JP5523731B2 - 電解コンデンサ陰極用アルミニウム箔及びその製造方法 - Google Patents
電解コンデンサ陰極用アルミニウム箔及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5523731B2 JP5523731B2 JP2009097577A JP2009097577A JP5523731B2 JP 5523731 B2 JP5523731 B2 JP 5523731B2 JP 2009097577 A JP2009097577 A JP 2009097577A JP 2009097577 A JP2009097577 A JP 2009097577A JP 5523731 B2 JP5523731 B2 JP 5523731B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aluminum foil
- cathode
- less
- mass
- electrolytic capacitor
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Metal Rolling (AREA)
Description
アルミニウム電解コンデンサの静電容量(C)は、平行板コンデンサと同様に次式(1)で求められる。なお、式(1)において、εは誘電体の比誘電率、Sは誘電体の表面積(cm2)、dは誘電体の厚さ(cm)である。式(1)より、誘電体の表面積を大きくすることにより、静電容量を大きくできる。
C=8.855×10−8×ε・S/d(μF)…(1)
一般に、低電圧用の陽極及び陰極はアルミニウム箔表面が海綿状にエッチングされ、中高電圧用の陽極はアルミニウム表面から厚さ方向に延びるトンネル状のエッチングピットが形成される。
アルミニウム純度の高い純Al系の陰極用箔は、溶解性が低いことから、通常、交流電解方式によりエッチングされる。この交流電解エッチングにより、1μm以下の方位状のピットが葡萄の房状に連なって形成される。
特許文献1は、陰極箔をコンデンサに組み込んだ後、充放電を繰り返す間に、Cuが電解液中に溶出して析出し、陰極と陽極とを短絡させる危険性があるために、エッチング特性向上に効果のあるCuの含有量をなるべく少なくする一方、Mg及びZnを添加するとこにより、エッチング特性の低下を防いでいる。特許文献1において、Ti、Niは、エッチング時の過溶解を防ぐために、各々、0.001質量%以下、0.002質量%以下に規制される。
特許文献2は、Fe含有量がある程度増加してもCuを所定量添加することにより、高静電容量で、且つ、エッチング後の引張強度、折曲強度及び接着強度の高い電極箔を得ることができること、Mn,Mg,Zn,Ti,Ni,B,Mo及びCoの各元素をある規定量以下に抑制することによりエッチング特性を確保できることを述べている。
本発明は、このような課題に基づいてなされたもので、微細なピットを均一に形成して高い静電容量が得られる電解コンデンサ陰極用アルミニウム箔を提供することを目的とする。
Tiの含有量を特許文献2のように0.002質量%未満、あるいは特許文献1のように0.001質量%以下にするには、高純度の溶解原料を用いるか、溶解、鋳造時にTiを低減する処理を行う必要がある。Zn、及び、Mgの1種又は2種の添加は、高純度の原料を用いること、及びTiを低減する処理を行うことよりも、コストが低くてすむ。したがって、本発明によれば、従来よりも低コストで、高い静電容量が得られる電解コンデンサ陰極用アルミニウム箔を製造できる。
始めに、本発明による電解コンデンサ陰極用アルミニウム箔(以下、単にアルミニウム箔という)の組成限定理由を説明する。なお、以下の説明中の%は、特に断らない限り質量%を意味する。
<Si:0.01〜0.3%>
Siは、Al−Fe−Si化合物として、またSi単体としてエッチングの起点となる析出物を形成させるとともに、アルミニウム箔に強度を付与することのできる元素である。
Siが0.01%未満では、Siの絶対的な含有量が少ないために、エッチングの起点となる析出物の形成が不足するとともに、強度向上の効果を享受できない。また、溶解原料に含まれるSiを0.01%未満に低減する処理のためにアルミニウム箔のコストアップを招く。
Siが0.3%を超えると、析出物の量が多くなりすぎて交流電解エッチングの際に過溶解が生じてエッチング形態が不均一になり、静電容量が低下する。
以上の理由により、本発明におけるSiの含有量は、0.01〜0.3%とする。好ましいSiの含有量は0.02〜0.15%、より好ましいSiの含有量は0.02〜0.1%である。
Feは、Siと同様に、Al−Fe金属間化合物、Al−Fe−Si金属間化合物としてエッチングの起点となる析出物を形成させるとともに、アルミニウム箔に強度を付与することのできる元素である。
Feが0.01%未満では、Feの絶対的な含有量が少ないために、エッチングの起点となる析出物の形成が不足するとともに、強度向上の効果を享受できない。また、溶解原料に含まれるFeを0.01%未満に低減する処理のためにアルミニウム箔のコストアップを招く。
Feが0.3%を超えると、析出物の量が多くなりすぎて交流電解エッチングの際に過溶解が生じてエッチング形態が不均一になり、静電容量が低下する。
以上の理由により、本発明におけるFeの含有量は、0.01〜0.3%とする。好ましいFeの含有量は0.02〜0.15%、より好ましいFeの含有量は0.02〜0.1%である。
Tiは、交流電解エッチングにおけるカソード半サイクル時に形成されるカソード皮膜の形成を促進してカソード皮膜の強度を向上する。
Tiの含有量が0.0021%未満では、カソード皮膜の形成が不足して、交流電解エッチングの際に溶解性の高いバルクに過溶解が生じる。また、溶解原料に含まれるTiを0.0021%未満にする処理のためにアルミニウム箔のコストアップを招く。
Tiの含有量が0.05%を超えると、カソード皮膜が厚く強固になりすぎて、アノード半サイクルの際の深さ方向へのピットの成長が阻害される。
以上の理由により、本発明におけるTiの含有量は、0.0021〜0.05%とする。好ましいTiの含有量は0.0025〜0.04%、より好ましいTiの含有量は0.003〜0.02%である。
Zn、Ga、Mg及びNi(ただし、Zn、及び、Mgの1種又は2種を0.0051%以上必ず含む)は、各々、バルクの溶解性を高くし、Tiによるカソード皮膜形成促進と相互に作用して、微細なピットの形成に寄与する。
Zn、Ga、Mg及びNiの1種又は2種以上の合計が0.0051%未満では、上記作用が十分に得られないために、交流電解エッチングにより微細なピットを得ることができない。
