JP6930065B2 - リチウムイオン電池用外装材、及びそれを用いたリチウムイオン電池 - Google Patents
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Description
アルミニウム箔層のシーラント層側の表面粗さを表す算術平均高さSaが4.6μm以上10.0μm以下であり、アルミニウム箔層のシーラント層側においてMD方向に平行なスクラッチによって生じるMD方向における60°光沢度とTD方向における60°光沢度との差は100以下であり、
このアルミニウム箔層のシーラント層側の面にカチオン性ポリマーを含む腐食防止処理層を備え、この腐食防止処理層の厚さが20nm〜500nmであるアルミニウム箔を使用したことを特徴とするリチウムイオン電池用外装材である。
前記容器は、請求項1に記載のリチウムイオン電池用外装材から、前記シーラント層が内側となるように形成されていることを特徴とするリチウムイオン電池である。
図1は、本発明の蓄電装置用外装材の一実施形態を模式的に表す断面図である。図1に示すように、本実施形態の外装材(蓄電装置用外装材)10は、被覆層21と、該被覆層21の一方の面側に設けられたバリア層22と、該バリア層22の被覆層21とは反対側に設けられたシーラント接着層16と、該シーラント接着層16のバリア層22とは反対側に設けられたシーラント層17と、が順次積層された積層体である。
基材層11は、蓄電装置を製造する際に、後述する加圧熱融着工程における耐熱性及び他の蓄電装置から漏れ出した電解液に対する耐電解液性を外装材10に付与し、加工又は流通の際に起こり得るピンホールの発生を抑制するための層である。また、基材層11はポリアミドフィルムからなる層である。
これらの中でも、耐熱性、突刺強度及び衝撃強度に優れる観点から、ナイロン6(ONy)が好ましい。
接着層13は、基材層11とバリア層22とを接着する層である。接着層13は、基材層11とバリア層22とを強固に接着するために必要な密着力を有すると共に、冷間成型する際において、基材層11によってバリア層22が破断されることを抑制するための追随性(部材が変形・伸縮したとしても、剥離することなく部材上に接着層13を確実に形成するための性能)も有する。
アルミニウム箔層14は、金属箔としての防湿性及び延展性等の加工性、並びにコストの面から優れている。アルミニウム箔は一般の軟質アルミニウム箔であってもよいが、耐ピンホール性及び成形時の延展性に優れる点から、鉄を含むアルミニウム箔であることが好ましい。
、両光沢度の差は50以下であってもよく、好ましく45以下であり、より好ましくは35以下である。
腐食防止処理層15a,15bは、電解液、又は、電解液と水分の反応により発生するフッ酸によるアルミニウム箔層14の腐食を抑制する役割を果たす。また、腐食防止処理層15aは、アルミニウム箔層14と接着層13との密着力を高める役割を果たす。また
、腐食防止処理層15bは、アルミニウム箔層14とシーラント接着層16との密着力を高める役割を果たす。腐食防止処理層15a及び腐食防止処理層15bは、同一の構成の層であってもよく、異なる構成の層であってもよい。
グリシジル基含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエ卜キシラン等のシラン含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネー卜等のイソシアネー卜基含有モノマー等が挙げられる。また、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、マレイン酸、アルキルマレイン酸モノエステル、フマル酸、アルキルフマル酸モノエステル、イタコン酸、アルキルイタコン酸モノエステル、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエン等が挙げられる。
基を有する多糖類等が挙げられる。ポリカルボン酸(塩)としては、例えば、ポリアクリル酸あるいはそのイオン塩などが挙げられる。カルボキシ基を有する多糖類としては、例えば、カルボキシメチルセルロースあるいはそのイオン塩などが挙げられる。イオン塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。
シーラント接着層16は、腐食防止処理層15bが形成されたアルミニウム箔層14とシーラント層17を接着する層である。外装材10は、シーラント接着層16を形成する接着成分によって、熱ラミネート構成とドライラミネート構成に大きく分けられる。
シーラント層17は、外装材10に対し、ヒートシールによる封止性を付与する層であり、蓄電装置の組み立て時に内側に配置されて熱融着される層である。シーラント層17としては、ポリオレフィン系樹脂、又はポリオレフィン系樹脂に無水マレイン酸等の酸をグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂フィルムが挙げられる。中でも、水蒸気のバリア性を向上させ、ヒートシールによって過度に潰れることなく蓄電装置の形態を構成可能なポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリプロピレンが特に好ましい。
次に、外装材10の製造方法について説明する。なお、外装材10の製造方法は以下の方法に限定されない。
工程S11:アルミニウム箔層14の一方の面上に腐食防止処理層15aを形成し、アルミニウム箔層14の他方の面上に腐食防止処理層15bを形成する工程。
工程S12:腐食防止処理層15aのアルミニウム箔層14が積層された側とは反対側の面と、基材層11の面とを、接着層13を介して貼り合わせる工程。
工程S13:腐食防止処理層15bのアルミニウム箔層14が積層された側とは反対側の面上に、シーラント接着層16を介してシーラント層17を形成する工程。
工程S11では、アルミニウム箔層14の一方の面上に腐食防止処理層15aを形成し、アルミニウム箔層14の他方の面上に腐食防止処理層15bを形成する。腐食防止処理層15a及び15bは、それぞれ別々に形成されてもよく、両方が一度に形成されてもよい。具体的には、例えば、アルミニウム箔層14の両方の面に腐食防止処理剤(腐食防止処理層の母材)を塗布し、その後、乾燥、硬化、焼付けを順次行うことで、腐食防止処理層15a及び15bを一度に形成する。また、アルミニウム箔層14の一方の面に腐食防止処理剤を塗布し、乾燥、硬化、焼き付けを順次行って腐食防止処理層15aを形成した後、アルミニウム箔層14の他方の面に同様にして腐食防止処理層15bを形成してもよい。腐食防止処理層15a及び15bの形成順序は特に制限されない。また、腐食防止処理剤は、腐食防止処理層15aと腐食防止処理層15bとで異なるものを用いてもよく、同じのものを用いてもよい。上記腐食防止処理剤としては、例えば、塗布型クロメート処理用の腐食防止処理剤等を用いることができる。腐食防止処理剤の塗布方法は、特に限定されないが、例えば、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、ダイコート法、バーコート法、キスコート法、コンマコート法等の方法を用いることができる。なお、アルミニウム箔層14として、未処理のアルミニウム箔層を用いてもよいし、ウェットタイプの脱脂処理又はドライタイプの脱脂処理により、脱脂処理を施したアルミニウム箔層を用いてもよい。
工程S12では、腐食防止処理層15aのアルミニウム箔層14が積層された側とは反対側の面と、基材層11の面とが、接着層13を形成する接着剤を用いてドライラミネーション等の手法で貼り合わせられる。工程S12は、接着性の促進のため、室温〜100℃の範囲でエージング(養生)処理を行ってもよい。エージング時間は、例えば、1〜10日である。
工程S12後、基材層11、接着層13、腐食防止処理層15a、アルミニウム箔層14及び腐食防止処理層15bがこの順に積層された積層体のうち、腐食防止処理層15bのアルミニウム箔層14が積層された側とは反対側の面上に、シーラント接着層16を介してシーラント層17が形成される。シーラント層17は、ドライラミネーション及びサンドイッチラミネーション等によって積層されてもよく、シーラント接着層16とともに共押出し法によって積層されてもよい。シーラント層17は、接着性向上の点から、例えばサンドイッチラミネーションによって積層される、又は、シーラント接着層16とともに共押出し法によって積層されることが好ましく、サンドイッチラミネーションによって積層されることがより好ましい。
次に、外装材10を容器として備える蓄電装置について説明する。蓄電装置は、電極を含む電池要素1と、上記電極から延在するリード2と、電池要素1を収容する容器とを備
え、上記容器は蓄電装置用外装材10から、シーラント層17が内側となるように形成される。上記容器は、2つの外装材を、シーラント層17同士を対向させて重ね合わせ、重ねられた外装材10の周縁部を熱融着して得られてもよく、また、1つの外装材を折り返して重ね合わせ、同様に外装材10の周縁部を熱融着して得られてもよい。また、蓄電装置は、外装材20を容器として備えていてもよい。蓄電装置としては、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、及び鉛蓄電池等の二次電池、並びに電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタが挙げられる。
次に、上述した外装材10を用いて蓄電装置を製造する方法について説明する。なお、ここでは、エンボスタイプ外装材30を用いて二次電池40を製造する場合を例に挙げて説明する。図2は上記エンボスタイプ外装材30を示す図である。図3の(a)〜(d)は、外装材10を用いた片側成型加工電池の製造工程を示す斜視図である。二次電池40としては、エンボスタイプ外装材30のような外装材を2つ設け、このような外装材同士を、アライメントを調整しつつ、貼り合わせて製造される、両側成型加工電池であってもよい。また、エンボスタイプ外装材30は、外装材20を用いて形成されてもよい。
工程S21:外装材10、電極を含む電池要素1、並びに上記電極から延在するリード2を準備する工程。
工程S22:外装材10の片面に電池要素1を配置するための凹部32を形成する工程(図3(a)及び図3(b)参照)。
工程S23:エンボスタイプ外装材30の成型加工エリア(凹部32)に電池要素1を配置し、凹部32を蓋部34が覆うようにエンボスタイプ外装材30を折り返し重ねて、電池要素1から延在するリード2を挟持するようにエンボスタイプ外装材30の一辺を加圧熱融着する工程(図3(b)及び図3(c)参照)。
工程S24:リード2を挟持する辺以外の一辺を残し、他の辺を加圧熱融着し、その後、残った一辺から電解液を注入し、真空状態で残った一辺を加圧熱融着する工程(図3(c)参照)。
工程S25:リード2を挟持する辺以外の加圧熱融着辺端部をカットし、成型加工エリア(凹部32)側に折り曲げる工程(図3(d)参照)。
工程S21では、外装材10、電極を含む電池要素1、並びに上記電極から延在するリード2を準備する。外装材10は、上述した実施形態に基づき準備する。電池要素1及びリード2としては特に制限はなく、公知の電池要素1及びリード2を用いることができる。
工程S22では、外装材10のシーラント層17側に電池要素1を配置するための凹部32が形成される。凹部32の平面形状は、電池要素1の形状に合致する形状、例えば平面視矩形状とされる。凹部32は、例えば矩形状の圧力面を有する押圧部材を、外装材10の一部に対してその厚み方向に押圧することで形成される。また、押圧する位置、すなわち凹部32は、長方形に切り出した外装材10の中央より、外装材10の長手方向の一方の端部に偏った位置に形成する。これにより、成型加工後に凹部32を形成していないもう片方の端部側を折り返し、蓋(蓋部34)とすることができる。
工程S23では、エンボスタイプ外装材30の成型加工エリア(凹部32)内に、正極、セパレータ及び負極等から構成される電池要素1が配置され。また、電池要素1から延在し、正極と負極にそれぞれ接合されたリード2が成型加工エリア(凹部32)から外に引き出される。その後、エンボスタイプ外装材30は、長手方向の略中央で折り返され、シーラント層17同士が内側となるように重ねられ、エンボスタイプ外装材30のリード2を挟持する一辺が加圧熱融着される。加圧熱融着は、温度、圧力及び時間の3条件で制御され、適宜設定される。加圧熱融着の温度は、シーラント層17を融解する温度以上であることが好ましい。
工程S24では、リード2を挟持する辺以外の一辺を残し、他の辺の加圧熱融着が行われる。その後、残った一辺から電解液を注入し、残った一辺が真空状態で加圧熱融着される。加圧熱融着の条件は工程S23と同様である。
リード2を挟持する辺以外の周縁加圧熱融着辺端部がカットされ、端部からははみだしたシーラント層17が除去される。その後、周縁加圧熱融着部を成型加工エリア32側に折り返し、折り返し部42を形成することで、二次電池40が得られる。
い構成としてもよい。
蓄電装置用外装材を構成する各材料は、以下のとおりである。
厚さ5μmのPETと厚さ25μmのNy(ナイロン6)との共押し二軸延伸フィルム。
ポリウレタン系接着剤。
表面粗さが異なる軟質アルミニウム箔(8079材,厚さ40μm,東洋アルミニウム株式会社製)。
軟質アルミニウム箔のシーラント層に面する側の表面粗さは、算術平均高さSaで3.4μm〜5.5μmであるものを使用した。
腐食防止処理層A:固形分濃度10質量%に調整した「酸化セリウムゾル」90質量%と、縮合リン酸Na塩10質量%とからなる組成物を、溶媒として蒸留水を用いて下地とする。この下地の上に、溶媒として蒸留水を用い、終固形分濃度5質量%に調整した「ポリアリルアミンポリマー」/「グリシジル化合物」=90/10からなる組成物の処理層を設ける。
腐食防止処理層B:ポリアクリル酸とオキサゾリン基含有アクリル樹脂からなる樹脂組成物に対し、CrF3とリン酸を配合して得られた塗布型化成処理剤(最終固形分濃度5質量%)を下地とする。この下地の上に、溶媒として蒸留水を用い、最終固形分濃度5質量%に調整した「ポリアリルアミンポリマー」/「グリシジル化合物」=90/10からなる組成物の処理層を設ける。
無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂をトルエンに溶解したトルエン溶液100重量部に対し、ポリイソシアネート化合物を10質量部(固形分比)配合したドライラミネート用接着剤組成物。
ランダムプロピレン/ブロックプロピレン/ランダムプロピレンからなる2種3層の多層フィルム(厚さ80μm,オカモト社製)。
(算術平均高さSaの測定)
表面粗さを表す算術平均高さSaの測定には、レーザー顕微鏡LEXT OL4000(オリンパス社製)を使用して、測定対象のアルミニウム箔を1cm角に切断することにより作製した測定用サンプルを、対物10倍、対眼10倍の条件にて測定した。
作製したダミーセルをプレス機の平坦なプレート間に配置する。除々に圧力を加えていき、狙いの圧力となったら加圧をやめ、その圧力で3分間保持する。
・圧縮試験の評価
○:圧力を2.2MPaかけたときに電池セルが内部より破裂しなかった。
×:圧力を2.2MPaかけたときに電池セルが内部より破裂した。
・総合評価
○:リチウムイオン電池としての実用に耐えうる。
×:リチウムイオン電池としての実用に耐えない。
(蓄電装置用外装材の作製)
始めに、アルミニウム箔層として、厚さ40μmの軟質アルミニウム箔8079材(東洋アルミニウム株式会社製)を準備し、シーラント層側となる面の算術平均高さSaを測定した。シーラント層側の表面粗さは、算術平均高さSaで5.5μmであった。
その後、基材層、接着層、腐食防止処理層、アルミニウム箔層、腐食防止処理層、シーラント接着層、及びシーラント層からなる構造体を、温度が40℃の雰囲気中で6日間放置することで、エージング処理した。これにより、蓄電装置用外装材を作製した。
6mm(高さ)×51mm×43mmのセルサイズとなるようにシール部を考慮して蓄電装置用外装材を切り出し、成型した(図2の凹部32が成型加工されたセルサイズに相当する領域である)。内容物として6mm×51mm×43mmとなるように巻回したアルミニウム箔を用意し、成型した外装材内に配置し、一辺を残してシールした。次に、電解液の代わりに水12mlを注入し、残りの1辺を封止することで、ダミーセルを作製した。
シーラント層側の腐食防止処理層及び表面粗さを表す算術平均高さSaが表1に示すとおりに種々異なるアルミニウム箔を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、蓄電装置用外装材及びリチウムイオン電池ダミーセルを作製し、圧縮試験を行った。ここでの光沢度は、アルミニウム箔層単体として測定した光沢度である。
シーラント層側の光沢度、及び腐食防止処理層が表1に示すとおりに種々異なるアルミニウム箔を用いたこと以外は実施例1と同様にして、蓄電装置用外装材及びリチウムイオン電池ダミーセルを作製し、圧縮試験を行った。ここでの表面粗さを表す算術平均高さSaは、腐食防止処理層を形成した時点で測定した「腐食防止処理層を設けた状態のアルミニウム箔層」としての値である。また、比較例1〜10で用いたアルニミウム箔は、実施例1〜6で用いたアルミニウム箔とそれぞれ同一のロットのものを用いた。
Claims (2)
- 少なくとも1層の基材層と、接着層と、少なくとも片面に腐食防止処理層(ベーマイト処理を除く)が設けられたアルミニウム箔層と、接着性樹脂層またはシーラント接着層と、シーラント層とがこの順に積層してなるリチウムイオン電池用外装材において、
アルミニウム箔層のシーラント層側の表面粗さを表す算術平均高さSaが4.6μm以上10.0μm以下であり、アルミニウム箔層のシーラント層側においてMD方向に平行なスクラッチによって生じるMD方向における60°光沢度とTD方向における60°光沢度との差は100以下であり、
このアルミニウム箔層のシーラント層側の面にカチオン性ポリマーを含む腐食防止処理層を備え、この腐食防止処理層の厚さが20nm〜500nmであるアルミニウム箔を使用したことを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。 - 電極を含む電池要素と、前記電極から延在するリードと、前記電池要素を収容する容器とを備え、
前記容器は、請求項1に記載のリチウムイオン電池用外装材から、前記シーラント層が内側となるように形成されていることを特徴とするリチウムイオン電池。
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