JP5196365B2 - リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末及びその製造方法並びにリチウムイオン二次電池負極材 - Google Patents

リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末及びその製造方法並びにリチウムイオン二次電池負極材 Download PDF

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Description

本発明は、充放電レート特性が優れたリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末及びその製造方法に関する。
非水電解質二次電池としてリチウム塩の有機電解液を用いたリチウム二次電池は軽量でエネルギー密度が高く、小型電子機器の電源あるいは電力貯蔵用の電池等として期待されており、リチウムイオン二次電池が主として使用されている携帯電話やノート型パソコンなどの性能向上に伴い急速充放電に対する要求はより高度化し、ハイブリッドカーや電気自動車用のリチウムイオン二次電池では出力特性向上が重要な課題となっている。
当初、リチウム二次電池の負極材としては金属リチウムが用いられていたが、金属リチウムは放電時にリチウムイオンとして電解液中に溶出し、充電時にはリチウムイオンは金属リチウムとして負極表面に析出する際に、平滑で元の状態に析出させることが難しく、デンドライト状に析出し易い。このデンドライトは活性が極めて強いため電解液を分解するので電池性能が低下し、充放電のサイクル寿命が短くなる欠点がある。更に、デンドライトが成長して正極に達して、両極が短絡する危険もある。
この欠点を改善するために、金属リチウムに代えて炭素材を用いることが提案されてきた。炭素材はリチウムイオンの吸蔵、放出に際しデンドライト状に析出する問題がないため負極材として好適である。すなわち、炭素材はリチウムイオンの吸蔵・放出性が高く、速やかに吸蔵・放出反応が行われるために充放電の効率が高く、理論容量も372mAh/gであり、更に、充放電時の電位も金属リチウムとほぼ等しく、高電圧の電池が得られる等の利点がある。
しかしながら、黒鉛化度が高く、六角網面構造が高度に発達している黒鉛材の場合、電解液との反応が起こり易く、電池性能が損なわれて、例えば充放電を繰り返すと電池容量が低下する等の難点がある。
また、黒鉛材はリチウムイオン挿入反応の過電圧が大きいため充電レート特性に優れず、繰り返し大電流充放電を行うことで、電池反応とは無関係な電解液の分解反応が頻繁に生じ、リチウム金属のデンドライト析出が発生するという問題がある。
上記問題を解決するために、黒鉛材のエッジ面に結晶化度が低い炭素質物(カーボンブラック、炭素前駆体の低温焼成炭化物)で被覆した複層構造の炭素材とすることも提案されている。例えば、表面にカーボンブラックが固着した、X線回折によるd(002)面間隔が0.34nm以下である炭素粉末を含有することを特徴とする負極材料が開示されている(特許文献1参照)。単に焼成炭化物とカーボンブラック単体を混合し、黒鉛化処理するのみでカーボンブラックが表面に固着するとは考えにくい。また、カーボンブラック添加量が少なく、加算効果による改善効果は見出せない。
また、親水化された黒鉛質粒子に、平均粒子径が100nm超、1μm以下の炭素質および/または黒鉛質の粒子が付着していることを特徴とするリチウムイオン二次電池負極材料が開示されている(特許文献2参照)。しかしながら、弱い結合力で黒鉛質粒子に結合したカーボンブラックがスラリー調整工程、および電極シート圧延後に、黒鉛粒子に結合したままの状態でいるとは考えにくい。また、黒鉛質粒子表面に単にカーボンブラックを分散させた構造では導電性は向上できても、リチウムイオン挿入反応は黒鉛質粒子表面で進行するため、ある程度の改善効果は見出せても、黒鉛質骨格構造を有する限り充電レート特性に適しない。
このような問題点を解決するため、炭素前駆体を低温度で焼成し炭化した炭素材(ピッチ、コークス、有機高分子体、樹脂など)、または低温度の液相、気相反応により発生する低結晶性の炭素材(カーボンブラックなど)をリチウムイオン二次電池負極材として使用する試みが行われている。しかしながら、低結晶性の炭素材は初回充放電に伴う反応ロスが大きく、また電池負極シートとして使用する際の充填性に優れないという問題がある。一例として、本出願人らは、特許第3259930ではカーボンブブラック単独でリチウムイオン二次電池負極材としているが、カーボンブラックは凝集力が強く、負極電極用スラリー作製時における分散が良くない。また、タップ密度が小さいため極板密度を上げられず、比表面積が大きいため初回充放電時に大きな反応ロスを生じてしまうため、負極材としては好ましくない。
前記の問題を解決するため、本出願人らは、DBP吸油量100ml/100g以上のカーボンブラック100重量部に炭化残留率40%以上の熱硬化性樹脂5〜120重量部を混合した分散溶液を調整し、該分散液をスプレードライ法により粒径5〜50μmの微粒子に造粒成形したのち、非酸化性雰囲気中で700〜1,200℃の温度により焼成炭化してカーボンブラックが分散する樹脂炭の球状粒子を形成し、得られた球状微粒子をフッ素系結着剤に混合することを特徴とするリチウム二次電池用負極材の製造方法が開示されている(特許文献4参照)。しかしながら、上記手法では焼成温度が低く、初回反応ロスが大きい問題がある。また、熱硬化性樹脂の炭化成分は、ガラス状炭素質であるため、リチウムイオンを吸蔵・放出を繰り返すたびに粒子の膨張収縮により粒子が破壊されて微粉化するため充電容量が低下する傾向、即ち、サイクル特性に優れないという問題がある。
特許文献5には、コールタールピッチ、石油ピッチ、縮合多環芳香族炭化水素化合物の重縮合で得られる有機合成ピッチ、またはヘテロ原子含有縮合多環芳香族炭化水素化合物の重縮合で得られる有機合成ピッチを溶融し、この溶融物にカーボンブラックを分散した後、不活性雰囲気下で600℃〜1000℃で炭化して得た炭素質物質を用いて負極を作製する非水電解液二次電池用負極の製造法が開示されている。しかし、カーボンブラックのピッチに対する添加量が5重量部を上回ると、見掛け密度が低下する問題があった。カーボンブラックを多く含む粒子にすることが困難であった。
また、本出願人は、カーボンブラックが優れたレート特性を有するため特許文献6において、
1.黒鉛粉末粒子とカーボンブラックおよびピッチ炭化物との複合粒子からなり、複合粒子の平均粒子径D50が8〜15μm、比表面積が15m/g以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材。
2.平均粒子径D50が3〜10μm、その標準偏差値が0.2μm以下の黒鉛粉末粒子とカーボンブラックを、1:1.5〜3.0の重量比に混合した混合粉末100重量部に対して、フリーカーボンを除去したピッチまたはキノリン不溶分が1%未満のピッチを30〜120重量部の割合で混合・混練した後、非酸化性雰囲気中1000℃以上の温度で焼成炭化、あるいは更に黒鉛化することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法。