Zn、Ga、Mg及びNiの1種又は2種以上の合計が0.1%を超えると、バルクの溶解性が高くなりすぎて、Tiを上記の範囲で含有させてカソード皮膜の形成を促進したとしても、バルクに全面溶解を生じさせて、微細なピットを形成することができなくなる。
以上の理由により、本発明におけるZn、Ga、Mg及びNiの1種又は2種以上の合計の含有量は、0.0051〜0.1%とする。好ましいこれら元素の合計の含有量は0.0060〜0.08%、より好ましいこれら元素の合計の含有量は0.01〜0.05%である。
本発明のアルミニウム箔は、上述した化学組成に調製されたアルミニウム鋳塊を作製し、このスラブに均質化熱処理を施し、その後、熱間圧延、冷間圧延を順次行なうことにより得ることができる。以下、本発明のアルミニウム箔に好適な製造方法について説明する。
アルミニウム鋳塊は、半連続鋳造法等の常法により得ることができる。半連続鋳造法により得られる鋳塊(スラブ)は通常300〜700mm程度の厚さを有している。
このスラブに均質化熱処理を施す。均質化熱処理により、ピット形成の基点となるAl−Fe金属間化合物、Al−Fe−Si金属間化合物を均一に分散させる。
均質化熱処理の保持温度が560℃未満では、上記金属間化合物の分布が不均一で、交流電解エッチング時に局部溶解を起こす。また、均質化熱処理の保持温度が630℃を超えると、スラブが溶融する危険性があるのに加え、生産コストが高くなる。したがって、均質化熱処理の保持温度は560〜630℃とする。好ましい均質化熱処理の保持温度は、570〜610℃である。
均質化熱処理の保持時間が2時間未満では、その作用が十分発揮されない。また、均質化熱処理の保持時間が24時間を超えても、消費エネルギに見合うだけの均質化の効果を得ることができない。したがって、均質化熱処理の保持時間は、2〜24時間とすることが好ましい。より好ましい均質化熱処理の保持時間は、4〜12時間である。
均質化熱処理は、公知の加熱炉を用いて行うことができ、加熱方法、加熱手段が特に限定されるものではない。
冷間圧延の途中で中間焼鈍を行うことができる。この中間焼鈍前までに、例えば70〜99%の圧下率で冷間圧延を行っておく。中間焼鈍は、300〜500℃の加熱温度を1〜9時間保持する条件で行うことができる。中間焼鈍は、公知の焼鈍炉などを用いて行うことができ、本発明としては中間焼鈍を行う装置の構成が特に限定されるものではない。中間焼鈍後は、所望する最終厚さになるまで冷間圧延を行う。中間焼鈍後の圧下率は本発明としては特に限定をしないが、例えば70〜99%の圧下率とすることができる。
以上の冷間圧延によって、例えば数十μmから100μm程度のアルミニウム箔を得ることができるが、本発明としては最終品としてのアルミニウム箔の厚さが特に限定されるものではない。
このエッチング処理においては、微細なピットが高密度で均一に形成される。この箔を化成処理し、必要な耐電圧を得た後、常法により電解コンデンサに電極として組み込むことにより静電容量の高いコンデンサが得られる。
このスラブに600℃、6時間保持する均質化熱処理を施した後、熱間圧延を行って、板厚10mmの板材を得た。
熱間圧延後、箔厚が1mmになるまで冷間圧延を行った。次いで、350℃で4時間保持する中間焼鈍を行った。
中間焼鈍が終了した後、箔厚が50μmになるまで圧延を行なって冷間圧延を終了した。
交流電解エッチングが施された供試材に対して、85℃の150g/lのアジピン酸アンモニウム溶液中において電圧3Vで化成処理を行い、次いで30℃の同液中で静電容量を測定した(EIAJ法に準拠)。その結果を表1に示す。表1には、冷間圧延後に測定した機械的強度(引張強さ)の結果を示す。なお、静電容量、機械的強度は、No.1の供試材を100とする指数で示している。
Claims (2)
- 質量%で、
Si:0.01〜0.3%、
Fe:0.01〜0.3%、
Ti:0.0021〜0.05%、
Zn、Ga、Mg及びNiの1種又は2種以上(ただし、Zn、及び、Mgの1種又は2種を0.0051%以上必ず含む):合計で0.0051〜0.1%、
残部がAl及び不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物であるCuの量が0.005%以下であることを特徴とする電解コンデンサ陰極用アルミニウム箔。 - 質量%で、
Si:0.01〜0.3%、
Fe:0.01〜0.3%、
Ti:0.0021〜0.05%、
Zn、Ga、Mg及びNiの1種又は2種以上(ただし、Zn、及び、Mgの1種又は2種を0.0051%以上必ず含む):合計で0.0051〜0.1%、
残部がAl及び不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物であるCuの量が0.005%以下であるアルミニウム合金鋳塊を560〜630℃で2〜24時間保持する均質化熱処理を行ない、
その後、熱間圧延、冷間圧延を行ない、所定厚さの箔を得ることを特徴とする電解コンデンサ陰極用アルミニウム箔の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009097577A JP5523731B2 (ja) | 2009-04-14 | 2009-04-14 | 電解コンデンサ陰極用アルミニウム箔及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009097577A JP5523731B2 (ja) | 2009-04-14 | 2009-04-14 | 電解コンデンサ陰極用アルミニウム箔及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010248551A JP2010248551A (ja) | 2010-11-04 |
JP5523731B2 true JP5523731B2 (ja) | 2014-06-18 |
Family
ID=43311204
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009097577A Active JP5523731B2 (ja) | 2009-04-14 | 2009-04-14 | 電解コンデンサ陰極用アルミニウム箔及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5523731B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2818566B1 (en) | 2012-02-21 | 2017-11-22 | UACJ Corporation | Aluminum alloy foil for electrode charge collector, and method for producing same |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01215959A (ja) * | 1988-02-24 | 1989-08-29 | Kobe Steel Ltd | 電解コンデンサ陰極用アルミニウム箔の製造方法 |
