JP6619173B2 - 電解コンデンサ用アルミニウム箔 - Google Patents
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また、特許文献5〜6では、アルミニウム箔の立方体方位結晶占有率を高めることが提案されている。
質量比で、Si:5〜30ppm、Fe:5〜30ppm、Cu:30〜70ppm、B:0.1〜4ppm、REM:1〜10ppmを含有し、残部が不可避不純物と99.9%以上のAlから成る組成を有し、前記組成におけるB、REM含有量が、(式)… 0.1≦[B]/[REM]≦0.4を満たし、立方体方位占有率が97%以上であり、円相当径2mm以上の異方位粒を有していないことを特徴とする。
Siの含有量が5ppm未満の場合は、純度が高く精製コストが増加するため、工業的に望ましくない。一方、Si含有量が30ppmを超えると、立方体方位占有率の低下、および、過剰溶解による静電容量の低下をもたらす。このため、Siの含有量を上記範囲に定める。なお、下限を8ppm、上限を15ppmとすることがより望ましい。
Feが5ppm未満の場合は、純度が高く精製コストが増加するため、工業的に望ましくない。Feが30ppmを超えると、立方体方位占有率の低下、および過剰溶解による静電容量の低下を引き起こす。したがって、Feの含有率を上記範囲に定める。なお、下限を8ppm、上限を15ppmとすることがより望ましい。
Cuは、アルミニウム箔の溶解性を向上させるとともに、ピット密度を増加させる作用がある。Cu含有量が30ppm未満であると、その作用が十分に発揮されない。一方、Cu含有量が70ppmを超えると、立方体方位占有率の低下が起こるほか、漏れ電流が増大し、製品中におけるスパークのリスクが高まる。このため、Cu含有量を上記範囲に定める。なお、下限を40ppm、上限を60ppmとすることがより望ましい。
Bは、バルクの溶解性を向上させるとともに、立方体方位占有率を低下させる作用を有する。B含有量が0.1ppm未満であると、その作用が十分に発揮されない。B含有量が4ppmを超えると、過剰溶解となり、立方体方位占有率が低下し、静電容量が低下する。このため、Bの含有量を上記範囲に定める。なお、下限を0.3ppm、上限を1.0ppmとすることがより望ましい。
REMは、Feの析出を促進し、バルクのアルミニウム純度を向上させ、立方体方位占有率を高める作用を有する。REMの含有量が1ppm未満であると、その作用が十分に発揮されない。REM含有量が10ppmを超えると、Feの析出が過剰となり、結晶粒が異常成長しやすく、立方体方位占有率が低下する。このため、REMの含有率を上記範囲に定める。なお、下限を3.0ppm、上限を5.0ppmとすることがより望ましい。
なお、本願発明では、REMとしては、ミッシュメタルや、希土類金属の一つまたは複数元素を使用することができる。
上記したように、アルミニウム中にREMを添加することで、立方体方位占有率を高くすることができるが、立方体方位占有率が高くなりすぎると、粗大異方位粒の発生リスクも高くなる。そこで、REMを添加するとともに、立方体方位占有率を低下させるBを添加し、B、REMの含有量の比率を定めることによって、粗大異方位粒発生が抑制されつつ立方体方位占有率を高くすることができる。
[B]/[REM]が、0.1未満であると、REMの作用が過剰となり、立方体方位占有率が高くなり、粗大異方位粒発生のリスクが高くなる。[B]/[REM]が、0.4を超えると、Bの作用が過剰となり、立方体方位占有率が低下する。したがって、[B]/[REM]を上記範囲に定める。
なお、上記比の下限を0.15、上限を0.25とすることがより望ましい。
電解コンデンサ用アルミニウム箔が高い粗面化率を得るために、立方体方位占有率が高いことが望ましい。立方体方位占有率が97%未満であると、エッチングピットの形成が十分に促進されず、粗面化率が低くなる。したがって、立方体方位占有率が上記範囲を満たしていることが望ましい。
ここで言う「異方性粒」とは、完全な立方体方位粒から15°以上の角度差の結晶方位を持つ結晶粒を意味する。電解コンデンサ用アルミニウム箔が高い粗面化率を得るためには、粗大な異方位粒を有していないことが望ましい。円相当径が2mm以上の異方位粒を有していると、局所的な性能が低下するほか、エッチングピットの形成においても問題が生じる場合がある。したがって、円相当径2mm以上の異方位粒を有していないことが望ましい。
本発明の組成を有するアルミニウム材は、常法によって製造することができる。本発明としては特にその製造方法は限定されず、例えば、半連続鋳造法によって得たスラブを熱間圧延したものを用いることができ、その他に、連続鍛造により得られるアルミニウム材を用いることができる。なお、得られたスラブには、所望により均一化処理を施すことができる。
上記熱間圧延または連続鍛造により、例えば数mm厚程度の板材とする。この板材に対して冷間圧延を行い、最終冷間圧延によって、例えば80μmから125μm未満の厚さを有するアルミニウム箔を得る。但し、本発明としては、アルミニウム箔の厚さが限定されるものではない。
なお、冷間圧延途中あるいは冷間圧延終了後に適宜脱脂を加えても良く、また、冷間圧延の途中で、例えば、200〜300℃、2〜10時間の中間焼鈍を実施してもよい。
最終焼鈍としては、例えばArガスなどの不活性ガス雰囲気中、或いは水素ガスのような還元性ガス雰囲気中、もしくはこれらの混合ガス雰囲気中で、保持温度530〜580℃、保持時間2〜10時間とする熱処理を行なうことにより、高い立方体方位占有率が得られるとともに、エッチング処理において好適な表面酸化皮膜を形成することができる。
エッチング処理は、常法により行うことができる。本発明としてはエッチング処理の具体的方法は限定されないが、例えば、塩酸を主体とする電解液を用いた電解エッチングのほか、直流電流を利用して行うエッチングも可能である。また、無電解によるエッチングを採用することも可能である。
エッチング処理を行うことによって、アルミニウム箔にはエッチングピットが高密度かつ均一に形成される。このアルミニウム箔を化成処理した後、常法によって電解コンデンサに電極として組み込むことにより、静電容量の優れた電解コンデンサが得られる。
最終焼鈍後のアルミニウム箔に対して、以下の条件でエッチングを行い、立方体方位占有率測定、粗大結晶粒発生判定、および静電容量(Cap)測定を行った。
最終焼鈍を経たアルミニウム箔に、以下の条件でエッチングを行った。すなわち、HCl 4M、HNO3 4M溶液中に30秒間浸漬した。このエッチングにより、立方体方位粒と異方位粒の視覚的コントラストを鮮鋭化させることができる。
次いで、アルミニウム箔の単位面積あたりの立方体方位粒の占有面積率を測定した。立方体方位占有率は、上記のエッチングを施した箔の表面画像を、画像解析装置に取り込み、立方体方位粒と異方位粒を二値化処理し、自動計算により求めた。なお、1水準につき幅方向に5点、長手方向に3点の測定を行ない、それらの平均から水準毎の立方体方位占有率を求めた。その結果を表1に示した。
最終焼鈍を経たアルミニウム箔から、圧延方向に対し幅手500mm×長手200mmの面積のサンプルを、それぞれコイル長手方向に3箇所から採取した。それらにつき異方位粒を鮮鋭化させるため、前記と同じくHCl 4M、HNO3 4M溶液中に30秒間浸漬するエッチングを施した。
次いで、上記エッチング後サンプルに対して円相当径で直径2mm以上の異方位粒の有無を目視にて観察した。その結果を表1に示した。
最終焼鈍を経たアルミニウム箔に対し、以下の条件でエッチングを行った。すなわち、75℃のHCl 1M+H2SO4 3M溶液中で200mA/cm2の直流電流を120秒印加後、80℃のHCl 2M溶液中で50mA/cm2直流電流を600秒印加した。
次いで、前記各エッチング箔を1cm×5cmのサイズに切り出し、80℃ホウ酸80g/l溶液にて300Vの化成を行い、150g/lアジピン酸溶液中にて静電容量を測定した。静電容量の測定には、LCRメーターを用いた。
実施例1の静電容量を基準にして、各供試材の相対的な評価(百分率)を算出し、その結果をCap(%)として表1に示した。
一方、本発明の組成を外れる比較例1〜11では、立方体方位占有率、静電容量、粗大晶のいずれか一つ以上が上記基準を満たしておらず、電解コンデンサ用アルミニウム箔として優れた性能を有していなかった。
したがって、[B]/[REM]の値を調整することで、高い静電容量を得ることができる。
Claims (1)
- 質量比で、Si:5〜30ppm、Fe:5〜30ppm、Cu:30〜70ppm、B:0.1〜4ppm、REM:1〜10ppmを含有し、残部が99.9%以上のAlと不可避不純物からなる組成を有し、前記組成におけるB含有量とREM含有量が、 (式)… 0.1≦[B]/[REM]≦0.4
を満たし、立方体方位占有率が97%以上であり、円相当径2mm以上の異方位粒を有していないことを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム箔。
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