JP5061718B2 - 炭素材料粉末およびその製造方法 - Google Patents

炭素材料粉末およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5061718B2
JP5061718B2 JP2007134389A JP2007134389A JP5061718B2 JP 5061718 B2 JP5061718 B2 JP 5061718B2 JP 2007134389 A JP2007134389 A JP 2007134389A JP 2007134389 A JP2007134389 A JP 2007134389A JP 5061718 B2 JP5061718 B2 JP 5061718B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
graphite
carbon material
boron oxide
carbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007134389A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008288153A (ja
Inventor
浩司 山本
徹 藤原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chuo Denki Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Chuo Denki Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chuo Denki Kogyo Co Ltd filed Critical Chuo Denki Kogyo Co Ltd
Priority to JP2007134389A priority Critical patent/JP5061718B2/ja
Publication of JP2008288153A publication Critical patent/JP2008288153A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5061718B2 publication Critical patent/JP5061718B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池などの非水系二次電池の負極材料として好適な炭素材料粉末とその製造方法とに関する。
負極に炭素、正極にリチウム遷移金属酸化物、電解質にリチウム塩を溶解させた非水溶媒を使用した非水系二次電池であるリチウムイオン二次電池は、パソコン、携帯電話などの電子機器の電源として広く利用され、電気自動車への搭載の研究も進んでいる。
リチウムイオン二次電池は、負極材料である炭素材料によって電池性能が左右されるため、高容量の負極を構成できる安価な炭素材料が求められている。また、大型電池向けに、信頼性の高い、すなわち電解液との反応性が低い炭素材料が求められている。
現在のリチウムイオン二次電池では、電池電圧が高くなる黒鉛系の炭素粉末が負極材料として一般に使用されている。高容量化のためには黒鉛化度の高い黒鉛粉末を使用することが有利であり、特に天然黒鉛の粉末は黒鉛化度が非常に高く、安価であるので、高容量で安価な負極材料となりうる。
しかし、負極炭素材料の黒鉛化度が高いと、電解液との反応性が高くなり、不可逆容量が増加する。そのため、正極に余分に正極活物質を詰め込まなければならず、体積が規定されている電池の容量が低下する。また、電解液との反応性が強く関与する電池の保存特性やサイクル特性といった電池の信頼性も低下する。そのため、高価であっても、電解液との反応性が比較的低い人造黒鉛がリチウムイオン二次電池の負極材料として主に使用されてきた。
黒鉛粉末の電解液との反応性を抑制するため、黒鉛粉末の表面を結晶性の低い炭素で被覆することが提案された(例えば、下記特許文献1)。特に反応性の高い黒鉛粉末のエッジ面(六角網面の端面が露出した面)を結晶性の低い炭素で被覆すると、黒鉛粉末の比表面積が低減し、電解液との反応を抑制できる。しかし、被覆に使用した結晶性の低い炭素は、その内部に進入したリチウムイオンの一部は、卑な電位での放電では脱離しないため、結果として不可逆容量の増加を招く。そのため、あまり多くの炭素で被覆することができないので、この手法による不可逆容量の低減にはおのずと限界があった。
