JP5712538B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、負極を有する非水電解液二次電池に関するものである。
電子機器の小型化に伴う高容量の二次電池に対する需要の高まりから、高エネルギー密度で大電流充放電特性に優れたリチウムイオン二次電池が開発されている。そして近年では、上記の分野に加えて、特に、環境問題、資源問題等を背景に開発が急がれている電気自動車用の電源としての利用を中心に、加速性などの要求から、大電流で充放電可能な、高出力・高入力性の二次電池が求められている。
ハイブリッド自動車用にリチウムイオン二次電池を使用する場合、必ずしも高容量である必要はないが、自動車の発進・加速する際に大きなエネルギーを要し、且つ減速・停止する際のエネルギーを効率良く回生させなければならないため、これまで求められてきた高い安全性や耐久性に加えて、非常に高い入出力特性が要求される。特に、リチウムイオン二次電池は低温時に入出力特性が低下する傾向にあるため、低温下でも高い入出力特性を維持することが要求される。
リチウムイオン二次電池のうち、金属リチウムを負極とする二次電池は、高容量化を達成できる電池として古くから盛んに研究が行われている。しかし、これらの電池には、金属リチウムが充放電の繰り返しによりデンドライト状に成長し、最終的に正極に達して電池内部において短絡が生じてしまうという問題があり、この問題は金属リチウムイオン二次電池を実用化する際の最大の技術的な問題となっている。
そこで負極に、例えばコークス、人造黒鉛、天然黒鉛等のリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な炭素質材料を用いた非水系電解液二次電池が提案されている。このような非水系電解液二次電池では、リチウムが金属状態で存在しないため、デンドライトの形成が抑制され、電池寿命と安全性を向上することができる。特に、黒鉛化度の大きい黒鉛をリチウムイオン二次電池用の負極活物質として用いると、黒鉛のリチウム吸蔵の理論容量である372mAh/gに近い容量が得られ、さらに、コスト・耐久性にも優れることから、活物質として好ましいことが知られている。
リチウムイオン二次電池の負極板は、前述の負極活物質として用いられる炭素材、結着剤を適当な溶剤に分散または溶解させて、スラリー状の塗工組成物とし、金属箔集電体の表面に塗布され、溶剤を乾燥、成形させて負極活物質層を形成することにより作製される。
前記炭素材負極表面には通常、結着剤などに用いられる高分子化合物や非水系電解液との反応により形成されるSEI(Solid Electrolyte Interphace)と呼ばれる保護皮膜が存在することによって電解液との接触を防ぎ、負極の化学的安定性が保たれている。しかしながら、前記結着剤などに用いられる高分子化合物や安定なSEI保護皮膜形成のために抵抗が上昇し、電池の入出力特性が低下するという問題点があった。
こうした技術背景の下、リチウムイオン二次電池の出力特性を改善するための手段として、正極や負極の活物質を始めとする様々な電池の構成要素についての技術が検討されており、負極板に関する技術についても多くの技術が検討されている。
例えば、電池入出力特性低下の抑制を目的として、結着材としてスチレンブタジエンラテックス(SBR)などのオレフィン性不飽和結合を有する化合物とともに、カルボキシ
ルメチルセルロース、及びその塩を用い、これらカルボキシルメチルセルロース、及びその塩のエーテル化度や平均分子量や塩の対イオンの調整をする技術が知られている。特許文献1〜3などで、CMCのナトリウム、及びリチウム塩を用いた例が開示されている。その中で、代表的な物性値であるエーテル化度や平均分子量や好ましい対イオンについて開示されている。
また、負極結着材に電解液との親和性の高いポリフッ化ビニリデンなどの有機系バインダーを用いて電池入出力特性の向上を図る技術が知られている。例えば、特許文献4では、平均粒径が10μm以下の小粒子から成る電極活物質に粒子径を制御した導電材を混合した炭素材に、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを用いて二次電池用電極を作製する技術が知られている。また、特許文献5では、負極合剤の負極集電体への両面合剤塗工量を6mg/cm 以上8mg/cm以下に、負極合剤の密度を1.4g/cm以上1.
7g/cmである負極を用いる技術が、特許文献6では、負極活物質として黒鉛質粉末、カーボンブラック、及び有機物バインダーを混合して焼成した炭素粉末を用い、ここに有機系バインダーと分散媒を加えて混練りしたペーストを金属製の集電体上に塗工、乾燥、プレスし、塗工厚さが30〜100μm、電極密度を0.9〜1.5g/cmとする技術が開示されている。
特開平10−154513号公報 特開平11−67213号公報 特開2002−237305号公報 特開2007−184127号公報 特開2008−218248号公報 特開2009−048924号公報
しかしながら本発明者らの検討によると、特許文献1から3に記載の技術では、炭素負極活物質材料にスチレンブタジエンラテックス(SBR)などのオレフィン性不飽和結合を含む化合物と、カルボキシルメチルセルロース、及びその塩を含む化合物を結着剤として加えた場合、負極活物質同士、及び負極活物質と集電体との結着性が良好であるが、抵抗の抑制については不十分であり、電池の入出力特性が不足するという問題が見られ、特に低温領域において抵抗上昇、入出力特性の不足は顕著に見られた。また、特許文献4〜6に記載の技術では、負極結着材として電解液膨潤性の高いポリフッ化ビニリデンを用いているため、負極表面と電解液との接点が増え入出力特性が向上する一方で、充放電サイクルにおける負極表面と電解液の副反応性量が増大し、電池の耐久性が悪化するという問題が見られた。
そこで、本発明は、かかる背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は低温でも抵抗の上昇を抑制して入出力特性と耐久性に優れたリチウムイオン二次電池を作製するための負極を提供し、その結果として、低温でも高入出力特性、且つ高い耐久性を有するリチウムイオン二次電池を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えた非水電解液二次電池において、該負極にリチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)と周期表第13族元素(B)を含み、該負極密度を1.1g/cm以上1.6g/cm以下とすることにより、低温でも抵
抗の上昇を抑制し、入出力特性と耐久性に優れた非水電解液二次電池を作製することが可能となることを見出し、本発明に至った。
即ち本発明の第1の要旨は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えた非水電解液二次電池であって、該負極が、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)、周期表第13族元素(B)及びメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉、カラギナン、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸からなる群より選ばれる水溶性高分子(C)のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩あるいはアンモニウム塩を含有し、該水溶性高分子(C)中に該周期表第13族元素(B)が存在し、負極密度が1.1g/cm以上1.6g/cm以下であることを特徴とする非水電解液二次電池に存する。

本発明により、低温でも高い入出力特性を有し、且つ高耐久性を有する非水電解液二次電池を提供することにある。
以下、本発明の内容を詳細に述べる。なお、以下に記載する発明構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨をこえない限り、これらの形態に特定されるものではない。
本発明の非水電解液二次電池は、少なくともリチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えた非水電解液二次電池であって、該負極が、少なくともリチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)と周期表第13族元素(B)を含有し、負極密度が1.1g/cm以上1.6g/cm以下ある。
<リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)>
・リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)の種類
リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)(本明細書では、炭素材(A)ともいう)としては、天然黒鉛、人造黒鉛、非晶質被覆黒鉛、非晶質炭素の中から選ばれる材料を用いることができる。これらの炭素材(A)は二種以上を任意の組成及び組み合わせで併用して、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)として好適に使用することができ、一種又は二種以上を、他の一種又は二種以上の炭素材と混合し、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)として用いても良い。
例えば、炭素材(X)に炭素材(Y)を混合し炭素材(A)とする場合、炭素材(X)と炭素材(Y)の総量に対する炭素材(Y)の混合割合は、通常10重量%以上、好ましくは20重量%以上、また、通常90重量%以下、好ましくは80重量%以下の範囲である。混合割合が、前記範囲を外れると、添加量が少ない方の炭素材(A)の添加効果が現れ難い傾向がある。上記混合割合について、三種以上混合する場合は、炭素材(A)中の混合割合が大きい2つの炭素材を選択するものとする。
炭素材(X)と炭素材(Y)との混合に用いる装置としては、特に制限はないが、例えば、回転型混合機の場合:円筒型混合機、双子円筒型混合機、二重円錐型混合機、正立方型混合機、鍬形混合機、固定型混合機の場合:螺旋型混合機、リボン型混合機、Muller型混合機、Helical Flight型混合機、Pugmill型混合機、流動
化型混合機等を用いることができる。
非晶質炭素としては、例えば、バルクメソフェーズを焼成した粒子や、炭素前駆体を不融化処理し、焼成した粒子を用いることができる。
また、黒鉛が商業的にも容易に入手可能であり、理論上372mAh/gの高い充放電容量を有することができるため、さらに他の負極活物質を用いた場合よりも、高電流密度での充放電特性の改善効果が著しく大きいので好ましい。
黒鉛は、天然黒鉛、人造黒鉛の何れを用いてもよい。黒鉛としては、不純物の少ないも
のが好ましく、必要に応じて種々の精製処理を施して用いる。また、黒鉛化度の大きいものが好ましく、具体的には、X線広角回折法による(002)面の面間隔(d002)は、通常0.335nm以上、0.340nm未満の炭素のことである。ここで、d002値は好ましくは0.339nm以下、更に好ましくは0.337nm以下である。d002値が大きすぎると結晶性が低下し、初期不可逆容量が増加する場合がある。一方0.335nmは黒鉛の理論値である。
天然黒鉛としては、例えば、高純度化した鱗片状黒鉛や球形化した黒鉛を用いることができる。中でも、粒子の充填性や充放電負荷特性の観点から、球形化処理を施した球状黒鉛が特に好ましい。
球形化処理に用いる装置としては、例えば、衝撃力を主体に粒子の相互作用も含めた圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を繰り返し粒子に与える装置を用いることができる。具体的には、ケーシング内部に多数のブレードを設置したローターを有し、そのローターが高速回転することによって、内部に導入された炭素材に対して衝撃圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を与え、表面処理を行なう装置が好ましい。また、炭素材を循環させることによって機械的作用を繰り返して与える機構を有するものであるのが好ましい。好ましい装置として、例えば、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロン(アーステクニカ社製)、CFミル(宇部興産社製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)等が挙げられる。これらの中で、奈良機械製作所社製のハイブリダイゼーションシステムが好ましい。
