JP5845769B2 - 非水系二次電池用炭素材、負極材及び非水系二次電池 - Google Patents
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Description
リチウムイオン二次電池の炭素材としては黒鉛を使用することが知られている。特に、黒鉛化度の大きい黒鉛をリチウムイオン二次電池用の負極活物質として用いると、黒鉛のリチウム吸蔵の理論容量である372mAh/gに近い容量が得られ、さらに、コスト・耐久性にも優れることから、活物質として好ましいことが知られている。
例えば、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン又はスチレンブタジエンラバーなどの溶液中にピッチコークス粒子などの炭素材を分散させ、分散液をスプレードライする方法(特許文献1)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロビニルエーテル共重合体(商品名NafionR)などの固体高分子電解質の懸濁状分散液中にメソカーボンマイクロビーズの黒鉛化粉末を添加し、該粉末に固体高分子を被覆する方法(特許文献2)などが挙げられる。
また、特許文献2に記載の技術では、固体高分子電解質の溶媒への溶解性が乏しいために、固体高分子電解質の懸濁状分散液をもちいて炭素表面に吸着させる必要がある製法上、炭素表面への均一な被覆が困難となるため、充放電時の負極表面における副反応を十分に抑制できず、サイクル初期の不可逆容量の低減が不十分といった問題があった。
そこで、本発明は、かかる背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は炭素材負極表面と非水系電解液との反応を抑制することにより、初期サイクル時にみられる充放電不可逆容量が十分に小さく、低抵抗で入出力特性に優れたリチウムイオン二次電池を作製するための負極材を提供し、その結果として、高容量、且つ入出力特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することにある。
<リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)>
・リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)の種類
リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)(本明細書では、炭素材(A)ともいう)としては、天然黒鉛、人造黒鉛、非晶質被覆黒鉛、非晶質炭素の中から選ばれる材料を用いることができる。これらの炭素材(A)は二種以上を任意の組成及び組み合わせで
併用して、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)として好適に使用することができ、一種又は二種以上を、他の一種又は二種以上の炭素材と混合し、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)として用いても良い。
化型混合機等を用いることができる。
また、黒鉛が商業的にも容易に入手可能であり、理論上372mAh/gの高い充放電容量を有することができるため、さらに他の負極活物質を用いた場合よりも、高電流密度での充放電特性の改善効果が著しく大きいので好ましい。
天然黒鉛としては、例えば、高純度化した鱗片状黒鉛や球形化した黒鉛を用いることができる。これらの中でも、粒子の充填性や充放電レート特性の観点から、球形化処理を施した球形化天然黒鉛が特に好ましい。
また、黒鉛化度の小さい炭素材としては、有機物を通常2500℃以下の温度で焼成したものが用いられる。有機物の具体例としては、コールタールピッチ、乾留液化油などの石炭系重質油;常圧残油、減圧残油などの直留系重質油;原油、ナフサなどの熱分解時に副生するエチレンタール等の分解系重質油などの石油系重質油;アセナフチレン、デカシクレン、アントラセンなどの芳香族炭化水素;フェナジンやアクリジンなどの窒素含有環状化合物;チオフェンなどの硫黄含有環状化合物;アダマンタンなどの脂肪族環状化合物;ビフェニル、テルフェニルなどのポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラールなどのポリビニルエステル類、ポリビニルアルコールなどの熱可塑性高分子などが挙げられる。
・炭素材(A)の物性
本発明における炭素材(A)は以下の物性を示すものが好ましい。なお、本発明における測定方法は特に制限はないが、特段の事情がない限り実施例に記載の測定方法に準じる。
リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)の粒径(d50)については特に制限が無いが、使用される範囲として、d50が通常50μm以下、好ましくは30μm以下
、更に好ましくは25μm以下であり、また通常1μm以上、好ましくは4μm以上、更に好ましくは10μm以上である。粒径が大きすぎると極板化した際に、筋引きなどの工程上の不都合が出ることが傾向があり、また、粒径が小さすぎると、表面積が大きくなりすぎ電解液との活性を抑制しにくくなる傾向がある。
本発明の炭素材(A)のBET法で測定した比表面積については、通常1m2/g以上
、好ましくは1.2m2/g以上、より好ましくは1.5m2/g以上である。また通常
11m2/g以下、好ましくは10m2/g以下、より好ましくは9m2/g以下、更に
好ましくは8m2/g以下である。比表面積が小さすぎると、Liが出入りする部位が少なく、高速充放電特性出力特性に劣り、一方、比表面積が大きすぎると、活物質の電解液に対する活性が過剰になり、初期不可逆容量が大きくなるため、高容量電池を製造できない可能性がある。
なおBET比表面積の測定方法は、比表面積測定装置を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET1点法にて測定する。
炭素材(A)のX線構造解析(XRD)から得られる、Rhombohedral(菱
面体晶) に対するHexagonal(六方体晶)の結晶の存在比(3R/2H)は通常0.01以上0.50以下である。3R/2H値がこの範囲を下回ると、高速充放電特性の低下を招く傾向があり、この範囲を上回ると3R/2H値の調整が困難となり、製造処理を強く長時間行う必要が生じたり、工程数を増加させる必要が生じたりする傾向があり、生産性の低下、コストの上昇を招く傾向がある。
本発明の炭素材(A)のタップ密度は、通常0.7g/cm3以上、1g/cm3以上が好ましい。また、通常1.3g/cm3以下、1.1g/cm3以下が好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
(5)炭素材(A)のラマンスペクトル(Raman)スペクトル
本発明の炭素材(A)のラマンR値は、1580cm−1付近のピークPAの強度IAと、1360cm−1付近のピークPBの強度IBとを測定し、その強度比R(R=IB/IA)を算出して定義する。その値は通常0.01以上である。また通常1以下、好ま
しくは0.6以下である。ラマンR値がこの範囲を下回ると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向し易くなり、負荷特性の低下を招く傾向がある。一方、この範囲を上回ると、粒子表面の結晶が乱れ、電解液との反応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を招く傾向がある。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
(6)炭素材(A)の表面官能基量
本発明の炭素材(A)の表面官能基量O/C値は、下記式1で表される、表面官能基量O/C値は、通常0.01%以上、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.07%以上である。また、通常10%以下、好ましくは8%以下、より好ましくは7%以下である。この表面官能基量が少なすぎると、電解液との反応性に乏しく、安定なSEI形成ができなくなる傾向がある。一方、表面官能基量が多すぎると、粒子表面の結晶が乱れ、電解液との反応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を招く傾向がある。また、O/C値の調整が困難となり、製造処理を強く長時間行う必要が生じたり、工程数を増加させる必要が生じたりする傾向があり、生産性の低下、コストの上昇を招く傾向がある。
