JP6194577B2 - リチウムイオン電池用外装材 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン電池用外装材に関する。
従来、二次電池としてニッケル水素、鉛蓄電池が使用されてきたが、携帯機器の小型化や設置スペースの制限等により二次電池の小型化が必須になってきている。小型化の要求に応えるため、エネルギー密度が高いリチウムイオン電池が注目され、採用されている。リチウムイオン電池は、外装材で構成される筐体の内部に正極、負極、セパレータおよび電解質層が封入されており、電解質層は、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルなどの非プロトン性の溶媒と電解質から構成される電解液、または該電解液を含浸させたポリマーゲルを含んでいる。電解質としてはLiPF、LiBFなどのリチウム塩が用いられる。
リチウムイオン電池の筐体としては、従来は金属製の缶が用いられてきたが、軽量で、放熱性が高い、低コストで対応できる、電池の形状を自由に選択できる等の利点から、多層構成のラミネートフィルムで構成されるものが用いられるようになってきた。
上記ラミネートフィルムの層構成としては、金属箔層の一方の面に接着層を介してシーラント層を積層し、他方の面に接着層を介して基材層を積層する構成(基材層/接着層/金属箔層/接着層/シーラント層)が一般的であり、任意にこれらの層間に他の中間層(たとえば腐食防止処理層)が設けられる。金属箔としては主にアルミニウム箔が用いられている。接着層としては、ドライラミネート用の接着剤を用いたドライラミネート構成と、熱可塑性材料を用いた熱ラミネート構成の2種類に大きく分類される。
外装材としてラミネートフィルムを用いたリチウムイオン電池の形態としては、シーラント層が内側になるように重ね合わせたラミネートフィルムの外縁を一辺が開口するようにシールして製袋し、その内部に電池内容物(正極、負極、セパレータ、電解質層等)を収納した後密封した形態や、一対のラミネートフィルムの一方に、張出し成形、深絞り成形等の冷間成形により凹部を形成し、該凹部内に電池内容物を収納した後密封した形態がある。電池内容物をより多く収納し、エネルギー密度を高くできることから、後者の形態がとられることが多い。
二次電池のみを使用する電気自動車(EV)、ガソリンと二次電池を併用するハイブリッド型電気自動車(HEV)等を開発している自動車業界、あるいは太陽電池や風力発電等で得た電力を蓄電する電気二重層キャパシタ(EDLC)、二次電池とキャパシタの双方の特性を有するリチウムイオンキャパシタ(LIC)等を開発している蓄電業界、等の大型の二次電池やキャパシタの市場においては、二次電池の性能は当然のことながら、より優れた長期信頼性(10〜30年)が求められるようになってきている。
しかし、上述した多層構成のラミネートフィルムを外装材として用いたリチウムイオン電池においては、シーラント層に対する電解液の浸透性が高いことから、該電解液がシーラント層に浸透し、アルミニウム箔層とシーラント層間のラミネート強度を低下させることがある。また、電池内に水分が侵入すると、電解液に電解質として含まれるリチウム塩が加水分解されてフッ酸が発生し、金属箔の腐食、ラミネートフィルムの各層間のラミネート強度の低下を引き起こす。また、ラミネートフィルムに冷間成形により凹部が形成されている場合、例えば深絞り成形品の絞り隅部のように大きな歪みがある部位(以下「高歪部位」)において、基材層−金属箔層間の浮き(剥離)が生じやすい。ラミネートフィルムの各層間のラミネート強度が低下すると、最終的に電解液が外部に漏れ出すことがある。
そのため、リチウムイオン電池の長期信頼性の向上のためには、外装材として、冷間成形により凹部を形成して成形品として電解液を収納したときに、各層間のラミネート強度が低下しにくく、例えば深絞り成形品の絞り隅部のような高歪部位で基材層−金属箔層間の浮きが発生しにくいラミネートフィルムが求められる。
アルミニウム箔層−基材層間の密着性を高める方法として、アルミニウム箔の基材層側の表面にクロメート処理等の化成処理を施して化成処理層を形成する方法が知られている(例えば特許文献1〜2)。
化成処理層を形成することは、アルミニウム箔層−基材層間の密着性の向上という点では有用であるが、塗工装置の制約が大きい、生産性が悪い等の問題がある。例えば、クロメート処理等の化成処理は、アルミニウム箔と化成処理層とを傾斜構造として構成させるために、処理剤自体にアルミニウム箔のエッチング機能を付与する場合がある。該エッチング機能は、例えば塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸等の無機酸あるいはこれらの塩等を処理剤中に添加することにより付与されるが、かかる処理剤は、塗工装置を腐食させることが多く、塗工装置の制約を受け、作業環境の悪化を伴うおそれもある。また、密着性をより高めるために、該処理剤による化成処理の前に、アルミニウム箔を酸浴やアルカリ浴に浸漬し、脱脂およびエッチングを行う工程を設ける場合もあるが、該工程は処理単価が高く、またリチウムイオン電池用外装材の製造において律速になり、生産性が低下する。
このような問題に対し、特許文献3には、基材層と、該基材層の一方の面に順次積層された接着剤層、下地処理層、アルミニウム箔層、腐食防止処理層、接着性樹脂層およびシーラント層とを有するリチウムイオン電池用外装材の前記下地処理層として、2以上のオキサゾリン基を含有するオキサゾリン基含有樹脂と、ポリ(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸と他の重合性モノマーの共重合体からなる群から選ばれる1種以上のアクリル系樹脂を含むコーティング組成物から形成された、アミドエステル部位を有する層を用いることが提案されている。
特開2002−96419号公報 特開2007−294382号公報 特開2011−187386号公報
特許文献3に記載の技術によれば、クロメート処理等の化成処理を行わなくても、基材層−アルミニウム箔層間の密着性を高めることができ、優れた深絞り成形性を有するリチウムイオン電池用外装材が得られる。
しかし、該リチウムイオン電池用外装材は、電解液雰囲気下での長期信頼性に未だ改善の余地がある。例えば冷間成形により凹部を形成し、該凹部に電解液を収納してリチウムイオン電池としたときに、経時的に、該リチウムイオン電池用外装材の高歪部位にて基材層−アルミニウム箔層間の浮き(剥離)が生じることがある。そのため、電解液雰囲気下での長期信頼性を向上させることができる新たな手段に対する要求がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、冷間成形して電解液を収納したときに高歪部位で基材層−アルミニウム箔層間の浮きが生じにくく、電解液雰囲気下での長期信頼性に優れたリチウムイオン電池用外装材を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、以下の態様を有する。
[1] 基材層の一方の面に、第一の接着剤層と、下地処理層と、アルミニウム箔層と、希土類元素酸化物ゾルを用いた腐食防止処理層と、接着性樹脂層又は第二の接着剤層と、シーラント層とが順次積層した積層体から構成されるリチウムイオン電池用外装材であって、
前記下地処理層が、ポリエチレンイミン、カルボン酸を有するポリマーとポリエチレンイミンとからなるイオン高分子錯体、1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンおよびその誘導体、ならびにアミノ基含有フェノール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の塩基性樹脂が架橋した架橋樹脂からなる単層の層であり、
前記第一の接着剤層および前記アルミニウム箔層がそれぞれ前記下地処理層に接触していることを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。
[2] 前記下地処理層の単位面積あたりの質量が5〜150mg/mの範囲内である、[1]に記載のリチウムイオン電池用外装材。
本発明によれば、冷間成形して電解液を収納したときに高歪部位で基材層−アルミニウム箔層間の浮きが生じにくく、電解液雰囲気下での長期信頼性に優れたリチウムイオン電池用外装材を提供できる。
本発明の外装材を構成する積層体の層構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の外装材を構成する積層体の層構成の一例を示す概略断面図である。 実施例で作製した成形品の形態を示す概略断面図である。
以下、本発明のリチウムイオン電池用外装材(以下、単に「外装材」ということがある。)について、添付の図面を用い、実施形態例を示して説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態の外装材1を構成する積層体の層構成を示す概略断面図である。
外装材1は、基材層11の一方の面に、第一の接着剤層12と、下地処理層13と、アルミニウム箔層14と、腐食防止処理層15と、接着性樹脂層16と、シーラント層17とが順次積層した積層体から構成される。これにより、リチウムイオン電池用外装材に必要とされる性能を発現できる。
また、外装材1においては、下地処理層13が、ポリエチレンイミン、カルボン酸を有するポリマーとポリエチレンイミンとからなるイオン高分子錯体、1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンおよびその誘導体、ならびにアミノ基含有フェノール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の塩基性樹脂が架橋した架橋樹脂で構成され、第一の接着剤層12およびアルミニウム箔層14がそれぞれ下地処理層13に接触している。これにより、第一の接着剤層12とアルミニウム箔層14との間の電解液雰囲気下での密着性、ひいては基材層11とアルミニウム箔層14との間の電解液雰囲気下での密着性が向上する。そのため、外装材1全体としての電解液雰囲気下での長期信頼性が向上し、例えば外装材1を冷間成形により成形品とし、電解液を収納して比較的高温の保存環境下(例えば40℃)においたときに、長期にわたって、該成形品の高歪部位での基材層11−アルミニウム箔層14間の浮きの発生を防止できる。
耐電解液性や耐フッ酸性の向上は、前記塩基性樹脂が有するアミノ基(−NH)、イミノ基(−NH−)等のカチオン性基がフッ素イオンをトラップし、これによってフッ素イオンによるアルミニウム箔へのダメージを抑制している為と推測される。
<基材層11>
基材層11は、リチウムイオン電池を製造する際のヒートシール工程における耐熱性の付与、成形加工や流通の際に起こり得るピンホールの発生の抑制等の役割を果たす。特に大型用途のリチウムイオン電池の外装材の場合等は、耐擦傷性、耐薬品性、絶縁性等も付与できる。
基材層11としては、絶縁性を有する樹脂により形成された樹脂フィルムが好ましい。該樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸又は未延伸フィルムが挙げられる。基材層11は、これらの樹脂フィルムのいずれか1種からなる単層構成の樹脂層であってもよく、これらの樹脂フィルムを2種以上積層した複層構成の樹脂層であってもよい。
該樹脂層としては、例えば、延伸または無延伸ポリアミドフィルム、延伸または無延伸ポリエステルフィルム、延伸ポリアミドフィルムと延伸ポリエステルフィルムとの2層フィルム等が挙げられる。
基材層11としては、特に、成形性、耐熱性に優れる点で、延伸ポリアミドフィルムを含む単層または複層構成の樹脂層が好ましい。さらに耐酸性を付与できる点で、延伸ポリアミドフィルムを含む複層構成の樹脂層が好ましく、延伸ポリアミドフィルムと延伸ポリエステルフィルムとの2層フィルムが特に好ましい。
基材層11の厚みは、成形性、耐熱性、耐ピンホール性、絶縁性を向上させるという点で、6μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。また、薄膜化、高放熱性の点では、60μm以下が好ましく、45μm以下がより好ましい。
基材層11の最外層面(第一の接着剤層12側とは反対側の表面)には各種添加剤、例えば、耐酸性付与剤、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤などが塗布されていてもよい。
耐酸性付与剤としては、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、セルロースエステル、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
スリップ剤としては、脂肪酸アミド、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド等が挙げられる。
アンチブロッキング剤としては、シリカなどの各種フィラー系のものが好適である。
これらの添加剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<第一の接着剤層12>
第一の接着剤層12は、基材層11−アルミニウム箔層14間の密着性を高める層である。
第一の接着剤層12は、樹脂フィルムとアルミニウム箔のラミネートに用いられる接着剤として公知のものを用いて形成できる。該接着剤としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどのポリオールからなる主剤と、2官能以上のイソシアネート化合物からなる硬化剤とを含有するポリウレタン系接着剤が挙げられる。前記主剤に対し前記硬化剤を作用させることでポリウレタン系樹脂が形成される。
ポリエステルポリオールとしては、少なくとも1種の多塩基酸と、少なくとも1種のジオールを反応させて得られるものを用いることが可能である。多塩基酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸などの脂肪族系二塩基酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族系二塩基酸等の二塩基酸などが挙げられる。ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなど脂肪族系ジオール、シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリーコルなどの脂環式系ジオール、キシリレングリーコルなどの芳香族系ジオール等が挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、上記ポリエステルポリオールの両末端の水酸基を、イソシアネート化合物の単体、または少なくとも一種のイソシアネート化合物からなるアダクト体、ビューレット体もしくはイソシアヌレート体を用いて鎖伸長したポリエステルウレタンポリオールなどが挙げられる。イソシアネート化合物としては、例えば2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのエーテル系のポリオールや、鎖長伸長剤として上述したイソシアネート化合物を作用させたポリエーテルウレタンポリオールを用いることが可能である。
アクリルポリオールとしては、ポリ(メタ)アクリル酸を主成分とする共重合体が挙げられる。該共重合体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマーを筆頭に、アルキル基としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基であるアルキル(メタ)アクリレート系モノマー、さらには、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー、
(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシランなどのシラン含有モノマー、(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーを共重合させたものが挙げられる。
カーボネートポリオールとしては、カーボネート化合物とジオールとを反応させて得られるものを用いることが可能である。前記カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネートなどを用いることができる。前記ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリール、などの脂環式ジオール、キシリレングリール、など芳香族ジオールなどを用いることができる。
また、上記カーボネートポリオールの末端の水酸基を、上述したイソシアネート化合物により鎖伸長したポリカーボネートウレタンポリオールを用いることが可能である。
これらの各種ポリオールは、求められる機能や性能に応じて、いずれか1種単独で、または2種以上のブレンドの状態で用いても構わない。
硬化剤として用いられる2官能以上のイソシアネート化合物としては、鎖伸張剤として用いた類のイソシアネート化合物を用いることが可能であり、繰り返しにはなるが、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートなどから選ばれるイソシアネート化合物の単体、あるいは上記イソシアネート化合物から選択される少なくとも一種のイソシアネート化合物からなるアダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体が挙げられる。
硬化剤の配合量としては、主剤100質量部に対し1〜100質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましい。1質量部より少ないと、密着性や電解液耐性という点で性能が発現しないおそれがある。100質量部より多いと過剰なイソシアネート基が存在することになり、未反応物の残留による接着剤膜質への影響や、硬さに影響を与えるおそれがある。
前記ポリウレタン系接着剤に、さらに、接着促進のため、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤などを配合することも可能である。
カルボジイミド化合物としては、N,N’−ジ−o−トルイルカルボジイミド、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ジオクチルデシルカルボジイミド、N−トリイル−N’−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,2−ジ−t−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N’−フェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、およびN,N’−ジ−p−トルイルカルボジイミドなどが挙げられる。
オキサゾリン化合物としては、2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2,5−ジメチル−2−オキサゾリン、2,4−ジフェニル−2−オキサゾリンなどのモノオキサゾリン化合物、2,2’−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,2−エチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,4−ブチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,4−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)などのジオキサゾリン化合物が挙げられる。
エポキシ化合物としては、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールのような脂肪族のジオールのジグリシジルエーテル、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、グリセロール、トリメチロールプロパンなどの脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族、芳香族の多価カルボン酸のジグリシジルエステルまたはポリグリシジルエステル、レゾルシノール、ビス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタンなどの多価フェノールのジグリシジルエーテルもしくはポリグリシジルエーテル、N,N’−ジグリシジルアニリン、N,N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−ビス−(p−アミノフェニル)メタンのようにアミンのN−グリシジル誘導体、アミノフェールのトリグリシジル誘導体、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、オルソクレゾール型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシが挙げられる。
リン系化合物としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチル−フェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノおよびジ−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなど各種シランカップリング剤を使用することが可能である。
その他、接着剤に求められる性能に応じ、各種添加剤や安定剤を配合しても構わない。
第一の接着剤層12の厚みは、1〜10μmが好ましく、3〜5μmがより好ましい。1μm以上であると、接着剤としてのラミネート強度が向上し、10μm以下であると、冷間成形品の高歪部位においても、電解液雰囲気下での基材層11−アルミニウム箔層14間の浮きを充分に抑制できる。
<下地処理層13>
下地処理層13は、ポリエチレンイミン、カルボン酸を有するポリマーとポリエチレンイミンとからなるイオン高分子錯体、1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンおよびその誘導体、ならびにアミノ基含有フェノール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の塩基性樹脂が架橋した架橋樹脂で構成される層である。
上記塩基性樹脂のうち、イオン高分子錯体を形成するポリマー(カルボン酸を有するポリマー)としては、例えば、ポリカルボン酸(塩)、ポリカルボン酸(塩)にコモノマーを導入した共重合体、カルボキシ基を有する多糖類等が挙げられる。ポリカルボン酸(塩)としては、例えばポリアクリル酸あるいはそのイオン塩などが挙げられる。カルボキシ基を有する多糖類としては、例えばカルボキシメチルセルロースあるいはそのイオン塩などが挙げられる。
1級アミングラフトアクリル樹脂は、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた樹脂である。該アクリル主骨格としては、ポリ(メタ)アクリル酸など、上述したアクリルポリオールで用いられる各種モノマーが挙げられる。該アクリル主骨格にグラフトさせる1級アミンとしては、エチレンイミン等が挙げられる。
ポリアリルアミンまたはその誘導体としては、アリルアミン、アリルアミンアミド硫酸塩、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミンなどの単独重合体あるいは共重合体を用いることが可能であり、さらに、これらのアミンはフリーのアミンでも酢酸あるいは塩酸による安定化物でも用いることが可能である。またさらに共重合体成分として、マレイン酸、二酸化イオウなどを用いることも可能である。さらには1級アミンを部分メトキシ化させることで熱架橋性を付与させたタイプも用いることが可能である。
アミノ基含有フェノール樹脂としては、例えばアミノフェノール樹脂が挙げられる。
これらの塩基性樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
塩基性樹脂としては、上記の中でも、アルミニウム箔層14との密着性と接着剤との接着剤層13との密着性を考慮するとポリアリルアミンおよびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
下地処理層13において、塩基性樹脂は架橋して架橋樹脂となっている。これにより、架橋していない場合に比べて、第一の接着剤層12とアルミニウム箔層14との密着性、耐水性等が向上する。
前記塩基性樹脂を架橋する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば架橋剤を用いる方法が挙げられる。例えば、塩基性樹脂と、該塩基性樹脂を架橋する架橋剤と、水等の溶媒とを含有する下地処理剤をアルミニウム箔層14上に塗工し、乾燥キュアを行うことにより下地処理層13を形成できる。
塩基性樹脂を架橋する架橋剤としては、アミンやイミンと反応が可能な官能基を2つ以上有する化合物が好ましい。該官能基としては、例えばカルボキシ基、グリシジル基等が挙げられる。
グリシジル基を2つ以上有する化合物の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類とエピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物;グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類とエピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物;フタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸等のジカルボン酸とエピクロルヒドリンとを作用させたエポキシ化合物;などが挙げられる。
カルボキシ基を2つ以上有する化合物としては、各種脂肪族あるいは芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。カルボキシ基を有する化合物として、カルボン酸を有するポリマーを用いることも可能である。該ポリマーとしては、前述したイオン高分子錯体を形成するカルボン酸を有するポリマーと同様のものが挙げられ、例えばポリ(メタ)アクリル酸やポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ(土類)金属塩を用いることが可能である。
架橋剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
塩基性樹脂に対する架橋剤の配合量は、塩基性樹脂100質量部に対し、5〜100質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましい。5質量部以上であると、架橋構造が充分に形成され、密着性、耐水性、耐湿性等の向上効果が充分に得られる。100質量部を超えると、塗液ポットライフが低下する恐れがある。
なお、塩基性樹脂の架橋に架橋剤を用いる場合、下地処理層13に、未反応の架橋剤が残留していてもよい。
下地処理層13の厚みは、下地処理層13の単位面積あたりの質量(ドライ塗布量)として、5〜150mg/mの範囲内が好ましく、10〜80mg/mの範囲内がより好ましい。5mg/m以上であると、優れた電解液雰囲気下での長期信頼性が得られやすい。150mg/mを超えると長期信頼性の向上効果が飽和する傾向がある。また、下地処理層13は、詳しくは後述するが、塩基性樹脂と架橋剤と水等の溶媒とを含有する下地処理剤を塗工し、乾燥キュアを行うことにより形成される。ドライ塗布量が150mg/mを超えるように塗工すると、乾燥キュア工程で架橋反応に必要な熱量が大きくなり、生産性が低下するおそれがある。
<アルミニウム箔層14>
アルミニウム箔層14を構成するアルミニウム箔としては、一般に用いられている軟質アルミニウム箔を用いることができる。さらなる耐ピンホール性、及び成形時の延展性を付与させる目的で、鉄含有率が0.1〜9.0質量%、好ましくは0.5〜2.0質量%の範囲内のアルミニウム箔を用いることが好ましい。鉄含有率が0.1質量%以上であると耐ピンホール性、延展性が十分に付与され、9.0質量%以下であると柔軟性が良好である。
アルミニウム箔は脱脂処理が施されたものが好ましい。脱脂処理は大きくウェットタイプ、ドライタイプが挙げられる。
ウェットタイプの脱脂処理としては、酸脱脂、アルカリ脱脂などが挙げられる。
酸脱脂としては、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸などの無機酸を単独で、または2種以上を混合したものを用いる方法などが挙げられる。また、必要に応じてアルミのエッチング効果を向上させるという点でもFeイオンやCeイオンなどの供給源となる各種金属塩を配合するケースもある。アルカリ脱脂としては水酸化ナトリウムなどの強エッチングタイプが挙げられ、また弱アルカリ系や界面活性剤を配合したケースもある。これらの脱脂・エッチングは浸漬法やスプレー法で行われる。
ドライタイプの脱脂処理としては、アルミの焼鈍工程で行う方法が挙げられる。また、フレーム処理やコロナ処理なども挙げられる。さらにはある特定波長の紫外線を照射により発生した活性酸素により汚染物質を酸化分解・除去するような脱脂処理も挙げられる。
脱脂処理が施されるのは、アルミニウム箔の片側面であっても両側面であってもよい。
アルミニウム箔層14の厚みは、バリア性、耐ピンホール性、加工性を考慮すると、9〜200μmが好ましく、15〜100μmがより好ましい。
<腐食防止処理層15>
腐食防止処理層15は、基本的には、電解液あるいはフッ酸によるアルミニウム箔層14の腐食を防止するために設けられる層である。
腐食防止処理としては、脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、腐食防止性能を有するコーティング剤を塗工するコーティングタイプの腐食防止処理あるいはこれら処理の2種以上の組み合わせが挙げられる。
上述した処理のうち脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、特に熱水変性処理や陽極酸化処理は、処理剤によって金属箔(アルミニウム箔)表面を溶解させ、さらには耐腐食性に優れる化合物を形成させることから、金属箔から腐食防止処理層まで共連続構造を形成している形になるために、化成処理の定義に包含されるケースもあるが、後述する希土類元素酸化物ゾルを含有するコーティング剤を用いる方法のような、化成処理の定義に含まれない純粋なコーティング処理のみで腐食防止処理層15を形成させることも可能である。
脱脂処理としては、酸脱脂、アルカリ脱脂が挙げられる。酸脱脂としては上述した硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸などの無機酸を単独あるいはこれらを混合して得られたものを用いる方法などが挙げられる。また酸脱脂として、一ナトリウム二フッ化アンモニウムなどのフッ素含有化合物を上記無機酸で溶解させた酸脱脂剤を用いることで、金属箔の脱脂効果だけでなく不動態である金属のフッ化物を形成させることが可能であり、耐フッ酸性という点で有効である。アルカリ脱脂としては、水酸化ナトリウムなどを用いる方法が挙げられる。
熱水変成処理としては、トリエタノールアミンを添加した沸騰水中に金属箔を浸漬処理することで得られるベーマイト処理が挙げられる。
陽極酸化処理としては、アルマイト処理が挙げられる。
化成処理としては、クロメート処理、ジルコニウム処理、チタニウム処理、バナジウム処理、モリブデン処理、リン酸カルシウム処理、水酸化ストロンチウム処理、セリウム処理、ルテニウム処理、あるいはこれらの混合相からなる各種化成処理が挙げられる。
これらの熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理は、事前に上述した脱脂処理を施した方が好ましい。またこれらの化成処理は湿式型に限らず、これらの処理剤を樹脂成分と混合した塗布型タイプでも適用が可能である。
腐食防止性能を有するコーティング剤を塗工するコーティングタイプの腐食防止処理に用いられるコーティング剤としては、希土類元素酸化物ゾル、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するものが挙げられる。特に、希土類元素酸化物ゾルを含有するコーティング剤を用いる方法が好ましい。
希土類元素酸化物ゾルを含有するコーティング剤を用いる方法は、純粋なコーティングタイプの腐食防止処理であり、この方法を用いることで、一般的なコーティング方法でも金属箔に腐蝕防止効果を付与させることが可能である。また、希土類元素酸化物ゾルを用いて形成される層は、金属箔の腐蝕防止効果(インヒビター効果)を有し、かつ環境側面的にも好適な材料である。
希土類元素酸化物ゾルは、液体分散媒中に希土類元素酸化物の微粒子(例えば平均粒径100nm以下の粒子)が分散したものである。
希土類元素酸化物としては、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ネオジウム、酸化ランタン等が挙げられる。中でも酸化セリウムが好ましい。
希土類元素酸化物ゾルの液体分散媒としては、例えば水系、アルコール系、炭化水素系、ケトン系、エステル系、エーテル系など各種溶媒を用いることが可能であるが、後述する理由から水系が好ましい。
希土類元素酸化物ゾルは通常、希土類元素酸化物粒子の分散を安定化させるために、分散安定化剤として、硝酸、塩酸、リン酸などの無機酸、酢酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、乳酸などの有機酸、それらの塩等が用いられる。これらの分散安定化剤のうち、特にリン酸やその塩は「ゾルの分散安定化」だけでなく、リチウムイオン電池用外装材の用途において、リン酸のキレート能力を利用した、「金属箔との密着性向上」、フッ酸の影響で溶出した金属物イオンを捕獲(不動態形成)することよる「電解液耐性の付与」、低温でもリン酸の脱水縮合起こしやすいことによる「酸化物層の凝集力アップ」などの効果が期待できることから好ましい。
分散安定化剤として用いられるリン酸又はその塩としては、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、あるいはこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が挙げられる。特にはトリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、ウルトラメタリン酸などの縮合リン酸、あるいはこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が、リチウムイオン電池用外装材としての機能発現に好ましい。特に、この希土類元素酸化物ゾルを用いて、各種コーティング法により希土類酸化物からなる層を形成させる時の乾燥造膜性(乾燥能力、熱量)を考慮すると、低温での反応性に優れる剤が好ましいことから、低温での脱水縮合性に優れるNaイオン塩などが好適に用いられる。リン酸塩を形成する塩としては、特に制約は受けないが、より好ましくは水溶性の塩であることが好ましい。
希土類元素酸化物ゾル中、リン酸あるいはその塩の配合量としては、希土類元素酸化物100質量部に対し、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。1質量部以上であると、ゾルの安定化が良好であると共に、リチウムイオン電池用外装材としての機能を満たすことが容易である。希土類元素酸化物100質量部に対するリン酸あるいはその塩の配合上限は、希土類元素酸化物ゾルの機能低下を伴わない範囲であればよく、希土類元素酸化物100質量部に対し、100質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
ただし、上述した希土類元素酸化物ゾルから形成される層は無機粒子の集合体であるため、乾燥キュアの工程を経ても、その層自身の凝集力は低い。そこでこの層の凝集力を補うために、アニオン性ポリマーで複合化させることが好適である。
該アニオン性ポリマーとしては、カルボキシ基を有するポリマーが挙げられ、具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸(あるいはその塩)、あるいは(メタ)アクリル酸を主成分とするモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体が挙げられる。該単量体混合物に(メタ)アクリル酸とともに用いられるモノマーとしては、アルキル基としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基であるアルキル(メタ)アクリレート系モノマー、さらには、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシランなどのシラン含有モノマー、(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。
上記アニオン性ポリマーは、上述したように、希土類元素酸化物ゾルを用いて得られた希土類元素酸化物層の凝集力を高め、安定性を向上させるために用いる材料である。その効果としては、硬くて脆い希土類元素酸化物層をアニオン性ポリマーで保護するという目的、さらには、希土類元素酸化物ゾルに任意に含まれるリン酸塩由来のイオンコンタミ(特にナトリウムイオン)をトラップする(カチオンキャッチャー)効果が挙げられる。本発明で用いるリチウムイオン電池用途に限らず、たとえば腐蝕性化合物による金属箔の腐食を防止するために設ける保護層(腐食防止処理層)中に、イオンコンタミ、特にナトリウムなどのアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンが含まれると、このイオンコンタミを起点にして保護層が侵されてしまうという問題点がある。希土類元素酸化物ゾル中に含まれるナトリウムイオンなどのイオンコンタミを固定化させ、皮膜の耐性を向上させるという点で、ポリアクリル酸などのアニオン性ポリマーが有効である。
したがって、アニオン性ポリマーを、腐食防止処理層15にて希土類元素酸化物ゾルと組み合わせて用いることで、クロメート処理と同等の腐食防止性能を付与することが可能なる。かかる効果は、上記のような、本質的には水溶性であるアニオン系ポリマーを架橋させることでさらに向上する。
アニオン性ポリマーの架橋は、架橋剤を用いて行うことができ、このような架橋剤としては、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシ基、オキサゾリン基を有する化合物が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートあるいはその水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、4−4’ジフェニルメタンジイソシアネートあるいはその水素添加物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート類、あるいはこれらのイソシアネート類を、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールと反応させたアダクト体、水と反応させることで得られたビューレット体、あるいは三量体であるイソシアヌレート体などのポリイソシアネート類、あるいはこれらのポリイソシアネート類をアルコール類、ラクタム類、オキシム類などでブロック化させたブロックポリイソシアネートなどが挙げられる。
グリシジル基を有する化合物の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類とエピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類とエピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物、フタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸等のジカルボン酸とエピクロルヒドリンとを作用させたエポキシ化合物などが挙げられる。
カルボキシ基を有する化合物としては、各種脂肪族あるいは芳香族ジカルボン酸などが挙げられ、さらにはポリ(メタ)アクリル酸やポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ(土類)金属塩を用いることも可能である。
オキサゾリン基を有する化合物は、オキサゾリンユニットを2つ以上有する低分子化合物やあるいはイソプロペニルオキサゾリンのように重合性モノマーを用いる場合には、アクリル系モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどと共重合させたものを用いることが可能である。
さらにはシランカップリング剤を用いて架橋点をシロキサン結合にさせることも可能である。シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランが挙げられ、特にアニオン性ポリマーとの反応性を考慮すると、エポキシシラン、アミノシラン、イソシアネートシランが好適に使われる。
これらの架橋剤の配合量は、アニオン性ポリマー100質量部に対し1〜50質量部が適切である。1質量部より少ないと架橋構造が不十分であり、50質量部より多い以上であると塗液ポットライフの低下を伴う恐れがある。好ましくは、10〜20質量部である。
アニオン性ポリマーを架橋させる方法としては上述した架橋剤に限らず、チタニウムやジルコニウム化合物を用いたイオン架橋などの架橋構造を形成させても構わない。
上述した希土類元素酸化物ゾルやアニオン性ポリマーを含有するコーティング剤を用いて腐食防止処理層を形成する場合は、クロメート処理に代表される化成処理とは異なり、金属箔層と化成処理層との間で傾斜構造を形成させる必要は無い。クロメートに代表される化成処理はこの金属箔との傾斜構造を形成させるため、特にフッ酸、塩酸、硝酸、硫酸あるいはこれらの塩を配合した化成処理剤を用いて金属箔に処理を施し、クロムやノンクロム系の化合物と作用させて化成処理層を金属箔に形成させることは上述してきたとおりである。しかしながらこれらの処理剤は酸を用いていることから、作業環境やコーティング装置の腐食を伴うものである。上述のコーティング剤を用いる方法は、金属箔に対して傾斜構造を形成させる必要がなく、そのような点で化成処理とは定義が異なるものである。その結果、コーティング剤の性状も酸性やアルカリ性や中性に制約を受けることがないことから作業環境的にも優しい処理方法であるといえ、さらには、クロメート処理に用いるクロム化合物の環境衛生性を考慮すると、その代替案を望まれている腐食防止技術分野の点からも興味深い内容であるといえる。
腐食防止処理層15は、上述した希土類酸化物ゾルから形成される層、または希土類酸化物ゾルとアニオン性ポリマーとを複合化した層に、カチオン性ポリマーと該カチオン性ポリマーを架橋させる架橋剤とから形成されるコート層を積層した多層構造であってもよい。
該カチオン性ポリマー、架橋剤としてはそれぞれ、前記下地処理層13の説明で挙げた塩基性樹脂、架橋剤と同様のものが挙げられる。例えばカチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンあるいはこれらの誘導体、アミノ基含有フェノール樹脂等が挙げられる。架橋剤としては、カルボキシル基やグリシジル基といった、アミンやイミンと反応が可能な官能基を2つ以上有する化合物が挙げられる。
なお、ここではこのカチオン性ポリマーも腐食防止処理層を構成する一構成要素として記載しているが、その理由としては、リチウム電池用外装材で要求される電解液耐性、フッ酸耐性を付与させるべく様々な化合物を用い誠意検討を行った結果、カチオン性ポリマー自体も、電解液耐性、耐フッ酸性を付与することが可能な化合物であることを見出したためである。この要因は、フッ素イオンをカチオン性基でトラップする(アニオンキャッチャー)ことで、金属箔のダメージを抑制している為と推測される。そのような理由から、上述した腐食防止処理層として希土類酸化物ゾルを用いた場合に、その保護層として上述したアニオン性ポリマーを用いる変わりに、カチオン性ポリマーを用いても構わない。
以上の内容から、上述したコーティングタイプの腐食防止処理の組み合わせの事例として、
(1)希土類酸化物ゾルのみ、
(2)アニオン性ポリマーのみ、
(3)カチオン性ポリマーのみ、
(4)希土類酸化物ゾル+アニオン性ポリマー(積層複合化)、
(5)希土類酸化物ゾル+カチオン性ポリマー(積層複合化)、
(6)(希土類酸化物ゾル+アニオン性ポリマー:積層複合化)/カチオン性ポリマー(多層化)、
(7)(希土類酸化物ゾル+カチオン性ポリマー:積層複合化)/アニオン性ポリマー(多層化)、
等が挙げられる。なかでも(1)、(4)〜(7)が好ましく、(4)〜(7)が特に好ましい。ただしこれらに限られるわけではない。たとえば腐食防止処理の選択の事例として、カチオン性ポリマーは、後述する接着性樹脂層16の説明で挙げる変性ポリオレフィン樹脂との接着性が良好であるという点でも非常に好ましい材料であることから、接着性樹脂層16を変性ポリオレフィン樹脂で構成される場合においては、接着性樹脂層16に接する面にカチオン性ポリマーを設ける(例えば構成(5)や(6)などの構成)、といった設計が可能である。
上述した内容に限らず、例えば公知技術である塗布型クロメートのように、樹脂バインダー(アミノ基含有フェノール樹脂など)にリン酸とクロム化合物を配合した剤を用いることで、腐食防止機能と密着性を双方兼ね備えた層を形成することが可能になる。また、上述した化成処理層(脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、あるいはこれら処理の組み合わせにより形成した層)に対して、密着性を向上させるために、上述してきたカチオン性ポリマーやアニオン性ポリマーを用いて複合的な処理を施したり、あるいはこれらの処理の組み合わせに対して多層構造としてカチオン性ポリマーやアニオン性ポリマーを積層させることも可能である。また、塗液の安定性を考慮する必要があるが、上述してきた希土類酸化物ゾルとカチオン性ポリマーあるいはアニオン性ポリマーとを事前に一液化して得られたコーティング剤も用いることも可能である。
腐食防止処理層15は、単位面積あたりの質量が0.005〜0.200g/mの範囲内となるように設けることが好ましく、0.010〜0.100g/mの範囲内となるように設けることがより好ましい。0.005g/mより薄い場合は、金属箔層の腐食防止機能に影響を与えるおそれがある。0.200g/mより厚い場合は腐食防止機能の性能が飽和してしまう、あるいは希土類酸化物ゾルを用いたケースの場合には、塗膜が厚いと乾燥時の熱によるキュアが不十分となり、凝集力の低下を伴うおそれがある。
なお、上記内容では単位面積あたりの質量で記載しているが、比重がわかればそこから厚みを換算することも可能である。
<接着性樹脂層16>
接着性樹脂層16は、腐食防止処理層15とシーラント層17とを接着する層である。
接着性樹脂層16を構成する熱接着性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂に対し、不飽和カルボン酸またはその酸無水物あるいはそのエステルから導かれる不飽和カルボン酸誘導体成分を有機過酸化物の存在下でグラフト変性してなる変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ホモ、ブロック、あるいはランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体などが挙げられる。
ポリオレフィン樹脂をグラフト変性する際に用いる不飽和カルボン酸またはその酸無水物あるいはそのエステルのうち、不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸などが挙げられる。不飽和カルボン酸の酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。不飽和カルボン酸のエステルとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、フマール酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロ無水フタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸ジメチルなどが挙げられる。
上述した変性ポリオレフィン樹脂としては、ベースとなるポリオレフィン樹脂100質量部に対し、上述した不飽和カルボン酸またはその酸無水物あるいはそのエステル0.2〜100質量部を加え、ラジカル開始剤の存在下で加熱することにより製造することができる。この反応温度条件は、通常50〜250℃、好ましくは60〜200℃である。反応時間は製造方法にも左右されるが、二軸押出機による溶融グラフト反応の場合、押出機の滞留時間内、例えば2分〜30分好ましくは5〜10分程度である。また変性反応は、常圧、加圧いずれの条件下においても実施することができる。
前記変性反応において使用されるラジカル開始剤としては有機過酸化物が挙げられる。代表的なものとしては、アルキルパーオキサイド、アリールパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシカーボネート、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイドが挙げられ、これらの有機過酸化物は温度条件と反応時間によって種々選択することが可能である。上述した二軸押出機による溶融グラフト反応の場合は、アルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステルが好ましい。特に良く使用されるのはジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシ−ヘキシン−3、ジクミルペルオキシドなどが好ましい。
上述したような変性ポリオレフィン樹脂としては、無水マレイン酸により変性されたポリオレフィン樹脂が代表的であり、三井化学製アドマー、三菱化学製モディック、日本ポリエチレン製アドテックスなどが挙げられる。
上述した変性ポリオレフィン樹脂に、さらに、熱可塑性エラストマーを配合してもよい。上記変性ポリオレフィン樹脂は、グラフト化させた不飽和カルボン酸またはその酸無水物あるいはそのエステルから導かれる不飽和カルボン酸誘導体成分と、各種金属あるいは各種官能基を含有するポリマーと反応性を利用して接着性を付与させるものである。このような反応による接着とは異なり、各種熱可塑性エラストマーを配合することで、このグラフト変性ポリオレフィン樹脂をラミネートする際に発生する残留応力を開放し、粘弾性的な接着性の改善を付与することが可能である。
このような熱可塑性エラストマーとしては、三井化学製タフマー、三菱化学製ゼラス、モンテル製キャタロイ、三井化学製ノティオや、スチレン系エラストマー、特に水添スチレン系エラストマー(AKエラストマー製タフテック、クラレ製セプトン/ハイブラー、JSR製ダイナロン、住友化学製エスポレックスなど、クレイトンポリマー製クレイトンGなど)が好ましい。
また、その他各種添加剤、例えば、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤など各種添加剤を配合しても構わない。
接着性樹脂層16の厚みは、3〜50μmが好ましく、10〜40μmがより好ましい。3μm以上であると、接着性が向上し、50μm以下であると、ラミネート材の端面から透過する水分量が改善される。
<シーラント層17>
シーラント層17は、外装材1にヒートシールによる封止性を付与する層である。
シーラント層17を構成する材質としては、一般的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ホモ、ブロック、あるいはランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体などのポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体あるいはそのエステル化物あるいはイオン架橋物などが挙げられる。
シーラント層17は、上述した樹脂のいずれか1種または2種以上のブレンドからなる単層であってもよく、シーラントに求められる他の要求性能に応じて多層構造としてもよい。この多層構造の例には、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分あるいは完全ケン化物やポリ酢酸ビニル共重合体の部分あるいは完全ケン化物といったガスバリア性を有する樹脂を介在させるということも含まれる。
<積層体の製造方法>
外装材1を構成する積層体は、たとえば以下の工程(1)〜(5)を有する製造方法により製造できる。
(1)アルミニウム箔層14上に下地処理層13を形成する工程。
(2)アルミニウム箔層14における下地処理層13を形成した反対側に、腐食防止処理を施して腐食防止処理層15を形成する工程。
(3)アルミニウム箔層14の下地処理層13を形成した側に、第一の接着剤層12を介して基材層11を貼り合わせる工程。
(4)アルミニウム箔層14の腐食防止処理層15側に、接着性樹脂層16を介してシーラント層17を貼り合わせる工程。
(5)基材層11、第一の接着剤層12、下地処理層13、アルミニウム箔層14、腐食防止処理層15、接着性樹脂層16およびシーラント層からなる積層体を熱処理する工程。
工程(1):
下地処理層13は、前記塩基性樹脂と前記架橋剤と溶媒とを含む下地処理剤を、アルミニウム箔層14上に塗工し、乾燥キュアすることにより形成できる。
下地処理剤の溶媒としては、例えば水が挙げられる。
溶媒の使用量は、下地処理剤が塗工可能となる範囲内であれば特に限定されないが、例えば塩基性樹脂の濃度が0.1〜10質量%となる量が好ましい。
下地処理剤の塗工方法としては、例えば、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、マイクログラビアコート、コンマコート、エアナイフコート、メイヤーバーコート、ディップコート、ダイコート、スプレーコート等の各種塗工方法が採用できる。
乾燥キュアは、母材温度として60〜250℃の範囲内となるように行うことが好ましい。
工程(2):
腐食防止処理層15は、アルミニウム箔層14の下地処理層13の反対側の面に腐食防止処理を施すことにより形成できる。
腐食防止処理については前述したとおりである。具体的には、脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、腐食防止性能を有するコーティング剤を塗工するコーティングタイプの腐食防止処理などが挙げられる。
脱脂処理方法としては、焼鈍、スプレー法、浸漬法等が挙げられる。
熱水変成処理方法、陽極酸化処理方法としては、浸漬法等が挙げられる。
化成処理方法としては、化成処理のタイプに応じて、浸漬法、スプレー法、コート法等を選択できる。
腐食防止性能を有するコーティング剤のコート法としては、グラビアコート、リバースコート、ロールコート、バーコートなど各種方法を採用できる。
コーティング剤の塗布量は、前述した腐食防止処理層15の単位面積当たりの質量を満たす範囲内が好ましい。また、乾燥キュアが必要な場合は、用いる腐食防止処理層15の乾燥条件に応じて、母材温度として60〜300℃の範囲で実施できる。
工程(3):
アルミニウム箔層14の下地処理層13を形成した側に、第一の接着剤層12を介して基材層11を貼り合わせる方法としては、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウェットラミネーションなどの公知の手法を採用できる。これらの中でもドライラミネートの手法を用いることが好ましい。
第一の接着剤層12を形成する接着剤としては、上述した第一の接着剤層12で説明したポリウレタン系接着剤が好ましい。
接着剤のドライ塗布量は、1〜10g/mが好ましく、3〜7g/mがより好ましい。
貼り合わせた後、接着促進のため、室温〜100℃の範囲内でエージング(養生)処理を行ってもかまわない。
工程(4):
アルミニウム箔層14の腐食防止処理層15側に、接着性樹脂層16を介してシーラント層17を貼り合わせる方法としては、サンドラミネーション、共押出などの公知の手法を採用できる。例えば、押出ラミネート機を用いたサンドラミネーションを行うことで、基材層11/第一の接着剤層12/下地処理層13/アルミニウム箔層14/腐食防止処理層15/接着性樹脂層16/シーラント層17となる層構造を形成することができる。また、接着性樹脂層16とシーラント層17を共押出により製膜しても構わない。
接着性樹脂層16の押出温度としては、200〜340℃が好ましい。
工程(5):
工程(1)〜(4)により形成した積層体(基材層11/第一の接着剤層12/下地処理層13/アルミニウム箔層14/腐食防止処理層15/接着性樹脂層16/シーラント層17)に、熱処理を施すことで、各層間の密着性が向上し、電解液耐性および耐フッ酸性を向上させることができる。
この時の熱処理温度は、前記積層体の最高到達温度が、40℃〜220℃となるように設定することが好ましく、80℃〜200℃となるように設定することがより好ましい。処理時間は処理温度に依存するが、低温なほど長時間、高温なほど短時間の処理を施すことが好ましい。
この時の熱処理の方法としては、例えば生産性やハンドリングを考慮すると、高温(例えば100℃以上)に設定した乾燥炉やベーキング炉を通過させるといった方法が好ましい。また、熱ラミネーション(熱圧着)やヤンキードラム(熱ドラムに抱かせる)といった熱処理方法を用いて処理を施すことも好ましい。
外装材1を構成する積層体の製造方法は上記の製造方法に限定されない。
例えば、工程(2)を行ってから工程(1)を行ってもよい。工程(4)を行った後に工程(3)を行ってもよい。工程(5)を行わなくてもよい。
工程(5)の後、または工程(4)の後、必要に応じて、得られた積層体の最外層および/または最内層にスリップ材および/またはアンチブロッキング材を塗布する工程を行ってもよい。スリップ材および/またはアンチブロッキング材を塗布することにより、静摩擦係数を低下させることができ、成形性能が向上する。スリップ剤および/またはアンチブロッキング剤は溶媒に溶解・分散して塗布することが好ましい。塗布は、公知のコーティング手法により実施できる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の外装材について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態に対応する構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図2は、本実施形態の外装材2を構成する積層体の層構成を示す概略断面図である。
外装材2は、基材層11の一方の面に、第一の接着剤層12と、下地処理層13と、アルミニウム箔層14と、腐食防止処理層15と、第二の接着剤層18と、シーラント層17とが順次積層した積層体から構成される。
つまり外装材2は、接着性樹脂層16の代わりに第二の接着剤層18を有している以外は外装材1と同じである。
<第二の接着剤層18>
第二の接着剤層18は、前記接着性樹脂層16と同様に、腐食防止処理層15とシーラント層17とを接着する層である。接着性樹脂層16による腐食防止処理層15とシーラント層17との貼り合せが主に熱ラミネートに適しているのに対し、第二の接着剤層18による腐食防止処理層15とシーラント層17との貼り合せはドライラミネートにも容易に適用できる。
第二の接着剤層18を形成する接着剤としては、第一の接着剤層12で挙げた接着剤と同様の接着剤が挙げられる。例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどのポリオールからなる主剤と、2官能以上のイソシアネート化合物からなる硬化剤とを含有するポリウレタン系接着剤が挙げられる。第二の接着剤層18を形成する接着剤の組成(例えばポリウレタン系接着剤における主剤やポリイソシアネート系硬化剤の種類やそれらの配合量)は、第一の接着剤層12を形成する接着剤と同じであっても異なってもよい。
ただし、第二の接着剤層18に用いる接着剤は、電解液が充填される側の面を貼り合せる接着剤であるため、電解液による膨潤や、フッ酸による加水分解に関して注意を払う必要がある。そのため、加水分解されにくい骨格を有する主剤を用いた接着剤、架橋密度を向上させた接着剤等を用いることが好ましい。
たとえば、ポリエステルポリオール系接着剤組成物の架橋密度を向上させる手法として、多塩基酸としてダイマー脂肪酸あるいはそのエステルあるいはその水素添加物、あるいはダイマー脂肪酸あるいはそのエステルあるいはその水素添加物の還元グリコールを用いることが挙げられる。ダイマー脂肪酸とは、各種不飽和脂肪酸を2量体化させたものであり、その構造としては非環型、単環型、多環型、芳香環型が挙げられるが、本接着剤で用いるポリエステルポリオールの原料である多塩基酸としては特に制限を受けることはない。ダイマー脂肪酸の出発物質である不飽和脂肪酸としては特に制限受けることはなく、モノ不飽和脂肪酸、ジ不飽和脂肪酸、トリ不飽和脂肪酸、テトラ不飽和脂肪酸、ペンタ不飽和脂肪酸、ヘキサ不飽和脂肪酸等が適宜使用できる。モノ不飽和脂肪酸としては、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸などが挙げられる。ジ不飽和脂肪酸としてはリノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸などが挙げられる。トリ不飽和脂肪酸としては、リノレン酸、ビノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸などが挙げられる。テトラ不飽和脂肪酸としてはステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸などが挙げられる。ペンタ不飽和脂肪酸としては、ボセオペンタエン酸、エイコサベンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサベンタエン酸などが挙げられる。ヘキサ不飽和脂肪酸としてはドコサヘキサエン酸、ニシン酸などが挙げられる。不飽和脂肪酸を二量体するときの不飽和脂肪酸の組み合わせは、どのような組み合わせでもかまわない。このダイマー脂肪酸のバルキーな疎水性ユニットが接着剤としての架橋密度を向上させる。
このような上記ダイマー脂肪酸を必須成分として、通常のポリエステルポリオールで用いられるような二塩基酸も導入してもかまわない。該二塩基酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸などの脂肪族系、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族系から選択することが可能である。
第二の接着剤層18を形成する接着剤としては、主剤としてポリエステルポリオールを含むポリウレタン系接着剤が好ましい。該ポリエステルポリオールとして好ましいものとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなど脂肪族系、シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリーコルなどの脂環式系、キシリレングリーコルなどの芳香族系ジオールの一種以上を用いて得られた成分が挙げられる。また、このポリエステルポリオールの両末端の水酸基を、イソシアネート化合物の単体、または少なくとも一種のイソシアネート化合物からなるアダクト体、ビューレット体もしくはイソシアヌレート体を用いて鎖伸長したポリエステルウレタンポリオールなどが挙げられる。イソシアネート化合物としては、例えば2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートなどが挙げられる。また後述するイソシアネート成分もポリエステルポリオールの鎖伸張剤として用いることも可能である。
上記主剤に対する硬化剤としては、上記ポリエステルポリオールの鎖伸張剤として用いた類のイソシアネート化合物を用いることが可能であり、繰り返しにはなるが、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートなどから選ばれるイソシアネート化合物の単体、あるいは上記イソシアネート化合物から選択される少なくとも一種のイソシアネート化合物からなるアダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体が挙げられる。さらに電解液耐性(特に電解液に対する溶解性・膨潤性)を改善させるといった目的で、クルードトリレンジイソシアネート、クルード(あるいはポリメリック)ジフェニルメタンジイソシアネートから選ばれるポリイソシアネートの単体あるいは混合物、あるいはこれらのアダクト体を用いることが有効である。これらの硬化剤を用いることは、接着剤塗膜の架橋密度の向上による溶解性や膨潤性の改善につながると共に、ウレタン基濃度がアップすることから、腐食防止処理層15とシーラント層17との密着性の改善も期待される。上述したポリエステルポリオールの鎖伸張剤として、上記クルードトリレンジイソシアネート、クルード(あるいはポリメリック)ジフェニルメタンジイソシアネートを用いることも、リチウムイオン電池用外装材として用いるにあたり好適な材料といえる。
硬化剤の配合量としては、主剤100質量部に対し1〜100質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましい。1質量部より少ないと、密着性や電解液耐性という点で性能が発現しないおそれがある。100質量部より多いと過剰なイソシアネート基が存在することになり、未反応物の残留による接着剤膜質への影響や、硬さに影響を与えるおそれがある。
前記ポリウレタン系接着剤に、さらに、接着促進のため、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤などを配合することも可能である。これらの化合物の具体例は前記で挙げたとおりである。
その他、接着剤に求められる性能に応じ、各種添加剤や安定剤も配合しても構わない。
第二の接着剤層18の厚みは、1〜10μmが好ましく、3〜5μmがより好ましい。1μm以上であると、電解液耐性とラミネート強度が向上し、10μm以下であると、ラミネート材の端面から透過する水分量が改善される。
<積層体の製造方法>
外装材2を構成する積層体は、たとえば前記外装材1を構成する積層体の製造方法として説明した製造方法において、工程(4)の代わりに下記の工程(4’)を行うことにより製造できる。
(4’)アルミニウム箔層14の腐食防止処理層15側に、第二の接着剤層18を介してシーラント層17を貼り合わせる工程。
工程(4’):
アルミニウム箔層14の腐食防止処理層15側に、第二の接着剤層18を介してシーラント層17を貼り合わせる方法としては、前記工程(3)において説明した、アルミニウム箔層14の下地処理層13を形成した側に、第一の接着剤層12を介して基材層11を貼り合わせる方法と同様の方法が使用できる。
以上、第1実施形態、第2実施形態を示して本発明の外装材を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。上記実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
本発明の外装材は、リチウムイオン電池の製造に用いることができる。
本発明の外装材を用いるリチウムイオン電池の形態としては、ラミネートフィルムで筐体の一部または全部が構成されるものであれば特に限定されず、公知の形態を採用できる。本発明の有用性の点では、冷間成形が施された成形品で筐体の一部または全部が構成されるものが好ましい。
かかる用途において、本発明の外装材は、冷間成形により成形品とすることができる。冷間成形では、通常、電池セル(正極、セパレータ、負極)を収納するための凹部が形成される。冷間成形は、常温で行う成形方法であり、たとえば深絞り成形、張り出し成形等のプレス成形などが挙げられる。
本発明の外装材を用いたリチウムイオン電池の製造は、公知の製造方法を採用できる。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の各例で用いた材料は下記の通りである。
<使用材料>
[基材層11]
基材SB−1:厚み25μmの2軸延伸ポリアミドフィルム(ユニチカ製)。
[第一の接着剤層12]
接着剤AD−1:ポリエステルポリオール系主剤に対して、トリレンジイソシアネートのアダクト体系硬化剤を配合したポリウレタン系接着剤(東洋インキ製)。
[下地処理層13]
下地処理剤PL−1:ポリエチレンイミン(日本触媒製)90質量%とポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製)10質量%とからなる混合物を、溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5質量%に調整した組成物。
下地処理剤PL−2:ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーとからなるイオン高分子錯体(東ソー製)を、溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5質量%に調整した組成物。
下地処理剤PL−3:アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂(日本触媒製)80質量%と、3官能型グリシジル化合物(ADEKA製)20質量%とからなる混合物を、溶媒としてトルエンを用い、固形分濃度5質量%に調整した組成物。
下地処理剤PL−4:ポリアリルアミン(日東紡製)90質量%とポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製)10質量%とからなる混合物を、溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5質量%に調整した組成物。
[アルミニウム箔層14]
アルミニウム箔AL−1:焼鈍脱脂処理した厚み40μmの軟質アルミニウム箔8079材(東洋アルミニウム製)。
[腐食防止処理層15]
CL−1:酸化セリウム100質量部に対してリン酸のNa塩を10質量部配合し、溶媒として蒸留水を用いて固形分濃度10質量%に調整した「ポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾル」。
CL−2:ポリアクリル酸アンモニウム塩(東亞合成製)90質量%とアクリル−イソプロペニルオキサゾリン共重合体(日本触媒製)10質量%とからなる混合物を、溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5質量%に調整した組成物。
CL−3:ポリアリルアミン(日東紡製)90質量%とポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製)10質量%とからなる混合物を、溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5質量%に調整した組成物。
[接着性樹脂層16]
接着性樹脂AR−1:ランダムポリプロピレン(PP)に対して無水マレイン酸をグラフト変性させた変性PPに対し、ゴム成分(エラストマー相)を配合した変性ポリオレフィン樹脂(三井化学製)。
[第二の接着剤層18]
接着剤AD−2:トルエン分散型無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(固形分17質量%焼付けタイプ)に、トリレンジイソシアネートのアダクト体(固形分75質量%)と、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(固形分100質量%)とを、72/6/22(固形分換算の質量比)になるように配合した組成物。
[シーラント層17]
フィルムSL−1:トータル厚みが30μmのランダムPP/ブロックPP/ランダムPPからなる2種3層からなる多層フィルム(オカモト製)。
<実施例1〜28>
図2に示す構成の積層体からなる外装材を以下の手順で作製した。
アルミニウム箔層14(アルミニウム箔AL−1)の電解液が充填される側に、CL−1を塗工、乾燥し、その後、CL−2を塗工、乾燥し、さらにその後、CL−3を塗工、乾燥して腐食防止処理層15を設けた。塗工はマイクログラビアコートにより行った。塗工量は、CL−1〜CL−3のトータルのドライ塗布量が70〜100mg/mとなる量とした。塗工後の乾燥(焼き付け処理)は、乾燥ユニットにおいてCL−1〜CL−3それぞれのタイプに応じて150〜250℃で行った。
腐食防止処理層15を設けたアルミニウム箔層14の反対面に、表1に示す下地処理剤を塗工、乾燥して下地処理層13を設けた。塗工はマイクログラビアコートにより行った。塗工量は、表1に示すドライ塗布量(mg/m)となる量とした。塗工後の乾燥は、乾燥ユニットにおいて210℃で行った。
腐食防止処理層15、下地処理層13を設けたアルミニウム箔層14の下地処理層13側に、接着剤AD−1を用いて基材SB−1を貼りあわせた。この際、グラビアリバースコートにより、接着剤AD−1がドライ塗布量として4〜5g/mになるようにラミネートを行った。その後、エージング処理を施すことで、接着剤AD−1を硬化させた。これにより、基材層11と第一の接着剤層12と下地処理層13とアルミニウム箔層14と腐食防止処理層15とが積層してなる積層体を得た。
この積層体の腐食防止処理層15側に、接着剤AD−2を用いて、シーラント層17を形成するフィルムSL−1を貼りあわせた。この際、グラビアリバースコートにより、接着剤AD−2がドライ塗布量として4〜5g/mになるようにラミネートを行った。その後、エージング処理を施すことで、接着剤AD−2を硬化させた。これにより、基材層11と第一の接着剤層12と下地処理層13とアルミニウム箔層14と腐食防止処理層15と第二の接着剤層18とシーラント層17とが積層してなるドライラミネート構成の積層体を得た。
このドライラミネート構成の積層体を、150〜200℃に加温した熱圧着ロール間に通過させて熱処理を行うことにより外装材を得た。
<比較例1>
下地処理層13を設けなかった以外は実施例1と同様にして、外装材を作製した。
<実施例29〜32、比較例2>
図1に示す構成の積層体からなる外装材を以下の手順で作製した。
実施例13〜16と同様にして、基材層11と第一の接着剤層12と下地処理層13とアルミニウム箔層14と腐食防止処理層15とが積層してなる積層体を作製した。
この積層体を押出ラミネート機の巻出部に設置し、またサンド基材部からシーラント層17を形成するフィルムSL−1を設置し、さらに押出機から接着性樹脂AR−1を290℃で押出して、80m/分の加工速度でサンドラミネートを行った。これにより、基材層11と第一の接着剤層12と下地処理層13とアルミニウム箔層14と腐食防止処理層15と接着性樹脂層16とシーラント層17とが積層してなる熱ラミネート構成の積層体を得た。
この熱ラミネート構成の積層体を、150〜200℃に加温した熱圧着ロール間に通過させて熱処理を行うことにより外装材を得た。
<比較例2>
下地処理層13を設けなかった以外は実施例29と同様にして、外装材を作製した。
各例で得られた外装材について、以下の手順で、冷間成形により図3に示す成形品101の形態とし、電解液雰囲気下での長期信頼性を評価した。結果を表2に示す。
[冷間成形品の電解液雰囲気下での長期信頼性の評価]
外装材111(各例で得られた外装材)の一部を、深絞り成形用装置にて、70×80mmサイズの絞り深さ5.0mmからなる冷間成形用金型を用いて、シーラント層側が内側となるように深絞りにして凹部112を形成した。得られた冷間成形サンプルの凹部112内に電解液を収納し、該冷間成形サンプルの一部を折り返して成形品101の形態(凹部112の開口部が封止され、開口部の周囲にシール部113が形成された形態)とし、シール部113をヒートシール(シール条件:時間190℃、圧力0.3Ma、時間3秒)して封緘した。電解液としては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレンを体積比で1:1:1で配合した溶液に、六フッ化リン酸リチウム塩を濃度1mоl/Lとなるように溶かしたもの(宇部興産製)を用いた。
得られた電解液入りの成形品101を40℃で一定時間(100時間(h)、150h、300h、450hまたは600h)保管した。保管後の成形品101について、絞り隅部(図3中の領域a)における基材層11とアルミニウム箔層14との間の浮きの有無を目視で観察し、以下の基準に従って電解液雰囲気下で保管後の密着性を評価した。
○:浮きが無かった。
×:浮きがあった。
[総合判定]
上記の結果から、冷間成形品の電解液雰囲気下での長期信頼性について、以下の基準で総合判定を行った。
◎:450h保管後に浮きが無かった。
○:300h保管後に浮きは無かったが、450h保管後に浮きがあった。
×:300h保管後に浮きがあった。
Figure 0006194577
Figure 0006194577
上記結果に示すとおり、実施例1〜32の外装材は、下地処理層を設けなかった比較例1〜2に比べて、冷間成形品の電解液雰囲気下での長期信頼性に優れていた。下地処理層13の単位面積あたりの質量が5mg/m以上の実施例5〜32の結果が特に良好であった。
本発明の外装材は、電解液雰囲気下での長期信頼性が高く、例えば本発明の外装材を冷間成形により成形品とし、これに電解液を収納して比較的高温の保存環境下(例えば40℃)においたときに、長期にわたって、該成形品の高歪部位での基材層−アルミニウム箔層間の浮きの発生を抑制できる。
したがって、本発明の外装材は、電気自動車など長期信頼性・安全性が求められる用途に適応が可能である。また、凹部の深さを深くして、大電流を取り出すという電池性能面の向上も期待されることから、さらにエネルギー密度を高めたい要望に対しても貢献することが可能である。
さらに、本発明の外装材の腐食防止処理層を、希土類元素酸化物ゾルを含有するコーティング剤を用いて形成した場合、クロメート処理などによる化成処理層を全く有さない構成とすることができ、この場合でも充分な電解液耐性を付与することが可能である。かかる外装材は、今後クロム化合物に対する規制が強まった際にも、安全性に優れる電池包材として適応することが可能である。
1 リチウムイオン電池用外装材
2 リチウムイオン電池用外装材
11 基材層
12 第一の接着剤層
13 下地処理層
14 アルミニウム箔層
15 腐食防止処理層
16 接着性樹脂層
17 シーラント層
18 第二の接着剤層

Claims (2)

  1. 基材層の一方の面に、第一の接着剤層と、下地処理層と、アルミニウム箔層と、希土類元素酸化物ゾルを用いた腐食防止処理層と、接着性樹脂層又は第二の接着剤層と、シーラント層とが順次積層した積層体から構成されるリチウムイオン電池用外装材であって、
    前記下地処理層が、ポリエチレンイミン、カルボン酸を有するポリマーとポリエチレンイミンとからなるイオン高分子錯体、1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンおよびその誘導体、ならびにアミノ基含有フェノール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の塩基性樹脂が架橋した架橋樹脂からなる単層の層であり、
    前記第一の接着剤層および前記アルミニウム箔層がそれぞれ前記下地処理層に接触していることを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。
  2. 前記下地処理層の単位面積あたりの質量が5〜150mg/mの範囲内である、請求項1に記載のリチウムイオン電池用外装材。
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