例えば前述の装置を用いて処理する場合は、回転するローターの周速度を30〜100m/秒にするのが好ましく、40〜100m/秒にするのがより好ましく、50〜100m/秒にするのが更に好ましい。また、処理は、単に炭素質物を通過させるだけでも可能であるが、30秒以上装置内を循環又は滞留させて処理するのが好ましく、1分以上装置内を循環又は滞留させて処理するのがより好ましい。
人造黒鉛の具体例としては、コールタールピッチ、石炭系重質油、常圧残油、石油系重質油、芳香族炭化水素、窒素含有環状化合物、硫黄含有環状化合物、ポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、天然高分子、ポリフェニレンサイルファイド、ポリフェニレンオキシド、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂などの有機物を、通常2500℃以上、通常3200℃以下の範囲の温度で焼成し、黒鉛化したものが挙げられる。この際、珪素含有化合物やホウ素含有化合物などを黒鉛化触媒として用いることもできる。
また、黒鉛化度の小さい炭素材としては、有機物を通常2500℃以下の温度で焼成したものが用いられる。有機物の具体例としては、コールタールピッチ、乾留液化油などの石炭系重質油;常圧残油、減圧残油などの直留系重質油;原油、ナフサなどの熱分解時に副生するエチレンタール等の分解系重質油などの石油系重質油;アセナフチレン、デカシクレン、アントラセンなどの芳香族炭化水素;フェナジンやアクリジンなどの窒素含有環状化合物;チオフェンなどの硫黄含有環状化合物;アダマンタンなどの脂肪族環状化合物;ビフェニル、テルフェニルなどのポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラールなどのポリビニルエステル類、ポリビニルアルコールなどの熱可塑性高分子などが挙げられる。
更に黒鉛化度の小さい炭素材(A)を得る場合、有機物の焼成温度は通常600℃以上、好ましくは900℃以上、より好ましくは950℃以上である。その上限は、炭素材に付与する所望の黒鉛化度等により異なるが、通常2500℃以下、好ましくは2000℃以下、より好ましくは1400℃以下の範囲である。焼成する際には、有機物に燐酸、ホ
ウ酸、塩酸などの酸類、水酸化ナトリウム等のアルカリ類を混合してもよい。
炭素材(A)は、炭素材に金属粒子、及び金属酸化物粒子等の粒子を任意の組み合わせで適宜混合して用いても良い。また、個々の粒子中に複数の材料が混在するものであってもよい。例えば、黒鉛の表面を黒鉛化度の小さい炭素材で被覆した構造の炭素質粒子や、黒鉛粒子を適当な有機物で集合させ再黒鉛化した粒子でも良い。非晶質被覆黒鉛としては、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛に非晶質前駆体を被覆、焼成した粒子や、天然黒鉛や人造黒鉛に非晶質をCVDにより被覆した粒子を用いることができる。
更に、前記複合粒子中にSn、Si、Al、BiなどLiと合金化可能な金属を含んでいても良い。
・炭素材(A)の物性
本発明における炭素材(A)は以下の物性を示すものが好ましい。なお、本発明における測定方法は特に制限はないが、特段の事情がない限り実施例に記載の測定方法に準じる。
(1)炭素材(A)の粒径
リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)の粒径(d50)については特に制限が無いが、使用される範囲として、d50が通常50μm以下、好ましくは30μm以下、更に好ましくは25μm以下である。また1μm以上、好ましくは4μm以上、更に好ましくは10μm以上である。この粒径が大きすぎると極板化した際に、筋引きなどの工程上の不都合が出る傾向があり、また、粒径が小さすぎると、表面積が大きくなりすぎ電解液との活性を抑制しにくくなる傾向がある。
なお粒径の測定方法は、界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液10mLに、炭素材0.01gを懸濁させ、市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置に導入し、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、測定装置における体積基準のメジアン径として測定したものを、本発明におけるd50と定義する。
(2)炭素材(A)のBET比表面積(SA)
本発明の炭素材(A)のBET法で測定したBET比表面積(SA)は、通常1m/g以上、好ましくは1.5m/g以上である。また、通常11m/g以下、好ましくは9m/g以下、より好ましくは8m/g以下である。比表面積が小さすぎると、Liが出入りする部位が少なく、高速充放電特性出力特性に劣る傾向があり、一方、比表面積が大きすぎると、活物質の電解液に対する活性が過剰になり、初期不可逆容量が大きくなるため、高容量電池を製造できない可能性がある。
なおBET比表面積の測定方法は、比表面積測定装置を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET1点法にて測定する。
(3)炭素材(A)のX線構造解析(XRD)
炭素材(A)のX線構造解析(XRD)から得られる、Rhombohedral(菱
面体晶) に対するHexagonal(六方体晶)の結晶の存在比(3R/2H)は0.01以上0.50以下であることが好ましい。3R/2H値がこの範囲を下回ると、高速充放電特性の低下を招く虞があり、この範囲を上回ると3R/2H値の調整が困難となり、製造処理を強く長時間行う必要が生じたり、工程数を増加させる必要が生じたりする傾向があり、生産性の低下、コストの上昇を招く虞がある。
なお、X線構造解析(XRD)の測定方法は、0.2mmの試料板に炭素材を配向しないように充填し、X線回折装置で、CuKα線にて出力30kV、200mAで測定する
。得られた43.4°付近の3R(101)、及び44.5°付近の2H(101)の両ピークからバックグラウンドを差し引いた後、強度比3R(101)/2H(101)を算出できる。
(4)炭素材(A)のタップ密度
本発明の炭素材(A)のタップ密度は、通常0.7g/cm以上が好ましく、1g/cm以上がより好ましい。また、通常1.3g/cm以下、1.2g/cm以下が好ましく、1.1g/cm以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる傾向がある。
本発明において、タップ密度は、粉体密度測定器を用い、直径1.6cm、体積容量20cmの円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して、炭素材を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の重量から求めた密度をタップ密度として定義する。
(5)炭素材(A)のラマンスペクトル(Raman)スペクトル
本発明の炭素材(A)のラマンR値は、1580cm−1付近のピークPの強度Iと、1360cm−1付近のピークPの強度Iとを測定し、その強度比R(R=I/I)を算出して定義する。その値は通常0.01以上、好ましくは0.05以上である。また、通常1以下、好ましくは0.5以下である。ラマンR値が小さすぎると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向し易くなり、負荷特性の低下を招く傾向がある。一方、ラマンR値が大きすぎると、粒子表面の結晶が乱れ、電解液との反応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を招く傾向がある。
ラマンスペクトルはラマン分光器で測定できる。具体的には、測定対象粒子を測定セル内へ自然落下させることで試料充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、測定セルをこのレーザー光と垂直な面内で回転させながら測定を行なう。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
(6)炭素材(A)の表面官能基量
本発明の炭素材(A)の表面官能基量O/Cは、下記式1で表される、表面官能基量O/C値が通常0.01%以上、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.07%以上である。また、通常10%以下、好ましくは8%以下、より好ましくは7%以下である。この表面官能基量が少なすぎると、電解液との反応性に乏しく、安定なSEI形成ができなくなる傾向がある。一方、表面官能基量が多すぎると、粒子表面の結晶が乱れ、電解液との反応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を招く傾向がある。また、O/C値の調整が困難となり、製造処理を強く長時間行う必要が生じたり、工程数を増加させる必要が生じたりする傾向があり、生産性の低下、コストの上昇を招く傾向がある。
式1
O/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析におけるO1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたO原子濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度 × 100
本発明における表面官能基量はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定することができる。
表面官能基量O/C値は、X線光電子分光法測定としてX線光電子分光器を用い、測定対象を表面が平坦になるように試料台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、マルチプレックス測定により、C1s(280〜300eV)とO1s(525〜545eV)のスペクトルを測定する。得られたC1sのピークトップを284.3eVとして帯電補正し、C1sとO1sのスペクトルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、CとOの表面原子濃度をそれぞれ算出する。得られたそのOとCの原子濃度比O/C(O原子濃度/C原子濃度)を炭素材(A)の表面官能基量O/C値と定義する。
<周期表第13族元素(B)>
周期表第13族元素(B)とは、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムが挙げられ、この中でも、ホウ素及び/又はアルミニウムが好ましい。
また、周期表第13族元素(B)を含む化合物を周期表第13族元素含有化合物(B’)(本明細書では、第13族元素含有化合物(B’)ともいう)といい、通常、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムを一種以上含む化合物である。この中でも、ホウ素、アルミニウムを含む化合物が入手の簡便さから好ましく用いることができる。上述した元素を含む化合物としては、酸化物、硫化物、無機酸、及び無機酸塩などが挙げられる。これらの中でも、ホウ酸、メタホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸塩、アルミン酸塩がより好ましく、酸化ホウ素及び/又はホウ酸リチウムが特に好ましい。
上述したようなホウ素を含む化合物は、水溶性高分子(C)との相溶性が良く、水溶液中での水溶性高分子(C)の変性やゲル化するといった影響が少なく、均一混合・分散させることが出来るためより好ましい。
本発明における第13族元素含有化合物(B’)と炭素材(A)の混合割合は、炭素材(A)に対して第13族元素含有化合物(B’)の含有量が、通常0.01wt%以上、好ましくは0.02wt%以上である。また通常10wt%以下、好ましくは5wt%以下である。第13族元素含有化合物(B’)が少なすぎると抵抗低減による入出力特性の向上効果が不十分となり、一方、第13族元素含有化合物(B’)が多すぎると負極活物質である炭素材量が減少することにより電池容量が低下する傾向がある。
<水溶性高分子(C)>
