JP2010100917A - 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、部位による静電容量の差を低減し、より高い静電容量を発揮できるコンデンサを製造するための電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を提供する。
【解決手段】電解コンデンサ電極用のアルミニウム箔であって、Al:99.97質量%以上、Si:1〜100ppm、Fe:1〜100ppm、Cu:5〜100ppm、Pb:0.1〜5ppm、Ti:10〜200ppm、B:3ppm以下、残部:不可避不純物からなることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
【選択図】なし

Description

本発明は、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔に関する。特に、本発明は、エッチング及び陽極酸化処理の後に高い静電容量を達成できる電解コンデンサ電極用アルミニウム箔に関する。
アルミニウムは、化学的又は電気化学的なエッチング処理によりエッチングピットを形成して表面積の増大が容易にできる。その表面には「化成処理」とも称される陽極酸化処理を施すことにより、良質な陽極酸化皮膜が形成できる。しかも、この皮膜が誘電体となるところから、薄く圧延したアルミニウム箔をエッチング処理し、その表面に使用電圧に応じた種々の化成電圧で化成処理して陽極酸化皮膜を形成することにより、使用電圧に適合する各種のコンデンサが製造されている。
上記エッチング処理で形成するエッチングピットは、使用電圧に応じた化成電圧の高低に適した形状に穿孔される。
使用電圧の高い中高圧用のコンデンサに使用する場合は、化成電圧を高くして厚い化成皮膜を形成する必要があるので、厚い化成皮膜でエッチングピットが埋まらないように、エッチングピット形成は直流による電気化学的エッチング処理により行い、エッチングピット形状をトンネルタイプとする。
使用電圧の低い低圧用コンデンサに使用する場合は、付与する化成皮膜が中高圧用のように厚くないため、ピット形態は海綿状あるいはカリフラワー状と呼ばれる微細な凹凸であり、表面積の拡大率は中高圧用のトンネルピットより大きい。このようなピットは塩素イオンを含んだ水溶液中での交流エッチングにより得られる。
中高圧用のエッチングではエッチング処理を一次エッチング、二次エッチングの二段階で行い、一次エッチングでは直流を印加して細いトンネル状の初期ピットを形成し、次いで二次エッチングでは初期ピットの径を拡大している。
表面積を拡大するとコンデンサの静電容量を大きくできることから、一次エッチングで形成される初期ピットを数多く発生させることが必要である。しかも、二次エッチングで径を拡大させる時にエッチングピットが合体しないように、初期ピットは適当な数で均一に分散分布している必要がある。エッチングピットは、電気化学的な開始点を得て発生するものであるから、先ず初期ピットの開始点を適当数均一に分散分布させておかなければならない。
中高圧用のエッチングに供されるアルミニウム箔は、一般に次のように製造される。すなわち、各種元素の含有量を調整したアルミニウム溶湯を鋳造し、熱間圧延及び冷間圧延することにより、幅400〜600mm程度のアルミニウム箔を製造する。このとき、前記アルミニウム箔は、コイル状に巻かれている。更に、トンネルタイプのエッチングピットを形成されやすくするために、前記コイルに真空または不活性ガス雰囲気の下で300〜650℃程度の焼鈍を施す。また、鋳造後、コイルを形成するまでの間に、均質化処理や中間焼鈍等の熱処理を行うこともある。
近年、コンデンサの更なる小型化の傾向に伴い、静電容量の向上が強く求められるようになり、種々の元素を添加したアルミニウム箔が提案されている。例えば、特開昭60−66806号公報(特許文献1)には、チタン、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウムの少なくとも1種の2〜60原子%の金属と回避できない不純物を含有したアルミニウムを溶解させて急冷し強制固溶体合金を形成したことを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム合金電極が開示されている。
しかしながら、これらの元素の添加は、複合誘電体を形成するには適するものの、トンネルタイプのエッチングピットを適当数形成することはできず、初期ピットが同時に多数発生しすぎてアルミニウム箔が全面溶解してしまい、かえって静電容量の低下を招くという問題がある。
