JP2009270138A - 電解コンデンサ用アルミニウム箔 - Google Patents

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Abstract

【課題】無効ピットの形成を抑制しながら実効表面積を大きくし、かつ粗大晶の形成を抑制することにより、静電容量の向上を図ることのできる電解コンデンサ用のアルミニウム箔を提供する。
【解決手段】質量%、質量ppmで、Al純度が99.9%以上であり、Si:5〜30ppm、Fe:5〜30ppm、Cu:5〜20ppm、Ni:5〜25ppm、Cu+Ni:20ppm以上、Pb:0.3〜1.5ppm、Mn:3ppm以下(ただし、0を含む)、Ga:3ppm以下(ただし、0を含む)、残部が不可避的不純物からなり、100〜140μmの厚さを有する電解コンデンサ用アルミニウム箔。
【選択図】なし

Description

本発明は、電解コンデンサの電極に用いられるアルミニウム箔に関し、特に中高圧用電解コンデンサの陽極に好適に用いられるアルミニウム箔に関する。
アルミニウム箔を電極として用いる電解コンデンサ(アルミニウム電解コンデンサ)は、アルミニウム箔からなる陽極及び陰極、電解液、コンデンサ紙(電解紙)を基本的な構成要素として備えている。陽極を構成するアルミニウム箔の表面に形成された酸化皮膜(以下、化成皮膜)が誘電体として機能する。
アルミニウム電解コンデンサの静電容量(C)は、平行板コンデンサと同様に次式(1)で求められる。なお、式(1)において、εは誘電体の比誘電率、Sは誘電体の表面積(cm)、dは誘電体の厚さ(cm)である。式(1)より、誘電体の表面積を大きくすることにより、静電容量を大きくできる。
C=8.855×10−8×ε・S/d(μF)…(1)
アルミニウム電解コンデンサは、アルミニウム箔表面をエッチングした後に化成皮膜を形成することにより、誘電体の見かけ上の表面積よりも実効表面積を大きくすることができる。そのために、アルミニウム電解コンデンサは、大きい静電容量を得る上で有利である。
一般に、低電圧用の陽極はアルミニウム箔表面が海綿状にエッチングされ、中高電圧用の陽極はアルミニウム表面から厚さ方向に延びる穴(以下、ピットという)がエッチングにより形成される。このようにエッチングされることにより、例えば、中高電圧用の陽極においては、見かけ上の表面積に比べ実効表面積が30〜40倍となる。
ピットは立方体方位に対し、垂直に成長するので、均一にピットを形成させて表面積を増大させるためには、アルミニウム箔として高い立方体方位占有率(以下、立方晶率)を有することが必要である。アルミニウムの純度が高いほど立方晶率を高くすることができるため、中高電圧用のアルミニウム箔には、純度が99.9%以上のアルミニウムが用いられている。また、ピットを高密度で形成するために、添加元素について様々な提案が行なわれている。
例えば本発明者等は、特許文献1において、第一群(Pb、Mg、Li、Na)の元素の1種または2種以上を合計量で0.1〜20ppm、第二群(Sn、Fe、In、Cr、Zr、Ge、Si)の元素の1種または2種以上を合計量で10〜50ppm、第三群(Ri、Hf、V、Mo、W、Ni、Cu、Zn)の元素の1種または2種以上を合計量で10〜100ppm含有し、残部がAlと不可避不純物で構成され、かつ不可避不純物中の第四群元素(Mn、Ga、B)の総量が10ppm以下である電解コンデンサ用アルミニウム箔を提案した。
特開2006−152394号公報
上記添加元素の中で、Cuは、アルミニウムマトリックス中に固溶することにより、エッチングによるアルミニウムの溶解性を高めて、ピットの成長を促進する作用を有している。
また、Cuは、再結晶を抑制する作用をも有している。ここで、例えば400WV以上の高電圧用のアルミニウム電解コンデンサは、静電容量及び強度を確保するため、100〜140μmの比較的厚いアルミニウム箔を陽極として用いる。しかしながら、箔厚が厚くなるほど、500〜580℃で焼鈍を行って立方晶率を高める際、局所的に結晶粒が異常成長して粗大晶が形成されやすくなる。粗大晶は、ピットを均一に形成する阻害要因となるので、従来は粗大晶の形成を抑制するために、Cuを30〜60質量ppm程度添加する必要があった。
誘電体として機能する化成皮膜は、エッチング後に形成される。化成皮膜は、エッチングされたアルミニウム箔をほう酸−アンモニウム等の水溶液中に浸漬した状態で直流電圧を印加(化成電圧)する化成処理(陽極酸化)により形成される。この化成皮膜は誘電体として機能するために、所定の厚さを有していることが必要である。化成皮膜の厚さは、化成電圧にほぼ比例して形成されるので、化成処理時に印加される化成電圧を調整することにより、所望厚さの化成皮膜を形成する。ところが、ピットの開口径(以下、単にピット径)が化成皮膜の厚さに対して小さい(例えば、0.6μm以下)と、ピット内が化成皮膜で埋め尽くされてしまい、当該ピットは静電容量に寄与しない。したがって、通常、ピット径は0.8μm以上に設定される。なお、ピット径が大きくなると単位面積当たりに形成されるピットの数が少なくなるので、ピット径を1.5μm以下とすることにより実効表面積を確保している。
Cuの添加は、前述したように、アルミニウムの溶解性を高めてピットを形成しやすくするが、同時に、静電容量に寄与しない0.6μm以下の小径のピット(以下、無効ピットという)が相当数形成されてしまい、実効表面積を十分に大きくすることができない。したがって、この観点からすると、高電圧電解コンデンサ用のアルミニウム箔に30〜60質量ppmの範囲でCuを添加するのは望ましくない。しかしながら、100〜140μmの厚さを有する高電圧電解コンデンサ用のアルミニウム箔は、粗大晶の形成を抑制するために、30質量ppm以上のCuの添加が不可避と考えられていた。したがって、従来は、高電圧電解コンデンサ用のアルミニウム箔において、無効ピットの形成を抑制して実効表面積を大きくし、かつ粗大晶の形成を抑制することが困難であるという技術的課題があった。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、無効ピットの形成を抑制しながら実効表面積を大きくし、かつ粗大晶の形成を抑制することにより、静電容量の向上を図ることのできる電解コンデンサ用のアルミニウム箔を提供することを目的とする。
本発明者は、無効ピットの形成を抑制するためにCuの添加量を20質量ppm以下に制限することとした。しかし、この程度のCuの添加量では、粗大晶が形成されてしまうので、粗大晶の形成を抑制できる元素について検討を行ったところ、Niが有効であることを知見した。しかも、粗大晶の形成を抑制できる量だけNiを添加しても、無効ピットが増えないことが明らかとなった。
本発明による電解コンデンサ用アルミニウム箔は、以上の検討結果に基づくものであり、質量%、質量ppmで、Al純度が99.9%以上であり、Si:5〜30ppm、Fe:5〜30ppm、Cu:5〜20ppm、Ni:5〜25ppm、Cu+Ni:20ppm以上、Pb:0.3〜1.5ppm、Mn:3ppm以下(ただし、0を含む)、Ga:3ppm以下(ただし、0を含む)、残部が不可避的不純物からなり、100〜140μmの厚さを有することを特徴とする。なお、以下では、質量%、質量ppmを単に%、ppmと記す。
本発明は、また、Al純度が99.9%以上であり、Si:5〜30ppm、Fe:5〜30ppm、Cu:5〜20ppm、Ni:5〜25ppm、Cu+Ni:20ppm以上、Pb:0.3〜1.5ppm、Mn:3ppm以下(ただし、0を含む)、Ga:3ppm以下(ただし、0を含む)、残部が不可避的不純物からなるアルミニウム材を、熱間圧延、冷間圧延を順次行なって100〜140μmの厚さとした後に、不活性ガス雰囲気又は還元性ガス雰囲気もしくはこれらの混合ガス雰囲気において、500〜580℃の温度範囲で、3〜48時間処理する焼鈍を施すことを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法を提供する。
本発明の電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法において、冷間圧延の途中に、0.13〜2mmの厚さのアルミニウム材に、100〜220℃の温度範囲で、2〜24時間保持する中間焼鈍を施し、その後さらに冷間圧延を行って、箔厚を100〜120μmにすることが好ましい。
本発明によれば、無効ピットの形成を抑制するためにCuの添加量を低い範囲に制限するとともに、無効ピットを増やすことなく粗大晶の形成を抑制できるNiを所定量添加することにより、無効ピットの形成を抑制しながら実効表面積を大きくし、かつ粗大晶の形成を抑制することのできるアルミニウム箔を得ることができる。したがって、このアルミニウム箔を用いた電解コンデンサは、高い静電容量を得ることができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
始めに、本発明のアルミニウム箔の組成限定理由を説明する。
<Al純度>
本発明のアルミニウム箔は、Alの純度を99.9%以上とする。そうすることにより、アルミニウム箔の立方晶率を95%以上にできる。
<Si,Fe:各々5〜30ppm>
Si及びFeは、主に出発原料に起因してアルミニウム箔に不可避的に含まれる元素である。Si及びFeは、ピットの基点として作用するが、5ppm未満まで精製するとコストが増加するため、工業的に望ましくない。また、30ppmを超えると、立方晶率が低くなり、ピット形成にとって好ましくない。したがって、本発明はSi,Feの含有量を各々5〜30ppmとする。好ましいSi,Feの含有量は各々10〜20ppm、さらに好ましいSi,Feの含有量は各々11〜18ppmである。
<Cu:5〜20ppm>
Cuは、マトリックス中に固溶してアルミニウム箔の溶解性を高めて、ピットの形成、成長に寄与する元素である。また、Cuは、粗大晶の発生を抑制する。
Cuが5ppm未満の場合、粗大晶の発生を抑制する効果が不十分である。一方、Cuが20ppmを超えると、無効ピットの形成が顕著となり、静電容量が低下する。したがって、本発明はCuの含有量を5〜20ppmとする。好ましいCuの含有量は8〜18ppm、さらに好ましいCuの含有量は12〜18ppmである。
<Ni:5〜25ppm>
Niは、アルミニウム中に固溶して再結晶温度を高くすることで、粗大晶の発生を抑制する。また、Niは、焼鈍によりアルミニウム箔の表層部に濃縮し、Al−Ni系の金属間化合物として析出することにより、ピットの発生を促進する作用を有する。さらに、アルミニウム箔内部に残留するNiは、アルミニウムの溶解性を高めるため、ピット径を拡大する効果を有している。なお、Al−Ni系の金属間化合物は、Al、Niを主体とする化合物であるが、その他にFe等の成分を含むことを許容する。
Niが5ppm未満の場合、粗大晶発生を抑制する効果が不足する。一方、Niが25ppmを超える場合、アルミニウム箔表層に析出するAl−Ni系の金属間化合物による溶解性が過剰に高くなるために、ピットの分散性が低下して、電解コンデンサの静電容量が低下する。したがって、本発明はNiの含有量を5〜25ppmとする。好ましいNiの含有量は7〜20ppmであり、さらに好ましいNiの含有量は12〜18ppmである。
<Cu+Ni:20ppm以上>
Cu、Niの作用、効果は上述の通りであるが、粗大晶の形成を抑制するためには、CuとNiの合計量(Cu+Ni)が20ppm以上であることが必要である。これ未満では、粗大晶が発生する。
好ましいCuとNiの合計量(Cu+Ni)は25〜40ppmであり、さらに好ましいCuとNiの合計量(Cu+Ni)は25〜35ppmである。なお、Cu、Niの組成範囲を図1に示しておく。
<Pb:0.3〜1.5ppm>
アルミニウム箔の表面には、中間焼鈍、あるいは最終焼鈍の際に酸化皮膜が形成される。この酸化皮膜はアルミニウムマトリックスに比べてエッチングされにくい。したがって、エッチング時に、酸化皮膜が部分的に除去されると、この部分が優先的にエッチングされることにより、ピットの分散性を低下させる。この場合、ピット径が大きくなると、隣接するピット同士が合体して、表面積の低下を招く。
Pbは、酸化皮膜内部に濃縮することにより、酸化皮膜の溶解性を高め又は部分的に結晶化を促進することによって酸化皮膜を脆化させる。したがって、Pbを含有させることにより、エッチング時に酸化皮膜の除去が容易になり、形成されるピットの分散性を高くすることができる。
Pbが0.3ppm未満では上記効果が不十分である。Pbが1.5ppmを超えると、酸化皮膜中にPbが析出し、エッチングを阻害する。したがって、本発明はPbの含有量を0.3〜1.5ppmとする。好ましいPbの含有量は0.4〜1.2ppm、さらに好ましいPbの含有量は0.6〜1.0ppmである。
<Mn,Ga:3ppm以下>
Mn、Gaは、微量に含まれていてもピット形成に悪影響を与えるため、含有量を極力減らす必要がある。ただし、工業的な生産性を考慮すると各々3ppm以下とすることが好ましく、各々1.5ppm以下とすることがより好ましい。なお、Mn、Gaが0ppmである場合を本発明は包含している。
<アルミニウム箔の厚さ:100〜140μm>
高電圧用の電解コンデンサに用いられるアルミニウム箔の厚さ(箔厚)は、静電容量、機械的な強度を確保するために、100〜140μmとされる。また、箔厚が100μm未満になると、立方晶率を95%以上にするのが困難となる。箔厚が120μmを超える場合には、中間焼鈍を行うことなく95%以上の立方晶率が得られるが、箔厚が大きくなりすぎると、エッチング、化成処理を順次施した後に、電解コンデンサを構成した際に、コンデンサケースに収納できる長さ(収納量)が短くなるので好ましくない。また、140μmを超えると、粗大晶が発生するおそれがある。そこで、粗大晶の発生を抑制し、かつ適切な収納量を得るために、箔厚を140μm以下とする。
<製造方法>
本発明のアルミニウム箔は、上述した化学組成に調製されたアルミニウム鋳隗(スラブ)を作製し、このスラブに必要に応じて均質加熱処理を施し、その後、熱間圧延、冷間圧延、最終焼鈍を順次行なうことにより得ることができる。以下、本発明のアルミニウム箔に好適な製造方法について説明する。
アルミニウムスラブは、半連続鋳造法等の常法により得ることができる。
半連続鋳造法により得られるアルミニウムスラブは通常300〜700mm程度の厚さを有しており、これを熱間圧延によって2〜10mm程度の厚さのシート材にする。熱間圧延は、スラブを500〜600℃に加熱して行なわれることが好ましい。加熱温度が500℃未満では圧延性が悪く生産効率が低下するからであり、加熱温度が600℃を超えるとスラブの形状が保てないからである。より好ましい加熱温度は530〜590℃である。なお、熱間圧延のための加熱を、均質加熱処理で代替することができる。
また、熱間圧延が終了する仕上がり温度は、200〜350℃とすることが好ましい。仕上がり温度が200℃未満では立方体方位粒の核となる再結晶粒が少なくなり、立方晶率が低下するからであり、仕上がり温度が350℃を超えると微量元素の析出が促進され立方晶率が低下するからである。
より好ましい終了温度は240〜320℃である。
熱間圧延終了後、冷間圧延が行なわれる。冷間圧延により、最終的に得たい箔厚にアルミニウム箔を仕上げる。
一般に、立方晶率を高めるために、冷間圧延の途中で中間焼鈍が行われる。中間焼鈍の後には、付加圧延と呼ばれる圧下率15〜30%程度の軽圧延を行い、立方晶以外の結晶粒に加工歪を与え、立方晶の優先成長を促す必要がある。高い立方晶率を得るためには、中間焼鈍の条件、付加圧延の条件を厳密に制御する必要があった。
本発明によるアルミニウム箔は、上述したように、箔厚が120μmを超え140μm以下の場合には中間焼鈍を行わなくても、95%以上の立方晶率を得ることができる。また、箔厚が100〜120μmの場合には、95%以上の立方晶率を得るために、中間焼鈍が必要となるが、中間焼鈍後の付加圧延の条件は従来に比べて大幅に緩和される。つまり、本発明の組成を有する0.13〜2mmの厚さのアルミニウム箔を100〜220℃の範囲で2〜24時間処理する中間焼鈍を行えば、その後の付加圧延の条件を厳密に制御する必要がなくなる。
中間焼鈍に供されるアルミニウム箔の厚さを0.13〜2mmとするのは、0.13mm未満になると最終箔厚との差が小さすぎて圧延できないためであり、2mmを超えると熱間圧延後の仕上がり厚さとの差が小さくなり、生産効率が低下するためである。
中間焼鈍の温度が100℃未満では、立方晶の成長が不十分なため、中間焼鈍の効果が得られない。処理時間が2時間未満の場合も同様である。また、中間焼鈍の温度が220℃を超えると、立方体方位以外の方位の結晶粒の成長も促進されるため、立方晶の優先成長が阻害される。処理時間が12時間を超える場合も同様である。
中間焼鈍を行った後に付加圧延を行い、冷間圧延を終了する。
冷間圧延の後には、例えば、500〜580℃で3〜48時間処理する焼鈍を行い、高い立方晶率を得る。この焼鈍を、中間焼鈍と区別するために、最終焼鈍という。最終焼鈍は、不活性ガス雰囲気又は還元性ガス雰囲気もしくはこれらの混合ガス雰囲気中で行うのが望ましい。不活性ガスとしてはAr、Nガス等が、又、還元性ガスとしてはHガスを挙げることができる。
上記各工程を経て得られたアルミニウム箔には、エッチング処理が施される。
エッチング処理は、通常は塩酸を主体とする電解液を用いた電解エッチングによって行われる。本発明におけるエッチング処理の具体的条件は特に限定されるものではなく、常法に従って行うことができるが、主として直流エッチングが適用される。
エッチング処理を施してアルミニウム箔にピットを形成した後、化成処理を行って、アルミニウム箔表面に化成皮膜(酸化皮膜)を形成する。
本発明のアルミニウム箔は、中高圧電解コンデンサの陽極として使用するのが好適であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、低電圧用電解コンデンサ用に使用することができ、また電解コンデンサの陰極用の材料として使用することもできる。
4N純度のアルミニウム地金を用い、表1に示す化学組成になるように調整した後に、半連続鋳造法によってアルミニウムスラブを作製した。
このアルミニウムスラブに580℃、2時間以上処理する均質加熱処理を施した後、熱間圧延を行った。熱間圧延は仕上がり温度を230〜350℃とし、圧下率を90%以上とした。
熱間圧延後、冷間圧延を行った。冷間圧延の途中で中間焼鈍を行った。中間焼鈍は、表1の「中間焼鈍」の欄に示す箔厚のアルミニウム箔に対して、表1の「中間焼鈍」の欄に示す温度、時間処理するものである。なお、「箔厚」は、中間焼鈍の対象となったアルミニウム箔の厚さを示している。
中間焼鈍が終了した後、表1の「中間焼鈍後圧下率」の欄に示す圧下率で付加圧延を行って、表1の「最終箔厚」の欄に示す厚さとして冷間圧延を終了した。なお、表1の実施例No.9、比較例No.9は、中間焼鈍を行っていない。また、付加圧延は、特別な圧下率の制御を行っていない。
冷間圧延後、表1の「最終焼鈍」の欄に示す温度、時間で処理する最終焼鈍を行った。
最終焼鈍が施された各アルミニウム箔の立方晶率を求めた。なお、立方晶率は以下のようにして求めた。35%HCl、60%HNO、48%HFを容積比で33:33:1の割合で混合して得た30℃の溶液中に各アルミニウム箔を30秒浸漬した後、水洗、乾燥を行い、立方晶と他方位の結晶粒との光沢が変化した試料を作製した。この試料を、画像解析装置に取り込み、立方晶率を求めた。
また、最終焼鈍が施された各アルミニウム箔について、粗大晶の有無を評価した。なお、粗大晶の有無は、500mm×250mmのサイズの試料を上記溶液中に30秒間浸漬した後、最大長さが2mm以上の結晶粒を粗大晶と定義し、目視により評価した。
最終焼鈍が施された各アルミニウム箔を、以下の条件で電解エッチングし、ピットの形成を行った。
溶液:HCl;1M(モル濃度)+硫酸;3M 温度;80℃
電流密度:300mA/cm
時間:120sec.
電解エッチング終了後、上記と同組成及び同温度の溶液中にアルミニウム箔を20分間浸漬して、ピット径を拡大させてエッチング処理を完了した。
エッチングされた各アルミニウム箔を、処理液:ホウ酸(80g/l,80℃)、化成電圧:600Vとする化成処理を施して陽極材試料を得た。この試料について150g/lアンピン酸溶液中にて静電容量を測定した。その結果を表1に示す。なお、表1には、実施例のNo.1の値を100とする指数で静電容量を示している。
Figure 2009270138
表1に示されるように、本発明の実施例によるアルミニウム箔は、立方晶率が95%以上で、かつ粗大晶が観察されず、また、高い静電容量が得られている。
以上に対して、本発明の要件を外れる比較例は、以下説明するように、静電容量が本発明の実施例に比べて低い。
Cuが2ppmと少ない比較例No.1は、立方晶率が低く、かつ粗大晶が形成されているため、静電容量が低い。また、Cuが30ppmと多い比較例No.2は、無効ピットが多く形成されたため、静電容量が低い。
Niが3ppmと少ない比較例No.3は、立方晶率が低いため静電容量が低い。また、Niが33ppmと多い比較例No.4は、ピットの分散性が低いため、静電容量が低い。
CuとNiの合計量が15ppmと少ない比較例No.7は、静電容量が低い。
Pbが0.1ppmと少ない比較例No.5及びPbが2ppmと多い比較例No.6は、ともに、静電容量が低い。
また、Mn、Gaが各々5ppm、10ppmと多い比較例No.8もまた静電容量が低い。
さらに、箔厚が155μmと厚い比較例No.9は、粗大晶が形成されているため、静電容量が低い。
本発明のNiとCuの組成範囲を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 質量%、質量ppmで、
    Al純度が99.9%以上であり、
    Si:5〜30ppm、
    Fe:5〜30ppm、
    Cu:5〜20ppm、
    Ni:5〜25ppm、
    Cu+Ni:20ppm以上、
    Pb:0.3〜1.5ppm、
    Mn:3ppm以下(ただし、0を含む)、
    Ga:3ppm以下(ただし、0を含む)、
    残部が不可避的不純物からなり、
    100〜140μmの厚さを有することを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム箔。
  2. 質量%、質量ppmで、
    Al純度が99.9%以上であり、
    Si:5〜30ppm、
    Fe:5〜30ppm、
    Cu:5〜20ppm、
    Ni:5〜25ppm、
    Cu+Ni:20ppm以上、
    Pb:0.3〜1.5ppm、
    Mn:3ppm以下(ただし、0を含む)、
    Ga:3ppm以下(ただし、0を含む)、
    残部が不可避的不純物からなるアルミニウム材を、熱間圧延、冷間圧延を順次行なって100〜140μmの厚さとした後に、
    不活性ガス雰囲気又は還元性ガス雰囲気もしくはこれらの混合ガス雰囲気において、500〜580℃の温度範囲で、3〜48時間処理する焼鈍を施すことを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法。
  3. 前記冷間圧延の途中に、0.13〜2mmの厚さの前記アルミニウム材に、100〜220℃の温度範囲で、2〜24時間保持する中間焼鈍を施し、その後さらに冷間圧延を行って、厚さを100〜120μmにすることを特徴とする請求項2に記載の電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法。
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