3.黒鉛粉末粒子がc軸方向の結晶子の大きさLc(004)が100nm以上、(002)面面間隔d(002)が0.336nm未満の結晶性状を具備することを特徴とする請求項2記載のリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法。
4.カーボンブラックの算術平均粒子径が50〜200nm、DBP吸収量が40〜155ml/100gであることを特徴とする請求項2または3記載のリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法。
を提案している。
ところが、カーボンブラックだけをピッチと混合して焼成炭化したものを負極材として用いたものである提案の特許文献4、5の不具合を改善するにはいたっていない。
特開2003−346804号公報(特許請求の範囲) 特開2005−243447号公報(特許請求の範囲) 特許第3259930号公報(特許請求の範囲) 特開平8−315821号公報(特許請求の範囲) 特開平9−147839号公報(特許請求の範囲) WO2007/086603A1(特許請求の範囲)
本発明は、リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末とその製造方法における上記従来の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、高い可逆容量と小さい初回充放電ロスにて表わされる優れた充放電効率特性、充放電レート特性及びサイクル特性を備えたリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末とその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、算術平均粒子径が小さく活性反応面積の大きい炭素質微粒子を造粒した後、機械的エネルギーを加えて整粒して、粒度分布をシャープに調整することで、熱処理後の炭素粒子粉末のBET比表面積を小さく抑えることが可能となり、上記にある従来の問題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明(1)は、炭化水素を気相熱分解して得られる算術平均粒子径が1.0μm以下、BET比表面積が150m/g以下、DBPが吸収量250cm/100g以下の炭素質微粒子粉末が、ピッチの炭化物にて結合されている炭素粒子粉末であり、
体積基準メディアン径が5〜25μm、
BET比表面積が3〜20m/g、
黒鉛結晶子の(002)面の面間隔d(002)が0.3500nm以上、
タップ密度が1.01〜1.12g/ml
であることを特徴とするリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末を提供するものである。
また、本発明(2)は、前記炭素質微粒子粉末が、サーマルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック若しくはケッチェンブラック、又はこれらの2種以上の混合物であることを特徴とする本発明(1)のリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末を提供するものである。
また、本発明(3)は、炭化水素を気相熱分解して得られる算術平均粒子径が1.0μm以下、BET比表面積が150m/g以下、DBP吸収量が250cm/100g以下の炭素質微粒子粉末と、
軟化点が70℃〜250℃のピッチと、
空気中で400℃に加熱した時の揮発分が50%以上であって、不活性雰囲気中で800℃に加熱した時の残炭率が3%以下である溶融性有機物と、
を加熱混練して、該炭素質微粒子の表面に該ピッチと該溶融性有機物からなる膜を被覆し、且つ造粒し、粗粒造粒粒子粉末を得る第一工程と、
該粗粒造粒粒子粉末同士を摩擦及び圧縮して、体積基準メディアン径5〜25μm、焼成後のタップ密度が1.01〜1.12g/mlになるように整粒し、整粒造粒粒子粉末を得る第二工程と、
該整粒造粒粒子粉末を、非酸化性雰囲気下、1,000〜2,000℃で焼成炭化して、リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末を得る第三工程と、
を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末の製造方法を提供するものである。
また、本発明(4)は、前記炭素質微粒子粉末が、サーマルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック若しくはケッチェンブラック、又はこれらの2種以上の混合物であることを特徴とする本発明(3)のリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末の製造方法を提供するものである。
また、本発明(5)は、リチウムイオン二次電池負極材のリチウムイオン担持体が、高結晶性黒鉛粉末と、請求項1記載のリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末との混合粉体であり、該混合粉体中の請求項1記載のリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末の混合割合が、該高結晶性黒鉛粉末100重量部に対して10重量部以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池負極材を提供するものである。
本発明によれば、高い可逆容量と小さい初回充放電ロスにて表わされる優れた充放電効率特性、充放電レート特性及びサイクル特性を備えたリチウムイオン二次電池用負極材用炭素粒子粉末とその製造方法を提供することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末(以下、本発明の炭素粒子粉末とも記載する。)は、
炭化水素を気相熱分解して得られる算術平均粒子径が1.0μm以下、BET比表面積が150m/g以下、DBP吸収量が250cm/100g以下の炭素質微粒子粉末が、ピッチの炭化物にて結合されている炭素粒子粉末であり、
体積基準メディアン径が5〜25μm、
BET比表面積が3〜20m/g、
黒鉛結晶子の(002)面の面間隔d(002)が0.3500nm以上、
であるリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末である。
本発明の炭素粒子粉末は、リチウムイオン二次電池負極材用であり、リチウムイオン二次電池の負極材の原料となる炭素粒子粉末である。
そして、本発明の炭素粒子粉末は、一次粒子である該炭素質微粒子粉末が凝集して、ピッチの炭化物にて結合されている二次粒子である。なお、本発明では、該ピッチの炭化物にて結合されている一次粒子を、「炭素質微粒子」と記載し、また、該炭素質微粒子が凝集した二次粒子を、「炭素粒子」と記載して、両者を区別する。
本発明の炭素粒子粉末に係る該炭素質微粒子粉末は、炭化水素を気相熱分解して得られる炭素質の微粒子である。