この全面溶解を抑制して、初期ピットの開始点を適当数均一に分散分布させる方法として、種々の元素を添加したアルミニウム箔が提案されている。例えば、Al純度:99.9%以上であり、Si:2〜50ppm、Fe:2〜50ppm、Cu:15〜150ppm、Zn:1〜80ppm及びPb0.1〜3ppmを含有するとともに、Zr、Vのうち少なくとも1種を21ppm以上かつ合計で21〜100ppm含有し、B含有量が2ppm以下に規制され、残部がアルミニウム及び不純物からなることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム材(特許文献2)、Al:99.9質量%以上、Si:2〜100ppm、Fe:2〜100ppm、Cu:15〜150ppm、B:0.1〜5ppm、Pb:0.1〜3ppm、Nb及びTaの少なくとも1種:10〜100ppm、残部:不可避不純物からなることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔(特許文献3)が開示されている。
しかしながら、前記コイル中におけるアルミニウム箔の位置、すなわち該コイルの幅方向及び厚さ方向における位置によって静電容量に大きな差があり、安定して高い静電容量が得られないという問題がある。
特開昭60−66806号公報 特開2002−97538号公報 特開2007−277602号公報
従って、本発明の主な目的は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、高い静電容量を発揮できるコンデンサを製造でき、且つ、部位による静電容量の差が低減された電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を提供することにある。
本発明者らは、上記問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の化学組成を有する電解コンデンサ電極用アルミニウム箔が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。特に、0.1〜5ppmのPbがエッチングピット間距離の均一な初期ピットの開始点になること、及び、10〜200ppmのTi及び3ppm以下のBを含有させることによりエッチングピットがトンネル状に進行して全面溶解を抑制するとともに部位による静電容量の差を低減するという知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔に係る。
1. 電解コンデンサ電極用のアルミニウム箔であって、Al:99.97質量%以上、Si:1〜100ppm、Fe:1〜100ppm、Cu:5〜100ppm、Pb:0.1〜5ppm、Ti:10〜200ppm、B:3ppm以下、残部:不可避不純物からなることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
2. Bが0.1〜2ppmである、上記項1に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
3. 上記項1又は2に記載のアルミニウム箔から得られる電解コンデンサ電極。
4. Al:99.97質量%以上、Si:1〜100ppm、Fe:1〜100ppm、Cu:5〜100ppm、Pb:0.1〜5ppm、Ti:10〜200ppm、B:3ppm以下、残部:不可避不純物からなることを特徴とするアルミニウム合金。
5. Bが0.1〜2ppmである、上記項4に記載のアルミニウム合金
6. 電解コンデンサ電極用として用いる、上記項4又は5に記載のアルミニウム合金。
1.電解コンデンサ電極用アルミニウム箔
本発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔(本発明Al箔)は、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔であって、Al:99.97質量%以上、Si:1〜100ppm、Fe:1〜100ppm、Cu:5〜100ppm、Pb:0.1〜5ppm、Ti:10〜200ppm、B:3ppm以下、残部:不可避不純物からなることを特徴とする。
以下、それぞれの成分について説明する。なお、本明細書中の「ppm」は、「質量ppm」の意である。
<Al>
本発明Al箔は、アルミニウムが99.97質量%以上、好ましくは99.98質量%以上である。本発明におけるアルミニウム箔は、このような不純物元素を調整し、有意元素を添加配合したアルミニウム合金から成る。このようなアルミニウム合金(スラブ)も本発明に包含される。
本発明におけるAl含有量は、化学分析又は発光分光分析法によってSi、Fe、Cu、Pb、Ti、B及び任意の添加元素(ただし、O、N、Cは除く)を定量的に分析し、それらの合計値を100から引いた差として定義する。ここでO、N、Cを除いたのは、これらの元素が分析試料の作製工程で取り込まれ易いため、分析結果の信頼性が低いためである。
従来、一般に用いられている電解コンデンサ電極用アルミニウム箔には、アルミニウムの製錬、精製、溶製過程でSi、Fe、B等の元素が不純物元素として混入するが、種々の品質(品位)のアルミニウムを組み合わせて配合することによってそれらの元素の含有量を調整することができる。最終的に得られるアルミニウム箔は、このように不純物元素を調整した後に、有意元素を添加配合して諸特性が付与される。本発明におけるアルミニウム箔は、このような不純物元素を調整し、有意元素を添加配合したアルミニウム合金から構成される。
<Si及びFe>
本発明Al箔におけるSi及びFeは、いずれも1〜100ppm、好ましくは5〜80ppmとする。Si又はFeの少なくとも一方が100ppmを超える場合は、これらを含む金属間化合物が晶出又は析出し、(100)面が箔のエッチング面に対して平行となるように再結晶化することが妨げられる傾向にある。また、Si又はFeの少なくとも一方が1ppm未満となると、粗大結晶粒が発生しやすくなる。
アルミニウム箔の厚さ方向に延びたトンネル状のエッチングピットを得るには、アルミニウムのfcc結晶構造の(100)面が箔のエッチング面(箔面)に対して平行であることが望ましく、エッチング面に平行な(100)面の占める割合が高いほど高い静電容量を得ることができる。
このようなアルミニウム箔は、厚さ100μm程度の箔に圧延する箔圧延最終工程において、真空又は不活性ガス雰囲気中で300〜650℃の温度で熱処理して再結晶させることにより、アルミニウムのfcc結晶構造の(100)面をエッチング面(圧延面)と平行になるように揃える。その際、箔のエッチング面に対して平行な(100)面が95%以上となることが望ましい。かかる作用効果を維持・促進する上でSi及びFeの含有量を上記範囲に設定する。
また、本発明では、再結晶組織中に直径1mmを超えるような粗大結晶粒があると箔の静電容量を低下させるので、直径0.5mm程度以下の微細結晶粒から成る再結晶組織が好ましい。
<Cu>
本発明Al箔におけるCuは、通常5〜100ppm程度、好ましくは10〜80ppm含まれる。Cuは、二次エッチングで径を拡大させる時に有効な成分であるが、その含有量が5ppm未満の場合は二次エッチングにおける初期ピット拡大効果が低下する。また、100ppmを超える場合は、二次エッチング中の溶解が激しくなり、初期ピット拡大後のトンネル形状が崩れ、対投影面積比としてエッチング面を大きく拡大することができなくなる結果、静電容量の向上が望めなくなる。
<Pb>
本発明Al箔におけるPbは、通常0.1〜5ppm程度、好ましくは0.3〜1.5ppm含まれる。Pbの含有量が0.1ppm未満の場合は、初期ピットの開始点が十分でなく、静電容量の高いアルミニウム箔が得られない。また、Pbの含有量が5ppmを超える場合は、初期ピット開始点が過剰となり、初期ピット拡大後のトンネル形状が崩れ、対投影面積比としてエッチング面を拡大することができなくなる結果、静電容量の向上を図れなくなる。
Pbはアルミニウム箔の製造工程中に受ける熱の影響によってアルミニウム箔の表面に濃縮する。すなわち、箔圧延の素材に含有されているPbは、箔圧延の最終工程である高温焼鈍処理、特に470℃以上の処理によって箔表面に拡散濃縮する。表面にPbが濃縮して存在すると箔表面の溶解性を良好にし、一次エッチングにおける初期ピットの開始点となる。
<Ti及びB>
本発明Al箔において、Tiは、通常10〜200ppm程度、好ましくは15〜50ppm含まれる。また、Bは、通常3ppm以下、好ましくは0.1〜2ppm含まれる。
Bはアルミニウム箔の製造工程中に受ける熱の影響によってアルミニウム箔の表面に濃縮する。すなわち、Bは、箔圧延の最終工程である高温焼鈍処理、特に470℃以上の処理によってアルミニウム箔表面に拡散濃縮する。しかしながら、BはPbに比べて表面に濃縮する速度が遅いため、アルミニウム箔の部位による熱履歴の違いの影響を受け、該アルミニウム箔表面に均一に拡散濃縮しない。その結果、初期ピットの開始点をアルミニウム箔表面に均一に存在させることができず、アルミニウム箔の位置によって静電容量に差が生じることとなる。Bはアルミニウムの製錬、精製、溶製過程で不純物として混入するため、通常0.1ppm程度含有される。
Tiは、一次エッチングで初期ピットを開始点からトンネル状に進行させる時に有効な元素である。また、Bのアルミニウム箔表面への濃縮を抑制し、前記静電容量の差を低減することができる。Tiの含有量が10ppm未満の場合は、上記効果が十分でなく、静電容量の高いアルミニウム箔が得られない。また、Tiの含有量が100ppmを超える場合は、エッチングピットが過剰となり、初期ピット拡大後のトンネル形状が崩れ、対投影面積比としてエッチング面を拡大することができなくなる結果、静電容量の向上を図れなくなる。
<その他の成分>
その他の不純物としてのMn、Mg、Cr、Zn及びV等は、それぞれ100ppm以下であれば良い。
<Al箔厚み>
アルミニウム箔の厚みは限定的ではないが、一般的に50〜200μm、特に70〜150μmとすることが好ましい。同じ表面積であっても箔厚が大きくなると、アルミニウム箔単位重量あたりの静電容量は低くなることがある。200μmを超える箔厚は、最近の電解コンデンサ小型化の要求に反するものである。一方、箔厚が50μm未満では、エッチング後の強度が使用に耐えないまでに低下するおそれがある。
2.電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法
本発明のアルミニウム箔は、組成を上記組成に設定するほかは、硬質箔又は軟質箔のいずれを問わず、公知の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製法に従って製造することができる。
例えば、上記所定の組成を有する溶湯を調製し、これを鋳造して得られた鋳塊を450〜660℃で均質化処理した後、熱間圧延及び冷間圧延を施し、次いで300〜650℃で焼鈍することにより得ることができる。必要に応じて、冷間圧延の途中で150〜400℃の中間焼鈍を実施しても良い。
本発明Al箔から電解コンデンサ電極を製造する場合は、公知のエッチング方法、化成処理等に従って実施すれば良い。例えば、一次エッチング及び二次エッチングを実施した後、化成処理を実施することにより、電解コンデンサ電極をより好適に作製することができる。各処理条件は、例えば下記のようにすれば良いが、これらに限定されるものではない。
一次エッチング
一次エッチング処理で使用するエッチング液は限定的でなく、例えば塩酸、硫酸、燐酸、硝酸等を含有する酸水溶液等の公知のエッチング液を使用することができる。エッチング液の濃度は、特に限定されないが、通常は1〜8モル/L、好ましくは3〜5モル/Lとなるように設定すれば良い。エッチング液の温度は、特に制限されないが、好ましい液温度は65〜85℃である。液温度が高くなれば反応が促進されて好ましいが、高温になり過ぎると反応が速すぎて箔表面の溶解が激しく均一な初期トンネルピットを形成し難くなる。
一次エッチングは、通常は直流(DC)にて実施される。その場合の電流密度は、一般的に0.1〜0.7A/cm程度とすることが好ましい。処理時間は、通常は30秒〜3分程度が適当である。
二次エッチング
二次エッチングは、主として一次エッチングで穿孔されたエッチングピット径を拡大するために実施されるものである。
二次エッチング処理で使用するエッチング液は限定的でなく、例えば塩酸、硫酸、燐酸、硝酸等を含有する酸水溶液等の公知のエッチング液を使用することができる。エッチング液の濃度は、特に限定されないが、通常は0.1〜3モル/L、好ましくは0.2〜2モル/Lとなるように設定すれば良い。エッチング液の温度は、特に制限されないが、好ましい液温度は70〜90℃である。液温度が高くなれば反応が促進されて好ましいが、高温になり過ぎると反応が速すぎてエッチングピット径の拡大が難しくなる。
二次エッチングは、通常は直流(DC)又は化学溶解にて実施される。DCエッチングの場合の電流密度は、一般的に0.1〜0.3A/cm程度とすることが好ましい。処理時間は、通常は2〜20分程度が適当である。また、化学溶解時の処理時間は、5〜30分程度が適当である。
化成処理
化成処理では、エッチング処理によりピットを形成して表面積を増大させたアルミニウム箔に陽極酸化皮膜を形成する。具体的には、このアルミニウム箔を陽極とした化成処理を施し、陽極酸化皮膜を形成する。
化成処理は、公知の条件で行えば良い。例えば、電解液として硼酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、有機酸アンモニウム(例えばアジピン酸アンモニウム)等の緩衝溶液を用い、コンデンサの用途に応じて100〜1000V程度の電圧を一段又は多段階で印加して化成皮膜(すなわち、誘電体皮膜)を形成する。
本発明では、必要に応じて、一次エッチング処理に先立って、アルミニウム箔の表面調整等のために、酸又はアルカリ液による処理を行っても良い。この処理自体は、公知の方法に従って実施することができる。
本発明のAl箔は、Pb、Ti、B等の特定成分が一定量の範囲内に制御されていることから、静電容量の部位による差を低減し、静電容量がより高い電解コンデンサ電極を提供することが可能となる。特に、本発明のAl箔をエッチング処理することにより、中高圧用コンデンサのアルミニウム箔電極を好適に得ることができる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をさらに明確にする。ただし、本発明の範囲は、これら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例で得られた試料の特性は、次のように測定した。
<Al箔組成>
Al箔の組成は発光分光分析装置を用いて行った。ただし、Pbの組成は湿式化学分析で行った。また、表1中に表示した以外の元素の含有量は安定して微量であったので、Al含有量(%)は100%から表示の元素含有量の合計値を減じた値とした。
<静電容量>
試料の静電容量は、次に示す条件でエッチング処理し、ホウ酸水溶液(50g/L)中で250Vの化成処理を施した後、ホウ酸アンモニウム水溶液(3g/L)にて測定した。
エッチング処理条件
一次エッチング
エッチング液:塩酸及び硫酸の混合液(塩酸濃度:1モル/L、硫酸濃度:3モル/L、80℃)
電解:DC500mA/cm×1分
二次エッチング
エッチング液:硝酸液(硝酸濃度:1モル/L、75℃)
電解:DC100mA/cm×5分
(実施例1〜6及び比較例1〜6)
表1に示す組成の金型鋳造スラブを600℃の温度に10時間保持して均質化処理を施した後、熱間圧延及び冷間圧延を施して厚さ130μmの薄板とした。この薄板を260℃の温度に5時間保持して中間焼鈍を施し、さらに冷間圧延して厚さ110μm、幅80mmのアルミニウム箔とし、該アルミニウム箔をコイル状に巻いた。すなわち、図1に示すように、前記アルミニウム箔を軸周りに巻回させてロール体を形成した。得られたコイルを530℃(但し、実施例2では460℃)のArガス雰囲気中で5時間保持して焼鈍を行った。
Figure 2010100917
図1に示すように、実施例1〜6及び比較例1〜6で得られた各コイルの芯部(A)、中間部(B)及び外周部(C)における幅方向の両端部及び中央部の合計9箇所のアルミニウム箔を採取し、評価用試料とした。
各試料の静電容量を表2に示す。これらは、比較例1で得られたコイルの半径方向中間部の幅方向中央部の静電容量を100とした場合の指数(相対値)で示している。
Figure 2010100917
また、実施例3及び比較例1で得られたコイルの半径方向中間部の幅方向中央部(図1のB2)から採取した試料のBの深さ方向における濃度分布をグロー放電発光分光分析法によって測定した。
結果を図2に示す。
なお、表1に示す通り、実施例3のロール体から採取した試料中の各成分の含有量は、Bが0.8ppm、Tiが100ppmである以外は、比較例1のロール体から採取した試料と同じである。
図2から明らかなように、実施例3の試料及び比較例1の試料は、Bの含有量がほぼ同じであるのにかかわらず、アルミニウム箔中におけるBの分布状態が顕著に異なっていることがわかる。これは、各試料中のTiの含有量が異なることが原因である。すなわち、実施例3の試料は、Tiを100ppm含有することにより、Bがアルミニウム箔表面に均一に拡散濃縮しているのに対し、比較例1の試料は、Tiの含有量が十分ではない(0.3ppm)ため、該アルミニウム箔の部位による熱履歴の違いの影響を受け、Bが該アルミニウム箔表面に均一に拡散濃縮できていない。
図1は、実施例1〜6及び比較例1〜6で得られた各ロール体の断面図であって、該ロール体中における評価用試料の採取位置を示す。 図2は、実施例3及び比較例1で得られたコイルから採取した試料(図1のB2から採取した試料)のBの深さ方向における濃度分布を表すグラフである。

Claims (6)

  1. 電解コンデンサ電極用のアルミニウム箔であって、Al:99.97質量%以上、Si:1〜100ppm、Fe:1〜100ppm、Cu:5〜100ppm、Pb:0.1〜5ppm、Ti:10〜200ppm、B:3ppm以下、残部:不可避不純物からなることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
  2. Bが0.1〜2ppmである、請求項1に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
  3. 請求項1又は2に記載のアルミニウム箔から得られる電解コンデンサ電極。
  4. Al:99.97質量%以上、Si:1〜100ppm、Fe:1〜100ppm、Cu:5〜100ppm、Pb:0.1〜5ppm、Ti:10〜200ppm、B:3ppm以下、残部:不可避不純物からなることを特徴とするアルミニウム合金。
  5. Bが0.1〜2ppmである、請求項4に記載のアルミニウム合金
  6. 電解コンデンサ電極用として用いる、請求項4又は5に記載のアルミニウム合金。
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