実施例15で得られたサンプルを400℃で3時間加熱処理してサンプルを得た。これについて、実施例9と同様の測定を行った。結果を表1から表3に示す。
球状天然黒鉛(C)100gに、5%ポリアクリルアミド水溶液(重量平均分子量:1600万)20gを添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気下で乾燥してサンプルを得た。これについて、実施例1同様の方法で物性の測定を行った。また、前記測定法に従い、電解液Aを用いた場合の不可逆容量を測定した。結果を表1から表3に示す。
球状天然黒鉛(C)100gに0.5%ポリアクリルアミド水溶液(重量平均分子量:1600万、水溶液粘度<100cP)500gを添加し、ミキサーで20分間攪拌した。ここで得られたスラリーをろ過し、サンプルを得た。これについて、実施例1同様の方法で物性の測定を行った。また、前記測定法に従い、電解液Aを用いた場合の不可逆容量を測定した。結果を表1から表3に示す。さらに、黒鉛表面へのポリアクリルアミド添着量を規定するため、本サンプルには実施例20で得られたサンプル、及び本サンプルの熱重量分析(TG)を行い、重量減少率の比を算出した。この結果、本サンプルのポリアクリルアミド添着量を0.74%と算出した。
球状天然黒鉛(C)100gに0.3%ポリアクリルアミド水溶液(重量平均分子量:1600万、水溶液粘度<100cP)500gを添加し、1時間の振動攪拌処理を行った。ここで得られたスラリーをろ過し、サンプルを得た。これについて、実施例1同様の方法で物性の測定を行った。また、前記測定法に従い、電解液Aを用いた場合の不可逆容量を測定した。結果を表1から表3に示す。さらに、実施例21と同様の方法にて、本サンプルのポリアクリルアミド添着量を0.64%と算出した。
球状天然黒鉛(C)である球状天然黒鉛をそのまま用いて、実施例9と同様の測定を行った。結果を表3に示す。
実施例23
球状天然黒鉛(C)100gに、5%ポリアクリルアミド水溶液(重量平均分子量:1600万)20gを添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲
気下で乾燥してサンプルを得た。このサンプルについて、上記方法にて黒鉛表面に被覆した樹脂の溶出性指数を算出した。結果を表5に示す。
球状天然黒鉛(D)100gに、5%ポリアクリルアミド水溶液(重量平均分子量:1600万)20gを添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気下で乾燥してサンプルを得た。このサンプルについて、上記方法にて黒鉛表面に被覆した樹脂の溶出性指数を算出した。結果を表5に示す。
実施例23では炭素材料(A)のO/Cが規定内であるために、黒鉛表面に被覆した樹脂の溶出性指数が低い。これに対し、比較例4では炭素材料(A)のO/Cが規定より低
いために、黒鉛表面と水溶性高分子の相互作用が低下し、黒鉛表面に被覆した樹脂の溶出性指数が高くなった。
Claims (7)
- 下記式1で表される表面官能基量O/C値が1%以上、4%以下である炭素材料(A)に水溶性高分子(B)が添着されており、水溶性高分子(B)が黒鉛表面に存在する含酸素官能基とイオン結合、及び/または水素結合可能な官能基を有していることを特徴とす
る非水系二次電池用炭素材料(C)。
式1
O/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析におけるO1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたO原子濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度×100 - 水溶性高分子(B)の添着量が上記炭素材料(A)に対して0.01%以上、10%以下である請求項1に記載の非水系二次電池用炭素材料(C)。
- 下記測定方法で算出される溶出性指数が10以下である請求項1又は2に記載の非水系二次電池用炭素材料(C)。
(測定方法)
炭素材料に水溶性高分子が添着された炭素材料5gにイオン交換水50gを加え、スターラーで3時間攪拌した後、吸引ろ過、及び110℃乾燥にて水分を除去してサンプルを得、本サンプル、及び炭素材料の熱重量分析(TG)を行い、100℃以上500℃以下における重量減少率を算出し、下記式3で表される熱重量減少率の比を黒鉛表面に被覆した樹脂の溶出性指数とする。
式3
熱重量減少率の比(黒鉛表面に被覆した樹脂の溶出性指数)=上記処理を行うことにより得たサンプルの100℃以上500℃以下における重量減少率/(上記処理を行う前の)炭素材料の100℃以上500℃以下における重量減少率×100 - 水溶性高分子(B)がカルボキシルメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、及びそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種類である請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系二次電池用炭素材料(C)。
- 炭素材料(C)のBET比表面積が1m2/g以上、8m2/g以下であり、タップ密
度が0.7g/cm3以上、1.3g/cm3以下である請求項1〜4のいずれか1項に
記載の非水系二次電池用炭素材料。 - 集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備えると共に、該活物質層が、請求項1から5のいずれか1項に記載の炭素材料を含有することを特徴とする、非水系二次電池用負極。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えると共に、該負極が、請求項6に記載の非水系二次電池用負極であることを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
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