JP2008282547A - リチウムイオン二次電池用負極材とその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極材とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れたレート特性と高度の可逆容量および初期効率を備えたリチウムイオン二次電池用負極材とその製造方法を提供すること。
【解決手段】平均粒子径5〜30μm、平均格子面間隔d(002)0.3360nm未満の黒鉛粉末の表面が、平均粒子径0.05〜2μm、平均格子面間隔d(002)0.3360nm以上のアモルファスカーボン粉末を揮発分が25〜40%の炭素前駆体の炭化物により被覆・結着され、窒素吸着比表面積が3〜7m/g、平均粒子径が7〜40μm、平均格子面間隔d(002)が0.3360nm未満、ラマンスペクトル強度比R=I1360/I1560が0.7以上、の性状を有するコア・シェル構造の複合粒子からなるリチウムイオン二次電池用負極材。その製造方法は黒鉛粉末と軟化点250℃以下の炭素前駆体を加熱混合し炭素前駆体の揮発分を25〜40%に調整して黒鉛粉末の表面を炭素前駆体で被覆した後、アモルファスカーボン粉末を混合して被着し、次いで、非酸化性雰囲気中750〜2250℃の温度で焼成炭化する。
【選択図】なし

Description

本発明は、大電流での充放電が可能なリチウムイオン二次電池用負極材とその製造方法に関する。
非水電解質二次電池としてリチウム塩の有機電解液を用いたリチウム二次電池は、軽量でエネルギー密度が高く、小型電子機器の電源あるいは電力貯蔵用の電池等として期待されている。当初、リチウム二次電池用の負極材としては金属リチウムが用いられていたが、金属リチウムは放電時にリチウムイオンとして電解液中に溶出し、充電時にはリチウムイオンは金属リチウムとして負極表面に析出する際に、平滑で元の状態に析出させることが難しく、デンドライト状に析出し易い。このデンドライトは活性が極めて強いため電解液を分解するので電池性能が低下し、充放電のサイクル寿命が短くなる欠点がある。更に、デンドライトが成長して正極に達して、両極が短絡する危険もある。
この欠点を改善するために、金属リチウムに代えて炭素材を用いることが提案されている。炭素材はリチウムイオンの吸蔵、放出に際しデンドライト状に析出する問題がないため負極材として好適である。すなわち、黒鉛材はリチウムイオンの吸蔵・放出性が高く、速やかに吸蔵・放出反応が行われるために充放電の効率が高く、理論容量も372mAh/gであり、更に、充放電時の電位も金属リチウムとほぼ等しく、高電圧の電池が得られる等の利点がある。
しかしながら、黒鉛化度が高く、六角網面構造が高度に発達した黒鉛材の場合には、容量が大きく、初期効率が90%以上と高い特性が得られる反面、放電時の電位曲線が平坦になり、放電終点が把握し難く、また短時間で多くの電流を放電することができず、レート特性が悪化するなどの難点がある。
そこで、黒鉛材を中心とする炭素材の性状を改良して、例えば、黒鉛化度の高い黒鉛材の表面を黒鉛化度の低い炭素質物で被覆した複層構造の炭素材や黒鉛化度の高い黒鉛材と黒鉛化度の低い炭素質物を組み合わせることにより、これらの難点を解消する試みが行われており、多くの提案がなされている。
例えば、特許文献1には活物質となる炭素の電解液と接する表面が非晶質炭素により覆われている二次電池用炭素負極、及び、非晶質炭素が乱層構造であり、C軸方向の平均面間隔が0.337〜0.360nm、アルゴンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1に対する1360cm−1のピーク強度比が0.4〜1.0の二次電池用炭素負極が提案されている。
また、特許文献2には、下記(1)の条件を満たす炭素質物(A)の粒子と、下記(2)の条件を満たす有機化合物(B)の粒子を混合した後、加熱して(B)を炭素化することにより、(A)の粒子を、下記(3)の条件を満たす炭素質物(C)で被覆した多層構造とした電極材料が提案されている。
(1)X線広角回折におけるd002 が3.37オングストローム以下、真密度が2.10g/cm3 以上、体積平均粒径が5μm以上であること。
(2)体積平均粒径が炭素質物(A)より小さいこと。
(3)X線広角回折におけるd002 が3.38オングストローム以上、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析において、1580〜1620cm−1の範囲にピークPA、1350〜1370cm−1の範囲にピークPBを有し、上記PAの強度IAに対するPBの強度IBの比R=IB/IAが0.2以上であること。
