JP2019175851A - リチウムイオン二次電池用負極活物質及びその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極活物質及びその製造方法 Download PDF

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良一 藤原
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Teruhiko Nakano
輝彦 中野
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Yoshiyasu Ueda
宜保 上田
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Abstract

【課題】初期の放電容量が大きく、且つ充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を製造することが可能なリチウムイオン二次電池用負極材料を提供する。【解決手段】ケイ素酸化物粒子及び黒鉛粒子の表面の少なくとも一部が、前記黒鉛粒子より結晶性の低い低結晶性炭素材料で被覆された複合粒子を含有するリチウムイオン二次電池用負極活物質であって、前記複合粒子は、前記低結晶性炭素材料100質量部に対して、前記ケイ素酸化物粒子を50〜500質量部、前記黒鉛粒子を200〜2000質量部含有し、且つ、酸素含有雰囲気下での熱重量分析による熱重量曲線の微分曲線(DTG)において、加熱に伴う重量減少のピークが2つ観測され、且つ、前記2つのピークのうち低温側に観測されるピークが500〜600℃の温度域で観測される、リチウムイオン二次電池用負極活物質。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用負極活物質及びその製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、電極におけるリチウムイオンの吸蔵放出反応を利用した非水電解質二次電池であり、高エネルギー密度を有することから、携帯電話、ノートパソコン等に代表されるモバイル機器用の電源として広く利用されている。近年では、電気自動車用、再生可能エネルギーの電力貯蔵用等にもニーズが広がっており、これらのニーズに対応するため、電池の更なる高エネルギー密度化が求められている。
リチウムイオン二次電池には、一般的に負極活物質として黒鉛等の炭素材料が用いられている。黒鉛負極は充放電の可逆性に優れる一方、現行の黒鉛負極の放電容量は黒鉛層間化合物(LiC6)の理論値(372mAh/g)に近い値まで到達していることから、黒鉛負極では放電容量のさらなる増大は見込みにくい状況となっている。しかしながら、上記のように、電池の更なる高エネルギー密度化が求められているため、充放電容量をより一層向上させた負極活物質が求められている。
黒鉛等の炭素材料に代わる高容量負極活物質としては、金属リチウムや、リチウムと金属間化合物を形成する金属又は金属化合物が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、負極活物質として金属リチウムを用いた場合は、充電時に負極からデンドライト状にリチウムが析出し、セパレータを貫通して内部短絡を起こす恐れがある。また、リチウムと金属間化合物を形成する金属又は金属化合物は、一般に、リチウムイオンの吸蔵及び放出に伴う体積変化が極めて大きいことから、充放電を繰り返すことで活物質の割れや集電箔からの脱落が生じ、急速に放電容量が低下する恐れがある。例えばケイ素は、黒鉛の10倍以上の高い理論容量(4200mAh/g)を有し、作動電位が比較的卑(0.4V vs. Li/Li+)であり、かつ、天然に豊富に存在する資源であることから、リチウムと金属間化合物を形成する金属として研究が進められているが、充放電を繰り返すことでリチウムイオンの吸蔵及び放出を繰り返すことによってその体積が最大約300%増大し、活物質の割れや集電箔からの脱落が生じてしまう。
これに対し、負極活物質として、SiO等のケイ素酸化物を用いる検討が進められている(例えば、特許文献1参照)。ケイ素酸化物は黒鉛以上の理論容量を持ち、作動電位がケイ素同様に卑であり、リチウムイオンの吸蔵に伴う体積変化もケイ素と比較して小さい。このため、エネルギー密度が高く、充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を得るための材料として期待できる。
上記ケイ素化合物を負極活物質として用いる場合には、その電気伝導性を改善するために、炭素材料との複合化が提案されている。例えば、特許文献2及び3には、化学蒸着法によりケイ素酸化物の表面に炭素層を被覆する方法が、特許文献4にはケイ素又はケイ素酸化物と黒鉛との混合物を黒鉛層で被覆する方法が、特許文献5にはケイ素と黒鉛との混合物を炭素層で被覆する方法が、特許文献6にはケイ素酸化物が炭素質物質内に埋設する方法が、それぞれ提案されている。
特許第2997741号 特開2002−042806号公報 特許第4171897号 特開2003−317717号公報 特開2000−203818号公報 特開2000−243396号公報
しかしながら、特許文献2及び3に記載の技術によれば、活物質粒子表面に気相法により炭素被覆層を形成しているため、粒子同士の融着、凝集等は起こらないものの、コスト面や量産性において実用に適さない。
特許文献4及び5に記載の技術によれば、熱処理工程において軟化、液化している炭素前駆体が結着材として作用し、多数のケイ素化合物粒子と融着、凝集する恐れがある。その結果、ケイ素化合物が活物質中で均一に分散されず、十分な電池性能が得られなくなる。また、特許文献4及び5に記載の技術により得られたケイ素化合物の凝集体を負極活物質として用いる場合、電極の厚みに応じて凝集体を適宜解砕または粉砕する工程を経る必要があるが、その際、表面に形成された炭素層が破壊されて、表面性状が変化する。
また、特許文献6に記載の技術は、ケイ素酸化物と黒鉛粒子とを固体同士で機械的に複合化するため、表面に均一に導電層が形成されにくい。その結果、導電性が不十分となって活物質の利用率が低下し、電池性能が大きく損なわれる。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、初期の放電容量が大きく、且つ充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を製造することが可能なリチウムイオン二次電池用負極材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、ケイ素酸化物粒子と、黒鉛粒子と、これらの少なくとも一部を覆う低結晶性炭素材料との複合粒子において、ケイ素酸化物粒子及び黒鉛粒子と前記炭素材料との質量割合を所定の範囲に設定し、且つ、前記炭素材料がケイ素酸化物の粒子と黒鉛粒子との表面に均質に付与することにより、放電容量と充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を製造することができる負極活物質を提供することができることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ね完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の構成を包含する。