式1
O/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析におけるO1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたO原子濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度 × 100
本発明における表面官能基量はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定することができる。
周期表第13族元素含有化合物(B)(本明細書では、第13族元素含有化合物(B)ともいう)とは、通常、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムの元素を一種以上含む化合物である。この中でも、ホウ素及び/又はアルミニウムの元素を含む化合物が入手の簡便さから好ましく、ホウ素元素を含む化合物が、負極抵抗低減効果や入出力特性向上効果が大きく、より好ましく用いることができる。
上述したようなホウ素を含む化合物は、水溶性高分子(C)との相溶性が良く、水溶液
中での水溶性高分子(C)の変性やゲル化するといった影響が少なく、均一混合・分散させることが出来るためより好ましい。
本発明の水溶性高分子(C)は水に完全に溶解する高分子が好ましいが、非水溶性高分子であっても、浸水性成分を導入して一部を水へ可溶化させることにより、水への分散性を付与した高分子であっても良い。水溶性高分子(C)はイオン結合可能なカチオン、もしくはアニオンを含む官能基、及び/または水素結合ドナー(水素供与原子)、もしくは
アクセプター(水素受容原子)を含む官能基を有することが好ましい。具体的には、カルボキシル基、水酸基、カルボニル基、エーテル基、エステル基などの含酸素官能基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基などの含硫黄官能基、アミノ基やアミド基、イミド基などの含窒素官能基、燐酸基などの含燐官能基、もしくは電気陰性度の高いハロゲンなどを含む置換基が挙げられる。この中でも、カルボキシル基、水酸基、カルボニル基、アミノ基やアミド基、イミド基を有するものが好ましい。水溶性高分子(C)が持つ上記置換基は、アニオン、及びカチオン交換能を有しているため、充放電の際に、非水系二次電池用炭素材の表面におけるLiイオンと電解液溶媒の脱溶媒和反応を促進し、リチウムの黒鉛層間への挿入・脱離をスムーズに行うことができるようになるため、電解液溶媒の還元分解を抑制し、高い入出力特性を有することが出来るため好ましい。
リ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩がより好ましい。その平均重合度は100以上2500以下であることが、水への溶解性が確保でき、レート特性とサイクル特性の両立が出来る点から好ましい。平均重合度が小さすぎるとレート特性は良くなる一方で、サイクル特性が悪化し、逆に、重合度が大きすぎるとレート特性が悪化し、高電流密度で充放電した際に電池容量の低減する傾向がある。また、エーテル化度については特に限定はないが通常0.4〜1.5のものが好ましく用いられる。
水溶性高分子(C)の25℃、せん断速度40s−1における1質量%水溶液の粘度は、通常100cP以上、好ましくは200cP以上であり、より好ましくは300cP以上であり、通常10000cp以下、好ましくは3000cP以下、より好ましくは100cp以下である。上記粘度がこの範囲外であると、塗布スラリー液中に負極活物質を十分に安定分散させることが困難となり、安定的に均一かつ表面が平滑な電極を集電体膜に塗布することが出来なくなる。また、水溶性高分子(C)重量平均分子量が通常2000以上、好ましくは5000以上、より好ましくは1万以上であり、また通常8000万以下、好ましくは5000万以下、より好ましくは2000万以下、更に好ましくは1700万以下である。大きすぎると、炭素材(A)に対する均一添着性の低下を招く傾向や均一負極抵抗増大や入出力特性低下を招く傾向があり、小さすぎると、炭素材(A)に対する添着力が下がることによる水溶性高分子(C)の剥離など、材料の耐久性が低下する傾向がある。
高分子(C)水溶液を除去するために、炭素材(A)に加えた水溶性高分子(C)の使用量が添着量と必ずしも一致せず、使用量よりも添着量が少ない量となることがある。これらのような工程において作製した炭素材(A)への樹脂添着量の算出には、例えば、熱重量分析(TG)を用いることが出来る。一般的な上記湿式添着法や上記乾式添着法を用いた工程により水溶性高分子(C)を添着させた炭素材(A)を基準として、本手法により水溶性高分子(C)を添着させた炭素材(A)の熱重量減少率との比を算出することにより、本手法により水溶性高分子(C)を添着させたサンプル添着樹脂量を規定することができる。
本発明の非水系二次電池用炭素材は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)表面に周期表第13族元素含有化合物(B)と水溶性高分子(C)の組成物が添着された構造をとるように製造されれば、本発明の負極材料を製造する方法は特に制限されない。添着の構造は特に制限されないが、少なくとも炭素材(A)の細孔の内部(細孔部)や外面(外周部)に、周期表第13族元素含有化合物(B)と水溶性高分子(C)の組成物が添着された態様が好ましい。また、炭素材(A)として、球形化黒鉛などの鱗片状黒鉛が折りたたまれた形状の黒鉛を用いる場合には、充放電の際に電解液が接触すると考えられる、折りたたみ構造内部に存在する黒鉛表面部分にも周期表第13族元素含有化合物(B)と水溶性高分子(C)の組成物が添着された態様が好ましい。添着された状態を観察するには、例えば、電界放射型走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線(SEM−EDX)分析、X線光電子分光法(XPS)分析等の手法を用いて粒子断面を観察することにより確認することができる。
・手法(i)
炭素材(A)への周期表第13族元素含有化合物(B)と水溶性高分子(C)の組成物の添着の手法(i)は 、例えば、周期表第13族元素含有化合物(B)と水溶性高分子
(C)を水に溶解混合させ、さらにミキサーにて炭素材(A)と混合した後、窒素雰囲気下で、乾燥する工程が挙げられる。更に乾燥後、加熱処理をすることが好ましい。
る含酸素官能基との相互作用が弱くなり、安定な添着状態を維持できなくなる傾向がある。一方で、この温度以下では十分な速度で水分が乾燥しないために、生産性の低下が懸念される。さらに上記温度内では、黒鉛表面の含酸素官能基と水溶性高分子(C)の官能基が縮合することで、水溶性高分子(C)と黒鉛表面の相互作用をより強固にし、安定な添着状態を維持することができる。また、水溶性高分子(C)の官能基同士が縮合することにより、水溶性高分子(C)被膜自体を強固にすることができる。
また、炭素材(A)への周期表第13族元素含有化合物(B)と水溶性高分子(C)の添着の別の手法(ii)としては、例えば、水溶性高分子が黒鉛表面への吸着性を有することを利用して、過剰な周期表第13族元素含有化合物(B)と水溶性高分子(C)の混合水溶液中に炭素材(A)を入れて攪拌し、ろ過により余分な周期表第13族元素含有化合物(B)と水溶性高分子(C)の混合水溶液を除去した後、窒素雰囲気下で、乾燥することにより炭素材(A)に周期表第13族元素含有化合物(B)と水溶性高分子(C)の組成物を添着する工程も挙げられる。更に乾燥後、加熱処理をすることが好ましい。
または水素結合可能な官能基が脱離してしまい、黒鉛表面に存在する含酸素官能基との相互作用が弱くなり、安定な添着状態を維持できなくなる傾向がある。一方で、この温度以下では十分な速度で水分が乾燥しないために、生産性の低下が懸念される。さらに上記温度内では、黒鉛表面の含酸素官能基と水溶性高分子(C)の官能基が縮合することで、水溶性高分子(C)と黒鉛表面の相互作用をより強固にし、安定な添着状態を維持することができる。また、水溶性高分子(C)の官能基同士が縮合することにより、水溶性高分子(C)被膜自体を強固にすることができる。