また、特許文献3には、DBP吸油量100ml/100g以上のカーボンブラックが分散する樹脂炭の微粒子を、高結晶性黒鉛粉末に対し5〜30重量%の範囲で混合した複合組成炭素質粉末をリチウム担持体としたことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材が開示されている。これは樹脂炭化物とカーボンブラックを複合した難黒鉛化性炭素物質と高黒鉛化炭素物質とを組み合わせて用いるので黒鉛網面外間隙にリチウムクラスターが形成され、そこにリチウムが不可逆的に消費されてロスの増大を招き、結果的に放電初期効率が低下する問題がある。
更に、特許文献4には、負極が表面増強ラマン分光スペクトルにおいて、Gs=Hsg/Hsdが10以下である黒鉛を含むリチウムイオン二次電池が開示されており、製造方法として請求項14には生成温度以上かつ2000℃以下の温度で成長したメソカーボンマイクロビーズ、および炭素材料の少なくとも一方からなる炭素系材料に対してフリーカーボンを含むピッチ、キノリンに不溶である成分を2%以上含有したピッチ、またはポリマーのうちいずれか1種類からなる被覆材料を混合する工程と黒鉛化を施す工程を含む炭素系負極材料の製造方法が開示されている。
しかし、特許文献4では炭素系材料の生成温度が低く、その平均格子面間隔d(002)は0.336nm以上となり、結果として黒鉛化度が十分でなく、可逆容量が低下するという問題があり、更に、カーボンブラックの高いレート特性を積極的に利用しようとする技術的思想は全く意図されていない。また、カーボンブラックを分散させたピッチを黒鉛表面に被覆する場合、ピッチで完全被覆されたカーボンブラックはカーボンブラック同士の凝集力が強いので、ピッチ中に均一分散した状態で黒鉛表面に均一に被覆することは困難である。
また、特許文献5には、親水化された黒鉛質粒子に、平均粒子径が100nm超、1μm以下の炭素質および/または黒鉛質の粒子が付着していることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料が提案されている。しかし、メカノケミカル処理により付着させているので強固に付着させることができないという難点がある。
特開平4−368778号公報 特開平6−267531号公報 特開平9−073903号公報 特開2001−332263号公報 特開2005−243447号公報
本発明は上記の問題点の解消を図り、黒鉛材の有する大きな可逆容量および高い初期効率などの特徴と、アモルファスカーボン材のもつ優れたレート特性を生かし、これらの特性を兼備した負極材の開発について鋭意研究を行った。そして、黒鉛結晶性状の発達した黒鉛粉末をコアにして、黒鉛粉末の表面をアモルファスカーボン粉末が被覆した、コア・シェル構造の複合粒子が高い可逆容量、初期効率、レート特性などを具備し得ることを確認した。
すなわち、本発明は上記の問題点を解消し、優れたレート特性と高度の可逆容量および初期効率を備えたリチウムイオン二次電池用負極材とその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明によるリチウムイオン二次電池用負極材は、平均粒子径が5〜30μm、平均格子面間隔d(002)が0.3360nm未満の黒鉛粉末の表面が、平均粒子径が0.05〜2μm、平均格子面間隔d(002)が0.3360nm以上のアモルファスカーボン粉末を揮発分が25〜40%の炭素前駆体の炭化物により被覆・結着されたコア・シェル構造の複合粒子からなり、複合粒子が下記性状
1.窒素吸着比表面積が3〜7m/g、
2.平均粒子径が7〜40μm、
3.平均格子面間隔d(002)が0.3360nm未満、
4.ラマンスペクトル強度比R=I1360/I1560が0.7以上、
を有することを特徴とする。
なお、揮発分とは炭素前駆体を950℃で7分間保持した際の、揮発した成分の百分率(%)である。
揮発分(%)=((処理前重量(g)−処理後重量(g))/処理前重量(g))×100
また、このリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法は、平均粒子径5〜30μm、平均格子面間隔d(002)が0.3360nm未満の黒鉛粉末と軟化点250℃以下の炭素前駆体とを加熱混合して炭素前駆体を黒鉛粉末表面に被覆し、引き続き被覆した炭素前駆体の揮発分を25〜40%に調整した炭素前駆体被覆黒鉛を得た後、前記炭素前駆体被覆黒鉛と、平均粒子径0.05〜2μm、平均格子面間隔d(002)が0.3360nm以上のアモルファスカーボン粉末を混合して黒鉛粉末表面の炭素前駆体にアモルファスカーボン粉末を被着し、次いで、非酸化性雰囲気中750〜2250℃の温度で焼成炭化することを特徴とする。