項1.ケイ素酸化物粒子及び黒鉛粒子の表面の少なくとも一部が、前記黒鉛粒子より結晶性の低い低結晶性炭素材料で被覆された複合粒子を含有するリチウムイオン二次電池用負極活物質であって、
前記複合粒子は、前記低結晶性炭素材料100質量部に対して、前記ケイ素酸化物粒子を50〜500質量部、前記黒鉛粒子を200〜2000質量部含有し、且つ、酸素含有雰囲気下での熱重量分析による熱重量曲線の微分曲線(DTG)において、加熱に伴う重量減少のピークが2つ観測され、且つ、前記2つのピークのうち低温側に観測されるピークが500〜600℃の温度域で観測される、リチウムイオン二次電池用負極活物質。
項2.さらに、前記複合材料とは別途、炭素材料を含む、項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
項3.前記炭素材料が、黒鉛粒子の表面の少なくとも一部が、前記黒鉛粒子より結晶性の低い低結晶性炭素材料で被覆された表面被覆黒鉛粒子である、項2に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
項4.前記リチウムイオン二次電池用負極活物質の総量を100質量として、前記複合粒子の含有量が1〜99質量%である、項2又は3に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
項5.前記複合材料及び前記表面被覆黒鉛粒子中における前記低結晶性炭素材料が等方性ピッチの熱処理物である、項1〜4いずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
項6.前記等方性ピッチが石炭系等方性ピッチである、項5に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
項7.前記等方性ピッチの軟化点が240℃以上である、項5又は6に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
項8.前記ケイ素酸化物粒子を構成するケイ素酸化物が、一般式SiOx(xは0.7〜1.3を示す)で表される、項1〜7のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
項9.前記ケイ素酸化物粒子の平均粒子径(D50)が0.05〜10μmである、項1〜8のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
項10.前記複合材料及び前記表面被覆黒鉛粒子中における前記黒鉛粒子の(002)面の平均面間隔d(002)が0.335〜0.340nmである、項1〜9のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
項11.前記複合材料及び前記表面被覆黒鉛粒子中における前記黒鉛粒子の平均粒子径(D50)が2〜40μmである、項1〜10のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
項12.前記複合材料及び前記表面被覆黒鉛粒子中における前記黒鉛粒子の平均円形度が0.90〜0.99である、項1〜11のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
項13.項1〜12のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法であって、
(1)前記ケイ素酸化物粒子、前記黒鉛粒子、及び前記低結晶性炭素材料の前駆体を乾式混合する混合工程、及び
(2)前記混合工程で得られた混合物を600〜1300℃で熱処理して複合粒子を得る熱処理工程
を備える、製造方法。
項14.前記熱処理工程の後、得られた複合粒子を機械的に粉砕する粉砕工程を行わない、項13に記載の製造方法。
項15.項1〜12のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質を含有する、リチウムイオン二次電池用負極。
項16.項13に記載のリチウム二次電池用負極を備える、リチウムイオン二次電池。
本発明によれば、初期の放電容量が大きく、且つ、充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を製造することが可能なリチウムイオン二次電池用負極活物質を提供することができる。
球状天然黒鉛粒子の表面形状を示す透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 実施例1で得た試料の熱重量測定の結果である。
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。また、本明細書において、数値範囲をA〜Bで表記する場合、A以上B以下を示す。さらに、本明細書において、ケイ素酸化物及び黒鉛については、特に制限がない限り、「ケイ素酸化物粒子」又は「黒鉛粒子」と表記した場合は形状を有する「粒子」としての表記を意味し、「ケイ素酸化物」又は「黒鉛」のように「粒子」の表記をしていない場合は形状が特定されない「分子」としての表記を意味する。
1.リチウムイオン二次電池用負極活物質
本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質は、ケイ素酸化物粒子及び黒鉛粒子の表面の少なくとも一部が、前記黒鉛粒子より結晶性の低い低結晶性炭素材料で被覆された複合粒子を含有するリチウムイオン二次電池用負極活物質であって、前記複合粒子は、前記低結晶性炭素材料100質量部に対して、前記ケイ素酸化物粒子を50〜500質量部、前記黒鉛粒子を200〜2000質量部含有し、且つ、酸素含有雰囲気下での熱重量分析による熱重量曲線の微分曲線(DTG)において、加熱に伴う重量減少のピークが500〜600℃の温度域で観測される。本発明では、このように、低結晶性炭素材料の含有量に対して、黒鉛粒子の含有量を大きくしているために、低結晶性炭素材料によるケイ素酸化物粒子同士の結着や、低結晶性炭素材料と黒鉛粒子とが結着することを抑制することができる。このため、初期の放電容量及び初回充放電効率が大きく、且つ充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を製造することができる。
ケイ素酸化物粒子を構成するケイ素酸化物としては、特に制限されず、種々様々なものを使用することができる。なかでも、リチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性及び初期充放電効率をより向上させやすい観点から、一般式SiOxで表した場合に、xの値は0.7〜1.3が好ましく、0.8〜1.2がより好ましい。xの値が大きいほどリチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性を向上させやすく、xの値が小さいほどリチウムイオン二次電池の初期充放電効率を向上させやすいことから適宜調整し得る。また、ケイ素酸化物粒子は、xの値が異なる複数のケイ素酸化物を含んでいてもよい。ケイ素酸化物のxの値は、酸素について不活性ガス溶融法により定量するとともに、ケイ素についてSiOxを溶融化した後にICP発光分光分析により定量することで算出する。なお、ケイ素酸化物粒子は、上記一般式SiOxで表されるケイ素酸化物以外の物質の混入を完全に排除するものではなく、不可避不純物等が多少含まれていてもかまわない。このような不純物の含有量としては、通常、ケイ素酸化物粒子の質量100重量%として、10質量%以下(特に0.01〜5質量%)が好ましい。また、ケイ素酸化物粒子は、1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
ケイ素酸化物粒子を構成するケイ素酸化物の結晶構造は特に制限されず、単結晶構造、多結晶構造、非晶質構造等のいずれであってもよい。ただし、リチウムイオン二次電池の充放電に伴う体積変化が小さく充放電サイクル特性を向上させやすい観点からは非晶質構造であることが好ましい。
このようなケイ素酸化物粒子の形状は特に制限されない。例えば、粉状、粒状、板状、塊状、繊維状等、あらゆる形状のものを使用することができる。
また、ケイ素酸化物粒子の粒径は、リチウムイオンの吸蔵及び放出に伴う体積変化の影響を受けにくくして充放電サイクル特性を向上させやすい観点から小さいことが好ましい。なかでも、活物質のかさ密度、電極を作製する工程上でのハンドリング性、量産性等の観点から、ケイ素酸化物粒子の中心粒径(D50)は0.05〜10μmが好ましく、0.1〜8μmがより好ましく、0.2〜6μmがさらに好ましい。なお、ケイ素酸化物粒子の形状が球状ではない場合、その粒径は、ケイ素酸化物粒子を球状と見立てた場合の中心粒径(D50)を意味する。また、ケイ素酸化物粒子の中心粒径(D50)は、日機装(株)製の「MT3000EXII」により測定する。
黒鉛粒子としては特に制限はなく、天然黒鉛及び人造黒鉛のいずれも使用できる。なかでも、より結晶性が高く放電容量を高くしやすい観点から、天然黒鉛粒子が好ましい。
黒鉛粒子の形状及び形態は、特に制限されることはなく、燐片状、塊状、繊維状、ウィスカー状、球状、破砕状等種々多様なものを採用することができ、粒子の配向をより抑制し、電解液をより浸み込みやすくし、発生ガス量をより抑制するとともにレート特性等の電池特性をより向上させる観点から、常法で機械的な球状化処理が施された球状黒鉛粒子(特に球状天然黒鉛粒子)が好ましい。球状とは、真球状であってもよいし、楕円形状等であってもよい。球形化処理を実施する場合、通常扁平状の黒鉛のタップ密度は0.6〜1.5g/cc程度であるが、好ましくは0.7〜1.4g/cc、より好ましくは0.8〜1.3g/cc、さらに好ましくは0.9〜1.2g/ccに調整された黒鉛粒子を使用することができる。また、球形化処理を実施する場合、平均円形度は0.90〜0.99が好ましく、0.92〜0.99がより好ましい。これにより、粒子が配向して入出力特性が低下するのをより抑制することができる。なお、黒鉛粒子のタップ密度は、(株)セイシン企業製の「TAPDENSER KYT-4000」により測定する。また、黒鉛粒子の平均円形度は、(粒子面積と等しい円の周囲長)/(黒鉛粒子の粒子周囲長)により算出する。
なお、黒鉛粒子は、図1で示される球状天然黒鉛粒子のように、透過型電子顕微鏡(TEM)観察において、扁平状の天然黒鉛がキャベツ状になった構造が見られ、表層には劈開部が存在していることが好ましい。なお、黒鉛粒子は、1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
また、黒鉛粒子の粒径は、特に制限されず、電極の均一性、活物質のかさ密度、電極を作製する工程上でのハンドリング性等の観点から、中心粒径(D50)は2〜40μmが好ましく、5〜30μmがより好ましく、7〜25μmがさらに好ましい。黒鉛粒子の中心粒径(D50)は、日機装(株)製の「MT3000EXII」により測定する。
また、黒鉛粒子は結晶性が高いことが好ましく、例えばX線広角回折法による(002)面の平均面間隔d(002)は、結晶化度の一般的な指標であり、結晶性をより十分に高くするとともに、リチウムの溶解析出に近い低い電位部分(リチウムの電位基準で0〜0.3V)の容量を十分に大きくする観点から、0.335〜0.340nmが好ましく、0.335〜0.337nmがより好ましい。
また、黒鉛粒子は、X線広角回折法によるc軸方向の結晶子厚みLc(004)は、結晶性をより十分に高くするとともに、リチウムの溶解析出に近い低い電位部分(リチウムの電位基準で0〜0.3V)の容量を十分に大きくする観点から、Lc(004)が10nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましい。なお、Lc(004)の上限値は特に制限はないが、通常200nmである。
上記のような黒鉛粒子は、通常リチウムイオン二次電池において用いられる電解質、例えば非プロトン性有機溶媒と塩とを含む電解液に対する活性点、つまり電解液と反応して電解液を分解し、結果的に充放電サイクル特性を悪化させる活性点を部分的に有している。この活性点は、詳細は明らかではないが、一般には、黒鉛の外側に配向している、結晶子の端面であると理解されている。また、上記のようなケイ素酸化物は、上記したとおり、充放電に伴い体積変化を引き起こし、充放電サイクル特性が悪化する。
本発明において、黒鉛より結晶性の低い低結晶性炭素材料は、上記ケイ素酸化物粒子及び黒鉛粒子の表面の少なくとも一部を被覆している。
上記低結晶性炭素材料は、黒鉛より結晶性が低い。これにより、本発明所定の複合粒子を負極活物質として用いる場合には、黒鉛と電解液中の非プロトン性有機溶媒等との反応性が低いため、電解液の分解が起こりにくい。その結果、リチウムイオン二次電池の充放電効率及び放電容量が向上し、またその安全性が改善される。一般に、黒鉛粒子は、活性な結晶子の端面が外側に配向しているため、電解液と反応しやすいが、上記複合粒子では、結晶化度が低い低結晶性炭素材料がこの活性な結晶子端面を塞ぐことができるので、電解液中の非プロトン性有機溶媒との反応が抑制され充放電効率及び放電容量を向上させることができる。
また、上記低結晶性炭素材料で上記ケイ素酸化物の表面を被覆することで、充放電に伴うケイ素酸化物の体積変化を抑制し充放電サイクル特性を向上させるとともに、ケイ素酸化物の導電性を高めることも可能である。その結果、充放電時に発生する抵抗が低減され、優れた充放電容量及び充放電サイクル特性が得られる。
上記ケイ素酸化物粒子及び黒鉛粒子の表面の少なくとも一部が上記低結晶性炭素材料で被覆された複合粒子において、低結晶性炭素材料はケイ素酸化物粒子及び黒鉛粒子の表面全体を被覆することもできる。また、本発明の負極活物質において、低結晶性炭素材料は、ケイ素酸化物及び黒鉛の表面の一部だけを被覆していてもよく、この場合、前記複合粒子において、部分的にケイ素酸化物粒子や黒鉛粒子の表面が露出している状態となる。ただし、本発明の負極活物質においては、上述のように黒鉛粒子の活性点が炭素被覆により不活性化され、また上記ケイ素酸化物の表面も同様に被覆されていることが好ましい。より優れた充放電効率、充放電容量及び充放電サイクル特性を付与できるという観点では、ケイ素酸化物粒子及び黒鉛粒子の表面全体を低結晶性炭素材料が被覆していることが好ましいが、ケイ素酸化物粒子及び黒鉛粒子の表面の一部だけが被覆されている場合であっても、十分に充放電容量及び充放電サイクル特性を向上させることができる。
上記低結晶性炭素材料の結晶性が上記黒鉛粒子より結晶性が低いことは、一般的な結晶化度の指標として知られているX線回折法による(002)面の値から判断できる。つまり、上記低結晶性炭素材料のd(002)が黒鉛粒子より大きければ、上記低結晶性炭素材料は黒鉛粒子より結晶性が低いといえる。このような観点から、上記低結晶性炭素材料のX線広角回折法による(002)面の平均面間隔d(002)は、0.337nmより大きく0.350nmより小さいことが好ましく、0.3371〜0.345nmがより好ましい。上記低結晶性炭素材料の平均面間隔d(002)が上記範囲を満たす炭素材料は、電解液の有機溶媒やリチウムイオンとの反応性が特に低く、それゆえ、黒鉛粒子と接触する電解液を分解させたり、ケイ素酸化物粒子の体積変化等に起因する複合粒子の破壊等を生じさせたりしにくい。
上記低結晶性炭素材料の前駆体の種類としては特に制限はなく、石炭系又は石油系のピッチ、タール等の他に、各種セルロース、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール等の各種の合成樹脂等も用いることができる。ピッチは等方性ピッチ及び異方性ピッチのいずれも使用でき、低結晶性炭素材料はこれらの前駆体の熱処理物とすることができる。これらの低結晶性炭素材料前駆体は、1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。本発明では、等方性ピッチを用いることが好ましい。
上記低結晶性炭素材料前駆体の軟化点は、黒鉛粒子の活性点をより十分に塞ぎ、充放電に伴うケイ素酸化物粒子の体積変化をより抑制しつつケイ素酸化物粒子により十分に導電性を付与する観点から、240〜290℃が好ましく、260〜285℃がより好ましい。なお、低結晶性炭素材料前駆体の軟化点は、ASTM D3461の規格に準拠して測定する。
充放電サイクル特性の改善を考えた場合、充放電に伴う活物質の膨潤収縮によって生じる負極活物質の割れや電極からの剥がれ、ケイ素酸化物粒子の表面からの炭素被覆の剥がれによる導電性の低下や集電体との導電パスの喪失、黒鉛粒子の活性点の露出による電解液等との副反応の発生等をより抑制することが好ましい。このような観点から、低結晶性炭素材料の含有量は、前記複合粒子の質量を100質量%として、2〜20質量%が好ましく、3〜18質量%がより好ましく、4〜15質量%がさらに好ましく、4〜12質量%が特に好ましく、4〜10質量%が最も好ましい。なお、電解液との副反応をより効果的に抑制するとともに、ケイ素酸化物により十分な導電性を付与する観点からは低結晶性炭素材料の含有量を多くすることが好ましく、充放電反応の可逆性をより向上させて充放電サイクル特性をより向上させる観点からは低結晶性炭素材料の含有量を少なくすることが好ましい。また、同様の理由により、前記ケイ素酸化物の含有量は、前記複合粒子の質量を100質量%として、3〜90質量%が好ましく、4〜60質量%がより好ましく、5〜50質量%がさらに好ましく、6〜40質量%が特に好ましく、7〜30質量%が最も好ましい。さらに、同様の理由により、前記黒鉛粒子の含有量は、前記複合粒子の質量を100質量%として、10〜95質量%が好ましく、30〜90質量%がより好ましく、40〜90質量%がさらに好ましく、50〜85質量%が特に好ましく、60〜85質量%がさらに特に好ましく、70〜85質量%が最も好ましい。
ケイ素酸化物粒子と低結晶性炭素材料の質量割合については、充放電に伴うケイ素酸化物の体積変化をより効率的に抑制するとともに、ケイ素酸化物粒子により十分な導電性を付与する観点から、低結晶性炭素材料100質量部に対してケイ素酸化物粒子を50〜500質量部含むことが好ましく、60〜400質量部含むことがより好ましい。
また、黒鉛粒子と低結晶性炭素材料の質量割合については、低結晶性炭素材料とケイ素酸化物との凝集を抑制する観点から、低結晶性炭素材料100質量部に対して黒鉛粒子を200〜2000質量部含むことが好ましく、300〜1800質量部含むことがより好ましく、500〜1800質量部含むことがさらに好ましく、600〜1800質量部含むことが特に好ましい。
本発明の負極活物質が含有する複合粒子中には、上記のとおり、高結晶性の黒鉛粒子と、前記黒鉛粒子より結晶性の低い低結晶性炭素材料とが含まれる。また、この複合粒子中の炭素被覆を構成する低結晶性炭素材料は、電池性能の観点から均一の性状を持つことが好ましい。複合粒子中に異なる性状を持つ炭素材料が含まれるかは、複合粒子を昇温加熱したときの重量変化を熱重量分析法により測定し熱重量曲線の微分(DTG)曲線を用いて評価することができる。本発明の負極活物質が含有する複合粒子は、高結晶性の黒鉛粒子と前記黒鉛粒子より結晶性の低い単一の低結晶性炭素材料が含まれることから、前記熱重量分析を実施した場合、DTG曲線において、低結晶性炭素材料の熱分解反応に由来するピーク(低温側のピーク)、黒鉛粒子の熱分解反応に由来するピーク(高温側のピーク)がそれぞれ1つずつ、つまり合計で2つ観測される。低結晶性炭素材料の熱分解反応に由来するピーク(2つのピークのうち低温側に観測されるピーク)の温度は500〜600℃、好ましくは510〜600℃、より好ましくは520〜600℃である。なお、ピークの温度は、観測されるピークにおいてDTGの極小値を取る際の温度(DTG極小温度)を意味する。低温側のピークにおけるDTG極小温度が500℃より低いと炭素被覆成分である低結晶性炭素材料のリチウム吸蔵及び放出の不可逆性が高くなり、電池の初期充放電効率が悪くなる。一方、低温側のピークにおけるDTG極小温度が600℃より高いと、被覆成分である低結晶性炭素材料の結晶化が進行し、電解液との反応性が高くなるため、リチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性が低下する。
熱重量分析法の条件は、炭素が熱分解する雰囲気で測定すれば特に制限はなく、測定雰囲気は例えば大気中の他、水蒸気、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素等の炭素と反応しガス化することのできる気体を含む雰囲気、特に酸素含有気体雰囲気下で行うが、DTG曲線のピークがより明確に観測されることから酸素又は大気雰囲気であることがより好ましい。また前記酸素含有気体を窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスと混合してもよい。この場合、酸素含有気体の含有量は、DTG曲線のピークがより明確に観測されることから、5体積%以上が好ましく、10〜95体積%がより好ましい。酸素含有雰囲気下以外で測定した場合、DTG曲線のピークが変化する。
熱重量分析法における昇温加熱時の昇温速度は、昇温速度が速すぎるとDTG曲線のピーク分離が困難になることから20℃/分以下が好ましく、10℃/分以下がより好ましい。なお、昇温速度は熱重量分析中変化させることもできる。例えば、複合粒子の熱分解が起こらない測定の初期は早い昇温速度で昇温し、評価温度付近では20℃/分以下の昇温速度で測定することにより、測定時間の短縮を図ることができる(また、例えば昇温中、DTGの数値で表される重量変化速度が一定以上の値を超えたとき昇温を一時中断し一定温度を保ち、重量減少速度が再度一定値以下となったとき再び昇温を開始することで、DTG曲線のピーク分離が容易になる)。なお、熱重量分析法における昇温加熱時の昇温速度の下限値は特に制限されないが、通常1℃/分である。
本発明の負極活物質は、上記した複合粒子を含有しているが、その他にも従来から知られている公知又は市販の負極活物質を併用することも可能であるが、電極の負極活物質層の電気伝導性を確保する目的から炭素材料を用いることが好ましい。
前記の炭素材料の種類としては、例えば、黒鉛粒子の他、非晶質炭素、黒鉛化度の小さい炭素質物等も挙げられる。なかでも、初回充放電効率及び充放電サイクル特性の観点からは、黒鉛粒子が好ましい。このような黒鉛粒子としては、上記した複合粒子中に含まれるものとして説明したものを採用することができる。黒鉛粒子の好ましい説明についても採用できる。
ただし、上記したように、黒鉛粒子は、通常リチウムイオン二次電池において用いられる電解質、例えば非プロトン性有機溶媒と塩とを含む電解液に対する活性点、つまり電解液と反応して電解液を分解し、結果的に充放電サイクル特性を悪化させる活性点を部分的に有している。この活性点は、詳細は明らかではないが、一般には、黒鉛の外側に配向している、結晶子の端面であると理解されていることから、本発明では、黒鉛粒子の表面の少なくとも一部が黒鉛より結晶性の低い低結晶性炭素材料で被覆された表面被覆黒鉛粒子を使用することが好ましい。この際の低結晶性炭素材料も上記した複合粒子中に含まれるものとして説明したものを採用することができ、低結晶性炭素材料の好ましい説明についても採用できる。
充放電サイクル特性の改善を考えた場合、黒鉛粒子の活性点の露出による電解液等との副反応の発生をより抑制することが好ましい。このような観点から、低結晶性炭素材料の含有量は、前記表面被覆黒鉛粒子の質量を100質量%として、2〜20質量%が好ましく、3〜18質量%がより好ましく、3〜15質量%がさらに好ましく、4〜12質量%が特に好ましく、4〜10質量%が最も好ましい。なお、電解液との副反応をより効果的に抑制する観点からは低結晶性炭素材料の含有量を多くすることが好ましく、充放電反応の可逆性をより向上させて充放電サイクル特性をより向上させる観点からは低結晶性炭素材料の含有量を少なくすることが好ましい。また、同様の理由により、前記黒鉛粒子の含有量は、前記表面被覆黒鉛粒子の質量を100質量%として、80〜98質量%が好ましく、82〜97質量%がより好ましく、85〜97質量%がさらに好ましく、88〜96質量%が特に好ましく、90〜96質量%が最も好ましい。
上記した複合粒子以外に他の負極活物質(特に炭素材料、なかでも表面被覆黒鉛)を含有する場合、初期の放電容量及び充放電効率がより大きく、且つ、充放電サイクル特性により優れたリチウムイオン二次電池を製造する観点からは、本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質の総量を100質量として、上記した複合粒子の含有量は1〜99質量%が好ましく、3〜80質量%がより好ましく、5〜60質量%がさらに好ましい。
2.リチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法
本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法は特に制限されるわけではなく、例えば、
(1)前記ケイ素酸化物粒子、前記黒鉛粒子、及び前記低結晶性炭素材料の前駆体を乾式混合する混合工程、及び
(2)前記混合工程で得られた混合物を600〜1300℃で熱処理して複合粒子を得る熱処理工程
を備える製造方法により得ることができる。
このように、工程(1)において各原料を混合し、工程(2)において熱処理を施すことで、上記低結晶性炭素材料前駆体の熱処理物を含む雰囲気下でケイ素酸化物粒子及び黒鉛粒子を熱処理することができ、ケイ素酸化物粒子及び黒鉛粒子それぞれの表面の少なくとも一部を上記低結晶性炭素材料で被覆することができる。また、黒鉛はケイ素酸化物と比較し、工程(2)において軟化する低結晶性炭素材料前駆体との親和性に優れているため、熱処理時に低結晶性炭素材料前駆体によりケイ素酸化物粒子が融着及び/又は凝集することを抑制し、得られる複合粒子中でのケイ素酸化物の偏在を防ぐことができる。本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質では、上記のように、低結晶性炭素材料の含有量に対して、黒鉛粒子の含有量を大きくしているために、熱処理工程(工程(2))において、軟化した低結晶性炭素材料が黒鉛粒子に吸着され、ケイ素酸化物粒子の過度な結着や、ケイ素酸化物と黒鉛粒子との過度な結着を防ぐことができる。このため、本発明の製造方法により得られたリチウムイオン二次電池用負極活物質を使用すると、初期の放電容量及び初回充放電効率が大きく、且つ充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を製造することができる。
工程(1)において、各成分の混合比率は、リチウムイオン二次電池を製造した際に高い放電容量及び優れた充放電サイクル特性が得られ、且つ、ケイ素酸化物粒子と低結晶性炭素材料前駆体との融着をより防ぐ観点から、低結晶性炭素材料前駆体100質量部に対してケイ素酸化物粒子は50〜500質量部(特に60〜400質量部)が好ましく、黒鉛粒子は200〜2000質量部(特に300〜1800質量部、さらに500〜1800質量部、なかでも600〜1800質量部)が好ましい。
工程(1)における混合方法は特に制限されず、常法で行うことができる。例えば、混合は、ナウタミキサー、リボンミキサー、V型ミキサー、ロッキングミキサー等を使用することにより行うことができる。
工程(2)において、加熱処理をする際の雰囲気は、炭素の燃焼をより避ける観点から、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気や、上記した不活性ガスと水素との混合気体等の還元性雰囲気等の非酸化性雰囲気において行うことが好ましいが、揮発ガス成分の粒子間空隙での滞留時間をより短縮する効果があるので、不活性ガス雰囲気が好ましい。
また、加熱処理は、減圧又は常圧(0.1Pa〜0.15MPa程度)で実施するのが好ましく、またその際の設定温度は、600〜1300℃、好ましくは700〜1200℃、さらに好ましくは750〜1100℃である。これにより、放電容量を向上させつつ、黒鉛と低結晶性炭素材料前駆体の熱処理物とを十分に反応させてリチウムイオンや電解液と反応しにくくするとともにケイ素酸化物粒子の体積変化を抑制しつつ導電性も向上させ、充放電サイクル特性を向上させることができる。加熱温度が600℃未満では、形成される低結晶性炭素材料のリチウム挿入及び脱離の不可逆性が高くなり、充放電効率が低下する。一方、加熱温度が1300℃より高いと被覆成分である低結晶性炭素材料の結晶化が進行し、電解液との反応性が高くなるため、リチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性が低下する。
熱処理の際の昇温速度は、特に制限されないが、低結晶性炭素材料前駆体の熱分解により発生するガス成分の粒子間空隙での滞留時間をより小さくし、黒鉛粒子表面の劈開部から粒子内部へのガス成分侵入をより抑制し、剥離をより抑制するとともに、コストの観点から、10〜300℃/時間が好ましく、30〜250℃/時間がより好ましく、50〜200℃/時間がさらに好ましい。
熱処理の際の加熱時間(最高到達温度における保持時間)は、上記低結晶性炭素材料前駆体の熱処理物の濃度や加熱温度、得ようとする負極活物質中の低結晶性炭素材料前駆体の含有量等に応じて適宜設定すればよいが、10分〜5時間が好ましく、30分〜2時間がより好ましい。
熱処理工程後には、ケイ素酸化物粒子や黒鉛粒子表面の炭素被覆が破壊されることをより防ぐため、複合粒子への機械的な粉砕処理又は解砕処理の工程を有しないことが好ましい。これにより、ケイ素酸化物粒子や黒鉛粒子表面の炭素被覆の破壊をより抑制し、低結晶性炭素材料による炭素被覆をより均質なものとし、放電容量及び充放電サイクル特性をさらに向上させることができる。また、粉砕処理又は解砕処理をしないことにより、被覆層である低結晶性炭素材料に含酸素官能基が付与されることもなく、加熱昇温時の酸素との反応性や電解液との反応性をより低く抑え、この観点からも放電容量及び充放電サイクル特性をさらに向上させることができる。
また、本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質において、ケイ素酸化物粒子が低結晶性炭素材料への融着及び凝集を緩和しやすくするため、熱処理時の混合物の充填厚みを1〜30cmとすることが好ましく、5〜25cmとすることがより好ましく、10〜20cmとすることがさらに好ましい。充填厚みを上記範囲内とすることにより、工程(2)中における低結晶性炭素材料前駆体の偏在が起こりにくく、ケイ素酸化物粒子と低結晶性炭素材料との融着やケイ素酸化物粒子の凝集を抑制しやすくすることができるとともに、低結晶性炭素材料前駆体の加熱により発生する揮発ガスの抜けがよく、黒鉛粒子の劈開部からの粒子内部へのガス成分の侵入が起こりにくいため、負極活物質の剥離をより抑制することができる。このため、充放電サイクル特性をさらに改善することができる。
また、本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質が、上記した複合粒子以外に他の負極活物質を含んでいる場合は、上記のようにして複合粒子を得た後に、他の負極活物質と混合することが好ましい。混合方法は特に制限されず、常法にしたがうことができる。
なお、他の負極活物質として表面被覆黒鉛粒子を含んでいる場合は、上記複合粒子の製造方法において、ケイ素酸化物粒子を使用しないこと以外は同様に、表面被覆黒鉛粒子を製造することができる。
3.リチウムイオン二次電池
本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質は、リチウムイオン二次電池用負極の構成材料として好適に使用できる。リチウムイオン二次電池は、本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質を用いた負極と、正極と、電解液とを少なくとも備えて構成され得る。
負極を形成する方法は特に限定的ではない。例えば、本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質、及び必要に応じて増粘剤、結着剤、溶媒等を含む負極活物質層形成用組成物を用いて負極の形状に成形する方法;本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質、及び必要に応じて増粘剤、結着剤、溶媒等を含む負極活物質層形成用組成物を負極集電体に塗布手段(ドクターブレード等)を用いて塗布する方法等により、負極集電体上に負極活物質層を形成し、任意の形状のリチウムイオン二次電池用負極とすることができる。負極の形成においては、必要に応じて端子と組合せることもできる。特に、負極集電体に上記混合物を塗布する方法が好ましい。
この場合、負極活物質層形成用組成物において、本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質の含有量は、特に制限はなく、充放電容量、サイクル特性等の観点から、形成される負極活物質層の質量を100質量%として、90〜99質量%が好ましく、92〜98.5質量%がより好ましい。
増粘剤としては、特に制限されず、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。これらの増粘剤は、1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。この場合の増粘剤の量としては、特に限定されず、例えば、本発明の負極活物質100質量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
結着剤としては、リチウムイオン二次電池に使用される結着剤であれば特に制限はないが、ゴムバインダを用いることが好ましい。ゴムバインダとは、二重結合部位を有する1種類以上の単量体混合物を重合して得られるゴムを含む結着剤を意味する。ゴムバインダの例としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)及びその変性体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム及びその変性体、アクリルゴム及びその変性体等が挙げられる。他にも、結着剤としては、フッ素系ポリマー(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、ポリオレフィン系ポリマー(ポリエチレン、ポリプロピレン等)等も使用することができる。この場合の結着剤の量としては、特に限定されず、例えば、本発明の負極活物質100質量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
さらに、負極活物質層形成用組成物には、さらに、導電材(導電性炭素材料等)を含ませてもよい。導電材としては、例えば、アセチレンブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。これらの導電材は、1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。導電材の使用割合は特に制限されず、本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質と導電材の総量100質量%に対して、通常、1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。これにより、電極としての導電性をさらに向上させることも可能である。
溶媒としては、通常、結着剤を溶解又は分散可能な溶媒が使用され、例えば、水、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等の有機溶媒を例示することができる。溶媒は1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。溶媒の使用量は、ペースト状となる限り特に制限されず、例えば、本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質100質量部に対して、通常、60〜200質量部程度が好ましく、80〜150質量部程度がより好ましい。
負極活物質層形成用組成物を用いて負極の形状に成形する場合、その方法は常法にしたがい行うことができる。
負極活物質層形成用組成物を負極集電体に塗布する場合、負極集電体は、特に制限されず、例えば銅、銀、金等の金属からなる、箔状、メッシュ状等の部材であり、公知の負極集電体を使用することができる。
また、負極集電体への塗布量は特に制限されず、通常、3〜15mg/cm2が好ましく、7〜13mg/cm2がより好ましい。また、負極集電体に塗布した膜の厚さ(前記組成物の膜厚)は、例えば、20〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましく、50〜150μmがより好ましい。なお、塗布後、負極集電体には、乾燥処理(例えば、真空乾燥等)を施すこともできる。
正極は、特に制限されず、公知の正極が使用でき、正極は、例えば、正極集電体、正極活物質、上記導電剤等で構成できる。正極集電体として、例えば、アルミニウム等を例示することができる。正極活物質としては、例えば、金属リチウムの他、TiS2、MoS3、NbSe3、FeS、VS2、VSe2等の層状構造を有する金属カルコゲン化物;CoO2、Cr3O5、TiO2、CuO、V3O6、Mo3O、V2O5(・P2O5)、Mn2O(・Li2O)、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物等の金属酸化物;ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性を有する共役系高分子物質等を用いることができる。なかでも、金属リチウム、金属酸化物(特に、V2O5、Mn2O、LiCoO2、リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物)等が好ましい。
また、電解液は、非プロトン性有機溶媒に塩を溶解した電解液であって、正極と負極との間に配置されており、例えば、正極と負極との短絡を防止するための不織布等からなるセパレータ(通常使用される多孔質ポリプロピレン製不織布等のポリオレフィン系多孔質膜のセパレータ等)に含浸されて保持されている。
なお、上述の電解液を構成する非プロトン性有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、ギ酸メチル、酢酸メチル等のエステル;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等のフラン;ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、メトキシエトキシエタン、ジエチレングリコール等のエーテル;ジメチルスルホキシド;スルホラン、メチルスルホラン等のスルホラン;アセトニトリル;ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの非プロトン性有機溶媒は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
一方、このような非プロトン性有機溶媒に溶解される塩は、例えば、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiAlO4、LiAlCl4、LiCl、LiI等の溶媒和しにくいアニオンを生成する塩が挙げられる。これらの塩は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。好ましい電解液には、強い還元雰囲気でも安定な溶媒テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、4-メチルジオキソランのような強い還元雰囲気でも安定なエーテル系溶媒や、前記非プロトン性溶媒(好ましくは2種以上の混合溶媒)に、前記例示の塩を溶解させた溶液等が含まれる。
なお、リチウムイオン二次電池は、円筒型、角型、ボタン型等任意の形状又は形態とすることができる。
このような本発明のリチウムイオン二次電池は、上記した本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質を用いているため、放電容量が高く、充放電サイクル特性に優れる。
なお、本発明のリチウムイオン二次電池は、上述の電解液に代えて、公知の無機固体電解質や高分子固体電解質等の他の電解質を用いた場合も同様に実施することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。
[粒径の測定]
日機装(株)製「MT3000EXII」を用いて、粒子の粒度分布及びD50を測定した。
[X線回折測定法及び解析法]
実施例及び比較例において、d(002)は、理学電機(株)製のX線広角回折装置(型式:MiniFlexII)により測定した。また、結晶子サイズの測定は、学振法に従って行った。その際解析ソフトとしてCarbon Analyzer G series((株)菱化システム)を用いた。標準シリコンとしては、NIST650b Silicon Powder XRD Spacing(U.S. Department of commerce National Institute of standards and Technology)を用いた。
[比表面積の測定法]
カンタークローム社製「NOVA2000/窒素吸着BET比表面積測定装置」を用いて比表面積を測定した。
[熱重量測定の測定法]
(株)リガク製の熱重量示差熱分析装置「Thermo plus EVO2」を用いて加熱昇温時の重量変化を測定した。測定は大気雰囲気中で行い、昇温速度は室温から450℃まで20℃/分、450℃から900℃まで2℃/分とした。そのうえで、低温側に観測されるピークにおいてDTGの極小値を取る際の温度(DTG極小温度)をDTGピーク温度として測定した。なお、低温側に観測されるピークについて、極小値が2つ観測される場合は双方を記録した。
[初回充放電特性評価]
電池の作製
負極の作製方法を以下に記す。実施例1〜3及び比較例1〜4で得た負極活物質100質量部に、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース1重量部、及び結着材としてスチレンブタジエン共重合体1重量部と、適量の水を加えて混練し、スラリーとした。銅箔上にこのスラリーをドクターブレード法で目付け7.5mg/cm2に塗布した。60℃で乾燥した後、ロールプレスにより密度が1.6g/ccとなるように圧密化し、150℃で減圧乾燥して負極とした。
正極として12mm×12mm角の金属Li箔、参照極として幅1mmの金属Li箔、電解液としてエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合溶媒(質量比1: 2)にLiPF6を1mol/Lの割合で溶解した電解液を用い、セパレータとしてポリプロピレン不織布を用いて、電池を作製した。
評価方法
上記電池で温度25℃のもと、0.3Cで10mVまで定電流で充電した後、10mVの定電圧で8時間充電し、0.3Cで2Vまで放電した。初回放電容量(1.2V到達時の放電容量)及び初回充放電効率を測定した。なお、本実施例では、正極として金属Li箔を使用していることから、充電時に電圧が下がり、放電時に電圧が上がる。
[充放電サイクル特性評価]
充放電サイクル特性は前記初回充放電特性評価で用いた電池を用いた。
0.5Cで10mVまで充電後10mVで8時間充電、0.5Cで2.0Vまで放電を繰り返し1サイクル目の放電容量に対する50サイクル目の放電容量を50サイクル容量維持率として%で表した。
[実施例1]
中国製の球状天然黒鉛粒子(D50= 18.0μm、比表面積= 5.5m2/g、タップ密度= 1.00g/cc、平均円形度=0.93、d(002)= 0.335nm)90質量部、石炭系等方性ピッチ(軟化点= 280℃)5質量部、及びケイ素酸化物SiOx粒子(x= 1.1、D50= 5.0μm)5質量部をナウタミキサーで混合した。得られた混合物を窒素雰囲気中、800℃で1時間(昇温速度100℃/時間)熱処理することにより、実施例1の負極活物質を得た。
[実施例2]
各材料の混合比率を、球状天然黒鉛粒子85質量部、石炭系等方性ピッチ5質量部、及びケイ素酸化物粒子10質量部とすること以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2の負極活物質を得た。
[実施例3]
各材料の混合比率を、球状天然黒鉛粒子80質量部、石炭系等方性ピッチ10質量部、及びケイ素酸化物粒子10質量部とすること以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例3の負極活物質を得た。
[実施例4]
各材料の混合比率を、球状天然黒鉛粒子60質量部、石炭系等方性ピッチ20質量部、及びケイ素酸化物粒子20質量部とすること以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例4の負極活物質を得た。
[比較例1]
実施例1で用いたのと同じ中国製の球状天然黒鉛粒子95質量部、及び実施例1で用いたのと同じ石炭系等方性ピッチ5質量部をナウタミキサーで混合した。得られた混合物を窒素雰囲気中、800℃で1時間(昇温速度100℃/時間)熱処理し、表面被覆黒鉛粒子を得た。
次に、熱処理後の炭素粒子(表面被覆黒鉛粒子)95質量部に対し、化学蒸着により表面を炭素被覆した酸化ケイ素粒子5質量部をナウタミキサーで混合して、比較例1の負極活物質を得た。なお、炭素被覆した酸化ケイ素粒子の炭素含有量は1.2質量%であった。
[比較例2]
各材料の混合比率を、球状天然黒鉛粒子75質量部、石炭系等方性ピッチ20質量部、ケイ素酸化物粒子5質量部とする以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例2の負極活物質を得た。
[比較例3]
各材料の混合比率を、球状天然黒鉛粒子25質量部、石炭系等方性ピッチ5質量部、ケイ素酸化物粒子70質量部とする以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例3の負極活物質を得た。
[比較例4]
熱処理の温度を550℃とすること以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例4の負極活物質を得た。
本実施例及び比較例で得られた負極活物質は、いずれも280メッシュ篩で篩分けを行い、その篩下分を評価に用いた。各評価結果を表1及び2に示す。
[実施例5]
実施例4で得た複合粒子と、比較例1で得た表面被覆黒鉛粒子とを質量比1: 9の割合で混合し、実施例5の負極活物質を得た。
[実施例6]
実施例4で得た複合粒子と、比較例1で得た表面被覆黒鉛粒子とを質量比1: 3の割合で混合し、実施例6の負極活物質を得た。
[実施例7]
実施例4で得た複合粒子と、比較例1で得た表面被覆黒鉛粒子とを質量比1: 1の割合で混合し、実施例7の負極活物質を得た。

Claims (16)

  1. ケイ素酸化物粒子及び黒鉛粒子の表面の少なくとも一部が、前記黒鉛粒子より結晶性の低い低結晶性炭素材料で被覆された複合粒子を含有するリチウムイオン二次電池用負極活物質であって、
    前記複合粒子は、前記低結晶性炭素材料100質量部に対して、前記ケイ素酸化物粒子を50〜500質量部、前記黒鉛粒子を200〜2000質量部含有し、且つ、酸素含有雰囲気下での熱重量分析による熱重量曲線の微分曲線(DTG)において、加熱に伴う重量減少のピークが2つ観測され、且つ、前記2つのピークのうち低温側に観測されるピークが500〜600℃の温度域で観測される、リチウムイオン二次電池用負極活物質。
  2. さらに、前記複合材料とは別途、炭素材料を含む、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  3. 前記炭素材料が、黒鉛粒子の表面の少なくとも一部が、前記黒鉛粒子より結晶性の低い低結晶性炭素材料で被覆された表面被覆黒鉛粒子である、請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  4. 前記リチウムイオン二次電池用負極活物質の総量を100質量として、前記複合粒子の含有量が1〜99質量%である、請求項2又は3に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  5. 前記複合材料及び前記表面被覆黒鉛粒子中における前記低結晶性炭素材料が等方性ピッチの熱処理物である、請求項1〜4いずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  6. 前記等方性ピッチが石炭系等方性ピッチである、請求項5に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  7. 前記等方性ピッチの軟化点が240℃以上である、請求項5又は6に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  8. 前記ケイ素酸化物粒子を構成するケイ素酸化物が、一般式SiOx(xは0.7〜1.3を示す)で表される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  9. 前記ケイ素酸化物粒子の平均粒子径(D50)が0.05〜10μmである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  10. 前記複合材料及び前記表面被覆黒鉛粒子中における前記黒鉛粒子の(002)面の平均面間隔d(002)が0.335〜0.340nmである、請求項1〜9のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  11. 前記複合材料及び前記表面被覆黒鉛粒子中における前記黒鉛粒子の平均粒子径(D50)が2〜40μmである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  12. 前記複合材料及び前記表面被覆黒鉛粒子中における前記黒鉛粒子の平均円形度が0.90〜0.99である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法であって、
    (1)前記ケイ素酸化物粒子、前記黒鉛粒子、及び前記低結晶性炭素材料の前駆体を乾式混合する混合工程、及び
    (2)前記混合工程で得られた混合物を600〜1300℃で熱処理して複合粒子を得る熱処理工程
    を備える、製造方法。
  14. 前記熱処理工程の後、得られた複合粒子を機械的に粉砕する粉砕工程を行わない、請求項13に記載の製造方法。
  15. 請求項1〜12のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質を含有する、リチウムイオン二次電池用負極。
  16. 請求項15に記載のリチウム二次電池用負極を備える、リチウムイオン二次電池。
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