従来より、ホウ素を含んだ黒鉛粉末が多く知られている。いずれも、黒鉛化熱処理前の炭素質材料にホウ素化合物を添加した後、高温で熱処理して黒鉛化させる。従って、得られた黒鉛粉末は高価な人造黒鉛である。ホウ素(B)は、黒鉛化を促進する黒鉛化触媒として働き、黒鉛化度を高めて、負極材料の高容量化に寄与する。高温で熱処理するため、添加したBは黒鉛結晶格子内に固溶するか、またはB4CやBNとして存在する。
例えば、下記特許文献2は、ピッチにホウ素化合物を加えた後、高温で熱処理して黒鉛化することにより製造されたリチウムイオン二次電池用黒鉛粉末が開示されている。下記特許文献3は、炭素粉末にホウ素化合物を加え、2500℃以上で黒鉛化することにより製造された炭素粉末が記載されている。
一方、下記特許文献4には、1種以上の黒鉛粒子と1種以上のLi吸蔵粒子とからなる負極材料に関する発明が開示され、Li吸蔵粒子としては、多様な金属、金属酸化物、複合物、金属珪化物などが例示されており、その一つとして酸化ホウ素が挙げられている。黒鉛粒子とLi吸蔵粒子とは単に混合して負極の制作に使用されるが、この手法では充放電効率の向上効果は充分ではない。
下記特許文献5には、電解液にB23を溶解しておくとサイクル特性が改善されることが記載されている。
特開2003−100292号公報 特開2000−149947号公報 特開平08−31422号公報 特開2004−362789号公報 米国特許第5,964,902号明細書
本発明は、リチウムイオン二次電池等の非水系二次電池の負極材料として使用した時に、安価で高容量、かつ不可逆容量が小さく、電解液との反応性が小さな負極材料となる、新規な炭素材料粉末とその製造方法を提供することを課題とする。
黒鉛系炭素材料からなるリチウムイオン二次電池の負極では、不可逆容量は主に表面で電解液が分解することによって生じる。従って、複合材料の比表面積の低減が不可逆容量の低減に効果があると予想される。
本発明者らは、黒鉛粉末に酸化ホウ素を加えて軽く熱処理することにより、黒鉛粉末の比表面積が低減することを見いだした。しかし、この手法では、黒鉛粉末の不可逆容量の低減効果は認められなかった。
これに対し、黒鉛粉末に、酸化ホウ素に加えて、さらに溶融性有機物も添加し、得られた混合物を黒鉛化しない温度で熱処理することにより溶融性有機物を炭化させると、黒鉛粒子に非黒鉛質炭素と酸化ホウ素が付着した材料が得られ、この材料は比表面積低減と同時に、不可逆容量が著しく低減することを見出し、本発明に到達した。
ここに、本発明は、非黒鉛質炭素と酸化ホウ素とが付着した黒鉛粒子からなり、材料中の酸化ホウ素の含有量がB換算で0.1〜1.7wt%である、電池負極用炭素材料粉末である。好適態様において、黒鉛は安価な天然黒鉛である。
本発明に係る上記炭素材料粉末は、黒鉛粉末と溶融性有機物粉末と「酸化ホウ素およびその前駆体」から選ばれた1種または2種以上のホウ素化合物の粉末とを、黒鉛粉末100質量部に対して溶融性有機物粉末を1〜10質量部およびホウ素化合物粉末を0.3〜6質量部(B23換算)の割合で固体混合し、得られた混合物を非酸化性雰囲気下900℃〜1500℃で熱処理することからなる方法により製造することができる。
酸化ホウ素の前駆体とは、熱処理工程における900〜1500℃での加熱中に酸化ホウ素に転化される、室温で固体の、任意のホウ素化合物を意味する。その好ましい例はホウ酸であるが、ホウ酸アンモニウムや一部のホウ酸エステルも使用可能である。溶融性有機物粉末は、好ましくはピッチ粉末である。
本発明はまた、上記炭素材料粉末を用いて作製された非水系二次電池用負極、およびこの負極を備えた非水系二次電池にも関する。非水系二次電池は好ましくはリチウムイオン二次電池であるが、現在開発中のリチウムイオン二次電池以外の非水系二次電池に対しても本発明を適用することができる。