なお、この製造方法において、黒鉛粉末と炭素前駆体との混合比は黒鉛粉末100重量部に対し炭素前駆体10〜50重量部の割合で混合することが好ましく、また、黒鉛粉末とアモルファスカーボン粉末との混合比は黒鉛粉末100重量部に対しアモルファスカーボン粉末5〜30重量部の割合で混合することが好ましい。
本発明によれば、黒鉛粉末の表面をアモルファスカーボン粉末で被覆・結着したコア・シェル構造の複合粒子からなるリチウムイオン二次電池用の負極材とその製造方法が提供され、可逆容量,初期効率およびレート特性の優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材は黒鉛粉末をコア(核)として、その表面がアモルファスカーボン粉末で被覆(シェル)されたコア・シェル構造の複合粒子からなり、黒鉛粉末には天然黒鉛粉末や人造黒鉛粉末が用いられ、黒鉛粉末には平均粒子径が5〜30μm、平均格子面間隔d(002)が0.3360nm未満の黒鉛粉末が使用される。
なお、本発明において平均粒子径とは、レーザー回折式の粒度分布測定装置(例えば、島津製作所製、SALD2000)により測定した体積を基準としたメディアン径を意味する。
黒鉛粉末の平均粒子径が5μmを下回ると複合粒子の粒子径が小さくなり、複合粒子の平均粒子径が7μmを下回る場合が生じて、リチウムイオン二次電池作製時の電解液とのスラリーを調製する際に分散性が低下する難点がある。一方、30μmを上回ると複合粒子の粒子径が大きくなり、特に40μmを越える場合には、リチウムイオン二次電池の出入力特性が低く、例えば2C以上の大電流で充放電した際の容量維持率が悪化することになる。
また、黒鉛粉末の黒鉛化度は平均格子面間隔d(002)が0.3360nm未満であることが必要で、平均格子面間隔d(002)が0.3360nm以上では黒鉛化度が低く、電池性能として特に可逆容量が低下することになる。
なお、以下、本発明において平均格子面間隔d(002)とは、X線広角回折法により、グラファイトモノクロメーターで単色化したCuKα線を用いて反射式ディフラクトメーター法によって学振法で測定した値である。
この黒鉛粉末をコアとして、シェルを形成するアモルファスカーボン粉末には平均粒子径が0.05〜2μm、平均格子面間隔d(002)が0.3360nm以上のものが適用される。
アモルファスカーボン粉末の平均粒子径が0.05μmを下回る場合には、複合粒子の比表面積が大きくなり、優れた出入力特性を有したとしても、初回充電時のロスが大きくなるため好ましくない。また、2μmを上回る場合には、黒鉛粉末表面との強固な結着が得られず、出入力特性の改善が十分でなくなる。
また、アモルファスカーボン粉末の平均格子面間隔d(002)が0.3360nmを下回る場合には、2C以上の大電流で充放電した際の容量維持率が悪化することになる。なお、アモルファスカーボン粉末としては、例えばカーボンブラックや樹脂炭化物を粉砕したものなどが例示される。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材は、上記特性を有する黒鉛粉末の表面が、揮発分が25〜40%の炭素前駆体の炭化物により上記の特性を有するアモルファスカーボン粉末が被覆・結着されたコア・シェル構造の複合粒子からなり、複合粒子が
1.窒素吸着比表面積が3〜7m/g、
2.平均粒子径が7〜40μm、
3.平均格子面間隔d(002)が0.3360nm未満、
4.ラマンスペクトル強度比R=I1360/I1560が0.7以上、
を有することを特徴とする。
複合粒子の窒素吸着比表面積を3〜7m/gとするのは、3m/g未満ではリチウムイオンの脱挿入に関与する反応面積が小さいため出入力特性が低下し、一方7m/gを越えると反応面積が大きくなり、初回充電時のロスが増大するためである。なお、窒素吸着比表面積は表面積計(島津製作所製全自動表面積測定装置)を用い,測定対象に対して窒素流通下350℃で30分間予備乾燥を行った後、大気圧に対する窒素の相対圧が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用いて、ガス流動法による窒素吸着BET10点法により測定した値である。
また、複合粒子の平均粒子径を7〜40μmとするのは、7μmを下回る場合にはリチウムイオン二次電池を作製するために電解液とのスラリーを調製する際に分散性が低下するためである。一方、40μmを越える場合には、リチウムイオン二次電池の出入力特性が悪く、例えば2C以上の大電流で充放電した際の容量維持率が悪化することになる。
X線回折法により測定される複合粒子の平均格子面間隔d(002)の値は、複合粒子内部の結晶特性を示すもので、結果的にコア部分の黒鉛粉末の平均格子面間隔d(002)の値と対応することになり、この値が0.3360nm以上になると電池容量の低下を招くことになる。