該炭素質微粒子粉末の算術平均粒子径は、1.0μm以下、好ましくは0.05〜0.3μm、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。該炭素質微粒子粉末の算術平均粒子径が、上記範囲より大きくなると、リチウムイオンの粒内拡散距離が長くなり、充放電レート特性の低下を招く。なお、本発明において、該算術平均粒子径は、電子顕微鏡により測定した値で、観察視野に存在する粒子の粒子径を個々に測定し、平均した値である。
該炭素質微粒子粉末のBET比表面積は、150m/g以下、好ましくは10〜100m/g、特に好ましくは10〜30m/gである。該炭素質微粒子粉末のBET比表面積が、上記範囲より大きくなると、最終粉体のBET比表面積を所定値に調整することが困難となり、初回充放電効率が低下する不具合が生じる。なお、本発明において、該BET比表面積は、Nガスを用いた窒素吸着BET10点法により算出した窒素吸着比表面積であり、表面積計(島津製全自動表面積測定装置)を用い、測定対象に対して窒素流通下350℃で30分間、予備乾燥を行った後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET10点法によって測定した値である。
該炭素質微粒子粉末のDBP吸収量は、250cm/100g以下、好ましくは20〜100cm/100g以下、特に好ましくは20〜60cm/100g以下である。該炭素質微粒子粉末のDBP吸収量が、上記範囲より多くなると、造粒した際に造粒粒子内部に空隙が多く残存するため、タップ密度が減少する不具合が生じる。なお、該DBP吸収量は、JIS K−6221「ゴム用カーボンブラックの試験方法」6.1.1項で規定されている吸油量A法(機械法)により測定された値である。
該炭素質微粒子としては、炭化水素を気相熱分解して得られるものであれば、特に制限されないが、サーマルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック又はケッチェンブラック、あるいは、これらの2種以上の混合物が挙げられる。
本発明の炭素粒子粉末では、該炭素質微粒子が、該ピッチの炭化物にて結合されているが、本発明の炭素粒子粉末に係るピッチとしては、特に制限されず、コールタールピッチ、石油ピッチ、縮合多環芳香族炭化水素化合物の重縮合で得られる有機合成ピッチ、ヘテロ原子含有縮合多環芳香族炭化水素化合物の重縮合で得られる有機合成ピッチ等が挙げられる。
該ピッチの軟化点は、環球法で測定された軟化点が70〜250℃、好ましくは70〜150℃、特に好ましくは70〜90℃である。該ピッチの軟化点が、上記範囲未満だと、後述する本発明の炭素粒子粉末の製造方法に係る第二工程において、ピッチ溶融分が装置内壁に付着してしまい、連続運転ができなくなるという不具合が生じ、また、上記範囲を超えると、ピッチの溶融粘度が高くなり過ぎて分散性が悪くなり、後述する該第二工程において、整粒が困難となる。また、軟化点の異なるピッチ同士を二種以上混合することにより、軟化点を上記範囲に調整したピッチを用いてもよい。また、該ピッチとしては、負極材としての初回充放電ロスが低くなる点で、濾過などの方法によりフリーカーボンを除去したピッチ又はキノリン不溶分の含有率が1%未満であるピッチが好ましい。
本発明の炭素粒子粉末の体積基準メディアン径は、5〜25μm、好ましくは10〜25μm、特に好ましくは10〜20μmである。本発明の炭素粒子粉末の体積基準メディアン径が、上記範囲未満だと、電極を作成する際のスラリー調整時における液中への分散が悪く、また、比表面積が大きくなるため好ましくなく、また、上記範囲を超えると、リチウムイオン二次電池として電流放電する際、リチウムイオンの粒内拡散距離が長くなり、充放電レート特性の低下を招くため好ましくなく、また、活物質層塗工時における膜厚が制限され、より出力特性に優れる電極構造を設計する際、薄く均一な活物質層を塗工することが困難となる。なお、該体積基準メディアン径は、レーザー回折法により測定した体積積算粒度で50%の粒径(μm)であり、島津製作所製SALD2000にて測定した値である。
本発明の炭素粒子粉末のBET比表面積は、3.0〜20.0m/g、好ましくは3.0〜10.0m/gであり、特に好ましくは3.0〜5.0m/gである。本発明の炭素粒子粉末のBET比表面積が、上記範囲未満だと、リチウムイオンの脱挿入に要する反応面積が小さいため充放電レート特性を維持できず、また、上記範囲を超えると、反応面積が大きく、初回充放電時に大きなロスを生じてしまうため好ましくない。
本発明の炭素粒子粉末のX線回折法により得られる黒鉛結晶子の(002)面の面間隔d(002)は、0.3500nm以上、好ましくは0.3600〜0.3700nm、特に好ましくは0.3650〜0.3700nmである。本発明の炭素粒子粉末のX線回折法により得られる黒鉛結晶子の(002)面の面間隔d(002)が、上記範囲未満だと、黒鉛結晶子の発達による構造変化に伴い、充放電レート特性が劣化するため好ましくない。なお、炭素粒子内部の結晶性はX線回折法により得られる黒鉛結晶子の(002)面の面間隔d(002)面で議論するのが妥当である。また、本発明において、該黒鉛結晶子の(002)面の面間隔d(002)は、CuKα線をX線源、標準物質に高純度シリコンを使用し、(002)面の回折パターンのピーク位置、半値幅から学振法に基づき算出した値である。
本発明の炭素粒子粉末のタップ密度は、1.0g/ml以上が好ましい。タップ密度が大きい程、単位体積中に多くの粉末を充填することができるため、単位体積当たりの電池容量が高くなる。そのため、タップ密度は大きければ大きい程好ましい。なお、本発明において、該タップ密度は、25ccメスシリンダーに粉末5gを投入し、ギャップ10mmにて1000回タッピングを繰り返した後の見かけ体積の値と、メスシリンダーに投入した粉末の質量から、下記式により算出される値である。
タップ密度(g/ml)=メスシリンダーに投入した粉末の質量(g)/1000回タッピングを繰り返した後の見かけ体積の値(ml)
本発明の炭素粒子粉末は、本発明のリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末の製造方法により、好適に製造される。
本発明のリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末の製造方法(以下、本発明の炭素粒子粉末の製造方法とも記載する。)は、
炭化水素を気相熱分解して得られる算術平均粒子径が1.0μm以下、BET比表面積が150m/g以下、DBP吸収量が250cm/100g以下の炭素質微粒子粉末と、
軟化点が70℃〜250℃のピッチと、
空気中で400℃に加熱した時の揮発分が50%以上であって、不活性雰囲気中で800℃に加熱した時の残炭率が3%以下である溶融性有機物と、
を加熱混練して、該炭素質微粒子の表面に該ピッチと該溶融性有機物からなる膜を被覆し、且つ造粒し、粗粒造粒粒子粉末を得る第一工程と、
該粗粒造粒粒子粉末同士を摩擦及び圧縮して、体積基準メディアン径を5〜25μmに整粒し、整粒造粒粒子粉末を得る第二工程と、
該整粒造粒粒子粉末を、非酸化性雰囲気下、1,000〜2,000℃で焼成炭化して、リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末を得る第三工程と、
を有するリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末の製造方法である。
本発明の炭素粒子粉末の製造方法に係る該第一工程は、該炭素質微粒子粉末と、該ピッチと、該溶融性有機物と、を加熱混練して、該炭素質微粒子の表面に該ピッチと該溶融性有機物からなる膜を被覆し、且つ造粒し、該粗粒造粒粒子粉末を得る工程である。
該第一工程に係る該炭素質微粒子粉末は、前記本発明の炭素粒子粉末に係る該炭素質微粒子粉末と同様である。また、該第一工程に係る該ピッチは、前記本発明の炭素粒子粉末に係る該ピッチと同様である。
該第一工程に係る該溶融性有機物は、該第一工程で加熱混練する際の加熱温度での動粘度が140mm/s以下の有機物を指し、該溶融性有機物としては、合成油、天然油、ステアリン酸、合成ワックス、天然ワックス等が挙げられる。そして、該溶融性有機物は、空気中400℃に加熱した時の揮発分が50%以上であって、且つ、不活性雰囲気中800℃に加熱した時の残炭率が3%以下である。該第一工程において、該炭素質微粒子粉末と該ピッチを加熱混合する際に、該ピッチが低粘度の溶融状態になる必要があるので、該ピッチの粘度を低下させるために該溶融性有機物が用いられる。そのため、該溶融性有機物は、分子量が小さい方が好ましく、加熱混練中に過度の造粒粒子の粉砕が生じるのを防ぐものが好ましい。また、該溶融性有機物は、該第二工程において、潤滑剤としても作用し、造粒粉末が微粉化するのを防ぐ効果がある。また、該溶融性有機物は、生産面を考慮すると、装置の金属磨耗を抑える効果、装置内部へのピッチの付着を抑える効果も有する。また、該第三工程において、該整粒造粒粒子粉末を焼成する際に、該整粒造粒粒子粉末中に含まれる該溶融性有機物が揮散する際のガス圧によって、該整粒造粒粒子粉末の周辺の酸素を追い出す効果、あるいは、該溶融性有機物と酸素が反応して酸素濃度を低下させるという効果もある。そのため、該溶融性有機物は、空気中400℃に加熱した時に50%以上が揮発する有機物であり、揮発分が50%より少ないと該整粒造粒粒子粉末の周辺の酸素濃度が十分に低下せず、該ピッチ由来の炭素の結晶性が低下することになり、可逆容量も低下することになる。また、該溶融性有機物中の残炭分は、可逆容量を低下させることになるので、できるだけ残炭率が低いことが望ましいため、該溶融性有機物は、不活性雰囲気中で800℃まで加熱した時の残炭率が3%以下である。なお、該不活性雰囲気とは、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気を指す。
該第一工程において加熱混練する際の該ピッチの配合量は、該炭素質微粒子粉末100重量部に対して20〜80重量部とするのが好ましく、25〜60重量部とするのが特に好ましく、30〜50重量部とするのが更に好ましい。該ピッチの配合量が、上記範囲未満だと、炭素質微粒子の表面をピッチで均一に被覆することが難しく、また、造粒がうまく進行せずに微粉が多く残存し、粒度分布がブロードになるため、電極作製時に負極材の密度が低下して電池容量が低下し、また、集電体と活物質との強固な密着が得られず、サイクル特性に優れないという不具合も生じる。
また、該ピッチの配合量が、上記範囲を超えると、炭素質微粒子粉末同士が過剰に凝集するため、粗粒造粒粒子の粒子径が大きくなり過ぎて、粗粒造粒粒子のピッチ被覆膜の厚さが不均一となり、ピッチ単独の粉末が存在し易くなり、そのうえ、粗大な塊が形成されるために粉砕工程が必要となり、更に、電池特性として初回充放電ロスが大きくなる。
該第一工程において加熱混練する際の該溶融性有機物の配合量は、該炭素質微粒子粉末100重量部に対して1〜30重量部とするのが好ましく、5〜20重量部とするのが特に好ましい。該溶融性有機物の配合量が、上記範囲未満だと、該第二工程の整粒において、外部エネルギーの付与が過剰となり、結果として微粉を多く発生してしまい、微粉の除去が難しい上、収率が低下し、また、上記範囲を超えても溶融性有機物の配合効果が頭打ちしてしまい配合量に見合った効果が得られず、生産コスト的にも過剰に添加する意義は見出せない。
該第一工程では、該炭素質微粒子粉末、該ピッチ及び該溶融性有機物を、加熱しながら混練する。該第一工程での該炭素質微粒子粉末、該ピッチ及び該溶融性有機物の混練方法としては、
(i)先に、該炭素質微粒子粉末及び該溶融性有機物を加熱混練した後、該ピッチを添加して加熱混練する方法
(ii)先に、該炭素質微粒子粉末及び該ピッチを加熱混練した後、該溶融性有機物を添加して加熱混練する方法
(iii)該炭素質微粒子粉末、該ピッチ及び該溶融性有機物を加熱混練する方法、
等が挙げられる。これらのうち、該炭素質微粒子粉末の過度の微粉砕化を防ぐことができる点で、該(i)及び該(iii)の方法が好ましい。
該第一工程で加熱混練を行う際の加熱温度は、該ピッチの軟化点を超える温度であり、好ましくは該ピッチの軟化点より30〜70℃以上高い温度である。該加熱温度が上記範囲未満だと、粘度が高くなり、ピッチの分散が不十分となり、均一に造粒できず、結果として造粒物の粒度分布がブロードとなる不具合が生じる。一方、該加熱温度が上記範囲を超えると、初回ロスが高くなるので好ましくない。
該第一工程の加熱混練の操作の形態例を示すと、該炭素質微粒子粉末、該ピッチ及び該溶融性有機物を混練装置内に投入し、混練しながら装置容器内の温度を該ピッチの軟化点を超える所定温度にまで昇温させ、加熱しながら十分に混練する。加熱混練する時間は、混練装置の容量、混練羽形状、該炭素質微粒子粉末、該ピッチ及び該溶融性有機物の投入量などにより、適宜選択されるが、該ピッチの軟化点を超える温度で通常10分間〜2時間である。加熱混練後、室温まで冷却して該粗粒造粒粒子粉末を得る。
該第一工程で、加熱混練を行うための混練装置としては、特に制限されず、通常、粉体を加熱しながら攪拌又は混練できるものであればよく、ニーダー、ミキサー、加圧蓋を設けた加圧式ニーダー、ウェルナー型混練機、高速せん断混合機等が挙げられる。
このようにして、該第一工程で該炭素質微粒子粉末、該ピッチ及び該溶融性有機物を加熱混練することにより、該炭素質微粒子粉末の粒子表面に、該ピッチ及び該溶融性有機物からなる膜を被覆させ、且つ該炭素質微粒子粉末同士を、該ピッチ及び該溶融性有機物で結合させて凝集させて、造粒する。このとき、該溶融性有機物の添加により、造粒粒子の構造破壊が抑制される。そして、該第一工程を行うことにより、該炭素質微粒子粉末が、該ピッチ及び該溶融性有機物で結合されて凝集した該粗粒造粒粒子粉末が得られる。なお、該粗粒造粒粒子粉末中には、該炭素質微粒子粉末が凝集せずに、該ピッチ及び該溶融性有機物からなる膜で被覆されただけのものや、それらがわずかに凝集したもののような、微粉も含まれている。
次いで、本発明の炭素粒子粉末の製造方法に係る該第二工程を行う。該第二工程は、該粗粒造粒粒子粉末同士を摩擦及び圧縮して、造粒粉末の体積メディアン径を5〜25μmに整粒し、該整粒造粒粒子粉末を得る工程である。
該第二工程では、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイザー(株式会社奈良機械製作所社製)等を用いて、該粗粒造粒粒子粉末同士を、繰り返し摩擦させ圧縮して、該粗粒造粒粒子粉末に外部から機械的エネルギーを加え続ける。このことにより、該粗粒造粒粒子粉末に残存している微粉が、該ピッチ及び該溶融性有機物からなる層に埋め込まれて造粒され、更に、最終的には粒子同士の摩擦抵抗が小さい安定な球状に落ち着くため、充填性に優れるシャープな粒度分布の該整粒造粒粒子粉末が得られる。また、該第二工程では、該粗粒造粒粒子粉末に残存している微粉が、該ピッチ及び該溶融性有機物からなる層に埋め込まれるため、該第三工程で得られるリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末を解砕する際に発生する微粉を低減又は除去できるので、二次電池負極材用炭素粒子粉末のBET比表面積を小さく抑えることができる。
なお、該粗粒造粒粒子粉末に、該粗粒造粒粒子粉末同士を摩擦及び圧縮する装置、すなわち、外部から機械的エネルギーを加える具体的な装置としては、上記装置に限定されるものではなく、該粗粒造粒粒子粉末同士を摩擦させ圧縮することができるものであればよい。
該粗粒造粒粒子粉体に対して機械的エネルギーを付与する方法としては、例えば、図1に示すハイブリダイザー(株式会社奈良機械製作所製)を用いる方法が挙げられる。図1に示すハイブリダイザー内に、該粗粒造粒粒子粉末を、原料投入口1より投入し、回転部8を、回転周速20〜100m/sで30秒〜5分間回転させる。このとき、原料循環路2を通してドラム6と該回転部8の隙間に投入された該粗粒造粒粒子粉末に対し、該ドラム6と該回転部8との回転速度の差異により生じる摩擦力、圧縮力及び衝突力により、該粗粒造粒粒子粉末に機械的エネルギーが加えられる。なお、3はステーター、4はジャケット、5は原料排出部、7はブレードである。
図1に示す該ハイブリダイザーで該粗粒造粒粒子粉末に機械的エネルギーを加えている際の該ハイブリダイザー内部の温度は、機械的エネルギーの付与により上昇するが、該ピッチの軟化点+20℃の温度以下に調整することが好ましい。例えば、該ピッチの軟化点が85℃であれば、該ハイブリダイザー内の温度は、105℃以下が好ましい。該ハイブリダイザー内の温度が、該ピッチの軟化点+20℃を超えると、該ピッチが造粒粒子の間隙より溶融して溶出し、溶出した該ピッチが該ハイブリダイザー内部に付着し易くなるため、定常的な連続運転が困難となり易い。
図1に示す該ハイブリダイザーで該粗粒造粒粒子粉末に機械的エネルギーを加えている際の該回転部8の回転周速は、20〜100m/sが好ましい。該回転部8の回転周速が、20m/s未満だと、造粒粒子が受ける機械的エネルギーが小さく、整粒し難くなり、また、100m/sを超えても、100m/sの場合と、二次電池負極材用炭素粒子粉末の性能に大差がなく、コスト的な面、装置の安全性等を考慮すると上限は100m/sとするのが好ましい。また、該ハイブリダイザーで該粗粒造粒粒子粉末に機械的エネルギーを加えている際の処理時間は、30秒〜5分間が好ましい。該処理時間が、30秒未満では整粒が起り難く、また、5分を超えても、リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末の物性がほとんど変化しないため、生産性を考慮すると、該処理時間は、2分以下が特に好ましい。
また、該第二工程では、該粗粒造粒粒子粉末同士の摩擦力及び圧縮力が強すぎて、造粒粒子の破壊が生じてしまう場合には、造粒粒子同士の磨耗を減らすために、該第一工程に係る該溶融性有機物を添加することができる。その際、該溶融性有機物の投入量は、コスト及び処理時間を考慮して、適宜決定される。
そして、該第二工程では、該粗粒造粒粒子粉末同士を摩擦及び圧縮することにより、造粒粒子粉末の体積メディアン径を5〜25μmに整粒し、該整粒造粒粒子粉末を得る。なお、該第二工程では、該粗粒造粒粒子粉末同士を摩擦及び圧縮する際の処理条件、例えば、該ハイブリダイザーを用いる場合であれば、該回転部8の回転周速、処理時間、処理温度、投入量等を適宜選択することにより、該整粒造粒粒子粉末の体積メディアン径を5〜25μmにすることができる。
次いで、本発明の炭素粒子粉末の製造方法に係る該第三工程を行う。該第三工程は、該整粒造粒粒子粉末を、非酸化性雰囲気下で、1,000〜2,000℃で焼成炭化して、リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末を得る工程である。
該第三工程で、該整粒造粒粒子粉末を焼成炭化する際の焼成温度は、1,000〜2,000℃、好ましくは1,000〜1,800℃、特に好ましくは1,000〜1,600℃である。該整粒造粒粒子粉末を焼成炭化する際の焼成温度が、上記範囲未満だと、該溶融性有機物の揮散が十分でなく、また、該ピッチ中の低分子有機未燃分が残存し、リチウムイオン二次電池の充放電効率の低下やサイクル特性の劣化が起こる。また、該整粒造粒粒子粉末を焼成炭化する際の焼成温度が、上記範囲を超えると、該ピッチの炭化成分の黒鉛結晶子が発達し、充放電レート特性が低下し、また、熱処理コストが高く、製造コストの増加を招く。
該第三工程では、非酸化性雰囲気下で焼成炭化を行うが、該非酸化性雰囲気下とは、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下や、炭素粉末中に埋没させた状態等、該炭素成分が酸化消耗又は消失しない雰囲気である。
該整粒造粒粒子粉末を焼成炭化する際の焼成時間は、特に制限されず、通常、3時間〜1か月である。
このように、該第三工程で該整粒造粒粒子粉末を焼成炭化することにより、該整粒造粒粒子粉末中の該溶融性有機物が揮散すると共に、該ピッチが炭化してピッチの炭化物となり、該炭素質微粒子粉末が、該ピッチの炭化物で結合されているリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末が得られる。
該第三工程を行った後、該第三工程を行い得られた該リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末を、必要に応じて、解砕又は分級する。該解砕を行うための解砕装置としては、特に制限されず、ターボミル(株式会社マツボー製)、クイックミル(株式会社セイシン企業製)、スーパーローター(日清エンジニアリング株式会社製)等の装置が例示される。また、該分級では、最小粒子径1μm以上、最大粒子径55μm以下、メディアン径5〜25μmに、リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末を調整する。
また、本発明の炭素粒子粉末の製造方法では、該炭素質微粒子粉末の種類及び該第三工程での焼成温度を選択することにより、得られるリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末のd(002)を調節することができる。
また、本発明の炭素粒子粉末の製造方法では、該炭素質微粒子粉末の種類を選択することにより、得られるリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末のタップ密度とBET比表面積を同時に大きくすることができる。
また、本発明の炭素粒子粉末の製造方法では、該炭素質微粒子粉末の種類、特に、該炭素質微粒子粉末のDBP吸収量及び該ピッチの配合比を選択することにより、得られるリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末のタップ密度を大きくすることができる。