本発明では、黒鉛粉末を原料とし、これにホウ素化合物と溶融性有機物粉末とを加えた後、ホウ素化合物において固溶や炭化・窒化、さらには炭化した有機物の黒鉛化が起こらない比較的低い温度で熱処理を行うことにより、有機物を非黒鉛質炭素に変化させる。従って、本発明の酸化ホウ素を含有する炭素材料粉末は、非晶質炭素材料にホウ素化合物を混合してから、高温で黒鉛化熱処理を行って製造される特許文献2、3に記載の炭素材料粉末とも、あるいは黒鉛粒子と酸化ホウ素等の各種Li吸蔵粒子とを単に混合するだけで、熱処理を全く行わない特許文献4に記載された負極材料とも、根本的に異なり、これらとは明確に区別される。
本発明の炭素材料粉末は、安価な天然黒鉛から、比較的低温での熱処理により製造することができるので、高温で長時間の黒鉛化熱処理を要する人造黒鉛系の炭素材料粉末に比べて安価である。それにもかかわらず、リチウムイオン二次電池の負極材料として使用した時に、高容量を示すのみならず、電解液との反応性が抑制されるため、不可逆容量の著しい低減効果を発揮する。この不可逆容量の低減は、保存特性やサイクル特性などの電池の信頼性の向上にも寄与する。従って、本発明により低コストで高性能のリチウムイオン二次電池の量産が可能となる。
本発明に係る炭素材料粉末の製造方法において原料として使用するのは、非晶質の炭素粉末ではなく、結晶質の黒鉛粉末である。すなわち、すでに黒鉛となっている炭素粉末を原料とする。この黒鉛粉末は、本発明に係る炭素材料粉末においては、基材の黒鉛粒子となる。
黒鉛粉末は、天然黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛のいずれか単独の粉末でよく、または2種以上の黒鉛の混合粉末でもよい。天然黒鉛は、人造黒鉛より安価であるが、リチウムイオン二次電池の負極材料としてはあまり使用されてこなかった。天然黒鉛は黒鉛化度が非常に高いため、電解液との反応性が高く、電解液分解に伴う不可逆容量が大きくなる、あるいは保存特性や安全性などの電池性能が損なわれる、という問題があるためである。しかし、本発明では、電解液との反応性が高いエッジ面が非黒鉛質炭素と酸化ホウ素とで優先的に被覆され、電解液との反応性が抑えられるので、適当な平均粒径と比表面積を有するものであれば、天然黒鉛粉末でも十分に使用できる。それにより、電極の製造コストを低減することが可能となる。比表面積が小さい天然黒鉛粉末としては、粉砕により球形化処理された天然黒鉛粉末がある。
原料黒鉛粉末の平均粒径は10〜30μmの範囲が好ましく、より好ましいのは12〜25μmである。また、この黒鉛粉末の比表面積は、12.5m2/g以下であることが好ましく、より好ましいのは10m2/g以下である。
黒鉛粉末の平均粒径が小さすぎると、これに非黒鉛質炭素が付着した炭素材料の平均粒径も小さくなり過ぎ、黒鉛粉末や炭素材料の取り扱い時に粉末の凝集が起こりやすく、取り扱いが困難となる。例えば、電極作製時に炭素材料の塗工が難しくなる。逆に平均粒度が大き過ぎると、電極表面に凹凸が発生し易くなり、電池短絡の原因になる。
黒鉛粉末の比表面積が大き過ぎると、表面被覆に必要な溶融性有機物の量が多くなりすぎ、充放電効率や体積あたりの容量が低下する。黒鉛粉末の比表面積は、平均粒径に加えて、黒鉛粉末の細孔構造にも依存する。細孔のほとんどはエッジ面に開口しているため、未被覆の原料黒鉛粉末の比表面積は上記のようにかなり大きい。一方、この黒鉛粉末を基材の黒鉛粒子とし、これに非黒鉛質炭素と酸化ホウ素とが付着した本発明に係る炭素材料粉末では、後述するように、エッジ面に開口する細孔のかなりが付着物で封鎖されるため、比表面積は著しく低下する。
原料の黒鉛粉末を、溶融性有機物粉末および「酸化ホウ素およびその前駆体」から選ばれた1種または2種以上の酸化ホウ素供給源となる化合物の粉末と混合する。
溶融性有機物としてはピッチおよびアントラセン、アセナフチレンなどの芳香族化合物や各種樹脂が使用できる。樹脂は、熱可塑性樹脂以外に、重合前に一旦溶融するものであれば熱硬化性樹脂も使用できる。
好ましい溶融性有機物はピッチであり、石油系と石炭系のいずれでもよく、両者の混合物であってもよい。ピッチは安価である上、既に炭素六角網面がかなり形成されている構造を有するので、熱処理時間が短くてすむという利点がある。
