JP2014124659A - 電解コンデンサ用アルミニウム箔およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】冷間圧延工程および最終焼鈍工程を有する電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法において、水素雰囲気において500〜600℃で4時間以上加熱する最終焼鈍を行うことにより、例えば、圧延面において平均粗さRaが0.1〜0.6μmの範囲にあり、且つ圧延方向を基準とする、90°方向の光沢度に対する0°方向の光沢度の比が1.2〜3.5の範囲内にある電解コンデンサ用アルミニウム箔を得る。
【選択図】図1
Description
また、箔表面の形状は圧延ロール筋からの凸凹に加え、圧延時に圧延油の巻き込みによるオイルピットなどの微小な欠陥が形成される。
一方、高純度アルミニウムに添加された微量元素は焼鈍過程で箔表面の凸部に濃化する傾向があり、上記凹凸部や微小欠陥部に濃化する。
これらの点から本発明者らは、箔表面の凹凸形状の制御がエッチングピットの密度と分布に効果があることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
平均粗さRa:0.1〜0.6μm
平均粗さRaは、アルミニウム箔の圧延面における凹凸を最適にするための規定であり、最適化された凹凸はエッチングピットの起点を形成する。平均粗さRaが0.1μm未満であるとエッチングピットの起点を形成するのに不十分であり、一方、平均粗さRaが0.6μmを超えると凹凸が顕著になって圧延筋に沿ったエッチングピット分布になり、分布状態が不均一になる。また、高純度アルミニウム材を使用することにより、圧延時の摩耗粉が多く生じる。したがって、平均粗さRaを上記範囲に定める。なお、同様の理由で、平均粗さRaは、下限を0.2μm、上限を0.5μmとするのが望ましい。
平均粗さRaは、JIS B0601に規定する算術平均粗さにより算出することができる。
圧延面における圧延方向を基準にして、90°方向の光沢度に対する0°方向の光沢度の比(0°方向光沢度/90°方向光沢度)を適正にすることで、圧延筋の影響を小さくして凹凸を面分布状態にしエッチングピットの起点分布を均一化する。
光沢度比が1.2未満であると、圧延筋と凹凸のバランスが崩れ、ピットの起点分布が不均一になる。一方、光沢度比が3.5を超えると圧延筋の影響が強くなり、エッチングピットが筋状に分布する。したがって、光沢度比を上記範囲に定める。同様の理由で、光沢度比は、下限を1.5、上限を3.0とするのが望ましい。
なお、光沢度は、BYKガードナー社製マイクログロス60°を用い、測定角度60°の条件にて測定する。
本発明としては、アルミニウム箔のアルミニウム純度が限定されるものではないが、アルミニウム純度99.9%以上が望ましい。アルミニウム純度が99.9%未満の場合、立方晶率が低下するため望ましくない。
これら成分は、箔表面の凹凸部に濃化し、エッチングピットの起点となるため所望により含有させる。ただし、合計量が0.5ppm未満では効果が不十分であり、合計量で10ppmを超えると表面溶解過多になり、表面積が減少する。同様の理由で上記成分の合計量の下限は2.0ppm、上限は7.0ppmが望ましい。
なお、REM(希土類元素)は、単独の元素の他、Mmが用いられるものであってもよい。
エッチングピットは立方体方位に沿って成長するため、高い立方体方位率が必要であり、90%未満の立方体方位率では、トンネル状のエッチングピットが十分に形成されない。したがって、立方体方位率は90%以上が望ましく、95%以上が一層望ましい。
:水素雰囲気
冷間圧延後には、最終焼鈍が実施される。最終焼鈍は、添加元素をアルミニウム箔の表面に濃縮し、箔表面における分布状態を制御するためのものである。酸化皮膜厚さを適切な範囲とするためには、焼鈍時の雰囲気を適切に選定する必要がある。真空焼鈍では、焼鈍時の熱伝導が著しく悪くなるため、昇温速度が低下する。更に、箔表層の酸化皮膜が薄くなるため好ましくない。大気焼鈍の場合、箔表層の酸化皮膜が厚くなり、エッチング性が低下するため好ましくない。Ar、N2等不活性ガス雰囲気の場合、露点、酸素分圧を制御することで、適度な酸化皮膜を形成することができるが、焼鈍速度を所定範囲とするためには、焼鈍するアルミニウム箔の形状、数量等検討する必要がある。工業的に、コイル状のアルミ箔をTon単位で焼鈍を行う場合、水素ガスで行うことが望ましい。熱伝導率が高いため、十分な焼鈍速度が得られると共に、還元性雰囲気であるため、酸化皮膜の成長も抑制できるためである。雰囲気は、水素を主とすれば、不活性ガスなどとが混合されたものであってもよい。
最終焼鈍温度が500℃未満の場合、微量元素の表面への濃縮が不十分であるため好ましくない。一方、600℃を超える場合、微量元素が表面に過剰に濃縮される結果、エッチングピットの起点が過剰となってエッチングピットの合体が生じ、静電容量が低下するため好ましくない。また、最終焼鈍時間が4時間未満の場合も、微量元素の表面への濃縮が不十分であるため好ましくない。なお、最終焼鈍時間は、24時間以下であることが望ましい。これは、24時間を越えての処理は効果が小さく、また、生産性が低下するためである。
本発明に規定する成分になるように調整されたAl純度99.9質量%以上のアルミニウム材は常法により製造することができ、本発明としてはその製造方法が特に限定されるものではない。例えば半連続鋳造によって得たスラブを熱間圧延して製造することができる。また、連続鋳造圧延法を採用することも可能である。
最終焼鈍前の最終冷間圧延では、好適には、圧延速度を200〜1000m/分、またロールの粗度(Ra)を0.2〜0.6μmで実施する。
冷間圧延工程では、最終焼鈍前の最終冷間圧延の圧延速度を規制することで、圧延表面の微小欠陥を制御できる。圧延速度が200m/分未満であると微小欠陥の形成が不十分であり、圧延速度が1000m/分超であると微小欠陥が過剰に形成され、エッチング時に表面に過溶解が発生する。このため、最終冷間圧延の圧延速度を200〜1000m/分とする。
また、最終冷間圧延時のロール粗度を規制することにより、圧延筋の凸凹を制御できる。ロール粗度が0.2μm未満であると圧延筋の凸凹が不十分であり、ロール粗度が0.6μm超であると圧延筋の凸凹が顕著になり、エッチング時のピット発生が不均一になる。
粗面化処理は、例えば塩酸を主体とする電解液を用いたエッチング処理により行うことができるが、本発明としては電解液の種別が特に限定されるものではない。エッチング処理されたアルミニウム箔には、エッチングピットが形成される。エッチングピットが形成されたアルミニウム箔は化成処理され、常法により電解コンデンサの電極として組み込まれる。該電解コンデンサは静電容量に優れたものとなる。
本実施形態のアルミニウム箔は、中高圧、低圧用の陽極や陰極に用いることができるが、特に中高圧用陽極箔に適している。
先ず表1に示す組成(残部Alと不可避不純物)に調整したアルミニウム材を鋳造した。該アルミニウム材には、所望により均質化処理を施した後、熱間圧延、冷間圧延を行い、アルミニウム箔とした。なお、冷間圧延では、圧延速度を調整し、表2に示す条件で最終冷間圧延を行って最終厚を120μmとした。
さらに、表2に示す条件で最終焼鈍を行い、供試材として発明材と比較材とを得た。
また、各供試材の圧延面について、圧延方向に対し90°方向(TD方向)の光沢度と、圧延方向に対し0°(RD方向)の光沢度を測定した。光沢度は、光沢度計としてBYKガードナー社製マイクログロス60°を用い、測定角度60°の条件にて測定し、TD方向の光沢度に対するRD方向の光沢度の比(RD方向光沢度/TD方向光沢度)を算出し、表2に示した。
2 凹凸
3 微小欠陥
Claims (3)
- 圧延面において、平均粗さRaが0.1〜0.6μmの範囲にあり、且つ圧延方向を基準とする、90°方向の光沢度に対する0°方向の光沢度の比が1.2〜3.5の範囲内にあることを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム箔。
- Al純度が99.9質量%以上で、Pb、Mg、Na、REMのうち、1種または2種以上を質量比の合計で0.5〜10ppm含有する組成を有し、立方体方位率が90%以上であることを特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサ用アルミニウム箔。
- 冷間圧延工程および最終焼鈍工程を有する電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法において、前記最終焼鈍は、水素雰囲気下において500〜600℃で4時間以上加熱して行うことを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法。
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