上記製造方法で得られた非水系二次電池用炭素材は、以下のような特性を持つ。
本発明のリチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)表面に周期表第13族元素含有化合物(B)と水溶性高分子(C)の組成物が添着された非水系二次電池用炭素材は、炭素粒子にて上記構造を形成することで、電池において電解液と炭素材表面の接触を従来よりも防ぐことにより、SEI(Solid Electrolyte Interphace)と呼ばれる保護皮膜の形成や副反応生成物としてのガス発生をより抑制することが出来るのである。また、周期表第13族元素含有化合物(B)と水溶性高分子(C)との組成物が添着していることにより、非水系二次電池用炭素材は低抵抗・高入出力特性を有
することが出来る。この周期表第13族元素含有化合物(B)を混合することによる負極抵抗低減の機構は明らかになっていないが、非水系二次電池用炭素材表面に周期表第13族元素含有化合物(B)が存在することにより安定且つ低抵抗なSEI保護被膜が生成されていると推測され、また、周期表第13族元素含有化合物(B)が水溶性高分子(C)膜に取り込まれると、水溶性高分子(C)の極性置換基に対し、適度なルイス酸性を有している周期表第13族元素含有化合物(B)が配位することにより、水溶性高分子(C)が有する極性置換基とリチウムイオンとの配位力、及び極性置換基同士の水素結合に起因する水溶性高分子(C)の強固な分子間力を適度に弱め、水溶性高分子(C)膜内のリチウムイオン伝導性を向上させていると推測される。
本発明の非水系二次電池用炭素材の下記式1で表される表面官能基量(O/C値)は、通常1%以上、好ましくは2%以上、より好ましくは2.6%以上、更に好ましくは3%以上、特に好ましくは5%以上、最も好ましくは6%以上であり、また通常30%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、更に好ましくは7%以下である。この表面官能基量O/C値が小さすぎると、炭素材表面におけるLiイオンと電解液溶媒の脱溶媒和反応性が低下し、充放電不可特性が低下する傾向があり、大きすぎると、電解液との反応性が増し、充放電効率の低下やガス発生の増加を招く傾向がある。
式1
O/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析におけるO1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたO原子濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度×100
本発明における表面官能基量はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定することができる。
本発明の非水系二次電池用炭素材の周期表第13族元素(B)の表面元素量(X13/C値)は、下記式2にて算出できる。周期表第13族元素の表面元素量(X13/C値)は、通常0%より大きく、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.1%以上、更に好ましくは0.15%以上、特に好ましくは0.45%以上、最も好ましくは1%以上である。また通常10%以下、好ましくは8%以下、より好ましくは6%以下、更に好ましくは4%以下、特に好ましくは2%以下である。この周期表第13族元素の表面元素量(X13/C値)が小さすぎると、負極抵抗低減効果や、入出力特性向上効果が低下する傾向があり、一方、表面元素量が大きすぎると電池容量の低下や、極板強度の低下を引き起こす傾向がある。
周期表第13族元素の表面元素量X13/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析における周期表第13族元素の最外殻電子軌道のスペクトルのピーク面積に基づいて求めた周期表第13族元素濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度×100
本発明における表面元素量はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定することができる。
本発明の非水系二次電池用負極活物層質表面とバルク中における周期表第13族元素(B)の存在比は、下記式3で表される表面存在比にて算出できる。表面存在比は、通常2以上、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは8以上、特に好ましくは8.7以上、最も好ましくは9以上である。また通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下である。この表面存在比が小さすぎると、負極抵抗低減効果や、入出力特性向上効果が低下する傾向がある。
表面存在比=式2で表される周期表第13族元素の表面元素量X13/C値(%)/誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)分析から求めた周期表第13族元素のバルク含有量(質量%)
本発明における周期表第13族元素のバルク含有量は誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)を用いて測定することができる。
S)で周期表第13族元素重量を定量する。ここで得られた周期表第13族元素重量の仕
込みサンプル重量に対する割合(周期表第13族元素重量/仕込みサンプル重量×100)を周期表第13族元素のバルク含有量(質量%)と定義する。
なお、周期表第13族元素のバルク含有量(質量%)は、通常0より大きく、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.03%以上、更に好ましくは0.05%以上、特に好ましくは0.08%以上、最も好ましくは0.1%以上である。また通常10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。この表バルク含有量(質量%)が小さすぎると、負極抵抗低減効果や、入出力特性向上効果が低下する傾向がある。
本発明の非水系二次電池用炭素材の粒径(d50)については特に制限が無いが、使用される範囲として、d50が通常50μm以下、好ましくは30μm以下、更に好ましくは25μm以下である。また通常1μm以上、好ましくは4μm以上、更に好ましくは10μm以上である。この粒径範囲を超えると極板化した際に、筋引きなどの工程上の不都合が出ることが多く、また、これ以下であると、表面積が大きくなりすぎ電解液との活性を抑制することが難しくなる。
本発明の非水系二次電池用炭素材のBET法で測定した比表面積については、通常0.5m2/g以上、好ましくは1m2/g以上、より好ましくは2m2/g以上、より好ましくは3m2/g以上である。また、通常8m2/g以下、好ましくは7m2/g以下、
より好ましくは6m2/g以下である。
なおBET比表面積の測定方法は、比表面積測定装置を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET1点法にて測定する。
積の低下率(%):(SAA-SAC)/SAA×100を算出することが出来る。このBET比表面積の低下率は、通常10%以上、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上である。また、通常80%以下、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下である。このBET比表面積の低下率が大きすぎると炭素材表面の反応活性低下し、充放電負荷特性が低下する傾向がある。一方、このBET比表面積の低下率が小さすぎると、電解液と炭素材表面の接触を十分に防ぐことができず、不可逆容量が大きくなる傾向がある。
炭素材のX線構造解析(XRD)から得られる、Rhombohedral(菱面体晶)
に対するHexagonal(六方体晶)の結晶の存在比(3R/2H)は通常0.0
1以上0.50以下である。3R/2Hがこの範囲を下回ると、高速充放電特性の低下を招く傾向があり、この範囲を上回ると3R/2H値の調整が困難となり、製造処理を強く長時間行う必要が生じたり、工程数を増加させる必要が生じたりする傾向があり、生産性の低下、コストの上昇を招く傾向がある。
