JP6672586B2 - リチウム電池用外装材 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム電池用外装材に関する。
パソコン、携帯電話などの携帯端末装置、ビデオカメラなどに用いられる民生用途の二次電池として、高エネルギーながらも超薄型化、小型化が可能なリチウムイオン電池が盛んに開発されている。
リチウムイオン電池用の外装材(以下、単に「外装材」ということがある。)としては、従来の金属製の缶に代えて、軽量でかつ電池形状を自由に選択できるという利点から、多層構成のラミネートフィルムが用いられるようになっている。また、このようなラミネートフィルムを使用した外装材は、電池形状の自由度だけでなく、軽量で放熱性が高く、更に低コストであることから、近年発展の著しい、環境負荷の小さいハイブリッド車、電気自動車のバッテリーへの適用も試みられている。
上記ラミネートフィルムの構成としては、アルミニウム箔等の金属箔層の一方の面に接着剤層を介してシーラント層(熱融着性フィルム)を積層し、他方の面に接着剤層を介して基材層(プラスチックフィルム)を積層する構成(基材層/接着剤層/金属箔層/接着剤層/シーラント層)が一般的である。
ラミネートフィルムタイプの外装材を用いたリチウムイオン電池は、例えば、上述したラミネートフィルムを冷間成型(深絞り成型)により深絞りした成型品中に、電池本体部分として正極材、負極材、およびセパレータと共に、電解液、もしくは該電解液を含浸させたポリマーゲルからなる電解質層が収容され、ヒートシールにより熱封止されて形成される。
電解液としては、非プロトン性溶媒(炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル等)にリチウム塩を溶解した電解液が使用される。
前記電解液は、シーラント層に対して浸透性が高い。そのため、リチウムイオン電池においては、シーラント層に浸透した電解液が金属箔層とシーラント層間のラミネート強度を低下させ、最終的に電解液が漏れ出すことがあった。また、電解質である、LiPF、LiBF等のリチウム塩は、加水分解反応によりフッ酸を発生させることがある。フッ酸は、金属面の腐食や、ラミネートフィルムの各層間のラミネート強度の低下を引き起こす。そのため、外装材には、電解液やフッ酸に対する腐食防止性能が求められる。
このような要求に対し、電解液によるシーラント層と金属箔層との間のラミネート強度の経時的低下を抑制し、十分な耐電解液性を有する外装材として、例えば特許文献1には、カルボキシ基を有するポリオレフィン樹脂と、多官能イソシアネート化合物とを含有する接着剤からなる層(接着剤層)を介して、シーラント層と金属箔層とを接着させた外装材が開示されている。
特開2010−92703号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように、カルボキシ基を有するポリオレフィン樹脂と、多官能イソシアネート化合物との組み合わせは、反応速度が遅い系である。反応速度が遅い場合、シーラント層と金属箔層とを十分に接着させるにはエージング時間を長くする必要があった。
また、特許文献1に記載の接着剤層は架橋構造を形成しているため、例えば電極タブとのシールや、電池製造時のデガッシングシール工程などの絶縁層として機能することが可能となる。
しかし、シーラント層と金属箔層とを十分に接着させることが困難であると、例えば冷間成型によって外装材をポケット状に成型した場合、成型時の応力がシーラント層と金属箔層との界面に集中して微細な浮きが発生することがあった。その結果、その微細な浮きを基点として絶縁性が低下することがあった。
ところで、耐電解液性を付与させる目的で、金属箔層のシーラント層側の表面には腐食防止処理層が設けられることもある。この場合、接着剤層を介して腐食防止処理層とシーラント層とが接着することになる。
しかし、上述したように電解質であるリチウム塩の加水分解により発生したフッ酸などが腐食防止処理層と接着剤層との間に浸透し、ラミネート強度の低下を招くことがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、短いエージング時間でも高いラミネート強度を発現し、耐電解液性に優れ、かつ冷間成型を行っても絶縁性を確保できるリチウム電池用外装材の提供を目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] 基材層と、第一の接着剤層と、金属箔層と、単層構成または複層構成の腐食防止処理層と、第二の接着剤層と、シーラント層とが、この順に積層した積層体から構成され、腐食防止処理層は少なくとも第二の接着剤層側に設けられ、希土類元素酸化物と、該希土類元素酸化物100質量部に対して1〜100質量部のリン酸またはリン酸塩と、カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーとを含み、該ポリマーは少なくとも第二の接着剤層に接する層に含まれ、第二の接着剤層は、前記第二の接着剤層に接する層に含まれる前記ポリマーと反応性を有する化合物を含む、リチウム電池用外装材。
[2] 腐食防止処理層は前記第二の接着剤層に接する層にカチオン性ポリマーを含み、第二の接着剤層に含まれる、カチオン性ポリマーと反応性を有する化合物が、多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載のリチウム電池用外装材。
[3] カチオン性ポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーとからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノフェノールよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、[2]に記載のリチウム電池用外装材。
[4] 腐食防止処理層は前記第二の接着剤層に接する層にアニオン性ポリマーを含み、第二の接着剤層に含まれる、アニオン性ポリマーと反応性を有する化合物が、グリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物、カルボジイミド化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載のリチウム電池用外装材。
[5] アニオン性ポリマーがカルボキシ基を有するポリマーであり、該ポリマーがポリ(メタ)アクリル酸またはその塩、あるいは(メタ)アクリル酸またはその塩を含む単量体混合物を共重合した共重合体である、[4]に記載のリチウム電池用外装材。
[6] 第二の接着剤層は、酸変性ポリオレフィン樹脂をさらに含む、[1]〜[5]のいずれか1つに記載のリチウム電池用外装材。
[7] 希土類元素酸化物が、酸化セリウムである、[1]〜[6]のいずれか1つに記載のリチウム電池用外装材。
[8] 第一の接着剤層と金属箔層との間に、単層構成または複層構成の腐食防止処理層が設けられている、[1]〜[7]のいずれか1つに記載のリチウム電池用外装材。
本発明のリチウム電池用外装材は、短いエージング時間でも高いラミネート強度を発現し、耐電解液性に優れ、かつ冷間成型を行っても絶縁性を確保できる。
本発明のリチウム電池用外装材の一例を示す断面図である。 図1に示すリチウム電池用外装材を構成する金属箔層、腐食防止処理層、および第二の接着剤層を拡大した一例を示す部分断面図である。 図1に示すリチウム電池用外装材を構成する金属箔層、腐食防止処理層、および第二の接着剤層を拡大した他の例を示す部分断面図である。
以下、本発明のリチウム電池用外装材の一例として、図1に示すリチウム電池用外装材(以下、単に「外装材」という。)10について説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
本実施形態の外装材10は、図1に示すように、基材層11と、第一の接着剤層12と、金属箔層13と、2層構成の腐食防止処理層14と、第二の接着剤層15と、シーラント層16とがこの順に積層された積層体から構成されている。
外装材10は、基材層11を最外層、シーラント層16を最内層として使用される。
「基材層」
基材層11は、リチウム電池を製造する際のヒートシール工程における耐熱性の付与、成形加工や流通の際に起こり得るピンホールの発生の抑制等の役割を果たす。特に大型用途のリチウム電池の外装材の場合等は、耐擦傷性、耐薬品性、絶縁性等も付与できる。
基材層11としては、絶縁性を有する樹脂により形成された樹脂フィルムが好ましい。
該樹脂フィルムとしては、例えばポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸又は未延伸フィルムが挙げられる。
基材層11は、1層でも2層以上でもよい。例えば基材層11は、前記の樹脂フィルムのいずれか1種からなる単層構成の樹脂層であってもよく、前記の樹脂フィルムを2種以上積層した複層構成の樹脂層であってもよい。これらの樹脂層としては、例えば延伸または無延伸ポリアミドフィルム、延伸または無延伸ポリエステルフィルム、延伸ポリアミドフィルムと延伸ポリエステルフィルムとの2層フィルムなどが挙げられる。また、例えばポリエステルとポリアミドとを接着性樹脂を用いて共押出した後、二軸延伸を施して得られる共押出多層二軸延伸多層フィルムを基材層11として用いてもよい。
基材層11としては、成形性、耐熱性に優れる点では、延伸ポリアミドフィルムが好ましい。また、基材層11としては、耐酸性に優れる点では、延伸ポリエステルフィルムが好ましい。また、基材層11としては、成形性、耐熱性及び耐酸性を両立しやすい点では、延伸ポリアミドフィルムと延伸ポリエステルフィルムとの積層フィルムが好ましい。
基材層11の厚さは、成形性、耐熱性、耐ピンホール性、絶縁性の点で、6μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。また、基材層11の厚さは、薄膜化、高放熱性の点では、60μm以下が好ましく、45μm以下がより好ましい。
基材層11が複層構成の樹脂層である場合、前記厚さは、その全体の厚さである。
基材層11の最外面(第一の接着剤層12側の反対側の表面)には、耐酸性付与剤、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加剤が塗布されていてもよい。
耐酸性付与剤としては、例えばポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、セルロースエステル、ウレタン樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
スリップ剤としては、例えばオレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド等の脂肪酸アミドなどが挙げられる。
アンチブロッキング剤としては、シリカ等の各種フィラー系のアンチブロッキング剤が好ましい。
これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
「第一の接着剤層」
第一の接着剤層12は、基材層11と金属箔層13とを接着する層である。
第一の接着剤層12は、樹脂フィルムと金属箔のラミネートに用いられる接着剤として公知のものを用いて形成できる。該接着剤としては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどのポリオールからなる主剤と、2官能以上のイソシアネート化合物からなる硬化剤とを含有するポリウレタン系接着剤が挙げられる。前記主剤に対し前記硬化剤を作用させることでポリウレタン系樹脂が形成される。
ポリエステルポリオールとしては、少なくとも1種の多塩基酸と、少なくとも1種のジオールを反応させて得られるものを用いることが可能である。
多塩基酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸などの脂肪族系二塩基酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族系二塩基酸等の二塩基酸などが挙げられる。
ジオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール等の脂肪族系ジオール、シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリコール等の脂環式系ジオール、キシリレングリコール等の芳香族系ジオールなどが挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、上記ポリエステルポリオールの両末端の水酸基を、イソシアネート化合物の単体、または少なくとも一種のイソシアネート化合物からなるアダクト体、ビューレット体もしくはイソシアヌレート体を用いて鎖伸長したポリエステルウレタンポリオールなどが挙げられる。
イソシアネート化合物としては、例えば2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)またはその水素添加物、クルードTDI、キシリレンジイソシアネート(XDI)またはその水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)またはその水素添加物、クルードMDI、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート等のジイソシアネート類などが挙げられる。
これらイソシアネート化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのエーテル系のポリオールや、鎖長伸長剤として上述したイソシアネート化合物を作用させたポリエーテルウレタンポリオールを用いることが可能である。
アクリルポリオールとしては、ポリ(メタ)アクリル酸を主成分とする共重合体が挙げられる。該共重合体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマーを筆頭に、アルキル基としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基であるアルキル(メタ)アクリレート系モノマー、さらには、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシラン等のシラン含有モノマー、(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマーを共重合させたものが挙げられる。
カーボネートポリオールとしては、カーボネート化合物とジオールとを反応させて得られるものを用いることが可能である。
カーボネート化合物としては、例えばジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネートなどを用いることができる。
ジオールとしては、ポリエステルポリオールの説明において先に例示したジオールが挙げられる。
また、上記カーボネートポリオールの末端の水酸基を、上述したイソシアネート化合物により鎖伸長したポリカーボネートウレタンポリオールを用いることが可能である。
これらの各種ポリオールは、求められる機能や性能に応じて、いずれか1種単独で、または2種以上のブレンドの状態で用いても構わない。
硬化剤として用いられる2官能以上のイソシアネート化合物としては、ポリエステルポリオールの説明において先に例示したイソシアネート化合物が挙げられる。
硬化剤の配合量は、主剤100質量部に対して1〜100質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましい。1質量部より少ないと密着性や電解液耐性という点で性能が発現しないおそれがある。100質量部より多いと過剰なイソシアネート基が存在することになり、未反応物の残留による接着剤膜質への影響や、硬さに影響を与えるおそれがある。
前記ポリウレタン系接着剤に、さらに、接着促進のため、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤などを配合することも可能である。
カルボジイミド化合物としては、例えばN,N’−ジ−o−トルイルカルボジイミド、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ジオクチルデシルカルボジイミド、N−トリイル−N’−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,2−ジ−t−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N’−フェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、およびN,N’−ジ−p−トルイルカルボジイミドなどが挙げられる。また、カルボジイミド化合物としては、下記一般式(1)で表される単位を有する化合物、下記一般式(2)で表される単位を有する化合物、下記一般式(3)で表される単位を有する化合物などが挙げられる。
Figure 0006672586
Figure 0006672586
Figure 0006672586
一般式(1)〜(3)中、nはそれぞれ2〜30の整数であり、好ましくは3〜20の整数である。
オキサゾリン化合物としては、例えば2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2,5−ジメチル−2−オキサゾリン、2,4−ジフェニル−2−オキサゾリン等のモノオキサゾリン化合物、2,2’−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,2−エチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,4−ブチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,4−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)等のジオキサゾリン化合物などが挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等の脂肪族のジオールのジグリシジルエーテル、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、グリセロール、トリメチロールプロパン等の脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族、芳香族の多価カルボン酸のジグリシジルエステルまたはポリグリシジルエステル、レゾルシノール、ビス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタン等の多価フェノールのジグリシジルエーテルもしくはポリグリシジルエーテル、N,N’−ジグリシジルアニリン、N,N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−ビス−(p−アミノフェニル)メタン等のアミンのN−グリシジル誘導体、アミノフェールのトリグリシジル誘導体、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、オルソクレゾール型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシなどが挙げられる。
リン系化合物としては、例えばトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチル−フェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノおよびジ−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えばビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなど各種シランカップリング剤を使用することが可能である。
その他、接着剤に求められる性能に応じ、各種添加剤や安定剤を配合しても構わない。
第一の接着剤層12の厚さは、1〜10μmが好ましく、3〜7μmがより好ましい。1μm以上であると接着剤としてのラミネート強度が向上し、10μm以下であると外装材10を冷間成形により深絞り成形品としたときに、該深絞り成形品の絞り隅部においても、電解液雰囲気下での基材層11−金属箔層13間の浮きを十分に抑制できる。
「金属箔層」
金属箔層13は、水分が電池内に浸入を防止する水蒸気バリア性を有する。また、金属箔層13は、深絞り成形をするために延展性を有する。
金属箔層13としては、アルミニウム、ステンレス鋼等の各種金属箔を使用することができ、重量(比重)、防湿性、加工性、コストの面から、アルミニウム箔が好ましい。アルミニウム箔からなる金属箔層を「アルミニウム箔層」ともいう。
金属箔層13となるアルミニウム箔としては、公知の軟質アルミニウム箔が使用でき、耐ピンホール性、及び成形時の延展性の点から、鉄を含むアルミニウム箔が好ましい。アルミニウム箔(100質量%)中の鉄の含有量は、アルミニウム箔の全質量100質量%に対して、0.1〜9.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。鉄の含有量が下限値以上であれば耐ピンホール性、延展性が向上する。鉄の含有量が上限値以下であれば、柔軟性が向上する。
アルミニウム箔層の厚さは、バリア性、耐ピンホール性、加工性の点から、9〜200μmが好ましく、15〜100μmがより好ましい。
金属箔層13には、未処理のアルミニウム箔も用いてもよいが、脱脂処理を施したアルミニウム箔を用いることが好ましい。脱脂処理としては、大きく区分するとウェットタイプとドライタイプが挙げられる。
ウェットタイプの脱脂処理としては、酸脱脂やアルカリ脱脂などが挙げられる。酸脱脂に使用する酸としては、例えば硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸などの無機酸が挙げられる。これらの酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、アルミニウム箔のエッチング効果が向上する点から、必要に応じて鉄(III)イオンやセリウム(III)イオンなどの供給源となる各種金属塩を配合してもよい。アルカリ脱脂に使用するアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウムなどの強エッチングタイプのアルカリが挙げられる。また、弱アルカリ系や界面活性剤を配合したものを用いてもよい。ウェットタイプの脱脂処理は浸漬法やスプレー法で行われる。
ドライタイプの脱脂処理としては、例えばアルミニウムを焼鈍処理する工程において、脱脂処理を行う方法が挙げられる。また、該脱脂処理の他にも、フレーム処理やコロナ処理などが挙げられる。さらには特定波長の紫外線を照射して発生する活性酸素により、汚染物質を酸化分解・除去する脱脂処理を採用してもよい。
脱脂処理が施されるのは、アルミニウム箔の片側面でも両側面でもよい。
「腐食防止処理層」
腐食防止処理層14は、電解液あるいはフッ酸による金属箔層13の腐食を防止するために設けられる層である。
腐食防止処理層14は、希土類元素酸化物と、該希土類元素酸化物100質量部に対して1〜100質量部のリン酸またはリン酸塩と、カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーとを含む層である。
なお、金属箔層13上に腐食防止処理層14などのコーティング層を設ける場合は、一般的にシランカップリング剤を用いて界面密着力を向上させる技術が用いられることがある。本発明においては、腐食防止処理層14はシランカップリング剤を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。ただし、用いるシランカップリング剤に含まれる官能基の種類によっては、後述する腐食防止処理層に含まれる成分とシランカップリング剤とが副反応を起こし、本来の目的の反応に弊害が生じるおそれがある。そのため、反応に弊害が生じるおそれがある場合には、腐食防止処理層14はシランカップリング剤を含まないことが好ましい。
本実施形態の腐食防止処理層14は、図1に示すように、第一の腐食防止処理層14aと、第二の腐食防止処理層14bの2層構成となっている。
第一の腐食防止処理層14aは金属箔層13と接する層であり、希土類元素酸化物とリン酸またはリン酸塩を含む。第二の腐食防止処理層14bは後述する第二の接着剤層15と接する層であり、カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーを含む。
第二の腐食防止処理層14bは、カチオン性ポリマーまたはアニオン性ポリマーを含むことが好ましい。
希土類元素酸化物としては、例えば酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ネオジウム、酸化ランタン等が挙げられる。これらの中でも、電解液耐性の点から、酸化セリウムが好ましい。
第一の腐食防止処理層14aを形成させる際には、リン酸またはリン酸塩を分散安定化剤として用い、希土類元素酸化物を分散安定化させてゾルの状態にしたもの(希土類元素酸化物ゾル)を使用してもよい。希土類元素酸化物ゾルは、液体分散媒中に希土類元素酸化物の微粒子(例えば平均粒径100nm以下の粒子)が分散したものである。
希土類元素酸化物ゾルの液体分散媒としては、例えば水系溶媒、アルコール系溶媒、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒等の各種溶媒が挙げられ、水系溶媒が好ましい。
リン酸またはリン酸塩は、希土類元素酸化物を分散安定化させるだけでなく、リン酸のアルミキレートの能力を利用した金属箔層(特にアルミニウム箔層)との密着性の向上、フッ酸の影響で溶出したアルミニウムイオンの捕獲(すなわち、不動態の形成)により耐電解液性の付与、低温でもリン酸の脱水縮合が起こりやすいことによる第一の腐食防止処理層14aの凝集力の向上などが期待できる。凝集力が向上することで、外装材10の強度物性が良好となる傾向にある。
リン酸またはリン酸塩などのリン酸化合物としては、例えばオルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、またはこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。また、その他にも、リン酸アルミニウム、リン酸チタン等の各種塩を用いてもよい。機能発現の点では、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、ウルトラメタリン酸等の縮合リン酸、またはこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩(縮合リン酸塩)が好ましい。
特に、ゾル状態の希土類元素酸化物(すなわち、希土類元素酸化物ゾル)を用いて第一の腐食防止処理層14aを形成する場合、乾燥造膜性(すなわち、乾燥能力や熱量)を考慮すると、低温での反応性に優れる分散安定化剤が好ましい。このことから、リン酸塩を形成する塩としては、低温での脱水縮合性に優れるナトリウム塩が好ましい。また、リン酸化合物は、水溶性の塩が好ましい。
リン酸またはその塩の含有量は、希土類元素酸化物100質量部に対して1〜100質量部であり、5〜50質量部が好ましく、5〜20質量部がより好ましい。リン酸またはその塩の含有量が上記下限値以上であれば、希土類元素酸化物ゾルの安定性が向上し、十分な機能を備えた外装材10が得られる。一方、リン酸またはその塩の含有量が上記上限値以下であれば、希土類元素酸化物ゾルの機能が高まり、電解液の浸食を防止する性能に優れた第一の腐食防止処理層14aが形成される。
第一の腐食防止処理層14aの厚さは特に制限されないが、0.01〜10μmが好ましい。
なお、第一の腐食防止処理層14aの単位面積当たりの質量aは、0.010〜0.200g/mであることが好ましく、0.040〜0.100g/mであることがより好ましい。質量aが上記下限値より小さくなると、アルミニウム箔等の金属箔の腐食防止効果を有する希土類元素酸化物や、リン酸またはリン酸塩の絶対量が少なくなるため、耐電解液性や耐フッ酸性が得られにくくなる。一方、質量aが上記上限値より大きくなると、希土類元素酸化物ゾルの乾燥に伴うゾル・ゲル反応が進行しにくくなり(すなわち、熱量不足になりゾル・ゲル反応が進行しにくくなり)、希土類元素酸化物ゾルの凝集力が低下し、外装材とした際の強度物性を低下させる恐れがある。従って、第一の腐食防止処理層14aの単位面積当たりの質量aが上記範囲内であれば、耐電解液性を保持すると共に、希土類元素酸化物ゾルの凝集力を維持できるので、外装材に求められる強度を十分に付与できる。
カチオン性ポリマーは、耐電解液性や耐フッ酸性に優れる化合物である。その要因としては、フッ素イオンをカチオン性基でトラップすること(アニオンキャッチャー)で、アルミニウム箔のダメージを抑制するためと推測される。
カチオン性ポリマーとしてはアミンを含有するポリマーが挙げられ、具体的には、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーとからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノフェノールなどが挙げられる。これらカチオン性ポリマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリアリルアミンまたはその誘導体が好ましい。
ポリエチレンイミンとイオン高分子錯体を形成するカルボン酸を有するポリマーとしては、ポリアクリル酸またはそのイオン塩などのポリカルボン酸(塩)、あるいはこれにコモノマーを導入させた共重合体や、カルボキシメチルセルロースまたはそのイオン塩などのカルボキシル基を有する多糖類が挙げられる。
ポリアリルアミンとしては、アリルアミン、アリルアミンアミド硫酸塩、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミンなどの単独重合体あるいは共重合体を用いることが可能である。これらのアミンはフリーのアミンであっても、酢酸や塩酸によって安定化したアミンであってもよい。また、共重合体成分として、マレイン酸、二酸化イオウなどを用いることも可能である。さらに、1級アミンを部分メトキシ化させることで熱架橋性を付与させたタイプを用いることも可能である。
なお、アミノフェノールの場合も、1級アミンを部分メトキシ化させることで熱架橋性を付与させたタイプを用いることが可能である。
カチオン性ポリマーは、第二の腐食防止処理層14b中で架橋構造を形成していることが好ましい。カチオン性ポリマーが架橋構造を形成していれば、外装材10の耐水性が向上する。
カチオン性ポリマーを架橋構造にするためには、第二の腐食防止処理層14bを形成する際に、カチオン性ポリマーと共に架橋剤を用いればよい。カチオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤としては、例えば多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、カルボジイミド基を有する化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
多官能イソシアネート化合物としては、例えば第一の接着剤層12の説明において先に例示したジイソシアネート類;これらジイソシアネート類をトリメチロールプロパン等の多価アルコールと反応させたアダクト体、ジイソシアネート類を水と反応させることで得られたビューレット体、三量体であるイソシアヌレート体等のポリイソシアネート類;これらポリイソシアネート類をアルコール類、ラクタム類、オキシム類等でブロック化させたブロックポリイソシアネートなどが挙げられる。
グリシジル化合物としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類とエピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物;グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類とエピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物;フタル酸テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸等のジカルボン酸とエピクロルヒドリンとを作用させたエポキシ化合物などが挙げられる。
カルボキシ基を有する化合物としては、例えば各種脂肪族あるいは芳香族ジカルボン酸などが挙げられ、さらにはポリ(メタ)アクリル酸やポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ(土類)金属塩を用いてもよい。
オキサゾリン基を有する化合物としては、オキサゾリンユニットを2つ以上有する低分子化合物を用いることができる。また、イソプロペニルオキサゾリンのように重合性モノマーを用いる場合には、アクリル系モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどと共重合させたものを用いることができる。
カルボジイミド基を有する化合物としては、第一の接着剤層の説明において先に例示したカルボジイミド化合物などが挙げられる。
これら架橋剤はカチオン性ポリマー100質量部に対して、1〜50質量部配合するのが適切である。架橋剤の配合量が上記下限値より少ないと、架橋構造が不十分となる。一方、配合量が上記上限値より多くなると、塗液ポットライフが低下する恐れがある。
なお、カチオン性ポリマーが、ポリアリルアミンの1級アミンをメトキシカルボニル化させたポリアリルアミンの誘導体である場合は、熱架橋性を有するため、架橋剤を配合しなくても架橋剤を配合したものと実質的に同等と見なす。
架橋剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに、アミンと官能基を選択的に反応させ、架橋点をシロキサン結合にすることの可能なシランカップリング剤を、架橋剤と併用してもよいし、併用しなくてもよい。ただし、上述したように、腐食防止処理層に含まれる成分とシランカップリング剤とが副反応を起こし、本来の目的の反応に弊害が生じるおそれある場合には、腐食防止処理層14はシランカップリング剤を含まないことが好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランが挙げられる。特に、カチオン性ポリマーあるいはその共重合物との反応性を考慮するとβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランが好適である。
アニオン性ポリマーは、第二の腐食防止処理層14bの安定性を向上させる化合物である。
一般的に、外装材の用途に限らず、例えば腐食性化合物によりアルミニウム箔の腐食を防止する目的で設けられる保護層中に、イオンコンタミ、特にナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンが含まれると、このイオンコンタミを起点にして保護層が侵されてしまう場合がある。
第二の腐食防止処理層14bがアニオン性ポリマーを含有していれば、上述した希土類元素酸化物ゾル中に含まれるナトリウムイオンなどのイオンコンタミを固定化させることができ、外装材の耐性を向上させることができる。
アニオン性ポリマーは、上述したカチオン性ポリマーとは正反対の特性をもつ材料である。具体的にはカルボキシ基を有するポリマーが挙げられ、該ポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリル酸またはその塩、あるいは(メタ)アクリル酸またはその塩を含む単量体混合物を共重合した共重合体が挙げられる。
単量体混合物に含まれる、(メタ)アクリル酸またはその塩以外の成分としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミドやN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基など)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミドやN,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基など)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシラン等のシラン含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマーを共重合させたものなどが挙げられる。
アニオン性ポリマーも、第二の腐食防止処理層14b中で架橋構造を形成していることが好ましい。アニオン性ポリマーが架橋構造を形成していれば、外装材10の耐水性が向上する。
アニオン性ポリマーを架橋構造にするためには、第二の腐食防止処理層14bを形成する際に、アニオン性ポリマーと共に架橋剤を用いればよい。アニオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤としては、カチオン性ポリマーの説明において先に例示した架橋剤が挙げられる。上述した架橋剤を用いる以外にも、チタニウム化合物やジルコニウム化合物を架橋剤として用いてイオン架橋などの架橋構造を形成させる方法を用いても構わない。
架橋剤はアニオン性ポリマー100質量部に対して、1〜50質量部配合するのが適切である。架橋剤の配合量が上記下限値より少ないと、架橋構造が不十分となる。一方、配合量が上記上限値より多くなると、塗液ポットライフが低下する恐れがある。
架橋剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、架橋剤とシランカップリング剤を併用してもよいし、併用しなくてもよい。ただし、上述したように、腐食防止処理層に含まれる成分とシランカップリング剤とが副反応を起こし、本来の目的の反応に弊害が生じるおそれある場合には、腐食防止処理層14はシランカップリング剤を含まないことが好ましい。架橋剤とシランカップリング剤を併用する場合、シランカップリング剤としては、カチオン性ポリマーの説明において先に例示したシランカップリング剤が挙げられる。
図1に示すように、第一の腐食防止処理層14aは、金属箔層13上に直接積層している。第一の腐食防止処理層14aは、実質上、希土類元素酸化物のゾル粒子が密集した構造となっている。一方、第二の腐食防止処理層14bは、ゾル粒子が密集した第一の腐食防止処理層14aの間隙を埋めながら、かつ第一の腐食防止処理層14a上に積層している。すなわち、第二の腐食防止処理層14bを構成するカチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーを含む材料(以下、「コーティング組成物(b)」ともいう。)が、第一の腐食防止処理層14aの間隙に浸透しながら第一の腐食防止処理層14a上に塗工され、第二の腐食防止処理層14bを形成する。この際、第一の腐食防止処理層14aの間隙に浸透したコーティング組成物(b)が熱架橋されることで、第二の腐食防止処理層14bは第一の腐食防止処理層14aの保護層的な効果を発現する。
第二の腐食防止処理層14bが第一の腐食防止処理層14aの保護層的な役割をより効果的に発現するためには、第一の腐食防止処理層14aの単位面積当たりの質量a(g/m)と、第二の腐食防止処理層14bの単位面積当たりの質量b(g/m)との関係が、2≧b/aを満たすことが好ましい。
各層の質量の関係(b/a)が上記範囲を超える場合でも、第二の腐食防止処理層14bが第一の腐食防止処理層14aの保護層的な役割を果たすことは可能であるが、この場合、第一の腐食防止処理層14aの間隙を埋める割合に加えて、第一の腐食防止処理層14a上に積層される第二の腐食防止処理層14bの割合が必要以上に増えることになる。第二の腐食防止処理層14b中のカチオン性ポリマーおよび/またはアニオン性ポリマーは、単独で存在するよりも、第二の腐食防止処理層14b中において第一の腐食防止処理層14a中の希土類元素酸化物や、リン酸またはリン酸塩と複合化する方が耐電解液性や耐フッ酸性の機能をより効果的に発現する傾向にある。従って、各層の質量の関係(b/a)が上記範囲を超えると、結果として第一の腐食防止処理層14a中の希土類元素酸化物や、リン酸またはリン酸塩と複合化せずに単独で存在するカチオン性ポリマーおよび/またはアニオン性ポリマーの割合が増えるので、耐電解液性や耐フッ酸性、耐水性の機能が十分に発揮されなくなる場合があり、耐電解液性や耐フッ酸性が低下する恐れがある。また、コーティング組成物(b)の塗工量が増えるので、硬化しにくくなる場合もある。コーティング組成物(b)を十分に硬化させるためには、乾燥温度を高く設定したり、硬化時間を長く設定したりすればよいが、その結果、生産性が低下する恐れがある。よって、生産性を維持しつつ、耐電解液性や耐フッ酸性を向上させる観点から、各層の質量の関係(b/a)は2≧b/aであることが好ましく、1.5≧b/a≧0.01であることがより好ましく、1.0≧b/a≧0.1であることが特に好ましい。
なお、上記関係は層の質量を基準としているが、各層の比重を求めることができれば、腐食防止処理層14全体の厚さに換算することもできる。
ここで、図2、図3を参照し、腐食防止処理層14を構成する第一の腐食防止処理層14aおよび第二の腐食防止処理層14bの具体的な構造の一例を説明する。
詳しくは後述するが、金属箔層13上に腐食防止処理層14を形成する製造工程(後述の工程(1))においては、2つの工程を経て第一の腐食防止処理層14aおよび第二の腐食防止処理層14bが形成される。製造工程における成膜条件を変えることにより、第一の腐食防止処理層14aおよび第二の腐食防止処理層14bの構造は変わることがある。図2、図3に示すように、第一の腐食防止処理層14aおよび第二の腐食防止処理層14bによって構成される腐食防止処理層14の構造が互いに異なる場合であっても、本発明では、「腐食防止処理層14は2層構成を有する」と称している。また、換言すると、腐食防止処理層14は、第一の腐食防止処理層14aおよび第二の腐食防止処理層14bが混合された混合層と称することもできる。
図2に示す腐食防止処理層14の構造においては、微粒子によって構成される第一の腐食防止処理層14aが金属箔層13上に形成されている。比較的薄い膜厚を有する第二の腐食防止処理層14bが第一の腐食防止処理層14aを覆うように形成されている(オーバーコート)。さらに、第二の腐食防止処理層14bを覆うように、第二の接着剤層15が形成されている。
第一の腐食防止処理層14aは、複数の微粒子が金属箔層13上に離散的(点在するように)に配置された構造を有する(不連続構造)。このため、互いに隣接する微粒子の間には隙間が形成されている。第二の腐食防止処理層14bは、この隙間を埋めるように微粒子状の第一の腐食防止処理層14aを覆い、金属箔層13に部分的に接触している。このような微粒子の表面形状と、微粒子の間に形成される間隙(金属箔層13の露出部分)の表面形状とに起因して、金属箔層13上には粒子によって形成された凹凸面(隆起面)が形成されている。この凹凸面の表面粗さは、例えば、ナノメートルレベルである。第二の腐食防止処理層14bは、第一の腐食防止処理層14aの凹凸面に沿って形成されるため、第二の腐食防止処理層14bの表面は凹凸形状を有する。さらに、第二の接着剤層15は、第二の腐食防止処理層14bの凹凸面に沿って形成されるため、第二の接着剤層15の第二の腐食防止処理層14b側の表面形状も凹凸を有する。
このような粒子状の第一の腐食防止処理層14aを形成する工程においては、上述した第一の腐食防止処理層14aの膜厚範囲(0.01〜10μm)の中で、膜厚が小さくなるように成膜条件が調整される。すなわち、第一の腐食防止処理層14aの単位面積当たりの質量aが、上述した範囲(0.010〜0.200g/m)の中で比較的少ない質量となるように成膜条件が調整される。
また、第二の腐食防止処理層14bを形成する工程においては、第一の腐食防止処理層14aの表面の凹凸形状が第二の腐食防止処理層14bに転写するように、第二の腐食防止処理層14bの膜厚が調整される(塗布量の調整)。
図2に示す構造によれば、第二の接着剤層15と第二の腐食防止処理層14bとが接触する面積は増加し、投錨効果(アンカリング効果)が得られ、第二の接着剤層15と第二の腐食防止処理層14bとの間の密着力をより向上させることができ、外装材の強度を高めることができる。さらに、第一の腐食防止処理層14aの凹凸形状が第二の腐食防止処理層14bに転写される程度に膜厚が薄くなるように第二の腐食防止処理層14bが形成されるため、表面積が増大し、第二の腐食防止処理層14bの熱架橋を促進させることができる。このため第二の腐食防止処理層14bが溶剤や水を吸収することによって生じる膨潤が防止され、外装材の強度の低下を抑制することができる。
図3に示す腐食防止処理層14の構造においては、複数の微粒子が凝集することによって生成された第一の腐食防止処理層14aが金属箔層13上に形成されている。比較的厚い膜厚を有する第二の腐食防止処理層14bが第一の腐食防止処理層14aを覆うように形成されている(オーバーコート)。さらに、第二の腐食防止処理層14bを覆うように、第二の接着剤層15が形成されている。
第一の腐食防止処理層14aは、複数の微粒子が金属箔層13上に立体的に配置された凝集構造を有する。また、複数の凝集構造は、金属箔層13上に離散的に配置される。第二の腐食防止処理層14bは、互いに隣接する凝集構造の隙間を埋めるように第一の腐食防止処理層14aを覆い、凝集構造を構成する複数の微粒子の間に形成された隙間を埋める。さらに、金属箔層13が露出している部分があれば、この露出部分において第二の腐食防止処理層14bは金属箔層13に接触することがある。
さらに、図2に示す構造に比較して、図3に示す構造では、第二の腐食防止処理層14bの膜厚は厚い。第二の腐食防止処理層14bは、第一の腐食防止処理層14aを完全に埋めるように形成され、第二の腐食防止処理層14bの表面(第二の接着剤層15と第二の腐食防止処理層14bとの接触面)は平面になる。この構造では熱架橋された第二の腐食防止処理層14bが第一の腐食防止処理層14a全体を確実に覆うことで耐電解液性等の腐食防止効果を向上させることができる。
「第二の接着剤層」
第二の接着剤層15は、腐食防止処理層14が形成された金属箔層13とシーラント層16とを接着する層である。
本実施形態の第二の接着剤層15は、第二の腐食防止処理層14bに含まれるポリマーと反応性を有する化合物(以下、「反応性化合物」ともいう。)を含む層である。例えば、第二の腐食防止処理層14bがカチオン性ポリマーを含む場合、第二の接着剤層15はカチオン性ポリマーと反応性を有する化合物を含む。第二の腐食防止処理層14bがアニオン性ポリマーを含む場合、第二の接着剤層15はアニオン性ポリマーと反応性を有する化合物を含む。また、第二の腐食防止処理層14bがカチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーを含む場合、第二の接着剤層15はカチオン性ポリマーと反応性を有する化合物およびアニオン性ポリマーと反応性を有する化合物の少なくとも一方を含む。ただし、第二の接着剤層15は必ずしも前記2種類の化合物を含む必要はなく、カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーの両方と反応性を有する化合物を含んでいてもよい。
また、第二の接着剤層15は、酸変性ポリオレフィン樹脂をさらに含んでいてもよい。
ここで、「反応性を有する」とは、カチオン性ポリマーまたはアニオン性ポリマーと共有結合を形成することである。
カチオン性ポリマーと反応性を有する化合物としては、多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
これら多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物としては、第一の接着剤層の説明において先に例示したイソシアネート化合物やオキサゾリン化合物、カチオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤として先に例示した多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物などが挙げられる。
これらの中でも、カチオン性ポリマーとの反応性が高く、架橋構造を形成しやすい点で、多官能イソシアネート化合物が好ましい。
アニオン性ポリマーと反応性を有する化合物としては、グリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物、カルボジイミド化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
これらグリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物、カルボジイミド化合物としては、第一の接着剤層の説明において先に例示したオキサゾリン化合物やカルボジイミド化合物、カチオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤として先に例示したグリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物などが挙げられる。
これらの中でも、アニオン性ポリマーとの反応性が高い点で、グリシジル化合物が好ましい。
第二の接着剤層15が後述する酸変性ポリオレフィン樹脂を含む場合、反応性化合物は、酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基とも反応性を有する(すなわち、酸性基と共有結合を形成する)ことが好ましい。これにより、腐食防止処理層14との接着性がより高まる。加えて、酸変性ポリオレフィン樹脂が架橋構造となり、外装材10の耐溶剤性がより向上する。
反応性化合物の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基に対し、等量から10倍等量であることが好ましい。等量以上であれば、反応性化合物が酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基と十分に反応する。一方、10倍等量を超えると、酸変性ポリオレフィン樹脂との架橋構造が不十分となり、上述した耐溶剤性などの物性の低下が懸念される。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、酸性基をポリオレフィン樹脂に導入したものである。酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基などが挙げられ、カルボキシ基が特に好ましい。
カルボキシ基をポリオレフィン樹脂に導入した酸変性ポリオレフィン樹脂としては、例えばポリオレフィン樹脂に対し、不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物、又は不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物のエステルをラジカル開始剤の存在下でグラフト変性してなる酸変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。以下、不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物と、不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物のエステルを合わせてグラフト化合物ということがある。
ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体などが挙げられる。
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸などが挙げられる。
不飽和カルボン酸の酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。
不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物のエステルとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、フマール酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロ無水フタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸ジメチルなどが挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂中のグラフト化合物の割合は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.2〜100質量部が好ましい。
グラフト反応の温度条件は、50〜250℃が好ましく、60〜200℃がより好ましい。
反応時間は製造方法にも左右されるが、二軸押出機による溶融グラフト反応の場合、押出機の滞留時間内が好ましい。具体的には、2〜30分が好ましく、5〜10分がより好ましい。
グラフト反応は、常圧、加圧いずれの条件下においても実施できる。
ラジカル開始剤としては、有機過酸化物が挙げられる。有機過酸化物としては、例えばアルキルパーオキサイド、アリールパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシカーボネート、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。これらの有機過酸化物は、温度条件と反応時間によって適宜選択できる。前記した二軸押出機による溶融グラフト反応の場合、アルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステルが好ましく、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシ−ヘキシン−3、ジクミルペルオキシドがより好ましい。
第二の接着剤層15には、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加剤を配合してもよい。
なお、金属箔層とシーラント層とを接着させるために用いる一般的な接着剤には、シランカップリング剤が含まれている場合がある。これは、シランカップリング剤を配合することで接着を促進し、接着強度を高めるためである。しかし、シランカップリング剤を配合する接着剤を用いると、シランカップリング剤に含まれる官能基の種類によっては、接着剤層に含まれるシランカップリング剤以外の成分とシランカップリング剤とが副反応を起こし、本来の目的の架橋反応に弊害が生じるおそれがある。そのため、反応に弊害が生じるおそれがある場合には、金属箔層とシーラント層とを接着させるために用いる接着剤には、シランカップリング剤が含まれていないことが好ましい。
本発明においては、第二の接着剤層15はシランカップリング剤を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。ただし、本発明であれば、第二の接着剤層15が反応性化合物を含むので、第二の腐食防止処理層14b中のポリマーと共有結合を形成し、腐食防止処理層14と第二の接着剤層15との接着強度が向上する。よって、第二の接着剤層15には接着を促進する目的でシランカップリング剤を配合しなくても十分な接着強度が得られる。そのため、架橋反応に弊害が生じるおそれがある場合には、第二の接着剤層15はシランカップリング剤を含まないことが好ましい。
第二の接着剤層15の厚さは、3〜50μmが好ましく、10〜40μmがより好ましい。第二の接着剤層15の厚さが下限値以上であれば、優れた接着性が得られやすい。第二の接着剤層15の厚さが上限値以下であれば、外装材10の側端面から透過する水分量が低減される。
「シーラント層」
シーラント層16は、外装材10にヒートシールによる封止性を付与する層である。
シーラント層16を構成する材質としては、例えばポリオレフィン樹脂、または酸変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。これらポリオレフィン樹脂および酸変性ポリオレフィン樹脂としては、第二の接着剤層15の説明において先に例示したものが挙げられる。
シーラント層16は、単層フィルムであっても、複数の層を積層させた多層フィルムであってもよい。必要とされる機能に応じて、例えば、防湿性を付与するという点ではエチレン−環状オレフィン共重合体やポリメチルペンテンなどの樹脂を介在させた多層フィルムを用いてもよい。
さらに、シーラント層16には各種添加剤、例えば、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤などを配合してもよい。
シーラント層16の厚さは、10〜100μmであることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましい。
「リチウム電池用外装材の製造方法」
図1に示す外装材10は、例えば以下の工程(1)〜(3)を有する製造方法により製造できる。
(1)金属箔層13の一方の面に、腐食防止処理層14を形成する工程。
(2)金属箔層13の他方の面(腐食防止処理層14を形成する側の反対側の面)に、第一の接着剤層12を介して基材層11を貼り合わせる工程。
(3)金属箔層13の腐食防止処理層14を形成した側に、第二の接着剤層15を介してシーラント層16を貼り合わせる工程。
工程(1):
腐食防止処理層14は、金属箔層13の一方の面に、第一の腐食防止処理層14aを形成した後に、第二の腐食防止処理層14bを形成することで得られる。
具体的には、まず、希土類元素酸化物と、希土類元素酸化物100質量部に対して1〜100質量部のリン酸またはリン酸塩とを含む材料(以下、「コーティング組成物(a)」ともいう。)を、金属箔層13の片面へ塗工し、乾燥・硬化・焼き付けを行い、第一の腐食防止処理層14aを形成する。ついで、カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーと、必要に応じて該ポリマーを架橋構造にするための架橋剤等を含む材料(コーティング組成物(b))を、第一の腐食防止処理層14a上に塗工し、乾燥・硬化・焼き付けを行い、第二の腐食防止処理層14bを形成する。
コーティング組成物(a)およびコーティング組成物(b)の加熱乾燥後のドライ塗工量が、少なければ図2に示す構造の腐食防止処理層14が形成されやすく、多ければ図3に示す構造の腐食防止処理層14が形成されやすい傾向にある。
塗工方法としては、公知の方法が用いられるが、例えばグラビアコーター、グラビアリバースコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、バーコーター、キスコーター、コンマコーターなどが挙げられる。
なお、金属箔層13としてアルミニウム箔を用いる場合、上述したように、未処理のアルミニウム箔を用いてもよく、ウェットタイプまたはドライタイプにて脱脂処理を施したアルミニウム箔を用いてもよい。
工程(2):
金属箔層13の他方の面(腐食防止処理層14を形成する側の反対側の面)に、第一の接着剤層12を介して基材層11を貼り合わせる方法としては、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウェットラミネーションなどの公知の手法を採用できる。これらの中でもドライラミネートの手法を用いることが好ましい。
第一の接着剤層12を形成する接着剤としては、上述した第一の接着剤層12で説明したポリウレタン系接着剤が好ましい。
接着剤のドライ塗布量は、1〜10g/mが好ましく、3〜7g/mがより好ましい。
金属箔層13の他方の面に基材層11を貼り合わせた後、接着促進のため、室温〜100℃の範囲内でエージング(養生)処理を行ってもかまわない。
工程(3):
金属箔層13の腐食防止処理層14側に、第二の接着剤層15を介してシーラント層16を貼り合わせる方法としては、ウェットプロセスとドライプロセスが挙げられる。
ウェットプロセスの場合は、まず、カチオン性ポリマーまたはアニオン性ポリマーと反応性を有する化合物と、必要に応じて酸変性ポリオレフィン樹脂等を含む接着剤の溶剤希釈品または分散液を、腐食防止処理層14上に塗工する。ついで、所定の温度(接着剤が酸変性ポリオレフィン樹脂を含む場合は、その融点以上の温度)で溶媒を揮発させ後に、ドライラミネーション法などによりシーラント層16を貼り合わせる、あるいは溶媒を揮発させた後に、さらにポリマーの融点以上の温度で加熱して溶融軟化させて焼き付けを行った後、熱ラミネーション法などの熱処理によりシーラント層16を積層して、外装材10を得る。
塗工方法としては、工程(1)の説明において先に例示した各種塗工方法が挙げられる。
ドライプロセスの場合は、まず、カチオン性ポリマーまたはアニオン性ポリマーと反応性を有する化合物と、必要に応じて酸変性ポリオレフィン樹脂等を含む接着剤を、押出ラミネーションなどにより腐食防止処理層14上に押出して第二の接着剤層15を形成する。ついで、予めインフレーション法またはキャスト法により製膜されたシーラント層16をサンドイッチ押出ラミネーションなどにより積層して、外装材10を得る。
なお、インフレーション法またはキャスト法により、第二の接着剤層15を構成する接着剤と、シーラント層16を構成する樹脂とを共押出して多層フィルムを作製し、該多層フィルムを腐食防止処理層14上に熱ラミネーションにより積層させることも可能である。
また、必要に応じて、コーティング組成物(b)と接着剤との密着性を向上させる目的で、熱処理を施すことも可能であるが、本発明においては、上述したような層構成を形成させることで、押出ラミネート時の少ない熱量でも密着性に優れる外装材10が得られる。
熱処理の方法としては、エージング処理、熱ロールに抱かせる方法、熱ロールで圧着させる方法などが挙げられる。熱処理の温度は、エージング処理の場合は40℃以上が好ましく、熱ロールに抱かせる方法や熱ロールで圧着させる方法の場合は150℃以上(ただし、接着剤が酸変性ポリオレフィン樹脂を含む場合は、その融点以上の温度)が好ましい。
「作用効果」
以上説明した本実施形態の外装材は、基材層と、第一の接着剤層と、金属箔層と、2層構成の腐食防止処理層と、第二の接着剤層と、シーラント層とが、この順に積層した積層体から構成される。腐食防止処理層は、希土類元素酸化物と、特定量のリン酸またはリン酸塩と、カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーとを含み、該ポリマーは、少なくとも第二の接着剤層と接する層(第二の腐食防止処理層)に含まれる。一方、第二の接着剤層は、前記第二の接着剤層と接する層(第二の腐食防止処理層)に含まれる前記ポリマーと反応性を有する化合物(反応性化合物)を含む層である。
通常、腐食防止処理層と接着剤とは水素結合性の接着界面を形成する。
しかし、本実施形態の外装材であれば、第二の腐食防止処理層上に第二の接着剤層が積層した際に、第二の腐食防止処理層に含まれるポリマーと、第二の接着剤層に含まれる反応性化合物とが反応して共有結合を形成する。よって、第二の腐食防止処理層と第二の接着剤層との間には、共有結合性の接着界面が形成される。共有結合性の接着界面を有する積層体は、水素結合性の接着界面を有する積層体よりも層間の接着強度が高い傾向にある。
上述したように、電解液はシーラント層に対して浸透性が高いため、電解液や、電解質であるリチウム塩が加水分解により発生したフッ酸などが腐食防止処理層と接着剤層との間に浸透する。
しかし、本実施形態の外装材であれば、第二の腐食防止処理層と第二の接着剤層との間に共有結合性の接着界面が形成されるので、電解液やフッ酸などが浸透してもラミネート強度の低下を抑制できる。よって、本発明の外装材は耐電解液性に優れる。
しかも、本実施形態の外装材であれば、共有結合性の接着界面の形成により第二の腐食防止処理層と第二の接着剤層とが強固に接着するので、短いエージング時間でも高いラミネート強度を発現する。
また、腐食防止処理層は希土類元素酸化物とリン酸またはリン酸塩を含む。リン酸またはリン酸塩は、希土類元素酸化物の分散安定化だけでなく、金属箔層(特にアルミニウム箔層)の腐食に対するインヒビター効果を付与させることができる。さらに、リン酸またはリン酸塩の金属箔層(特にアルミニウム箔層)への密着性を向上させることも可能となり、耐電解液性という点で相乗的な効果を発現できる。
さらに、腐食防止処理層が、上述した第一の腐食防止処理層と第二の腐食防止処理層とからなる多層構成であれば、より耐フッ酸性に優れ、高機能なものとなる。係る理由は以下のように考えられる。
カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーはフッ酸のトラップという点で非常に効果的な材料である。また、架橋剤を添加することにより、耐水性も向上できる。従って腐食防止処理層が、図1に示すようにカチオン性ポリマーまたはアニオン性ポリマーを含む第二の腐食防止処理層14bを備えることで、耐電解液性、耐フッ酸性、耐水性がより向上する。
しかしながら、カチオン性ポリマーまたはアニオン性ポリマーを含む層は金属箔を腐食から守る機能は持たない。そこで、図1に示すように腐食防止処理層14を、第二の腐食防止処理層14bと共に、希土類元素酸化物とリン酸またはリン酸塩とを含む第一の腐食防止処理層14aを備えた多層構造とすることにより、アルミニウム箔などの金属箔の腐食防止効果が得られるようになる。
また、リチウム電池は、例えば冷間成型によって外装材をポケット状に成型し、このポケットに電池の本体となるセルや電解液などを入れて密封して製造するのが一般的である。腐食防止処理層と第二の接着剤層との接着強度が不十分であると、冷間成型の際に応力が腐食防止処理層と第二の接着剤層との界面に集中して微細な浮きが発生することがある。微細な浮きが発生すると、電解液が浸透して絶縁性が低下しやすくなる。
しかし、本実施形態の外装材であれば、第二の腐食防止処理層と第二の接着剤層との間に共有結合性の接着界面が形成されるので、冷間成型を行っても腐食防止処理層と第二の接着剤層との界面に微細な浮きが発生しにくく、良好な接着界面を形成できるので、絶縁性を確保できる。
「他の実施形態」
本発明の外装材は、上述したものに限定されない。図1に示す腐食防止処理層14は、第一の腐食防止処理層14aと第二の腐食防止処理層14bとからなる2層構成であるが、腐食防止処理層14は3層以上の構成でもよい。例えば、3層構成の腐食防止処理層としては、希土類元素酸化物とリン酸またはリン酸塩とを含む層と、アニオン性ポリマーを含む層と、カチオン性ポリマーを含む層とが順に積層した構成のもの;希土類元素酸化物とリン酸またはリン酸塩とを含む層と、カチオン性ポリマーを含む層と、アニオン性ポリマーを含む層とが順に積層した構成のものなどが挙げられる。ただし、希土類元素酸化物とリン酸またはリン酸塩とを含む層が金属箔層側である。また、カチオン性ポリマーを含む層が第二の接着樹脂層と接する場合、第二の接着樹脂層にはカチオン性ポリマーと反応性を有する化合物が含まれるものとする。同様に、アニオン性ポリマーを含む層が第二の接着樹脂層と接する場合、第二の接着樹脂層にはアニオン性ポリマーと反応性を有する化合物が含まれるものとする。
また、腐食防止処理層14は単層構造であってもよい。
さらに、図1に示す外装材10は金属箔層13の片面(第二の接着剤層15側の面)のみに腐食防止処理層14が設けられているが、金属箔層13のもう一方の面(第一の接着剤層12側の面)にも腐食防止処理層が設けられていてもよい。
なお、本発明の好ましい実施形態を説明し、上記で説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、請求の範囲によって制限されている。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例2〜4は参考例である。
以下の各例で用いた材料は下記の通りである。
「使用材料」
<腐食防止処理層>
A−1:酸化セリウム100質量部に対して縮合リン酸ナトリウム塩を10質量部配合し、溶媒として蒸留水を用いて固形分濃度10質量%に調整した酸化セリウムゾル。
B−1:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5質量%に調整した、ポリアリルアミン90質量部とグリシジル化合物10質量部とからなる混合物。
B−2:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5質量%に調整した、ポリアクリル酸90質量部とオキサゾリン基を有する化合物(イソプロペニルオキサゾリンとアクリル酸とを共重合させた共重合体)10質量部とからなる混合物。
<第二の接着剤層>
C−1:トルエンに溶解させた無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、イソシアヌレート構造のポリイソシアネート化合物を10質量部(固形分比)で配合した接着剤組成物。ポリイソシアネート化合物の配合量は、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂の酸性基(カルボキシ基)に対して3倍等量である。
C−2:トルエンに溶解させた無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、グリシジル化合物を10質量部(固形分比)で配合した接着剤組成物。グリシジル化合物の配合量は、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂の酸性基(カルボキシ基)に対して5倍等量である。
C−3:水添ダイマー脂肪酸およびジオールからなるポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとをモル比(NCO/OH)が2になるように配合した接着剤組成物。
「実施例1」
まず、アルミニウム箔からなる金属箔層の一方の面に、A−1を塗工、乾燥して第一の腐食防止処理層を形成した後、第一の腐食防止処理層上にB−1を塗工、乾燥して第二の腐食防止処理層を形成した。なお、A−1およびB−1の塗工はマイクログラビアコートにより行った。A−1およびB−1を合わせた加熱乾燥後のドライ塗工量が70〜100mg/mとなるようにした。
ついで、金属箔層の他方の面(第一の腐食防止処理層および第二の腐食防止処理層を形成した側の反対側の面)に、ポリウレタン系接着剤(三井化学ポリウレタン(株)製、A525/A52)をドライラミネート法により、ドライ塗工量4〜5mg/mで塗工し、第一の接着剤層を形成した。該第一の接着剤層を介して、ポリアミドフィルムからなる基材層を貼り合わせた。
ついで、第二の腐食防止処理層上にC−1をドライラミネート法により、ドライ塗工量4〜5g/mで塗工し、第二の接着剤層を形成した。該第二の接着剤層を介して、厚さ40μmのポリプロピレンフィルムをシーラント層として積層させ、図1に示すような、基材層11/第一の接着剤層12/金属箔層13/第一の腐食防止処理層14a/第二の腐食防止処理層14b/第二の接着剤層15/シーラント層16の層構成の積層体を得た。
得られた積層体を40℃で5日間、または10日間エージングし、外装材を得た。
また、得られた各外装材の断面を電子顕微鏡にて観察し、腐食防止処理層の構造を確認したところ、図2に示すような構造であった。すなわち、第一の腐食防止処理層14aは、複数の微粒子が金属箔層13上に離散的に配置された不連続構造を有していた。一方、第二の腐食防止処理層14bは、微粒子状の第一の腐食防止処理層14aの隙間を埋めるように第一の腐食防止処理層14aを被覆しており、第二の腐食防止処理層14bの表面は凹凸形状であった。
<評価>
(耐電解液性の評価)
得られた各外装材を100×15mmサイズの短冊状に切り取り、評価用のサンプルとし、以下に示す耐電解液性の評価を行った。結果を表1に示す。
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(質量比)の溶液に、濃度が1MになるようにLiPFを添加して電解液を調製し、テフロン(登録商標)容器に充填した。その中にサンプルを入れ、密栓後85℃で4時間保管した。その後、容器からサンプルを取り出し、さらに水中に2時間浸漬させた。浸漬後のサンプルの剥離状況を以下の基準にて評価した。なお、5日間エージングして得られた外装材の第電解液性の評価が「○」または「◎」の場合を合格とする。
◎:ラミネート強度が10N/15mm以上(クロスヘッドスピードが300mm/分)である。
○:ラミネート強度が5N/15mm以上、10N/15mm未満(クロスヘッドスピードが300mm/分)である。
△:ラミネート強度が5N/15mm未満(クロスヘッドスピードが300mm/分)である。
×:デラミネーションが発生し、ラミネート強度が測定できない。
(絶縁性の評価)
得られた各外装材を、冷間成型器を用いて70×80mmサイズで深さ4mmのポケット状に成型した。得られた成型品の内部に、内容物として耐電解液性の評価にて調製した電解液を5g収容し、成型されていない外装材にて蓋をした。このとき、成型品と成型されていない外装材とをシーラント層が対向するように重ね合わせ、ヒートシールを行うことで密閉し、成型サンプルを得た。また、ヒートシールの際には、アルミニウムタブリード(Alタブリード)を酸変性ポリオレフィンフィルムからなるタブフィルムと共に、一端が電解液に浸漬し、他端が成型サンプルの外に出るように、成型品と成型されていない外装材との間に介在させてシールを行った。
得られた成型サンプルの表面(外層部分)の一部をやすりで削り、意図的にアルミニウム箔からなる金属箔層を露出させた後に、この露出した金属箔層とAlタブリードとに電極端子を取り付け、印加電圧25Vにて印加したときの絶縁抵抗値を測定し、以下の基準にて評価した。
○:絶縁抵抗値が100MΩ以上である(測定限界は200MΩ)。
△:絶縁抵抗値が50MΩ以上、100MΩ未満である。
×:絶縁抵抗値が50MΩ未満である。
「実施例2〜4、比較例1〜4」
第二の腐食防止処理層、および第二の接着剤層の形成に用いた材料を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして外装材を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
なお、実施例2〜4、比較例1〜4で得られた各外装材の断面を電子顕微鏡にて観察し、腐食防止処理層の構造を確認したところ、実施例1と同様であった。
Figure 0006672586
表1から明らかなように、各実施例で得られた外装材は、耐電解液性および絶縁性に優れていた。
一方、腐食防止処理層がカチオン性ポリマーまたはアニオン性ポリマーを含まない比較例1〜3で得られた外装材は、デラミネーションが発生し、耐電解液性に劣っていた。また、比較例1〜3で得られた外装材はデラミネーションが発生したため、絶縁性の評価は実施しなかった。
腐食防止処理層がアニオン性ポリマーを含み、第二の接着剤層がカチオン性ポリマーと反応性を有する化合物を含む比較例4で得られた外装材は、エージング日数が短いと十分なラミネート強度が得られず、耐電解性に劣っていた。また、比較例4で得られた外装材は、民生用の電池としては使用可能な絶縁抵抗値を示したが、各実施例で得られた外装材に比べると絶縁性に劣っていた。
本発明によれば、短いエージング時間でも高いラミネート強度を発現し、耐電解液性に優れ、かつ冷間成型を行っても絶縁性を確保できるリチウム電池用外装材が得られる。
10 リチウム電池用外装材
11 基材層
12 第一の接着剤層
13 金属箔層
14 腐食防止処理層
14a 第一の腐食防止処理層
14b 第二の腐食防止処理層
15 第二の接着剤層
16 シーラント層

Claims (6)

  1. 基材層と、第一の接着剤層と、金属箔層と、単層構成または複層構成の腐食防止処理層と、第二の接着剤層と、シーラント層とが、この順に積層した積層体から構成され、
    腐食防止処理層は少なくとも第二の接着剤層側に設けられ、希土類元素酸化物と、該希土類元素酸化物100質量部に対して1〜100質量部のリン酸またはリン酸塩と、カチオン性ポリマーとを含み、該カチオン性ポリマーは少なくとも第二の接着剤層に接する層に含まれ、
    第二の接着剤層は、前記第二の接着剤層に接する層に含まれる前記カチオン性ポリマーと反応性を有する化合物と、酸変性ポリオレフィン樹脂とを含み、かつシランカップリング剤を含まず、
    前記カチオン性ポリマーが、アミンを含有するポリマーであり、
    前記カチオン性ポリマーと反応性を有する化合物が、多官能イソシアネート化合物である、リチウム電池用外装材。
  2. カチオン性ポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーとからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノフェノールよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項に記載のリチウム電池用外装材。
  3. 腐食防止処理層は前記第二の接着剤層に接する層にアニオン性ポリマーをさらに含み、
    第二の接着剤層は、前記アニオン性ポリマーと反応性を有する化合物をさらに含み、該アニオン性ポリマーと反応性を有する化合物が、グリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物、カルボジイミド化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載のリチウム電池用外装材。
  4. アニオン性ポリマーがカルボキシ基を有するポリマーであり、該ポリマーがポリ(メタ)アクリル酸またはその塩、あるいは(メタ)アクリル酸またはその塩を含む単量体混合物を共重合した共重合体である、請求項に記載のリチウム電池用外装材。
  5. 希土類元素酸化物が、酸化セリウムである、請求項1〜のいずれか一項に記載のリチウム電池用外装材。
  6. 第一の接着剤層と金属箔層との間に、単層構成または複層構成の腐食防止処理層が設けられている、請求項1〜のいずれか一項に記載のリチウム電池用外装材。
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