ラマンスペクトルは、粒子表層の結晶構造の乱れ具合を示すもので、波長514.5nmのArレーザーを用いたラマン分光分析器(日本分光株式会社、NR1100)で測定して、表層での結晶欠陥および積層構造の不整合等による結晶構造の乱れに帰属する1360cm−1近傍のスペクトルI1360を炭素六角網面内の格子振動に相当するE2g型振動に帰属する1580cm−1近傍のスペクトルI1580で除した、ラマンスペクトルの強度比R=I1360/I1580で粒子表層の結晶構造の乱れ具合を表すことができる。優れた出入力特性を有するにはラマンスペクトルの強度比R=0.7以上とすることが好適である。
このように、本発明のリチウムイオン二次電池用負極材を構成するコア・シェル構造の複合粒子の性状を特定することにより、レート特性、可逆容量,初期効率などの電池性能の優れたリチウムイオン二次電池用負極材とすることができる。
また、電池容量を高めるために複合粒子のタップ密度を0.8g/cm以上とすることが好ましい。なお、タップ密度とは25mlメスシリンダーに複合粒子5gを入れ、振動板とのギャップを10mmとしてタッピングを1000回繰り返した後の値である。
これらの性状を備えるコア・シェル構造の複合粒子からなる本発明のリチウムイオン二次電池用負極材は、平均粒子径5〜30μm、平均格子面間隔d(002)が0.3360nm未満の黒鉛粉末と軟化点250℃以下の炭素前駆体とを加熱混合して炭素前駆体を黒鉛粉末表面に被覆し、引き続き被覆した炭素前駆体の揮発分を25〜40%に調整した炭素前駆体被覆黒鉛を得た後、前記炭素前駆体被覆黒鉛と、平均粒子径0.05〜2μm、平均格子面間隔d(002)が0.3360nm以上のアモルファスカーボン粉末を混合して黒鉛粉末表面の炭素前駆体にアモルファスカーボン粉末を被着し、次いで、非酸化性雰囲気中750〜2250℃の温度で焼成炭化することにより製造される。
先ず、平均粒子径が5〜30μm、平均格子面間隔d(002)が0.3360nm未満の黒鉛粉末を軟化点が250℃以下の炭素前駆体と加熱混合する。軟化点はJISK2207記載の軟化点試験方法(環球法)で測定され、軟化点が250℃を越えると黒鉛粉末の表面に均一に炭素前駆体を被覆することが困難で、複合粒子とした際にアモルファスカーボン粉末の接着強度の低下を招き、また加熱混合する際の作業性も低下することになる。
炭素前駆体には、例えばコールタールピッチやフェノール樹脂を溶媒に溶解した溶液などが用いられ、コールタールピッチを使用する場合は純度を高めるためにフリーカーボンを除去したピッチやキノリン不溶分1%以下のピッチが好ましい。
黒鉛粉末と炭素前駆体との混合には一般的な混練装置(ニーダー)を使用することができ、炭素前駆体の軟化点以上の温度に加熱して十分に混合する。なお、混合比は黒鉛粉末100重量部に対して、炭素前駆体10〜50重量部に調節することが好ましい。炭素前駆体の混合比が10重量部を下回ると黒鉛粉末の表面全体を均一に被覆することができないためである。
しかし、炭素前駆体の混合比が50重量部を越えると黒鉛粉末同士が強く結合して凝集する頻度が増大し、後に解砕する際に個々の粉末粒子に解砕することが困難となる。また
最終的に得られる複合粒子の粒子径が大きくなり、炭素前駆体の被覆も厚くなり、炭素前駆体の単独粒子も形成され易くなる。更に、黒鉛粉末表面の炭素前駆体の被覆が不均一になり、アモルファスカーボン粉末の被着が不均一化し易く、電池のサイクル特性が悪化するなどの問題が発生する。
このようにして加熱混合して黒鉛粉末の表面を炭素前駆体で均一に被覆する。引き続き大気などの酸化性雰囲気中で、黒鉛粉末表面に被覆した炭素前駆体を200〜250℃の温度に保持して炭素前駆体の低分子量を重合または揮散させて揮発分を25〜40%の範囲に調整する。炭素前駆体を200〜250℃の温度に保持する方法は、黒鉛粉に炭素前駆体を被覆した状態で、ニーダー中で空気に接触させて攪拌するか、または、黒鉛粉末表面に被覆した炭素前駆体をバットなどの容器に静置し、200〜250℃に空気中で保持することで行われる。処理後、引き続き、アモルファスカーボン粉末を混合するか、あるいはこれを室温に冷却して反応を停止する。
揮発分が25%を下回ると炭素前駆体の炭化物によりアモルファスカーボン粉末を強固に結着することができないためである。炭素前駆体の炭化物によりシェルとなるアモルファスカーボン粉末を強固に結着することができない場合、負極材として炭素前駆体で被覆された黒鉛粉末とアモルファスカーボン粉末の単純混合物となる。しかし、揮発分が40%を越えると炭素前駆体の粘着力が強すぎるので黒鉛粉末同士の結合や凝集が生じてアモルファスカーボン粉末の均一被覆が困難となる。炭素前駆体の粘着力が強すぎるので炭素粉末同士の結合や凝集が生じてアモルファスカーボン粉末の均一被覆が困難となる場合、負極材として炭素前駆体で被覆された黒鉛粉末凝集物とアモルファスカーボン粉末凝集物の単純混合物となる。好ましい揮発分の調整範囲は30〜35%である。