本発明の炭素材のタップ密度は、通常0.7g/cm3以上、好ましくは1g/cm3以上である。また、通常1.3g/cm3以下、好ましくは1.1g/cm3以下である。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
(7)非水系二次電池用炭素材のラマンスペクトル(Raman)スペクトル 炭素材のラマンR値は、1580cm−1付近のピークPAの強度IAと、1360cm−1付近のピークPBの強度IBとを測定し、その強度比R(R=IB/IA)を算出して定義する。その値は通常0.01以上、好ましくは0.02以上である。また、0.6以下であることが好ましく、0.5以下ではより好ましい。ラマンR値が小さすぎると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向し易くなり、負荷特性の低下を招く傾向がある。一方、ラマンR値が大きすぎると、粒子表面の結晶が乱れ、電解液との反応性が増し、充放電効率の低下やガス発生の増加を招く傾向がある。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
<他の炭素材(D)との混合>
上述した本発明の非水系二次電池用炭素材は、何れか一種を単独で、又は二種以上を任意の組成及び組み合わせで併用して、リチウムイオン二次電池の負極材料として好適に使用することができるが、一種又は二種以上を、他の一種又は二種以上のその他炭素材(D)と混合し、これを非水系二次電池、好ましくはリチウムイオン二次電池の負極材料として用いても良い。
用炭素材とその他炭素材(D)の総量に対する非水系二次電池用炭素材の混合割合は、通常10質量%以上、好ましくは20質量%以上、また、通常90質量%以下、好ましくは80質量%以下の範囲である。その他炭素材(D)の混合割合が、前記範囲を下回ると、添加した効果が現れ難い傾向がある。一方、前記範囲を上回ると、非水系二次電池用炭素材の特性が現れ難い傾向がある。
純度化した鱗片状黒鉛や球形化した黒鉛を用いることができる。天然黒鉛の体積基準平均粒径は、通常8μm以上、好ましくは12μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。天然黒鉛のBET比表面積は、通常3.5m2/g以上、好ましくは、4.5m2/g以上、また、通常8m2/g以下、好ましくは6m2/g以下の範囲である。
非晶質被覆黒鉛としては、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛に非晶質前駆対を被覆、焼成した粒子や、天然黒鉛や人造黒鉛に非晶質をCVDにより被覆した粒子を用いることができる。
非水系二次電池用炭素材とその他炭素材(D)との混合に用いる装置としては、特に制限はないが、例えば、回転型混合機の場合:円筒型混合機、双子円筒型混合機、二重円錐型混合機、正立方型混合機、鍬形混合機、固定型混合機の場合:螺旋型混合機、リボン型混合機、Muller型混合機、Helical Flight型混合機、Pugmil
l型混合機、流動化型混合機等を用いることができる。
本発明の非水系二次電池用負極(以下適宜「電極シート」ともいう。)は、集電体と、集電体上に形成された活物質層とを備えると共に、活物質層は少なくとも本発明の非水系二次電池用炭素材とを含有することを特徴とする。更に好ましくはバインダを含有する。なお、本発明の水溶性高分子(C)は下記に示すバインダで使用する高分子とは異なるものと定義し、具体的には、本発明の非水系二次電池用炭素材は、負極に成型する前の粒子状の炭素粒子と定義する。
本発明においては、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダも、本発明の効果が失われない範囲において、上述のオレフィン性不飽和結合を有するバインダと併用することができる。オレフィン性不飽和結合を有するバインダに対する、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの混合比率は、通常150質量%以下、好ましくは120質量%以下の範囲である。
オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの例としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉、カラギナン、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等の増粘多糖類、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸、或いはこれらポリマーの金属塩、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのアルカン系ポリマー及びこれらの共重合体などが挙げられる。
ラックなどのカーボンブラック、平均粒径1μm以下のCu、Ni又はこれらの合金からなる微粉末などが挙げられる。導電剤の添加量は、本発明の負極材料に対して通常10質量%以下程度である。
スラリーを塗布、乾燥して得られる活物質層の厚さは、通常5μm以上、好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上、また、通常200μm以下、好ましくは100μm以下、更に好ましくは75μm以下である。活物質層が薄すぎると、活物質の粒径との兼ね合いから負極としての実用性に欠け、厚すぎると、高密度の電流値に対する十分なLiの吸蔵・放出の機能が得られにくい。
以上、好ましくは1.20g/cm3以上、更に好ましくは1.25g/cm3以上、通常1.55g/cm3以下、好ましくは1.50g/cm3以下、更に好ましくは1.45g/cm3以下である。密度が低すぎると粒子同士の接触抵抗が増大する傾向があり、密度
が高すぎるとレート特性が低下する傾向がある。携帯電話やパソコンといった携帯機器用途などの容量を重視する用途では、通常1.45g/cm3以上、好ましくは1.55g
/cm3以上、更に好ましくは1.65g/cm3以上、特に好ましくは1.70g/cm3以上であり、1.90g/cm3以下が好ましい。密度が低すぎると、単位体積あたり
の電池の容量が必ずしも充分ではなく、密度が高すぎるとレート特性が低下する傾向がある。
<非水系二次電池>
本発明の非水系二次電池、特にリチウムイオン二次電池の基本的構成は、従来公知のリチウムイオン二次電池と同様であり、本発明の炭素材を適用した負極以外の部材として、通常、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び電解質等を備える。
正極は、正極活物質及びバインダを含有する正極活物質層を、集電体上に形成したものである。
・正極活物質
以下に正極に使用される正極活物質(リチウム遷移金属系化合物)について述べる。
・リチウム遷移金属系化合物
リチウム遷移金属系化合物とは、Liイオンを脱離、挿入することが可能な構造を有する化合物であり、例えば、硫化物やリン酸塩化合物、リチウム遷移金属複合酸化物などが挙げられる。硫化物としては、TiS2やMoS2などの二次元層状構造をもつ化合物や、一般式MexMo6S8(MeはPb,Ag,Cuをはじめとする各種遷移金属)で表
される強固な三次元骨格構造を有するシュブレル化合物などが挙げられる。リン酸塩化合物としては、オリビン構造に属するものが挙げられ、一般的にはLiMePO4(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)で表され、具体的にはLiFePO4、LiCoPO4、LiNiPO4、LiMnPO4などが挙げられる。リチウム遷移金属複合酸化物としては、三次元的拡散が可能なスピネル構造や、リチウムイオンの二次元的拡散を可能にする層状構造に属するものが挙げられる。スピネル構造を有するものは、一般的にLiMe2O4(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)と表され、具体的にはLiMn2O4、LiCoMnO4、LiNi0.5Mn1.5O4、LiCoVO4などが挙げられる。層状構造を有するものは、一般的にLiMeO2(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)と表される。具体的にはLiCoO2、LiNiO2、LiNi1−xCoxO2、LiNi1−x−yCoxMnyO2、LiNi0.5Mn0.5O2、Li1.2Cr0.4Mn0.4O2、Li1.2Cr0.4Ti0.4O2、LiMnO2などが挙げられる。