溶融性有機物として使用するピッチは、軟化点80〜180℃、平均粒径15〜150μmのものが好ましい。ピッチの軟化点が80℃より低いと、所定粒度のピッチ粉末を得るための粉砕時の熱でピッチが容易に溶融し、粒度のコントロールが難しく、また粉砕後のピッチ粉末の保管も難しい。ピッチの軟化点が180℃より高いと、熱処理工程でのピッチの溶融が不十分で、十分に広がらず、黒鉛粉末の表面への溶融ピッチの付着が極狭い領域のみとなり、周辺の黒鉛粉末への回り込みが十分行われない。また、酸化ホウ素との接触もできなくなる。ピッチの軟化点はより好ましくは80〜120℃の範囲である。
ピッチ粉末が平均粒径15μm未満の微粉であると、粉末が凝集しやすく、造粒粉となって、かえって分散性が悪くなる。ピッチ粉末の平均粒径が150μmより大きいと、原料の黒鉛粉末に対するピッチ粉末の個数が少なくなり、熱処理工程においてピッチ粉末から離れた黒鉛粉末への溶融ピッチの回り込みが十分に行われない。また酸化ホウ素との接触も不十分となる恐れがある。
溶融性有機物、好ましくはピッチ、の混合量は、黒鉛粉末100質量部に対し1〜10質量部、好ましくは2〜8質量部である。この混合量が少な過ぎると、不可逆容量の低減効果が不十分となり、多過ぎると、容量自体が低下する。
酸化ホウ素の供給源としては、酸化ホウ素(B23)および熱処理工程で酸化ホウ素を生ずる酸化ホウ素前駆体から選ばれた1種または2種以上を使用する。酸化ホウ素前駆体としては、熱処理工程で脱水により酸化ホウ素に変化するホウ酸(H3BO3)を使用することが好ましい。
酸化ホウ素供給源となるホウ素化合物の粉末は少なくとも黒鉛粉末よりかなり細かいものが好ましいが、そのような微粉末は凝集しやすいので、混合前に粉砕や解砕することが好ましい。混合前に100メッシュのふるいを通すことが好ましく、200メッシュのふるいを通すことがより好ましい。凝集したまま混合すると、焼成後の粉末が凝集し、歩留まりが悪化したり、新たに粉砕工程が必要となる。
ホウ素化合物粉末の添加量は、黒鉛粉末100質量部に対し、B23換算で0.3〜6質量部とし、かつ熱処理後の酸化ホウ素の含有量がB換算で0.1〜1.7wt%となるように選択する。ホウ素化合物の添加量が少なすぎて、熱処理後の酸化ホウ素の含有量が0.1wt%より低くなると、不可逆容量の低減効果が十分に認められない。逆に多すぎて、熱処理後の酸化ホウ素含有量が1.7wt%より多くなると、充放電に寄与しない物質の量が増えるため、放電容量が低下する。
黒鉛粉末とピッチ(または他の溶融性有機物)粉末とホウ素化合物粉末との混合は、固体混合が可能な任意の方法で実施できる。この混合は、適当な乾式混合装置(ブレンダー、ミキサー等)を用いて実施すればよい。固体混合条件は、上記3成分の均質な混合が可能であれば特に制限されない。
固体混合で得られた粉末混合物を次いで熱処理して、溶融性有機物の粉末(好ましくはピッチ粉末)を溶融させ、次いで炭化させる。こうして、酸化ホウ素と炭化で生じた非黒鉛質炭素とが基材の黒鉛粒子に付着した、本発明の炭素材料粉末が得られる。酸化ホウ素粉末は、それ自体の溶融あるいは溶融性有機物粉末の溶融による結合力によって基材の黒鉛粒子に固着する。
熱処理雰囲気は非酸化性雰囲気、好ましくは不活性雰囲気である。熱処理を酸化性雰囲気で行うと、ピッチと黒鉛粒子のどちらも400℃付近以上で酸化し、燃焼して消失する。不活性雰囲気のガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム等の希ガス、両者の混合ガスのいずれでもよい。
熱処理温度は900℃以上、1500℃以下とする。熱処理温度が900℃より低いと、溶融性有機物(好ましくはピッチ)の炭化が十分に進まず、その結晶化が不十分なために、熱処理後に得られた炭素材料粉末の充放電効率が低下する。熱処理温度が1500℃を超えると、炭素の結晶化が進みすぎて部分的に黒鉛化し、非黒鉛質炭素とはならない。黒鉛粒子に付着する炭素が黒鉛化すると、不可逆容量の低減効果が得られなくなる。熱処理温度は好ましくは900℃〜1100℃である。熱処理温度が1100℃を超えると、設備的に高価な装置が必要となり、安価に製造することが難しくなる。熱処理時間は、溶融性有機物が十分に炭化するように設定すればよく、熱処理温度によっても異なるが、通常は数分から数百時間の間の範囲である。