なお、揮発分は次の様に測定される。炭素前駆体を被覆した黒鉛粉末を磁性坩堝に入れて950℃で7分間保持しデシケーター中で冷却する。この後、熱処理前と後の重量から揮発分を求める。
揮発分(%)=((処理前重量(g)−処理後重量(g))/処理前重量(g))×100
黒鉛粉末の表面に炭素前駆体を被覆し揮発分を調整した後、この炭素前駆体被覆黒鉛と平均粒子径が0.05〜2μm、平均格子面間隔d(002)が0.3360nm以上のアモルファスカーボン粉末を揮発分を調整した直後の混合装置に添加するか、あるいはVブレンダーなどの混合装置で室温にて混合する。この場合、黒鉛粉末とアモルファスカーボン粉末との混合比率は黒鉛粉末100重量部に対してアモルファスカーボン粉末5〜30重量部とすることが好適である。
アモルファスカーボン粉末の混合比率が5重量部を下回ると黒鉛粉末の表面全体を被覆することができず、アモルファスカーボン粉末がない部分が存在するのでリチウムイオン二次電池の高速充電性能が低下する。しかし、30重量部を上回る場合には、可逆容量が減少するため好ましくない。好ましい範囲は、10〜20重量部である。
炭素前駆体被覆黒鉛にアモルファスカーボン粉末を被着する方法は前記した混合粉に機械的衝撃を与えながら粉末粒子の圧縮または摩擦を利用して機械的エネルギーを付与する方法あるいはニーダーなどの装置で捏合により加熱混合する方法で行う。混合粉に機械的衝撃を与えながら粉末粒子の圧縮または摩擦を利用して機械的エネルギーを付与する方法では、例えば、奈良機械製ハイブリダイゼーションシステムやホソカワミクロン製メカノフュージョンシステムのような装置によって行われる。このような処理を行うことにより混合粉は昇温され、適度な温度域に達すると揮発分調整した炭素前駆体は軟質化して適度な粘着性を有する状態となる。アモルファスカーボン粉末は軟質化した炭素前駆体中に接触・衝突して被着される。
また、混合粉をニーダー捏合により、200〜250℃で30分〜1時間処理することで、アモルファスカーボン粉末は軟質化した炭素前駆体中に分散し被着される。この場合、揮発分調整・混合・被着処理を連続して行うことができるので効率的である。これらの処理によりアモルファスカーボン粉末は炭素前駆体に埋め込まれて接着し、黒鉛粉末表面に炭素前駆体を介してアモルファスカーボン粉末が強固に被着する。
次いで、アモルファスカーボン粉末を被着した黒鉛粉末を非酸化性雰囲気中750〜2250℃の温度に加熱して炭素前駆体を焼成炭化して、炭化物により黒鉛粉末の表面にアモルファスカーボン粉末が被覆・結着されたコア・シェル構造の複合粒子が得られる。
なお、炭素前駆体を焼成炭化する温度が750℃以下では未燃分が残存するのでリチウムイオン二次電池の充放電効率の低下やサイクル特性の劣化を招くことになり、一方2250℃以上の温度ではアモルファスカーボン粉末や炭素前駆体の炭化物の黒鉛結晶化が進むため、大電流での充放電効率の低下や定格容量の低下を招くので好ましくない。
このようにして得られた複合粒子は、必要により解砕、分級して粒度調整することにより本発明のリチウムイオン二次電池用の負極材が製造される。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。
複合粒子の製造;
実施例1
缶体温度を200℃に調整したニーダー容器に平均粒子径17.0μm、d(002)=0.3355nmの球形化天然黒鉛(日本黒鉛工業社製、CGC−15)100重量部に対し、炭素前駆体としてコールタールピッチ(JFEケミカル社製PKQL、軟化点70℃、揮発分45%)30重量部を加え、ニーダーの上蓋を閉じて200℃の温度で30分間加熱混合して黒鉛粉末の表面に炭素前駆体を被覆した。引き続き、上蓋を大気開放して200℃の温度で保持してコールタールピッチの揮発分が35%となるように撹拌しながら調整した。揮発分調整は、200℃の温度での保持途中で10分おきにサンプリングし、揮発分測定を行ない、揮発分が35%となった時点で調整を終了する。
次に、ファーネスブラック(東海カーボン社製、S−TA、X線回折による結晶面間隔d(002)が0.3620nm、平均粒子径が0.7μm)を10重量部更に添加して、ニーダーの上蓋を閉じて200℃で1時間捏合して排出冷却した。得られた黒鉛粉末表面にファーネスブラックが被着した粉体を窒素ガス雰囲気下800℃で焼成炭化し、次いで、ターボミル(マツボー株式会社製)で粉砕した後、篩分級して目開き32μmの篩下分を複合粒子として製造した。
実施例2
実施例1と同じ黒鉛粉末100重量部に対して、コールタールピッチ(JFEケミカル社製PKE、軟化点89℃、揮発分35%)10重量部を加え、ニーダーの上蓋を閉じて大気中200℃の温度で30分間加熱混合して黒鉛粉末の表面に炭素前駆体を被覆した。引き続き、200℃の温度で保持してコールタールピッチの揮発分が30%となるように実施例1と同様に調整した。
次に、ランプブラック(カルボフィンGK、X線回折による結晶面間隔d(002)0.3740nm、平均粒子径0.9μm)を5重量部更に添加して、ニーダーの上蓋を閉じて200℃で1時間、捏合して排出冷却した。得られた黒鉛粉末表面にランプブラックが被着した粉体を窒素ガス雰囲気下1000℃で焼成炭化し、次いで、実施例1と同じ方法で複合粒子を製造した。
実施例3
平均粒子径30.0μm、d(002)=0.3355nmの球形化天然黒鉛(日本黒鉛工業社製、CGC−30)100重量部に対し、メソフェーズピッチ(JFEケミカル社製MCP−150D、軟化点150℃、揮発分40%)20重量部を加え、ニーダーの上蓋を閉じて大気中200℃の温度で30分間加熱混合して黒鉛粉末の表面に炭素前駆体を被覆した。引き続き、200℃の温度で保持してコールタールピッチの揮発分が30%となるよう実施例1と同様に調整した。
次に、難黒鉛化コークス(X線回折による結晶面間隔d(002)0.3422nm、平均粒子径1.8μm)を30重量部更に添加して、ニーダーの上蓋を閉じて200℃で1時間、捏合して排出冷却した。得られた黒鉛粉末表面に難黒鉛化コークスが被着した粉体を窒素ガス雰囲気下1500℃で焼成炭化し、次いで、実施例1と同じ方法で複合粒子を製造した。
実施例4
平均粒子径17.0μm、d(002)=0.3355nmの球形化天然黒鉛(日本黒鉛工業社製、CGC−15)100重量部に対し、メソフェーズピッチ(JFEケミカル社製MCP−250D、軟化点250℃、揮発分30%)10重量部を加え、ニーダーの上蓋を閉じて大気中250℃の温度で30分間加熱混合して黒鉛粉末の表面に炭素前駆体を被覆した。引き続き、250℃の温度で保持してコールタールピッチの揮発分が25%となるよう実施例1と同様に調整した。
次に、炭素微小球(東海カーボン社製、X線回折による結晶面間隔d(002)が0.3640nm、平均粒子径が0.4μm)5重量部を更に添加してニーダーの上蓋を閉じて200℃で1時間、捏合して排出冷却した。得られた黒鉛粉末表面に炭素微小球が被着した粉体を窒素ガス雰囲気下1500℃で焼成炭化し、次いで、実施例1と同じ方法で複合粒子を製造した。
実施例5
平均粒子径5.6μm、d(002)=0.3358nmのニードルコークス2800℃処理品100重量部に対し、コールタールピッチ(軟化点70℃、揮発分60%)50重量部を加えて、ニーダーの上蓋を閉じて大気中200℃の温度で30分間加熱混合して黒鉛粉末の表面に炭素前駆体を被覆した。引き続き、200℃の温度で保持してコールタールピッチの揮発分が35%となるよう実施例1と同様に調整した。
次に、アサヒサーマルブラックの粗粒分(2μmを越える粒子)を除いた分級品(X線回折による結晶面間隔d(002)が0.3630nm、平均粒子径が0.05μm)10重量部を更に添加してニーダーの上蓋を閉じて200℃で1時間、捏合して排出冷却した。得られた黒鉛粉末表面にアサヒサーマルブラックが被着した粉体を窒素ガス雰囲気下2250℃で焼成炭化し、次いで、実施例1と同じ方法で複合粒子を製造した。
実施例6
缶体温度を200℃に調整したニーダー容器に平均粒子径17.0μm、d(002)=0.3355nmの球形化天然黒鉛(日本黒鉛工業社製、CGC−15)100重量部に対し、炭素前駆体としてコールタールピッチ(JFEケミカル社製PKQL、軟化点70℃、揮発分45%)30重量部を加え、200℃の温度で30分間加熱混合して黒鉛粉末の表面に炭素前駆体を被覆した。引き続き、上蓋を大気開放して200℃の温度で保持してコールタールピッチの揮発分が35%となるよう実施例1と同様に調整し、排出冷却した。
次に、前記炭素前駆体を被覆黒鉛粉末100重量部にファーネスブラック(東海カーボン社製、S−TA、X線回折による結晶面間隔d(002)が0.3620nm、平均粒子径が0.7μm)を10重量部添加して、Vブレンダーで混合した。得られた混合粉末を奈良機械製ハイブリダイゼーションシステム(回転数8000rpm)に投入して炭素前駆体を被覆黒鉛粉末にファーネスブラックを固着した。得られた黒鉛粉末表面にファーネスブラックが被着した粉体を窒素ガス雰囲気下800℃で焼成炭化し、次いで、ターボミル(マツボー株式会社製)で粉砕した後、篩分級して目開き32μmの篩下分を複合粒子として製造した。
比較例1
実施例1において、平均粒子径35.0μm、d(002)=0.3355nmの球形化天然黒鉛(日本黒鉛工業社製、LB−GC−35)を使用し、焼成炭化温度を1000℃とした他は実施例1と同じ方法で、複合粒子を製造した。
比較例2
実施例1において、平均粒子径2.0μm、d(002)=0.3355nmの球形化天然黒鉛(日本黒鉛工業社製、LB−GC−10を粗粒除去した)を使用し、焼成炭化温度を1000℃とした他は実施例1と同じ方法で、複合粒子を製造した。