本発明の水溶性高分子(C)は水に完全に溶解する高分子が好ましいが、非水溶性高分子であっても、親水性成分を導入して一部を水へ可溶化させることにより、水への分散性を付与した高分子であっても良い。水溶性高分子(C)はイオン結合可能なカチオン、もしくはアニオンを含む官能基、及び/または水素結合ドナー(水素供与原子)、もしくは
アクセプター(水素受容原子)を含む官能基を有することが好ましい。具体的には、カルボキシル基、水酸基、カルボニル基、エーテル基、エステル基などの含酸素官能基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基などの含硫黄官能基、アミノ基やアミド基、イミド基などの含窒素官能基、燐酸基などの含燐官能基、もしくは電気陰性度の高いハロゲンなどを含む置換基が挙げられる。この中でも、カルボキシル基、水酸基、カルボニル基、アミノ基やアミド基、イミド基を有するものが好ましい。具体的には、水溶性増粘多糖類、アクリル樹脂、ビニルアルコール樹脂、ポリエーテルなどが挙げられる。水溶性高分子(C)が持つ上記置換基は、アニオン、及びカチオン交換能を有しているため、充放電の際に、非水系二次電池用炭素材の表面におけるLiイオンと電解液溶媒の脱溶媒和反応を促進し、リチウムの黒鉛層間への挿入・脱離をスムーズに行うことができるようになるため、電解液溶媒の還元分解を抑制し、高い入出力特性を有することが出来るため好ましい。
この中でも、水溶性増粘多糖類や水溶性アクリル樹脂が水溶性と増粘性を適度に有しており、安定した電極塗工性を有するスラリーを作製することができ、表面が平滑、且つ高強度な電極を安定的に得られ、さらに電池の高容量化とサイクル特性の向上とを両立させることができるため好ましい。
多糖類とは、ポリヒドロキシアルデヒドまたはポリヒドロキシケトンとして表される一種、または二種以上の単糖がグリコシド結合により複数重合してなる化合物と定義される。水溶性増粘多糖類の具体的な化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉、カラギナン、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)、及びそれらアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、等が挙げられる。この中でもカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロースといったセルロースエーテル系化合物、及びそれらアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、が好ましく、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩がより好ましい。その平均重合度は100以上2500未満であることが、水への溶解性が確保でき、レート特性とサイクル特性の両立が出来る点から好ましい。平均重合度が小さすぎるとレート特性は良くなる一方で、サイクル特性が悪化し、逆に、重合度が大きすぎるとレート特性が悪化し、高電流密度で充放電した際に電池容量の低減する虞がある。また、エーテル化度については特に限定はないが通常0.4〜1.5のものが好ましく用いられる。
アクリル樹脂とはアクリル酸誘導体をモノマーとして含む重合体と定義される。水溶性アクリル樹脂の具体的な化合物としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、及びそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、及びそれらの共重合体等が挙げられる。前記水溶性増粘多糖類、及び水溶性アクリル樹脂は、25℃、せん断速度40s−1における1wt%水溶液の粘度が100cP以上、3000cP以下であることが好ましい。1wt%増粘多糖類水溶液の粘度がこの範囲外であると、塗布スラリー液中に負極活物質を十分に安定分散させることが困難となり、安定的に均一かつ表面が平滑な電極を集電体膜に塗布することが出来なくなる。
本発明における水溶性高分子(C)とリチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)の混合割合は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)に対して水溶性高分子(C)の含有量が通常0.1wt%以上、好ましくは0.2%以上である、また通常10wt%以下、好ましくは5wt%以下である。水溶性高分子(C)の量が多すぎると、負極活物質である炭素材量が減少することにより電池容量が低下する傾向があり、水溶性高分子(C)が少なすぎると極板強度が低下する傾向がある。
<非水電解液二次電池電極用バインダー組成物>
本発明の非水電解液二次電池電極用バインダー組成物には、前述の水溶性高分子(C)を含むものが好ましく、周期表第13族元素含有化合物(B’)を含有するものであることがさらに好ましい。水溶性高分子(C)と周期表第13族元素含有化合物(B’)の組み合わせとしては特に制限はないが、水溶性高分子(C)と周期表第13族元素含有化合物(B’)を水に溶解させたときに、ゲル化などせず、相溶性が高い組み合わせが好ましい。
バインダー組成物中の、水溶性高分子(C)と周期表第13族元素含有化合物(B’)との混合割合は、水溶性高分子(C)に対して周期表第13族元素含有化合物(B’)の含有量が通常1wt%以上、好ましくは2wt%以上、より好ましくは5wt%以上である。また、通常1000wt%以下、好ましくは500wt%以下、より好ましくは100wt%以下である。化合物(B)の含有量が少なすぎると不可逆容量の低減や抵抗低減による入出力特性の向上効果が不十分となり、多すぎると極板強度の低下を引き起こす傾向がある。
また、バインダー組成物中には、分子内にオレフィン性不飽和結合を有する化合物等が
含有されていても良い。その種類は特に制限されないが、具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体などが挙げられる。中でも入手の容易性から、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
このようなオレフィン性不飽和結合を有する化合物と、前述の水溶性高分子(C)と周期表第13族元素含有化合物(B’)とを組み合わせて用いることにより、負極板の強度を高くすることができる。負極の強度が高いと、充放電による負極の劣化が抑制され、サイクル寿命を長くすることができる。また、活物質層と集電体との接着強度が高くなることにより、活物質層中のバインダーの含有量を低減させても、負極を捲回して電池を製造する際に、集電体から活物質層が剥離するという課題も起こらないと推察される。
分子内にオレフィン性不飽和結合を有するバインダーとしては、その分子量が大きいものか、或いは、不飽和結合の割合が大きいものが望ましい。具体的に、分子量が大きいバインダーの場合には、その重量平均分子量が通常1万以上、好ましくは5万以上、また、通常100万以下、好ましくは30万以下の範囲にあるものが望ましい。また、不飽和結合の割合が大きいバインダーの場合には、全バインダーの1g当たりのオレフィン性不飽和結合のモル数が、通常2.5×10−7以上、好ましくは8×10−7以上、また、通常1×10−6以下、好ましくは5×10−6以下の範囲にあるものが望ましい。バインダーとしては、これらの分子量に関する規定と不飽和結合の割合に関する規定のうち、少なくとも何れか一方を満たしていればよいが、両方の規定を同時に満たすものがより好ましい。オレフィン性不飽和結合を有するバインダーの分子量が小さ過ぎると機械的強度に劣り、大き過ぎると可撓性に劣る。また、バインダー中のオレフィン性不飽和結合の割合が小さ過ぎると強度向上効果が薄れ、大き過ぎると可撓性に劣る。
また、オレフィン性不飽和結合を有するバインダーは、その不飽和度が、通常15%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上である。また、通常90%以下、好ましくは80%以下である。なお、不飽和度とは、ポリマーの繰り返し単位に対する二重結合の割合(%)を表す。
本発明においては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)と、水溶性高分子(C)、及び周期表第13族元素含有化合物(B’)を含む非水電解液二次電池用バインダー組成物と、上述のオレフィン性不飽和結合を有するバインダーとを組み合わせて用いた場合、活物質層に用いるバインダーの比率を従来に比べて低減することができる。具体的に、本発明の負極材と、バインダー(これは場合によっては、上述のように水溶性高分子(C)と、不飽和結合を有するバインダーとの混合物であってもよい。)との重量比率は、それぞれの乾燥重量比で、通常90/10以上、好ましくは95/5以上であり、通常99.9/0.1以下、好ましくは99.5/0.5以下の範囲である。バインダーの割合が高過ぎると容量の減少や、抵抗増大を招きやすく、バインダーの割合が少な過ぎると極板強度が劣る。
本発明の負極は、上述の本発明の負極材とバインダーとを分散媒に分散させてスラリーとし、これを集電体に塗布することにより形成される。分散媒としては、アルコールなどの有機溶媒や、水を用いることができる。このスラリーには更に、所望により導電剤を加えてもよい。導電剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック、平均粒径1μm以下のCu、Ni又はこれらの合金からなる微粉末などが挙げられる。導電剤の添加量は、本発明の負極材に対して通常10重量%以下程度である。
<非水電解液二次電池用負極材の製造方法>
非水電解液二次電池用負極材の製造方法は、特に制限されない。代表的な方法を以下に
挙げるが、本発明の負極材はこの製造方法に限定されるものではない。
下記手法の中でも、水溶性高分子(C)膜中に周期表第13族元素を均一分散させることができるため、より少ない周期表第13族元素(B)の添加量で負極抵抗の低減、入出力特性の向上効果を得ることができるとの点で、手法(1)が好ましい。
・手法(1)
非水電解液二次電池用負極材の製造手法(1)は 、例えば、水溶性高分子(C)、及
び周期表第13族元素含有化合物(B’)を溶解させたバインダー組成物水溶液に、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)を加えて混練や攪拌をする工程が挙げられる。
手法(1)における水溶性高分子(C)と周期表第13族元素含有化合物(B’)との混合割合は、水溶性高分子(C)に対して周期表第13族元素含有化合物(B’)の混合割合が通常1wt%以上、好ましくは2wt%以上、より好ましくは5wt%以上である。また通常1000wt%以下、好ましくは500wt%以下、より好ましくは100wt%以下である。この化合物(B)が少なすぎると不可逆容量の低減や抵抗低減による入出力特性の向上効果が不十分となり、多すぎると極板強度の低下を引き起こす傾向がある。
その後、このスラリー液を集電体に塗布・乾燥・プレス成型することにより負極を作製することができる。上記バインダー組成物水溶液には、必要に応じて、分子内にオレフィン性不飽和結合を有する化合物を分散させておいても良い。もしくは、上記バインダー組成物水溶液にリチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材を加えて混練・攪拌した後に、さらに分子内にオレフィン性不飽和結合を有する化合物を添加して追攪拌しても良い。
この製造方法を用いると、水溶性高分子(C)膜中に周期表第13族元素(B)を均一分散させることができるため、より少ない周期表第13族元素(B)添加量で負極抵抗の低減、入出力特性の向上効果を得ることができるといった利点が得られる。
・手法(2)
非水電解液二次電池用負極材の製造手法(2)は 、例えば、水溶性高分子(C)、及
び周期表第13族元素含有化合物(B’)の粉末とリチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)とを混合する手法が挙げられる。
手法(2)における水溶性高分子(C)と周期表第13族元素含有化合物(B’)との混合割合は、水溶性高分子(C)に対して周期表第13族元素含有化合物(B’)の混合割合は、通常1wt%以上、好ましくは2wt%以上、1000wt%以下、より好ましくは5wt%以上である。また通常500wt%以下、好ましくは100wt%以下である。この化合物(B)が少なすぎると不可逆容量の低減や抵抗低減による入出力特性の向上効果が不十分となり、多すぎると極板強度の低下を引き起こす傾向がある。
また炭素材(A)と周期表第13族元素含有化合物(B’)との混合割合は、炭素材(A)に対して周期表第13族元素含有化合物(B’)の混合割合が通常0.01wt%以上、好ましくは0.02wt%以上、より好ましくは0.5wt%以上である。また通常10wt%以下、好ましくは5wt%以下、より好ましくは2wt%以下である。この化合物(B)が少なすぎると不可逆容量の低減や抵抗低減による入出力特性の向上効果が不十分となり、一方、化合物(B)が多すぎると極板強度の低下を引き起こす傾向がある。
その後、この混合粉末負極材に水と必要に応じて分子内にオレフィン性不飽和結合を有する化合物を添加し、混練や攪拌を行ってスラリー液を作製し、このスラリー液を集電体に塗布・乾燥・プレス成型することにより負極を作製することができる。
この製造方法を用いると、水への相溶性が低く水溶液として保管しておくとゲル化してしまうような水溶性高分子(C)と周期表第13族元素含有化合物(B’)との組み合わせものもでも利用でき、且つ水溶液調整工程が不要になるといった利点が得られる。
・手法(3)
非水電解液二次電池用負極材の製造手法(3)は 、例えば、周期表第13族元素含有
化合物(B’)水溶液とリチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)の粉末を混合・乾燥することにより、周期表第13族元素(B)を含む化合物が添着した炭素材を作製し(ステップ1)、更にこの周期表第13族元素含有化合物(B’)が添着した炭素材と水溶性高分子(C)組成物水溶液を混練・攪拌する(ステップ2)手法が挙げられる。上記水溶性高分子(C)水溶液には、必要に応じて、分子内にオレフィン性不飽和結合を有する化合物を分散させておいても良い。
ステップ1における炭素材(A)と周期表第13族元素含有化合物(B’)との混合割合は、炭素材(A)に対して周期表第13族元素含有化合物(B’)の混合割合が通常0.01wt%以上、好ましくは0.02wt%以上、より好ましくは0.05wt%以上である。また通常10wt%以下、好ましくは5wt%以下、より好ましくは2wt%以下である。この化合物(B)が少なすぎると不可逆容量の低減や抵抗低減による入出力特性の向上効果が不十分となり、多すぎると極板強度の低下を引き起こす傾向がある。
更にステップ1にて製造された炭素材を、ステップ2において水溶性高分子(C)と周期表第13族元素含有化合物(B’)との組成物を混合する際の、水溶性高分子(C)と周期表第13族元素含有化合物(B’)の混合割合は、通常、水溶性高分子(C)に対して周期表第13族元素含有化合物(B’)の混合割合が通常1wt%以上、好ましくは2wt%以上、より好ましくは5wt%以上である。また通常1000wt%以下、好ましくは500wt%以下、より好ましくは100wt%以下である。この化合物(B)が少なすぎると不可逆容量の低減や抵抗低減による入出力特性の向上効果が不十分となり、多すぎると極板強度の低下を引き起こす傾向がある。
その後、このスラリー液を集電体に塗布・乾燥・プレス成型することにより負極を作製することができる。
この製造方法を用いると、周期表第13族元素(B)を炭素材(A)表面に均一分散させることができるため、より少ない周期表第13族元素(B)添加量で負極抵抗の低減、入出力特性の向上効果を得ることができ、且つ水への相溶性が低く水溶液として保管しておくとゲル化してしまうような水溶性高分子(C)と周期表第13族元素含有化合物(B’)との組み合わせものもでも利用できるといった利点が得られる。
・手法(4)
非水電解液二次電池用負極材の製造手法(4)は 、例えば、周期表第13族元素含有
化合物(B’)粉末とリチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)粉末とをメカノケミカル処理により、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)表面に周期表第13族元素含有化合物(B’)が分散添着した炭素材を作製(ステップ1)し、さらにこの周期表第13族元素含有化合物(B’)が添着した炭素材と水溶性高分子(C)水溶液を混練・攪拌する(ステップ2)手法が挙げられる。メカノケミカル処理に用いる装置としては、転動型や回転揺動型や遊星型等のボールミルやビーズミル、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所社製)、CFミル(宇部興産社製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、等が挙げられる。上記水溶性高分子(C)水溶液には、必要に応じて、分子内にオレフィン性不飽和結合を有する化合物を分散させておいても良い。
その後、このスラリー液を集電体に塗布・乾燥・プレス成型することにより負極を作製
することができる。
ステップ1における炭素材(A)と周期表第13族元素含有化合物(B’)との混合割合は、炭素材(A)に対して周期表第13族元素含有化合物(B’)の混合割合が通常0.01wt%以上、好ましくは0.02wt%以上、より好ましくは、0.05wt%以上である。また通常10wt%以下、好ましくは5wt%以下、より好ましくは2wt%以下である。この化合物(B)が少なすぎると不可逆容量の低減や抵抗低減による入出力特性の向上効果が不十分となり、多すぎると極板強度の低下を引き起こす傾向がある。
更にステップ1にて製造された炭素材を、ステップ2において水溶性高分子(C)と周期表第13族元素含有化合物(B’)との組成物を混合する際の、水溶性高分子(C)と周期表第13族元素含有化合物(B’)の混合割合は、通常、水溶性高分子(C)に対して周期表第13族元素含有化合物(B’)の混合割合が通常1wt%以上、好ましくは2wt%以上、より好ましくは5wt%以上である。また通常1000wt%以下、好ましくは500wt%以下、より好ましくは100wt%以下である。この化合物(B)が少なすぎると不可逆容量の低減や抵抗低減による入出力特性の向上効果が不十分となり、多すぎると極板強度の低下を引き起こす傾向がある。
この製造方法を用いると、メカノケミカル処理によって炭素材の表面上に周期表第13族元素含有化合物を物理的、及び化学的に、強固に均一分散付着されることにより、耐久性が向上し、負極抵抗低減・入出力特性向上効果がサイクルを繰り返しても持続するといった利点が得られる。また、水への相溶性が低く水溶液として保管しておくとゲル化してしまうような水溶性高分子(C)と周期表第13族元素含有化合物(B’)との組み合わせものもでも利用できるといった利点が得られる。
<非水電解液二次電池用負極材>
上記製造方法で得られた非水系二次電池用負極材は、以下のような特性を持つ。
本発明のリチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)に特定量の周期表第13族元素(B)を含有させた非水系二次電池用負極材を用いて作製した負極においては、電解液と炭素材表面の接触を防ぐことにより、SEI(Solid Electrolyte Interphace)と呼ばれる保護皮膜の形成や副反応生成物としてのガス発生を抑制することが出来る。特定量の周期表第13族元素(B)が含有されることにより、本負極材は低抵抗・高入出力特性を有する。周期表第13族元素含有化合物(B’)が含有されることによる負極抵抗低減の機構は明らかになっていないが、非水系二次電池用炭素材表面に周期表第13族元素含有化合物(B’)が存在することにより安定且つ低抵抗なSEI保護被膜が生成されていると推測される。
また、本発明の非水電解液二次電池用負極材には上記水溶性高分子(C)が含有されてことにより、上記の安定且つ低抵抗なSEI保護被膜生成や副反応生成物としてのガス発生の抑制効果、及び負極抵抗低減・入出力特性向上効果が高まるため好ましい。本効果の詳細な機構は明らかになっていないが周期表第13族元素含有化合物(B’)が水溶性高分子(C)膜に取り込まれることにより水溶性高分子(C)の分子間力を適度に弱め、水溶性高分子(C)膜内のリチウムイオン伝導性を向上させていると推測される。
さらに、水溶性高分子(C)の持つ置換基が有する、アニオン、及びカチオン交換能により、充放電の際に、非水系二次電池用負極材の表面におけるLiイオンと電解液溶媒の脱溶媒和反応が促進されるため、リチウムの黒鉛層間への挿入・脱離がスムーズになり、充放電不可特性が向上する。本発明のようなリチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)に特定量の周期表第13族元素(B)と水溶性高分子(C)が含有されていない非水系二次電池用負極材を用いて作製した、一般的な前記炭素材負極は、その表面に通常、非水系電解液との反応によりSEI保護皮膜が形成され、負極の化学的安定性が保たれてい
る。しかしながら、上記SEI被膜生成や副反応生成物としてガスが発生することにより、初期サイクル時の充放電不可逆容量が増え、結果として、高容量化を達成しづらい。特に、リチウム一次電池で一般的に使用されるプロピレンカーボネート(PC)は高沸点溶媒であり、低温でも高いイオン電導度を発現できるという点で好ましい有機溶媒であるにも関わらず、黒鉛系電極を用いた場合には、Liイオンに溶媒和したPCが黒鉛相間へ共挿入することにより黒鉛系負極活物質の層間剥離劣化がおこり、さらに溶媒と電極の分解反応が激しいため、リチウムの黒鉛層間への挿入・脱離が行えないので、十分な容量が得られにくい。一方で、本発明のリチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)に特定量の周期表第13族元素(B)と水溶性高分子(C)が含有された非水系二次電池用負極材を用いて作製した負極は、表面に添着された水溶性高分子(C)の持つ置換基が有する、アニオン、及びカチオン交換能により、充放電の際に、Liイオンに溶媒和したPCの脱溶媒和が促進され、Liイオンに溶媒和したPCが黒鉛相間へ共挿入することを防ぐことが可能になる。
本発明は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)と周期表第13族元素(B)を含有する負極材において、周期表第13族元素(B)の下記式2で表される表面元素量X13/C値が0.05%以上10%以下、周期表第13族元素(B)の誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)分析から求めた周期表第13族元素(B)のバルク含有率が0.0001wt%以上、5wt%以下、且つ周期表第13族元素(B)の下記式3で表される表面存在比が2以上であることが好ましい。この表面元素量(X13/C値)や表面存在比が上記範囲外の場合には、負極抵抗低減効果や、入出力特性向上効果が低下したり、電池容量の低下や、極板強度の低下を引き起こす傾向がある。
本発明の非水系二次電池用負極材における周期表第13族元素(B)の表面元素量X13/C値、バルク含有率、及び表面存在比とは、本発明の非水系二次電池用負極材を用いて作製した負極について、上記パラメータを測定・算出した値と定義される。
式2
周期表第13族元素(B)の表面元素量X13/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析における周期表第13族元素(B)の最外殻電子軌道のスペクトルのピーク面積に基づいて求めた周期表第13族元素濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度×100
式3
表面存在比=式2で表される周期表第13族元素(B)の表面元素量X13/C値(%)/誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)分析から求めた周期表第13族元素(B)のバルク含有率(wt%)
<非水電解液二次電池用負極>
本発明の非水電解液二次電池用負極(以下適宜「負極シート」ともいう。)は、集電体と、集電体上に形成された活物質層とを備えると共に、活物質層には少なくとも、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)と周期表第13族元素含有化合物(B’)を含む、本発明の非水電解液二次電池用負極材を含有していればよく、特に負極の製法や状態に限定されない。好ましくは上述したような負極材を用いて負極を製造する。ただし、本発明において、負極において、負極密度が1.1g/cm以上1.6g/cm以下であることが特徴の一つである。
さらに、非水電解液二次電池電極用バインダー組成物を含むことが好ましい。非水電解液二次電池電極用バインダーとしては従来公知のものを用いることができるが、上記記載の本発明の非水電解液二次電池電極用バインダー組成物を含有することがより好ましい。
スラリーを塗布する集電体としては、従来公知のものを用いることができる。具体的には、圧延銅箔、電解銅箔、ステンレス箔等の金属薄膜が挙げられる。集電体の厚さは、通常4μm以上、好ましくは6μm以上であり、通常30μm以下、好ましくは20μm以
下である。
スラリーを集電体上に塗布した後、通常60℃以上、好ましくは80℃以上、また、通常200℃以下、好ましくは195℃以下の温度で、乾燥空気又は不活性雰囲気下で乾燥し、活物性層を形成する。
スラリーを塗布、乾燥して得られる活物質層の厚さは、通常5μm以上、好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上、また、通常200μm以下、好ましくは100μm以下、更に好ましくは75μm以下である。活物質層が薄すぎると、活物質の粒径との兼ね合いから負極としての実用性に欠け、厚すぎると、高密度の電流値に対する十分なLiの吸蔵・放出の機能が得られにくい。
非水電解液二次電池用負極密度が特徴の一つである負極密度(本発明でいう負極密度とは、負極合材密度であり、集電体を除いた密度をいう。)は、通常1.1g/cm3以上
、好ましくは1.2g/cm3以上、更に好ましくは1.25g/cm3以上、通常1.6g/cm3以下、好ましくは1.5g/cm3以下、更に好ましくは1.45g/cm3
下である。密度が低すぎると粒子同士の接触抵抗が増大する傾向があり、密度が高すぎるとレート特性が低下する傾向があり、どちらの場合も本発明の効果を優位に発揮することが困難になる傾向がある。
また、負極密度の測定方法は、当業者が用いる手法で測定することができるが、若干の(厚みのむら等で)誤差が生じる場合ある。本明細書における負極密度は、任意の10点について負極密度を算出し、その平均値と定義する。ただし、任意の10点は、負極上で偏りなく選択した点とし、誤差を±0.05に収まる点を対象とする。
(1−1)充放電前の非水電解液二次電池用負極活物質層表面における周期表第13族元素(B)の表面元素量
本発明の非水電解液二次電池用負極活物質層表面における第13族元素含有化合物(B’)の表面元素量(X13/C値)は、下記式2にて算出できる。周期表第13族元素(B)の表面元素量(X13/C値)は、通常0より大きく、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.1%以上、更に好ましくは0.15%以上、特に好ましくは1%以上である。また通常10%以下、好ましくは8%以下、より好ましくは6%以下、更に好ましくは4%以下、特に好ましくは2%以下である。この周期表第13族元素(B)の表面元素量(X13/C値)が小さすぎると、負極抵抗低減効果や、入出力特性向上効果が低下する傾向があり、一方、表面元素量が大きすぎると電池容量の低下や、極板強度の低下を引き起こす傾向がある。
式2
周期表第13族元素(B)の表面元素量X13/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析における周期表第13族元素(B)の最外殻電子軌道のスペクトルのピーク面積に基づいて求めた周期表第13族元素(B)濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度×100
本発明における表面元素量(X13/C値)はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定することができる。
表面元素量(X13/C値)は、X線光電子分光法測定としてX線光電子分光器を用い、測定対象を表面が平坦になるように試料台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、マルチプレックス測定により、C1s(280〜300eV)と周期表第13族元素含有化合物(ホウ素(B1s)の場合は180〜210eV))のスペクトルを測定する。得られたC1sのピークトップを284.3eVとして帯電補正し、C1sとX13のスペクトルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、CとXの表面原子濃度をそれぞれ算出する。得られたそのX13とCの原子濃度比X13/C(X原子濃度/C原子濃度)を炭素材(A)表面における周期表第13族元素含有化合物の表面元素量X13/C値と定義する。
(1−2)充放電後の非水電解液二次電池内負極活物質層表面における周期表第13族
元素(B)の表面元素量
充放電後非水電解液二次電池内負極活物質層表面における第13族元素含有化合物(B’)の表面元素量についても、下記式4で表される周期表第13族元素の表面元素量(X13ch/Cch値)を用いて算出できる。周期表第13族元素(B)の表面元素量(X13ch/Cch値)は、充放電に伴いSEIが形成し、負極表面を覆うことにより、負極表面の見かけホウ素量が低減するため、(1−1)記載の表面元素量(X13/C値)に比べて低い値となる。具体的には、周期表第13族元素(B)の表面元素量(X13ch/Cch値)は、通常0より大きく、好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.001%以上、更に好ましくは0.005%以上、特に好ましくは0.01%以上である。また通常0.5%以下、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.05%以下、更に好ましくは0.03%以下、特に好ましくは0.02%以下である。
この表面元素量(X13ch/Cch値)が大きすぎると、負極表面に良質なSEI形成されないことにより、電解液の分解反応が促進し、不可逆容量の増大や、サイクル特性の低下を引き起こす虞がある。
式4
充放電後非水電解液二次電池内負極活物質層表面における周期表第13族元素(B)の表面元素量X13ch/Cch値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析における周期表第13族元素(B)の最外殻電子軌道のスペクトルのピーク面積に基づいて求めた周期表第13族元素(B)濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度×100
充放電後非水電解液二次電池内の負極活物質層表面における、周期表第13族元素(B)の表面元素量表面元素量(X13ch/Cch値)はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定することができる。分析を行う負極を含む非水電解液二次電池としては、一度以上SOC80%以上の充電状態を経由していれば良く、初期容量からの容量維持率が90%以下となっていることが好ましい。また、市販の非水電解液二次電池における初期容量とは公称容量の値を代用することが出来る。
上記非水電解液二次電池内の負極を取り出す方法の例としては、SOC0%まで放電を行った後、Ar雰囲気化で上記非水電解液二次電池を解体し、負極を取り出し、適切な有機溶媒で表面を洗浄する方法が挙げられる。
表面元素量(X13ch/Cch値)は、X線光電子分光法測定としてX線光電子分光器を用い、測定対象を表面が平坦になるように試料台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、マルチプレックス測定により、C1s(280〜300eV)と周期表第13族元素含有化合物(ホウ素(B1s)の場合は180〜210eV))のスペクトルを測定する。一連のサンプル設置の際には、測定サンプルをAr雰囲気化で取り扱うことが好ましい。得られたC1sのピークトップを284.3eVとして帯電補正し、C1sとX13のスペクトルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、CchとXchの表面原子濃度をそれぞれ算出する。得られたそのX13chとCchの原子濃度比X13ch/Cch(Xch原子濃度/Cch原子濃度)を炭素材(A)表面における周期表第13族元素含有化合物の表面元素量X13ch/Cch値と定義する。
(2−1)充放電前の非水電解液二次電池用負極活物質層の周期表第13族元素(B)のバルク含有率
充放電後非水電解液二次電池用負極活物質の周期表第13族元素(B)のバルク含有率についても、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)を用いて測定することができる。
具体的には、誘導結合プラズマ質量分析法として、誘導結合プラズマ質量分析装置を用い、測定対象試料を分解容器に採取し、分解試薬を加え、マイクロ波加熱密閉分解装置を
用いて湿式分解し、イオン交換水で希釈し、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−M
S)で周期表第13族元素重量を定量する。ここで得られた周期表第13族元素重量の仕
込みサンプル重量に対する割合(周期表第13族元素重量/仕込みサンプル重量×100)を周期表第13族元素(B)のバルク含有率(wt%)と定義する。
周期表第13族元素(B)のバルク含有率は、通常0より大きく、好ましくは0.001wt%以上、より好ましくは0.005wt%以上、更に好ましくは0.1wt%以上、特に好ましくは0.5wt%以上である。また通常5wt%以下、好ましくは3wt%以下、より好ましくは2wt%以下、更に好ましくは1.5wt%以下、特に好ましくは1wt%以下である。
このバルク含有率が小さすぎると、負極抵抗低減効果や、入出力特性向上効果が低下する傾向があり、大きすぎると電池容量の低下や、極板強度の低下を引き起こす傾向がある。
(2−2)充放電後の非水電解液二次電池用負極活物質層の周期表第13族元素(B)のバルク含有率
本発明における非水電解液二次電池用負極活物質の周期表第13族元素(B)のバルク含有率は誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)を用いて測定することができる。
分析を行う負極を含む非水電解液二次電池としては、一度以上SOC80%以上の充電状態を経由していれば良く、初期容量からの容量維持率が90%以下となっていることが好ましい。また、市販の非水電解液二次電池における初期容量とは公称容量の値を代用することが出来る。
上記非水電解液二次電池内の負極を取り出す方法の例としては、SOC0%まで放電を行った後、Ar雰囲気化で上記非水電解液二次電池を解体し、負極を取り出し、適切な有機溶媒で表面を洗浄した後、負極から活物質を剥離してこれを対象試料とする。
具体的には、誘導結合プラズマ質量分析法として、誘導結合プラズマ質量分析装置を用い、上記方法で採取した測定対象試料を分解容器に採取し、分解試薬を加え、マイクロ波加熱密閉分解装置を用いて湿式分解し、イオン交換水で希釈し、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)で周期表第13族元素重量を定量する。ここで得られた周期表第13族元素重量の仕込みサンプル重量に対する割合(周期表第13族元素重量/仕込みサンプル重量×100)を充放電後の電極における周期表第13族元素(B)のバルク含有率(wt%)と定義する。
充放電後における負極中の周期表第13族元素(B)のバルク含有率は、通常0より大きく、好ましくは0.001wt%以上、より好ましくは0.005wt%以上、更に好ましくは0.1wt%以上、特に好ましくは0.5wt%以上である。また通常5wt%以下、好ましくは3wt%以下、より好ましくは2wt%以下、更に好ましくは1.5wt%以下、特に好ましくは1wt%以下である。
このバルク含有率が小さすぎると、負極抵抗低減効果や、入出力特性向上効果が低下する傾向があり、大きすぎると電池容量の低下や、極板強度の低下を引き起こす傾向がある。
以下の特性については特に制限がない限り、充放電前の負極の特性である。
(3)非水電解液二次電池用負極活物質層表面とバルク中における周期表第13族元素
(B)の存在比
本発明の非水電解液二次電池用負極活物層質表面とバルク中における周期表第13族元素(B)の存在比は、下記式3で表される表面存在比にて算出できる。表面存在比は、通常1.1以上、2以上が好ましく、5以上がより好ましく、8以上であると更に好ましい
。また、通常60以下、40以下が好ましく、30以下がより好ましい。この表面存在比が小さすぎると、負極抵抗低減効果や、入出力特性向上効果が低下する傾向がある。
式2
周期表第13族元素(B)の表面元素量X13/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析における周期表第13族元素(B)の最外殻電子軌道のスペクトルのピーク面積に基づいて求めた周期表第13族元素(B)濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度×100
式3
表面存在比=式2で表される周期表第13族元素(B)の表面元素量X13/C値(%)/誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)分析から求めた周期表第13族元素(B)のバルク含有率(wt%)
この周期表第13族元素(B)のバルク含有率(wt%)と上述した表面元素量X13/C値から上記式2を用いて算出した値を表面存在比と定義する。
(4)非水系二次電池用負極活物質表面層の官能基量
本発明の非水系二次電池用負極活物質表面層の下記式1で表される官能基量(O/C値)は、通常1%以上、好ましくは2%以上、より好ましくは2.6%以上である。また通常30%以下、好ましくは20%以下、更に好ましく、15%以下である。この表面官能基量O/C値が小さすぎると、負極活物質表面におけるLiイオンと電解液溶媒の脱溶媒和反応性が低下し、充放電不可特性が低下する傾向があり、この表面官能基量O/C値が大きすぎると、電解液との反応性が増し、充放電効率の低下やガス発生の増加を招く傾向がある。
式1
O/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析におけるO1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたO原子濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度×100
本発明における表面官能基量はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定することができる。
表面官能基量O/C値は、X線光電子分光法測定としてX線光電子分光器を用い、測定対象を表面が平坦になるように試料台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、マルチプレックス測定により、C1s(280〜300eV)とO1s(525〜545eV)のスペクトルを測定する。得られたC1sのピークトップを284.3eVとして帯電補正し、C1sとO1sのスペクトルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、CとOの表面原子濃度をそれぞれ算出する。得られたそのOとCの原子濃度比O/C(O原子濃度/C原子濃度)を炭素材の表面官能基量O/C値と定義する。
(5)非水系二次電池用負極活物質層のBET比表面積(SA)
本発明の非水系二次電池用負極活物質層のBET法で測定した比表面積は、通常0.5m/g以上、好ましくは1m/g以上である。また、通常8m/g以下、好ましくは7m/g以下、より好ましくは6m/g以下である。
比表面積が小さすぎると、Liが出入りする部位が少なく、高速充放電特性出力特性に劣り、一方、比表面積が大きすぎると、活物質の電解液に対する活性が過剰になり、初期不可逆容量が大きくなるため、高容量電池を製造できない可能性がある。
なおBET比表面積の測定方法は、比表面積測定装置を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET1点法にて測定する。
本発明では、非水系二次電池用負極活物質層の表面を周期表第13族元素含有化合物(
B’)と水溶性高分子(C)の混合層でどの程度覆っているかの指標として、該負極活物質層のBET比表面積をSAAN、上記炭素材(A)のBET比表面積をSAAとしたとき、BET比表面積の低下率(%):(SA-SAAN)/SA×100を算出することが出来る。この比表面積の低下率は、通常5%以上で、より好ましくは10%以上、更に好ましくは20%以上である。また、通常80%以下、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下である。この比表面積の低下率が大きすぎると炭素材料表面の反応活性低下し、充放電負荷特性が低下する傾向がある。一方、この比表面積の低下率が小さすぎると、電解液と炭素材料表面の接触を十分に防ぐことができず、不可逆容量が大きくなる傾向がある。
(6)非水系二次電池用負極活物質層のX線構造解析(XRD)
炭素材のX線構造解析(XRD)から得られる、Rhombohedral(菱面体晶)
に対するHexagonal(六方体晶)の結晶の存在比(3R/2H)は0.01以
上0.50以下であることが好ましい。3R/2Hがこの範囲を下回ると、高速充放電特性の低下を招く虞があり、この範囲を上回ると3R/2H値の調整が困難となり、製造処理を強く長時間行う必要が生じたり、工程数を増加させる必要が生じたりする傾向があり、生産性の低下、コストの上昇を招く虞がある。
なお、X線構造解析(XRD)の測定方法は、0.2mmの試料板に炭素材を配向しないように充填し、X線回折装置で、CuKα線にて出力30kV、200mAで測定する。得られた43.4°付近の3R(101)、及び44.5°付近の2H(101)の両ピークからバックグラウンドを差し引いた後、強度比3R(101)/2H(101)を算出できる。
(7)非水系二次電池用負極活物質層のラマンスペクトル(Raman)スペクトル
負極活物質層のラマンR値は、1580cm−1付近のピークPの強度Iと、1360cm−1付近のピークPの強度Iとを測定し、その強度比R(R=I/I)を算出して定義する。その値は特に制限されないが、通常0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.2以上である。また、通常1以下、好ましくは0.5以下である。ラマンR値が小さすぎると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向し易くなり、負荷特性の低下を招く傾向がある。一方、ラマンR値が大きすぎると、粒子表面の結晶が乱れ、電解液との反応性が増し、充放電効率の低下やガス発生の増加を招く傾向がある。
ラマンスペクトルはラマン分光器で測定できる。具体的には、測定対象粒子を測定セル内へ自然落下させることで試料充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、測定セルをこのレーザー光と垂直な面内で回転させながら測定を行なう。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
以上説明した本発明の非水電解液二次電池用負極材を用いて非水電解液二次電池用負極を作製する場合、その手法や他の材料の選択については、特に制限されない。また、この負極を用いてリチウム二次電池を作製する場合も、リチウム二次電池を構成する正極、電解液等の電池構成上必要な部材の選択については特に制限されない。以下、本発明の負極材を用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池の詳細を例示するが、使用し得る材料や作製の方法等は以下の具体例に限定されるものではない。
<非水電解液二次電池>
本発明の非水電解液二次電池、特にリチウム二次電池の基本的構成は、従来公知のリチウム二次電池と同様であり、通常、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備える。負極としては、上述した本発明の負極の特性を有していれば良い。
正極は、正極活物質及びバインダーを含有する正極活物質層を、集電体上に形成したものである。
正極活物質としては、リチウムイオンなどのアルカリ金属カチオンを充放電時に吸蔵、放出できる金属カルコゲン化合物などが挙げられる。金属カルコゲン化合物としては、バナジウムの酸化物、モリブデンの酸化物、マンガンの酸化物、クロムの酸化物、チタンの酸化物、タングステンの酸化物などの遷移金属酸化物、バナジウムの硫化物、モリブデンの硫化物、チタンの硫化物、CuSなどの遷移金属硫化物、NiPS、FePS等の遷移金属のリン−硫黄化合物、VSe、NbSeなどの遷移金属のセレン化合物、Fe0.25V0.75S2、Na0.1CrSなどの遷移金属の複合酸化物、LiCoS、LiNiSなどの遷移金属の複合硫化物等が挙げられる。
これらの中でも、V、V13、VO、Cr、MnO、TiO、MoV、LiCoO、LiNiO、LiMn、TiS、V、Cr0.25V0.75S2、Cr0.5V0.5S2などが好ましく、特に好ましいのはLiCoO、LiNiO、LiMnや、これらの遷移金属の一部を他の金属で置換したリチウム遷移金属複合酸化物である。これらの正極活物質は、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
正極活物質を結着するバインダーとしては、公知のものを任意に選択して用いることができる。例としては、シリケート、水ガラス等の無機化合物や、テフロン(登録商標)、ポリフッ化ビニリデン等の不飽和結合を有さない樹脂などが挙げられる。これらの中でも好ましいのは、不飽和結合を有さない樹脂である。正極活物質を結着する樹脂として不飽和結合を有する樹脂を用いると酸化反応時に分解される恐れがある。これらの樹脂の重量平均分子量は通常1万以上、好ましくは10万以上、また、通常300万以下、好ましくは100万以下の範囲である。
正極活物質層中には、電極の導電性を向上させるために、導電材を含有させてもよい。導電剤としては、活物質に適量混合して導電性を付与できるものであれば特に制限はないが、通常、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末、各種の金属の繊維、粉末、箔などが挙げられる。
正極板は、前記したような負極の製造と同様の手法で、正極活物質やバインダーを溶剤でスラリー化し、集電体上に塗布、乾燥することにより形成する。正極の集電体としては、アルミニウム、ニッケル、SUSなどが用いられるが、何ら限定されない。
電解質としては、非水系溶媒にリチウム塩を溶解させた非水系電解液や、この非水系電解液を有機高分子化合物等によりゲル状、ゴム状、固体シート状にしたものなどが用いられる。
非水系電解液に使用される非水系溶媒は特に制限されず、従来から非水系電解液の溶媒として提案されている公知の非水系溶媒の中から、適宜選択して用いることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;テトラ
ヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類などが挙げられる。
これらの非水系溶媒は、何れか一種を単独で用いても良く、二種以上を混合して用いても良い。混合溶媒の場合は、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合溶媒の組合せが好ましく、環状カーボネートが、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの混合溶媒であることが、低温でも高いイオン電導度を発現でき、低温充電不可特性が向上するという点で特に好ましい。中でもプロピレンカーボネートが非水系溶媒全体に対し、2wt%以上80wt%以下の範囲が好ましく、5wt%以上70wt%以下の範囲がより好ましく、10wt%以上60wt%以下の範囲がさらに好ましい。プロピレンカーボネートの割合が上記より低いと低温でのイオン電導度が低下し、プロピレンカーボネートの割合が上記より高いと、黒鉛系電極を用いた場合にはLiイオンに溶媒和したPCが黒鉛相間へ共挿入することにより黒鉛系負極活物質の層間剥離劣化がおこり、十分な容量が得られなくなる問題がある。
非水系電解液に使用されるリチウム塩も特に制限されず、この用途に用い得ることが知られている公知のリチウム塩の中から、適宜選択して用いることができる。例えば、LiCl、LiBrなどのハロゲン化物、LiClO、LiBrO、LiClOなどの過ハロゲン酸塩、LiPF、LiBF、LiAsFなどの無機フッ化物塩などの無機リチウム塩、LiCFSO、LiCSOなどのパーフルオロアルカンスルホン酸塩、Liトリフルオロスルフォンイミド((CFSONLi)などのパーフルオロアルカンスルホン酸イミド塩などの含フッ素有機リチウム塩などが挙げられ、この中でもLiClO、LiPF、LiBF、が好ましい。
リチウム塩は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。非水系電解液中におけるリチウム塩の濃度は、通常0.5M以上、2.0M以下の範囲である。
また、上述の非水系電解液に有機高分子化合物を含ませ、ゲル状、ゴム状、或いは固体シート状にして使用する場合、有機高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;ポリエーテル系高分子化合物の架橋体高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニルアルコール系高分子化合物;ビニルアルコール系高分子化合物の不溶化物;ポリエピクロルヒドリン;ポリフォスファゼン;ポリシロキサン;ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系高分子化合物;ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート−co−メチルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン)等のポリマー共重合体などが挙げられる。
上述の非水系電解液は、更に被膜形成剤を含んでいても良い。被膜形成剤の具体例としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチルカーボネート、メチルフェニルカーボネートなどのカーボネート化合物、エチレンサルファイド、プロピレンサルファイドなどのアルケンサルファイド;1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンなどのスルトン化合物;マレイン酸無水物、コハク酸無水物などの酸無水物などが挙げられる。更に、ジフェニルエーテル、シクロヘキシルベンゼン等の過充電防止剤が添加されていても良い。上記添加剤を用いる場合、その含有量は通常10重量%以下、中でも8重量%以下、更には5重量%以下、特に2重量%以下の範囲が好ましい。上記添加剤の含有量が多過ぎると、初期不可逆容量の増加や低温特性、レート特性の低下等、他の電池特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
また、電解質として、リチウムイオン等のアルカリ金属カチオンの導電体である高分子固体電解質を用いることもできる。高分子固体電解質としては、前述のポリエーテル系高分子化合物にLiの塩を溶解させたものや、ポリエーテルの末端水酸基がアルコキシドに置換されているポリマーなどが挙げられる。
正極と負極との間には通常、電極間の短絡を防止するために、多孔膜や不織布などの多
孔性のセパレータを介在させる。この場合、非水系電解液は、多孔性のセパレータに含浸させて用いる。セパレータの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエーテルスルホンなどが用いられ、好ましくはポリオレフィンである。
本発明のリチウム二次電池の形態は特に制限されない。例としては、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等が挙げられる。また、これらの形態の電池を任意の外装ケースに収めることにより、コイン型、円筒型、角型等の任意の形状にして用いることができる。
本発明のリチウム二次電池を組み立てる手順も特に制限されず、電池の構造に応じて適切な手順で組み立てればよいが、例を挙げると、外装ケース上に負極を乗せ、その上に電解液とセパレータを設け、更に負極と対向するように正極を乗せて、ガスケット、封口板と共にかしめて電池にすることができる。
次に実施例により本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(測定方法)
(1)本発明における負極材及び負極に含まれる周期表第13族元素(B)の分析方法
<未使用(充放電前)電極における周期表第13族元素(B)の表面元素量>
周期表第13族元素(B)の表面元素量はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定する。
周期表第13族元素(B)の表面元素量は、X線光電子分光法測定としてX線光電子分光器(アルバック・ファイ社製ESCA)を用い、測定対象(負極材を用いて作製した負極)を試料台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、マルチプレックス測定により、C1s(280〜300eV)と周期表第13族元素含有化合物(ホウ素(B1s)の場合は180〜210eV))のスペクトルを測定する。得られたC1sのピークトップを284.3eVとして帯電補正し、C1sとX13のスペクトルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、CとXの表面原子濃度をそれぞれ算出する。式2に示すように、得られたそのX13とCの原子濃度比X13/C(X原子濃度/C原子濃度)を炭素材(A)表面における周期表第13族元素含有化合物の表面元素量X13/C値と定義する。
式2
周期表第13族元素(B)の表面元素量X13/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析における周期表第13族元素(B)の最外殻電子軌道のスペクトルのピーク面積に基づいて求めた周期表第13族元素(B)濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度×100
<充放電後の電極における周期表第13族元素(B)の表面元素量>
周期表第13族元素(B)の表面元素量はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定する。
充放電後非水電解液二次電池内の負極活物質層表面における、周期表第13族元素(B)の表面元素量表面元素量(X13ch/Cch値)はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定することができる。分析を行う負極を含む非水電解液二次電池としては、3V−4.2Vの間で一回充放電を行ったものを用いた。
上記非水電解液二次電池を3Vまで放電した後、Ar雰囲気化で上記非水電解液二次電池を解体して負極を取り出し、有機溶媒にて表面を洗浄することで充放電後非水電解液二
次電池内負極を得た。
周期表第13族元素(B)の表面元素量は、X線光電子分光法測定としてX線光電子分光器(アルバック・ファイ社製ESCA)を用い、測定対象(上述の充放電後非水電解液二次電池内負極)を試料台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、マルチプレックス測定により、C1s(280〜300eV)と周期表第13族元素含有化合物(ホウ素(B1s)の場合は180〜210eV))のスペクトルを測定する。得られたC1sのピークトップを284.3eVとして帯電補正し、C1sとX13のスペクトルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、CとXの表面原子濃度をそれぞれ算出する。式2に示すように、得られたそのX13chとCchの原子濃度比X13ch/Cch(X原子濃度/C原子濃度)を炭素材(A)表面における周期表第13族元素含有化合物の表面元素量X13ch/Cch値と定義する。
式2
周期表第13族元素(B)の表面元素量X13ch/Cch値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析における周期表第13族元素(B)の最外殻電子軌道のスペクトルのピーク面積に基づいて求めた周期表第13族元素濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度×100
<周期表第13族元素(B)のバルク含有率>
本発明における周期表第13族元素(B)のバルク含有率は誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)を用いて測定することができる。
具体的には、誘導結合プラズマ質量分析法として、誘導結合プラズマ質量分析装置を用い、本発明の負極材を用いて作製した負極板から活物質層を剥離して準備した測定対象試料を分解容器に採取し、分解試薬を加え、マイクロ波加熱密閉分解装置を用いて湿式分解し、イオン交換水で希釈し、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)で周期表第13族元素重量を定量する。ここで得られた周期表第13族元素重量の仕込みサンプル重量に対する割合(周期表第13族元素重量/仕込みサンプル重量×100)を周期表第13族元素(B)のバルク含有率(%)と定義する。
<周期表第13族元素(B)の表面存在比>
本発明における周期表第13族元素の表面存在比は、上述の表面元素量X13/C値とバルク含有率から、下記式3を用いて算出した値を表面存在比と定義する。
式3
表面存在比=上述した式2で表される周期表第13族元素(B)の表面元素量X13/C値(%)/誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)分析から求めた周期表第13族元素(B)のバルク含有率(wt%)
<充放電後の電極における周期表第13族元素(B)のバルク含有率>
本発明における周期表第13族元素(B)のバルク含有率は誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)を用いて測定することができる。
分析を行う負極を含む非水電解液二次電池としては、3V−4.2Vの間で一回充放電を行ったものを用いた。
上記非水電解液二次電池を3Vまで放電した後、Ar雰囲気化で上記非水電解液二次電池を解体して負極を取り出し、有機溶媒にて表面を洗浄することで充放電後非水電解液二次電池内負極を得た。その後、Ar雰囲気化において、該負極から活物質層を剥離して測定対象試料を準備した。
周期表第13族元素(B)のバルク含有率は、誘導結合プラズマ質量分析法として、誘導結合プラズマ質量分析装置を用い、上記測定対象試料を分解容器に採取し、分解試薬を
加え、マイクロ波加熱密閉分解装置を用いて湿式分解し、イオン交換水で希釈し、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)で周期表第13族元素重量を定量する。ここで得られた周期表第13族元素重量の仕込みサンプル重量に対する割合(周期表第13族元素重量/仕込みサンプル重量×100)を周期表第13族元素(B)のバルク含有率(wt%)と定義する。
(2)表面官能基量
表面官能基量はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定する。
表面官能基量O/C値は、X線光電子分光法測定としてX線光電子分光器(アルバック・ファイ社製ESCA)を用い、測定対象(黒鉛材料)を表面が平坦になるように試料台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、マルチプレックス測定により、C1s(280〜300eV)とO1s(525〜545eV)のスペクトルを測定する。得られたC1sのピークトップを284.3eVとして帯電補正し、C1sとO1sのスペクトルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、CとOの表面原子濃度をそれぞれ算出する。得られたそのOとCの原子濃度比O/C(O原子濃度/C原子濃度)を炭素材の表面官能基量O/C値と定義する。
(3)粒径
粒径の測定方法は、界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例として、ツィーン20(登録商標))の0.2質量%水溶液10mLに、炭素材0.01gを懸濁させ、市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「HORIBA製LA−920」に導入し、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、測定装置における体積基準のメジアン径として測定したものを、本発明におけるd50と定義する。
(4)BET比表面積(SA)
BET比表面積の測定方法は、例えば大倉理研社製比表面積測定装置「AMS8000」を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET1点法にて測定する。具体的には、試料(炭素材)0.4gをセルに充填し、350℃に加熱して前処理を行った後、液体窒素温度まで冷却して、窒素30%、He70%のガスを飽和吸着させ、その後室温まで加熱して脱着したガス量を計測し、得られた結果から、通常のBET法により比表面積を算出する。
(5)X線構造解析(XRD)
X線構造解析(XRD)の測定方法は、0.2mmの試料板に炭素材を配向しないように充填し、X線回折装置(例えば日本電子製、JDX−3500)で、CuKα線にて出力30kV、200mAで測定する。得られた43.4°付近の3R(101)、及び44.5°付近の2H(101)の両ピークからバックグラウンドを差し引いた後、強度比3R(101)/2H(101)を算出する。
(6)タップ密度
タップ密度は、粉体密度測定器である(株)セイシン企業社製「タップデンサーKYT−4000」を用い、直径1.6cm、体積容量20cmの円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して、炭素材を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の重量から求めた密度をタップ密度として定義する。
(7)ラマンスペクトル(Raman)スペクトル
ラマンスペクトルは、ラマン分光器:「日本分光社製ラマン分光器」で測定できる。具体的には、測定対象粒子を測定セル内へ自然落下させることで試料充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、測定セルをこのレーザー光と垂直な面内で回
転させながら測定を行なう。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
(8)高分子水溶液の粘度
水溶性高分子水溶液の粘度はブルックフィールド社製「デジタル粘度計HBDV−II+Pro」のスピンドルCPE−41を用いて測定した。付属のコーンにサンプルを2.5g入れ、25℃、せん断速度40s−1において、30秒間スピンドルを回転させたときの粘度を水溶性高分子水溶液の粘度として定義する。
(i)負極の作製
<負極の作製法>
リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)と水溶性高分子(C)、及び周期表第13族元素含有化合物(B’)を含む、本発明の非水電解液二次電池用負極材を用いて、負極密度1.35±0.03g/cmの活物質層を有する極板を作製した。具体的には、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)20.00±0.02gに、水溶性高分子(C)として1wt%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(第一工業製薬製、平均重合度:約1200、粘度:500cP)と後述実施例記載の周期表第13族元素含有化合物(B’)を一定量混合した水溶液を20.00±0.02g(水溶性高分子(C)の固形分換算で0.200g)、及び重量平均分子量27万のスチレン・ブタジエンゴム水性ディスパージョン0.50±0.05g(固形分換算で0.2g)を、キーエンス製ハイブリッドミキサーで5分間撹拌し、30秒脱泡して負極材スラリーを得た。
このスラリーを、集電体である厚さ18μmの銅箔上に、負極材が6.0±0.3mg
/cm付着するように、ドクターブレードを用いて幅5cmに塗布し、室温で風乾を行った。更に110℃で30分乾燥後、直径20cmのローラを用いてロールプレスして、負極密度が1.35±0.03g/cm(平均すると1.35)になるよう調整し電極シートを得た。
(ii)正極電極シートの作製
正極は、正極活物質としてのマンガン酸リチウム(LiMnO2)85重量%と、導電
材としてのアセチレンブラック10重量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)5重量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で混合してスラリーを得た。
このスラリーをかした後、集電体である厚さ15μmのアルミニウム箔上に正極材が18.3±0.5mg/cm付着するように、ブレードコーターを用いて塗布し、130℃で乾燥した。更にロールプレスを行い、正極密度が2.40±0.05g/cmになるよう調整してロールプレスし、電極シートを得た。
(iii)非水電解液二次電池の作製
<非水電解液二次電池の作製法>
上記方法で作製した正極シートと負極シート、及びポリエチレン製セパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層した。こうして得られた電池要素を筒状のアルミニウムラミネートフィルムで包み込み、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒(容量比=3:3:4)に、LiPFを1mol/Lになるように溶解させた電解液を注入した後で真空封止し、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。更に、電極間の密着性を高めるために、ガラス板でシート状電池を挟んで加圧した。
(IV)電池の評価
(1)初期低温出力評価
前記の非水電解液二次電池の作製法により作製した非水電解液二次電池を用いて、下記の測定方法で初期低温出力を測定した。
−10℃の低温環境下での状態の電池を、1/8C、1/4C、1/2C、1.5C、2.5C、3.5C、5C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下同様)の各電流値で10秒間定電流放電させ、各々の条件の放電における2秒後の電池電圧の降下を測定し、それらの測定値から放電下限電圧を3.0Vとした際に、2秒間に流すことのできる電流値Iを算出し、3.0×I(W)という式で計算される値をそれぞれの電池の初期出力とし、後述の比較例2の電池の出力を100%としたときの電池の出力比で示した。
実施例1
前記測定法で測定した、粒径d50、タップ密度、比表面積、ラマンR値、O/Cがそれぞれ18.9μm、0.90g/cm3、5.4m2/g、0.19、2.80%である球状天然黒鉛を、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)として、炭素材(A)に対して1wt%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(第一工業製薬製、平均重合度:約1200、粘度:500cP)を水溶性高分子(C)として、炭素材(A)に対して0.1wt%の酸化ホウ素(和光純薬一級)を周期表第13族元素含有化合物(B’)とした負極材を用いて、前記<負極の作製法>にて負極を作成した。具体的には、負極材スラリー作製の際に、1wt%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩と0.5wt%酸化ホウ素の混合水溶液を用いた。これについて、前記測定法で、未使用電極、及び充放電後の電極の周期表第13族元素の表面元素量、未使用(充放電前の)負極、及び充放電後の電極から採取した負極活物質のバルク含有率、初期低温出力を測定した。結果を表1、表2に示す。
実施例2
0.5wt%酸化ホウ素(和光純薬製一級試薬)を0.5wt%ホウ酸リチウム(高純度化学製)の混合水溶液に変えた以外は、実施例1と同様に負極を得た。これについて、前記測定法で、未使用電極、及び充放電後の電極の周期表第13族元素の表面元素量、未使用(充放電前の)負極、及び充放電後の電極から採取した負極活物質のバルク含有率、初期低温出力を測定した。結果を表1、表2に示す。
比較例1
周期表第13族元素含有化合物(B’)を加えなかった点以外は、実施例1と同様の方法で負極を得た。これについて、前記測定法で、未使用電極、及び充放電後の電極の周期表第13族元素の表面元素量、未使用(充放電前の)負極、及び充放電後の電極から採取した負極活物質のバルク含有率、初期低温出力を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0005712538
略号は以下の通り。
CMC:カルボキシルメチルセルロースNa塩
Figure 0005712538
略号は以下の通り。
CMC:カルボキシルメチルセルロースNa塩
表2から分かるように、実施例1、実施例2では、充放電後の電極中に周期表第13族元素が存在し、且つ負極密度が1.35g/cmに調整されることにより、比較例1に対して、優れた初期低温出力を示した。
本発明により、低温でも高い入出力特性を有し、且つ高耐久性を有する非水電解液二次電池を提供することができる。

Claims (7)

  1. リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えた非水電解液二次電池であって、該負極が、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)、周期表第13族元素(B)及びメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉、カラギナン、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸からなる群より選ばれる水溶性高分子(C)のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、あるいはアンモニウム塩を含有し、該水溶性高分子(C)中に該周期表第13族元素(B)が存在し、負極密度が1.1g/cm以上1.6g/cm以下であることを特徴とする非水電解液二次電池。
  2. 周期表第13族元素(B)のバルク含有率が、0.001wt%以上5wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液二次電池。
  3. 周期表第13族元素(B)を含有する化合物が、ホウ素及び/又はアルミニウムを含む水溶性化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解液二次電池。
  4. リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)が球状天然黒鉛であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の非水電解液二次電池。
  5. 周期表第13族元素(B)の下記式2で表される表面元素量X13/C値が0より大きく、10%以下であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の非水電解液二次電池。
    式2
    周期表第13族元素(B)の表面元素量X13/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析における周期表第13族元素(B)の最外殻電子軌道のスペクトルのピーク面積に基づいて求めた周期表第13族元素(B)濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度×100
  6. 周期表第13族元素(B)の下記式3で表される表面存在比が2以上であることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の非水電解液二次電池。
    式3
    表面存在比=式2で表される周期表第13族元素(B)の表面元素量X13/C値(%)/誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)分析から求めた周期表第13族元素(
    B)のバルク含有率(wt%)
  7. 水溶性高分子(C)のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩あるいはアンモニウム塩が、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩あるいはアンモニウム塩であることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の非水電解液二次電池。
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