JP2970852B2 (ja) * | 1989-03-13 | 1999-11-02 | 日本製箔株式会社 | 電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔の製造方法 |
JPH06145923A (ja) * | 1992-10-30 | 1994-05-27 | Nippon Foil Mfg Co Ltd | 電解コンデンサ陽極用アルミニウム箔の製造方法 |
JP2793964B2 (ja) * | 1994-09-12 | 1998-09-03 | 住友軽金属工業株式会社 | 電解コンデンサ陰極用アルミニウム箔 |
JP3913662B2 (ja) * | 2002-10-11 | 2007-05-09 | 日本製箔株式会社 | 電解コンデンサ電極用アルミニウム合金箔 |
JP4102408B2 (ja) * | 2006-01-27 | 2008-06-18 | 三菱アルミニウム株式会社 | 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法 |
-
2009
- 2009-04-14 JP JP2009097577A patent/JP5523731B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2010248551A (ja) | 2010-11-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2013124402A (ja) | 電解コンデンサ用アルミニウム箔およびその製造方法 | |
JP4300041B2 (ja) | 電解コンデンサ電極用アルミニウム材及び電解コンデンサ | |
JP6545779B2 (ja) | 電池集電体用アルミニウム合金箔 | |
JP2008095142A (ja) | 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔及びその製造方法 | |
JP5523731B2 (ja) | 電解コンデンサ陰極用アルミニウム箔及びその製造方法 | |
JP4102408B2 (ja) | 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法 | |
JP4021923B1 (ja) | 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔およびその製造方法 | |
JP5396156B2 (ja) | 電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔及びその製造方法 | |
JP6730382B2 (ja) | 電池集電体用アルミニウム箔およびその製造方法 | |
JP4874039B2 (ja) | 電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔及びそれに用いる合金箔地 | |
JP4650887B2 (ja) | 電解コンデンサ用アルミニウム箔 | |
JP2006219742A (ja) | 電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔及びその製造方法 | |
JP2007169690A (ja) | 電解コンデンサ用アルミニウム箔 | |
JP4021922B1 (ja) | 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法 | |
JP5036740B2 (ja) | 電解コンデンサ電極用アルミニウム材の製造方法 | |
JP4827103B2 (ja) | 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法 | |
JP2010100917A (ja) | 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔 | |
JP5094025B2 (ja) | 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔 | |
JP3589899B2 (ja) | 電解コンデンサ電極用アルミニウム合金およびアルミニウム合金箔 | |
JP4958464B2 (ja) | 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔 | |
JP2005175112A (ja) | 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔およびその製造方法 | |
JP4539911B2 (ja) | 電極コンデンサ陽極用アルミニウム箔およびその製造方法 | |
JP2009270138A (ja) | 電解コンデンサ用アルミニウム箔 | |
JP2007113098A (ja) | 電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔及びその製造方法 | |
JP3798575B2 (ja) | 電解コンデンサ電極用アルミニウム合金およびアルミニウム合金箔 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120327 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130911 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130918 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20131024 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20131120 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20131218 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140402 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140409 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5523731 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |