JP6638513B2 - 非水系二次電池負極用活物質、非水系二次電池用負極、及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

非水系二次電池負極用活物質、非水系二次電池用負極、及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、人造黒鉛からなる負極材及びそれを用いたリチウムイオン二次電池に関するものである。具体的には、初期充放電効率が高く、且つ、放電容量も大きい人造黒鉛負極材料に及びそれを用いたリチウムイオン二次電池に関する。
近年、電子機器の小型化に伴い、高容量の二次電池に対する需要が高まってきている。特に、ニッケル・カドミウム電池や、ニッケル・水素電池に比べ、よりエネルギー密度の高く、大電流充放電特性に優れたリチウムイオン二次電池が注目されてきている。従来、リチウムイオン二次電池の高容量化は広く検討されているが、近年、リチウムイオン二次電池に対する更なる高性能化の要求が高まってきており、特に自動車向けなど更なる高容量化、高入出力化、高寿命化を達成することが求められている。
リチウムイオン二次電池の負極用活物質として、これまで金属や黒鉛などが検討されている。近年では、黒鉛が高容量、高効率でサイクル特性に優れるという点で広く用いられており、その中でも人造黒鉛が、活物質の充填密度の向上という点で優れている。そうした中、電池の更なる高容量化には、電解液との副反応が著しく抑制された人造黒鉛が求められている。
こうした中で、特許文献1には、フリーカーボン含有量0.3重量%以下のタールやピッチを400〜600℃で熱処理して得たバルクメソフェーズを粉砕、焼成、黒鉛化することにより、放電容量が350mAh/g以上の黒鉛負極材料を得ることが記載されている。
また、特許文献2には、球形化した天然黒鉛を非晶質炭素で被覆した複層構造炭素材料に機械的処理を施して、複層構造炭素材表面に酸素官能基を導入し、昇温熱分解質量分析計(TPD−MS)による1000℃までの脱離CO量が2μmol/g以上15μmol/g以下である炭素材を用いることで、急速充放電特性と高サイクル特性を併せ持った負極材料を得ることが記載されている。
特開2001−316105号公報 特許5799710号公報
ところで、電池充電時にリチウムとの合金化や黒鉛層間化合物の生成により電極が膨張すると、非水系二次電池の単位体積当たりに充填できる活物質量が減少し、結果として電池容量が低下する課題があり、この解決法として特許文献1に開示されるような人造黒鉛を用いることが検討されている。
しかしながら、特許文献1に開示される従来の人造黒鉛材料では、放電容量を高くするために黒鉛の結晶性を高くする必要があり、その為に初期充電時に電解液と結晶性の高い黒鉛表面の副反応が抑制できず、初期充放電効率が小さくなるという課題があった。
また、特許文献2に開示される複層構造炭素材表面に酸素官能基を導入した負極材では、球形化した天然黒鉛を用いているために、放電容量は大きいものの電極の膨張を抑制することは難しいという課題があった。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたものである。即ち、本発明は、初期充放電時の電解液との副反応が抑制でき、そのため初期充放電効率が高く、且つ、放電容量も大きい、更に電極の膨張の少ない高容量な優れた非水系二次電池を得ることが可能な非水系二次電池負極用炭素材及びそれを用いた非水系二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な、人造黒鉛から形成される粒子を主成分とする非水系二次電池用負極材であって、以下(イ)〜(ハ)の全ての要件を満たすことを特徴とする非水系二次電池用負極材、
(イ)昇温熱分解質量分析計(TPD−MS)による1000℃までの脱離CO量が0.90μmol/g以上、4.00μmol/g以下である。
(ロ)昇温熱分解質量分析計(TPD−MS)による1000℃までの脱離CO量が0.15μmol/g以上、1.50μmol/g以下である。
(ハ)ラマン分光分析計によるラマンR値が0.04以上、0.20以下である。
を用いることにより、初期充放電時の電解液との副反応が抑制でき、そのため初期充放電効率が高く、且つ、放電容量も大きく、高容量な優れた非水系二次電池用負極材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の要旨は以下のとおりである。
<1> リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な、人造黒鉛から形成される粒子を
含有する非水系二次電池負極用活物質であって、以下(イ)〜(ハ)の全ての要件を満た
すことを特徴とする非水系二次電池負極用活物質
(イ)昇温熱分解質量分析計(TPD−MS)による1000℃までの脱離CO量が0.
90μmol/g以上、4.00μmol/g以下である。
(ロ)昇温熱分解質量分析計(TPD−MS)による1000℃までの脱離CO量が0
.15μmol/g以上、1.50μmol/g以下である。
(ハ)ラマン分光分析計によるラマンR値が0.04以上、0.15以下である。
<2> 表面官能基量O/C値が0.35原子%以上、1.45原子%以下であることを
特徴とする前記<1>に記載の非水系二次電池負極用活物質
<3> BET比表面積が0.3m/g以上、2.0m/g以下であることを特徴と
する前記<1>又は<2>に記載の非水系二次電池負極用活物質
<4> 集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備えた非水系二次電池用負極で
あり、該活物質層は、前記<1>乃至<3>のいずれか1つに記載の非水系二次電池負極
用活物質を含有することを特徴とする非水系二次電池用負極。
<5> リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えるリチ
ウムイオン二次電池であって、該負極が前記<4>に記載の非水系二次電池用負極である
ことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
本発明の負極材は、それを非水系二次電池用の負極活物質として用いることにより、初期充放電時の電解液との副反応が抑制でき、そのため初期充放電効率が高く、且つ、放電容量も高く、高容量な優れたリチウム二次電池を提供することができる。
以下、本発明の内容を詳細に述べる。なお、以下に記載する発明構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨をこえない限り、これらの形態に特定されるものではない。
本発明の非水系二次電池用負極材は、リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な、人造黒鉛から形成される粒子を主成分とする非水系二次電池用負極材であって、以下(イ)〜(ハ)の全ての要件を満たすことを特徴とする非水系二次電池用負極材、
(イ)昇温熱分解質量分析計(TPD−MS)による1000℃までの脱離CO量が0.
90μmol/g以上、4.00μmol/g以下である。
(ロ)昇温熱分解質量分析計(TPD−MS)による1000℃までの脱離CO量が0.15μmol/g以上、1.50μmol/g以下である。
(ハ)ラマン分光分析計によるラマンR値が0.04以上、0.20以下である
に関するものである。
本発明において、(イ)昇温熱分解質量分析計(TPD−MS)による1000℃までの脱離CO量、(ロ)昇温熱分解質量分析計(TPD−MS)による1000℃までの脱離CO量、ラマン分光分析計によるラマンR値の全ての要件が上記範囲を満足することは、本発明の負極材と初期充放電時の電解液との副反応が抑制でき、そのため初期充放電効率が高く、且つ、放電容量も高く、容量に優れるものである。本発明にかかる負極材が前記効果を発現する理由については、次の様に考えている。
一般的に電池容量を高くするには、(1)活物質の重量当たり、若しくは体積当たりの放電容量を高くする、(2)初期充放電効率を高くする、(3)活物質の電極充填密度を高くする、(4)電極の活物質層の厚さ(単位面積当たりの重量)を増すことで、集電体等の体積を減らし活物質の充填量を増やす、(5)充放電に伴う電極膨れを少なくすることで電池膨れを抑制する、(6)活物質と電解液の副反応で生成するガスを少なくすることで電池膨れを抑制することなどが挙げられる。
この中で、(5)電極膨れを抑制するために、負極活物質として人造黒鉛が用いられている。しかしながら、人造黒鉛は天然黒鉛に比べ結晶性が低く、(1)活物質の重量当たりの放電容量を高くし難いという問題がある。
この解決方法として、人造黒鉛となる原料ピッチ等を調整・選択することや、原料等に黒鉛化促進触媒を添加することや、黒鉛化温度を3000℃以上に上げることで結晶性を高めることにより、(1)活物質の重量当たりの放電容量を改善することが行われている。
しかしながら、前記処理等により黒鉛の結晶性を高めすぎると、電解液と黒鉛表面との副反応が増加し(2)初期充放電効率が低くなるという課題があった。
本発明は、かかる技術背景に鑑みて為されたものであり、黒鉛の結晶性を高め(1)活物質重量当たりの放電容量を高くしても、(2)初期充放電効率を高くできる。具体的には、黒鉛表面に電解液との反応が適度である本発明で規定される量の酸素官能基が存在し、且つ、黒鉛表面の結晶構造が適度に乱れている為、人造黒鉛の結晶性が高くても電解液との副反応を抑制し、電極膨れが小さく、且つ、高容量なリチウム二次電池を提供できる。
ここで、前記電解液との反応が適度である黒鉛表面の酸素官能基は、本発明で規定される昇温熱分解質量分析計による1000℃までの脱離CO量と脱離CO量の範囲で表すことができ、また、前記黒鉛表面の結晶構造が適度に乱れていることは、本発明で規定されるラマンR値の範囲で表すことができる。
<昇温熱分解質量分析計による1000℃までの脱離CO量(要件(イ))>
本発明の昇温熱分解質量分析計(TPD−MS)による1000℃までの脱離CO量の測定方法については、ヘリウムガス60ml/min流通下、20℃/minの昇温速度で、室温から1000℃まで昇温し、その時に発生したCO(一酸化炭素)量を質量分析計で定量し、炭素材1g当たりのCO発生量(μmol)として表す。
<昇温熱分解質量分析計による1000℃までの脱離CO2量(要件(ロ))>
本発明の昇温熱分解質量分析計(TPD−MS)による1000℃までの脱離CO量の測定方法については、ヘリウムガス60ml/min流通下、20℃/minの昇温速
度で、室温から1000℃まで昇温し、その時に発生したCO(二酸化炭素)量を質量分析計で定量し、炭素材1g当たりのCO発生量として表す。
<ラマン分光分析計によるラマンR値(要件(ハ))>
また、本発明のラマン分光分析計によるラマンR値の測定方法についてはラマン分光(例えば、日本分光社製ラマン分光器)を用い、試料を測定セル内へ自然落下させることで試料充填し、測定はセル内のサンプル表面にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、セルをレーザー光と垂直な面内で回転させながら行なう。なお、アルゴンイオンレーザー光の波長は例えば514.5nmとする。
得られたラマンスペクトルについて、1580cm−1付近のピークPの強度Iと、1360cm−1付近のピークPの強度Iとを測定し、その強度比R(R=I/I)を算出して、これを炭素材のラマンR値と定義する。 ここで、TPD−MSを用いて測定した1000℃までの脱離CO量(要件(イ))は、下限としては0.90μmol/g以上、好ましくは1.20μmol/g以上、より好ましくは1.30μmol/g以上、更に好ましくは1.50μmol/g以上、上限としては4.00μmol/g以下、好ましくは3.00μmol/g以下、より好ましくは2.50μmol/g以下、更に好ましくは2.30μmol/g以下の範囲である。
また、TPD−MSを用いて測定した1000℃までの脱離CO量(要件(ロ))は、下限としては0.15μmol/g以上、好ましくは0.20μmol/g以上、より好ましくは0.25μmol/g以上、更に好ましくは0.30μmol/g以上、上限としては1.50μmol/g以下、好ましくは1.00μmol/g以下、より好ましくは0.80μmol/g以下、更に好ましくは0.60μmol/g以下、特に好ましくは0.50μmol/g以下、殊更に好ましくは0.48μmol/g以下の範囲である。
また、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法を用いて測定したR値(要件(ハ))は、下限としては0.04以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.06以上、更に好ましくは0.07以上、上限としては0.20以下、好ましくは0.18以下、より好ましくは0.15以下、更に好ましくは0.12以下の範囲である。
TPD−MSを用いて測定した1000℃までの脱離CO量(要件(イ))、又は、脱離CO量(要件(ロ))、又は、ラマンR値(要件(ハ))がこの範囲を下回ると、粒子表面の酸素官能基量が少なく、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、安定な被膜を形成できず、電解液との副反応を抑制し難く初期充放電効率が低下する。
一方、TPD−MSを用いて測定した1000℃までの脱離CO量(要件(イ))、又は、脱離CO量(要件(ロ))、又は、ラマンR値(要件(ハ))がこの範囲を上回ると、粒子表面の酸素官能基量が多すぎて電解液との副反応が増大し初期充放電効率が低下したり、粒子表面の結晶性が低くなり放電容量が低下して、本発明の効果を奏することはできない。
<表面官能基量O/C値>
本発明の非水系二次電池用負極材の表面官能基量O/Cは、X線光電子分光法(XPS)分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度に対する、O1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたO原子濃度の値であるO/Cの下限が、通常0.35%以上であり、好ましくは0.45%以上、より好ましくは0.50%以上、更に好ましくは0.60%以上である。一方、上限は通常1.45%以下であり、好ましくは1.40%以下、より好ましくは1.20%以下、更に好ましくは1.10%以下である。XPS分析による表面官能基量O/C値は後述する実施例の方法により測定す
る。O/Cの値が上記範囲内であれば、粒子に付与されている酸素官能基量が適度なため、安定な被膜が形成でき、電解液との副反応を抑制し易くなる傾向がある。
<BET比表面積>
本発明の非水系二次電池用負極材のBET法による比表面積は、特に限定はされないが通常0.3m/g以上であり、好ましくは0.5m/g以上、より好ましくは0.7m/g以上である。一方、通常2.0m/g以下であり、好ましくは1.5m/g以下、より好ましくは1.3m/g以下である。BET法による比表面積は後述する実施例の方法により測定する。炭素材の比表面積が上記範囲内であれば、Liイオンの受け入れ性の低下や不可逆容量の増加を抑制することができ、電池容量の減少を防ぎやすくなる傾向がある。
<タップ密度>
本発明の非水系二次電池用負極材のタップ密度は、特に限定はされないが通常1.10g/cm以上であり、好ましくは1.15g/cm以上である。一方、通常1.55g/cm以下であり、好ましくは1.50g/cm以下である。タップ密度は実施例で後述する方法により測定する。タップ密度が上記範囲内であれば、非水電解液二次電池負極用炭素材が充分な球形粒子となっている傾向があり、電極内での連続した空隙が充分確保できるため、空隙に保持された電解液内のLiイオンの移動性が良好となり、急速充放電特性が優れる傾向がある。
<002面の面間隔(d002)>
本発明の非水系二次電池用負極材のX線広角回折法による002面の面間隔(d002)は、特に限定はされないが通常0.337nm以下である。d002値が大きすぎるということは結晶性が低いことを示し、放電容量が低下する場合がある。一方黒鉛の002面の面間隔の理論値は0.335nmであるため、通常0.335nm以上であることが好ましい。またLc004は通常90nm以上であり、好ましくは95nm以上である。また、Laは通常通常90nm以上であり、好ましくは95nm以上である。X線広角回折法による002面の面間隔(d002)は実施例で後述する方法により測定する。
<体積基準平均粒径(d50)>
本発明の非水系二次電池用負極材の体積基準平均粒径(d50)は、特に限定はされないが通常3μm以上であり、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である。一方、通常50μm以下であり、好ましくは40μm以下、より好ましくは35μm以下である。体積基準平均粒径は、後述する実施例の方法により測定する。体積基準平均粒径が上記範囲内であれば、比表面積が大きくなることによる不可逆容量の増加を防ぐことができ、電解液と炭素材の粒子との接触面積が減ることによる急速充放電性の低下を防ぐことができる傾向がある。
<体積基準で測定した粒径の小さい粒子側から累積10%に相当する粒径(d10)>
本発明の非水系二次電池用負極材の体積基準で測定した粒径の、小さい粒子側から累積10%に相当する粒径(d10)は好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは17μm以下、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上である。
d10が上記範囲内にあると、粒子の凝集傾向が強くなり過ぎず、スラリー粘度上昇などの工程不都合の発生、リチウムイオン二次電池における電極強度の低下や初期充放電効率の低下を回避できる。
d10は、体積基準平均粒径(d50)の測定の際に得られた粒度分布において、粒子の頻度%が小さい粒径から積算で10%となった値として定義される。
<体積基準で測定した粒径の、小さい粒子側から累積90%に相当する粒径(d90)>
本発明の非水系二次電池用負極材の体積基準で測定した粒径の、小さい粒子側から累積90%に相当する粒径(d90)は好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、更に好ましくは60μm以下、特に好ましくは50μm以下、好ましくは10μm以上、より好ましくは12μm以上、更に好ましくは15μm以上、特に好ましくは20μm以上である。
d90が上記範囲内にあると、リチウムイオン二次電池における電極強度の低下や初期充放電効率の低下を回避でき、スラリーの塗布時の筋引きなどの工程不都合の発生も回避できる傾向にある。
d90は、平均粒径d50の測定の際に得られた粒度分布において、粒子の頻度%が小さい粒径から積算で90%となった値として定義される。
<d90/d10>
本発明の非水系二次電池用負極材のd90/d10は通常1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、特に好ましくは4以上であり、通常10以下、好ましくは7以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは5以下である。d90/d10が上記範囲内であると、大きな粒子間の空隙に小さな粒子が入る事により充填性が向上して、比較的大きな細孔である粒子間細孔をより小さく、且つ容積を低減できるため、粉体に対する水銀圧入法により求められる細孔分布におけるモード径を小さくすることが可能になる。この結果、高容量で、優れた充放電負荷特性を示す傾向がある。
d90/d10は上記方法により測定したd90をd10で除した値として定義される。
<非水系二次電池用負極材の製造方法>
本発明の人造黒鉛から形成される粒子を主成分とする非水系二次電池用負極材の製造方法は特に限定はされないが、後述するピッチ原料等を、熱処理する工程、粉砕する工程、焼成する工程、黒鉛化する工程などからなる。また、本発明の効果を妨げない限り、粒度調整などのために分級工程を行っても良い。
(原料)
人造黒鉛の原料として用いられるピッチ原料とは、本発明書ではピッチ及びそれに順ずるものであり、適当な処理を行なうことによって黒鉛化することができるものをいう。具体的なピッチ原料の例としては、タールや重質油やピッチなどを用いることができる。タールの具体例としては、コールタール、石油系タールなどが挙げられる。重質油の具体例としては、石油系重質油の接触分解油、熱分解油、常圧残油、減圧残油などが挙げられる。また、ピッチの具体例としては、コールタールピッチ、石油系ピッチ、合成ピッチなどが挙げられる。これらの中でもコールタールピッチが芳香族性に高く好ましい。これらのピッチ原料は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
上述のピッチ原料であって、キノリン不溶分の含有量が、通常0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下であるものを用いる。キノリン不溶分とは、コールタール中に微量に含まれるサブミクロンの炭素粒子や極微小なスラッジ等であり、これが多すぎると黒鉛化過程での結晶性向上を著しく阻害し、黒鉛化後の放電容量の著しい低下を招く。なお、キノリン不溶分の測定方法としては、例えばJIS K2425に規定された方法を用いることができる。
なお、本発明の効果を妨げない限り、原料として上述のピッチ原料に加え、各種の熱硬
化性樹脂、熱可塑性樹脂等を併用してもよい。また、珪素含有化合物やホウ素含有化合物などを黒鉛化触媒として添加併用してもよい。
(熱処理)
選択したピッチ原料に熱処理を施し、黒鉛結晶の前駆体であるバルクメソフェーズ(熱処理した黒鉛結晶前駆体。以下適宜、「熱処理黒鉛結晶前駆体」という)を得る。熱処理の際の温度条件は、通常400℃以上、好ましくは450℃以上、また、通常550℃以下、好ましくは510℃以下である。熱処理の温度がこの範囲を下回ると揮発分が多くなるため、大気中で安全に粉砕を行ない難くなる一方で、上回ると粉砕により比表面積が増加する虞がある。
また、熱処理を行なう時間は、通常1時間以上、好ましくは5時間以上、より好ましくは10時間以上、また、通常48時間以下、好ましくは24時間以下である。熱処理の時間がこの範囲を下回ると不均一な熱処理黒鉛結晶前駆体となり製造上好ましくない一方で、上回ると生産性が悪く処理費用が高くなり、やはり好ましくない。
なお、熱処理の温度及び累積時間が前記の範囲内であれば、複数回に分けて熱処理を行なってもよい。熱処理を行なう際には、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、又は、ピッチ原料から発生する揮発分雰囲気下で行なう。熱処理に用いる装置としては特に制限はないが、例えば、シャトル炉、トンネル炉、電気炉、オートクレーブ等の反応槽、コーカー(コークス製造の熱処理槽)などを用いることができる。熱処理時には、必要に応じて攪拌を行なってもよい。
熱処理によって得られる黒鉛結晶前駆体の灰分は、特に限定はされないが通常0.03重量%以上、好ましくは0.04重量%以上であり、また、通常0.06重量%以下、好ましくは0.05重量%以下である。灰分が前記範囲内であれば黒鉛化後の結晶性が適度に発達し易いので、初期充放電効率が高く、放電容量が大きい負極材を得ることができる。なお、灰分の測定方法としては、例えばJIS M8812に規定された方法を用いることができる。
また、熱処理によって得られる黒鉛結晶前駆体の粒径は、特に限定はされないが通常1cm以下、好ましくは7mm以下、より好ましくは5mm以下である。一方、粒径の下限は黒鉛化後に負極材として必要とされる粒径以上を用いることができる。黒鉛結晶前駆体の粒径が前記範囲内であれば、黒鉛化後の粒子表面の酸素官能基量と結晶性を適度な範囲で制御でき、初期充放電効率が高く、放電容量が大きい負極材を得ることができる。なお、黒鉛結晶前駆体の粒径の測定方法としては、例えば、目開き1cm〜5mm程度の篩により篩分けし、目開き毎の重量の最頻度を粒径として用いることができる。
(粉砕)
次に、熱処理を行なった黒鉛結晶前駆体を粉砕する。粉砕により黒鉛化後の目的の粒子径や粒子形状に調整するためである。粉砕後の黒鉛結晶前駆体の粒度は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上であり、また、通常60μm以下、好ましくは30μm以下とする。粒度が前記範囲を下回ると、タップ密度が小さくなってしまうため、電極とした場合に活物質の充填密度が上がり難く、高容量の電池を得難い。一方、前記範囲を上回ると、塗布により電極を作製するときに塗工むらが生じ易く好ましくない。
粉砕に用いる装置について特に制限はないが、例えば、粗粉砕機としてはジョークラッシャー、衝撃式クラッシャー、コーンクラッシャー等が挙げられ、中間粉砕機としてはロールクラッシャー、ハンマーミル等が挙げられ、微粉砕機としてはボールミル、振動ミル、ピンミル、クリプトロン、ターボミル、攪拌ミル、ジェットミル等が挙げられる。
(焼成)
次に、粉砕された黒鉛結晶前駆体を焼成する。黒鉛化時の黒鉛結晶前駆体粒子の融着を抑制するべく、焼成により黒鉛結晶前駆体の揮発分を除去するためである。
焼成を行なう際の温度条件は、通常600℃以上、好ましくは900℃以上、より好ましくは1000℃以上、また、通常1500℃以下、好ましくは1300℃以下である。温度条件が前記範囲を下回ると、黒鉛化時に黒鉛結晶前駆体が粉体の融着を起こし易く好ましくない。一方、前記範囲を上回ると、焼成設備に費用が掛かるため好ましくない。
焼成を行なう時に、温度条件を上記範囲に保持する保持時間は特に制限されないが、通常30分以上、72時間以下である。
焼成は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、又は、再粉砕した黒鉛結晶前駆体から発生するガスによる非酸化性雰囲気下で行なう。また、製造工程の簡略化のため、焼成工程を組み込まずに、直接黒鉛化を行なうことも可能である。
焼成に用いる装置としては特に制限はないが、例えば、シャトル炉、トンネル炉、電気炉、リードハンマー炉、ロータリーキルン等を用いることができる。
(黒鉛化)
次に、焼成を行なった黒鉛結晶前駆体に黒鉛化を施す。電池評価での放電容量を大きくするために、結晶性を向上させるためである。黒鉛化により、本発明の黒鉛材料を得ることができる。
黒鉛化を行なう際の温度条件は、通常2800℃以上、好ましくは2900℃以上、より好ましくは3000℃以上、また、通常3200℃以下、好ましくは3100℃以下である。前記範囲を上回ると、電池の可逆容量が小さくなる虞があり、高容量な電池を作り難い。また、前記範囲を上回ると、黒鉛の昇華量が多くなり易く好ましくない。
黒鉛化を行なう時に保持時間は特に制限されないが、通常0分よりも長い時間であり、24時間以下である
黒鉛化は、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下、又は、焼成した黒鉛結晶前駆体から発生するガスによる非酸化性雰囲気下で行なう。
黒鉛化に使用する装置としては特に制限はないが、例えば、直接通電炉、アチソン炉、間接通電式として抵抗加熱炉、誘導加熱炉等が挙げられる。
なお、黒鉛化処理時、若しくはそれ以前の工程、即ち、熱処理から焼成までの工程で、材料(ピッチ原料又は黒鉛結晶前駆体)の中、若しくは表面にSi、B等の黒鉛化触媒を添加しても構わない。
また、本発明の効果を妨げない限り、焼成工程や黒鉛化工程後に粉砕(解砕)工程を行っても良い。
更にまた、粉砕工程や焼成工程や黒鉛化工程の後に粒度調整などのために分級工程を行っても良い。分級工程に用いる装置としては特に制限はないが、例えば、乾式篩い分けの場合は、回転式篩い、動揺式篩い、旋動式篩い、振動式篩い等を用いることができ、乾式気流式分級の場合は、重力式分級機、慣性力式分級機、遠心力式分級機(クラシファイア、サイクロン等)を用いることができ、また、湿式篩い分け、機械的湿式分級機、水力分級機、沈降分級機、遠心式湿式分級機等を用いることができる。
また、本発明では、極板の配向性、電解液の浸透性、導電パス等を向上させ、サイクル特性、極版膨れ等の改善を目的とし、前記炭素材とは異なる炭素材料を混合することができる(以下、前記炭素材に、前記炭素材とは異なる炭素材料を混合して得られた炭素材を「混合炭素材」と呼ぶことがある)。
前記炭素材とは異なる炭素材料としては、例えば天然黒鉛、黒鉛を炭素質物で被覆した被覆黒鉛、非晶質炭素、金属粒子や金属化合物を含有した炭素材の中から選ばれる材料を
用いることができる。これらの材料は、何れかを一種を単独で用いても良く、二種以上を任意の組み合わせ及び組成で併用しても良い。
天然黒鉛としては、例えば次のものを用いることができる。天然黒鉛の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは8μm以上、より好ましくは10μm以上、特に好ましくは12μm以上また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下の範囲である。平均粒径がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
天然黒鉛のBET比表面積は、通常1m/g以上、好ましくは2m/g以上、また、通常30m/g以下、好ましくは15m/g以下の範囲である。比表面積がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
天然黒鉛のタップ密度は、通常0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上が好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好ましい。また、通常1.3g/cm3以下、1.2g/cm3以下が好ましく、1.1g/cm3以下がより好ましい。この範囲であれば高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
黒鉛を炭素質物で被覆した被覆黒鉛としては、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛に上述した炭素質物の前駆体である有機化合物を被覆、焼成及び/又は黒鉛化した粒子や、天然黒鉛や人造黒鉛に炭素質物をCVDにより被覆した粒子を用いることができる。
被覆黒鉛の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは8μm以上、より好ましくは10μm以上、特に好ましくは12μm以上また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下の範囲である。平均粒径がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
被覆黒鉛のBET比表面積は、通常1m/g以上、好ましくは2m/g以上、更に好ましくは2.5m/g以上、また、通常20m/g以下、好ましくは10m/g以下、更に好ましくは8m/g以下、特に好ましくは5m/g以下の範囲である。比表面積がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
また、被覆黒鉛のタップ密度は、通常0.6g/cm以上、0.7g/cm以上が好ましく、0.8g/cm以上がより好ましく、0.85g/cm以上が更に好ましい。また、通常1.3g/cm以下、1.2g/cm以下が好ましく、1.1g/cm以下がより好ましい。タップ密度がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
非晶質炭素としては、例えば、バルクメソフェーズを焼成した粒子や、易黒鉛化性有機化合物を不融化処理し、焼成した粒子を用いることができる。
非晶質炭素の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは12μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。この範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
非晶質炭素のBET比表面積は、通常1m/g以上、好ましくは2m/g以上、更に好ましくは2.5m/g以上、また、通常8m/g以下、好ましくは6m/g以下、更に好ましくは4m/g以下の範囲である。比表面積がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
また、非晶質炭素のタップ密度は、通常0.6g/cm以上、0.7g/cm以上が好ましく、0.8g/cm以上がより好ましく、0.85g/cm以上が更に好ましい。また、通常1.3g/cm以下、1.2g/cm以下が好ましく、1.1g/cm以下がより好ましい。タップ密度がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が
良好となるため好ましい。 金属粒子や金属化合物を含有した炭素材は、例えば、Fe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Ag、Si、Sn、Al、Zr、Cr、P、S、V、Mn、Nb、Mo、Cu、Zn、Ge、In、Ti等からなる群から選ばれる金属又はその化合物を黒鉛と複合化した材料が挙げられる。用いることができる金属又はその化合物としては、2種以上の金属からなる合金を使用しても良く、金属粒子が、2種以上の金属元素により形成された合金粒子であってもよい。これらの中でも、Si、Sn、As、Sb、Al、Zn及びWからなる群から選ばれる金属又はその化合物が好ましく、中でも好ましくはSi及びSiOxである。この一般式SiOxは、二酸化Si(SiO)と金属Si(Si)とを原料として得られるが、そのxの値は通常0<x<2であり、好ましくは0.2以上、1.8以下、より好ましくは0.4以上、1.6以下、更に好ましくは0.6以上、1.4以下である。この範囲であれば、高容量であると同時に、Liと酸素との結合による不可逆容量を低減させることが可能となる。
金属粒子の体積基準平均粒径は、サイクル寿命の観点から、通常0.005μm以上、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上、更に好ましくは0.03μm以上であり、通常10μm以下、好ましくは9μm以下、より好ましくは8μm以下である。平均粒径がこの範囲であると充放電に伴う体積膨張が低減され、充放電容量を維持しつつ、良好なサイクル特性を得ることができる。
金属粒子のBET比表面積は、通常0.5m/g以上120m/g以下、1m/g以上100m/g以下であることが好ましい。比表面積が前記範囲内であると、電池の充放電効率および放電容量が高く、高速充放電においてリチウムの出し入れが速く、レート特性に優れるので好ましい。
混合炭素材を調整するために用いる装置としては、特に制限はないが、例えば、回転型混合機の場合:円筒型混合機、双子円筒型混合機、二重円錐型混合機、正立方型混合機、鍬形混合機、固定型混合機の場合:螺旋型混合機、リボン型混合機、Muller型混合機、Helical Flight型混合機、Pugmill型混合機、流動化型混合機等を用いることができる。
<非水系二次電池用負極>
本発明の非水系二次電池用負極(以下適宜「電極シート」ともいう。)は、集電体と、集電体上に形成された負極活物質層とを備えると共に、活物質層は少なくとも本発明の負極材とを含有することを特徴とする。更に好ましくはバインダを含有する。
バインダとしては、分子内にオレフィン性不飽和結合を有するものを用いる。その種類は特に制限されないが、具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体などが挙げられる。このようなオレフィン性不飽和結合を有するバインダを用いることにより、活物質層の電解液に対する膨潤性を低減することができる。中でも入手の容易性から、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
このようなオレフィン性不飽和結合を有するバインダと、前述の活物質とを組み合わせて用いることにより、負極板の強度を高くすることができる。負極の強度が高いと、充放電による負極の劣化が抑制され、サイクル寿命を長くすることができる。また、本発明に係る負極では、活物質層と集電体との接着強度が高いので、活物質層中のバインダの含有量を低減させても、負極を捲回して電池を製造する際に、集電体から活物質層が剥離するという課題も起こらないと推察される。
分子内にオレフィン性不飽和結合を有するバインダとしては、その分子量が大きいものか、或いは、不飽和結合の割合が大きいものが望ましい。具体的に、分子量が大きいバインダの場合には、その重量平均分子量が好ましくは1万以上、より好ましくは5万以上、
また、好ましくは100万以下、より好ましくは30万以下の範囲にあるものが望ましい。また、不飽和結合の割合が大きいバインダの場合には、全バインダの1g当たりのオレフィン性不飽和結合のモル数が、好ましくは2.5×10−7モル以上、より好ましくは8×10−7モル以上、また、好ましくは1×10−6モル以下、より好ましくは5×10−6モル以下の範囲にあるものが望ましい。バインダとしては、これらの分子量に関する規定と不飽和結合の割合に関する規定のうち、少なくとも何れか一方を満たしていればよいが、両方の規定を同時に満たすものがより好ましい。オレフィン性不飽和結合を有するバインダの分子量が上記範囲内であると機械的強度と可撓性に優れる。
また、オレフィン性不飽和結合を有するバインダは、その不飽和度が、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは40%以上、また、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。なお、不飽和度とは、ポリマーの繰り返し単位に対する二重結合の割合(%)を表す。
本発明においては、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダも、本発明の効果が失われない範囲において、上述のオレフィン性不飽和結合を有するバインダと併用することができる。オレフィン性不飽和結合を有するバインダに対する、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの混合比率は、好ましくは150質量%以下、より好ましくは120質量%以下の範囲である。
オレフィン性不飽和結合を有さないバインダを併用することにより、塗布性を向上することができるが、併用量が多すぎると活物質層の強度が低下する。
オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの例としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉、カラギナン、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等の増粘多糖類、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸、或いはこれらポリマーの金属塩、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのアルカン系ポリマー及びこれらの共重合体などが挙げられる。
本発明の炭素材は、上述のオレフィン性不飽和結合を有するバインダとを組み合わせて用いた場合、活物質層に用いるバインダの比率を従来に比べて低減することができる。具体的に、本発明の炭素材と、バインダ(これは場合によっては、上述のように不飽和結合を有するバインダと、不飽和結合を有さないバインダとの混合物であってもよい。)との質量比率は、それぞれの乾燥質量比で、好ましくは90/10以上、より好ましくは95/5以上であり、好ましくは99.9/0.1以下、より好ましくは99.5/0.5以下の範囲である。バインダの割合が上記範囲内であると容量の減少や抵抗増大を抑制でき、さらに極板強度にも優れる。
本発明の負極は、上述の本発明の炭素材とバインダとを分散媒に分散させてスラリーとし、これを集電体に塗布することにより形成される。分散媒としては、アルコールなどの有機溶媒や、水を用いることができる。このスラリーには更に、所望により導電剤を加えてもよい。導電剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック、平均粒径1μm以下のCu、Ni又はこれらの合金からなる微粉末などが挙げられる。導電剤の添加量は、本発明の炭素材に対して好ましくは10質量%以下程度である。
スラリーを塗布する集電体としては、従来公知のものを用いることができる。具体的には、圧延銅箔、電解銅箔、ステンレス箔等の金属薄膜が挙げられる。集電体の厚さは、好ましくは4μm以上、より好ましくは6μm以上であり、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下である。
スラリーを集電体上に塗布した後、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上、また、好ましくは200℃以下、より好ましくは195℃以下の温度で、乾燥空気又は不活性雰囲気下で乾燥し、活物性層を形成する。
スラリーを塗布、乾燥して得られる活物質層の厚さは、好ましくは5μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上、また、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは75μm以下である。活物質層の厚みが上記範囲内であると、活物質の粒径との兼ね合いから負極としての実用性に優れ、高密度の電流値に対する十分なLiの吸蔵・放出の機能を得ることができる。
活物質層における炭素材の密度は、用途により異なるが、容量を重視する用途では、好ましくは1.5g/cm以上、より好ましくは1.6g/cm以上、更に好ましくは1.65g/cm以上、特に好ましくは1.7g/cm以上である。また、好ましくは1.9g/cm以下である。密度が上記範囲内であると、単位体積あたりの電池の容量は充分確保でき、レート特性も低下し難くなる。
以上説明した本発明の負極材を用いて非水系二次電池用負極を作製する場合、その手法や他の材料の選択については、特に制限されない。また、この負極を用いてリチウムイオン二次電池を作製する場合も、リチウムイオン二次電池を構成する正極、電解液等の電池構成上必要な部材の選択については特に制限されない。以下、本発明の炭素材を用いたリチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池の詳細を例示するが、使用し得る材料や作製の方法等は以下の具体例に限定されるものではない。
<非水系二次電池>
本発明の非水系二次電池、特にリチウムイオン二次電池の基本的構成は、従来公知のリチウムイオン二次電池と同様であり、通常、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備える。負極としては、上述した本発明の負極を用いる。
正極は、正極活物質及びバインダを含有する正極活物質層を、集電体上に形成したものである。
正極活物質としては、リチウムイオンなどのアルカリ金属カチオンを充放電時に吸蔵、放出できる金属カルコゲン化合物などが挙げられる。金属カルコゲン化合物としては、バナジウムの酸化物、モリブデンの酸化物、マンガンの酸化物、クロムの酸化物、チタンの酸化物、タングステンの酸化物などの遷移金属酸化物、バナジウムの硫化物、モリブデンの硫化物、チタンの硫化物、CuSなどの遷移金属硫化物、NiPS、FePS等の遷移金属のリン−硫黄化合物、VSe、NbSeなどの遷移金属のセレン化合物、Fe0.250.75、Na0.1CrSなどの遷移金属の複合酸化物、LiCoS、LiNiSなどの遷移金属の複合硫化物等が挙げられる。
これらの中でも、V、V13、VO、Cr、MnO、TiO、MoV、LiCoO、LiNiO、LiMn、TiS、V、Cr0.250.75、Cr0.50.5などが好ましく、特に好ましいのはLiCoO、LiNiO、LiMnや、これらの遷移金属の一部を他の金属で置換したリチウム遷移金属複合酸化物である。これらの正極活物質は、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
正極活物質を結着するバインダとしては、公知のものを任意に選択して用いることができる。例としては、シリケート、水ガラス等の無機化合物や、テフロン(登録商標)、ポリフッ化ビニリデン等の不飽和結合を有さない樹脂などが挙げられる。これらの中でも好ましいのは、不飽和結合を有さない樹脂である。正極活物質を結着する樹脂として不飽和
結合を有する樹脂を用いると酸化反応時に分解される恐れがある。これらの樹脂の重量平均分子量は通常1万以上、好ましくは10万以上、また、通常300万以下、好ましくは100万以下の範囲である。
正極活物質層中には、電極の導電性を向上させるために、導電材を含有させてもよい。導電剤としては、活物質に適量混合して導電性を付与できるものであれば特に制限はないが、通常、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末、各種の金属の繊維、粉末、箔などが挙げられる。
正極板は、前記したような負極の製造と同様の手法で、正極活物質やバインダを溶剤でスラリー化し、集電体上に塗布、乾燥することにより形成する。正極の集電体としては、アルミニウム、ニッケル、ステンレススチール(SUS)などが用いられるが、何ら限定されない。
電解質としては、非水系溶媒にリチウム塩を溶解させた非水系電解液や、この非水系電解液を有機高分子化合物等によりゲル状、ゴム状、固体シート状にしたものなどが用いられる。
非水系電解液に使用される非水系溶媒は特に制限されず、従来から非水系電解液の溶媒として提案されている公知の非水系溶媒の中から、適宜選択して用いることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類などが挙げられる。
これらの非水系溶媒は、何れか一種を単独で用いても良く、二種以上を混合して用いても良い。混合溶媒の場合は、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合溶媒の組合せが好ましく、環状カーボネートが、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの混合溶媒であることが、低温でも高いイオン電導度を発現でき、低温充電不可特性が向上するという点で特に好ましい。中でもプロピレンカーボネートが非水系溶媒全体に対し、2質量%以上80質量%以下の範囲が好ましく、5質量%以上70質量%以下の範囲がより好ましく、10質量%以上60質量%以下の範囲がさらに好ましい。プロピレンカーボネートの割合が上記より低いと低温でのイオン電導度が低下し、プロピレンカーボネートの割合が上記より高いと、黒鉛系電極を用いた場合にはリチウムイオンに溶媒和したプロピレンカーボネートが黒鉛相間へ共挿入することにより黒鉛系負極活物質の層間剥離劣化がおこり、十分な容量が得られなくなる問題がある。
非水系電解液に使用されるリチウム塩も特に制限されず、この用途に用い得ることが知られている公知のリチウム塩の中から、適宜選択して用いることができる。例えば、LiCl、LiBrなどのハロゲン化物、LiClO、LiBrO、LiClOなどの過ハロゲン酸塩、LiPF、LiBF、LiAsFなどの無機フッ化物塩などの無機リチウム塩、LiCFSO、LiCSOなどのパーフルオロアルカンスルホン酸塩、Liトリフルオロスルフォンイミド((CFSONLi)などのパーフルオロアルカンスルホン酸イミド塩などの含フッ素有機リチウム塩などが挙げられ、この中でもLiClO、LiPF、LiBFが好ましい。
リチウム塩は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。非水系電解液中におけるリチウム塩の濃度は、通常0.5mol/L以上、2.0mol/L以下の範囲である。
また、上述の非水系電解液に有機高分子化合物を含ませ、ゲル状、ゴム状、或いは固体
シート状にして使用する場合、有機高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;ポリエーテル系高分子化合物の架橋体高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニルアルコール系高分子化合物;ビニルアルコール系高分子化合物の不溶化物;ポリエピクロルヒドリン;ポリフォスファゼン;ポリシロキサン;ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系高分子化合物;ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート−co−メチルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン)等のポリマー共重合体などが挙げられる。
上述の非水系電解液は、更に被膜形成剤を含んでいても良い。被膜形成剤の具体例としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチルカーボネート、メチルフェニルカーボネートなどのカーボネート化合物、エチレンサルファイド、プロピレンサルファイドなどのアルケンサルファイド;1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンなどのスルトン化合物;マレイン酸無水物、コハク酸無水物などの酸無水物などが挙げられる。更に、ジフェニルエーテル、シクロヘキシルベンゼン等の過充電防止剤が添加されていても良い。
上記添加剤を用いる場合、その含有量は通常10質量%以下、中でも8質量%以下、更には5質量%以下、特に2質量%以下の範囲が好ましい。上記添加剤の含有量が多過ぎると、初期不可逆容量の増加や低温特性、レート特性の低下等、他の電池特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
また、電解質として、リチウムイオン等のアルカリ金属カチオンの導電体である高分子固体電解質を用いることもできる。高分子固体電解質としては、前述のポリエーテル系高分子化合物にリチウムの塩を溶解させたものや、ポリエーテルの末端水酸基がアルコキシドに置換されているポリマーなどが挙げられる。
正極と負極との間には通常、電極間の短絡を防止するために、多孔膜や不織布などの多孔性のセパレータを介在させる。この場合、非水系電解液は、多孔性のセパレータに含浸させて用いる。セパレータの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエーテルスルホンなどが用いられ、好ましくはポリオレフィンである。
本発明の非水系二次電池の形態は特に制限されない。例としては、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等が挙げられる。また、これらの形態の電池を任意の外装ケースに収めることにより、コイン型、円筒型、角型等の任意の形状にして用いることができる。
本発明の非水系二次電池を組み立てる手順も特に制限されず、電池の構造に応じて適切な手順で組み立てればよいが、例を挙げると、外装ケース上に負極を乗せ、その上に電解液とセパレータを設け、更に負極と対向するように正極を乗せて、ガスケット、封口板と共にかしめて電池にすることができる。
次に実施例により本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[実施例1]
キノリン不溶分が0.05重量%以下のコールタールピッチを、反応炉にて500℃で10時間熱処理し、灰分が0.05%である5mm以下の粒状の熱処理黒鉛結晶前駆体(バルクメソフェーズ)を得た。得られた粒状の熱処理黒鉛結晶前駆体を、粗砕機(マキノ社製ジョークラッシャー)を用いて約1mm以下に粗砕し、更に中間粉砕機(セイシン企業社製オリエントミル)を用いて約150μmの粒子に粉砕し、更に微粉砕機(アーステ
クニカ社製クリプトロン)を用いて体積基準平均粒径が約20μmの粉末を得た。
得られた粉末を容器に入れ、電気炉にて窒素雰囲気下、1000℃で1時間焼成した。更に、焼成した粉末を黒鉛坩堝に移し替え、直接通電炉を用いて3000℃で5時間かけて黒鉛化し、人造黒鉛負極材料(実施例1の黒鉛材料)を得た。
得られた実施例1の黒鉛材料の物性を下記の方法に従って測定したところ、TPD−MS測定のCO発生量=1.71μmol/g、CO発生量=0.31μmol/gであり、ラマン測定にてそのR値を測定したところ、R値=0.08であった。
また、体積基準平均粒径(d50)=18μm、d10=8μm、d90=35μm、BET比表面積1.1m/g、タップ密度1.25g/cmであった。また、XPS分析にてそのO/C値を測定したところ、O/C=0.76であり、X線回折法にてその結晶性を測定したところ、d002=0.3357nm、Lc004>100nm、La>100nmであった。
更に、実施例1の黒鉛材料を用いて、下記の方法に従ってリチウム二次電池を作製し、放電容量と初期充放電効率の測定を行なった。結果を表1に示す。
<TPD−MSの測定方法>
昇温熱分解質量分析計(TPD−MS)による1000℃までの脱離CO量;ヘリウムガス60ml/min流通下、20℃/minの昇温速度で、室温から1000℃まで昇温し、その時に発生したCO(一酸化炭素)量及びCO量を質量分析計で定量し用いた。
<ラマンの測定方法(R値)>
日本分光社製NR−1800を用い、波長514.5nmのアルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析において、1580cm−1の付近のピークPAの強度IA、1360cm−1の範囲のピークPBの強度IBを測定し、その強度の比R値=IB/IAを求めた。
<体積基準平均粒径の測定方法(d50)>
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの2(容量)%水溶液約1mlに、炭素粉末約20mgを加え、これをイオン交換水約200mlに分散させたものを、レーザー回折式粒度分布計(堀場製作所製 LA−920)を用いて体積基準粒度分布を測定し、平均粒径(メジアン径:d50)、10%積算部のd10粒径、90%積算部のd90粒径を求めた。測定条件は超音波分散1分間、超音波強度2、循環速度2、相対屈折率1.50である。
<BET比表面積の測定方法>
BET比表面積は、大倉理研製全自動表面積測定装置を用い、窒素流通下350℃で15分間、予備乾燥を行なった後、相対圧を約0.3に精密に調整した窒素混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって測定した。
<タップ密度の測定方法>
タップ密度は、目開き300μmの篩を使用し、20cmのタッピングセルに黒鉛材料を落下させてセルを満杯に充填した後、粉体密度測定器(セイシン企業社製タップデンサー)を用いてストローク長10mmのタッピングを1000回行なって、その時のタッピング密度を測定した値を用いた。
<XPS分析方法(O/C値)>
X線光電子分光法(XPS)分析は、X線光電子分光器を用い、測定対象を表面が平坦
になるように試料台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、マルチプレックス測定により、C1s(280〜300eV)とO1s(525〜545eV)のスペクトルを測定する。得られたC1sのピークトップを284.3eVとして帯電補正し、C1sとO1sのスペクトルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、CとOの表面原子濃度をそれぞれ算出し、得られた原子濃度比からO/C値を求めた。
<002面の面間隔(d002)>
炭素粉末に約15%のX線標準高純度シリコン粉末を加えて混合したものを材料とし、グラファイトモノクロメーターで単色化したCuKα線を線源とし、反射式ディフラクトメーター法で広角X線回折曲線を測定し、学振法を用いて面間隔(d002)及び結晶子の大きさ(Lc004)、(La)を求めた。
<電極作製方法>
黒鉛材料と、増粘剤としてCMC水溶液と、バインダ樹脂としてSBR水溶液とを、乾燥後の黒鉛材料に対してCMC及びSBRがそれぞれ1重量%になるように混合撹拌してスラリーとし、ドクターブレードを用いて銅箔上にこのスラリーを塗布した。塗布厚さは、乾燥後の電極目付(銅箔除く)が10mg/cmになるようにギャップを選択した。
この電極を80℃で乾燥した後、電極密度(銅箔除く)が1.35±0.05g/cmになるようにプレスを行なった。プレス後の電極から12mmφの電極を打ち抜き、重量より負極活物質重量(電極重量−銅箔重量−バインダー重量)を求めた。
<コイン電池作製方法>
上記の電極作製方法で作製した電極を110℃で真空乾燥した後、グローブボックスへ移し、アルゴン雰囲気下で、電解液としてエチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(EMC)=3/7+ビニレンカーボネート(VC)1%の混合液を溶媒とした1M−LiPF電解液と、セパレータとしてポリエチレンセパレータと、対極としてリチウム金属対極とを用い、コイン電池(リチウム二次電池)を作製した。
<放電容量と初期充放電効率の測定方法>
2mA/cmの電流密度でリチウム対極に対して5mVまで充電し、更に、5mVの一定電圧で電流値0.02mAになるまで充電し、負極中にリチウムをドープした後、0.4mA/cmの電流密度でリチウム対極に対して1.5Vまで放電を行なう充放電サイクルを3サイクル繰り返し、3サイクル目の放電値を放電容量として測定した。また、1〜3サイクル目までの放電容量の合計値と1〜3サイクル目までの充電容量の合計値の比率から、次式を用いて初期充放電効率を求めた。
初期充放電効率(%)=(1〜3サイクル目までの放電容量合計)÷(1〜3サイクル目までの充電容量合計)×100
[実施例2]
キノリン不溶分が0.05重量%以下のコールタールピッチに石油系オイルを添加し、反応炉にて500℃で10時間熱処理し、灰分が0.05%である5mm以下の粒状の熱処理黒鉛結晶前駆体(バルクメソフェーズ)を得た。得られた粒状の熱処理黒鉛結晶前駆体を実施例1と同様に粉砕、焼成、黒鉛化し、人造黒鉛負極材料(実施例2の黒鉛材料)を得た。
得られた実施例2の黒鉛材料の物性を下記の方法に従って測定したところ、TPD−MS測定のCO発生量=2.21μmol/g、CO発生量=0.45μmol/gであり、ラマン測定にてそのR値を測定したところ、R値=0.09であった。
また、体積基準平均粒径(d50)=17μm、d10=8μm、d90=34μm、BET比表面積1.2m/g、タップ密度1.17g/cmであった。また、XPS
分析にてそのO/C値を測定したところ、O/C=0.92であり、X線回折法にてその結晶性を測定したところ、d002=0.3357nm、Lc004>100nm、La>100nmであった。
更に、得られた黒鉛材料を用いて実施例1と同様にリチウム二次電池を作製し、放電容量と初期充放電効率の測定を行なった。結果を表1に示す。
[比較例1]
キノリン不溶分が0.05重量%以下のコールタールピッチを、反応炉にて500℃で10時間熱処理し、灰分が0.004%である10cm以上の大きさの塊状の熱処理黒鉛結晶前駆体(バルクメソフェーズ)を得た。得られた塊状の熱処理黒鉛結晶前駆体を、粗砕機(マキノ社製ジョークラッシャー)を用いて約1mm以下に粗砕し、更に中間粉砕機(セイシン企業社製オリエントミル)を用いて約150μmの粒子に粉砕し、更に微粉砕機(アーステクニカ社製クリプトロン)を用いて体積基準平均粒径が約22μmの粉末を得た。
得られた粉末を容器に入れ、電気炉にて窒素雰囲気下、1000℃で1時間焼成した。更に、焼成した粉末を黒鉛坩堝に移し替え、直接通電炉を用いて3000℃で5時間かけて黒鉛化し、人造黒鉛負極材料(比較例1の黒鉛材料)を得た。
得られた比較例1の黒鉛材料の物性を下記の方法に従って測定したところ、TPD−MS測定のCO発生量=0.87μmol/g、CO発生量=0.14μmol/gであり、ラマン測定にてそのR値を測定したところ、R値=0.05であった。
また、体積基準平均粒径(d50)=20μm、d10=8μm、d90=40μm、BET比表面積1.1m/g、タップ密度1.19g/cmであった。また、XPS分析にてそのO/C値を測定したところ、O/C=0.29であり、X線回折法にてその結晶性を測定したところ、d002=0.3357nm、Lc004>100nm、La>100nmであった。
更に、得られた黒鉛材料を用いて実施例1と同様にリチウム二次電池を作製し、放電容量と初期充放電効率の測定を行なった。結果を表1に示す。
[比較例2]
キノリン不溶分が0.05重量%以下のコールタールピッチに石油系オイルを添加し、反応炉にて500℃で10時間熱処理し、灰分が0.004%である10cm以上の大きさの塊状の熱処理黒鉛結晶前駆体(バルクメソフェーズ)を得た。得られた塊状の熱処理黒鉛結晶前駆体を、粗砕機(マキノ社製ジョークラッシャー)を用いて約1mm以下に粗砕し、更に中間粉砕機(セイシン企業社製オリエントミル)を用いて約150μmの粒子に粉砕し、更に微粉砕機(アーステクニカ社製クリプトロン)を用いて体積基準平均粒径が約20μmの粉末を得た。
得られた粉末を容器に入れ、電気炉にて窒素雰囲気下、1000℃で1時間焼成した。更に、焼成した粉末を黒鉛坩堝に移し替え、直接通電炉を用いて3000℃で5時間かけて黒鉛化し、人造黒鉛負極材料(比較例2の黒鉛材料)を得た。
得られた比較例2の黒鉛材料の物性を下記の方法に従って測定したところ、TPD−MS測定のCO発生量=0.93μmol/g、CO発生量=0.14μmol/gであり、ラマン測定にてそのR値を測定したところ、R値=0.09であった。
また、体積基準平均粒径(d50)=18μm、d10=8μm、d90=36μm、BET比表面積1.0m/g、タップ密度1.16g/cmであった。また、XPS分析にてそのO/C値を測定したところ、O/C=0.36であり、X線回折法にてその結晶性を測定したところ、d002=0.3357nm、Lc004>100nm、La
>100nmであった。
更に、得られた黒鉛材料を用いて実施例1と同様にリチウム二次電池を作製し、放電容量と初期充放電効率の測定を行なった。結果を表1に示す。
[比較例3]
体積基準平均粒径(d50)=21μm、BET比表面積6.2m/g、タップ密度0.94g/cmである球形化された天然黒鉛をそのまま用い、その物性を実施例1と同様に測定したところ、TPD−MS測定のCO発生量=20.5μmol/g、CO発生量=9.2μmol/gであり、ラマンR値は0.22であった。また、O/C値は1.83であり、d002=0.3355nm、Lc004>100nm、La>100nmであった。
更に、前記球形化された天然黒鉛を用いて実施例1と同様にリチウム二次電池を作製し、放電容量と初期充放電効率の測定を行なった。結果を表1に示す。
[比較例4]
球形化された天然黒鉛を不活性雰囲気下700℃で熱処理し用い、その物性を実施例1と同様に測定したところ、TPD−MS測定のCO発生量=1.1μmol/g、CO発生量=0.92μmol/gであり、ラマンR値は0.29であった。また、体積基準平均粒径(d50)=21μm、BET比表面積5.6m/g、タップ密度0.94g/cmであった。O/C値は0.62であり、d002=0.3354nm、Lc004>100nm、La>100nmであった。
更に、前記700℃で熱処理した球形化天然黒鉛を用いて実施例1と同様にリチウム二次電池を作製し、放電容量と初期充放電効率の測定を行なった。結果を表1に示す。
[比較例5]
球形化された天然黒鉛に重質油由来の非晶質炭素を5重量%被覆した複合負極材を用い、その物性を実施例1と同様に測定したところ、TPD−MS測定のCO発生量=0.80μmol/g、CO発生量=0.50μmol/gであり、ラマンR値は0.36であった。また、体積基準平均粒径(d50)=22μm、BET比表面積2.1m/g、タップ密度1.04g/cmであった。O/C値は1.54であり、d002=0.3354nm、Lc004>100nm、La>100nmであった。
更に、前記複合負極材を用い実施例1と同様にリチウム二次電池を作製し、放電容量と初期充放電効率の測定を行なった。結果を表1に示す。
[比較例6]
球形化された天然黒鉛を不活性雰囲気下3000℃で熱処理し用い、その物性を実施例1と同様に測定したところ、TPD−MS測定のCO発生量<0.1μmol/g、CO発生量<0.1μmol/gであり、ラマンR値は0.03であった。また、体積基準平均粒径(d50)=17μm、BET比表面積5.4m/g、タップ密度1.00g/cmであった。O/C値は<0.001であり、d002=0.3354nm、Lc004>100nm、La>100nmであった。
更に、前記3000℃で熱処理した球形化黒鉛を用いて実施例1と同様にリチウム二次電池を作製し、放電容量と初期充放電効率の測定を行なった。結果を表1に示す。
Figure 0006638513
実施例1、実施例2は、人造黒鉛から形成される粒子を主成分とした非水系二次電池用負極材であって、本発明の全ての要件、(イ)脱離CO量、(ロ)脱離CO量、(ハ)ラマンR値を満たしており、そのため放電容量が大きく初期充放電効率も高い。
これに対し、比較例1は人造黒鉛から形成される粒子を主成分とした非水系二次電池用負極材であり、本発明の要件(ハ)ラマンR値は満たしているが、要件(イ)脱離CO量、(ロ)脱離CO量を満たしておらず、そのため放電容量が小さく初期充放電効率も低い。
また、比較例2は人造黒鉛から形成される粒子を主成分とした非水系二次電池用負極材であり、本発明の要件(イ)脱離CO量、(ハ)ラマンR値は満たしているが、要件(ロ)脱離CO量を満たしておらず、そのため放電容量が小さく初期充放電効率も低い。
また、比較例3は本発明の全ての要件を満たしておらず、且つ、負極材として天然黒鉛を用いており本発明の範囲外である。そのため放電容量は大きいが初期充放電効率は低い。
また、比較例4は本発明の要件(イ)脱離CO量、(ロ)脱離CO量は満たしているが、要件(ハ)ラマンR値を満たしておらず、且つ、負極材として熱処理した天然黒鉛を用いており本発明の範囲外である。そのため放電容量は大きいが初期充放電効率は低い。
また、比較例5は本発明の要件(ロ)脱離CO量は満たしているが、要件(イ)脱離CO量、要件(ハ)ラマンR値を満たしておらず、且つ、負極材として天然黒鉛に炭素被覆した複合負極材を用いており本発明の範囲外である。そのため放電容量は大きいが初期充放電効率は低い。
また、比較例6は本発明の全ての要件を満たしておらず、且つ、負極材として熱処理した天然黒鉛を用いており本発明の範囲外である。そのため放電容量は大きいが初期充放電効率は低い。
本発明の負極材は、それを非水系二次電池負極用の活物質として用いることにより、高容量、且つ、膨れが小さい、サイクル特性に優れた非水系二次電池を提供することができる。

Claims (5)

  1. リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な、人造黒鉛から形成される粒子を含有す
    非水系二次電池負極用活物質であって、以下(イ)〜(ハ)の全ての要件を満たすこと
    を特徴とする非水系二次電池負極用活物質
    (イ)昇温熱分解質量分析計(TPD−MS)による1000℃までの脱離CO量が0.
    90μmol/g以上、4.00μmol/g以下である。
    (ロ)昇温熱分解質量分析計(TPD−MS)による1000℃までの脱離CO 量が0
    .15μmol/g以上、1.50μmol/g以下である。
    (ハ)ラマン分光分析計によるラマンR値が0.04以上、0.15以下である。
  2. 表面官能基量O/C値が0.35原子%以上、1.45原子%以下であることを特徴と
    する請求項1に記載の非水系二次電池負極用活物質
  3. BET比表面積が0.3m/g以上、2.0m/g以下であることを特徴とする請
    求項1又は2のいずれか1項に記載の非水系二次電池負極用活物質
  4. 集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備えた非水系二次電池用負極であり、
    該活物質層は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の非水系二次電池負極用活物質を含
    有することを特徴とする非水系二次電池用負極。
  5. リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えるリチウムイ
    オン二次電池であって、該負極が請求項4に記載の非水系二次電池用負極であることを特
    徴とするリチウムイオン二次電池。
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