熱処理後に材料が冷却してから、得られた炭素材料粉末を回収する。場合によっては、熱処理中に溶融した溶融性有機物により黒鉛粉末同士が合着することがあるが、結合力は弱いので、軽く解砕することにより、ほぐすことができ、原料の黒鉛粉末の平均粒径とほぼ同じ平均粒径を有する炭素材料粉末を得ることができる。従って、製造された炭素材料粉末の平均粒径は10〜30μm、より好ましくは12〜25μmである。
一方、熱処理後に得られた炭素材料粉末の比表面積は、原料の黒鉛粉末の比表面積に比べて著しく低減し、好ましくは1.0〜5.0m2/g、より好ましくは1.0〜4.0m2/gである。これは、熱処理中に溶融した酸化ホウ素と溶融したピッチが、原料黒鉛粉末の細孔が主に開いている面であるエッジ面に優先的に付着するためである。エッジ面はベーサル面(炭素六角網に平行な面)に比べて凹凸が大きく、溶融物で濡れ易い。そのため、熱処理により得られた炭素材料粉末では、非黒鉛質の炭素と酸化ホウ素が基材黒鉛粒子の主にエッジ面に付着し、エッジ面に開口していた細孔がこれらの物質で塞がれる結果、比表面積が著しく低減する。基材黒鉛粒子の細孔が炭素と酸化ホウ素で塞がれても、Liイオンは炭素の結晶構造内には侵入でき、そこから基材黒鉛粒子の細孔内に入りこめるので、容量の著しい低下は起こらない。
本発明に係る炭素材料粉末は、酸化ホウ素をB換算で0.1〜1.7wt%の量で含有する。酸化ホウ素の定量は、例えば、後述する実施例に記載の方法で行うことができるが、別の方法を採用してもよい。酸化ホウ素の含有量は、当然ながら、混合工程における酸化ホウ素供給源化合物の添加量に依存する。
この炭素材料粉末中に酸化ホウ素が存在することはX線回折によって確認できる。d=0.321nmの位置、即ち、Cuターゲットを用いた場合には2θ=27.8°付近に、B23に帰属される回折ピークを確認できる。
本発明の炭素材料粉末を負極材料として用いた非水系二次電池の負極の製造や二次電池の作成は、従来公知のように実施すればよい。以下に、この点についても簡単に説明するが、この説明は例示にすぎず、他の方法や構成も可能である。
負極材料の炭素材料粉末に適当な結着剤とその溶媒を混合し、必要に応じて導電性向上のために適当な導電剤を混合して、塗工用のスラリーを形成する。混合は、必要であれば、ホモジナイザーあるいはガラスビーズを用いて行うことができる。このスラリーを適当な集電体(圧延銅箔、銅電析銅箔など)にドクターブレード法等を用いて塗工し、乾燥した後、ロール圧延等で圧密化させると、負極用の電極が製造される。
結着剤としてはポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系高分子、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の樹脂系高分子、スチレンーブタジエンゴム(SBR)等のゴム状高分子などの1種または2種以上を使用することができる。結着剤の溶媒はN−メチルピロリドン、水などでよい。必要に応じて使用しうる導電剤は、炭素材料、金属(Ni等)でよく、このときの炭素材料には人造黒鉛、天然黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック等が包含され、粉末だけでなく繊維状のものを用いても良い。
電池は、その基本構造として、負極、正極、セパレーター、非水系電解液を含んでいる。本発明にあっても、そのような構成に特に制限はされず、また、電池の形状も特に制限されず、円筒型、角形、コイン型、シート型等何れでも良い。但し、電解液は前述したようにプロピレンカーボネート(PC)を含有しないものが好ましく、例えば、エチレンカーボネート(EC)やエチルメチルカーボネート(EMC)などのアルキルカーボネートから選ばれた1種または2種以上を使用できる。
(実施例1)
平均粒径20μm、比表面積5.4m2/gの球形化処理された天然黒鉛粉末100質量部、平均粒度50μm、軟化点85℃の石油系ピッチ粉末5質量部、および酸化ホウ素粉末(和光純薬製試薬1級、乳鉢粉砕し、200メッシュのふるいを通過させたもの)5質量部を、Vブレンダーを用いて固体混合した。
得られた混合粉末を黒鉛るつぼに入れ、窒素気流下、1000℃で1時間熱処理した。熱処理で得られた粉末をふるい目75μmのふるいで分級して、本発明に係る炭素材料粉末を得た。熱処理によりピッチは溶融した後、炭化されたので、生成物は微細な酸化ホウ素と非黒鉛質炭素が基材の黒鉛粒子に付着したものとなった。
熱処理により得られた炭素材料粉末の比表面積(BET法による窒素吸着により測定)は1.6m2/gであった。
この炭素材料粉末のB含有量を、粉末試料に炭酸カルシウムを加え、酸素気流中800℃で灰化した後、この灰に炭酸ナトリウムを加え、バーナーで加熱して溶融させ、溶融物を水に溶解し、水溶液をICP発光分光分析法により定量分析することにより測定した。B含有量は1.3wt%であった。得られた粉末のX線回折図を図1に示す。酸化ホウ素(B23)に帰属される回折ピークが確認される。
(実施例2)
混合工程における酸化ホウ素粉末の添加量を0.7質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、炭素材料粉末を製造した。この粉末のB含有量は0.2wt%、比表面積は2.3m2/gであった。
(比較例1)
酸化ホウ素を加えなかった以外は実施例1と同様にして炭素材料粉末を製造した。この粉末の比表面積は2.4m2/gであった。
(比較例2)
ピッチを加えなかった以外は実施例1と同様にして炭素材料粉末を製造した。この粉末のB含有量は1.3wt%、比表面積は2.2m2/gであった。
(比較例3)
混合工程における酸化ホウ素粉末の添加量を7質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、炭素材料粉末を製造した。この粉末のB含有量は2.0wt%、比表面積は1.3m2/gであった。
以上の実施例および比較例で得られた炭素材料粉末の電極性能を次のようにして調査した。
炭素材料粉末に結着剤としてCMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)粉末を混合した後、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)を水に分散させた液を加え、攪拌してスラリーを得た。配合比は炭素:CMC:SBR=97:1:2(質量比)とした。このスラリーを厚み17μmの圧延銅箔上にドクターブレード法により塗布し(塗布量は10mg/cm2)、加熱乾燥後、直径13mmに打ち抜き、プレス成形機にて加圧して電極を作製した。
電極密度1.7g/cm3の電極を100℃で真空乾燥したものを用いて、次の試験を実施した。
ポリオレフィン製セパレーターを用い、その両側に上記電極と対極のLi金属箔とを配置し、電解液にはエチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)=1:3(体積比)の混合溶媒に支持電解質LiPF6を1M濃度で溶解した非水溶液を用いて、コイン型の非水試験セルを作製した。
この試験セルを、25mA/gの電流値で、対極に対して電位差0(ゼロ)Vになるまで定電流でドープし(充電に相当)、さらに0Vを保持したまま、5μA/cm2になるまで定電圧でドープを続けた。この時点までのドープ容量を充電容量とした。次に、25mA/gの定電流で、電位差1.5Vになるまで脱ドープを行って(放電に相当)、脱ドープ容量を測定した。この時の脱ドープ容量は、二次電池の負極として用いた時の放電容量に相当するのでこれを放電容量とした。充電容量から放電容量を差し引いた値を不可逆容量とした。結果を、粉末のB含有量、比表面積と一緒に表1に示す
Figure 0005061718
表1からわかるように、原料の黒鉛粉末は、放電容量は高いが不可逆容量も大きく、また比表面積が高いことから、保存特性やサイクル特性も不十分である。従来技術にも開示されているように、ピッチだけを黒鉛粉末に混合して熱処理した比較例1では、比表面積は原料黒鉛粉末に比べて半分以下に低減し、放電容量も良好であったが、不可逆容量は高いままであり、不可逆容量の抑制効果は不十分であった。一方、酸化ホウ素だけを黒鉛粉末に混合して熱処理した比較例2では、比表面積はさらに低下したが、放電容量が低下し、不可逆容量も高いままであった。
これに対し、本発明に従って、黒鉛粉末にピッチと酸化ホウ素とを混合して熱処理した実施例1、2では、比表面積が低下したにもかかわらず、放電容量の低下は抑えられ、不可逆容量は著しく低減した。しかし、酸化ホウ素の添加量が多過ぎた比較例3では、放電容量の低下が著しくなった。
実施例1で製造された本発明に係る炭素材料粉末のX線回折図。

Claims (9)

  1. 非黒鉛質炭素と酸化ホウ素とが付着した黒鉛粒子からなり、材料中の酸化ホウ素の含有量がB換算で0.1〜1.7wt%である、電池負極用炭素材料粉末。
  2. 黒鉛が天然黒鉛である、請求項1記載の炭素材料粉末。
  3. 比表面積が1.0〜5.0m2/gである、請求項1または2記載の炭素材料粉末。
  4. 黒鉛粉末と溶融性有機物粉末と「酸化ホウ素およびその前駆体」から選ばれた1種または2種以上のホウ素化合物の粉末とを、黒鉛粉末100質量部に対して溶融性有機物粉末を1〜10質量部およびホウ素化合物の粉末を0.3〜6質量部(B23換算)の割合で固体混合し、得られた混合物を非酸化性雰囲気下900℃〜1500℃で熱処理することからなる、請求項1または2記載の炭素材料粉末の製造方法。
  5. 黒鉛粉末が平均粒径10〜30μm、比表面積12.5m2/g以下のものである、請求項4記載の方法。
  6. 黒鉛が天然黒鉛である、請求項5記載の方法。
  7. 溶融性有機物粉末がピッチ粉末である、請求項4〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載の炭素材料粉末を用いて作製された非水系二次電池用負極。
  9. 請求項8記載の負極を備えた、非水系二次電池。
JP2007134389A 2007-05-21 2007-05-21 炭素材料粉末およびその製造方法 Expired - Fee Related JP5061718B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007134389A JP5061718B2 (ja) 2007-05-21 2007-05-21 炭素材料粉末およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007134389A JP5061718B2 (ja) 2007-05-21 2007-05-21 炭素材料粉末およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008288153A JP2008288153A (ja) 2008-11-27
JP5061718B2 true JP5061718B2 (ja) 2012-10-31

Family

ID=40147664

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007134389A Expired - Fee Related JP5061718B2 (ja) 2007-05-21 2007-05-21 炭素材料粉末およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5061718B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5636786B2 (ja) * 2010-07-26 2014-12-10 日立化成株式会社 リチウム二次電池用負極材、これを用いたリチウム二次電池用負極、及びリチウム二次電池。
JP5845769B2 (ja) * 2010-09-27 2016-01-20 三菱化学株式会社 非水系二次電池用炭素材、負極材及び非水系二次電池
JP5712538B2 (ja) * 2010-09-27 2015-05-07 三菱化学株式会社 非水電解液二次電池
CN103441251B (zh) * 2013-08-22 2017-12-05 大连宏光锂业股份有限公司 复合包覆锂离子电池炭负极材料的生产方法
KR20220047023A (ko) * 2020-10-08 2022-04-15 에스케이온 주식회사 리튬 이차 전지용 음극 활물질 및 이의 제조 방법
JP7225279B2 (ja) * 2021-02-01 2023-02-20 プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社 被覆黒鉛系負極活物質
CN113764644B (zh) * 2021-09-15 2022-07-22 河北坤天新能源股份有限公司 一种快充复合石墨材料及其制备方法
CN114735690B (zh) * 2022-04-19 2022-10-28 湖南铂威新能源科技有限公司 一种锂离子电池用人造石墨复合负极材料的制备方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002087807A (ja) * 2000-09-11 2002-03-27 Hitachi Maxell Ltd 複層黒鉛、その製造方法およびそれを用いた非水電解質二次電池
JP2003100292A (ja) * 2001-09-21 2003-04-04 Osaka Gas Chem Kk 負極用炭素材料及びその製造方法、並びにこれを用いたリチウムイオン二次電池
JP5078047B2 (ja) * 2001-09-25 2012-11-21 昭和電工株式会社 炭素材料及びその製造方法並びにその用途
EP1683219B1 (en) * 2003-10-31 2015-12-23 Showa Denko K.K. Carbon material for battery electrode and production method and use thereof
KR100958651B1 (ko) * 2004-01-17 2010-05-20 삼성에스디아이 주식회사 리튬이차전지용 애노드 및 이를 이용한 리튬이차전지

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008288153A (ja) 2008-11-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4840449B2 (ja) 炭素材料およびその製造方法
JP4252846B2 (ja) リチウム二次電池
KR100567113B1 (ko) 리튬이차전지
JP5369708B2 (ja) 二次電池用負極材料およびその製造方法
JP3466576B2 (ja) リチウム二次電池負極用複合材料及びリチウム二次電池
JP6126902B2 (ja) 複合黒鉛粒子およびその用途
JP4064351B2 (ja) リチウムイオン二次電池用負極材
JP5061718B2 (ja) 炭素材料粉末およびその製造方法
JP4802595B2 (ja) 非水系二次電池用負極材料に適した炭素粉末
JP6511726B2 (ja) リチウムイオン二次電池用負極材料、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池
WO2018179813A1 (ja) リチウムイオン二次電池用負極活物質、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池
JP2008282547A (ja) リチウムイオン二次電池用負極材とその製造方法
WO2018110263A1 (ja) 複合黒鉛粒子、その製造方法及びその用途
JP5386802B2 (ja) 黒鉛質粉末とその製造方法
US20130059201A1 (en) Negative-electrode active substance for electricity storage device, and negative electrode material for electricity storage device and negative electrode for electricity storage device which use the same
KR102176590B1 (ko) 리튬 이차전지용 음극 활물질의 제조방법 및 리튬 이차전지
JP2019175851A (ja) リチウムイオン二次電池用負極活物質及びその製造方法
JP2004196609A (ja) 複合黒鉛質粒子の製造方法、複合黒鉛質粒子、リチウムイオン二次電池負極材及びリチウムイオン二次電池
JP6961981B2 (ja) リチウム二次電池用複合活物質およびその製造方法
JPH10294111A (ja) リチウム二次電池負極材用黒鉛を被覆した黒鉛質炭素材とその製法
JP2000003708A (ja) 被覆炭素材料、その製造方法、ならびにそれを用いたリチウム二次電池
JP5196365B2 (ja) リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末及びその製造方法並びにリチウムイオン二次電池負極材
JP2003176115A (ja) 黒鉛粉末の製造方法、黒鉛粉末およびリチウムイオン二次電池
JP2004059386A (ja) 炭素被覆黒鉛質粒子の製造方法、炭素被覆黒鉛質粒子、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池
JP4604599B2 (ja) 炭素粉末とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090624

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20100528

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120326

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120403

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120525

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120710

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120723

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150817

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees