JP2006219742A - 電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、エッチングピットを均一に分散させることができるようにすることにより、均一性の高いエッチングピットの分布を実現し、高い静電容量が得られるようにした電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔およびその製造方法の提供を目的とする。【解決手段】 本発明の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔は、Si:0.01〜0.50%(重量%、以下同じ)、Fe:0.01〜0.60%、Cu:0.01〜0.50%、Mn:0.02〜2.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、全晶出物に占めるAl−Fe−Mn−Si系晶出物(α相)の割合が50%以上であることを特徴とする。
【選択図】 図1
【選択図】 図1
Description
本発明は、電解コンデンサ陰極として使用した場合に高い静電容量と高い機械強度を持つ電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔及びその製造方法に関する。
一般にアルミニウム電解コンデンサは、陽極酸化によりその表面に酸化アルミニウムの誘電体皮膜を形成させた陽極用アルミニウム箔と、酸化処理を施していない陰極用アルミニウム箔を電解質を挟んで対向させた構成とされており、前記陽極用アルミニウム箔としては、通常、純度99.99%程度の高純度アルミニウムが、また、前記陰極用アルミニウム箔としては、通常、純度99.2〜99.8%程度のアルミニウムが使用されていた。
しかし、この種のアルミニウム電解コンデンサにおいて、その静電容量を向上させる目的で、高純度アルミニウム箔によって形成される陽極については、微量の添加元素及び製造プロセスに関し、種々の研究がなされており、近年では高圧用よりも、むしろ、中圧用や低圧用の電解コンデンサの需要が増大するにつれ、前記陰極用の低純度アルミニウム箔についてもそれ自体の静電容量の向上に迫られてきているが、いまだ満足なものは得られていないのが実情である。
しかし、この種のアルミニウム電解コンデンサにおいて、その静電容量を向上させる目的で、高純度アルミニウム箔によって形成される陽極については、微量の添加元素及び製造プロセスに関し、種々の研究がなされており、近年では高圧用よりも、むしろ、中圧用や低圧用の電解コンデンサの需要が増大するにつれ、前記陰極用の低純度アルミニウム箔についてもそれ自体の静電容量の向上に迫られてきているが、いまだ満足なものは得られていないのが実情である。
例えば、従来、この種の電解コンデンサ用アルミニウム合金箔として、低純度Al箔にCuを添加させたAl合金(特許文献1参照)や、Fe量を低く規制した合金(特許文献2参照)が提案されているが、静電容量、強度ともに十分なものではなかった。
特公昭44−25016号公報
特開昭55−97518号公報
ところで、電解コンデンサの電気容量は、その表面積に比例するものであるから、陰極静電容量を大きくするエッチング処理などによってその陰極の表面積を大きくすることがなされているが、上述のような従来公知の陰極用アルミニウム箔に対して、コンデンサの静電容量を充分に満足させる程度の表面積を得るための極めて過激なエッチング処理を施すと、腐食による減量や穴形成により、コンデンサ用アルミニウム合金箔自体の機械的強度が低下してしまい、更に、漏洩電流も増大するという問題があり、従ってエッチング処理によって充分に満足できる程度にその表面積を大きくすることは困難であった。
更に、以上のような背景から本願発明者らは、特開2004−76059号公報に示す如くSiとFeとCuとMnの個々の含有量とFe/Siの割合に着目し、Al−Fe−Mn系化合物の過剰析出状態を制御すること、マトリックスの腐食電位を制御して過溶解を解消することなどにより、高い静電容量と高い機械的強度の両立を図るために材料開発を行ってきている。
しなしながら前記特開2004−76059号に記載の技術を用いたとしても、エッチングピットの均一性は十分ではなく、十分に満足した静電容量が得られ難いという問題があった。
しなしながら前記特開2004−76059号に記載の技術を用いたとしても、エッチングピットの均一性は十分ではなく、十分に満足した静電容量が得られ難いという問題があった。
また、本発明者は、この種のコンデンサ陰極用アルミニウム合金箔の組織中に晶出されている晶出物の中でもAl−Fe−Mn−Si系晶出物(α相)に着目して研究を重ねた結果、この晶出物は素地のマトリックスよりも電位が低いことが解り、この電位が低いがためにAl−Fe−Mn−Si系晶出物が粗面化処理のためのエッチング時にエッチングピットの起点となることを見い出し、Al−Fe−Mn−Si系晶出物を組織中に適度に分散することにより、これまで以上にエッチングピットの分布の均一性を高めることができることを知見し、強いては高い静電容量を得ることができるという知見に至った。
また、組織中に晶出されている晶出物の中でもAl−Fe−Mn系晶出物金属間化合物であって、Siの含まれていないものは、素地のマトリックスよりも電位が高い傾向になることも判明し、このためAl−Fe−Mn系晶出物金属間化合物の周囲のマトリックスが溶解し、Al−Fe−Mn系晶出物金属間化合物の周囲に大きな穴が空いてコンデンサとしてみた場合に容量が低下する、機械的強度が低下しやすいという問題を有していた。
また、組織中に晶出されている晶出物の中でもAl−Fe−Mn系晶出物金属間化合物であって、Siの含まれていないものは、素地のマトリックスよりも電位が高い傾向になることも判明し、このためAl−Fe−Mn系晶出物金属間化合物の周囲のマトリックスが溶解し、Al−Fe−Mn系晶出物金属間化合物の周囲に大きな穴が空いてコンデンサとしてみた場合に容量が低下する、機械的強度が低下しやすいという問題を有していた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、Al−Fe−Mn−Si系晶出物を組織中に適度に分散する技術を導入し、エッチングピットを均一に分散させることができるようにすることにより、均一性の高いエッチングピットの分布を実現し、高い静電容量が得られるようにした電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔およびその製造方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、Si:0.01〜0.50%(重量%、以下同じ)、Fe:0.01〜0.60%、Cu:0.01〜0.50%、Mn:0.02〜2.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、全晶出物に占めるAl−Fe−Mn−Si系晶出物(α相)の割合が50%以上となるようにしたものである。
本発明において、Al−Fe−Mn−Si系晶出物の個数が、104〜107個/cm2の範囲とされてなることが好ましい。
本発明において、MnとSiの関係が、Mn<0.65e(4.2Si) を満たすことを特徴とすることが好ましい。
本発明において、Al−Fe−Mn−Si系晶出物の個数が、104〜107個/cm2の範囲とされてなることが好ましい。
本発明において、MnとSiの関係が、Mn<0.65e(4.2Si) を満たすことを特徴とすることが好ましい。
本発明の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔の製造方法は、Si:0.01〜0.50%(重量%、以下同じ)、Fe:0.01〜0.60%、Cu:0.01〜0.50%、Mn:0.02〜2.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、全晶出物に占めるAl−Fe−Mn−Si系晶出物(α相)の割合が50%以上である電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を製造する場合、
合金溶湯から鋳造して得た鋳塊に対して550℃以上の温度で、3時間以上の均質化処理を行った後、圧延して目的の厚さとすることを特徴とする。
合金溶湯から鋳造して得た鋳塊に対して550℃以上の温度で、3時間以上の均質化処理を行った後、圧延して目的の厚さとすることを特徴とする。
以下に本発明において限定する事項について説明する。
本発明に係る電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔は、SiとFeとCuとMnを主要構成元素として個々に規定量含有してなる。なお、以下に記載する各元素の含有量範囲において、特に規定しない限り上限と下限を含むものとする。従って0.01〜0.50%は、0.01%以上、0.50%以下を意味する。
Si:0.01〜0.50%
Siは、本発明に係る電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔においてAl−Fe−Mn−Si系金属間化合物の晶出を促進する作用があるが、0.01%未満の含有量ではその作用が十分に発揮されなくなるので好ましくない。また、Si含有量が0.50%を越えるとAl−Fe−Mn−Si系金属間化合物への相変化は飽和状態となり、かつ、純度低下による過溶解が生じ好ましくない。これらの範囲でも好ましいSi含有量は、0.02%以上、0.19%以下である。
本発明に係る電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔は、SiとFeとCuとMnを主要構成元素として個々に規定量含有してなる。なお、以下に記載する各元素の含有量範囲において、特に規定しない限り上限と下限を含むものとする。従って0.01〜0.50%は、0.01%以上、0.50%以下を意味する。
Si:0.01〜0.50%
Siは、本発明に係る電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔においてAl−Fe−Mn−Si系金属間化合物の晶出を促進する作用があるが、0.01%未満の含有量ではその作用が十分に発揮されなくなるので好ましくない。また、Si含有量が0.50%を越えるとAl−Fe−Mn−Si系金属間化合物への相変化は飽和状態となり、かつ、純度低下による過溶解が生じ好ましくない。これらの範囲でも好ましいSi含有量は、0.02%以上、0.19%以下である。
Fe:0.01〜0.60%
Feは電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔の強度向上及び低純度化に最も影響の大きい元素である。Feの含有量が0.01%未満では強度向上への寄与が不充分になり易く、且つコストメリットが無くなるので好ましくない。Feの含有量が0.60%を超えると純度低下によりエッチングピット形成時に過溶解を生じるので好ましくない。
Cu:0.01〜0.50%
Cuはマトリックス中に固溶し易く、マトリックスの電位を高め、マトリックスの溶解性を抑制する作用がある。Cu含有量が0.01%未満では、その効果が十分に発揮されなくなるので好ましくない。また、0.5%を越えると溶解性が高くなりすぎて過溶解を引き起こしたり、コンデンサに組み込んだ際の短絡の危険性が高まるため、好ましくない。これらの範囲でも好ましいCu含有量は、0.02%以上、0.25%以下である。
Feは電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔の強度向上及び低純度化に最も影響の大きい元素である。Feの含有量が0.01%未満では強度向上への寄与が不充分になり易く、且つコストメリットが無くなるので好ましくない。Feの含有量が0.60%を超えると純度低下によりエッチングピット形成時に過溶解を生じるので好ましくない。
Cu:0.01〜0.50%
Cuはマトリックス中に固溶し易く、マトリックスの電位を高め、マトリックスの溶解性を抑制する作用がある。Cu含有量が0.01%未満では、その効果が十分に発揮されなくなるので好ましくない。また、0.5%を越えると溶解性が高くなりすぎて過溶解を引き起こしたり、コンデンサに組み込んだ際の短絡の危険性が高まるため、好ましくない。これらの範囲でも好ましいCu含有量は、0.02%以上、0.25%以下である。
Mn:0.02〜2.0%
MnはAl−Fe−Mn−Si系の金属間化合物を形成し、マトリックスとの電位差を作り、エッチングピットの基点となる作用を奏するので添加する。Mn含有量を0.02%未満とすると、Mnの絶対量が少なく、Al−Fe−Mn系の金属間化合物の分散晶出が少なくなり、満足なエッチング形態が得られなくなる。また、Mn含有量が2.0%を越えるようであると、マトリックスとの電位差の小さいAl−Fe−Mn系の金属間化合物がリッチな状態となり、かつ、分散した金属間化合物の粒度が大きくなりすぎるので、粗大かつ不均一なエッチング形態となりやすいので、好ましくない。Mn含有量について好ましくは0.4〜0.80%の範囲である。
MnとSiの関係は、Mn<0.65e(4.2Si) の関係を満たすことが好ましい。これは、晶出物の分散とα相の促進のためには、適度なMn量とSi量の関係が必要なためである。上記の式の関係を満足するMn量とSi量の時に最も効率良くα相への相変化が起こる。即ち、α相の割合が高くなる。
MnはAl−Fe−Mn−Si系の金属間化合物を形成し、マトリックスとの電位差を作り、エッチングピットの基点となる作用を奏するので添加する。Mn含有量を0.02%未満とすると、Mnの絶対量が少なく、Al−Fe−Mn系の金属間化合物の分散晶出が少なくなり、満足なエッチング形態が得られなくなる。また、Mn含有量が2.0%を越えるようであると、マトリックスとの電位差の小さいAl−Fe−Mn系の金属間化合物がリッチな状態となり、かつ、分散した金属間化合物の粒度が大きくなりすぎるので、粗大かつ不均一なエッチング形態となりやすいので、好ましくない。Mn含有量について好ましくは0.4〜0.80%の範囲である。
MnとSiの関係は、Mn<0.65e(4.2Si) の関係を満たすことが好ましい。これは、晶出物の分散とα相の促進のためには、適度なMn量とSi量の関係が必要なためである。上記の式の関係を満足するMn量とSi量の時に最も効率良くα相への相変化が起こる。即ち、α相の割合が高くなる。
Al−Fe−Mn−Si系の金属間化合物の晶出状態
Al−Fe−Mn−Si系の金属間化合物は個数で全晶出物の50%以上を占めることが好ましい。Al−Fe−Mn−Si系の金属間化合物はマトリックスとの電位差を高め、そのものが溶解し、ピットを発生させる作用がある。ここで50%未満の状態ではピットの発生が十分ではなくなるので、50%以上である必要がある。また、Al−Fe−Mn−Si系の金属間化合物を全晶出物の80%以上とすることが望ましい。
Al−Fe−Mn−Si系の金属間化合物は個数で全晶出物の50%以上を占めることが好ましい。Al−Fe−Mn−Si系の金属間化合物はマトリックスとの電位差を高め、そのものが溶解し、ピットを発生させる作用がある。ここで50%未満の状態ではピットの発生が十分ではなくなるので、50%以上である必要がある。また、Al−Fe−Mn−Si系の金属間化合物を全晶出物の80%以上とすることが望ましい。
Al−Fe−Mn−Si系の金属間化合物のサイズと密度:
Al−Fe−Mn−Si系の金属間化合物は、直径0.3μm〜5μmのものが1×104個/cm2〜1×107個/cm2の範囲で存在することが好ましい。
本発明に係る電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔においてAl−Fe−Mn−Si系の金属間化合物が1×107個/cm2を越えて存在すると、表面に存在するエッチングピット多くなりすぎる形態となり、逆に1×104個/cm2未満ではAl−Fe−Mn−Si系の金属間化合物による作用が少なくなってエッチングピットの数が不足し、エッチングピットの不均一及び容量低下を引き起こす。
Al−Fe−Mn−Si系の金属間化合物は、直径0.3μm〜5μmのものが1×104個/cm2〜1×107個/cm2の範囲で存在することが好ましい。
本発明に係る電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔においてAl−Fe−Mn−Si系の金属間化合物が1×107個/cm2を越えて存在すると、表面に存在するエッチングピット多くなりすぎる形態となり、逆に1×104個/cm2未満ではAl−Fe−Mn−Si系の金属間化合物による作用が少なくなってエッチングピットの数が不足し、エッチングピットの不均一及び容量低下を引き起こす。
本発明によれば、電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔として、組織に必要な割合のAl−Fe−Mn−Si系の金属間化合物が存在するので、マトリックスよりも電位が低いAl−Fe−Mn−Si系晶出物が粗面化処理のエッチング時にエッチングピットの起点となり、エッチングピットの均一生成に寄与する。また、Al−Fe−Mn−Si系晶出物を組織中に適度に分散することにより、これまで以上にエッチングピットの分布の均一性を図り、過溶解を引き起こすことが無く、機械的強度の低下を引き起こすことのない静電容量の高い電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を提供できる。
本発明に係る電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔は、一例としてSi:0.01〜0.50%(重量%、以下同じ)、Fe:0.01〜0.60%、Cu:0.01〜0.50%、Mn:0.02〜2.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなることを特徴とする組成を有する。
本発明に係る電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を製造するには、前記組成比となるように調整した合金溶湯からインゴットを鋳造し、均質化処理を施す。
均質化処理の好ましい条件は、550℃以上、620℃以下の温度範囲で3〜10時間、加熱する条件とする。この均質化処理を行うことでAl-Mn-Fe系の金属間化合物がα相へ変化し、Al-Mn-Fe-Si系の金属間化合物となるので、Al-Mn-Fe-Si系の金属間化合物が50%以上存在するようになる。
均質化処理の好ましい条件は、550℃以上、620℃以下の温度範囲で3〜10時間、加熱する条件とする。この均質化処理を行うことでAl-Mn-Fe系の金属間化合物がα相へ変化し、Al-Mn-Fe-Si系の金属間化合物となるので、Al-Mn-Fe-Si系の金属間化合物が50%以上存在するようになる。
鋳塊に均質化処理した後、熱間圧延加工を施し、この熱間圧延加工後に圧延率80〜95%程度まで必要回数冷間圧延加工を施し、300〜500℃で行う中間焼鈍処理を経てから最終冷間圧延加工を行って最終的な厚さのアルミニウム合金箔とする。
この工程後、アルミニウム合金箔に粗面化処理、化成処理を施す。
ここで行う粗面化処理と化成処理は、この種の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔の粗面化並びに化成処理に適用される一般的な条件の処理で差し支えない。
この工程後、アルミニウム合金箔に粗面化処理、化成処理を施す。
ここで行う粗面化処理と化成処理は、この種の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔の粗面化並びに化成処理に適用される一般的な条件の処理で差し支えない。
上述の如く製造された電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔にあっては、直径0.3μm以上の晶出物(但しここでの直径とは、晶出物の面積から円形に仮定した場合の直径を示す)が、1×104個/cm2〜1×107個/cm2であるという構造的特徴を有する。
なお、このような規定の大きさの晶出物が規定個数存在するアルミニウム合金箔であれば、先に行った粗面化処理と化成処理時において、過溶解や過析出をより一層生じることが無く、より均一なエッチング面を得ることができる。
なお、このような規定の大きさの晶出物が規定個数存在するアルミニウム合金箔であれば、先に行った粗面化処理と化成処理時において、過溶解や過析出をより一層生じることが無く、より均一なエッチング面を得ることができる。
以下の表1に示す組成の合金を溶解鋳造し、熱間圧延により板厚7mmに仕上げた。
この板材を以下の表1に記載の条件で加熱する均質化処理を施した。
続いて均質化処理後の板材に冷間圧延を施して板厚0.7mmとした。続いて連続焼鈍炉にて400℃で中間焼鈍し、最終板厚0.04mmになるまで冷間圧延した。次に、液温80℃の0.5M硫酸と1.0M塩酸の混合酸中に60秒浸漬した後、85℃のアジピン酸アンモニウム溶液中で3V化成後、静電容量を測定した。これら試験の条件と結果を以下の表1と表2に示す。
静電容量は、実施例1の試料を100としたときの相対比較で行った。また、強度の指標として最終冷間後の引張強さを測定し、実施例1の引張強さを100とした時の相対比較で表した。
この板材を以下の表1に記載の条件で加熱する均質化処理を施した。
続いて均質化処理後の板材に冷間圧延を施して板厚0.7mmとした。続いて連続焼鈍炉にて400℃で中間焼鈍し、最終板厚0.04mmになるまで冷間圧延した。次に、液温80℃の0.5M硫酸と1.0M塩酸の混合酸中に60秒浸漬した後、85℃のアジピン酸アンモニウム溶液中で3V化成後、静電容量を測定した。これら試験の条件と結果を以下の表1と表2に示す。
静電容量は、実施例1の試料を100としたときの相対比較で行った。また、強度の指標として最終冷間後の引張強さを測定し、実施例1の引張強さを100とした時の相対比較で表した。
表1、表2に示す結果から、Si含有量が多い比較例1の試料では過溶解が生じ、静電容量が低下した。比較例2の試料は関係式を満たさない試料であるが、α相割合が低く、引張強さも低下している。比較例3の試料は均質化処理温度が低い例、比較例4は均質化処理時間が短い試料であるがいずれもα相割合が大幅に低下した。比較例6はMn含有量が多い試料であるが、α相割合が大幅に低下した。また、比較例1〜7の試料はいずれにおいても静電容量が減少している。
これらに対して実施例1〜10の各試料は静電容量が向上し、引張強さが高く、α相の割合を大きくすることができた。
これらに対して実施例1〜10の各試料は静電容量が向上し、引張強さが高く、α相の割合を大きくすることができた。
図1は、本発明に係る試料と比較例試料におけるα相割合の50%以上領域について、Mn量並びにSi量との相関関係を示すもので、図1における二次曲線がMnとSiの関係において、Mn=0.65e(4.2Si)の場合を示し、MnとSiの関係が、Mn<0.65e(4.2Si)の場合は図1の二次曲線の下側の領域を示し、本発明で規定するMn上限2.0%のライン、Si上限0.5%のラインで囲まれる領域が本発明範囲である。Mn=0.65e(4.2Si)の場合を示す二次曲線よりも下側の範囲ではα相への相変化が効率的に起こり、α相割合が高くなる領域であり、二次曲線よりも上側の領域ではAl−Fe−Mn系化合物がリッチとなり、α相の割合が低くなる領域である。図1において○印は比較例のプロット、□印は実施例のプロットを示す。
図1及び表1と表2に示す結果から、本発明に係る試料が静電容量、引張強さの面において優れており、α相割合、α相個数の面においても目的の範囲になったが、比較例試料は静電容量、引張強さの面においていずれかの特性が不足した。
図1及び表1と表2に示す結果から、本発明に係る試料が静電容量、引張強さの面において優れており、α相割合、α相個数の面においても目的の範囲になったが、比較例試料は静電容量、引張強さの面においていずれかの特性が不足した。
Claims (4)
- Si:0.01〜0.50%(重量%、以下同じ)、Fe:0.01〜0.60%、Cu:0.01〜0.50%、Mn:0.02〜2.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、全晶出物に占めるAl−Fe−Mn−Si系晶出物(α相)の割合が50%以上であることを特徴とする電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔。
- Al−Fe−Mn−Si系晶出物の個数が、104〜107個/cm2の範囲とされてなることを特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔。
- MnとSiの関係が、Mn<0.65e(4.2Si) を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔。
- Si:0.01〜0.50%(重量%、以下同じ)、Fe:0.01〜0.60%、Cu:0.01〜0.50%、Mn:0.02〜2.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、全晶出物に占めるAl−Fe−Mn−Si系晶出物(α相)の割合が50%以上である電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を製造する場合、
合金溶湯から鋳造して得た鋳塊に対して550℃以上の温度で、3時間以上の均質化処理を行った後、圧延して目的の厚さとすることを特徴とする電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔の製造方法。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008078277A (ja) * | 2006-09-20 | 2008-04-03 | Nippon Light Metal Co Ltd | 電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔及びそれに用いる合金箔地 |
EP2843067A4 (en) * | 2012-04-24 | 2016-04-20 | Uacj Corp | ALUMINUM ALLOY FOIL FOR AN ELECTRODE CURRENT, METHOD FOR THE MANUFACTURE THEREOF AND LITHIUM ION SECONDARY BATTERY |
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-
2005
- 2005-02-14 JP JP2005035909A patent/JP2006219742A/ja not_active Withdrawn
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