・組成
また、リチウム含有遷移金属化合物は、例えば、下記組成式(A)または(B)で示されるリチウム遷移金属系化合物であることが挙げられる。
Li1+xMO2 …(A)
ただし、xは通常0以上、0.5以下である。Mは、Ni及びMn、或いは、Ni、Mn及びCoから構成される元素であり、Mn/Niモル比は通常0.1以上、5以下である。Ni/Mモル比は通常0以上、0.5以下である。Co/Mモル比は通常0以上、0.5以下である。なお、xで表されるLiのリッチ分は、遷移金属サイトMに置換している場合もある。
さらに、組成式(A)で示されるリチウム遷移金属系化合物は、以下一般式(A’)のとおり、213層と呼ばれるLi2MO3との固溶体であってもよい。
αLi2MO3・(1−α)LiM’O2・・・(A’)
一般式中、αは、0<α<1を満たす数である。
M’は、平均酸化数が3+である少なくとも一種の金属元素であり、好ましくは、V、Mn、Fe、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素であり、より好ましくは、Mn、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素である。
Li[LiaMbMn2−b−a]O4+δ・・・(B)
ただし、Mは、Ni、Cr、Fe、Co、Cu、Zr、AlおよびMgから選ばれる遷
移金属のうちの少なくとも1種から構成される元素である。
bの値は通常0.4以上、0.6以下である。
また、aの値は通常0以上、0.3以下である。また、上記組成式中のaは、リチウム遷移金属系化合物の製造段階での仕込み組成である。通常、市場に出回る電池は、電池を組み立てた後に、エージングを行っている。そのため、充放電に伴い、正極のLi量は欠損している場合がある。その場合、組成分析上、3Vまで放電した場合のaが−0.65以上、1以下に測定されることがある。
さらに、δの値は通常±0.5の範囲である。
δの値がこの範囲であれば、結晶構造としての安定性が高く、このリチウム遷移金属系化合物を用いて作製した電極を有する電池のサイクル特性や高温保存が良好である。
上記リチウム遷移金属系化合物の組成式のa,bを求めるには、各遷移金属とリチウムを誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)で分析して、Li/Ni/Mnの比を求める事で計算される。
また、上記リチウム遷移金属系化合物は、フッ素置換されていてもよく、LiMn2O4‐xF2xと表記される。
上記の組成のリチウム遷移金属系化合物の具体例としては、例えば、Li1+xNi0.5Mn0.5O2、Li1+xNi0.85Co0.10Al0.05O2、Li1+xNi0.33Mn0.33Co0.33O2、Li1+xNi0.45Mn0.45Co0.1O2、Li1+xMn1.8Al0.2O4、Li1+xMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。これらのリチウム遷移金属系化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上をブレンドして用いても良い。
また、リチウム遷移金属系化合物は、異元素が導入されてもよい。異元素としては、B,Na,Mg,Al,K,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Sr,Y,Zr,Nb,Ru,Rh,Pd,Ag,In,Sb,Te,Ba,Ta,Mo,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Bi,N,F,S,Cl,Br,I,As,Ge,P,Pb,Sb,SiおよびSnの何れか1種以上の中から選択される。これらの異元素は、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれていてもよく、あるいは、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれず、その粒子表面や結晶粒界などに単体もしくは化合物として偏在していてもよい。
非水系二次電池用正極は、上述の非水系二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物
粉体及び結着剤を含有する正極活物質層を集電体上に形成してなるものである。
正極活物質層は、通常、正極材料と結着剤と更に必要に応じて用いられる導電材及び増粘剤等を、乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、或いはこれらの材料を液体媒体中に溶解又は分散させてスラリー状にして、正極集電体に塗布、乾燥することにより作成される。
正極活物質層の製造に用いる結着剤としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して安定な材料であれば良いが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレンスチレンブロック共重合体及びその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子、アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
正極活物質層には、通常、導電性を高めるために導電材を含有させる。その種類に特に制限はないが、具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料や、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料などを挙げることができる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。正極活物質層中の導電材の割合は、通常0.01質量%以上、50質量%以下である。導電材の割合が低すぎると導電性が不十分になることがあり、逆に高すぎると電池容量が低下することがある。
用いても良い。水系溶媒の例としては水、アルコールなどが挙げられ、有機系溶媒の例としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジメチルエーテル、ジメチルアセタミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等を挙げることができる。特に水系溶媒を用いる場合、増粘剤に併せて分散剤を加え、SBR等のラテックスを用いてスラリー化する。なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、正極活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。
なお、塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。
かくして、リチウム二次電池用正極が調製できる。
非水電解質としては、例えば公知の非水系電解液、高分子固体電解質、ゲル状電解質、無機固体電解質等を用いることができるが、中でも非水系電解液が好ましい。非水系電解液は、非水系溶媒に溶質(電解質)を溶解させて構成される。
<電解質>
非水系電解液に用いられる電解質には制限はなく、電解質として用いられる公知のものを任意に採用して含有させることができる。本発明の非水系電解液を非水系電解液二次電池に用いる場合には、電解質はリチウム塩が好ましい。電解質の具体例としては、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)フォスフェート、フルオロスルホン酸リチウム等が挙げられる。これらの電解質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
非水系電解液が含有する非水系溶媒は、電池として使用した際に、電池特性に対して悪影響を及ぼさない溶媒であれば特に制限されないが、通常使用される非水系溶媒の例としては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の鎖状カルボン酸エステル、γ−ブチロラクトン等の環状カルボン酸エステル、
ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等の鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル等のニトリル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等のリン酸エステル、エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、メタンスルホン酸メチル、スルホラン、ジメチルスルホン等の含硫黄化合物等が挙げられ、これら化合物は、水素原子が一部ハロゲン原子で置換されていてもよい。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよいが、2種以上の化合物を併用することが好ましい。例えば、環状カーボネートや環状カルボン酸エステル等の高誘電率溶媒と、鎖状カーボネートや鎖状カルボン酸エステル等の低粘度溶媒とを併用するのが好ましい。
非水系電解液には、上述の電解質、非水系溶媒以外に、目的に応じて適宜助剤を配合しても良い。負極表面に皮膜を形成するため、電池の寿命を向上させる効果を有する助剤としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート等の不飽和環状カーボネート、フルオロエチレンカーボネート等のフッ素原子を有する環状カーボネート、4−フルオロビニレンカーボネート等のフッ素化不飽和環状カーボネート等が挙げられる。電池が過充電等の状態になった際に電池の破裂・発火を効果的に抑制する過充電防止剤として、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン、ジフェニルエーテル、t−ブチルベンゼン、t−ペンチルベンゼン、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート等の芳香族化合物等が挙げられる。サイクル特性や低温放電特性を向上させる助剤として、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム、フルオロスルホン酸リチウム、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)フォスフェート等のリチウム塩等が挙げられる。高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる助剤として、エチレンサルファイト、プロパンスルトン、プロペンスルトン等の含硫黄化合物、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等のカルボン酸無水物、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル等のニトリル化合物が挙げられる。これら助剤の配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータの材料や形状については特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。中でも、本発明の非水系電解液に対し安定な材料で形成された、樹脂、ガラス繊維、無機物等が用いられ、保液性に優れた多孔性シート又は不織布状の形態の物等を用いるのが好ましい。
を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
一方、無機物の材料としては、例えば、アルミナや二酸化ケイ素等の酸化物、窒化アルミや窒化ケイ素等の窒化物、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩が用いられ、粒子形状もしくは繊維形状のものが用いられる。
・電極群
電極群は、上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもののいずれでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称す
る)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。
外装ケースの材質は用いられる非水系電解液に対して安定な物質であれば特に制限されない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等を使用することができる。上記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
本発明の非水系電解液二次電池は、通常、上記の非水系電解液、負極、正極、セパレータ等を外装体内に収納して構成される。この外装体は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。具体的に、外装体の材質は任意であるが、通常は、例えばニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミウム又はその合金、ニッケル、チタン等が用いられる。
<電池の性能>
上述のように作製した電池は以下の様な性能を示すものである。
初回不可逆容量は、通常、50mAh/g以下、好ましくは40mAh/g以下、より好ましくは35mAh/g以下である。負極密度が高すぎると、負極活物質の割れが生じて反応活性表面が増大し、初回不可逆容量が増大する傾向がある。
ぎると、入出力特性が低下する傾向がある。
(測定方法)
(1)表面官能基量
表面官能基量はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定する。
<周期表第13族元素の表面元素量>
周期表第13族元素の表面元素量はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定する。
周期表第13族元素の表面元素量は、X線光電子分光法測定としてX線光電子分光器(アルバック・ファイ社製ESCA)を用い、測定対象を試料台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、マルチプレックス測定により、C1s(280〜300eV)と周期表第13族元素含有化合物(例えば、ホウ素(B1s)の場合は180〜210eV、アルミニウム(2p)の場合は、70eV〜80eV)のスペクトルを測定する。得られたC1sのピークトップを284.3eVとして帯電補正し、C1sとX13のスペクトルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、CとX13の表面原子濃度をそれぞれ算出する。式1に示すように、得られたそのX13とCの原子濃度比X13/C(X原子濃度/C原子濃度)を炭素材(A)表面における周期表第13族元素含有化合物の表面元素量X13/C値と定義する。
式1
周期表第13族元素の表面元素量X13/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析における周期表第13族元素の最外殻電子軌道のスペクトルのピーク面積に基づいて求めた周期表第13族元素濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度×100
<周期表第13族元素のバルク含有量>
本発明における周期表第13族元素のバルク含有量は誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)を用いて測定することができる。
MS)で周期表第13族元素重量を定量する。ここで得られた周期表第13族元素重量の
仕込みサンプル重量に対する割合(周期表第13族元素重量/仕込みサンプル重量×100)を周期表第13族元素のバルク含有量(質量%)と定義する。
本発明における非水系二次電池用負極活物質層の表面とバルク中における周期表第13族元素(B)の存在比(本発明では、表面存在比ともいう。)は、上述の表面元素量X1
3/C値とバルク含有量(質量%)から、下記式2を用いて算出した値と定義する。
式2
表面存在比=式1で表される周期表第13族元素の表面元素量X13/C値(%)/誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)分析から求めた周期表第13族元素のバルク含有量(質量%)
(3)粒径
粒径の測定方法は、界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例として、ツィーン20(登録商標))の0.2質量%水溶液10mLに、炭素材0.01gを懸濁させ、市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「HORIBA製LA−920」に導入し、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、測定装置における体積基準のメジアン径として測定したものを、本発明におけるd50と定義する。
BET比表面積の測定方法は、例えば大倉理研社製比表面積測定装置「AMS8000」を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET1点法にて測定する。具体的には、試料(炭素材)0.4gをセルに充填し、110℃に加熱して前処理を行った後、液体窒素温度まで冷却して、窒素30%、He70%のガスを飽和吸着させ、その後室温まで加熱して脱着したガス量を計測し、得られた結果から、通常のBET法により比表面積を算出する。
X線構造解析(XRD)の測定方法は、0.2mmの試料板に炭素材を配向しないように充填し、X線回折装置(例えば日本電子製、JDX−3500)で、CuKα線にて出力30kV、200mAで測定する。得られた43.4°付近の3R(101)、及び44.5°付近の2H(101)の両ピークからバックグラウンドを差し引いた後、強度比3R(101)/2H(101)を算出する。
タップ密度は、粉体密度測定器である(株)セイシン企業社製「タップデンサーKYT−4000」を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して、炭素材を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の重量から求めた密度をタップ密度として定義する。
ラマンスペクトルは、ラマン分光器:「日本分光社製ラマン分光器」で測定できる。具体的には、測定対象粒子を測定セル内へ自然落下させることで試料充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、測定セルをこのレーザー光と垂直な面内で回転させながら測定を行なう。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
(8)高分子水溶液の粘度
水溶性高分子水溶液の粘度はブルックフィールド社製「デジタル粘度計HBDV−II+Pro」のスピンドルCPE−41を用いて測定した。付属のコーンにサンプルを2.5g入れ、25℃、せん断速度40s−1において、30秒間スピンドルを回転させたときの粘度を水溶性高分子水溶液の粘度として定義する。
非水系二次電池を用いて、下記の測定方法で電池充放電時の初回不可逆容量を測定した。
0.16mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して5mVまで充電し、更に、5mVの一定電圧で充電容量値が350mAh/gになるまで充電し、負極中にリチウムを
ドープした後、0.33mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して1.5Vまで放電を行なった。このときの充電容量(350mAh/g)と放電容量の差を初回不可逆容量とした。また、初回効率(%)は「このときの放電容量/充電容量(350mAh/g)×100」から算出した。
非水系二次電池を用いて、下記の測定方法で電池充電時の負極電荷移動抵抗を測定した。
0.16mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して5mVまで充電し、更に、5mVの一定電圧で充電容量値が350mAh/gになるまで充電し、負極中にリチウムをドープした後、0.33mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して1.5Vまで放電を行なった。さらに2サイクル、0.16mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して5mVまで充電し、更に、5mVの一定電圧で0.016mA/cm2の電流密度になるまで充電し、負極中にリチウムをドープした後、0.33mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して1.5Vまで放電を行なった。その後、さらに2サイクル、0.16mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して5mVまで充電し、更に、5mVの一定電圧で0.016mA/cm2の電流密度になるまで充電し、負極中にリチウムをドープし、Ar雰囲気下にて2個の電池を解体して2枚の負極を取り出し、2枚の負極と、両負極の間にエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒(容量比=3:7)に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させた電解液30μlを含浸させたセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、負極対向セルを作製した。10-2から105Hzの周波数帯で複素インピーダンス測定を行い、負極
電荷移動抵抗(Rct)を測定した。この際、低周波部分の因子の影響を避ける為に、アーガンドプロットを行った際に現れる、負極抵抗成分の円弧の一部を半円で外挿し、前記パラメーターの数値を求めた。また、該数値はコイン型セル2個の結果の平均値とした。
本発明の水溶性高分子が添着された炭素材を負極材として用い、活物質層密度1.70±0.03g/cm3の活物質層を有する極板を作製した。具体的には、負極材20.00±0.02gに、1質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(第一工業製薬製、平均重合度:約1200、粘度:500cP)と重量平均分子量27万のスチレン・ブタジエンゴム水性ディスパージョン0.50±0.05g(固形分換算で0.2g)を、キーエンス製ハイブリッドミキサーで5分間撹拌し、30秒脱泡してスラリーを得た。
(ii)非水系二次電池の作製
上記方法で作製した電極シートを直径12.5mmの円盤状に打ち抜き、リチウム金属箔を直径14mmの円板状に打ち抜き対極とした。両極の間には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒(容量比=3:7)に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させた電解液を含浸させたセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、上記電解液を使用した2016コイン型電池を作製した
。
前記測定法で測定した、粒径d50、タップ密度、比表面積、ラマンR値、O/Cがそれぞれ19.3μm、1.10g/cm3、6.3m2/g、0.25、2.62%である球状天然黒鉛100gに、1質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(第一工業製薬製、平均重合度:約1200、粘度:500cP)と1質量%酸化ホウ素(和光純薬製一級試薬)の混合水溶液20gを添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気下で乾燥してサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、B/C、O/Cを測定した。結果を表1に示す。また、前記測定法で初回不可逆容量、負極電荷移動抵抗を測定、及び初回効率を算出した。結果を表2に示す。
1質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(第一工業製薬製、平均重合度:約1200、粘度:500cP)を2.5質量%ポリアクリルアミド(重量平均分子量:1600万)に変えた以外は、実施例1と同様の方法でサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、B/C、O/Cを測定した。結果を表1に示す。また、前記測定法で初回不可逆容量、負極電荷移動抵抗を測定、及び初回効率を算出した。結果を表2に示す。
混合水溶液に含まれる酸化ホウ素(和光純薬製一級試薬)の濃度を1質量%から2.5質量%に変えた以外は、実施例2と同様の方法でサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、B/C、O/Cを測定した。結果を表1に示す。また、前記測定法で初回不可逆容量、負極電荷移動抵抗を測定、及び初回効率を算出した。結果を表2に示す。
1質量%酸化ホウ素(和光純薬製一級試薬)を1質量%ホウ酸リチウム(高純度化学製)の混合水溶液に変えた以外は、実施例2と同様の方法でサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、B/C、O/Cを測定した。結果を表1に示す。また、前記測定法で初回不可逆容量、負極電荷移動抵抗を測定、及び初回効率を算出した。結果を表2に示す。
前記測定法で測定した、粒径d50、タップ密度、比表面積、ラマンR値、B/C、O/Cがそれぞれ19.3μm、1.10g/cm3、6.3m2/g、0.25、0%、2.62%である球状天然黒鉛をそのまま用いて、前記測定法で初回不可逆容量、負極電荷移動抵抗を測定、及び初回効率を算出した。結果を表2に示す。
ホウ素含有化合物を加えず、1質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(第一工業製薬製、平均重合度:約1200、粘度:500cP)水溶液をそのまま使用した以外は、実施例1と同様の方法でサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、B/C、O/Cを測定した。結果を表1に示す。また、前記測定法で初回不可逆容量、負極電荷移動抵抗を測定、及び初回効率を算出した。結果を表2に示す。
ホウ素含有化合物を加えず、2.5質量%ポリアクリルアミド(重量平均分子量:1600万)水溶液をそのまま使用した以外は、実施例2と同様の方法でサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、B/C、O/Cを測定した。結果を表1に示す。また、前記測定法で初回不可逆容量、負極電荷移動抵抗を測定、及び初回効率を算出した。結果を表2に示す。
前記測定法で測定した、粒径d50、タップ密度、比表面積、ラマンR値、B/C、O/Cがそれぞれ19.3μm、1.10g/cm3、6.3m2/g、0.25、0%、2.62%である球状天然黒鉛を負極材として用い、負極材20.00±0.02gに、1質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(第一工業製薬製、平均重合度:約1200、粘度:500cP)と0.1質量%酸化ホウ素(和光純薬一級)を混合した水溶液を20.00±0.02g(固形分換算で0.200g)、及び重量平均分子量27万のスチレン・ブタジエンゴム水性ディスパージョン0.50±0.05g(固形分換算で0.2g)を、キーエンス製ハイブリッドミキサーで5分間撹拌し、30秒脱泡してスラリーを得た。その後は、前記法で電極を作成し、前記測定法にて初回不可逆容量、負極電荷移動抵抗を測定、及び初回効率を算出した。結果を表2に示す。
1質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(第一工業製薬製、平均重合度:約1200、粘度:500cP)と0.1質量%酸化ホウ素(和光純薬一級)を混合した水溶液の代わりに、1質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(第一工業製薬製、平均重合度:約1200、粘度:500cP)と0.5質量%酸化ホウ素(和光純薬一級)を混合した水溶液を用いた以外は比較例3と同様の方法で電極を作成し、前記測定法にて初回不可逆容量、負極電荷移動抵抗を測定、及び初回効率を算出した。結果を表2に示す。
CMC:カルボキシルメチルセルロースNa塩、PAAmd:ポリアクリルアミド
CMC:カルボキシルメチルセルロースNa塩、PAAmd:ポリアクリルアミド
以上の実施例と比較例から分かるように、実施例1から4では炭素材に水溶性高分子、及びホウ素含有化合物を添着させ、表面元素量X13/C値、及び周期表第13族元素(B)の表面存在比が規定範囲内とする事により、初回不可逆容量低下、初回効率の向上、負極電荷移動反応抵抗(Rct)の低下効果が顕著に見られた。
また、予め周期表第13族元素含有化合物(B)と水溶性高分子(C)の組成物が添着されていない天然黒鉛を負極材として用い、電極作成時に周期表第13族元素含有化合物(B)を同時添加することによって作成した電極を用いた場合(比較例4、5)においても、比較的高い負極電荷移動抵抗が観測された。
Claims (9)
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)に、周期表第13族元素含有化合物(B)と水溶性高分子(C)の組成物が添着し、かつ、該周期表第13族元素含有化合物(B)が該水溶性高分子(C)膜に取り込まれていることを特徴とする非水系二次電池用炭素材。
- 前記周期表第13族元素含有化合物(B)が、ホウ素及び/又はアルミニウムを含む水溶性化合物であることを特徴とする請求項1に記載の非水系二次電池用炭素材。
- 前記ホウ素及び/又はアルミニウムを含む水溶性化合物が、ホウ酸、メタホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸塩、及びアルミン酸塩から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項2に記載の非水系二次電池用炭素材。
- 前記水溶性高分子(C)が、水溶性増粘多糖類及び/又はアクリル樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系二次電池用炭素材。
- 前記周期表第13族元素含有化合物(B)の添着量が、周期表第13族元素質量換算で前記炭素材(A)に対して、0.001質量%以上10質量%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水系二次電池用炭素材。
- 前記周期表第13族元素(B)の下記式1で表される表面元素量X13/C値が0.05%以上10%以下、且つ前記周期表第13族元素(B)の下記式2で表される表面存在比が2以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水系二次電池用炭素材。
式1
周期表第13族元素の表面元素量X13/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析における周期表第13族元素の最外殻電子軌道のスペクトルのピーク面積に基づいて求めた周期表第13族元素濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度×100
式2
表面存在比=式1で表される周期表第13族元素の表面元素量X13/C値(%)/誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)分析から求めた周期表第13族元素のバルク含有量(質量%) - 非水系二次電池用炭素材のBET比表面積が0.5m2/g以上、8m2/g以下であ
り、且つタップ密度が0.7g/cm3以上1.3g/cm3以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水系二次電池用炭素材。 - 集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備えると共に、該活物質層が、請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水系二次電池用炭素材を含有することを特徴とする、非水系二次電池用負極。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えると共に、該負極が、請求項8に記載の非水系二次電池用負極であることを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
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