比較例3
実施例1で使用した球形化天然黒鉛の代わりに難黒鉛化コークス2800℃処理品(平均粒子径13.0μm、d(002)=0.3364nm)を使用した他は実施例1と同じ方法で、複合粒子を製造した。
比較例4
実施例1で使用したファーネスブラックの代わりに大粒のガラス状炭素質炭素小球体(平均粒子径3.0μm、d(002)=0.3790nm)を使用し、焼成炭化温度を1000℃とした他は実施例1と同じ方法で、複合粒子を製造した。
比較例5
実施例1において、コールタールピッチの揮発分を調整しない他は実施例1と同じ方法で混合粒子を製造した。
比較例6
実施例1において、4時間混合してコールタールピッチの揮発分を20%に調整した他は実施例1と同じ方法で、複合粒子を製造した。
比較例7
実施例1において、コールタールピッチをメソフェーズピッチ改質品(軟化点300℃、揮発分20%)に変え、焼成炭化温度を1000℃とした他は実施例1と同じ方法で、複合粒子を製造した。
比較例8
実施例1において、ファーネスブラックの混合量を1重量部とした他は実施例1と同じ方法で、複合粒子を製造した。
比較例9
実施例1において、ファーネスブラックの混合量を40重量部とした他は実施例1と同じ方法で、複合粒子を製造した。
比較例10
実施例1において、コールタールピッチの混合量を5重量部とし、焼成炭化温度を2500℃としたこと他は実施例1と同じ方法で、複合粒子を製造した。
比較例11
実施例1において、コールタールピッチの混合量を60重量部とし、焼成炭化温度を2500℃としたこと他は実施例1と同じ方法で、複合粒子を製造した。
比較例12
実施例1において、焼成炭化温度を2500℃とした他は実施例1と同じ方法で、複合粒子を製造した。
比較例13
実施例1において、焼成炭化温度を600℃とした他は実施例1と同じ方法で、複合粒子を製造した。
これらの複合粒子の製造に用いた黒鉛粉末、アモルファスカーボン粉末、炭素前駆体などの特性および混合量などを表1に示した。
Figure 2008282547
また、複合粒子の製造条件および特性を表2に示した。
Figure 2008282547
これらの複合粒子を負極材として、下記の方法でリチウムイオン二次電池を作成して、電池性能を評価した。
スラリーの調製;
複合粒子100重量部に対し、増粘剤として1wt%のカルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液を適量投入して30分間攪拌混合した後、結合剤として40wt%のスチレン−ブタジエンゴム(SBR)水溶液を適量投入して5分間攪拌混合し、負極合材ペーストを調製した。
作用極の作製;
得られた負極合材ペーストを厚さ18μmの銅箔(集電体)上に塗布し、真空中で130℃に加熱して溶媒を完全に揮発させた。得られた電極シートを極板密度が1.5g/ccになるようローラープレスで圧延し、ポンチで打ち抜いて作用極を得た。
対極の作製;
不活性雰囲気下、リチウム金属箔をポンチで打ち抜いたニッケルメッシュ(集電体)にめり込ませ、対極を得た。
評価電池の作製;
前記の作用極、対極を使用し、評価用電池としてボタン型電池を不活性雰囲気下で組み立てた。電解液は1mol/dmのリチウム塩LiPFを溶解したエチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC) 1:1混合溶液を使用した。充電は電流密度0.2mA/cm、終止電圧5mVで定電流充電を終えた後、下限電流0.02mA/cmとなるまで定電位保持する。放電は電流密度0.2mA/cmにて終止電圧1.5Vまで定電流放電を行い、5サイクル終了後の放電容量を定格容量とした。引き続き、5mA/cmでの定電流充電を行い、充放電試験の結果を表3に示した。
Figure 2008282547
本発明による実施例1〜6のコア・シェル構造の複合粒子はリチウムイオン二次電池用負極材として可逆容量、初回ロス及び初期効率の基本特性を維持しつつ急速充電容量に優れたものである。
比較例1では黒鉛粒子の粒径が大きく、充電時におけるリチウムイオンの粒内拡散距離が長くなるため、充電容量が小さい値となっている。比較例2ではコア黒鉛粒子とシェルの粒子径比が小さく、シェルの固定化が困難であるためにコア黒鉛粒子のレート特性が改善されていない。また、比表面積が大きいため、充電時の反応ロスが大きく、初期効率が小さい値となっている。比較例3ではコア黒鉛粒子の黒鉛結晶子の層間距離が大きく、黒鉛化度が不十分であるためリチウムイオン挿入サイトが少なく、可逆容量が小さい値となっている。
比較例4ではシェルの粒子径が過大であるためシェルがコア表面に固定化されず、コア黒鉛粒子のレート特性が改善されず、充電容量が小さい値となっている。比較例5では炭素前駆体の揮発分制御を行なっておらず、炭素前駆体の流動性が過度に良好であるため混練時にシェル同志の凝集を生じ、コア表面へのシェルの被覆が不均一となるためコア黒鉛粒子のレート特性が改善されず、充電容量が小さい値となっている。比較例6では炭素前駆体の揮発分が少なく、粘着分が不十分であるためシェル粒子の固定化が困難であり、均一なコア−シェル構造複合粒子が得られていないため、コア黒鉛粒子のレート特性が改善されず、充電容量が小さい値となっている。
比較例7では炭素前駆体の炭化焼成後に残存する非晶質炭素分が過多であり、リチウムイオン挿入サイトが少なくなるため可逆容量が小さい値となっている。比較例8ではシェル量が過少であるためシェルの被覆が不十分であり、コア黒鉛粒子のレート特性が改善されず、充電容量が小さい値となっている。比較例9ではシェル量が過剰であるため、被覆されずに残存するシェルが多く、充電時の反応ロスが大きくなるため初期効率が小さい値となっている。
比較例10では炭素前駆体の被覆が不十分であり、シェルが固定化されずに単体で残存するため、コア黒鉛粒子のレート特性が改善されていない。また、処理温度が2500℃と高く、シェルおよび炭素前駆体の黒鉛結晶構造の発達に伴い、リチウムイオン挿入時の反応抵抗が増加するためコア黒鉛粒子のレート特性が改善されず、充電容量が小さい値となっている。比較例11では焼成炭化温度が2500℃と高く、シェルおよび炭素前駆体の黒鉛結晶構造の発達に伴い、リチウムイオン挿入時の反応抵抗が増加するためコア黒鉛粒子のレート特性が改善されず、充電容量が小さい値となっている。また、炭素前駆体量が過剰であるためコアおよびシェル同士の造粒を招き、シェルの被覆が不均一となってしまい、コア黒鉛粒子のレート特性が改善されず、充電容量が小さい値となっている。
比較例12では焼成炭化温度が2500℃と高く、シェルおよび炭素前駆体の黒鉛結晶構造の発達に伴い、リチウムイオン挿入時の反応抵抗が増加するためコア黒鉛粒子のレート特性が改善されず、充電容量が小さい値となっている。比較例13では焼成炭化温度が低く、炭素前駆体の未燃有機物が多く残存し、充電時に電池反応とは無関係の電解反応を伴うため初期効率が低い値となっている。
このように実施例では、コアとなる黒鉛粒子表面に炭素前駆体の被覆した後、シェルとなるアモルファスカーボン粉末同士の凝集を招かないように炭素前駆体の揮発分を適度に調節することにより、炭素前駆体の粘着性を残した状態でシェルの固定化処理を行なうことにより良好なコア・シェル構造の複合粒子からなるリチウムイオン二次電池用負極材が製造可能となる。

Claims (4)

  1. 平均粒子径が5〜30μm、平均格子面間隔d(002)が0.3360nm未満の黒鉛粉末の表面が、平均粒子径が0.05〜2μm、平均格子面間隔d(002)が0.3360nm以上のアモルファスカーボン粉末を揮発分が25〜40%の炭素前駆体の炭化物により被覆・結着されたコア・シェル構造の複合粒子からなり、複合粒子が下記性状
    1.窒素吸着比表面積が3〜7m/g、
    2.平均粒子径が7〜40μm、
    3.平均格子面間隔d(002)が0.3360nm未満、
    4.ラマンスペクトル強度比R=I1360/I1560が0.7以上、
    を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材。
  2. 平均粒子径5〜30μm、平均格子面間隔d(002)が0.3360nm未満の黒鉛粉末と軟化点250℃以下の炭素前駆体とを加熱混合して炭素前駆体を黒鉛粉末表面に被覆し、引き続き被覆した炭素前駆体の揮発分を25〜40%に調整して炭素前駆体被覆黒鉛を得た後、前記炭素前駆体被覆黒鉛と平均粒子径0.05〜2μm、平均格子面間隔d(002)が0.3360nm以上のアモルファスカーボン粉末とを混合した後、混練または衝撃により黒鉛粉末表面の炭素前駆体にアモルファスカーボン粉末を被着し、次いで、非酸化性雰囲気中750〜2250℃の温度で焼成炭化することを特徴とするコア・シェル構造の複合粒子からなるリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法。
  3. 黒鉛粉末100重量部に対し、炭素前駆体10〜50重量部を混合する請求項2記載のリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法。
  4. 黒鉛粉末100重量部に対し、アモルファスカーボン粉末5〜30重量部を混合する請求項2または3記載のリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法。
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