JP5521660B2 - リチウムイオン電池用外装材 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン電池用外装材に関する。
パソコン、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラなどに用いられる民生用途の二次電池としては、高エネルギーながらも超薄型化、小型化が可能なリチウムイオン二次電池(以下、「リチウムイオン電池」という。)が盛んに開発されている。リチウムイオン電池の外装材は、従来は金属製の缶タイプが用いられていた。しかし、軽量でかつ電池の形状を自由に選択できるという利点から、近年では多層構成のラミネートフィルム(例えば、耐熱性を有する基材層/アルミニウム箔層/シーラント(熱融着フィルム)層のような構成)を冷間成形により深絞りにした成形品が用いられるようになってきている。
リチウムイオン電池は、例えば、前記成形品中に、電池本体部分として正極材、負極材、セパレーターと共に、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルなどの非プロトン性溶媒にリチウム塩を溶解した電解液、もしくはその電解液を含浸させたポリマーゲルからなる電解質層が収められ、その後、ヒートシールにより熱封緘されて形成される。例えば、図2(A)に例示した積層構成の外装材111の一部に、図2(B)に示すように、シーラント層が上側に向くようにした状態で冷間成形して凹部112を形成し、図2(C)に示すように、その凹部112を内側にして外装材111を折り返して、前記内容物を収容した状態で熱封緘シール部113がヒートシールされたリチウムイオン電池101が挙げられる。
前記電解液は、熱融着フィルムからなるシーラント層に対して浸透性が高い。シーラント層に電解液が浸透すると、浸透した電解液がアルミニウム箔層とシーラント層間のラミネート強度を低下させ、最終的に電解液が外部に漏れ出すことがある。また、電解質であるリチウム塩としてはLiPF、LiBFなどのリチウム塩が用いられているが、該リチウム塩は加水分解反応によりフッ酸を発生させ、金属面の腐食、多層フィルムの各層間のラミネート強度の低下を引き起こす。
このように、ラミネートフィルムのような多層構成のリチウムイオン電池用外装材には、電解液に起因する金属箔(アルミニウム箔)の腐食、および各層間のラミネート強度の低下を抑制することが重要である。
リチウムイオン電池用外装材としては、例えば、腐食防止処理を施したアルミニウム箔に対し、酸変性ポリオレフィン系樹脂を含むシーラント層をラミネートする際に、熱ラミネートや熱処理を経る熱ラミネート構成の外装材が知られている。このような熱ラミネート構成の外装材は、電解液によるアルミニウム箔の腐食やラミネート強度の低下が抑制される。加えて、ポリオレフィン系樹脂がアルミニウム箔に直接積層されており、電解液による樹脂の膨潤が発生し難い。さらに、図2(C)に例示したリチウムイオン電池101を製造した場合、ポリオレフィン系樹脂を用いることで熱封緘シール部113の端面から進入する水分量が低減される。しかし、熱ラミネート構成の製造では、熱ラミネートや熱処理といった工程の製造速度が5〜20m/分程度であり、生産性が低い。そのため、市場の拡大が期待されている民生用途の需要に対して、充分な供給を行うことが困難である。
そこで、生産性を向上させるために、ドライラミネート用接着剤を用いて、腐食防止処理を施したアルミニウム箔と、ポリオレフィン系樹脂を含むシーラント層とをドライラミネートにより積層させたドライラミネート構成のリチウムイオン電池用外装材が示されている。例えば、下記のリチウムイオン電池用外装材が示されている。
(i)アルミニウム箔とシーラント層とが、ポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート硬化剤を含むポリオレフィンポリオール系接着剤により接着されているリチウムイオン電池用外装材(特許文献1)。
(ii)アルミニウム箔とシーラント層とが、アクリルポリオールをイソシアネート架橋したポリマーからなるアクリルポリオール系接着剤により接着されているリチウムイオン電池用外装材(特許文献2)。
(iii)アルミニウム箔とシーラント層とが、水酸基を含有するフッ素含有共重合体と硬化剤とからなる架橋型フッ素樹脂系接着剤により接着されているリチウムイオン電池用外装材(特許文献3)。
リチウムイオン電池用外装材(i)〜(iii)のようなドライラミネート構成の外装材は、生産性が高いため、民生用途への充分な供給性が期待できる。しかし、ドライラミネート構成の外装材は熱ラミネート構成の外装材に比べて、接着剤の加水分解や膨潤によるラミネート強度の低下が起きやすく、電解液耐性も劣っている。加えて、ドライラミネート構成の外装材は、ドライラミネート用接着剤の吸湿性が高いため、熱ラミネート構成の外装材に比べて水蒸気透過性も高くなる。
特開2005−63685号公報 特開2002−187233号公報 特開2005−335307号公報
本発明は、高い生産性で製造でき、電解液耐性に優れ、水蒸気透過性が低いリチウムイオン電池用外装材の提供を目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
[1]基材層と、該基材層の一方の面に順次設けられた第1の接着剤層、アルミニウム箔層、腐食防止処理層、第2の接着剤層およびシーラント層とを有するリチウムイオン電池用外装材であって、前記第2の接着剤層が、下記ポリウレタン系接着剤(A)を含有することを特徴とする、リチウムイオン電池用外装材。
ポリウレタン系接着剤(A):ダイマー脂肪酸もしくはその水素添加物に由来する疎水性単位を有するポリエステルポリオール、および該ポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物からなる群から選ばれる1種以上の主剤(A1)と、クルードトリレンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネートおよびポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選ばれる1種以上のポリイソシアネート化合物からなる硬化剤(A2)とを反応させて得られるポリウレタン系接着剤。
[2]前記主剤(A1)が、ダイマー脂肪酸、ダイマー脂肪酸のエステル、およびそれらの水素添加物、ならびにそれらを還元したグリコール化合物からなる群から選ばれる1種以上を少なくとも重合して得られた主剤である、前記[1]に記載のリチウムイオン外装材
本発明のリチウムイオン電池用外装材は、高い生産性で製造でき、電解液耐性に優れ、水蒸気透過性が低い。
本発明のリチウムイオン電池用外装材の実施形態の一例を示した断面図である。 リチウムイオン電池の製造工程の一例を示した断面図である。
以下、本発明のリチウムイオン電池用外装材(以下、「外装材」という。)の実施形態の一例について詳細に記載する。
本実施形態の外装材は、図1に示すように、基材層11の一方の面に、第1の接着剤層12(以下、「接着剤層12」という。)、アルミニウム箔層13、腐食防止処理層14、第2の接着剤層15(以下、「接着剤層15」という。)、シーラント層16、が順次積層されている。
(接着剤層15)
接着剤層15は、腐食防止処理層14とシーラント層16を接着する層である。接着剤層15は、ダイマー脂肪酸もしくはその水素添加物に由来する疎水性単位を有するポリエステルポリオール、および該ポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物からなる群から選ばれる1種以上の主剤(A1)と、ポリイソシアネート化合物からなる硬化剤(A2)とを反応させて得られるポリウレタン系接着剤(A)を含有する。ポリウレタン系接着剤(A)は、前記疎水性単位を有していることで、水蒸気透過性が低くなっている。そのため、外装材1でリチウムイオン電池を製造した際に、熱封緘シール部の端面から水分が透過することを抑制できる。
主剤(A1)は、ダイマー脂肪酸もしくはその水素添加物に由来する疎水性単位を有するポリエステルポリオール、および該ポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物からなる群から選ばれる1種以上の化合物である。
ダイマー脂肪酸とは、ポリウレタン系接着剤(A)に用いるポリエステルポリオールの原料となる多塩基酸であり、不飽和脂肪酸を2量体化させたものである。ダイマー脂肪酸の構造としては、特に限定されず、非環型、単環型、多環型、芳香環型などが挙げられる。ダイマー脂肪酸の嵩高い疎水性ユニットが、ポリウレタン系接着剤(A)の水蒸気透過量を低減する効果もたらす。
不飽和脂肪酸における不飽和結合の数は、1〜6が好ましい。
不飽和脂肪酸としては、例えば、下記脂肪酸(α1)〜(α6)などが挙げられる。
脂肪酸(α1):モノ不飽和脂肪酸。
脂肪酸(α2):ジ不飽和脂肪酸。
脂肪酸(α3):トリ不飽和脂肪酸。
脂肪酸(α4):テトラ不飽和脂肪酸。
脂肪酸(α5):ペンタ不飽和脂肪酸。
脂肪酸(α6):ヘキサ不飽和脂肪酸。
脂肪酸(α1)としては、例えば、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸などが挙げられる。
脂肪酸(α2)としては、例えば、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸などが挙げられる。
脂肪酸(α3)としては、例えば、リノレン酸、ビノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸などが挙げられる。
脂肪酸(α4)としては、例えば、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸などが挙げられる。
脂肪酸(α5)としては、例えば、ボセオペンタエン酸、エイコサベンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサベンタエン酸などが挙げられる。
脂肪酸(α6)としては、例えば、ドコサヘキサエン酸、ニシン酸などが挙げられる。
ダイマー脂肪酸における2つの不飽和脂肪酸は、同じ不飽和脂肪酸であってもよく、異なる不飽和脂肪酸であってもよい。また、ダイマー脂肪酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
主剤(A1)におけるポリエステルポリオールには、前記ダイマー脂肪酸の水素添加物を用いてもよい。
前記ダイマー脂肪酸もしくはその水素添加物の一方またはその両方と、ジオール化合物とを重合することでポリエステルポリオールが得られる。
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなどの脂肪族系ジオール化合物;シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリーコルなどの脂環式系ジオール化合物;キシリレングリーコルなどの芳香族系ジオール化合物などが挙げられる。
これらジオール化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエステルポリオールは、ダイマー脂肪酸もしくはその水素添加物とジオール化合物の重合により得られたもの以外に、ダイマー脂肪酸のエステルもしくはその水素添加物を用いた重合により得られたものであってもよく、ダイマー脂肪酸、ダイマー脂肪酸のエステル、もしくはそれらの水素添加物を還元したグリコール化合物を用いた重合により得られたものであってもよい。ダイマー脂肪酸のエステルもしくはその水素添加物(以下、これらをまとめて単に「エステル」という。)は、前記ダイマー脂肪酸もしくはその水素添加物と、前記ジオール化合物のエステルが挙げられる。
前記グリコール化合物は、ダイマー脂肪酸、ダイマー脂肪酸のエステル、もしくはそれらの水素添加物を、公知の還元法により還元することにより得られる。
これらダイマー脂肪酸、ダイマー脂肪酸のエステル、およびそれらの水素添加物、ならびにそれらを還元したグリコール化合物からなる群から選ばれる1種以上を用いる場合、重合するモノマーの組み合わせは、前記ポリエステルポリオールが得られる組み合わせを適宜選定すればよい。例えば、前記エステルが1つのカルボキシ基と1つの水酸基を有している場合は、例えば、該エステルのみを重合することでポリエステルポリオールが得られる。前記エステルが2つのカルボキシ基を有している場合は、ジオール化合物と重合することでポリエステルポリオールが得られる。前記エステルが2つの水酸基を有している場合は、前記ダイマー脂肪酸もしくはその水素添加物と重合することでポリエステルポリオールが得られる。また、前記エステルは、ダイマー脂肪酸もしくはその水素添加物とジオール化合物と共に重合してもよい。前記グリコール化合物であれば、例えば、ダイマー脂肪酸もしくはその水素添加物などと重合することでポリエステルポリオールが得られる。また、ダイマー脂肪酸もしくはその水素添加物とジオール化合物と共に重合してもよい。
主剤(A1)のポリエステルポリオールには、ダイマー脂肪酸、ダイマー脂肪酸の水素添加物に加えて、ポリエステルポリオールで通常用いられる二塩基酸を導入してもよい。
前記二塩基酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸などの脂肪族系二塩基酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族系二塩基酸などが挙げられる。
また、主剤(A1)としては、前記ポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物を用いてもよい。イソシアネート伸長物とは、前記ポリエステルポリオールに、ポリイソシアネート化合物を反応させて鎖伸長させたポリエステルウレタンポリオールである。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、クルードトリレンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記ポリイソシアネート化合物は、単体で使用してもよく、アダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体を使用してもよい。
イソシアネート伸長物に用いるポリイソシアネート化合物としては、接着剤層15の電解液耐性の向上、特に接着剤層15の架橋密度が向上して電解液に対する溶解性および膨潤性が向上する点、またウレタン基濃度が高まることにより密着性が向上する点から、クルードトリレンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネートおよびポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、これらの単体またはアダクト体がより好ましい。
イソシアネート伸長物の製造に用いるポリイソシアネート化合物の比率は、前記ポリエステルポリオール100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、5〜25質量部がより好ましい。
硬化剤(A2)としては、イソシアネート伸長物において挙げたポリイソシアネート化合物と同じポリイソシアネート化合物を使用できる。なかでも、硬化剤(A2)としては、接着剤層15の電解液耐性の向上、特に接着剤層15の架橋密度が向上して電解液に対する溶解性および膨潤性が向上する点、またウレタン基濃度が高まることにより密着性が向上する点から、クルードトリレンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネートおよびポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、これらの単体またはアダクト体がより好ましい。
ポリウレタン系接着剤(A)における主剤(A1)に対する硬化剤(A2)の比率は、主剤(A1)100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましい。硬化剤(A2)が主剤(A1)100質量部に対して1質量部以上であれば、腐食防止処理層14とシーラント層16の密着性、および接着剤層15の電解液耐性が向上する。硬化剤(A2)が主剤(A1)100質量部に対して100質量部以下であれば、過剰なイソシアネート基が残存することによる接着剤層15が硬くなりすぎるなどの性能低下を抑制しやすい。
接着剤層15は、前記ポリウレタン系接着剤(A)以外に、接着性の向上を目的とした他の成分が含有されていてもよい。他の成分としては、例えば、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤などが挙げられる。また、接着剤層15に求められる性能に応じて、各種添加剤や安定剤が含有されていてもよい。
カルボジイミド化合物としては、例えば、N,N’−ジ−O−トルイルカルボジイミド、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ジオクチルデシルカルボジイミド、N−トリイル−N’−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,2−ジ−t−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N’−フェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−トルイルカルボジイミドなどが挙げられる。
オキサゾリン化合物としては、例えば、2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2,5−ジメチル−2−オキサゾリン、2,4−ジフェニル−2−オキサゾリンなどのモノオキサゾリン化合物;2,2’−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,2−エチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,4−ブチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,4−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)などのジオキサゾリン化合物などが挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどの脂肪族のジオールのジグリシジルエーテル;ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、グリセロール、トリメチロールプロパンなどの脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル;シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル;テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族、芳香族の多価カルボン酸のジグリシジルエステルまたはポリグリシジルエステル;レゾルシノール、ビス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタンなどの多価フェノールのジグリシジルエーテルもしくはポリグリシジルエーテル;N,N’−ジグリシジルアニリン、N,N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−ビス−(p−アミノフェニル)メタンなどのアミンのN−グリシジル誘導体;アミノフェールのトリグリシジル誘導体;トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート;トリグリシジルイソシアヌレート;オルソクレゾール型エポキシ;フェノールノボラック型エポキシなどが挙げられる。
リン系化合物としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチル−フェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノおよびジ−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
接着剤層15におけるポリウレタン系接着剤(A)の含有量は、優れた電解液耐性と低い水蒸気透過性が得られやすい点から、50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましい。
(基材層11)
基材層11は、リチウムイオン電池を製造する際のシール工程における耐熱性を付与し、加工や流通の際に起こりうるピンホールの発生を抑制する役割を果たす。
基材層11としては、絶縁性を有する樹脂層が好ましい。該樹脂層としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルムなどの延伸又は未延伸フィルムが挙げられる。なかでも、成形性、耐熱性、耐ピンホール性、絶縁性を向上させる点から、延伸ポリアミドフィルムや延伸ポリエステルフィルムが好ましい。
基材層11は、単層であってもよく、複数層であってもよい。
基材層11の厚さは、6〜40μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。基材層11の厚さが6μm以上であれば、耐ピンホール性、絶縁性が向上する。基材層11の厚さが40μm以下であれば、成形性が向上する。前記厚さは、基材層11が多層フィルムである場合、その全体の厚さである。
(接着剤層12)
接着剤層12は、基材層11とアルミニウム箔層13を接着する層である。
接着剤層12を構成する接着剤としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に、2官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン系接着剤が好ましい。以下、接着剤層12を形成するポリウレタン系接着剤を特にポリウレタン系接着剤(B)という。
ポリウレタン系接着剤(B)におけるポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリウレタン系接着剤(A)で挙げた二塩基酸とジオール化合物を重合して得られるポリエステルポリオールが挙げられる。また、該ポリエステルポリオールを、ポリウレタン系接着剤(A)で挙げたイソシアネート化合物により鎖伸長したポリエステルウレタンポリオールを用いてもよい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのエーテル系のポリオール、該ポリオールをポリウレタン系接着剤(A)で挙げたイソシアネート化合物により鎖伸長したポリエーテルウレタンポリオールなどが挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどのアクリル系モノマーと、ポリウレタン系接着剤(A)で挙げたジオール化合物とを重合して得られるアクリルポリオールなどが挙げられる。
カーボネートポリオールとしては、例えば、カーボネート化合物と、ポリウレタン系接着剤(A)で挙げたジオール化合物とを重合して得られるカーボネートポリオールが挙げられる。カーボネート化合物としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネートなどが挙げられる。また、該カーボネートポリオールを、ポリウレタン系接着剤(A)で挙げたイソシアネート化合物により鎖伸長したカーボネートウレタンポリオールを用いてもよい。
これらの各種ポリオールは、求められる機能や性能に応じて選定でき、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリウレタン系接着剤(B)における前記2官能以上のイソシアネート化合物は、ポリウレタン系接着剤(A)で挙げたポリイソシアネート化合物を使用できる。
(アルミニウム箔層13)
アルミニウム箔層13としては、一般の軟質アルミニウム箔を用いることができ、さらに耐ピンホール性、および成形時の延展性を付与できる点から、鉄を含むアルミニウム箔を用いることが好ましい。
アルミニウム箔(100質量%)中の鉄の含有量は、0.1〜9.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。鉄の含有量が0.1質量%以上であれば耐ピンホール性、延展性が向上する。鉄の含有量が9.0質量%以下であれば、柔軟性が向上する。
アルミニウム箔層13の厚さは、バリア性、耐ピンホール性、加工性の点から、9〜200μmが好ましく、15〜100μmがより好ましい。
アルミニウム箔層13は、耐電解液性の点から、脱脂処理を施したアルミニウム箔を用いることが好ましい。脱脂処理としては、大きく区分するとウェットタイプとドライタイプに分けられ、製造工程の簡便化の点から、ドライタイプが好ましい。
ウェットタイプの脱脂処理としては、例えば、酸脱脂、アルカリ脱脂などが挙げられる。
酸脱脂に使用する酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸などの無機酸が挙げられる。これらの酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの無機酸には、アルミニウム箔のエッチング効果が向上する点から、必要に応じてFeイオンやCeイオンなどの供給源となる各種金属塩を配合してもよい。
アルカリ脱脂に使用するアルカリとしては、例えば、エッチング効果が高いものとして水酸化ナトリウムなどが挙げられる。また、弱アルカリ系や界面活性剤を配合したものが挙げられる。
ウェットタイプの脱脂処理は、浸漬法やスプレー法で行われる。
ドライタイプの脱脂処理としては、例えば、アルミニウムを焼鈍処理する工程で行う方法などが挙げられる。また、該脱脂処理のほかにも、フレーム処理やコロナ処理などが挙げられる。さらには、特定波長の紫外線を照射して発生する活性酸素により、汚染物質を酸化分解・除去する脱脂処理も挙げられる。
外装材1では、アルミニウム箔層13の脱脂処理を施した面に腐食防止処理層14を設けることが好ましい。ただし、脱脂処理は、アルミニウム箔13の片面のみに行ってもよく、両面に行ってもよい。
(腐食防止処理層14)
腐食防止処理層14は、基本的にはアルミニウム箔層13の電解液あるいはフッ酸による腐食を防止するために設けられる層である。腐食防止処理層14としては、例えば、脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、あるいはこれらの処理の組み合わせにより形成される。
脱脂処理としては、前述した方法と同じ方法が挙げられる。また、酸脱脂として、一ナトリウム二フッ化アンモニウムなどのフッ素含有化合物を前記無機酸で溶解させた酸脱脂剤を用いることで、アルミニウムの脱脂効果が得られるだけでなく、不動態であるアルミニウムのフッ化物を形成させることができ、耐フッ酸性という点で有効である。
熱水変成処理としては、例えば、トリエタノールアミンを添加した沸騰水中にアルミニウム箔を浸漬処理するベーマイト処理が挙げられる。
陽極酸化処理としては、例えば、アルマイト処理が挙げられる。
化成処理としては、例えば、クロメート処理、ジルコニウム処理、チタニウム処理、バナジウム処理、モリブデン処理、リン酸カルシウム処理、水酸化ストロンチウム処理、セリウム処理、ルテニウム処理、あるいはこれらの混合相からなる各種化成処理などが挙げられる。
これらの熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理を施す際は、事前に前記脱脂処理を施すことが好ましい。また、これらの化成処理は、湿式型に限らず、これらの処理剤を樹脂成分と混合した塗布型で行ってもよい。
また、前記処理のうち、特に熱水変性処理、陽極酸化処理は、処理剤によってアルミニウム箔表面を溶解させ、耐腐食性に優れるアルミニウム化合物(ベーマイト、アルマイト)を形成させる。そのため、アルミニウム箔層13から腐食防止処理層14まで共連続構造を形成した形態になるので、化成処理の定義に包含されるが、後述するように化成処理の定義に含まれない、純粋なコーティング手法のみで腐食防止処理層14を形成することも可能である。該方法は、アルミニウムの腐蝕防止効果(インヒビター効果)を有し、かつ、環境側面的にも好適な材料として、平均粒径100nm以下の酸化セリウムのような希土類元素系酸化物のゾルを用いる方法である。該方法を用いることで、一般的なコーティング方法でも、アルミニウム箔などの金属箔に腐蝕防止効果を付与することが可能となる。
前記希土類元素系酸化物のゾルとしては、例えば、水系、アルコール系、炭化水素系、ケトン系、エステル系、エーテル系などの各種溶媒を用いたゾルが挙げられる。なかでも、水系のゾルが好ましい。
前記希土類元素系酸化物のゾルには、通常その分散を安定化させるために、硝酸、塩酸、リン酸などの無機酸またはその塩、酢酸、りんご酸、アスコルビン酸、乳酸などの有機酸が分散安定化剤として用いられる。これらの分散安定化剤のうち、特にリン酸は、外装材1において、(1)ゾルの分散安定化、(2)リン酸のアルミキレート能力を利用したアルミニウム箔層13との密着性の向上、(3)フッ酸の影響で溶出したアルミニウムイオンを捕獲(不動態形成)することよる電解液耐性の付与、(4)低温でもリン酸の脱水縮合を起こしやすいことによる腐食防止処理層14(酸化物層)の凝集力の向上、などが期待される。
前記リン酸またはその塩としては、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、またはこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が挙げられる。なかでも、外装材1における機能発現には、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、ウルトラメタリン酸などの縮合リン酸、またはこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が好ましい。また、前記希土類酸化物のゾルを用いて、各種コーティング法により希土類酸化物からなる腐食防止処理層14を形成させる時の乾燥造膜性(乾燥能力、熱量)を考慮すると、低温での脱水縮合性に優れる点から、ナトリウム塩がより好ましい。リン酸塩としては、水溶性の塩が好ましい。
酸化セリウムに対するリン酸(あるいはその塩)の配合比は、酸化セリウム100質量部に対して、1〜100質量部が好ましい。前記配合比が酸化セリウム100質量部に対して1質量部以上であれば、酸化セリウムゾルがより安定になり、外装材1の機能がより良好になる。前記配合比は、酸化セリウム100質量部に対して5質量部以上がより好ましい。また、前記配合比が酸化セリウム100質量部に対して100質量部以下であれば、酸化セリウムゾルの機能低下を抑制しやすい。前記配合比は、酸化セリウム100質量部に対して、50質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
前記希土類酸化物ゾルにより形成される腐食防止処理層14は、無機粒子の集合体であるため、乾燥キュアの工程を経ても層自身の凝集力が低くなるおそれがある。そこで、この場合の腐食防止処理層14は、凝集力を補うために、下記アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーのいずれか一方またはその両方で複合化されていることが好ましい。
アニオン性ポリマーとしては、カルボキシ基を有するポリマーが挙げられ、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸(あるいはその塩)、あるいはポリ(メタ)アクリル酸を主成分として共重合した共重合体が挙げられる。
該共重合体の共重合成分としては、アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基など。);(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基など。)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基など。)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのグリシジル基含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシランなどのシラン含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。また、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、マレイン酸、アルキルマレイン酸モノエステル、フマル酸、アルキルフマル酸モノエステル、イタコン酸、アルキルイタコン酸モノエステル、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエンなどが挙げられる。
これらアニオン性ポリマーは、希土類元素酸化物ゾルを用いて得られた腐食防止処理層14(酸化物層)の安定性を向上させる役割を果たす。これは、硬くて脆い酸化物層をアクリル系樹脂成分で保護する効果、および、希土類酸化物ゾルに含まれるリン酸塩由来のイオンコンタミ(特にナトリウムイオン)を捕捉する(カチオンキャッチャー)効果によって達成される。つまり、希土類元素酸化物ゾルを用いて得られた腐食防止処理層14中に、特にナトリウムなどのアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンが含まれると、該イオンを含む場所を起点にして腐食防止処理層14が劣化しやすくなる。そのため、アニオン性ポリマーによって希土類酸化物ゾルに含まれるナトリウムイオンなどを固定化することで、腐食防止処理層14の耐性が向上する。
アニオン系ポリマーと希土類元素酸化物ゾルと組み合わせた腐食防止処理層14は、アルミニウム箔にクロメート処理を施して形成した腐食防止処理層14と同等の腐食防止性能を有する。アニオン系ポリマーは、本質的に水溶性であるポリアニオン系ポリマーが架橋された構造であることが好ましい。該構造の形成に用いる架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシ基、オキサゾリン基を有する化合物が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートあるいはその水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネートあるいはその水素添加物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート類;あるいはこれらのイソシアネート類を、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールと反応させたアダクト体、水と反応させることで得られたビューレット体、あるいは三量体であるイソシアヌレート体などのポリイソシアネート類;あるいはこれらのポリイソシアネート類をアルコール類、ラクタム類、オキシム類などでブロック化したブロックポリイソシアネートなどが挙げられる。
グリシジル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのグリコール類と、エピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物;グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコール類と、エピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物;フタル酸テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸などのジカルボン酸と、エピクロルヒドリンとを作用させたエポキシ化合物などが挙げられる。
カルボキシ基を有する化合物としては、例えば、各種脂肪族あるいは芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。また、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ(土類)金属塩を用いてもよい。
オキサゾリン基を有する化合物としては、例えば、オキサゾリンユニットを2つ以上有する低分子化合物、あるいはイソプロペニルオキサゾリンのような重合性モノマーを用いる場合には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどのアクリル系モノマーを共重合させたものが挙げられる。
また、アニオン性ポリマーには、シランカップリング剤のように、アミンと官能基を選択的に反応させ、架橋点をシロキサン結合にさせてもよい。この場合、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランなどが使用できる。なかでも、特にアニオン性ポリマーあるいはその共重合物との反応性を考慮すると、エポキシシラン、アミノシラン、イソシアネートシランが好ましい。
アニオン性ポリマーに対するこれらの架橋剤の比率は、アニオン性ポリマー100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、10〜20質量部がより好ましい。架橋剤の比率がアニオン性ポリマー100質量部に対して1質量部以上であれば、架橋構造が充分に形成されやすい。架橋剤の比率がアニオン性ポリマー100質量部に対して50質量部以下であれば、塗液のポットライフが向上する。
アニオン性ポリマーを架橋する方法は、前記架橋剤に限らず、チタニウム、ジルコニウム化合物を用いてイオン架橋を形成する方法などであってもよい。
カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンあるいはこれらの誘導体、アミノフェノールなどのカチオン性のポリマーが挙げられる。
カチオン性ポリマーは、カルボキシ基やグリシジル基などのアミン/イミンと反応が可能な官能基を有する架橋剤と併用することが好ましい。カチオン性ポリマーと併用する架橋剤としては、ポリエチレンイミンとイオン高分子錯体を形成するカルボン酸を有するポリマーも使用でき、例えば、ポリアクリル酸あるいはそのイオン塩などのポリカルボン酸(塩)、あるいはこれにコモノマーを導入した共重合体、カルボキシメチルセルロースあるいはそのイオン塩などのカルボキシ基を有する多糖類などが挙げられる。ポリアリルアミンとしては、例えば、アリルアミン、アリルアミンアミド硫酸塩、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミンなどの単独重合体あるいは共重合体などが挙げられる。これらのアミンは、フリーのアミンであってもよく、酢酸あるいは塩酸による安定化物であってもよい。また、共重合体成分として、マレイン酸、二酸化イオウなどを使用してもよい。さらに、1級アミンを部分メトキシ化させることで熱架橋性を付与したタイプも使用でき、また、アミノフェノールも使用できる。特に、アリルアミンあるいはその誘導体が好ましい。
本発明においては、カチオン性ポリマーも腐食防止処理層14を構成する一構成要素として記載している。その理由は、リチウムイオン電池用外装材で要求される電解液耐性、フッ酸耐性を付与させるべく様々な化合物を用い鋭意検討を行った結果、カチオン性ポリマー自体にも、電解液耐性、耐フッ酸性を付与することが可能な化合物であることが判明したためである。この要因は、フッ素イオンをカチオン性基で補足する(アニオンキャッチャー)ことで、アルミニウム箔が損傷することを抑制しているためであると推測される。
これらのアニオン性ポリマーあるいはカチオン性ポリマーを、希土類酸化物ゾルから形成される層と複合化することで、アルミニウム箔層13の腐食防止性能が向上する。また、各種基材との密着性の向上を図るべく、希土類酸化物ゾルをアニオン性ポリマーで複合化した後にオーバーコートとしてカチオン性ポリマーを多層化したり、逆に希土類酸化物ゾルをカチオン性ポリマーで複合化した後にオーバーコートとしてアニオン性ポリマーを多層化したりしてもよい。
以上説明した腐食防止処理層14において、クロメート処理に代表される化成処理による腐食防止処理層14は、アルミニウム箔との傾斜構造を形成させるため、特にフッ酸、塩酸、硝酸、硫酸あるいはこれらの塩を配合した化成処理剤を用いてアルミニウム箔に処理を施し、次いでクロムやノンクロム系の化合物を作用させて化成処理層をアルミニウム箔に形成させるものである。しかし、前記化成処理は、化成処理剤に酸を用いていることから、作業環境の悪化やコーティング装置の腐食を伴う。一方、前述したコーティングタイプの腐食防止処理層14は、クロメート処理に代表される化成処理とは異なり、アルミニウム箔層13に対して傾斜構造を形成させる必要がない。そのため、コーティング剤の性状は、酸性、アルカリ性、中性などの制約を受けることがなく、良好な作業環境を実現できる。加えて、クロム化合物を用いるクロメート処理は、環境衛生上、代替案が求められている点からも、コーティングタイプの腐食防止処理層14が好ましい。
なお、腐食防止処理層14は前述した処理層には限定されない。例えば、公知技術である塗布型クロメートのように、樹脂バインダー(アミノフェノールなど)にリン酸とクロム化合物を配合した処理剤を用いることで、腐食防止機能と密着性を兼ね備えた腐食防止処理層14を形成してもよい。
腐食防止処理層14の単位面積当たりの質量は、0.005〜0.200g/mが好ましく、0.010〜0.100g/mがより好ましい。前記単位面積当たりの質量が0.005g/m以上であれば、アルミニウム箔層13に腐食防止機能を付与しやすい。また、前記単位面積当たりの質量が0.200g/mを超えても、腐食防止機能はあまり変らない。一方、希土類酸化物ゾルを用いた場合には、塗膜が厚いと乾燥時の熱によるキュアが不充分となり、凝集力の低下を伴うおそれがある。なお、腐食防止処理層14の厚みについては、その比重から換算できる。
(シーラント層16)
シーラント層16は、接着剤層15を介して、アルミニウム箔層13および腐食防止処理層14と貼り合わせられ、外装材1においてヒートシールによる封止性を付与する層である。
シーラント層16を構成する成分としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ホモ、ブロック、あるいはランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体などのポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体またはそのエステル化物もしくはイオン架橋物などが挙げられる。
シーラント層16は、前記成分の1種あるいは2種以上をブレンドした材料からなる単層であってもよく、シーラントに求められる他の要求性能に応じて多層構造としてもよい。多層構造のシーラント層16としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分あるいは完全ケン化物、ポリ酢酸ビニル共重合体の部分あるいは完全ケン化物などのガスバリア性を有する樹脂を介在させたシーラント層などが挙げられる。
(製造方法)
以下、本発明の外装材の製造方法の一例として、前述した外装材1の製造方法について説明する。ただし、外装材の製造方法は、以下の方法には限定されない。
外装材1の製造方法は、下記工程(I)〜(III)を有する。
(I)アルミニウム箔層13に腐食防止処理を施して腐食防止処理層14を形成する工程。
(II)アルミニウム箔層13の腐食防止処理層14を形成した側と反対側に、接着剤層12を介して基材層11を貼り合わせる工程。
(III)アルミニウム箔層13の腐食防止処理層14側に、接着剤層15を介してシーラント層16を貼り合わせる工程。
工程(I):
アルミニウム箔に対して、前記脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理もしくは化成処理を施すか、または腐食防止性能を有するコーティング剤を塗工することにより、腐食防止処理層14を形成する。
脱脂処理の方法としては、焼鈍、スプレー法、浸漬法などが挙げられる。
熱水変成処理、陽極酸化処理の方法としては、浸漬法などが挙げられる。
化成処理の方法としては、化成処理のタイプに応じて、浸漬法、スプレー法、コート法などを選択できる。
腐食防止性能を有するコーティング剤のコート法としては、グラビアコート、リバースコート、ロールコート、バーコートなど各種方法を採用できる。
コーティング剤の塗布量は、前述した腐食防止処理層14の単位面積当たりの質量を満たす範囲内が好ましい。また、乾燥キュアが必要な場合は、用いる腐食防止処理層14の乾燥条件に応じて、母材温度として60〜300℃の範囲で実施できる。
腐食防止処理層14は、異なる種類の処理を複数回行って多層構造となるようにしてもよい。
工程(II):
腐食防止処理層14を設けたアルミニウム箔層13における腐食防止処理層14を設けていない側に、接着剤層12を形成する接着剤を用いて、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウエットラミネーションなどの手法で基材層11を貼り合わせる。接着剤のドライ塗布量は、1〜10g/mが好ましく、3〜7g/mがより好ましい。工程(II)では、接着促進のため、室温〜100℃でエージング(養生)処理を行ってもよい。
工程(III):
基材層11、接着剤層12、アルミニウム箔層13および腐食防止処理層14が積層された積層体における腐食防止処理層14側に、接着剤層15を形成する接着剤(ポリウレタン系接着剤(A))を用いて、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウエットラミネーションなどの手法でシーラント層16を貼り合わせる。接着剤のドライ塗布量は、1〜10g/mが好ましく、3〜7g/mがより好ましい。工程(II)では、接着促進のため、室温〜100℃でエージング(養生)処理を行ってもよい。
以上説明した本発明の外装材は、ダイマー脂肪酸またはその水素添加物に由来する疎水性単位を有するポリウレタン系接着剤(A)を用いて、アルミニウム箔とシーラント層を張り合わせているため、電解液耐性に優れているうえ、水蒸気透過性が低く信頼性に優れており、また熱ラミネート構成の外装材に比べて生産性が高い。そのため、今後急速な市場拡大が期待される民生用途の外装材などとして、良質な外装材を安定して提供できる。
なお、本発明の外装材は、前述した外装材1には限定されない。例えば、外装材1では腐食防止処理層14がシーラント層16側にのみ形成されているが、アルミニウム箔層の両面に腐食防止処理層が形成された外装材であってもよい。つまり、腐食防止処理層は、基材層との密着性を向上させる目的で、アルミニウム箔層の基材層側にも設けてもよい。
以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[使用材料]
実施例に用いた材料は以下の通りである。
(接着剤層15:ポリウレタン系接着剤(A))
主剤A1−1:水添ダイマー脂肪酸とジオールからなるポリエステルポリオール(商品名「SS・051」)。
主剤A’1:脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルとジオールからなるポリエステルポリオール(商品名「A525」)。
硬化剤A2−1:キシリレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートのアダクト体(商品名「A52」)。
硬化剤A2−2:クルードトリレンジイソシアネート、クルード(あるいはポリメリック)ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、あるいはこれらのアダクト体(商品名「SK−01」)(以上、三井化学製)。
(基材層11)
基材SB−1:厚み25μmの2軸延伸ポリアミドフィルム(ユニチカ製)。
(接着剤層12:接着剤(AD))
接着剤AD−1:ポリエステルポリオール系主剤に対して、トリレンジイソシアネートのアダクト体系硬化剤を配合したポリウレタン系接着剤(東洋インキ製)。
(アルミニウム箔層13)
アルミニウム箔AL−1:焼鈍脱脂処理した厚み40μmの軟質アルミニウム箔8079材(東洋アルミニウム製)。
(腐食防止処理層14)
処理剤CL−1:溶媒として蒸留水を用いた、固形分濃度10質量%に調整した「ポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾル」。酸化セリウム100質量部に対して、リン酸塩は10質量部とした。
処理剤CL−2:溶媒として蒸留水を用いた、固形分濃度5質量%に調整した「ポリアクリル酸アンモニウム塩(東亞合成製)」90質量%と、「アクリル−イソプロペニルオキサゾリン共重合体(日本触媒製)」10質量%からなる組成物。
処理剤CL−3:溶媒として蒸留水を用いた、固形分濃度5質量%に調整した、「ポリアリルアミン(日東紡製)」90質量%と、「ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製)」10質量%からなる組成物。
処理剤CL−4:溶媒として1%濃度のリン酸水溶液を用いた、固形分濃度1質量%に調整した水溶フェノール樹脂(住友ベークライト製)に対し、フッ化クロム(CrF)を最終乾燥皮膜中に存在するCr量として10mg/mとなるように濃度を調整した化成処理剤。
(シーラント層16)
フィルムSL−1:総厚みが30μmのランダムポリプロピレン(PP)/ブロックPP/ランダムPPからなる2種3層の多層フィルム(オカモト製)。
[評価方法]
(接着剤の水蒸気透過性評価)
評価対象の接着剤を、ドライ膜厚500μmになるように調整して、乾燥固化させて接着剤シートを作成した。該接着剤シートを、JIS L1099に準拠したカップ法試験機にセットし、直径60mmの面積を透過する水蒸気量を評価した。評価の際には、カップ法試験治具内に塩化カルシウム(CaCl)を30g充填し、温度40℃、相対湿度90%の環境下に保管したサンプルの質量増加量から接着剤シートの水蒸気透過量を評価した。
(組み電池端面からの水蒸気透過性評価)
各例で製造した外装材を、深絞り成形器により、図2(B)に例示したように、30mm×50mmサイズで深さ5mmになるように冷間成形を施した。次いで、該サンプルを、図2(C)に例示したように折り返して、その三方をヒートシールして成形品とした。該成形品中には、エチレンカーボネートを主体とするカーボネート系溶媒のみを、露点−50℃のドライルーム内で充填した。該成形品を温度85℃、相対湿度85%の環境にて2週間保管し、カーボネート系溶媒中に透過した水蒸気量を、カールフィッシャー(三菱化学製)を用いて測定した。
該水蒸気透過性評価は、水蒸気透過率が20ppm/日未満のものを合格とした。
(電解液耐性評価)
各例で製造した外装材から、100mm×15mmの短冊になるようにサンプル片を切り出し、エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート/ジエチルカーボネート=1/1/1(質量比)の溶媒に対し、LiPF(六フッ化リン酸リチウム)を1.5Mに調整して溶解した電解液に該サンプル片を浸漬し、85℃で経時保管(4、24、168時間)した。各保管時間毎のサンプル片に対し、水による洗浄/24時間浸漬処理を行ったのち、乾燥させた状態のサンプルのラミネート強度および外観を評価した。
ラミネート強度は、万能試験機(オリエンテック社製、「テンシロン」)を用いて、クロスヘッドスピード300mm/分の条件で測定した。ラミネート強度は、168時間後のラミネート強度が2N/m以上のものを合格とした。
また、サンプル片の外観評価を、下記基準に従って行った。
○:サンプル片表面に浮き無し。
△:サンプル片の端面にわずかに浮きが見られたが問題ないレベルであった。
×:接着剤の溶解・膨潤により、外観上、浮きが見られた。
(総合評価)
前記組み電池端面からの水蒸気透過性評価と、電解液耐性評価の結果に基づいて、下記基準に従って総合評価を行った。
○:水蒸気透過性評価および電解液耐性評価の結果がいずれも良好であった。
×:水蒸気透過性評価および電解液耐性評価の結果のいずれか一方または両方が不良であった。
[参考例1〜4]
表1に示すように各主剤および硬化剤を、その配合比が固形分換算で主剤/硬化剤=100/25となるように調整した接着剤により、厚さ500μmのシートを作成し、カップ法による水蒸気透過性の評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0005521660
表1に示すように、本発明におけるポリウレタン系接着剤(A)である参考例1および2の接着剤は、ダイマー脂肪酸またはその水素添加物に由来する疎水性単位を有する主剤(A1)によって水蒸気透過量が低減されており、水蒸気透過率が2mg/時間未満と水蒸気透過性が低かった。また、硬化剤(A2−2)を用いた参考例2の方が、硬化剤(A2−1)を用いた参考例1に比べて水蒸気透過性がさらに低かった。
一方、ダイマー脂肪酸またはその水素添加物に由来する疎水性単位を有さない、一般的なポリエステルポリオールを用いた参考例3および4の接着剤は、水蒸気透過率が2.81mg/時間、2.63mg/時間と高く、水蒸気透過性が高かった。
[外装材の製造方法]
工程(I):
アルミニウム箔AL−1の電解液が充填される側に、腐食防止処理層14をマイクログラビコートにより設けた。コーティング量はコーティング剤のドライ塗布量として70〜100mg/mとなるようにし、乾燥ユニットにおいてコーティング剤のタイプに応じて150〜250℃で焼き付け処理を施した。腐食防止処理層14が単層の場合も多層の場合も、最終的なドライ塗布量を70〜100mg/mとし、焼付け温度条件も150〜250℃の範囲で行った。
腐食防止処理層14を設けたアルミニウム箔層13の反対側の面にも、処理剤CL−2の単体をドライ塗布量として25mg/mとなるようにコーティングして腐食防止処理層を設けた。この時の焼付け温度は150〜160℃とした。
工程(II):
腐食防止処理層を設けたアルミニウム箔層13における、前記処理剤CL−2により設けた腐食防止処理層側に、接着剤AD−1をグラビアリバースコートによりドライ塗布量として4〜5g/mになるように塗布して、基材層SB−1を積層してラミネートを行った。その後、エージング処理を施すことで、接着剤(AD−1)を硬化させ、接着剤層12を介して基材層11を貼り合わせた。
工程(III):
前記ラミネート品における腐食防止処理層14側に、表2に示す接着剤をグラビアリバースコートによりドライ塗布量4〜5g/mになるように塗布し、フィルムSL−1を積層してラミネートを行った。その後、エージング処理を施すことで該接着剤(AD−2)を硬化させ、接着剤層15を介してシーラント層16を貼り合わせ、ラミネート型の外装材を得た。
[実施例1〜6および比較例1、2]
前記製造方法により、接着剤層15を形成する接着剤、腐食防止処理層14を形成する処理を表2に示すとおりにして外装材を製造した。該外装材を用いて、組み電池端面からの水蒸気透過性評価、および電解液耐性評価を行った結果を表2に示す。
なお、表2における腐食防止処理層14を形成する処理は、処理した順に左側から記載した。つまり、「CL−1/CL−2」とは、処理剤CL−1をコーティングした後にCL−2をコーティングした多層構成の腐食防止処理層14を示す。
Figure 0005521660
表2に示すように、ポリウレタン系接着剤(A)を用いた実施例1〜6の外装材は、ダイマー脂肪酸またはその水素添加物に由来する疎水性単位を有する主剤(A1)により得られたポリウレタン系接着剤(A)を用いているため、リチウムイオン電池用外装材を電池組みした時に、熱封緘シール部端面から水蒸気が透過する量が少なかった。また、実施例1〜6の外装材は、電解液耐性評価において、ラミネート強度の低下、および外観の劣化も抑制されていた。
さらに、実施例1と実施例2を比較すると、硬化剤(A2−2)を用いることで、ラミネート強度の低下がさらに抑制されており、密着性の低下がさらに抑制されていた。同様に、実施例3と実施例4の比較、実施例5と実施例6の比較でも、硬化剤(A2−2)を用いることで、ラミネート強度の低下がさらに抑制されており、密着性の低下がさらに抑制されていた。これは、硬化剤(A2−2)が硬化剤(A2−1)に比べ、接着剤層15における架橋密度が高くなることで、その溶解性、膨潤性がさらに良好になり、またウレタン基の濃度が向上したためであると考えられる。
一方、ダイマー脂肪酸またはその水素添加物に由来する疎水性単位を有さない、一般的なポリエステルポリオールを用いた比較例1の外装材は、同じ硬化剤を用いた実施例1の外装材に比べて水蒸気透過性が高く、また電解液によってラミネート強度が大きく低下しており、外観も劣化した。同様に、比較例2の外装材も、同じ硬化剤を用いた実施例2の外装材に比べて水蒸気透過性が高く、また電解液によってラミネート強度が大きく低下しており、外観も劣化した。
1 リチウムイオン電池用外装材 11 基材層 12 第1の接着剤層 13 アルミニウム箔層 14 腐食防止処理層 15 第2の接着剤層 16 シーラント層

Claims (2)

  1. 基材層と、該基材層の一方の面に順次設けられた第1の接着剤層、アルミニウム箔層、腐食防止処理層、第2の接着剤層およびシーラント層とを有するリチウムイオン電池用外装材であって、
    前記第2の接着剤層が、下記ポリウレタン系接着剤(A)を含有することを特徴とする、リチウムイオン電池用外装材。
    ポリウレタン系接着剤(A):ダイマー脂肪酸もしくはその水素添加物に由来する疎水性単位を有するポリエステルポリオール、および該ポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物からなる群から選ばれる1種以上の主剤(A1)と、クルードトリレンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネートおよびポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選ばれる1種以上のポリイソシアネート化合物からなる硬化剤(A2)とを反応させて得られるポリウレタン系接着剤。
  2. 前記主剤(A1)が、ダイマー脂肪酸、ダイマー脂肪酸のエステル、およびそれらの水素添加物、ならびにそれらを還元したグリコール化合物からなる群から選ばれる1種以上を少なくとも重合して得られた主剤である、請求項1に記載のリチウムイオン電池用外装材。
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