また、本発明の炭素粒子粉末の製造方法では、該ピッチの配合比、該第二工程で処理条件、分級の際の分級条件を選択することにより、得られるリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末の比表面積を調節することができる。
このように、本発明の炭素粒子粉末の製造方法を行い得られるリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末は、該炭素質微粒子粉末が該ピッチの炭化物により結合されており、該リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末の体積基準メディアン径は5〜25μm、好ましくは10〜25μm、特に好ましくは10〜20μmであり、BET比表面積は3〜20m/g、好ましくは3.0〜10.0m/g、特に好ましくは3.0〜5.0m/gである。
よって、本発明の炭素粒子粉末の製造方法によれば、優れた充放電効率、充放電レート特性及びサイクル特性を備えたリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末を製造することができる。
リチウムイオン二次電池の製造において、本発明の炭素粒子粉末を、単独で、リチウムイオン二次電池の負極材製造用の原料粉体として用いること、すなわち、リチウムイオン担持体として用いることができ、また、本発明の炭素粒子粉末と高結晶性黒鉛粉末とを混合した混合粉体を、リチウムイオン二次電池の負極材製造用の原料粉体として用いること、すなわち、リチウムイオン担持体として用いることもできる。
本発明の炭素粒子粉末と該高結晶性黒鉛粉末とを混合した混合粉体を、リチウムイオン二次電池のリチウムイオン担持体として用いる場合、該混合粉体中、本発明の炭素粒子粉末の混合割合は、該高結晶性黒鉛粉末100重量部に対して10重量部、好ましくは20〜60重量部、特に好ましくは20〜40重量部である。該混合粉体中、本発明の炭素粒子粉末の混合割合が上記範囲内にあることにより、高結晶性黒鉛粉末による高い充放電効率を維持しつつ、充放電レート特性及びサイクル特性が良くなる。
該高結晶性黒鉛粉末は、X線回折法による黒鉛結晶子の(002)面の面間隔d(002)が0.3400nm以下であり、例えば、コークス、樹脂等の炭素前駆体を2600℃以上の温度にて黒鉛化処理したもの、製鉄用人造黒鉛電極の粉砕粉及び天然黒鉛粉末が挙げられる。また、該高結晶性黒鉛粉末の物性は、体積メディアン径が10〜40μm、BET比表面積が1〜10m/g、黒鉛結晶子の(002)面の面間隔d(002)が0.3400nm以下である。
つまり、本発明のリチウムイオン二次電池負極材は、リチウムイオン担持体が、本発明の炭素粒子粉末であるか、あるいは、高結晶性黒鉛粉末と、該高結晶性黒鉛粉末100重量部に対して10重量部以上、好ましくは20〜60重量部、特に好ましくは20〜40重量部の本発明の炭素粒子粉末との混合粉体であるリチウムイオン二次電池負極材である。
本発明のリチウムイオン二次電池負極材に係る該リチウムイオン担持体は、リチウムイオン二次電池の負極材中のリチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出可能な炭素材である。
本発明においては、粒子径が小さく活性反応面積の大きい該炭素質微粒子粉末を、造粒し、且つ、整粒することで、見かけ上のBET比表面積を抑えることが可能となる。そのため、本発明の炭素粒子粉末及び本発明の炭素粒子粉末の製造方法により得られるリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末によれば、充放電効率が高く、サイクル特性及び充放電レート特性に優れるリチウムイオン二次電池用負極材の製造が可能となる。
特に、一次粒子である該炭素質微粒子粉末の粒子径を小さく活性反応面積を大きくすることで、リチウムイオンの粒子内拡散距離を短くすることができ、充放電レート特性に優れる負極材を提供することができる。
また、該第二工程で整粒することにより、見かけ上のBET比表面積を小さくして、電解液接触界面を小さくできるので、初回充放電時の無駄な反応ロスを小さく抑えることが可能となる
また、該第二工程で整粒して、造粒粉末の粒度分布をシャープにすることにより、電極シート充填密度を向上させることが可能となる
また、該第二工程での整粒により、該第一工程で残存した微粉を低減又は除去することができるので、スラリー塗工後における集電体と活物質層との密着性を保持することが可能となり、サイクル特性に優れる負極材を提供することができる。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明し、その効果を実証する。なお、これらの実施例は本発明の一実施態様を示すものであり、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
<リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末の製造>
(粗粒造粒粒子の造粒)
ウェルナー型混練機にて
・算術平均粒子径0.122μm、BET比表面積19m/g、DBP吸収量42cm/100gのファーネスブラックS−TA(東海カーボン社製)を100重量部、
・コールタールピッチ(JFEケミカル株式会社製PK―QL、軟化点70℃)を40重量部、
・溶融性有機物として空気中で400℃に加熱した場合に70%が揮発し、かつ窒素ガス雰囲気中で800℃に加熱した際の残炭率が0.6%の溶融機械油を5重量部、
を150℃、30分間、加熱混練した後、室温に冷却して、粗粒造粒粒子粉末A1を得た。
(整粒処理)
次に、得られた粗粒造粒粒子粉末A1を、ハイブリダイザー装置(株式会社奈良機械製作所製、NHS−I型)内に投入し、装置内の最高温度を75℃±5℃に保ちながら、回転数8,000rpm(回転周速60m/s)で3分間処理し、室温に冷却して、球形化した整粒造粒粒子粉末B1を得た。
(焼成炭化、解砕及び分級、並びに負極材製造用の粉体の調製)
次いで、得られた整粒造粒粒子粉末B1を、黒鉛坩堝に投入し、電気炉にて窒素ガス雰囲気下、1,000℃で焼成炭化した。次いで、解砕(装置名:日清エンジニアリング株式会社製、スーパーローター)、分級(装置名:日清エンジニアリング株式会社製、ターボクラシファイア)して体積基準メディアン径を18.7μmに調整し、リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C1を得た。該リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C1の製造条件を表1に、物性を表2に示す。そして、得られたリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C1を、負極材製造用の粉体D1とした。
<リチウムイオン二次電池の作成>
(スラリーの調製)
上記のようにして得られた該負極材製造用の粉体D1を100重量部に対し、増粘剤として1wt%のカルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液を適量投入して30分間攪拌混合した後、結合剤として40wt%のスチレン−ブタジエンゴム(SBR)水溶液を適量投入して5分間攪拌混合し、負極合材ペーストを調製した。
(作用極の作製)
得られた負極合材ペーストを厚さ18μmの銅箔(集電体)上に塗布し、真空中で130℃に加熱して溶媒を完全に揮発させた。得られたシートを極板密度が1.3g/ccになるようローラープレスで圧延し、ポンチで打ち抜いて作用極を得た。
(対極の作製)
不活性雰囲気下、リチウム金属箔をポンチで打ち抜いたニッケルメッシュ(集電体)にめり込ませ、対極を得た。
(可逆放電容量評価用ボタン型電池の作製)
前記の作用極、対極を使用し、評価用電池として図2に示すボタン型電池を不活性雰囲気下で組み立てた。電解液は1mol/dmのリチウム塩LiPFを溶解したエチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC) 1:1混合溶液を使用した。充電は電流密度0.2mA/cm、終止電圧5mVで定電流充電を終えた後、下限電流0.02mA/cmとなるまで定電位保持する。放電は電流密度0.2mA/cmにて終止電圧1.5Vまで定電流放電を行い、5サイクル終了後の放電容量を可逆放電容量とした。図2において、9は負極側ステンレスキャップ、10は負極、11は銅箔、12は絶縁ガスケット、13は電解液含浸セパレータ、14はニッケルメッシュ、15は正極側ステンレスキャップ、16は正極である。
充電レート特性はSOC=0%の満放電状態から10mA/cmで充電した際の容量維持率で負極材の充放電レート特性を調べた。測定結果を表2に示した。
(サイクル耐久性評価用ボタン型電池の作製)
対極をリチウムコバルト酸化物に変え、上記と同様、ボタン型電池を組み立てて、60℃、0.2Cの電流密度にて4.1V〜3.0V間を100回、繰り返し充放電を行った後の容量維持率を調べた。測定結果を表2に示す。
実施例2
実施例1で使用したファーネスブラックS−TA 100重量部に対し、コールタールピッチ(JFEケミカル製PK―E、軟化点89℃)を60重量部と、実施例1の溶融機械油に代えて、空気中で400℃に加熱した場合の揮発分が63%、窒素ガス雰囲気中で800℃に加熱した際の残炭率が0.4%のステアリン酸 10重量部とを、混練機にて150℃、60分間、混練した後、室温に冷却して、粗粒造粒粒子粉末A2を得た。
次に、得られた粗粒造粒粒子粉末A2を、ハイブリダイザー装置(株式会社奈良機械製作所製、NHS−I型)内に投入し、装置内の最高温度を95±5℃に保ちながら、回転数8,000rpm(回転周速100m/s)で5分間処理し、室温に冷却して、球形化した整粒造粒粒子粉末B2を得た。製造条件を表1に示す。
次いで、得られた整粒造粒粒子粉末B2を、黒鉛坩堝に投入し、電気炉にて窒素ガス雰囲気下、2,000℃で焼成炭化した。次いで、実施例1と同様に解砕及び分級して体積基準メディアン径18.2μmに調整し、リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C2を得た。該リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C2の製造条件を表1に、物性を表2に示す。
得られたリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C2を20重量部と、球状化黒鉛E(高結晶性黒鉛E、日本黒鉛社製、CGC−15)80重量部を混合し、負極材製造用の粉体D2とした。
・該球状化黒鉛Eの物性
体積基準メディアン径:16.8μm
BET比表面積:6.9m/g
d(002):0.3355nm
該負極材製造用の粉体D2を用いて、実施例1と同様の方法で、ボタン型電池を作製し、充放電試験を行った。測定結果を表2に示す。
実施例3
実施例1で得られたリチウムイオン二次電池用炭素粒子粉末C1を100重量部に対し、実施例2で使用した球状化黒鉛Eを40重量部混合し、負極材製造用の粉体D3とした。該リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C1の製造条件を表1に、物性を表2に示す。
該負極材製造用の粉体D3を用いて、実施例1と同様の方法で、ボタン型電池を作製し、充放電試験を行った。測定結果を表2に示す。
実施例4
実施例1で使用したファーネスブラックS−TAの代わりに算術平均粒子径780nm、BET比表面積9.9m/g、DBP吸収量90cm/100gの熱分解炭素質微粒子を使用した以外は、実施例1と同じ方法で行い、リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C4を得た。該リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C4の製造条件を表1に、物性を表2に示す。そして、得られたリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C4を、負極材製造用の粉体D4とした。
該負極材製造用の粉体D4を用いて、実施例1と同様の方法で、ボタン型電池を作製し、充放電試験を行った。測定結果を表2に示す。
実施例5
実施例1で得られた炭素粒子粉末C1の25μm以上の粗粒を分級除去し、リチウムイオン負極材用炭素粒子粉末C5を得た。該リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C5の製造条件を表1に、物性を表2に示す。そして、得られたリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C5を、負極材製造用の粉体D5とした。
該負極材製造用の粉体D5を用いて、実施例1と同様の方法で、ボタン型電池を作製し、充放電試験を行った。測定結果を表2に示す。
比較例1
実施例1において、コールタールピッチを使用しない以外は、実施例1と同じ方法で行い、リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C6を得た。該リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C6の製造条件を表1に、物性を表2に示す。そして、該リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C6を、負極材製造用の粉体D6とした。
次いで、負極材製造用の粉体D6を用いる以外は、実施例1と同様の方法で、充放電試験を行った。その測定結果を表2に示す。
比較例2
実施例1において、溶融機械油を使用しない以外は、実施例1と同じ方法で行い、リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C7を得た。該リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C7の製造条件を表1に、物性を表2に示す。そして、該リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C7を、負極材製造用の粉体D7とした。
次いで、負極材製造用の粉体D7を用いる以外は、実施例1と同様の方法で、充放電試験を行った。その測定結果を表2に示す。
比較例3
実施例1において、ハイブリダイザー装置による整粒処理を行わない以外は、実施例1と同じ方法で行い、リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C8を得た。該リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C8の製造条件を表1に、物性を表2に示す。そして、該リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C8を、負極材製造用の粉体D8とした。
次いで、負極材製造用の粉体D8を用いる以外は、実施例1と同様の方法で、充放電試験を行った。その測定結果を表2に示す。
比較例4
算術平均粒子径0.038μm、BET比表面積49m/g、DBP吸収量133cm/100gのファーネスブラックS−116(東海カーボン社製)を、負極材製造用の粉体D9とした。該負極材製造用の粉体D9の物性を表2に示す。該負極材製造用の粉体D9を用いて、実施例1と同様の方法で、ボタン型電池を作製し、充放電試験を行った。測定結果を表2に示す。
比較例5
実施例1で使用したファーネスブラックS−TAの代わりに算術平均粒子径5.9μm、BET比表面積1m/g、DBP吸収量30cm/100gの樹脂炭化物を使用すること以外は、実施例1と同じ方法で行い、リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C10を得た。該リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C10の製造条件を表1に、物性を表2に示す。そして、該リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末C10を、負極材製造用の粉体D10とした。
次いで、負極材製造用の粉体D10を用いる以外は、実施例1と同様の方法で、充放電試験を行った。その測定結果を表2に示す。
Figure 0005196365
Figure 0005196365
表2に示すように、本発明に従う実施例1〜5においては、優れた電池特性が達成されていることが認められる。活物質層との接着が強く、サイクル維持率は高い値を有している。また、原料粉末(炭素質微粒子粉末)の算術平均粒子径を小さくしつつも、造粒粉末の見かけ上のBET比表面積を抑えることで、高い可逆容量に加えて、初回充放電ロスが小さく、優れた充放電効率特性を有し、また、充電負荷も高位の値を維持しており優れた充放電レート特性を有している。
また、実施例2及び3に示すように、本発明の炭素粒子粉末と他の黒鉛材と適当な配合比で混合しても、微粉末単体を添加するよりも加算効果による特性改善が大きく、本発明の炭素粒子粉末を適量添加することにより、黒鉛材の電池特性改善効果が期待できる。
比較例1ではカーボンブラックがピッチの炭化物を介して造粒されておらず、活性反応表面積が大きいため、100mAh/g以上の大きな反応ロスを生じてしまう。また、分散性が悪く、スラリー調整時に活物質とバインダーを均一に混合できず、集電体との密着性が良くないためサイクル維持率が悪い。比較例4も同様である。比較例3では整粒処理を経てないため、粒度分布が調整されておらず、得られる造粒粉末の粒度分布がブロードとなるため、集電体との密着性が悪くなり、サイクル維持率が悪い値となっている。比較例2では溶融有機物が添加されておらず、整粒処理時に少量の微粉が発生してしまい、最終粉体の粒度分布がブロードとなってしまうため、サイクル維持率が良好でない。比較例5では一次粒子の粒子径が大きいため、活性反応面積が小さくなり、粒内のリチウムイオン拡散距離が長くなるため、充電負荷特性が良好でない。
ハイブリダイザーの模式図である。 実施例及び比較例の評価用電池の断面図である。
符号の説明
1 原料投入口
2 原料循環路
3 ステーター
4 ジャケット
5 原料排出口
6 ドラム
7 ブレード
8 回転部
9 負極側ステンレスキャップ
10 負極
11 銅箔
12 絶縁ガスケット
13 電解液含浸セパレータ
14 ニッケルメッシュ
15 正極側ステンレスキャップ
16 正極

Claims (5)

  1. 炭化水素を気相熱分解して得られる算術平均粒子径が1.0μm以下、BET比表面積が150m/g以下、DBP吸収量が250cm/100g以下の炭素質微粒子粉末が、ピッチの炭化物にて結合されている炭素粒子粉末であり、
    体積基準メディアン径が5〜25μm、
    BET比表面積が3〜20m/g、
    黒鉛結晶子の(002)面の面間隔d(002)が0.3500nm以上、
    タップ密度が1.01〜1.12g/ml
    であることを特徴とするリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末。
  2. 前記炭素質微粒子粉末が、サーマルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック若しくはケッチェンブラック、又はこれらの2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末。
  3. 炭化水素を気相熱分解して得られる算術平均粒子径が1.0μm以下、BET比表面積が150m/g以下、DBP吸収量が250cm/100g以下の炭素質微粒子粉末と、
    軟化点が70℃〜250℃のピッチと、
    空気中で400℃に加熱した時の揮発分が50%以上であって、不活性雰囲気中で800℃に加熱した時の残炭率が3%以下である溶融性有機物と、
    を加熱混練して、該炭素質微粒子の表面に該ピッチと該溶融性有機物からなる膜を被覆し、且つ造粒し、粗粒造粒粒子粉末を得る第一工程と、
    該粗粒造粒粒子粉末同士を摩擦及び圧縮して、体積基準メディアン径5〜25μm、焼成後のタップ密度が1.01〜1.12g/mlになるように整粒し、整粒造粒粒子粉末を得る第二工程と、
    該整粒造粒粒子粉末を、非酸化性雰囲気下、1,000〜2,000℃で焼成炭化して、リチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末を得る第三工程と、
    を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末の製造方法。
  4. 前記炭素質微粒子粉末が、サーマルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック若しくはケッチェンブラック、又はこれらの2種以上の混合物であることを特徴とする請求項3記載のリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末の製造方法。
  5. リチウムイオン二次電池負極材のリチウムイオン担持体が、高結晶性黒鉛粉末と、請求項1記載のリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末との混合粉体であり、該混合粉体中の請求項1記載のリチウムイオン二次電池負極材用炭素粒子粉末の混合割合が、該高結晶性黒鉛粉末100重量部に対して10重量部以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池負極材。
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